(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ロボットシステムおよびロボットシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240528BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B25J13/08 A
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020071209
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】濱沖 孟
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-203604(JP,A)
【文献】特開2006-088235(JP,A)
【文献】特開平07-335723(JP,A)
【文献】特開2000-071190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状または正方形状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットと、前記産業用ロボットが前記搬送対象物を受け取る受取り部と、前記産業用ロボットが前記搬送対象物を引き渡す引渡し部とを備え、
前記産業用ロボットは、前記搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、前記本体部に取り付けられ前記搬送対象物を検知する光学式の第1検知機構と、前記産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、前記受取り部に置かれている前記搬送対象物を前記アームが伸びている状態で前記ハンドに搭載して受け取るときの前記ハンドの位置を受取り位置とし、前記アームが伸びている状態で前記ハンドに搭載されている前記搬送対象物を前記引渡し部に引き渡すときの前記ハンドの位置を引渡し位置とすると、前記受取り位置で前記搬送対象物を受け取った前記ハンドが前記本体部に近づくように前記アームが縮むときの動作である第1動作と、前記第1動作後に、前記搬送対象物が搭載された前記ハンドが前記引渡し位置に移動するまで前記アームが伸びるときの動作である第2動作とを行い、
前記受取り部は、前記搬送対象物を検知する光学式の2個の第2検知機構を備え、
前記第1検知機構は、ラインセンサまたはエリアセンサからなる第1の受光部と、上下方向において前記第1の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で前記第1の受光部に対向配置される第1の発光部とを有する透過型の検知機構であり、
前記第2検知機構は、第2の受光部と、上下方向において前記第2の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で前記第2の受光部に対向配置される第2の発光部とを有する透過型の検知機構であり、前記制御部に電気的に接続され、
前記ハンドは、前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときに、前記本体部に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、
前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときの前記ハンドの移動方向を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とすると、
2個の前記第2検知機構は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときに、前記搬送対象物は、2個の前記第2検知機構の前記第2の受光部と前記第2の発光部の間を通過し、
前記産業用ロボットが前記第1動作を完了したときに、前記搬送対象物の左右方向の一端面は、前記第1の受光部と前記第1の発光部の間に配置され、
前記制御部は、前記産業用ロボットが前記第1動作を行う際に、2個の前記第2検知機構のうちの一方の前記第2検知機構が前記搬送対象物を検知したときの前記ハンドの前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の前記第2検知機構のうちの他方の前記第2検知機構が前記搬送対象物を検知したときの前記ハンドの前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得し、かつ、前記産業用ロボットが前記第1動作を行う際にまたは前記産業用ロボットが前記第1動作を完了した状態で、前記第1検知機構によって検知される前記搬送対象物の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得するとともに、前記産業用ロボットが前記第2動作を行う際に、前記第1位置データと前記第2位置データと前記第3位置データとに基づいて、前記引渡し位置に到達するときの前記ハンドの水平方向の位置および向きを補正
し、
前記産業用ロボットは、前記ハンドとして、第1ハンドと第2ハンドとの2個の前記ハンドを備えるとともに、前記第1ハンドが連結される前記アームとしての第1アームと、前記第2ハンドが連結される前記アームとしての第2アームと、前記第1アームおよび前記第2アームが連結される1個の前記本体部とを備え、
前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物と前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物とは、上下方向でずれており、
前記第1アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが行うときに、前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間を通過する前記第2の受光部および前記第2の発光部と、前記第2アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが行うときに、前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間を通過する前記第2の受光部および前記第2の発光部とは、共通の前記第2の受光部および前記第2の発光部であり、
前記第1アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが完了したときに前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間に配置される前記第1の受光部および前記第1の発光部と、前記第2アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが完了したときに前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間に配置される前記第1の受光部および前記第1の発光部とは、共通の前記第1の受光部および前記第1の発光部であることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記産業用ロボットは、前記本体部に対して前記ハンドが一定方向に向いた状態で直線的に移動するように前記アームを伸縮させるアーム駆動機構と、前記本体部を回動させる回動機構と、左右方向に前記本体部を移動させる水平移動機構とを備え、
前記制御部は、前記産業用ロボットが前記第2動作を行う際に、前記第1位置データと前記第2位置データと前記第3位置データとに基づいて、前記アーム駆動機構と前記回動機構と前記水平移動機構とを制御して前記引渡し位置に到達するときの前記ハンドの水平方向の位置および向きを補正することを特徴とする請求項
1記載のロボットシステム。
【請求項3】
長方形状または正方形状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットと、前記産業用ロボットが前記搬送対象物を受け取る受取り部と、前記産業用ロボットが前記搬送対象物を引き渡す引渡し部とを備え、
前記産業用ロボットは、前記搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、前記本体部に取り付けられ前記搬送対象物を検知する光学式の第1検知機構とを備えるとともに、前記受取り部に置かれている前記搬送対象物を前記アームが伸びている状態で前記ハンドに搭載して受け取るときの前記ハンドの位置を受取り位置とし、前記アームが伸びている状態で前記ハンドに搭載されている前記搬送対象物を前記引渡し部に引き渡すときの前記ハンドの位置を引渡し位置とすると、前記受取り位置で前記搬送対象物を受け取った前記ハンドが前記本体部に近づくように前記アームが縮むときの動作である第1動作と、前記第1動作後に、前記搬送対象物が搭載された前記ハンドが前記引渡し位置に移動するまで前記アームが伸びるときの動作である第2動作とを行い、
前記受取り部は、前記搬送対象物を検知する光学式の2個の第2検知機構を備え、
前記第1検知機構は、ラインセンサまたはエリアセンサからなる第1の受光部と、上下方向において前記第1の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で前記第1の受光部に対向配置される第1の発光部とを有する透過型の検知機構であり、
前記第2検知機構は、第2の受光部と、上下方向において前記第2の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で前記第2の受光部に対向配置される第2の発光部とを有する透過型の検知機構であり
、
前記ハンドは、前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときに、前記本体部に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、
前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときの前記ハンドの移動方向を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とすると、
2個の前記第2検知機構は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記産業用ロボットが前記第1動作を行うときに、前記搬送対象物は、2個の前記第2検知機構の前記第2の受光部と前記第2の発光部の間を通過し、
前記産業用ロボットが前記第1動作を完了したときに、前記搬送対象物の左右方向の一端面は、前記第1の受光部と前記第1の発光部の間に配置されるロボットシステムの制御方法であって、
前記産業用ロボットが前記第1動作を行う際に、2個の前記第2検知機構のうちの一方の前記第2検知機構が前記搬送対象物を検知したときの前記ハンドの前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の前記第2検知機構のうちの他方の前記第2検知機構が前記搬送対象物を検知したときの前記ハンドの前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得し、かつ、前記産業用ロボットが前記第1動作を行う際にまたは前記産業用ロボットが前記第1動作を完了した状態で、前記第1検知機構によって検知される前記搬送対象物の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得するとともに、前記産業用ロボットが前記第2動作を行う際に、前記第1位置データと前記第2位置データと前記第3位置データとに基づいて、前記引渡し位置に到達するときの前記ハンドの水平方向の位置および向きを補正
し、
前記産業用ロボットは、前記ハンドとして、第1ハンドと第2ハンドとの2個の前記ハンドを備えるとともに、前記第1ハンドが連結される前記アームとしての第1アームと、前記第2ハンドが連結される前記アームとしての第2アームと、前記第1アームおよび前記第2アームが連結される1個の前記本体部とを備え、
前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物と前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物とは、上下方向でずれており、
前記第1アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが行うときに、前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間を通過する前記第2の受光部および前記第2の発光部と、前記第2アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが行うときに、前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間を通過する前記第2の受光部および前記第2の発光部とは、共通の前記第2の受光部および前記第2の発光部であり、
前記第1アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが完了したときに前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間に配置される前記第1の受光部および前記第1の発光部と、前記第2アームが縮むときの前記第1動作を前記産業用ロボットが完了したときに前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物がその間に配置される前記第1の受光部および前記第1の発光部とは、共通の前記第1の受光部および前記第1の発光部であることを特徴とするロボットシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形状または正方形状の搬送対象物を搬送する産業用ロボットを備えるロボットシステムに関する。また、本発明は、かかるロボットシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板等の長方形状のワークを搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、たとえば、収容カセットからワークを搬出して、所定の処理装置までワークを搬送する。この産業用ロボットは、ワークが搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結される多関節アームと、多関節アームの基端側が回動可能に連結される基台とを備えている。また、この産業用ロボットは、多関節アームを伸縮させるアーム駆動機構と、基台を回動させる回動機構と、基台を水平方向に移動させる移動機構とを備えている。アーム駆動機構は、基台に対してハンドが一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアームを伸縮させる。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ハンドは、ワークが載置される2本の載置部を備えている。2本の載置部の先端側の上面には、アライメントセンサが取り付けられている。アライメントセンサは、反射型の光学式センサである。アームが伸縮するときに直線的に移動するハンドの移動方向を前後方向とすると、アライメントセンサは、収容カセットに収容されるワークの前後方向の一端面を下側から検知する。
【0004】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、収容カセットに収容されたワークをハンドに搭載する前に、収容カセットに収容されるワークの前後方向の一端面をアライメントセンサによって検知するとともに、アライメントセンサの検知結果に基づいて、収容カセットに収容されるワークの前後方向の位置および向き(水平面内での傾き)を特定する。また、特定されたワークの前後方向の位置および向きに基づいて、予め教示されているハンドの前後方向の位置および向きを補正し、前後方向の位置および向きが補正されたハンドにワークを搭載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、長方形状または正方形状の大型のパネルの上に多数のチップを並べて複数の半導体パッケージを一括で製造する工法(パネルレベルパッケージング(PLP))が普及し始めており、PLPを用いた半導体パッケージの製造ラインで産業用ロボットが使用され始めている。PLPには、多数のチップが載置されたパネルの上面を樹脂でコーティング(封止)する工程等が含まれており、PLPを用いた半導体パッケージの製造ラインで取り扱われるパネルには、大きな反りが生じやすい。
【0007】
また、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、収容カセットに置かれているワークの前後左右方向の位置(すなわち、水平方向の位置)および向きを適正な位置および向きに補正してから処理装置にワークを置くために、収容カセットからワークを搬出して処理装置にワークを搬入する動作を行うときに、ハンドの水平方向の位置および向きを補正することがある。この場合、たとえば、収容カセットから搬出されたワークの左右方向の位置を検知するためのセンサが基台に取り付けられている。
【0008】
また、この場合には、収容カセットに置かれているワークの前後方向の位置および向きを補正するため、収容カセットに置かれているワークをハンドに搭載する前に、アライメントセンサの検知結果に基づいてハンドの前後方向の位置および向きを補正してから、補正後のハンドにワークを搭載するとともに、ワークの左右方向の位置を補正するため、基台に取り付けられるセンサの検知結果に基づいて、ハンドに搭載されたワークを処理装置に搬入して置くときにハンドの左右方向の位置を補正している。
【0009】
本願発明者は、特許文献1に記載の産業用ロボットにおいて、PLPを用いた半導体パッケージの製造ラインで取り扱われるパネルのように大きな反りが生じている搬送対象物を、たとえば、収容カセットから搬出して処理装置に搬入する動作を行うときに、収容カセットに置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを補正してから処理装置に搬送対象物を置くために、ハンドの水平方向の位置および向きを補正することを検討している。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の産業用ロボットのように、ハンドの載置部の上面に取り付けられるアライメントセンサが反射型の光学式センサである場合には、搬送対象物に大きな反りが生じていると、アライメントセンサと搬送対象物の端面(前後方向の端面)との上下方向の距離が不安定になり、アライメントセンサから射出され搬送対象物の端面以外の箇所で反射された光がアライメントセンサに最初に入射するおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。すなわち、アライメントセンサが反射型の光学式センサである場合には、搬送対象物に大きな反りが生じていると、アライメントセンサによって搬送対象物の前後方向の端面を適切に検知することができない場合が生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0011】
アライメントセンサによって搬送対象物の前後方向の端面を適切に検知することができないと、収容カセットに置かれている搬送対象物をハンドに搭載する前に、アライメントセンサの検知結果に基づいてハンドの前後方向の位置および向きを適切に補正することができなくなる。そのため、収容カセットに置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に補正してから処理装置に搬送対象物を置くことができなくなる。
【0012】
そこで、本発明の課題は、所定の受取り部から搬送対象物を搬出して所定の引渡し部に搬送対象物を搬入する産業用ロボットを備えるロボットシステムにおいて、搬送対象物に大きな反りが生じていても、受取り部に置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に補正してから引渡し部に搬送対象物を置くために、ハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能なロボットシステムを提供することにある。
【0013】
また、本発明の課題は、所定の受取り部から搬送対象物を搬出して所定の引渡し部に搬送対象物を搬入する産業用ロボットを備えるロボットシステムにおいて、搬送対象物に大きな反りが生じていても、受取り部に置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に補正してから引渡し部に搬送対象物を置くために、ハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能となるロボットシステムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明のロボットシステムは、長方形状または正方形状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットと、産業用ロボットが搬送対象物を受け取る受取り部と、産業用ロボットが搬送対象物を引き渡す引渡し部とを備え、産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、本体部に取り付けられ搬送対象物を検知する光学式の第1検知機構と、産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、受取り部に置かれている搬送対象物をアームが伸びている状態でハンドに搭載して受け取るときのハンドの位置を受取り位置とし、アームが伸びている状態でハンドに搭載されている搬送対象物を引渡し部に引き渡すときのハンドの位置を引渡し位置とすると、受取り位置で搬送対象物を受け取ったハンドが本体部に近づくようにアームが縮むときの動作である第1動作と、第1動作後に、搬送対象物が搭載されたハンドが引渡し位置に移動するまでアームが伸びるときの動作である第2動作とを行い、受取り部は、搬送対象物を検知する光学式の2個の第2検知機構を備え、第1検知機構は、ラインセンサまたはエリアセンサからなる第1の受光部と、上下方向において第1の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で第1の受光部に対向配置される第1の発光部とを有する透過型の検知機構であり、第2検知機構は、第2の受光部と、上下方向において第2の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で第2の受光部に対向配置される第2の発光部とを有する透過型の検知機構であり、制御部に電気的に接続され、ハンドは、産業用ロボットが第1動作を行うときに、本体部に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、産業用ロボットが第1動作を行うときのハンドの移動方向を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とすると、2個の第2検知機構は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、産業用ロボットが第1動作を行うときに、搬送対象物は、2個の第2検知機構の第2の受光部と第2の発光部の間を通過し、産業用ロボットが第1動作を完了したときに、搬送対象物の左右方向の一端面は、第1の受光部と第1の発光部の間に配置され、制御部は、産業用ロボットが第1動作を行う際に、2個の第2検知機構のうちの一方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の第2検知機構のうちの他方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得し、かつ、産業用ロボットが第1動作を行う際にまたは産業用ロボットが第1動作を完了した状態で、第1検知機構によって検知される搬送対象物の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得するとともに、産業用ロボットが第2動作を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを補正し、産業用ロボットは、ハンドとして、第1ハンドと第2ハンドとの2個のハンドを備えるとともに、第1ハンドが連結されるアームとしての第1アームと、第2ハンドが連結されるアームとしての第2アームと、第1アームおよび第2アームが連結される1個の本体部とを備え、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とは、上下方向でずれており、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部とは、共通の第2の受光部および第2の発光部であり、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部とは、共通の第1の受光部および第1の発光部であることを特徴とする。
【0015】
また、上記の課題を解決するため、本発明のロボットシステムの制御方法は、長方形状または正方形状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットと、産業用ロボットが搬送対象物を受け取る受取り部と、産業用ロボットが搬送対象物を引き渡す引渡し部とを備え、産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に伸縮するアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、本体部に取り付けられ搬送対象物を検知する光学式の第1検知機構とを備えるとともに、受取り部に置かれている搬送対象物をアームが伸びている状態でハンドに搭載して受け取るときのハンドの位置を受取り位置とし、アームが伸びている状態でハンドに搭載されている搬送対象物を引渡し部に引き渡すときのハンドの位置を引渡し位置とすると、受取り位置で搬送対象物を受け取ったハンドが本体部に近づくようにアームが縮むときの動作である第1動作と、第1動作後に、搬送対象物が搭載されたハンドが引渡し位置に移動するまでアームが伸びるときの動作である第2動作とを行い、受取り部は、搬送対象物を検知する光学式の2個の第2検知機構を備え、第1検知機構は、ラインセンサまたはエリアセンサからなる第1の受光部と、上下方向において第1の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で第1の受光部に対向配置される第1の発光部とを有する透過型の検知機構であり、第2検知機構は、第2の受光部と、上下方向において第2の受光部との間に所定の間隔をあけた状態で第2の受光部に対向配置される第2の発光部とを有する透過型の検知機構であり、ハンドは、産業用ロボットが第1動作を行うときに、本体部に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、産業用ロボットが第1動作を行うときのハンドの移動方向を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とすると、2個の第2検知機構は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、産業用ロボットが第1動作を行うときに、搬送対象物は、2個の第2検知機構の第2の受光部と第2の発光部の間を通過し、産業用ロボットが第1動作を完了したときに、搬送対象物の左右方向の一端面は、第1の受光部と第1の発光部の間に配置されるロボットシステムの制御方法であって、産業用ロボットが第1動作を行う際に、2個の第2検知機構のうちの一方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の第2検知機構のうちの他方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得し、かつ、産業用ロボットが第1動作を行う際にまたは産業用ロボットが第1動作を完了した状態で、第1検知機構によって検知される搬送対象物の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得するとともに、産業用ロボットが第2動作を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを補正し、産業用ロボットは、ハンドとして、第1ハンドと第2ハンドとの2個のハンドを備えるとともに、第1ハンドが連結されるアームとしての第1アームと、第2ハンドが連結されるアームとしての第2アームと、第1アームおよび第2アームが連結される1個の本体部とを備え、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とは、上下方向でずれており、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部とは、共通の第2の受光部および第2の発光部であり、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部とは、共通の第1の受光部および第1の発光部であることを特徴とする。
【0016】
本発明では、産業用ロボットが第1動作を行う際に、一方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第1位置データと、他方の第2検知機構が搬送対象物を検知したときのハンドの前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得し、かつ、産業用ロボットが第1動作を行う際にまたは産業用ロボットが第1動作を完了した状態で、第1検知機構によって検知される搬送対象物の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得しているが、第1検知機構および第2検知機構は、透過型の検知機構である。そのため、本発明では、搬送対象物に大きな反りが生じていても、第1検知機構および第2検知機構によって、第1位置データ、第2位置データおよび第3位置データを適切に取得することが可能になる。
【0017】
また、本発明では、受取り部が備える2個の第2検知機構は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、産業用ロボットが第1動作を行うときに、搬送対象物は、2個の第2検知機構の第2の受光部と第2の発光部の間を通過するとともに、産業用ロボットが第1動作を完了したときに、搬送対象物の左右方向の一端面は、産業用ロボットの本体部に取り付けられる第1検知機構の第1の受光部と第1の発光部の間に配置されるため、適切な第1位置データ、第2位置データおよび第3位置データに基づいて、受取り部に置かれているままの状態(位置および向き)でハンドに搭載された搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に特定することが可能になる。
【0018】
また、本発明では、産業用ロボットが第2動作を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを補正しているため、搬送対象物に大きな反りが生じていても、適切に特定された搬送対象物の水平方向の位置および向きに基づいて、引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。
【0019】
このように、本発明では、搬送対象物に大きな反りが生じていても、受取り部に置かれているままの状態でハンドに搭載された搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に特定することが可能になるとともに、適切に特定された搬送対象物の水平方向の位置および向きに基づいて、引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。したがって、本発明では、搬送対象物に大きな反りが生じていても、受取り部に置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に補正してから引渡し部に搬送対象物を置くために、ハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。
【0020】
また、本発明では、産業用ロボットは、ハンドとして、第1ハンドと第2ハンドとの2個のハンドを備えるとともに、第1ハンドが連結されるアームとしての第1アームと、第2ハンドが連結されるアームとしての第2アームと、第1アームおよび第2アームが連結される1個の本体部とを備え、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とは、上下方向でずれており、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが行うときに、第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間を通過する第2の受光部および第2の発光部とは、共通の第2の受光部および第2の発光部であり、第1アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第1ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部と、第2アームが縮むときの第1動作を産業用ロボットが完了したときに第2ハンドに搭載される搬送対象物がその間に配置される第1の受光部および第1の発光部とは、共通の第1の受光部および第1の発光部である。
【0021】
そのため、本発明では、第1ハンドと第2ハンドとの2個のハンドによって搬送対象物が搬送されても、共通の第2検知機構を用いて、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とを検知することが可能になる。したがって、受取り部の構成を簡素化することが可能になる。また、本発明では、第1ハンドと第2ハンドとの2個のハンドによって搬送対象物が搬送されても、共通の第1検知機構を用いて、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とを検知することが可能になる。したがって、産業用ロボットの構成を簡素化することが可能になる。
【0022】
本発明において、たとえば、産業用ロボットは、本体部に対してハンドが一定方向に向いた状態で直線的に移動するようにアームを伸縮させるアーム駆動機構と、本体部を回動させる回動機構と、左右方向に本体部を移動させる水平移動機構とを備え、制御部は、産業用ロボットが第2動作を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、アーム駆動機構と回動機構と水平移動機構とを制御して引渡し位置に到達するときのハンドの水平方向の位置および向きを補正する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、所定の受取り部から搬送対象物を搬出して所定の引渡し部に搬送対象物を搬入する産業用ロボットを備えるロボットシステムにおいて、搬送対象物に大きな反りが生じていても、受取り部に置かれている搬送対象物の水平方向の位置および向きを適切に補正してから引渡し部に搬送対象物を置くために、ハンドの水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるロボットシステムの平面図である。
【
図3】
図1に示すロボットシステムの構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】
図1に示す産業用ロボットの動作を説明するための平面図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(ロボットシステムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるロボットシステム1の平面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット3の背面図である。
図3は、
図1に示すロボットシステム1の構成を説明するためのブロック図である。
【0027】
本形態のロボットシステム1は、所定の搬送対象物2を搬送する産業用ロボット3(以下、「ロボット3」とする。)を備えている。本形態の搬送対象物2は、PLPを用いた半導体パッケージの製造ラインで取り扱われる大型のパネルである。搬送対象物2は、長方形または正方形の平板状に形成されている。また、ロボットシステム1は、複数枚の搬送対象物2が収容される収容部4と、搬送対象物2に対して所定の処理を行う処理装置5とを備えている。収容部4は、複数枚の搬送対象物2が上下方向に間隔をあけた状態で重なるように収容される収容カセット6と、収容カセット6を開閉する開閉機構(図示省略)とを備えている。
【0028】
ロボット3は、水平多関節型のロボットである。ロボット3は、たとえば、収容部4から処理装置5まで搬送対象物2を搬送する。すなわち、ロボット3は、たとえば、収容部4の収容カセット6から搬送対象物2を搬出するとともに、収容カセット6から搬出した搬送対象物2を処理装置5に搬入する。本形態の収容部4は、ロボット3が搬送対象物2を受け取る受取り部であり、処理装置5は、ロボット3が搬送対象物2を引き渡す引渡し部である。
【0029】
なお、ロボット3は、処理装置5から収容部4の収容カセット6まで搬送対象物2を搬送しても良い。すなわち、ロボット3は、処理装置5から搬送対象物2を搬出するとともに、処理装置5から搬出した搬送対象物2を収容カセット6に搬入しても良い。この場合には、処理装置5は、ロボット3が搬送対象物2を受け取る受取り部となり、収容部4は、ロボット3が搬送対象物2を引き渡す引渡し部となる。また、この場合には、処理装置5が後述の検知機構27を備えている。
【0030】
ロボット3は、搬送対象物2が搭載される2個のハンド7、8と、ハンド7が先端側に回動可能に連結されるアーム9と、ハンド8が先端側に連結されるアーム10と、アーム9、10の基端側が回動可能に連結される本体部11と、本体部11の下側部分が収容されるケース体12と、本体部11およびケース体12を水平方向に移動可能に支持するベース13とを備えている。本形態のハンド7は、第1ハンドであり、ハンド8は、第2ハンドである。また、本形態のアーム9は、第1アームであり、アーム10は、第2アームである。
【0031】
ハンド7、8は、アーム9、10の先端側に回動可能に連結されるハンド基部14と、上面側に搬送対象物2が載置される直線状の複数のフォーク15とを備えている。本形態のハンド7、8は、2本のフォーク15を備えている。2本のフォーク15は、ハンド基部14から水平方向の同方向へ突出している。また、2本のフォーク15は、互いに平行に配置されている。ハンド7のフォーク15とハンド8のフォーク15とは、同じ方向に突出している。また、ハンド7のフォーク15とハンド8のフォーク15とは、上下方向でずれている。すなわち、ハンド7に搭載される搬送対象物2とハンド8に搭載される搬送対象物2とは、上下方向でずれている。本形態では、ハンド7のフォーク15がハンド8のフォーク15よりも上側に配置されている。
【0032】
アーム9、10は、水平方向に伸縮する多関節アームである。アーム9、10は、第1アーム部16と第2アーム部17との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部16の基端側は、本体部11に回動可能に連結されている。第1アーム部16の先端側には、第2アーム部17の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部17の先端側には、ハンド7、8が回動可能に連結されている。
【0033】
第1アーム部16は、本体部11よりも上側に配置されている。第2アーム部17は、第1アーム部16よりも上側に配置されている。ハンド7、8は、第2アーム部17よりも上側に配置されている。アーム9の第1アーム部16の基端側とアーム10の第1アーム部16の基端側とは、水平方向において互いに隣接した状態で本体部11に連結されている。また、アーム9とアーム10とは、互いに隣接した状態で配置されており、上下方向において同じ位置に配置されている。
【0034】
水平方向において、本体部11に対する第1アーム部16の回動中心と第1アーム部16に対する第2アーム部17の回動中心との距離と、第1アーム部16に対する第2アーム部17の回動中心と第2アーム部17に対するハンド7、8の回動中心との距離とは等しくなっている。アーム9、10は、ハンド7、8の先端(フォーク15の先端)が本体部11から離れるようにアーム9、10が伸びる位置と、ハンド7、8の先端が本体部11に近づくようにアーム9、10が縮む位置との間で水平方向に伸縮可能となっている。アーム9、10の伸縮量が等しいときに、ハンド7のフォーク15とハンド8のフォーク15とは上下方向で重なっている。また、このときには、上下方向から見ると、アーム9とアーム10とは線対称に配置されている。
【0035】
本体部11は、ケース体12に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。また、本体部11は、ケース体12に対して昇降可能になっている。ケース体12は、ベース13に対して水平方向に直線的に移動可能となっている。以下の説明では、ベース13に対するケース体12の移動方向(
図1等のY方向)を「左右方向」とし、左右方向と上下方向とに直交する
図1等のX方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0036】
本形態では、たとえば、収容部4は、前後方向においてロボット3の一方側に配置され、処理装置5は、前後方向においてロボット3の他方側に配置されている。たとえば、収容部4は、ロボット3の前側に配置され、処理装置5は、ロボット3の後ろ側に配置されている。また、収容部4および処理装置5においてハンド7、8に搭載される搬送対象物2の端面は、前後方向または左右方向と略平行になっている。
【0037】
また、ロボット3は、アーム9を伸縮させるアーム駆動機構20と、アーム10を伸縮させるアーム駆動機構21と、本体部11を回動させる回動機構22と、本体部11を昇降させる昇降機構23と、ケース体12と一緒に本体部11を水平方向に移動させる水平移動機構24と、ロボット3を制御する制御部25と、搬送対象物2を検知するための検知機構26とを備えている。また、収容部4は、搬送対象物2を検知するための2個の検知機構27を備えている。本形態の検知機構26は、第1検知機構であり、検知機構27は、第2検知機構である。
【0038】
アーム駆動機構20は、駆動源となるモータと、モータの動力をアーム9およびハンド7に伝達する動力伝達機構とを備えている。アーム駆動機構20は、本体部11に対してハンド7が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム9を伸縮させる。アーム駆動機構21は、アーム駆動機構20と同様に、駆動源となるモータと、モータの動力をアーム10およびハンド8に伝達する動力伝達機構とを備えている。アーム駆動機構21は、本体部11に対してハンド8が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム10を伸縮させる。アーム駆動機構20、21は、制御部25に電気的に接続されている。具体的には、アーム駆動機構20、21のモータ等が制御部25に電気的に接続されている。
【0039】
回動機構22は、上下方向を回動の軸方向としてケース体12に対して本体部11を回動させる。すなわち、回動機構22は、上下方向を回動の軸方向として本体部11と一緒にアーム9、10を回動させる。回動機構22は、駆動源となるモータと、モータの動力を本体部11に伝達する動力伝達機構とを備えている。回動機構22は、ケース体12に収容されている。回動機構22は、制御部25に電気的に接続されている。具体的には、回動機構22のモータ等が制御部25に電気的に接続されている。
【0040】
昇降機構23は、ケース体12に対して本体部11を昇降させる。すなわち、昇降機構23は、本体部11と一緒にアーム9、10を昇降させる。また、昇降機構23は、本体部11と一緒に回動機構22を昇降させる。昇降機構23は、ケース体12に収容されている。昇降機構23は、駆動源となるモータと、モータの動力を本体部11に伝達する動力伝達機構とを備えている。昇降機構23は、制御部25に電気的に接続されている。具体的には、回動機構23のモータ等が制御部25に電気的に接続されている。
【0041】
水平移動機構24は、ベース13に対してケース体12を左右方向に直線的に移動させる。すなわち、水平移動機構24は、ケース体12と一緒に本体部11およびアーム9、10を左右方向に直線的に移動させる。水平移動機構24は、駆動源となるモータと、モータの動力をケース体12に伝達する動力伝達機構とを備えている。水平移動機構24は、制御部25に電気的に接続されている。具体的には、水平移動機構24のモータ等が制御部25に電気的に接続されている。
【0042】
検知機構26は、発光部30と受光部31とを有する光学式の検知機構である。また、検知機構26は、透過型の検知機構である。発光部30は、上下方向において受光部31との間に所定の間隔をあけた状態で受光部31に対向配置されている。受光部31は、ラインセンサである。受光部31では、複数の受光素子が左右方向に一列で配列されている。本形態の発光部30は、第1の発光部であり、受光部31は、第1の受光部である。なお、発光部30から射出される光の光軸は、上下方向と平行であっても良いし、上下方向に対してわずかに傾いていても良い。
【0043】
検知機構26は、本体部11に取り付けられている。具体的には、本体部11に固定されるセンサ固定部材32に検知機構26が固定されており、検知機構26は、センサ固定部材32を介して本体部11に取り付けられている。検知機構26は、ケース体12に対して本体部11と一緒に回動するとともに昇降する。また、検知機構26は、本体部11と一緒に左右方向に移動する。検知機構26は、制御部25に電気的に接続されている。
【0044】
検知機構27は、発光部34と受光部35とを有する光学式の検知機構である。また、検知機構27は、透過型の検知機構である。発光部34は、上下方向において受光部35との間に所定の間隔をあけた状態で受光部35に対向配置されている。本形態の発光部34は、第2の発光部であり、受光部34は、第2の受光部である。なお、発光部34から射出される光の光軸は、上下方向と平行であっても良いし、上下方向に対してわずかに傾いていても良い。
【0045】
検知機構27は、収容部4の筐体に取り付けられている。具体的には、検知機構27は、収容部4の筐体の後端部に取り付けられており、搬送対象物2の取出口の近くに配置さるとともに、収容カセット6よりも後ろ側に配置されている。発光部34および受光部35のいずれか一方は、収容カセット6の中で最も上側に配置される搬送対象物2よりも上側に配置され、発光部34および受光部35のいずれか他方は、収容カセット6の中で最も下側に配置される搬送対象物2よりも下側に配置されている。
【0046】
2個の検知機構27は、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。2個の検知機構27の左右方向の間隔は、収容カセット6に収容される搬送対象物2の左右方向の幅よりも狭くなっている。また、2個の検知機構27の左右方向の間隔は、ハンド7、8の2本のフォーク15の間隔よりも広くなっている。また、2個の検知機構27は、前後方向において同じ位置に配置されるとともに同じ高さで配置されている。検知機構27は、制御部25に電気的に接続されている。
【0047】
上述のように、ロボット3は、収容部4から処理装置5まで搬送対象物2を搬送する。また、上述のように、アーム9、10は、ハンド7、8の先端が本体部11から離れるようにアーム9、10が伸びる位置と、ハンド7、8の先端が本体部11に近づくようにアーム9、10が縮む位置との間で水平方向に伸縮可能となっている。本形態では、ロボット3が収容部4の収容カセット6から搬送対象物2を受け取るとき、および、ロボット3が処理装置5に搬送対象物2を引き渡すときに、アーム9、10は伸びている状態となっている。
【0048】
収容カセット6に置かれている搬送対象物2をアーム9が伸びている状態でハンド7に搭載して受け取るときのハンド7の位置(
図1参照)を受取り位置7Aとし、アーム9が伸びている状態でハンド7に搭載されている搬送対象物2を処理装置5に引き渡すときのハンド7の位置を引渡し位置7Bとすると、ロボット3は、受取り位置7Aで搬送対象物2を受け取ったハンド7が本体部11に近づくようにアーム9が縮むときの動作である第1動作M11と、第1動作M11の後に、搬送対象物2が搭載されたハンド7が引渡し位置7Bに移動するまでアーム9が伸びるときの動作である第2動作M12とを行う。第1動作M11が完了した状態では、ハンド7に搭載される搬送対象物2、ハンド7およびアーム9を含めた本体部11の回動半径(旋回半径)が最小になる。
【0049】
同様に、収容カセット6に置かれている搬送対象物2をアーム10が伸びている状態でハンド8に搭載して受け取るときのハンド8の位置を受取り位置8Aとし、アーム10が伸びている状態でハンド8に搭載されている搬送対象物2を処理装置5に引き渡すときのハンド8の位置を引渡し位置8Bとすると、ロボット3は、受取り位置8Aで搬送対象物2を受け取ったハンド8が本体部11に近づくようにアーム10が縮むときの動作である第1動作M21と、第1動作M21の後に、搬送対象物2が搭載されたハンド8が引渡し位置8Bに移動するまでアーム10が伸びるときの動作である第2動作M22とを行う。第1動作M21が完了した状態では、ハンド8に搭載される搬送対象物2、ハンド8およびアーム10を含めた本体部11の回動半径が最小になる。
【0050】
上述のように、アーム駆動機構20は、本体部11に対してハンド7が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム9を伸縮させ、アーム駆動機構21は、本体部11に対してハンド8が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム10を伸縮させる。すなわち、ハンド7は、ロボット3が第1動作M11を行うときに、本体部11に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、ハンド8は、ロボット3が第1動作M21を行うときに、本体部11に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動する。また、ハンド7は、ロボット3が第2動作M12を行うときに、本体部11に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動し、ハンド8は、ロボット3が第2動作M22を行うときに、本体部11に対して一定方向を向いた状態で直線的に移動する。
【0051】
本形態では、収容部4がロボット3の前側に配置され、かつ、処理装置5がロボット3の後ろ側に配置されているため、ハンド7は、ロボット3が第1動作M11を行うとき、および、ロボット3が第2動作M12を行うときに、前後方向に直線的に移動する。また、ハンド8は、ロボット3が第1動作M21を行うとき、および、ロボット3が第2動作M22を行うときに、前後方向に直線的に移動する。
【0052】
具体的には、ハンド7は、ロボット3が第1動作M11を行うときに、フォーク15の先端が前側を向いた状態で後ろ側に直線的に移動し、ロボット3が第2動作M12を行うときに、フォーク15の先端が後ろ側を向いた状態で後ろ側に直線的に移動する。また、ハンド8は、ロボット3が第1動作M21を行うときに、フォーク15の先端が前側を向いた状態で後ろ側に直線的に移動し、ロボット3が第2動作M22を行うときに、フォーク15の先端が後ろ側を向いた状態で後ろ側に直線的に移動する。
【0053】
検知機構27は、受取り位置7Aに配置されるハンド7に搭載された搬送対象物2の後端よりも後ろ側に配置されている。ロボット3が第1動作M11を行うときには、ハンド7に搭載される搬送対象物2は、2個の検知機構27の発光部34と受光部35との間を通過する。すなわち、2個の検知機構27は、ロボット3が第1動作M11を行うときに、ハンド7に搭載される搬送対象物2が2個の検知機構27の発光部34と受光部35との間を通る位置に配置されている。ロボット3が第1動作M11を完了すると、ハンド7に搭載される搬送対象物2の前端は、検知機構27よりも後ろ側に配置されている。
【0054】
同様に、検知機構27は、受取り位置8Aに配置されるハンド8に搭載された搬送対象物2の後端よりも後ろ側に配置されている。ロボット3が第1動作M21を行うときには、ハンド8に搭載される搬送対象物2は、2個の検知機構27の発光部34と受光部35との間を通過する。すなわち、2個の検知機構27は、ロボット3が第1動作M21を行うときに、ハンド8に搭載される搬送対象物2が2個の検知機構27の発光部34と受光部35との間を通る位置に配置されている。ロボット3が第1動作M21を完了すると、ハンド8に搭載される搬送対象物2の前端は、検知機構27よりも後ろ側に配置されている。
【0055】
このように、本形態では、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が行うときに、ハンド7に搭載される搬送対象物2がその間を通過する受光部35および発光部34と、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が行うときに、ハンド8に搭載される搬送対象物2がその間を通過する受光部35および発光部34とが共通になっている。すなわち、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が行うときにハンド7に搭載される搬送対象物2、および、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が行うときにハンド8に搭載される搬送対象物2は、同じ受光部35と発光部34との間を通過する。
【0056】
検知機構26は、受取り位置7Aに配置されるハンド7に搭載された搬送対象物2の後端よりも後ろ側に配置されている。ロボット3が第1動作M11を行うときには、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、検知機構26の発光部30と受光部31との間を通る。ロボット3が第1動作M11を完了したときには、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31の間に配置されている(
図4(B)参照)。すなわち、検知機構26は、ロボット3が第1動作M11を完了したときに、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面が発光部30と受光部31との間に配置される位置に配置されている。なお、ロボット3が第2動作M12を行うときにも、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31との間を通る。
【0057】
同様に、検知機構26は、受取り位置8Aに配置されるハンド8に搭載された搬送対象物2の後端よりも後ろ側に配置されている。ロボット3が第1動作M21を行うときには、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31との間を通る。ロボット3が第1動作M21を完了したときには、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31の間に配置されている(
図1参照)。すなわち、検知機構26は、ロボット3が第1動作M21を完了したときに、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面が発光部30と受光部31との間に配置される位置に配置されている。なお、ロボット3が第2動作M22を行うときにも、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31との間を通る。
【0058】
このように、本形態では、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が完了したときにハンド7に搭載される搬送対象物2がその間に配置される受光部31および発光部30と、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が完了したときにハンド8に搭載される搬送対象物2がその間に配置される受光部31および発光部30とが共通になっている。すなわち、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が完了したときにハンド7に搭載される搬送対象物2、および、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が完了したときにハンド8に搭載される搬送対象物2は、同じ受光部31と発光部30との間に配置されている。
【0059】
また、上述のように、受光部31は、複数の受光素子が左右方向に一列で配列されるラインセンサであるため、第1動作M11をロボット3が完了した状態では、検知機構26によって、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面の左右方向の位置を検知することが可能になっている。同様に、第1動作M21をロボット3が完了した状態では、検知機構26によって、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面の左右方向の位置を検知することが可能になっている。
【0060】
なお、ロボット3は、第1動作M11と第2動作M12との間に、本体部11を回動させる回動動作を行う。このときには、アーム10も縮んでいる。また、ロボット3は、第1動作M21と第2動作M22との間に、本体部11を回動させる回動動作を行う。このときには、アーム9も縮んでいる。また、ロボット3は、必要に応じて、第1動作M11と第2動作M12との間、および、第1動作M21と第2動作M22との間に、本体部11の昇降動作や本体部11の左右方向への移動動作を行う。また、ロボット3は、必要に応じて、第2動作M12、M22の際に、本体部11の昇降動作や本体部11の左右方向への移動動作を行う。
【0061】
(ロボットシステムの制御方法)
図4は、
図1に示すロボット3の動作を説明するための平面図である。なお、
図4(A)では、ハンド8等の図示を省略している。
【0062】
制御部25は、ロボット3が第1動作M11を行う際に、2個の検知機構27のうちの一方の検知機構27が搬送対象物2を検知したとき(具体的には、ハンド7に搭載される搬送対象物2の後端を一方の検知機構27が検知したとき(すなわち、ハンド7に搭載される搬送対象物2を一方の検知機構27が最初に検知したとき)、
図4(A)参照)のハンド7の前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の検知機構27のうちの他方の検知機構27が搬送対象物2を検知したとき(具体的には、ハンド7に搭載される搬送対象物2の後端を他方の検知機構27が検知したとき(すなわち、ハンド7に搭載される搬送対象物2を他方の検知機構27が最初に検知したとき)、
図4(A)参照)のハンド7の前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得する。
【0063】
また、制御部25は、ロボット3が第1動作M11を完了した状態で(
図4(B)参照)、検知機構26によって検知される、ハンド7に搭載された搬送対象物2の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得する。このときには、たとえば、
図4(B)に示すように、ハンド8が受取り位置8Aに配置される位置までアーム10が伸びており、ロボット3は、収容カセット6から搬送対象物2を受け取っている。また、このときには、ハンド8に搬送対象物2が搭載されていない状態でアーム10が縮んでいても良い。
【0064】
制御部25は、第1位置データおよび第2位置データに基づいて、ハンド7に搭載される搬送対象物2の前後方向の位置および向き(搬送対象物2の水平面内での傾き)を特定するとともに、第3位置データに基づいて、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の位置を特定する。また、制御部25は、特定された搬送対象物2の前後左右方向の位置(水平方向の位置)および向きと、ロボット3に予め教示された搬送対象物2の水平方向の位置および向きとを比較するとともに、ロボット3が第2動作M12を行う際に、この比較結果に基づいて、引渡し位置7Bに到達するときのハンド7の水平方向の位置および向きを補正する。
【0065】
すなわち、制御部25は、ロボット3が第2動作M12を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置7Bに到達するときのハンド7の水平方向の位置および向きを補正する。具体的には、制御部25は、ロボット3が第2動作M12を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、アーム駆動機構20と回動機構22と水平移動機構24とを制御して引渡し位置7Bに到達するときのハンド7の水平方向の位置および向きを補正する。
【0066】
また、制御部25は、ロボット3が第2動作M12を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、処理装置5に置かれる搬送対象物2の水平方向の位置が適切な位置になるとともに、処理装置5に置かれる搬送対象物2の向きが適切な向きになるように、引渡し位置7Bに到達するときのハンド7の水平方向の位置および向きを補正する。
【0067】
同様に、制御部25は、ロボット3が第1動作M21を行う際に、2個の検知機構27のうちの一方の検知機構27が搬送対象物2を検知したとき(具体的には、ハンド8に搭載される搬送対象物2の後端を一方の検知機構27が検知したとき)のハンド8の前後方向の位置のデータである第1位置データと、2個の検知機構27のうちの他方の検知機構27が搬送対象物2を検知したとき(具体的には、ハンド8に搭載される搬送対象物2の後端を他方の検知機構27が検知したとき)のハンド8の前後方向の位置のデータである第2位置データとを取得する。
【0068】
また、制御部25は、ロボット3が第1動作M21を完了した状態で、検知機構26によって検知される、ハンド8に搭載された搬送対象物2の左右方向の一端面の左右方向の位置のデータである第3位置データを取得する。このときには、たとえば、ハンド7が受取り位置7Aに配置される位置までアーム9が伸びており、ロボット3は、収容カセット6から搬送対象物2を受け取っている。また、このときには、ハンド7に搬送対象物2が搭載されていない状態でアーム9が縮んでいても良い。
【0069】
制御部25は、第1位置データおよび第2位置データに基づいて、ハンド8に搭載される搬送対象物2の前後方向の位置および向きを特定するとともに、第3位置データに基づいて、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の位置を特定する。また、制御部25は、特定された搬送対象物2の水平方向の位置および向きと、ロボット3に予め教示された搬送対象物2の水平方向の位置および向きとを比較するとともに、ロボット3が第2動作M22を行う際に、この比較結果に基づいて、引渡し位置8Bに到達するときのハンド8の水平方向の位置および向きを補正する。
【0070】
すなわち、制御部25は、ロボット3が第2動作M22を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置8Bに到達するときのハンド8の水平方向の位置および向きを補正する。具体的には、制御部25は、ロボット3が第2動作M22を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、アーム駆動機構21と回動機構22と水平移動機構24とを制御して引渡し位置8Bに到達するときのハンド8の水平方向の位置および向きを補正する。
【0071】
また、制御部25は、ロボット3が第2動作M22を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、処理装置5に置かれる搬送対象物2の水平方向の位置が適切な位置になるとともに、処理装置5に置かれる搬送対象物2の向きが適切な向きになるように、引渡し位置8Bに到達するときのハンド8の水平方向の位置および向きを補正する。
【0072】
なお、収容カセット6に置かれている搬送対象物2をハンド7に搭載するときには、予め教示された受取り位置7Aにハンド7が移動するように、縮んでいるアーム9が伸びる。ハンド7には、収容カセット6に置かれているままの状態(位置および向き)の搬送対象物2が搭載される。同様に、収容カセット6に置かれている搬送対象物2をハンド8に搭載するときには、予め教示された受取り位置8Aにハンド8が移動するように、縮んでいるアーム10が伸びる。ハンド8には、収容カセット6に置かれているままの状態の搬送対象物2が搭載される。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部25は、ロボット3が第1動作M11、M21を行う際に、検知機構27を用いて、第1位置データと第2位置データとを取得するとともに、ロボット3が第1動作M11、M12を完了した状態で、検知機構26を用いて第3位置データを取得しているが、検知機構26、27は、透過型の検知機構である。そのため、本形態では、搬送対象物2に大きな反りが生じていても、検知機構26、27によって、第1位置データ、第2位置データおよび第3位置データを適切に取得することが可能になる。
【0074】
また、本形態では、2個の検知機構27は、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、ロボット3が第1動作M11、M21を行うときに、搬送対象物2は、2個の検知機構27の受光部35と発光部34の間を通過するとともに、ロボットが第1動作M11、M21を完了したときに、搬送対象物2の左右方向の一端面は、ロボット3の本体部11に取り付けられる検知機構26の受光部31と発光部30との間に配置されているため、適切な第1位置データ、第2位置データおよび第3位置データに基づいて、収容部4に置かれているままの状態(位置および向き)でハンド7、8に搭載された搬送対象物2の水平方向の位置および向きを適切に特定することが可能になる。
【0075】
また、本形態では、ロボット3が第2動作M12、M22を行う際に、第1位置データと第2位置データと第3位置データとに基づいて、引渡し位置7B、8Bに到達するときのハンド7、8の水平方向の位置および向きを補正しているため、搬送対象物2に大きな反りが生じていても、適切に特定された搬送対象物2の水平方向の位置および向きに基づいて、引渡し位置7B、8Bに到達するときのハンド7、8の水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。
【0076】
このように、本形態では、搬送対象物2に大きな反りが生じていても、収容部4に置かれているままの状態でハンド7、8に搭載された搬送対象物2の水平方向の位置および向きを適切に特定することが可能になるとともに、適切に特定された搬送対象物2の水平方向の位置および向きに基づいて、引渡し位置7B、8Bに到達するときのハンド7、8の水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。したがって、本形態では、搬送対象物2に大きな反りが生じていても、収容部4に置かれている搬送対象物2の水平方向の位置および向きを適切に補正してから処理装置5に搬送対象物2を置くために、ハンド7、8の水平方向の位置および向きを適切に補正することが可能になる。
【0077】
本形態では、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が行うときに、ハンド7に搭載される搬送対象物2がその間を通過する受光部35および発光部34と、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が行うときに、ハンド8に搭載される搬送対象物2がその間を通過する受光部35および発光部34とが共通になっている。そのため、本形態では、2個のハンド7、8によって搬送対象物2が搬送されても、共通の検知機構27を用いて、ハンド7に搭載される搬送対象物2とハンド8に搭載される搬送対象物2とを検知することが可能になる。したがって、本形態では、収容部4の構成を簡素化することが可能になる。
【0078】
本形態では、アーム9が縮むときの第1動作M11をロボット3が完了したときにハンド7に搭載される搬送対象物2がその間に配置される受光部31および発光部30と、アーム10が縮むときの第1動作M21をロボット3が完了したときにハンド8に搭載される搬送対象物2がその間に配置される受光部31および発光部30とが共通になっている。そのため、本形態では、2個のハンド7、8によって搬送対象物2が搬送されても、共通の検知機構26を用いて、ハンド7に搭載される搬送対象物2とハンド8に搭載される搬送対象物2とを検知することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット3の構成を簡素化することが可能になる。
【0079】
(産業用ロボットの変形例)
図5は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット3の平面図である。
図6は、
図5に示す産業用ロボット3の側面図である。なお、
図5、
図6では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0080】
上述した形態では、アーム9とアーム10とは、上下方向において同じ位置に配置されており、水平方向において互いに隣接しているが、
図5、
図6に示すように、アーム9とアーム10とが上下方向において互いにずれた位置に配置されていても良い。この場合には、本体部11は、アーム9、10の基端側を支持するとともに昇降可能なアームサポート57と、アームサポート57を昇降可能に支持する支持フレーム58と、本体部11の下端部分を構成する旋回フレーム59とを備えている。
【0081】
図6に示すように、アーム9の基端側は、アームサポート57の上端側に回動可能に連結され、アーム10の基端側は、アームサポート57の下端側に回動可能に連結されている。支持フレーム58は、アームサポート57を介してハンド7、8およびアーム9、10を昇降可能に保持している。支持フレーム58の下端は、旋回フレーム59に固定されている。旋回フレーム59は、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように基台60に連結されている。基台60は、ベース13に対して左右方向に直線的に移動可能となっている。
【0082】
アーム駆動機構20は、アームサポート57に対してハンド7が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム9を伸縮させる。すなわち、アーム駆動機構20は、本体部11に対してハンド7が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム9を伸縮させる。アーム駆動機構21は、アームサポート57に対してハンド8が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム10を伸縮させる。すなわち、アーム駆動機構21は、本体部11に対してハンド8が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム10を伸縮させる。
【0083】
回動機構22は、上下方向を回動の軸方向として基台60に対して旋回フレーム59を回動させる。すなわち、回動機構22は、上下方向を回動の軸方向として基台60に対して本体部11を回動させる。昇降機構23は、支持フレーム58に対してアームサポート57を昇降させる。水平移動機構24は、ベース13に対して基台60を左右方向に直線的に移動させる。すなわち、水平移動機構24は、基台60と一緒に本体部11を左右方向に直線的に移動させる。
【0084】
検知機構26は、本体部11のアームサポート57に取り付けられている。具体的には、アームサポート57に固定されるセンサ固定部材(図示省略)に検知機構26が固定されており、検知機構26は、センサ固定部材を介して本体部11に取り付けられている。検知機構26は、受取り位置7A、8Aに配置されるハンド7、8に搭載された搬送対象物2の後端よりも後ろ側に配置されている。ロボット3が第1動作M11を完了したときには、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31の間に配置され、ロボット3が第1動作M21を完了したときには、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面は、発光部30と受光部31の間に配置されている。
【0085】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0086】
上述した形態では、制御部25は、ロボット3が第1動作M11を完了した状態で、検知機構26を用いて第3位置データを取得しているが、制御部25は、ロボット3が第1動作M11を行う際に、検知機構26を用いて第3位置データを取得しても良い。同様に、上述した形態では、制御部25は、ロボット3が第1動作M21を完了した状態で、検知機構26を用いて第3位置データを取得しているが、制御部25は、ロボット3が第1動作M21を行う際に、検知機構26を用いて第3位置データを取得しても良い。
【0087】
上述した形態において、ロボット3は、ロボット3が第1動作M11、M12を行うときに、ハンド7、8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面が発光部30と受光部31との間を通る位置に配置される検知機構26に加えて、ロボット3が第1動作M11、M12を行うときに、ハンド7、8に搭載される搬送対象物2の左右方向の他端面が発光部30と受光部31との間を通る位置に配置される検知機構26を備えていても良い。
【0088】
この場合には、ロボット3が第1動作M11、M12を行うときに、2個の検知機構26を用いて、ハンド7、8に搭載される搬送対象物2の左右方向の両端部の欠け(チッピング)の有無および欠けの大きさを検知することが可能になる。なお、この場合には、追加で設置される検知機構26の受光部31はラインセンサでなくても良い。また、この場合には、追加で設置される検知機構26は、反射型の検知機構であっても良い。
【0089】
上述した形態において、ロボット3は、本体部11に取り付けられる2個の検知機構26を備えていても良い。この場合には、2個の検知機構26は、たとえば、上下方向で重なっている。また、この場合には、2個の検知機構26のうちの一方の検知機構26は、ロボット3が第1動作M11を行うときに、ハンド7に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面が発光部30と受光部31との間を通る位置に配置され、他方の検知機構26は、ロボット3が第1動作M21を行うときに、ハンド8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面が発光部30と受光部31との間を通る位置に配置されている。
【0090】
上述した形態において、受光部31は、複数の受光素子が二次元的に配列されるエリアセンサであっても良い。この場合であっても、検知機構26によって、ハンド7、8に搭載される搬送対象物2の左右方向の一端面の左右方向の位置を検知することは可能である。
【0091】
上述した形態において、ロボット3が備えるハンドおよびアームの数は1個であっても良い。たとえば、ロボット3は、1個のハンド7と1本のアーム9のみを備えていても良い。この場合には、たとえば、ロボット3は、アーム駆動機構20に代えて、本体部11に対して第1アーム部16を回動させる第1アーム部駆動機構と、第1アーム部16に対して第2アーム部17を回動させる第2アーム部駆動機構と、第2アーム部17に対してハンド7を回動させるハンド駆動機構とを備えていても良い。また、この場合には、ロボット3は、たとえば、回動機構22および水平移動機構24を備えていなくても良い。
【0092】
また、ロボット3が備えるハンドおよびアームの数が1個である場合には、アーム9が備えるアーム部の数は、3個以上であっても良い。たとえば、特開2019-176029号公報に記載されているように、アーム9が備えるアーム部の数は、3個であっても良い。この場合には、ロボット3は、たとえば、回動機構22および水平移動機構24を備えていなくても良い。
【0093】
上述した形態において、ハンド7、8が備えるフォーク15の数は、3本以上であっても良い。また、上述した形態において、収容部4および処理装置5がロボット3の前側に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、搬送対象物2は、PLPを用いた半導体パッケージの製造ラインで取り扱われる大型のパネル以外のものであっても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 ロボットシステム
2 搬送対象物
3 ロボット(産業用ロボット)
4 収容部(受取り部)
5 処理装置(引渡し部)
7 ハンド(第1ハンド)
8 ハンド(第2ハンド)
9 アーム(第1アーム)
10 アーム(第2アーム)
11 本体部
20、21 アーム駆動機構
22 回動機構
24 水平移動機構
25 制御部
26 検知機構(第1検知機構)
27 検知機構(第2検知機構)
30 発光部(第1の発光部)
31 受光部(第1の受光部)
34 発光部(第2の発光部)
35 受光部(第2の受光部)
X 前後方向
Y 左右方向