(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】セルラ通信システム、無線端末、及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 48/10 20090101AFI20240528BHJP
H04W 28/22 20090101ALI20240528BHJP
H04W 48/06 20090101ALI20240528BHJP
【FI】
H04W48/10
H04W28/22
H04W48/06
(21)【出願番号】P 2020092436
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】八木 雅浩
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/016861(WO,A1)
【文献】特表2007-507951(JP,A)
【文献】特開2012-029063(JP,A)
【文献】特表2017-506451(JP,A)
【文献】特開2009-182417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局及び無線端末を有するセルラ通信システムであって、
前記基地局は、
前記基地局における混雑度を示す情報及び前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を報知する送信部を備え、
前記無線端末は、
前記報知情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記データレートとして、前記無線端末が受信する映像データのフレームレートを低下させる、
セルラ通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記混雑度が所定レベルよりも高いという条件及び前記緊急度が所定レベルよりも高いという条件のうち少なくとも一方が満たされた場合、前記データレートを低下させる
請求項1に記載のセルラ通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記混雑度が所定レベルよりも高いという条件及び前記緊急度が所定レベルよりも高いという条件のうち少なくとも一方が満たされた場合、前記データ送信タイミングを遅延させる
請求項1に記載のセルラ通信システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記条件が満たされている期間において緊急度の低いデータ送信を保留することにより、前記データ送信タイミングを遅延させる
請求項
3に記載のセルラ通信システム。
【請求項5】
前記基地局は、非公衆セルラネットワークに含まれ、
前記無線端末は、前記非公衆セルラネットワークを利用可能な無線端末である
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のセルラ通信システム。
【請求項6】
セルラ通信システムで用いる無線端末であって、
基地局における混雑度を示す情報及び前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を前記基地局から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記データレートとして、前記無線端末が受信する映像データのフレームレートを低下させる、
無線端末。
【請求項7】
基地局及び無線端末を有するセルラ通信システムであって、
前記基地局は
、
前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情
報を含む報知情報を報知する送信部を備え、
前記無線端末は、
前記報知情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部と、を備える
セルラ通信システム。
【請求項8】
セルラ通信システムで用いる無線端末であって
、
基地局が実行中の通信の緊急度を示す情
報を含む報知情報を前記基地局から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部と、を備える
無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラ通信システム、無線端末、及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、第5世代(5G)セルラ通信システムにおいて、特定の加入者が利用可能な小規模な非公衆セルラネットワーク(NPN:Non-Public Network)を構成する技術について記載されている。このような非公衆セルラネットワークは、ローカル5Gと呼ばれることもあり、事業所又は工場等における自営無線通信に用いるといったユースケースが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP技術報告書 TR23.734 V16.2.0、“Study on enhancement of 5G System (5GS) for vertical and Local Area Network (LAN) services”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローカル5Gにおいては、基地局及び無線端末が同一グループ(例えば、同一企業)に属する場合が多い。また、ローカル5Gにおいては、マクロセル基地局に比べて処理能力の低い小規模な基地局が設置されるため、無線端末が利用可能なリソースが必ずしも十分ではない。このような前提下において、無線端末間で配慮を行うことにより、限られたリソースをより効率良く利用可能になると考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、リソース利用効率を向上させることが可能なセルラ通信システム、無線端末、及び基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るセルラ通信システムは、基地局及び無線端末を有するシステムである。前記基地局は、前記基地局における混雑度を示す情報及び前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を報知する送信部を備える。前記無線端末は、前記報知情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部とを備える。
【0007】
第2の特徴に係る基地局は、セルラ通信システムにおいて、非公衆セルラネットワークに含まれる装置である。前記基地局は、前記基地局における混雑度を示す情報及び前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を報知する送信部を備える。
【0008】
第3の態様に係る無線端末は、セルラ通信システムで用いる装置である。前記無線端末は、基地局における混雑度を示す情報及び前記基地局が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を前記基地局から受信する受信部と、前記受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記基地局との通信に関するデータレート及び前記基地局へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、リソース利用効率を向上させることが可能なセルラ通信システム、無線端末、及び基地局を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るセルラ通信システムの構成を示す図である。
【
図2】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図3】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
【
図5】一実施形態に係るUE(無線端末)の構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係るセルラ通信システムの動作例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る動作例1においてgNBが空いている場合の動作を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る動作例1においてgNBが混雑している場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、一実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
(セルラ通信システム)
まず、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システムは、セルラ通信規格である3GPP(Third Generation Partnership Project)の5Gシステムであるが、セルラ通信システムには、LTE(Long Term Evolution)が少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0013】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、一実施形態に係るセルラ通信システムは、無線端末(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0015】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置である。
【0016】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。
【0017】
「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。このキャリア周波数は、サブ6帯やミリ波帯等の高周波帯に属するキャリア周波数であってもよい。
【0018】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0019】
一実施形態に係るgNB200は、非公衆セルラネットワークであるローカル5Gネットワークを構成する。ローカル5Gネットワークは、特定の加入者が利用可能な小規模なネットワークである。一般的なセルラネットワークである公衆セルラネットワーク(PLMN:Public Land Mobile Network)は、通信事業者により運用される。例えば、PLMNを運用する通信事業者には全国規模で免許が交付される。一方、ローカル5Gネットワークは、地域ニーズや産業分野の個別ニーズに応じて様々な主体が柔軟に構築・利用可能である。例えば、一般企業又は団体・個人は、周波数の割当を受けて自らローカル5Gネットワークを運用できる。ローカル5Gネットワークは、一般企業の施設内などのローカルエリアに限り免許が交付されてもよい。
【0020】
図2は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0021】
図2に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)層と、MAC(Medium Access Control)層と、RLC(Radio Link Control)層と、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層と、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)層とを有する。
【0022】
PHY層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHY層とgNB200のPHY層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0023】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMAC層とgNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMAC層はスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0024】
RLC層は、MAC層及びPHY層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とgNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0025】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0026】
SDAP層は、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0027】
図3は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0028】
図3に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、
図4に示したSDAP層に代えて、RRC(Radio Resource Control)層及びNAS(Non-Access Stratum)層を有する。
【0029】
UE100のRRC層とgNB200のRRC層との間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(サスペンド)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0030】
RRC層の上位に位置するNAS層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNAS層とAMF300のNAS層との間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーション層等を有する。
【0031】
(基地局)
次に、一実施形態に係るgNB200(基地局)について説明する。
図4は、一実施形態に係るgNB200の構成を示す図である。
【0032】
図4に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0033】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を下りリンク無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0034】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する上りリンク無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0035】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0036】
バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。なお、gNB200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0037】
このように構成されたgNB200において、制御部230は、gNB200における混雑度を示す情報(以下、「混雑度情報」と呼ぶ)及びgNB200が実行中の通信の緊急度を示す情報(以下、「緊急度情報」と呼ぶ)のうち少なくとも一方を生成する。送信部210は、混雑度情報及び緊急度情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を報知(ブロードキャスト)する。ここで、混雑度情報は、例えば、gNB200に対するUE100の接続数又は接続率、gNB200が送受信するトラフィック量、gNB200における無線リソースの使用率又はハードウェア(CPU、メモリ)の使用率等である。緊急度情報は、例えば、gNB200が実行中の通信に緊急呼が存在するか否かを示す情報である。緊急呼とは、警察や消防、病院等の緊急通報機関に対する通報を行うための通信をいう。
【0038】
報知情報は、gNB200から報知される情報であればよく、例えばシステム情報が報知情報に相当する。システム情報は、DL-SCH(downlink shared channel)で周期的に報知される。システム情報は、gNB200に接続したRRCコネクティッド状態のUE100だけではなく、gNB200に接続していないRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態のUE100も受信可能である。
【0039】
(無線端末)
次に、一実施形態に係るUE100(無線端末)について説明する。
図5は、一実施形態に係るUE100の構成を示す図である。
【0040】
図5に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0041】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する下りリンク無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0042】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を上りリンク無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0043】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0044】
このように構成されたUE100において、受信部110は、gNB200から報知情報を受信する。制御部130は、受信部110が受信した報知情報に基づいて、gNB200との通信に関するデータレート及びgNB200へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する。上述したように、報知情報は、混雑度情報及び緊急度情報のうち少なくとも一方を含む。
【0045】
制御部130は、UE100がgNB200に接続する前において報知情報を受信してもよい。制御部130は、UE100がgNB200に接続する前に受信した報知情報に基づいて、gNB200との通信開始時におけるデータレートを制御してもよい。制御部130は、UE100がgNB200に接続する前に受信した報知情報に基づいて、gNB200へのデータ送信タイミング(すなわち、gNB200への接続タイミング)を制御してもよい。
【0046】
或いは、制御部130は、UE100がgNB200に接続した後において報知情報を受信してもよい。制御部130は、UE100がgNB200に接続した後において受信した報知情報に基づいて、gNB200との実行中の通信のデータレートを制御してもよい。制御部130は、UE100がgNB200に接続した後において受信した報知情報に基づいて、gNB200との実行中の通信におけるデータ送信タイミングを制御してもよい。
【0047】
制御部130は、混雑度情報が示す混雑度が所定レベルよりも高いという条件及び緊急度情報が示す緊急度が所定レベルよりも高いという条件のうち少なくとも一方が満たされた場合、gNB200との通信に関するデータレートを低下させてもよい。例えば、制御部130は、条件が満たされた場合、条件が満たされる前よりもデータレートを低下させる。UE100がgNB200から映像データを受信する場合を想定すると、制御部130は、データレートとして、UE100が受信する映像データのフレームレートを低下させてもよい。
【0048】
制御部130は、混雑度情報が示す混雑度が所定レベルよりも高いという条件及び緊急度情報が示す緊急度が所定レベルよりも高いという条件のうち少なくとも一方が満たされた場合、データ送信タイミングを遅延させてもよい。具体的には、制御部130は、条件が満たされた場合、条件が満たされる前よりもデータ送信の頻度を下げる又はデータ送信を保留する。例えば、制御部130は、条件が満たされている期間において、緊急度の低いデータ送信を保留することにより、データ送信タイミングを遅延させる。緊急度の低いデータ送信とは、リアルタイム性が必要とされないデータ送信をいう。
【0049】
(動作例)
次に、一実施形態に係るセルラ通信システムの動作例について説明する。
図6は、一実施形態に係るセルラ通信システムの動作例を示す図である。
【0050】
図6に示すように、gNB200がローカル5Gネットワークを構成し、gNB200及び複数のUE100(100a乃至100d)は同一グループ(例えば、同一企業)に属する。UE100は、RRCコネクティッド状態、RRCアイドル状態、及びRRCインアクティブ状態のいずれの状態であってもよい。
【0051】
ローカル5Gにおいては、マクロセル基地局に比べて処理能力の低い小規模なgNB200が設置されため、UE100が利用可能なリソースが必ずしも十分ではない。このような前提下において、UE100間で配慮を行うことにより、限られたリソースをより効率良く利用可能になる。
【0052】
(1)動作例1
動作例1において、UE100は、ストリーミング配信される映像データをgNB200から受信する。
【0053】
8K映像データを圧縮技術なしでストリーミング配信する場合であって、一般的な60[fps]の場合、48[Gbps]が必要である。圧縮技術を用いて約1/300に圧縮した場合、1UEあたり約160Mbpsまで下げることが可能である。
【0054】
ここで、gNB200は、処理能力の低い小規模な基地局であり、対応可能な下りリンクのデータレートが最大で1.7[Gbps]程度であるものとする。このため、1UEあたり約160[Mbps]で計算すると、同時配信可能なUE数は“10”に留まることになる。また、8K配信に120[fps]とした場合、半分の同時5台になってしまう。このように、ローカル5Gでは限られたリソースをどの様に効率よく使用するかが重要である。
【0055】
図7は、一実施形態に係る動作例1においてgNB200が空いている場合の動作を示す図である。
【0056】
図7に示すように、ステップS11において、gNB200は、混雑度情報を含む報知情報を報知する。
図7において、混雑度情報がgNB200に対するUE100の接続率を示す情報であって、最大接続数“128”のうち現在の接続数が“20”である一例を示している。
【0057】
UE100は、混雑度情報を含む報知情報を受信する。UE100は、混雑度情報に基づいて、gNB200が空いており、高画質(すなわち、高いフレームレート)で映像データを受信可能であると判断する。例えば、UE100は、混雑度情報が示す接続率を閾値と比較し、この接続率が閾値よりも低いことから、gNB200が空いていると判断する。
【0058】
ステップS12において、UE100は、フレームレート情報をgNB200に送信する。フレームレート情報は、UE100が要求するフレームレートを示す情報である。フレームレート情報は、UE100が決定したフレームレートを通知する情報であってもよい。フレームレート情報は、RRC層のメッセージで送信されてもよいし、アプリケーション層のメッセージで送信されてもよい。
図7において、UE100が要求するフレームレートが60[fps]である一例を示している。
【0059】
UE100は、gNB200に接続する際、すなわち、gNB200との通信を開始する際に、フレームレート情報をgNB200に送信してもよい。或いは、UE100は、gNB200との通信を開始した後に、フレームレート情報をgNB200に送信してもよい。
【0060】
ステップS13において、gNB200は、UE100から受信したフレームレート情報をサーバ500に転送する。動作例1において、サーバ500は、映像データを配信するサーバである。
【0061】
ステップS14において、サーバ500は、フレームレート情報に基づいて、60[fps]の映像データをgNB200に送信する。
【0062】
ステップS15において、gNB200は、サーバ500から受信した映像データをUE100に転送する。UE100は、gNB200から受信した映像データを再生する。
【0063】
ステップS16及びS17の動作は、ステップS14及びS15と同様である。
【0064】
図8は、一実施形態に係る動作例1においてgNB200が混雑している場合の動作を示す図である。
図7と同様な動作については、重複する説明を省略する。
【0065】
図8に示すように、ステップS21において、gNB200は、混雑度情報を含む報知情報を報知する。
図8において、混雑度情報がgNB200に対するUE100の接続率を示す情報であって、最大接続数“128”のうち現在の接続数が“100”である一例を示している。
【0066】
UE100は、混雑度情報を含む報知情報を受信する。UE100は、混雑度情報に基づいて、gNB200が混雑しており、低画質(すなわち、低いフレームレート)で映像データを受信すると判断する。例えば、UE100は、混雑度情報が示す接続率を閾値と比較し、この接続率が閾値以上であることから、gNB200が混雑していると判断する。
【0067】
ステップS22において、UE100は、フレームレート情報をgNB200に送信する。
図7において、UE100が要求するフレームレートが30[fps]である一例を示している。
【0068】
UE100は、gNB200に接続する際、すなわち、gNB200との通信を開始する際に、フレームレート情報をgNB200に送信してもよい。或いは、UE100は、gNB200との通信を開始した後に、フレームレート情報をgNB200に送信してもよい。
【0069】
ステップS23において、gNB200は、UE100から受信したフレームレート情報をサーバ500に転送する。
【0070】
ステップS24において、サーバ500は、フレームレート情報に基づいて、30[fps]の映像データをgNB200に送信する。
【0071】
ステップS25において、gNB200は、サーバ500から受信した映像データをUE100に転送する。UE100は、gNB200から受信した映像データを再生する。
【0072】
ステップS26及びS27の動作は、ステップS24及びS25の動作と同様である。
【0073】
なお、gNB200の混雑度が変化した場合、gNB200は、変化後の混雑度を示す混雑度情報を含む報知情報を報知する。UE100は、変化後の混雑度を示す混雑度情報を含む報知情報を受信すると、変化後の混雑度に応じてフレームレートを変更するために、
図7又は
図8の動作を行う。
【0074】
(2)動作例2
動作例2において、UE100は、gNB200に定期的にデータを送信する。例えば、UE100がセンサ機器であって、センサデータを定期的に送信する。このようなデータは、リアルタイム性が必要とされないデータである。
【0075】
【0076】
図9に示すように、ステップS31において、gNB200は、gNB200が実行中の通信に緊急呼が存在しないことを示す緊急度情報を含む報知情報を報知する。
【0077】
UE100は、緊急度情報を含む報知情報を受信する。UE100は、緊急度情報に基づいて、gNB200に接続中の緊急呼が無いため、定期的なデータ送信が可能であると判断する。
【0078】
ステップS32において、UE100は、定期送信データをgNB200に送信する。UE100は、gNB200に接続するとともに定期送信データをgNB200に送信してもよい。或いは、UE100は、gNB200に接続して通信を開始した後に、定期送信データをgNB200に送信してもよい。
【0079】
ステップS33において、gNB200は、UE100から受信した定期送信データをサーバ500に転送する。動作例2において、サーバ500は、定期送信データ(例えば、センサデータ)を収集及び管理するサーバである。
【0080】
ステップS34及びS35の動作は、ステップS32及びS33の動作と同様である。その後、gNB200が他のUE100から緊急呼を受信したとする。
【0081】
ステップS36において、gNB200は、gNB200が実行中の通信に緊急呼が存在することを示す緊急度情報を含む報知情報を報知する。
【0082】
UE100は、緊急度情報を含む報知情報を受信する。UE100は、緊急度情報に基づいて、gNB200に接続中の緊急呼が有るため、定期的なデータ送信を保留すると判断する(ステップS37)。その後、gNB200に接続中の緊急呼が終了したとする。
【0083】
ステップS38において、gNB200は、gNB200が実行中の通信に緊急呼が存在しないことを示す緊急度情報を含む報知情報を報知する。
【0084】
UE100は、緊急度情報を含む報知情報を受信する。UE100は、緊急度情報に基づいて、gNB200に接続中の緊急呼が無くなったため、定期的なデータ送信が可能であると判断する。
【0085】
ステップS39乃至S42の動作は、ステップS32乃至S35の動作と同様である。
【0086】
(実施形態のまとめ)
一実施形態に係るgNB200は、gNB200における混雑度を示す情報及びgNB200が実行中の通信の緊急度を示す情報のうち少なくとも一方を含む報知情報を報知する。UE100は、gNB200から受信した報知情報に基づいて、gNB200との通信に関するデータレート及びgNB200へのデータ送信タイミングのうち少なくとも一方を制御する。これにより、ローカル5GにおいてUE100間で配慮を行い、限られたリソースをより効率良く利用可能になるため、リソース利用効率を向上させることができる。
【0087】
(その他の実施形態)
上述した動作例1において、UE100が、gNB200の混雑度が高いという条件が満たされた場合、データレートを低下させる一例について説明した。しかしながら、UE100は、gNB200が実行中の通信の緊急度が高いという条件が満たされた場合、データレートを低下させてもよい。
【0088】
また、上述した動作例2において、UE100が、gNB200が実行中の通信の緊急度が高いという条件が満たされた場合、データ送信タイミングを遅延させる一例について説明した。しかしながら、UE100は、gNB200の混雑度が高いという条件が満たされた場合、データ送信タイミングを遅延させてもよい。
【0089】
上述した実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0090】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 :UE
110 :受信部
120 :送信部
130 :制御部
200 :gNB
210 :送信部
220 :受信部
230 :制御部
240 :バックホール通信部