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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20240528BHJP
   G08B 5/36 20060101ALI20240528BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G08B23/00 510E
G08B5/36 J
G08B17/10 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020101816
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021196769
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 美里
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 三四郎
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0242230(US,A1)
【文献】特開2003-004916(JP,A)
【文献】特開2008-192467(JP,A)
【文献】特開平10-022665(JP,A)
【文献】特開2007-108891(JP,A)
【文献】特開2002-245812(JP,A)
【文献】特開2018-106941(JP,A)
【文献】特開2003-186427(JP,A)
【文献】特開2018-000219(JP,A)
【文献】特開2009-119101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00- 9/20
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
端子を介して前記基板に実装される表示パネルと、
前記表示パネルの表面部を覆うと共に光を透過可能なレンズ本体部と、を備え、
前記レンズ本体部の裏面には、シボ加工された裏シボ加工面が形成されており、
前記レンズ本体部の表面は、
鏡面仕上げされた表鏡面仕上げ面と、
前記表鏡面仕上げ面の周囲にシボ加工された表シボ加工面と、
を有する、ことを
特徴とする警報器。
【請求項2】
基板と、
端子を介して前記基板に実装される表示パネルと、
前記表示パネルの表面部を覆うと共に光を透過可能なレンズ本体部と、を備え、
前記レンズ本体部の裏面には、シボ加工された裏シボ加工面が形成されており、
前記裏シボ加工面は、前記レンズ本体部の裏面であって前記表示パネルの縁部よりも外側となる位置に形成されている、ことを
特徴とする警報器。
【請求項3】
前記基板は、前記レンズ本体部を前記基板に向かって投影した投影部分に、シルクスクリーン印刷により処理された白色系の処理面を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示窓を有するケース本体と、ケース本体の表示窓に背面側から配設されたレンズ部と、ケース本体内に収容される基板と、レンズ部と基板との間に配置される表示パネルと、を備える警報器が開示されている。
【0003】
このような警報器が表示灯試験(300ルクスの室内で3m離れた場所から容易に確認できること)に合格できるようにするために、その表示パネルの視認性を向上させる必要がある。
【0004】
但し、表示パネルとして安価な反射型の液晶を用いた場合には、光がどれだけ反射板に当たるかによって視認性が決まるので、光が少ない場合であっても視認性が向上するように構成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-58716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、特許文献1のような警報器の表示パネルの視認性を向上させるためには、レンズ本体部に当たる光を従来よりも有効に活用することができる構成を考えることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、レンズ本体部に当たる光を従来よりも有効に活用して、表示パネルの視認性を向上させることができる警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る警報器は、基板と、端子を介して前記基板に実装される表示パネルと、前記表示パネルの表面部を覆うと共に光を透過可能なレンズ本体部と、を備え、前記レンズ本体部の裏面には、シボ加工された裏シボ加工面が形成されており、前記レンズ本体部の表面は、鏡面仕上げされた表鏡面仕上げ面と、前記表鏡面仕上げ面の周囲にシボ加工された表シボ加工面と、を有する、ことを特徴とする。また、本発明に係る警報器は、基板と、端子を介して前記基板に実装される表示パネルと、前記表示パネルの表面部を覆うと共に光を透過可能なレンズ本体部と、を備え、前記レンズ本体部の裏面には、シボ加工された裏シボ加工面が形成されており、前記裏シボ加工面は、前記レンズ本体部の裏面であって前記表示パネルの縁部よりも外側となる位置に形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る警報器によれば、光が裏シボ加工面に当たって乱反射することにより、表示パネルが明るく見えるので、表示機能が向上する。その結果、レンズ本体部に当たる光を従来よりも有効に活用して、表示パネルの視認性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズ本体部に当たる光を従来よりも有効に活用して、表示パネルの視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る警報器を模式的に示す正面図である。
図2】上ケースが取り外された警報器の内部構造を示す分解斜視図である。
図3】基板上の構成を示す平面図である。
図4】(a)は、レンズ部を正面側から見た斜視図であり、(b)は、レンズ部を背面側から見た斜視図である。
図5】レンズ部及び表示パネルの背面図である。
図6】レンズ部、表示パネル、及び基板の構成を示す概念図であって、表示パネルを実物よりもレンズ部から離れた位置に配置した概念図である。
図7】(a)は、レンズ部で反射及び乱反射する光の経路を示す図1のA-A線に沿う断面図であり、(b)は、レンズ部で反射及び乱反射する光の経路を示す図1のB-B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る警報器1を模式的に示す正面図である。図2は、上ケース12が取り外された警報器1の内部構造を示す分解斜視図である。図3は、基板30上の構成を示す平面図である。本実施形態に係る警報器1は、例えばメタンや水素、あるいは一酸化炭素(CO)に対する警報を行う警報器であり、例えば室内の壁等に設置されて使用され、設置場所で発生した異常状態(ガス漏れや燃焼機器の不完全燃焼等)を検出して警報を行う(ガス警報機能)。また、本実施形態に係る警報器1は、火災に対する警報を行う警報器であり、例えば室内の壁等に設置されて使用され、設置場所で発生した異常状態(煙や火災等)を検出して警報を行う(火災警報機能)。この警報器1は、電池式のものである。
【0014】
警報器1は、ケース本体10と、基板30,31と、表示パネル37と、複数のLED35と、スイッチ36と、ガスセンサ50と、COセンサ60と、電池(図示せず)と、を有する。
【0015】
(ケース本体)
ケース本体10は、図1及び図2に示されるように、前述の基板30,31、表示パネル37、複数のLED35、スイッチ36、ガスセンサ50、COセンサ60、電池(図示せず)等を内部に収容する筐体である。ケース本体10は、互いに分離可能な下ケース11(図2参照)と上ケース12(図1参照)とで構成されており、下ケース11と上ケース12とを相互に嵌め合わせることで筐体が形成される。警報器1を設置する場合には、下ケース11が背面となるように壁等に固定される。
【0016】
下ケース11は、正面側が開放された箱状の部材であり、合成樹脂等で形成されている。下ケース11は、矩形板状の背面部11aと、この背面部11aの周縁に立設された矩形枠状の周壁部11bと、を有する。なお、その下ケース11の背面部11aに対して平行又は略平行な状態で、後述する基板30が配置されている。
【0017】
上ケース12は、背面側が開放された箱状の部材であり、合成樹脂等で形成されている。上ケース12は、矩形板状の正面部12aと、この正面部12aの周縁に立設された矩形枠状の周壁部12bと、を有する。正面部12aの外面(正面)に、スピーカ出力部13と、操作部14と、表示窓部15と、表示部16と、スリット17と、を有する。
【0018】
スピーカ出力部13は、例えば複数のスリットで構成されており、基板30に配置された図示しないスピーカと対応する位置に形成されている。
【0019】
操作部14は、利用者の押圧動作を通じてスイッチ36の操作を行うものである。具体的には、操作部14は、上ケース12における所要の部位が弾性変形可能に構成されるとともに、「警報停止」といった文字表記が形成されて構成されている。操作部14は、基板30に配置されたスイッチ36と対応する位置に形成されている。
【0020】
表示窓部15は、上ケース12の一部を矩形状に切り抜いた開口で構成されており、基板30に実装された表示パネル37(後述する図7(a)参照)と対応する位置に形成されている。表示窓部15には、表示パネル37の保護及び基板30への位置決めを行うためのレンズ部40が配設されている。レンズ部40を用いた表示パネル37の配設方法については後述する。
【0021】
表示部16は、上ケース12の一部を縦長矩形状に切り抜いた開口で構成されており、基板30に配置された複数のLED35と対応する位置に形成されている。表示部16をなす開口には、当該開口を閉塞する透明又は半透明な板状のプレートが配設されている。
【0022】
スリット17は、ケース本体10に形成され、当該ケース本体10の内外を貫通する開口部である。スリット17は、警報器1の周囲の雰囲気が、警報器1の内部に進入するための開口部として機能する。
【0023】
(基板)
基板30は、プリント配線板であり、ガスセンサ50、COセンサ60の他、複数の電子部品が半田付け等によって実装されている。基板30は、実装された表示パネル37その他の電子部品と電気的に接続されて電気回路を構成する配線パターンを有している。
【0024】
また、基板30は、処理面30aと、複数のスルーホール30bと、開口部30cと、切り欠き部30dと、を有する。処理面30aは、レンズ本体部41を基板30に向かって投影した投影部分に、シルクスクリーン印刷により処理された白色系の面であり、光を反射するようにするために設けられている(図6図7(a),図7(b)参照)。ここでいう白色系の面は、分光反射率曲線において、波長380nm~750nmの光を分光反射率80%以上で反射する色の面をいう。この白色系の面は、分光反射率が100%に近い白色の面であれば、より良い。本実施形態では、後述の図6を参照しつつ後述するが、処理面30aは、第2板厚部41bの裏シボ加工面63、及び第1板厚部41aの裏面であって裏シボ加工面63から所定寸法内側の面に対向する面に、形成されている。
【0025】
スルーホール30bは、表示パネル37の端子38が挿入される孔である。開口部30cは、レンズ部40の上側の脚部43(図4(b)参照)が挿入される部分である。切り欠き部30dは、レンズ部40の下側の脚部43(図4(b)参照)が係合する部分である。
基板31は、図2及び図3に示されるように、下ケース11の背面部11aに対して直交又は略直交する状態で配置されている。
【0026】
(表示パネル)
表示パネル37は、例えば反射型の液晶ディスプレイ(LCD)のパネルである。表示パネル37は、端子38を介して基板30に実装されている。この表示パネル37は、マイクロコンピュータに制御され、電池状態を表示する。具体的には、表示パネル37は、電池の電圧が所定電圧以上の場合には、電池あり(または電源オン)の表示(例えば電池形状のシンボルの黒いベタ表示)を行う。これとは反対に、表示パネル37は、電池の電圧が所定電圧未満の場合には、電池切れ(または電源オフ)の表示(例えば電池形状の黒いベタ表示が無い表示)を行う。そして、端子38が基板30のスルーホール30bに挿入されることにより、表示パネル37は基板30に実装されている。表示パネル37は、レンズ部40を介して表示窓部15(図1参照)に臨む。
【0027】
複数のLED35は、基板30に実装されており、例えば赤、黄、緑に対応する3つのLEDで構成されている。これらのLED35は、マイクロコンピュータに制御され、ガスセンサ50及びCOセンサ60による警報を出力したり、警告状態を出力したりする。
スイッチ36は、基板30に実装されており、マイクロコンピュータに対して点検動作の開始を指示したり、警報の停止を指示したりする。
【0028】
スピーカ(不図示)は、基板30に実装されており、マイクロコンピュータにより制御され、ガスセンサ50及びCOセンサ60による警報を出力する。
マイクロコンピュータ(不図示)は、基板30に実装されており、警報器1の制御を司るものであり、ガスセンサ50及びCOセンサ60から出力される検出信号に基づいてLED35やスピーカを制御して警報を行う。
【0029】
(ガスセンサ)
ガスセンサ50は、例えば半導体ガスセンサである。ガスセンサ50は、スリット17(図1参照)からケース本体10内に進入する雰囲気中に含まれるメタンの濃度を検出し、その濃度に応じた検出信号をマイクロコンピュータに出力する。なお、ガスセンサ50としては、接触燃焼式ガスセンサ等の他のガスセンサを用いることもできる。
【0030】
ガスセンサ50は、基板31に実装されている。ガスセンサ50は、円筒状の外形形状を備え、その長手方向(円筒体の軸方向)が基板30に対して平行かつ基板31に対して垂直となるように配置されている。このため、ガスセンサ50は、下ケース11(ケース本体10)内において横置き状態(背面部11a及び正面部12aに対して平行する状態)で配置されている。ガスセンサ50は、円筒状のセンサ本体50aと、センサ本体50aの一方の端部に配置されて被検出ガスを検知するための検知部50bとで構成されている。
【0031】
(COセンサ)
COセンサ60は、例えば電気化学式COのセンサである。COセンサ60は、スリット17(図1参照)からケース本体10内に進入する雰囲気中に含まれる一酸化炭素の濃度を検出し、その濃度に応じた検出信号をマイクロコンピュータに出力する。
【0032】
COセンサ60は、基板30に実装されている。COセンサ60は、円筒状の外形形状を備え、その長手方向(円筒体の軸方向)が基板30に対して平行になるように配置されている。このため、COセンサ60は、下ケース11(ケース本体10)内において横置き状態(背面部11a及び正面部12aに対して平行する状態)で配置されている。COセンサ60は、円筒状のセンサ本体60aと、センサ本体60aの一方の端部に配置されて被検出ガスを検知するための検知部60bとで構成されている。
【0033】
(レンズ部)
図4(a)は、レンズ部40を表面側から見た斜視図であり、図4(b)は、レンズ部40を裏面側から見た斜視図である。図4(a)及び図4(b)中の実線の斜線部分は、シボ加工されている部分であり、シボ加工の位置を説明するために便宜的に斜線で記載されている。図5は、レンズ部40及び表示パネル37の背面図である。図5中の右下方向に延びる実線の斜線部分、及び右上方向に延びる点線の斜線部分は、シボ加工されている部分であり、シボ加工の位置を説明するために便宜的に斜線で記載されている。
【0034】
図6は、レンズ部40、表示パネル37、及び基板30の構成を示す概念図であって、表示パネル37を実物よりもレンズ部40から離れた位置に配置した概念図である。図6中のレンズ本体部41の太線部分は、シボ加工されている部分であり、シボ加工の位置を説明するために便宜的に斜線で記載されている。図6中の基板30の太線部分は、シルクスクリーン印刷により処理されている部分であり、シルクスクリーン印刷により処理されている位置を説明するために便宜的に太線で記載されている。
【0035】
レンズ部40は、上ケース12の表示窓部15から見えるように、上ケース12の内側(上ケース12の背面側)に配置されている(図6図7(a),図7(b)参照)。レンズ部40は、図4(a)及び図4(b)に示されるように、レンズ本体部41と、枠体部42と、脚部43と、を有する。
【0036】
(レンズ本体部)
レンズ本体部41は、光を透過可能な材質で平板状に形成されている。レンズ本体部41は、表示パネル37の表面部37a(図6参照)及び縁部37b(図6参照)を前方から覆う部分である(図7(a)及び図7(b)参照)。なお、本実施形態では、レンズ本体部41は、表示パネル37の表面部37a及び縁部37bに対向する部分であるとも言える。レンズ本体部41は、第1板厚部41aと、第2板厚部41bと、を有する。以下、第1板厚部41a及び第2板厚部41bについて説明するが、特に図6を参照しつつ説明する。
【0037】
(第1板厚部・裏面・表面)
第1板厚部41aは、第1板厚W1で形成された部分である。第1板厚部41aは、矩形平板形状を有し、表示パネル37の表面に対向する。
【0038】
第1板厚部41aの裏面は、裏鏡面仕上げ面61と、裏周囲面62と、を有する。裏鏡面仕上げ面61は、鏡面仕上げされた面であり、光を透過させる面である。裏周囲面62は、裏鏡面仕上げ面61の周囲に形成された面である。裏周囲面62は、シボ加工された面である。なお、シボ加工は、部材の表面に例えば木目、岩目、砂目、なし地、幾何学模様等の腐食加工を施す加工をいう。
【0039】
第1板厚部41aの表面は、表鏡面仕上げ面51と、表シボ加工面52と、を有する。表鏡面仕上げ面51は、鏡面仕上げされた面であり、光を透過させる面である。表シボ加工面52は、表鏡面仕上げ面51の周囲にシボ加工された面である。
【0040】
(第2板厚部・裏面・表面)
第2板厚部41bは、第1板厚部41aの周囲に配置され、第1板厚W1よりも厚い第2板厚W2で形成された部分である。第2板厚部41bは、警報器1を正面視した場合に視認できるように表示窓部15(図1参照)から外部に露出するように配置されている。この第2板厚部41bが表示パネル37の周囲にあることにより、表示パネル37の周囲に光が入ることができる。
【0041】
第2板厚部41bの裏面は、裏シボ加工面63である。裏シボ加工面63は、レンズ本体部41の裏面であって表示パネル37の縁部37bよりも外側となる位置にシボ加工されることにより形成されており、光が入射すると乱反射する面である。裏シボ加工面63は、裏周囲面62の周囲に位置する。裏周囲面62と裏シボ加工面63との間には、段差面64が形成されている。本実施形態では、段差面64は、裏周囲面62及び裏シボ加工面63と直交するように形成されている。段差面64は、表示パネル37の縁部37bと対向する。
【0042】
第2板厚部41bの表面は、表シボ加工面52と、係合凹部53と、を有する。表シボ加工面52は、第2板厚部41bの表面においてシボ加工された面であり、表鏡面仕上げ面51よりも外側の範囲に形成されている。表シボ加工面52は、第1板厚部41aの表面と第2板厚部41bの表面とに跨って設けられている。表シボ加工面52は、表鏡面仕上げ面51と面一に形成されている。表シボ加工面52のシボと裏シボ加工面63のシボとを比べると、表シボ加工面52のシボの方が細かい(単位面積当たりの数が多い)シボにより形成され、裏シボ加工面63のシボの方が粗い(単位面積当たりの数が少ない)シボにより形成されている。表シボ加工面52の方が裏シボ加工面63よりも隠す機能を高めるために、このような違いを設けている。表シボ加工面52のシボと裏シボ加工面63のシボとでは、シボの高低は、略同じであっても良い。
係合凹部53は、上ケース12の裏面側から上ケース12の表示窓部15に係合する部位である。係合凹部53は、表示窓部15の形状に対応している。
【0043】
また、図4(b)に示されるように、レンズ本体部41の第2板厚部41bの裏シボ加工面63からは、複数の支持部45,46が伸びている。そして、図5に示されるように、これらの支持部45,46に、表示パネル37が嵌め合わされて、表示パネル37がレンズ部40に支持されている。
【0044】
(枠体部)
枠体部42は、図4(a)及び図4(b)に示されるように、レンズ本体部41の背面側に、当該レンズ本体部41を囲むようにその周縁部に立設されている。
【0045】
(脚部)
脚部43は、図4(a)及び図4(b)に示されるように、枠体部42から基板30側に向かって延出されており、レンズ本体部41を基板30の前方に配設するものである。本実施形態において、脚部43は、警報器1の設置状態を基準とした場合におけるレンズ部40の上下に対応する2箇所に設けられている。
【0046】
このような構成のレンズ部40において、上側の脚部43が基板30の開口部30cに圧入され、下側の脚部43が切り欠き部30dに係合されて、レンズ部40が基板30に固定されている。この場合において、表示パネル37は、レンズ部40の背面側にセットされている。具体的には、表示パネル37はレンズ本体部41の背面に対向し、当該表示パネル37の周囲が枠体部42により保持されている。
【0047】
次に、レンズ部40及び基板30における光の進み方について以下に説明する。
図7(a)は、レンズ部40で反射及び拡散する光の経路を示す図1のA-A線に沿う断面図であり、図7(b)は、レンズ部40で及び拡散反射する光の経路を示す図1のB-B線に沿う断面図である。光は、矢印L1方向に進んで表鏡面仕上げ面51から第1板厚部41aを通過し、表示パネル37の裏面で矢印L2方向に反射して、ユーザに向かう。
【0048】
また、光は、矢印L3方向に進んで表シボ加工面52から第2板厚部41bに入射して裏シボ加工面63で拡散されて矢印L4方向に反射して、ユーザに向かう。これにより、ユーザは、裏シボ加工面63の部分が明るいことを視認する。
【0049】
また、光は、矢印L3方向に進んで表シボ加工面52から第2板厚部41bを通過して矢印L5方向(又は裏シボ加工面63で乱反射して矢印L8方向)に進むことにより基板30に到達し、基板30の表面で矢印L6方向(又は矢印L8方向に進んだものについては矢印L9方向)に反射して裏シボ加工面63から第2板厚部41bを通過して、表シボ加工面52から矢印L7方向(又は矢印L9方向に進んだものについては矢印L10方向)に進んでユーザに向かう。これにより、ユーザは、裏シボ加工面63の部分が更に明るいことを視認する。
【0050】
前述したように、本実施形態に係る警報器1は、基板30と、端子38を介して基板30に実装される表示パネル37と、表示パネル37の表面部37aを覆うと共に光を透過可能なレンズ本体部41と、を備え、レンズ本体部41の裏面には、シボ加工された裏シボ加工面63が形成されている。こうした構成によれば、光が裏シボ加工面63に当たって乱反射することにより、表示パネル37が明るく見えるので、表示機能が向上する。その結果、レンズ本体部41に当たる光を従来よりも有効に活用して、表示パネル37の視認性を向上させることができる。
【0051】
また、こうした構成によれば、その他、表示パネル37が明るくなり、離れていても液晶表示だと分かり易くなる。また、表示灯として検定機関に認められ易くなる。表示パネル37に存在感が出たために、「電池表示」の文字を表示しなくても表示灯だと分かるようになり、デザインのシンプル化が実現される。
【0052】
また、基板30は、レンズ本体部41を基板30に向かって投影した投影部分に、シルクスクリーン印刷により処理された白色系の処理面30aを有する。こうした構成によれば、光は、レンズ本体部41を通過した後に基板30の処理面30aで反射することができる。なお、その光は、第2板厚部41bを通過して、ユーザに向かう。その結果、ユーザは、第2板厚部41bの部分をより明るく視認することができ、表示パネル37全体としての視認性を向上させることができる。
【0053】
また、レンズ本体部41の表面は、鏡面仕上げされた表鏡面仕上げ面51と、表鏡面仕上げ面51の周囲にシボ加工された表シボ加工面52と、を有する。こうした構成によれば、表鏡面仕上げ面51は、表示パネル37の周縁部から、内部の基板30を見えないように隠すことができ、また表示パネル37の表示面以外の構造(金具部・縁部)を見えないように隠すことができる。特に、表示パネル37の縁が構造上黒くなっており、遠くから見たときに表示パネル37が表示しているように見えるが、表鏡面仕上げ面51は、これを隠すことができる。表鏡面仕上げ面51と表シボ加工面52との明るさの差により、表示パネル37の枠が分かり易くなる。
【0054】
また、裏シボ加工面63は、レンズ本体部41の裏面であって表示パネル37の縁部37bよりも外側となる位置に形成されている。こうした構成によれば、光は、表示パネル37の周縁の隣を通過して表示パネル37の周縁の隣を明るくすることができる。
【0055】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えても良いし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせても良い。
【0056】
[変形例1]
前述の実施形態に係る警報器1では、表示パネル37は、反射型の液晶ディスプレイパネルであったが、上記実施形態に限定されなくても良い。すなわち、表示パネル37は、バックライトが設けられた液晶ディスプレイや、バックライトが必要ではない有機ELであっても良い。この構成であっても、表示パネル37の周囲を明るくすることができる。
【0057】
[変形例2]
また、前述の実施形態に係る警報器1では、第2板厚部41bの第2板厚W2が第1板厚部41aの第1板厚W1よりも大きい構成であったが、上記実施形態に限定されなくても良い。すなわち、第2板厚部41bの第2板厚W2と第1板厚部41aの第1板厚W1とが同じ構成であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 :警報器
10 :ケース本体
11 :下ケース
11a :背面部
11b :周壁部
12 :上ケース
12a :正面部
12b :周壁部
13 :スピーカ出力部
14 :操作部
15 :表示窓部
16 :表示部
17 :スリット
30 :基板
30a :処理面
30b :スルーホール
30c :開口部
30d :切り欠き部
31 :基板
35 :複数のLED
36 :スイッチ
37 :表示パネル
37a :表面部
37b :縁部
38 :端子
40 :レンズ部
41 :レンズ本体部
41a :第1板厚部
41b :第2板厚部
42 :枠体部
43 :脚部
45,46 :支持部
50 :ガスセンサ
50a :センサ本体
50b :検知部
51 :表鏡面仕上げ面
52 :表シボ加工面
53 :係合凹部
60 :COセンサ
60a :センサ本体
60b :検知部
61 :裏鏡面仕上げ面
62 :裏周囲面
63 :裏シボ加工面
64 :段差面
L1~L10 :矢印
W1 :第1板厚
W2 :第2板厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7