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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
B60P1/46 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020160587
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053778
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】辻濱 康雄
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊彰
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-24494(JP,A)
【文献】米国特許第6371719(US,B1)
【文献】特開昭60-128035(JP,A)
【文献】実開昭55-171643(JP,U)
【文献】実開昭54-146197(JP,U)
【文献】特開平10-61010(JP,A)
【文献】特表2020-505300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/46
E04B 1/38- 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の支柱と、
前記支柱間に架設された架設部材と、
前記支柱に沿って昇降される荷受台と、
両端側にそれぞれ他の部材と連結するための連結用構造を有し、一端側が前記支柱の下側に前記連結用構造を用いて連結される連結具と、
を備える荷受台昇降装置であって、
前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備えることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
左右一対の支柱と、
前記支柱間に架設された架設部材と、
前記支柱に沿って昇降される荷受台と、
一端側が前記支柱の下端部に連結される連結具と、
を備える荷受台昇降装置であって、
前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備えることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
荷台の後部両側に立設された左右一対の支柱と、
前記支柱間に架設された架設部材と、
前記支柱に沿って昇降される荷受台と、
一端側が前記支柱の下側に連結され、他端側が前記荷台に連結される連結具と、
を備える荷受台昇降装置であって、
前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記荷台および/または前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備えることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の荷受台昇降装置において、
前記連結具は、ターンバックルを用いて構成されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台の後部に搭載される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の荷台の後部両側にそれぞれ立設された支柱内にスライダが昇降自在に挿入され、これらスライダに荷受台が支持された荷受台昇降装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この荷受台昇降装置は、水平姿勢の荷受台を支柱に沿って昇降させることで、地面と荷台との間での荷物の積みおろしに利用される。
【0003】
特許文献1に開示された荷受台昇降装置は、左右一対の支柱に架設された架設部材がボルト等の締結手段を用いて荷台の床面や車両のシャシフレームに固定されている。また、同文献の荷受台昇降装置の支柱の下方側は、コーナーリブ(特許文献1では「リブプレート」と称している。)とボルト等の締結手段とを用いて荷台の底部に固定されている。この荷受台昇降装置では、荷台に対して固定する箇所には、溶接手段を用いることなく、締結手段を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-24494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、荷受台昇降装置が搭載される車両を製造するメーカ(以下「車両メーカ」という。)と、荷受台昇降装置を製造するメーカ(以下「装置メーカ」という。)は、別々の会社等からなり、荷受台昇降装置は、車両メーカの工場または装置メーカの工場で車両に架装される。
【0006】
荷受台昇降装置が車両メーカの工場で車両に架装される場合、装置メーカは、溶接が必要な箇所(例えば支柱と架設部材の接合部)の溶接を済ませて組み上げた荷受台昇降装置のユニットを車両メーカの工場等に輸送する。そして、車両メーカの工場等においては、輸送されてきた荷受台昇降装置のユニットが溶接手段を用いることなく、ボルト等の締結手段のみを用いて車両の荷台に架装される。
【0007】
ところで、荷受台昇降装置を車両の荷台に架装する場合、荷受台昇降装置の支柱を荷台の床面に対して適正な角度、例えば直角に設置することが必要となる。通常、予め装置メーカの工場において、支柱と架設部材の底面の直角出しが行われた上でこれらの部材の溶接が行われるため、架設部材を荷台の床面に設置してボルト等により締結すると、支柱は荷台の床面に対して概ね直角に立設される。
【0008】
しかしながら、直角出しされた上で溶接された支柱と架装部材であっても、その直角度に、一定の公差が含まれ、荷台の床面にも個体差があることから、荷台の床面に対する支柱の直角度が適正範囲に収まらないことがある。
【0009】
そして、荷受台は、その両側部が支柱内で昇降する左右のスライダにそれぞれ支持されているため、左右の支柱が荷台の床面に対して正確に直角出しされていない場合、荷受台を円滑に昇降させることが困難になるおそれがある。また、荷受台に載せられる荷物は、荷受台の真ん中に載せられるとは限らず、左右片側に偏った位置に載せられることも多い。この場合、使用中に左右の支柱に掛かる負荷は均等にならず、左右の支柱間に架設された架設部材には、ねじりが生じる。このように左右の支柱や架設部材は、左右に偏った負荷が掛かることが多いものであるため、経年変化を抑制するためにも、左右の支柱を荷台の床面に対して直角出しすることは重要である。こうした直角出しなどの適正な角度出しに関しては、装置メーカの工場内で車両の荷台に架装される際にも当然ながら重要となる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、荷台の床面に対する支柱の直角出しなど荷台に対して適正な状態で設置することを簡易に行うことができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様に係る荷受台昇降装置は、左右一対の支柱と、前記支柱間に架設された架設部材と、前記支柱に沿って昇降される荷受台と、両端側にそれぞれ他の部材と連結するための連結用構造を有する連結具と、備え、前記連結具は、一端側が前記支柱の下側に前記連結用構造を用いて連結される。当該荷受台昇降装置は、さらに、前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備える。
【0012】
なお、上記連結用構造としては、連結具に設けられた軸、軸孔、ボルト孔、雄ネジ(例えばボルト)、雌ネジ(例えばナット)などを例示することができる。
【0013】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、車両の荷台に架設部材および支柱を架装し、連結具の他端側を連結用構造を用いて荷台に連結した上で、長さ調節手段を用いて連結具の長さ調節をすることにより、あるいは、連結位置調節手段を用いて連結具の支柱に対する連結位置を調節することにより、荷台の床面に対して支柱を適正な角度に設置すること、例えば直角出しを簡易に行うことができる。
【0014】
本発明の第2態様に係る荷受台昇降装置は、左右一対の支柱と、前記支柱間に架設された架設部材と、前記支柱に沿って昇降される荷受台と、一端側が前記支柱の下端部に連結される連結具と、備え、前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備える。
【0015】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、車両の荷台に架設部材および支柱を架装し、連結具の他端側を荷台に連結した上で、長さ調節手段を用いて連結具の長さ調節をすることにより、あるいは、連結位置調節手段を用いて連結具の支柱に対する連結位置を調節することにより、荷台の床面に対する支柱の直角出しを簡易に行うことができる。
【0016】
本発明の第3態様に係る荷受台昇降装置は、荷台の後部両側に立設された左右一対の支柱と、前記支柱間に架設された架設部材と、前記支柱に沿って昇降される荷受台と、一端側が前記支柱の下側に連結され、他端側が前記荷台に連結される連結具と、を備え、前記連結具の長さを調節する長さ調節手段、または前記連結具の前記荷台および/または前記支柱に対する連結位置を調節する連結位置調節手段を更に備える。
【0017】
かかる構成を備える荷受台昇降装置によれば、長さ調節手段を用いて連結具の長さ調節をすることにより、あるいは、連結位置調節手段を用いて連結具の支柱に対する連結位置を調節することにより、荷台の床面に対する支柱の直角出しを簡易に行うことができる。
【0018】
本発明の第4態様に係る荷受台昇降装置は、上記第1態~第3態様の何れか1態様に係る荷受台昇降装置において、前記連結具は、ターンバックルを用いて構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、荷台の床面に対する支柱の直角出しなど荷台に対して荷受台昇降装置を適正な状態で設置することを簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置を示す左側面図である。支柱の一部を省略して支柱の内部を図示している。
図3】本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置を示す左側面図である。但、連結具を覆うカバーの図示を省略している。
図5】本発明の他の実施の形態における連結具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明の実施の形態に係る荷受台昇降装置100は、車両1のシャシフレーム2上に搭載された荷台3の後端部に架装されている。車両1は、道路運送車両法の施行規則で定められている「軽自動車」を対象としている。
【0022】
荷受台昇降装置100は、図1および図2に示すように、左右一対の支柱5、架設部材6、スライダ7、荷受台8、スライダ昇降装置9、連結具10等を備えている。各部について以下に詳細に説明する。
【0023】
支柱5は、図3に示すように、荷台3の後部両側部にそれぞれ立設されている。本実施形態では、荷台3の後端部の両側に、上から視て矩形の切欠部3aが設けられ、その切欠部3aに嵌め込むようにして支柱5が立設されている。支柱5は、中空部材を用いて構成されており、その内部にスライダ7、スライダ昇降装置9等が設けられている。
【0024】
架設部材6は、その両端部が支柱5に溶接されることで、支柱5の間に架設されている。本実施形態では、架設部材6として、板材が用いられているが、その他の形状の部材が架設部材6として用いられることもある。架設部材6は、荷台3の床面3bに対して締結具12を用いて締結されている。したがって、左右一対の支柱5は、架設部材6を介して荷台3の床面3bに固定されている。締結具12としては、例えばボルトおよびナットが用いられる。なお、図示しないが、架設部材6は、所定の部材とボルト等の締結具を用いてシャシフレーム2に固定されている。このように架設部材6をシャシフレーム2に固定する構成は、公知であり、例えば特許文献1に記載されている。
【0025】
スライダ7は、図2に示すように、各支柱5内に昇降自在に挿入されている。スライダ7の下端部の後方側にブラケット7aが設けられており、当該ブラケット7aは、支柱5の後面に設けられたスリット5a(図1参照)を通して後方側に突出している。
【0026】
荷受台8は、スライダ7のブラケット7aに軸支されており、起立姿勢(図2において1点鎖線で示す荷受台8を参照)と水平姿勢(図2において実線で示す荷受台8を参照)との間で回動可能とされている。荷受台8は、スライダ7の支柱5内での昇降に伴って昇降する。
【0027】
スライダ昇降装置9は、スライダ7を昇降させる装置であって、油圧ポンプ(不図示)、油圧シリンダ13、ワイヤ14、移動滑車16、固定滑車17等で構成されている。油圧シリンダ13は、上方側となるボトム側が支柱5の内壁に固定され、油圧ポンプからの圧油給排によって伸縮する。支柱5内の上部には左右2列の滑車を備えた固定滑車17が固定されている。支柱5内は上部を除いて、隔壁18によって前室5Aと後室5Bに仕切られている。固定滑車17は、支柱5内の上部に形成された前室5Aと後室5Bの連通部分に配置されている。油圧シリンダ13のロッド先端には移動滑車16が取り付けられている。移動滑車16は油圧シリンダ13のロッドの伸縮に伴って前室5Aを上下に移動可能になっている。移動滑車16は固定滑車17の2列の滑車に対応して左右2列の滑車で構成されている。これらの固定滑車17、移動滑車16にはワイヤ14が張架されている。ワイヤ14の一端は前室5A内に位置するように隔壁18の途中部に設けられたブラケット14aに止着され、他端は後室5B内に位置するようにスライダ7に設けられたブラケット14bに止着されている。油圧シリンダ13のロッドが伸長するとき、スライダ7は、固定滑車17に向かって上昇する後室5B内にあるワイヤ14とともに上昇する。一方、油圧シリンダ13のロッドが収縮するとき、スライダ7は、固定滑車17から後室5B内に下方へ送り出されるワイヤ14とともに下降する。なお、図示しないが右側の支柱5に配されたスライダ7の昇降は次の構成に基づいてなされる。
【0028】
左右一対の支柱5の下方には支柱5同士を連通する連通部材(不図示)が車両幅方向に延びている。この連通部材は中空状であり、その中空部分が両支柱5の後室5Bと連通している。当該連通している部分には中継滑車(不図示)が配されており、左側の支柱5における前室5Aに配されたブラケット14aに止着された別のワイヤが固定滑車17を介して後室5Bを通過し、中継滑車を通じて右側の支柱5まで導かれている。右側の支柱5内では、下方の中継滑車を介して導かれたワイヤが上側まで延び、支柱5の上側に配された固定滑車を介して右側のスライダ7に止着されている。この構成によって、右側のスライダ7も左側の支柱5内に配された油圧シリンダ13の伸縮に伴って昇降作動される。なお、以上に説明したスライダ昇降装置9の構成は公知であり、例えば特開2007-331630号公報に記載されている。
【0029】
連結具10は、他の部材と連結するための連結用構造を両端部に有し、例えば図4に示すように、一端部が支柱5の下端部にブラケット21を介して連結され、他端部が荷台3の下部にブラケット22を介して連結されている。本実施形態では、連結具10の両端部は、支柱5および荷台3に対してそれぞれ車幅方向の軸23,24を介して支持(軸支)されている。なお、図示しないが、右側の支柱5と荷台3との間にも同様の連結具10が支柱5と荷台3との間に連結されている。
【0030】
連結具10は、自身の長さを調節する長さ調節手段Aを有している。本実施形態では、長さ調節手段Aとしてターンバックルが用いられている。図4に例示するターンバックル(連結具10)は、ターンバックル胴10aと、一端側がターンバックル胴10aの一方に螺着された右ネジボルト10bと、一端側がターンバックル胴10aの他方に螺着された左ネジボルト10cと、右ネジボルト10bおよび左ネジボルト10cの他端側にそれぞれ固設された羽子板10dと、ターンバックル胴10aにそれぞれ螺着された回り止めナット10eとを用いて構成されている。本実施形態では、一方の羽子板10dは、ブラケット21を介して支柱5の下端部に軸支され、他方の羽子板10dは、ブラケット22を介して荷台3の底部に軸支されている。なお、連結具10には、例えば図2に示すように、連結具10を覆うカバー11がボルト等の締結具を用いて取り付けられている。
【0031】
上記の荷受台昇降装置100を車両1の荷台3に架装する際は、荷台3の後端部両側に形成された切欠部3aに左右の支柱5を配置するとともに、架設部材6を荷台3の床面3b上にボルト締結する。次に、架設部材6の一端部に取り付けられたブラケット21を支柱5の下端部に締結具を用いて締結するとともに、他端部に取り付けられたブラケット22を荷台3の底部に締結具を用いて締結する。そして、長さ調節手段Aを用いて連結具10の長さを調節することにより、荷台3の床面3bに対する支柱5の直角出しを行う。例えば、支柱5の荷台3の床面3bより上側が前方に傾斜している場合は、長さ調節手段Aを用いて、連結具10の長さを短くすることにより、荷台3の床面3bに対する支柱5の角度を直角に近づける。支柱5の荷台3の床面3bより上側が後方に傾斜している場合は、長さ調節手段Aを用いて、連結具10の長さを長くすることにより、荷台3の床面3bに対する支柱5の角度を直角に近づける。以上のように本実施形態に係る荷受台昇降装置100によれば、長さ調節手段Aを使用することで簡易に荷台3の床面3bに対する支柱5の直角出しを行うことができる。
【0032】
<他の実施形態1>
既述した実施形態において、連結具10を図5(a)に示すように、長さ調節することができない連結具10Aに置き替えてもよい。但し、連結具10Aの荷台3に対する連結位置を前後方向に調節する第1の連結位置調節手段Bと、連結具10Aの支柱5に対する連結位置を上下方向に調節する第2の連結位置調節手段Cと、を設けることを前提とする。
【0033】
連結具10Aの一端部は、ブラケット22を介して荷台3に軸支されており、他端部は、ブラケット21を介して支柱5に軸支されている。この実施形態の場合、連結具10A自体の長さを調節することはできないものの、連結具10Aの荷台3又は支柱5に対する連結位置を調節することで、荷台3の床面3bに対する支柱5の直角出しを簡易に行うことができる。第1の連結位置調節手段Bは、例えば、ブラケット22または荷台3のボルト孔3cを長孔にすることで、長孔の長手方向に連結位置を調節可能とするものである。図5(a)に示す例では、荷台3のボルト孔3cを長孔にしている。第2の連結位置調節手段Cは、例えば、ブラケット22または支柱5のボルト孔5cを長孔にすることで、長孔の長手方向に連結位置を調節可能とするものである。図5(a)に示す例では、支柱5のボルト孔5cを長孔にしている。
【0034】
この実施形態においては、支柱5の荷台3の床面3bより上側が前方に傾斜している場合は、第1の連結位置調節手段Bを利用して、連結具10Aの荷台3に対する連結位置を前側に移動させることにより、支柱5を荷台3の床面3bに対する角度を直角にすることができる。あるいは、第2の連結位置調節手段Cを利用して、連結具10Aの支柱5に対する連結位置を下側に移動させることでも、支柱5を荷台3の床面3bに対する角度を直角にすることができる。
【0035】
一方、支柱5の荷台3の床面3bより上側が後方に傾斜している場合は、第1の連結位置調節手段Bを利用して、連結具10Aの荷台3に対する連結位置を後側に移動させることにより、支柱5を荷台3の床面3bに対する角度を直角にすることができる。あるいは、第2の連結位置調節手段Cを用いて、連結具10Aの支柱5に対する連結位置を上側に移動させることでも、支柱5を荷台3の床面3bに対する角度を直角にすることができる。このように連結具10Aが設けられていることで荷台3の床面3bに対する支柱5の微妙な角度調整が可能となるので、車両1の用途や状態によっては厳格な直角出しではなく僅かに角度変更した状態を適正な状態とすることもできる。なお、本実施形態では第1の連結位置調節手段Bと第2の連結位置調節手段Cをいずれも設けた構成としたが、いずれか一方のみを設けた構成としても良い。
【0036】
<他の実施形態2>
既述した実施形態において、連結具10を図5(b)に示すように、長さ調節することができず、軸支する構造を有さない連結具10Bに置き替えてもよい。但し、<他の実施形態1>と同様に、第1の連結位置調節手段Bと、第2の連結位置調節手段Cと、を設けることを前提とする。この実施形態でも、連結具10B自体の長さを変えることはできないが、第1の連結位置調節手段B又は第2の連結位置調節手段Cを用いて、連結具10Bの荷台3又は支柱5に対する連結位置を調節することで、荷台3の床面3bに対する支柱5の直角出しを簡易に行うことができる。本実施形態においても第1の連結位置調節手段Bと第2の連結位置調節手段Cのいずれか一方のみを設けた構成としても良い。
【0037】
<本発明を適用可能な荷受台昇降装置について>
以上に説明した実施形態では、締結手段を用いて車両の荷台に架装されるタイプの荷受台昇降装置について説明したが、本発明の適用は、当該荷受台昇降装置に限定されず、溶接手段を用いて車両の荷台に架装されるタイプの荷受台昇降装置に適用することも可能である。当然ながら、車両に関しては軽自動車だけを対象とするものではなく、それ以上の規格の車両にも適用できる。荷受台昇降装置の構成に関しても、車両幅方向を長手方向とする中空状のクロスメンバを架設部材としても良く、当該架設部材内に油圧シリンダが設けられた構成としても良い。
【0038】
また、連結具に関しては、上述した各実施形態における長さ調節手段A、第1の連結位置調節手段B及び第2の連結位置調節手段Cを全て設けたものとしても良く、これらの手段A~Cを適宜組み合わせたものでも良い。さらに、各手段A~Cに関しては本発明の趣旨を逸脱しない限り、上述した構成に限定されるものではない。例えば長さ調節手段Aに関して、複数枚のプレート部材が締結された構造を有し、ボルト孔が長孔形状となっていることでその長孔の長手方向に連結位置を調節可能としても良い。他にも、上述した連結具はいずれも荷台3と支柱5との間で斜めに架かった状態で設けられているが、鉛直方向を長手方向とする鉛直部と水平方向を長手方向とする水平部とを有する略L字状の連結具とし、鉛直部と水平部との少なくとも一方で長さ調節可能な構成としても良い。また、こうした略L字状の連結具に第1の連結位置調節手段Bや第2の連結位置調節手段Cを設けた構成としても良い。
【0039】
さらに、本発明に係る長さ調節手段A、第1の連結位置調節手段B、又は第2の連結位置調節手段Cを設けた構成とすることで、製造出荷のときだけでなく車両1や荷受台昇降装置100を既に実施しているときに支柱5の僅かな角度調整を行うことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えば、車両の荷台後部に搭載される荷受台昇降装置に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
100 荷受台昇降装置
3 荷台
5 支柱
6 架設部材
8 荷受台
10,10A,10B 連結具
23,24 軸
A 長さ調節手段
B 第1の連結位置調節手段
C 第2の連結位置調節手段
図1
図2
図3
図4
図5