IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-放電装置 図1
  • 特許-放電装置 図2
  • 特許-放電装置 図3
  • 特許-放電装置 図4
  • 特許-放電装置 図5
  • 特許-放電装置 図6
  • 特許-放電装置 図7
  • 特許-放電装置 図8
  • 特許-放電装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】放電装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/03 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H01S3/03 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020171936
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063596
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】河村 譲一
(72)【発明者】
【氏名】田中 研太
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-045359(JP,U)
【文献】特開平04-122082(JP,A)
【文献】特開平3-91975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/03-3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隙を隔てて対向する一対の放電電極部材と、
前記放電電極部材のそれぞれの周縁部を支持する支持部材と
を備え、
前記放電電極部材の間に画定される放電空間を、レーザ媒質ガスが一方向に流れ、
前記支持部材のそれぞれは、前記放電電極部材に対して前記放電空間の側に配置された押さえ部材と、前記放電空間とは反対側に配置された側壁とを含み、前記押さえ部材と前記側壁とが、前記放電電極部材を挟んで支持しており、
前記押さえ部材は、前記放電電極部材のそれぞれの周縁部の、レーザ媒質ガスの流れの上流側に位置する領域を支持する上流側部分を含み、
2つの前記上流側部分の相互に対向する面の間隔が、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっている放電装置。
【請求項2】
前記上流側部分の相互に対向する面は柱面であり、前記柱面の母線は、レーザ媒質ガスの流れの方向に対して垂直で、かつ前記放電電極部材の相互に対向する面に対して平行である請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記上流側部分の相互に対向する面の最も下流側の縁における接平面が、レーザ媒質ガスの流れの方向に対して平行である請求項2に記載の放電装置。
【請求項4】
間隙を隔てて対向する一対の放電電極部材と、
前記放電電極部材のそれぞれの周縁部を支持する支持部材と
を備え、
前記放電電極部材の間に画定される放電空間を、レーザ媒質ガスが一方向に流れ、
前記支持部材は、前記放電電極部材のそれぞれの周縁部の、レーザ媒質ガスの流れの上流側に位置する領域を支持する上流側部分を含み、
2つの前記上流側部分の相互に対向する面の間隔が、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっており、
前記放電電極部材のそれぞれは、
絶縁材料からなる板状部材と、
前記板状部材の一方の面に取り付けられた電極板と、
前記電極板の表面を覆う絶縁材料からなる保護部材と
を含み、
前記保護部材同士が向かい合い、前記保護部材の相互に対向する面が平行になる姿勢で、前記板状部材のそれぞれの周縁部が前記支持部材によって支持されており、
前記上流側部分の相互に対向する面の最も下流側の間隔が、前記保護部材の間隔と等しい放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスが流れる放電空間に放電を生じさせる放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスレーザ発振器は、一対の放電電極と、光共振器と、レーザ媒質ガスを循環させる循環機構とを含む。一対の放電電極を相互に隔てる方向と、光共振器の光軸と、レーザ媒質ガスが流れる方向とが相互に直交する。一対の放電電極の間の放電空間で放電が生じ、放電空間内のレーザ媒質ガスの温度が上昇する。高温になったレーザ媒質ガスが放電空間から排除され、冷却された後に放電空間に再流入する。
【0003】
放電空間を流れるレーザ媒質ガスを整流するために、放電空間の上流側に整流板が設けられる(例えば、下記の特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-18780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放電空間の上流側に整流板を設けるため、部品点数が増加してしまう。本発明の目的は、部品点数の増加を抑制し、かつガスを整流することが可能な放電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
間隙を隔てて対向する一対の放電電極部材と、
前記放電電極部材のそれぞれの周縁部を支持する支持部材と
を備え、
前記放電電極部材の間に画定される放電空間を、レーザ媒質ガスが一方向に流れ、
前記支持部材のそれぞれは、前記放電空間の側に配置された押さえ部材と、前記放電空間とは反対側に配置された側壁とを含み、前記押さえ部材と前記側壁とが、前記放電電極部材を挟んで支持しており、
前記押さえ部材は、前記放電電極部材のそれぞれの周縁部の、レーザ媒質ガスの流れの上流側に位置する領域を支持する上流側部分を含み、
2つの前記上流側部分の相互に対向する面の間隔が、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっている放電装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
支持部材の上流側部分の相互に対向する面によりガス流路が形成される。上流側部分の相互に対向する面の間隔が、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっていることにより、上流側部分の相互に対向する面が整流板として機能する。上流側部分が、放電電極部材を支持する機能と、整流板としての機能とを併せ持つため、部品点数を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例による放電装置を搭載したレーザ発振器の、光軸を含む断面図である。
図2図2は、実施例による放電装置を搭載したレーザ発振器の光軸に垂直な断面図である。
図3図3は、上側の放電電極部材及び支持部材の押さえ部材の底面図である。
図4図4は、図3の一点鎖線4-4における断面図である。
図5図5は、図3の一点鎖線5-5における断面図である。
図6図6は、比較例による放電装置の断面図である。
図7図7は、他の実施例による放電装置の断面図である。
図8図8は、さらに他の実施例による放電装置の断面図である。
図9図9は、さらに他の実施例によるレーザ加工装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図5を参照して、一実施例による放電装置について説明する。
図1は、本実施例による放電装置を搭載したレーザ発振器の断面図である。レーザ発振器10が、レーザ媒質ガス及び光共振器20等を収容するチェンバ15を含む。チェンバ15にレーザ媒質ガスが収容される。チェンバ15の内部空間が、相対的に上側に位置する光学室16と、相対的に下側に位置するブロワ室17とに区分されている。光学室16とブロワ室17とは、上下仕切り板18で仕切られている。なお、上下仕切り板18には、レーザガスを光学室16とブロワ室17との間で流通させる開口が設けられている。ブロワ室17の側壁から光学室16の底板19が光共振器20の光軸20Aの方向に張り出しており、光学室16の光軸方向の長さが、ブロワ室17の光軸方向の長さより長くなっている。
【0010】
光学室16内に、一対の放電電極部材30及び一対の共振器ミラー25が配置されている。一対の放電電極部材30は、それぞれ支持部材35によって支持されている。一対の放電電極部材30は、上下方向に間隔を隔てて配置されており、両者の間に放電空間24が画定される。放電電極部材30は放電空間24に放電を生じさせることにより、レーザ媒質ガスを励起させる。後に図2を参照して説明するように、放電空間24を図1の紙面に垂直な方向にレーザ媒質ガスが流れる。一対の支持部材35の端部の間に固定具22が配置されて、両者の相対位置が固定されている。下側の支持部材35の両端が、固定具23を介して底板19に固定されている。
【0011】
一対の共振器ミラー25は、光学室16内に配置された1つの共振器ベース26に固定されている。共振器ベース26は、4個の光共振器支持部材27を介して底板19に支持されている。共振器ミラー25は、放電空間24を通る光軸20Aを持つ光共振器20を構成する。光共振器20の光軸20Aを一方向(図1において左方向)に延伸させた延長線と光学室16の壁面との交差箇所に、レーザビームを透過させる光透過窓28が取り付けられている。光共振器内で励振されたレーザビームが光透過窓28を透過して外部に放射される。光共振器20の光軸20Aに平行な方向をx方向、一対の放電電極部材30を隔てる方向(上下方向)をz方向、放電空間24をレーザ媒質ガスが流れる方向をy方向とするxyz直交座標系を定義する。
【0012】
ブロワ室17にブロワ29が配置されている。ブロワ29は、光学室16とブロワ室17との間でレーザ媒質ガスを循環させる。
【0013】
図2は、実施例による放電装置を搭載したレーザ発振器10の光軸20A(図2)に垂直な断面図である。図1を参照して説明したように、チェンバ15の内部空間が上下仕切り板18により、上方の光学室16と下方のブロワ室17とに区分されている。光学室16内に、一対の放電電極部材30、一対の支持部材35、光共振器20(図1)を支持する共振器ベース26が配置されている。放電電極部材30の間に放電空間24が画定される。
【0014】
一対の支持部材35の両端の間に固定具22が配置されている。固定具22は、中央に開口が設けられた板材であり、中央の開口をレーザビームが通過する。下側の支持部材35が門型の固定具23を介して上下仕切り板18に固定されている。門型の固定具23は、共振器ベース26を跨ぐように配置されている。
【0015】
上下仕切り板18に、第1開口18A及び第2開口18Bが設けられている。光学室16内に上流側のダクト41及び下流側のダクト42が配置されている。上流側のダクト41が、第1開口18Aから放電空間24に至る上流側のガス流路43を形成する。下流側のダクト42が、放電空間24から第2開口18Bに至る下流側のガス流路44を形成する。ブロワ室17、上流側のガス流路43、放電空間24、下流側のガス流路44により、レーザ媒質ガスの循環経路が形成される。
【0016】
ブロワ室17に配置されたブロワ29は、この循環経路をレーザ媒質ガスが循環するように、矢印で示したレーザ媒質ガスの流れを発生させる。
【0017】
ブロワ室17内の循環経路に、熱交換器45が収容されている。放電空間24で加熱されたレーザ媒質ガスが熱交換器45を通過することによって冷却され、冷却されたレーザ媒質ガスが放電空間24に再供給される。
【0018】
図3は、上側の放電電極部材30及び支持部材35(図1図2)の押さえ部材36の位置関係を示す底面図である。絶縁材料からなる板状部材31の下面に電極板32が取り付けられ、電極板32が絶縁材料からなる保護部材33で覆われている。板状部材31及び電極板32の平面視における形状は、x方向(光軸方向)に長い長方形である。平面視において保護部材33は板状部材31に包含され、電極板32は保護部材33に包含される。
【0019】
長方形状の板状部材31の4つの縁に沿うように、押さえ部材36が配置されている。図3において、押さえ部材36に右下がりの淡いハッチングを付している。板状部材31の周縁部31Pが、押さえ部材36によって支持されている。図3において、板状部材31の周縁部31Pに右上がりの濃いハッチングを付している。押さえ部材36は、x方向に長い2つの部分と、y方向に長い2つの部分とで構成される。図3において、一方向、より具体的にはy軸の正の方向にレーザ媒質ガスが流れる。x方向に長い2つの部分のうちレーザ媒質ガスの流れの上流側に位置する部分を上流側部分36Aといい、下流側に位置する部分を下流側部分36Bということする。上流側部分36A及び下流側部分36Bは、それぞれ板状部材31の上流側の縁に対応する周縁部31P及び下流側の縁に対応する周縁部31Pを支持する。
【0020】
図4及び図5は、それぞれ図3の一点鎖線4-4及び一点鎖線5-5における断面図である。上下に間隔を隔てて配置された2枚の放電電極部材30の間に放電空間24が画定されている。下側の放電電極部材30及び支持部材35と、上側の放電電極部材30及び支持部材35とは、xy面に平行な平面に関して面対称である。以下、上側の放電電極部材30及び支持部材35の構成について説明し、下側の放電電極部材30及び支持部材35については説明を省略する。
【0021】
放電電極部材30は、板状部材31、電極板32、保護部材33、複数の引出電極51を含む。板状部材31及び保護部材33として、例えばセラミック板が用いられる。板状部材31の一方の表面に電極板32が取り付けられ、保護部材33が電極板32を覆っている。保護部材33は、例えば接着剤で板状部材31に固定される。放電電極部材30は、板状部材31、電極板32、及び保護部材33の下方を向く面(下側の放電電極部材30を向く面)が、z方向に対して垂直になる姿勢で配置されている。すなわち、保護部材33の相互に対向する面は平行である。
【0022】
複数の引出電極51が、電極板32から板状部材31を厚さ方向に貫通し、反対側の表面に露出している。複数の引出電極51に、電力供給ケーブル52が接続されている。電力供給ケーブル52及び引出電極51を介して電極板32に放電電力が供給される。
【0023】
支持部材35は、押さえ部材36、側壁37、及び天板38を含む。押さえ部材36、側壁37、及び天板38には、金属、例えばAl等が用いられる。側壁37は、下方及び上方が開放された枠形状の部材であり、側壁37の下方の開放部が放電電極部材30で塞がれ、上方の開放部が天板38で塞がれている。枠状の押さえ部材36と側壁37との間に板状部材31の周縁部31Pが挟まれている。
【0024】
側壁37の下方を向く端面と板状部材31との間にOリング55が配置されており、側壁37の上方を向く端面と天板38との間にもOリング56が配置されている。押さえ部材36、側壁37、及び天板38が、ボルト等によって相互に固定されている。支持部材35と放電電極部材30とによって、ほぼ直方体の気密な箱が構成されており、箱の内部の空間に、ほぼ1気圧の大気が満たされている。
【0025】
支持部材35に、上流側のダクト41及び下流側のダクト42が接続されている。図4に矢印で示すように、上流側のガス流路43から放電空間24を通って下流側のガス流路44に向かってレーザ媒質ガスが流れる。
【0026】
上側の押さえ部材36と下側の押さえ部材36とは、上下(z方向)に間隔を隔てて配置され、x方向及びy方向に関しては同じ位置に配置されている。すなわち、両者は平面視において重なっている。2つの押さえ部材36の上流側部分36Aの相互に対向する面の間隔Gz(より具体的には、上下方向の間隔)が、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっている。また、上流側部分36Aの相互に対向する面は、x方向に平行な母線、すなわち、レーザ媒質ガスの流れの方向(y方向)に対して垂直で、かつ放電電極部材30の相互に対向する面に対して平行な母線を持つ滑らかな柱面で構成されている。
【0027】
上流側部分36Aの最も下流側の縁と板状部材31の表面との間に、段差36Sが形成される。また、保護部材33の上流側の縁と板状部材31の表面との間にも、段差33Sが形成される。段差36Sと段差33Sとの高さは同一である。また、上流側部分36Aの相互に対向する面の最も下流側の縁における接平面60が、レーザ媒質ガスの流れの方向(y方向)に対して平行であり、さらにz方向に対して垂直である。このため、保護部材33の相互に対向する面は、この接平面60上に含まれる。言い換えると、上流側部分36Aの相互に対向する面の最も下流側の間隔が、保護部材33の間隔と等しい。
【0028】
次に、図1図5に示した実施例の優れた効果について、図6に示した比較例と比較して説明する。
【0029】
図6は、比較例による放電装置の断面図である。比較例においては、押さえ部材36の上流側部分36Aの相互に対向する面がz方向に対して垂直な平面で構成される。すなわち、上流側部分36Aの相互に対向する面の上下方向の間隔Gzは、上流側から下流側に向かって一定である。
【0030】
ガス流路43内に整流板63が配置されている。整流板63は、上流側から下流側に向かって流路断面の上下方向の寸法Hが徐々に縮小するガス流路を形成する。整流板63によって形成されるガス流の上下の壁面は、押さえ部材36の上流側部分36Aの相互に対向する面に滑らかに接続される。
【0031】
図6に示した比較例では、上流側のガス流路43内に整流板63を配置しなければならない。これに対して本実施例では、押さえ部材36の上流側部分36Aの相互に対向する面が、比較例の整流板63と同じ機能を持つ。このため、図6に示した比較例と比べて部品点数を削減し、コスト低減を図ることが可能になる。
【0032】
さらに、上記実施例では、上流側部分36Aの相互に対向する面の最も下流側の縁における接平面60に、保護部材33の相互に対向する面が含まれる。このため、放電空間24の上流側の流路断面の上下方向の寸法と、放電空間24内の流路断面の上下方向の寸法の最小値とが等しくなる。その結果、放電空間24内での圧力損失の増大を抑制することができる。
【0033】
次に、図7を参照して他の実施例による放電装置について説明する。以下、図1図5を参照して説明した実施例による放電装置と共通の構成については説明を省略する。
【0034】
図7は、他の実施例による放電装置の断面図である。図4に示した実施例では、押さえ部材36の上流側部分36Aと保護部材33とが、y方向に離れて配置されている。これに対して図7に示した実施例では、保護部材33が押さえ部材36の上流側部分36A及び下流側部分36Bに接するまで広がっている。上流側部分36Aの相互に対向する面と、保護部材33の相互に対向する面とが滑らかに接続されている。同様に、下流側部分36Bの相互に対向する面と保護部材33の相互に対向する面とが、面一になるように接続されている。
【0035】
次に、図7に示した実施例の優れた効果について説明する。
図7に示した実施例では、図4に示した実施例による放電装置の放電空間24の上下の壁面に形成されている段差36S、33Sが形成されない。このため、放電空間24を流れるレーザ媒質ガスの流れの乱れを抑制することができる。
【0036】
次に、図8を参照してさらに他の実施例による放電装置について説明する。以下、図1図5を参照して説明した実施例による放電装置と共通の構成については説明を省略する。
【0037】
図8は、本実施例による放電装置の断面図である。図4に示した実施例では、2つの押さえ部材36の上流側部分36Aの相互に対向する面の両方が湾曲した柱面で構成されている。これに対して図8に示した実施例では、一方の上流側部分36Aの面は、z軸に対して垂直な平面であり、上流側のガス流路43の壁面と面一になるように接続されている。他方の上流側部分36Aの面は、図4に示した実施例と同様に、湾曲された柱面で構成されている。
【0038】
本実施例のように、2つの上流側部分36Aの相互に対向する面の一方のみを湾曲した柱面で構成してもよい。この場合でも、2つの上流側部分36Aの間の流路断面の上下方向の寸法は、上流側から下流側に向かって徐々に縮小されているため、2つの上流側部分36Aの相互に対向する面が整流板として機能する。
【0039】
次に、図9を参照してさらに他の実施例によるレーザ加工装置について説明する。
図9は、本実施例によるレーザ加工装置の概略図である。共通ベース100に、架台85を介してレーザ発振器10が支持されている。さらに、共通ベース100に、レーザ加工部80が固定されている。共通ベース100は、例えば床である。レーザ発振器10は上記実施例による放電装置を搭載しており、パルスレーザビームを出力する。
【0040】
レーザ加工部80は、ビーム整形光学系81及びステージ82を含む。ステージ82の上に加工対象物90が保持される。レーザ発振器10から出力されたパルスレーザビームが、ビーム整形光学系81によってビームプロファイルを整形され、加工対象物90に入射する。
【0041】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。本実施例によるレーザ加工装置のレーザ発振器10は上記実施例による放電装置を搭載しているため、部品点数を削減することができ、装置のコスト低減を図ることが可能になる。
【0042】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0043】
10 レーザ発振器
15 チェンバ
16 光学室
17 ブロワ室
18 上下仕切り板
18A 第1開口
18B 第2開口
19 底板
20 光共振器
20A 光軸
22、23 固定具
24 放電空間
25 共振器ミラー
26 共振器ベース
27 光共振器支持部材
28 光透過窓
29 ブロワ
30 放電電極部材
31 板状部材
31P 板状部材の周縁部
32 電極板
33 保護部材
33S 段差
35 支持部材
36 押さえ部材
36A 上流側部分
36B 下流側部分
36S 段差
37 側壁
38 天板
41 上流側のダクト
42 下流側のダクト
43 上流側のガス流路
44 下流側のガス流路
51 引出電極
52 電力供給ケーブル
55、56 Oリング
60 接平面
63 整流板
80 レーザ加工部
81 ビーム整形光学系
82 ステージ
85 架台
90 加工対象物
100 共通ベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9