IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン−ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】タックストーン
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/43 20060101AFI20240528BHJP
   C04B 35/119 20060101ALI20240528BHJP
   C04B 35/488 20060101ALI20240528BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C03B5/43
C04B35/119
C04B35/488
F27D1/00 N
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020533849
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085976
(87)【国際公開番号】W WO2019122005
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】1762834
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カボディ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスパ,ピエリック
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-065985(JP,A)
【文献】特表2012-513360(JP,A)
【文献】特表2013-534895(JP,A)
【文献】特表2015-506898(JP,A)
【文献】特表2013-514254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B
C04B
F27D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上縁(25)を持つタンク(12)と、
金属構造物(14)と、
融合タックストーン(20)を含む中間層(18)を持つ上部構造(16)と
を備えているガラス炉であって、前記融合タックストーン(20)が
ガラス炉の金属構造物(14)上に載置され支持面(2014)、
上記ガラス炉のタンク(12)の上縁(25)に面すタンク面(2012)、及び
該支持面と該タンク面とを接続する下遷移面(2014-12
を含む下面(20)と、
上記ガラス炉の上部構造(16)の側壁(26)を受け上部構造面(2026)、及び
該上部構造面(2026)と該下面(20)とを接続する上遷移面(2026-3
を含む上面(20)と
を画定し、
該下遷移面の少なくとも一部が、上記下遷移面よりも4センチメートル下の深さにおける結晶密度の4倍よりも大きい結晶密度を有し、そのような面は、「スキンミクロ構造」を持つ表面と称され、結晶密度は、研磨後の表面1mm当たり12μmよりも大きい表面積を有する結晶の数によって評価され、上記深さにおける結晶密度は、上記深さまで該タックストーンを切った後に露出した表面上で評価される
ことを特徴とする、前記ガラス炉
【請求項2】
該上遷移面の少なくとも一部が、スキンミクロ構造を持つ表面である、請求項1に記載のガラス炉
【請求項3】
該下面全体が、スキンミクロ構造を持つ表面である、請求項1又は2に記載のガラス炉
【請求項4】
該上部構造面の少なくとも一部が、上記上部構造面よりも4センチメートル下の深さにおける密度の4倍未満の結晶密度を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項5】
変形可能であり及び/又は1.0W・m-1・K-1未満の熱伝導度を有する界面材料(40)の層が、スキンミクロ構造を持つ表面の少なくとも一部の上に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項6】
前記タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、
Al+ZrO+SiO>80.0%
になるような化学組成を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項7】
前記タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、ジルコニア安定化剤を0.5%よりも多く且つ10.0%未満含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項8】
前記タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、合計で100%として、
Al+ZrO+SiO:83.8%よりも多く且つ97.0%未満、
:0.5%よりも多く且つ5.0%未満、
NaO:0.1%よりも多く且つ0.6%未満、
:0.1%よりも多く且つ0.6%未満、
Al、ZrO、SiO、Y、NaO、及びB以外の酸化物型:10.0%未満
になるような化学組成を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項9】
前記タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、
ZrO:12.0%よりも多く且つ45.0%未満、
SiO:8.0%よりも多く且つ24.0%未満、
Al:35.0%よりも多く且つ60.0%未満
になるような化学組成を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項10】
前記タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、
ZrO:80.0%よりも多く且つ97.0%未満、
SiO:0.5%よりも多く且つ15.0%未満、
Al:0.2%よりも多く且つ3.0%未満
になるような化学組成を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項11】
該下遷移面の上記少なくとも一部分が、1mm当たり650個超の結晶の結晶密度を有する、請求項10に記載のガラス炉
【請求項12】
該下遷移面の上記少なくとも一部の該結晶の平均等価直径が、45μm未満である、請求項10又は11に記載のガラス炉
【請求項13】
該支持面が単一の脚又は一組の脚を画定し、各脚が、使用中に該金属構造物上に載置されることが意図される末端面(44)を有し、上記末端面がスキンミクロ構造を持たない、請求項1~12のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項14】
該単一の脚の該末端面の面積、又は該一組の脚の該末端面の面積(S44)の累積合計が、該支持面の面積の0.5%よりも大きく且つ10%未満である、請求項13に記載のガラス炉
【請求項15】
該界面材料が、該支持面によって境界が定められ且つ上記の1又は複数の末端面の平面にまで延在する容積を満たす、請求項5に従属する場合の13又は14に記載のガラス炉
【請求項16】
上部構造アームとタンクアームとの間の接合部で、該上遷移面が、該上部構造アームの水平面と該タンクアームの水平面とを接続する、隆起部のない湾曲した上接合面(21)を含み、及び/又は
該上部構造アームと該タンクアームとの間の接合部で、該下遷移面が、該上部構造アームの水平面と該タンクアームの水平面とを接続する、隆起部のない湾曲した下接合面(23)を含む、
請求項1~15のいずれか1項に記載のガラス炉
【請求項17】
炉を生成する方法であって、該炉は、ガラス溶融タンクと、該タンクの上方に延在する上部構造と、該上部構造を支持する金属構造物とを備えており、該方法は、
下記逐次工程:
a)出発バッチを形成するように原材料を混合すること、
b)上記出発バッチを融合して、溶融物質の浴を得ること、
c)上記溶融物質を型に鋳込み、上記溶融物質を冷却することによって凝固して、タックストーンの一般的形態を有し且つ該型に接触しているその表面がスキンミクロ構造を有する中間材を得るようにすること、ここで、該表面は、該表面よりも4センチメートル下の深さにおける結晶密度の4倍よりも大きい結晶密度を有し、そのような面が、前記スキンミクロ構造を持つ表面と称され、結晶密度は、研磨後の表面1mm 当たり12μm よりも大きい表面積を有する結晶の数によって評価され、上記深さにおける結晶密度は、上記深さまで該タックストーンを切った後に露出した表面上で評価される、
d)上記中間材を該型から取り外すこと、
e)スキンミクロ構造を持つ該表面の少なくとも一部を保持するように、該中間材の外面を部分的に機械加工すること、
を含む方法に従いタックストーンを製造すること、及び、
金属構造物と上部構造の側壁との間の中間層において前記タックストーンを組み付けることを含み、
該タックストーン(20)が、金属構造物(14)に接触する支持面(2014)、上部構造(16)の側壁(26)に接触する上部構造面(2026)、及びタンク(12)の上縁(25)に面するタンク面(2012)を画定する、
前記炉を生成する方法。
【請求項18】
工程e)で、該上部構造面が機械加工され、及び/又は該支持面が機械加工されず、及び/又は該タンク面が機械加工されない、請求項17に記載の炉を生成する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス炉用のタックストーン、及びそのようなタックストーンを含むガラス炉に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのガラス製品が、化合物、例えば酸化物、炭酸塩、硫酸塩、及び硝酸塩を含む原材料のガラス化可能な混合物を溶融し且つ精練することによって製造される。この2つの段階は、炉内で行なわれる。炉の主な構成要素は、これら炉内で発生する高温及びストレスに耐えることができる耐火物である。従って、ガラス炉は一般的に、それらの性質に依存して種々の場所に配置された非常に多数の耐火製品を含む。該炉の各部品ごとに、選択された製品が、ガラスを使用不可能にするいかなる欠陥(製造歩留まりを低減させうる)も引き起こさず且つ満足のいく耐用年数を炉に与えるよう長期にわたって十分耐性のあるものでなければならない。
【0003】
図1は、ガラス炉10の片側断面を図式的に示す。特に、タンク12、金属構造物14、及び上部構造16が見える。
【0004】
溶融ガラスを収容することが意図されるタンク12は、垂直側壁22及びベースプレート24を備えている。側壁22は慣用的に、該タンクの全体の高さにわたって上縁25まで延在する側タンクブロックで作製されている。
【0005】
上部構造16は、そのベース部で、慣用的に、それを介して金属構造物上に載置される中間層18と、中間層上に載置される側壁26と、アーチ28とを備えている。バーナー(図示せず)が側壁26に配置されており、そして交互に作動する。
【0006】
金属構造物14は、慣用的に、鋳鉄で作製され、該タンクの側壁22の外側を取り囲む。それは、上部構造16の重みを支える。
【0007】
中間層18は、図2aに示されている形状を慣用的に有するタックストーン20を備えており、且つ好ましくは該タックストーン20によって構成される。慣用的に、各タックストーン20は、L字型断面のプロファイルの一般的形態を有する。稼動中、L字の長いアーム、すなわち「上部構造アーム」30、が、水平に延在する。L字の短いアーム、すなわち「タンクアーム32」、が、上部構造30の下に垂直に延在する。
【0008】
タックストーン20の外面は、
プロファイルの長さL20を区切る、それぞれ第1の端部表面20及び第2の端部表面20
稼動中に金属構造物14上に載置される水平支持面2014;稼動中にタンク12の上縁25に面して延在する、好ましくは水平である、タンク面2012;並びに、支持面2014とタンク面2012とを接続する下遷移面2014-12を備えている、下面20
好ましくは垂直である、外側面20
動作中に側壁26が表面に載置される水平上部構造面2026、並びに上部構造面2026及び下面20、特にタンク面2012、を接続する上遷移面2026-3を備えている、上面20
で構成されている。
【0009】
図2bにおいて、タンク面2012、支持面2014、及び上部構造面2026が、点線によって区切られている。
【0010】
タックストーン20は、一般に吹込み空気による冷却のおかげで上部構造アーム30が周囲温度に近い温度の環境に部分的にあり、一方、タンクアーム32は、部分的に炉内にあり、約1500℃の温度に曝露される故に、高い熱ストレスに耐えなければならない。
【0011】
また、該タックストーンは、該バーナーの交互動作及び維持動作、例えば該炉の外部冷却の停止、次に、再始動を必要とする「クラッディング」動作、又はバーナーの停止、次に、再始動を必要とするバーナー若しくはバーナーブロックを変更する為の動作に起因して、熱サイクルも受ける。
【0012】
該タックストーンはまた、炉の侵襲的な蒸気及び凝縮物から受ける腐食に対して耐性でなければならない。
【0013】
これらのストレスに耐える為に、該タックストーンは、耐火物で作られている。
【0014】
耐火物において、本発明者等は、融合物と焼結物とを区別する。焼結物とは対照的に、融合物はほとんどの場合、結晶粒を接続する粒間ガラス質相を含む。それ故に、焼結物及び融合物によって引き起こされる問題、及びこれらを解決する為に採用される技術的解決策は一般的に異なる。焼結物の生成の為に開発される組成物は、融合物の生成にそのままで必ずしも使用できるとは限らず、の逆もまた同様である。「電融」としてしばしば記載されている融合物は、適切な原材料の混合物を電気アーク炉内で溶融することによって又はこれらの生成物に好適な任意の他の技法を使用して得られる。次に、溶融物質の浴が型内で鋳造され、次に、該結果として得られた生成物は、制御された冷却サイクルを受ける。
【0015】
現在、主に融合物は、タックストーンを生成する為に、特に30~45%のジルコニアを含むアルミナ-ジルコニア-シリカ(alumina-zirconia-silica)型の生成物(AZSと略す)、を生成する為に使用される。これらの生成物のミクロ構造は、アルファアルミナの結晶、遊離ジルコニアの結晶、コランダム-ジルコニア共晶の結晶、及び結晶間ガラス質相を実質的に含む。また、ジルコニアの非常に高い含有量(典型的には、85%超のジルコニア)を持つ生成物が見出されることができる。これらの生成物のミクロ構造は、、遊離ジルコニアの結晶(デンドライト)及び結晶間ガラス質相を実質的に含む。
【0016】
また、炉の耐用年数を延ばす為に、該炉の耐火性ブロックが、「乾燥」して、即ち接合モルタルなしで、組み立てられなければならない。密閉を確実にする為に、ブロックは、良好な表面条件と共に非常に精密な寸法を有しなければならない。それ故に、ブロック、特にタックストーン、は、隣接するブロックとの密接な接触が確実になるように、常に機械加工される。
【0017】
しかしながら、亀裂に対するタックストーンの耐性は、炉の長い耐用年数を求めるガラス製造業者の要求における最近の進展を満たすのに不十分な場合がある。事実、タックストーンの亀裂は破砕につながり、破片を溶融ガラスの浴内に落とし、従って、ガラスに欠陥を生じうる。また、次に、タックストーンは、金属構造物及びタンクをもはや正しく保護しない。上部構造の残りがまた、バランスをとれないことがありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
それ故に、亀裂に対するより良好な耐性及び/又は長い耐用年数を有するタックストーンが必要とされている。本発明の1つの目的は、この要求を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上述の外面を画定する融合タックストーンに関する。
【0020】
本発明の第1の主な観点に従うと、下遷移面の少なくとも一部及び好ましくは全てが、スキンミクロ構造を有し、即ち結晶密度が、上記の面よりも4センチメートル(cm)下の深さで測定された結晶密度の4倍よりも大きい、又は6倍よりも大きい、又は7倍よりも大きい、又は9倍よりも大きいスキンミクロ構造を有する。
【0021】
驚くべきことに、本発明者等は、下遷移面でのスキンミクロ構造の存在が、タックストーンの熱機械的強度及び耐腐食性を著しく改善することを見出した。それによって、炉の耐用年数は、有利に延長される。
【0022】
好ましくは、炉内の環境に曝露されることが意図される表面の少なくとも一部、好ましくは全体、が、スキンミクロ構造を有する。特に、好ましくは少なくとも一部、好ましくは全体、のタンク面及び/又は上遷移面は、スキンミクロ構造を有する。
【0023】
好ましくは、少なくとも一部の、好ましくは全ての、支持面、又は全ての下面、及び/又は外側面の全て若しくは一部が、スキンミクロ構造を有する。
【0024】
一つの実施態様において、上部構造面及び/又は端部表面、又はタックストーンの全面は、スキンミクロ構造を有しうる。
【0025】
しかしながら、該実施態様は、好ましくない。好ましくは、少なくとも上部構造面がスキンミクロ構造を持たない。好ましくは、端部表面がスキンミクロ構造を持たない。
【0026】
本発明の第2の主な観点に従うと:
上部構造アームとタンクアームとの間の接合部にある上遷移面は、曲面を含み、即ち平らではなく、隆起部がなく、好ましくは円形ベースの円筒面の一部を構成する。好ましくは、この上接合面は、上部構造アームの水平面、特に上部構造面、と、タンクアームの水平面、特にタンク面、とを接続し、及び/又は
上部構造アームとタンクアームとの間の接合部にある下遷移面は、曲面を含み、隆起部がなく、好ましくは円形ベースの円筒面の一部を構成する。好ましくは、この下接合面は、上部構造アームの水平面、特に上部構造面、と、タンクアームの水平面、特にタンク面、とを接続する。
【0027】
本発明の第3の主な観点に従うと、任意の断面において、タックストーンの厚さが一定である。
【0028】
本発明者等は、隆起部がないこと且つ一定の厚さが、タックストーンの機械的強度を改善することを見出した。丸みの付いた形はまた、タンク中の溶融ガラスと共に排出されうる凝縮物のより良好な放出を可能にし、従って、タックストーンの腐食を制限する。
【0029】
本発明の第4の観点に従うと、該支持面は、単一の脚、又は一組の脚を含み、これらは相互に同一又は異なっており、それぞれが好ましくは平らであり、又は他の脚の端面と同一平面である末端面を有し、これらは稼動中に金属構造物上に載置されることが意図される。
【0030】
好ましくは、該支持面は、3又は4本の脚を精密に画定する。
【0031】
好ましくは、該脚の末端面は、スキンミクロ構造を持たない。
【0032】
更に好ましくは、界面材料が、支持面によって境界が定められ且つ上記端面の平面まで延在する容積を満たす。該支持面が数本の脚を画定する場合、該界面材料はこのように、該脚の高さに実質的に等しい厚さにわたって該脚の間を延在する。
【0033】
該単一の脚の該末端面の面積、又は該一組の脚の該末端面の面積の累積合計は好ましくは、該支持面の面積の0.5%よりも大きく且つ10%未満である。
【0034】
当然ながら、本発明の様々な主な観点が組み合わせられうる。
【0035】
主な観点のどれが考慮されても、本発明に従うタックストーンは、下記の任意の特徴の1つ以上を含みうる:
スキンミクロ構造を持つ表面は、上記表面から4センチメートル下の深さで測定された結晶密度の30倍未満、又は25倍未満、又は20倍未満の結晶密度を有し;
上遷移面の少なくとも一部は、スキンミクロ構造を持つ表面であり;
下面全体は、スキンミクロ構造を持つ表面であり;
上部構造面の少なくとも一部は、上記上部構造面から4センチメートル下の深さにおける密度の4倍未満、3倍未満、又は2倍未満の結晶密度を有し;
スキンミクロ構造を持つ表面、特に下遷移面の少なくとも一部、は、1平方ミリメートル(mm)当たり130個超の結晶、好ましくは1mm当たり150個超の結晶、好ましくは1mm当たり180個超の結晶、好ましくは1mm当たり200個超の結晶、1mm当たり230個超の結晶、又は1mm当たり250個超の結晶、の結晶密度を有し;
タックストーンは、酸化物に対する質量パーセンテージで80.0%超のZrO含量を有し、スキンミクロ構造を持つ表面は、特に下遷移面の少なくとも一部で、1mm当たり600個超の結晶、好ましくは1mm当たり650個超の結晶、好ましくは1mm当たり700個超の結晶、好ましくは1mm当たり800個超の結晶、1mm当たり900個超の結晶、1mm当たり1000個超の結晶、又は1mm当たり1100個超の結晶、の結晶密度を有し;
タックストーンは、酸化物に対する質量パーセンテージで、80.0%超のZrO含量を有し、スキンミクロ構造を持つ表面の上記結晶の平均等価直径は、特に下遷移面の少なくとも一部で、45μm未満、好ましくは40μm未満、及び/又は好ましくは20μm超、又は30μm超であり;
好ましくは1.0W・m-1・K-1未満の熱伝導度を有する、好ましくは断熱材料の、好ましくは層の形をとる、界面材料が、スキンミクロ構造を持つ表面の少なくとも一部に配置されている、好ましくは接着されている;
界面材料は、変形可能であり(稼動中に遭遇する圧縮力の影響下)、好ましくはフェルト、好ましくは断熱性のフェルト、であって、熱伝導度が好ましくは1.0W・m-1・K-1未満、又は0.7W・m-1・K-1未満、又は0.5W・m-1・K-1未満であり、好ましくはセラミック繊維である上記フェルト、特にアルミナ及びシリカをベースにした上記フェルト、であり;
端面は平らであり、特にクランク部を持たず、好ましくは実質的に垂直であり;
別の実施態様において、ほぞと該ほぞに相補的な形状のほぞ穴とをそれぞれが画定する第1及び第2の端部表面であって、使用位置において、上記ほぞが第1の隣接するタックストーンのほぞ穴に収容され且つ上記ほぞ穴が第2の隣接するタックストーンのほぞを受容するようになされており(オス/メス連結);
該タックストーンが酸化物に対する質量パーセンテージで、
Al+ZrO+SiO>80.0%
になるような化学組成を有し;
該タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、ジルコニア安定化剤を0.5%よりも多く且つ10.0%未満含む化学組成を有し;
該タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで、合計で100%として、
Al+ZrO+SiO:84.0%よりも多く且つ97.0%未満、
:5.0%未満、
NaO:0.1%よりも多く且つ1.5%未満、
:0.1%よりも多く且つ0.6%未満、
Al、ZrO、SiO、Y、NaO、及びB以外の酸化物型:10.0%未満
になるような化学組成を有し;
該タックストーンが、酸化物に対する質量パーセンテージで:
ZrO:12.0%よりも多く且つ45.0%未満、
SiO:8.0%よりも多く且つ24.0%未満、
Al:35.0%よりも多く且つ60.0%未満
になるような化学組成、又は
ZrO:80.0%よりも多く且つ97.0%未満、
SiO:0.5%よりも多く且つ15.0%未満、
Al:0.2%よりも多く且つ3.0%未満
になるような化学組成を有する。
【0036】
融合タックストーンの表面に、即ち、融合物中に、スキンミクロ構造を得ることは、当業者に特に困難ではない。特に当業者は、溶融物質の凝固速度を増加させることによって、より微細な表面がミクロ構造に与えられうることを知っている。
【0037】
溶融物質の浴が型内で鋳造される場合に、該型の特性及び該型の温度が特に、スキンミクロ構造を得る為に十分速い冷却を確実にするように適合されうる。例えば、該型が最初に周囲温度にある場合、スキンミクロ構造は、型の壁に接触した又は型の壁の近傍にある表面に形成される。通常の実施とは対照的に、このスキンが機械加工動作中に排除されない場合、スキンミクロ構造は、機械加工されていないタックストーンの表面に得られる。
【0038】
しかしながら、限られた機械加工(表面形成)は、スキンミクロ構造が保持されることを可能にする。
【0039】
特定の実施態様において、本発明は、タックストーンを生成する為の方法であって、下記逐次工程:
a)出発バッチを形成するように原材料を混合すること;
b)上記出発バッチを融合して、溶融物質の浴を得ること;
c)上記溶融物質を、好ましくは周囲温度で、型に鋳込み、上記溶融物質を冷却することによって凝固して、タックストーンの一般的形態を有し且つ該型に接触しているその表面がスキンミクロ構造を有する中間材を得るようにすること;
d)上記中間材を該型から取り外すこと;
e)スキンミクロ構造を持つ表面の少なくとも一部を保持するように、該中間材の外面を部分的に機械加工すること
を含む上記方法に関する。
【0040】
好ましくは、該上部構造面又は端部表面が機械加工され、良好な安定性を炉に与える。一つの実施態様において、該支持面が機械加工されず、及び/又は該タンク面が機械加工されない。
【0041】
本発明はまた、本発明に従う方法を使用して生成された又は生成されることが可能なタックストーンに関する。
【0042】
本発明は更に、炉を生成する為の方法であって、該炉は、ガラス溶融タンクと、該タンクの上方に延在する上部構造と、該上部構造を支持する金属構造物とを備えており、該金属構造物と該上部構造の側壁との間の中間層において、好ましくは工程a)~d)に従って、好ましくは工程a)~e)に従って、生成された、本発明に従うタックストーンにおいて組み付けることを含み、該支持面が該金属構造物に、且つ上部構造面が該上部構造の該側壁に、それぞれ接触し、該タンク面が、該タンクの上縁に面する、上記方法に関する。
【0043】
本発明は、最終的に、
上縁を持つタンクと;
金属構造物と;
本発明に従うタックストーンを含む中間層を持つ上部構造と
を備えており、該支持面が該金属構造物上に載置され、該タンク面が該タンクの該上縁に面して延在し、該上部構造が、該上部構造面上に載置される、ガラス炉に関する。
【0044】
定義
横断面は、長さの方向に垂直な平面である。正中横断面は、半分の長さを通る横断面である。
【0045】
語「下(lower)」及び「上(upper)」、「内(inner)」及び「外(outer)」、「水平」及び「垂直」は、タックストーンがガラス炉内のその使用位置にあるときの、向き又は位置を指す。
【0046】
語「水平」及び「垂直」はそれぞれ、完全に水平な面及び垂直な面に対して5°未満、2°未満、又は1°未満の角度を形成する向きを意味する。
【0047】
「結晶密度」は、懸案の表面を、1ミクロンのグレードまでダイヤモンドグリッドで研磨した後に上記表面の顕微鏡法によって得られた平面上で目に見える結晶をカウントすることによって決定される。各結晶は、ガラス質相によって境界が定められる。12平方ミクロンよりも大きい表面積を持つ結晶のみが、カウントされる。タックストーンの表面がスキンミクロ構造を有するか否かを検証する為に、目に見える結晶が、研磨後の該表面のプレート上でカウントされ、次に、該タックストーンは、表面から4cm下の深さまで切り取られ、目に見える結晶が、研磨後にこのように露出された表面のプレート上でカウントされる。
【0048】
語「スキン」は、慣用的に、凝固中に、型の壁面から5ミリメートル(mm)未満にある溶融物質から形成された融合ブロックの周辺領域を意味する。
【0049】
一部が他の部分を「支持し」、他の部分「の上に載置され」、又は他の部分「に接触」している場合、これら2つの部分は一方が他方の上に載置されている。これらの部分の間の接触は、直接的であっても間接的であってもよい。「間接接触」は、この支持体、例えばフェルトの影響下、2つの部分が中間要素によって、好ましくは界面材料によって離間していることを意味する。
【0050】
タンク面は、使用位置において、タンクの上縁に「面する」、即ちこの縁部に実質的に平行に、この縁部の上方に及びすぐ近くに延在する表面である。タンク面は、タンクの縁部から最小距離にある外面上のポイントの組によって、このように画定される。好ましくは水平であるタンク面は、それ故に、タンクのアームと上部構造との間の接合部でクランク35を越えてタンクの外側に向かって延在しない。クランク35は、特に、直角の隆起部を画定しうる。
【0051】
語「機械加工」は、精密な表面幾何形状を得る為に、それを介して耐火性部分の表面が機械加工される研削動作を意味する。慣用的に、本発明の特定の実施態様において、機械加工は、少なくともスキンの除去をもたらす。
【0052】
明瞭化を目的として、酸化物の化学式を使用して、組成物中のこれら酸化物の含量を示す。例えば、「ZrO」、「SiO」、又は「Al」は、これらの酸化物の含量を示し、「ジルコニア」、「シリカ」、及び「アルミナ」は、それぞれZrO、SiO、及びAlから形成されたこれらの酸化物の相を指すのに使用される。
【0053】
他に指示しない限り、本発明に従うタックストーン内の全ての酸化物の含量は、酸化物に対する質量パーセンテージである。金属元素の酸化物の質量含量は、産業の通常の慣習に従って最も安定な酸化物の形で表される、該元素の総含量に関する。
【0054】
融合物において、酸化物は慣用的に、質量の95%超、97%超、99%超、好ましくは実質的に100%である。
【0055】
HfOは、ZrOから化学的に分離することができない。しかしながら、本発明に従うと、HfOは、自発的に添加されない。HfOは、それ故に、酸化ハフニウムの微量のみを指し、該酸化物は常に、一般に5%未満、一般に2%未満の質量含量で、ジルコニアの供給源中に天然に存在する。本発明に従うタックストーンにおいて、HfOの質量含量は、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である。明瞭化を目的として、本発明者等は、酸化ジルコニア及び微量の酸化ハフニウムの総含量を、「ZrO」又は「ZrO+HfO」のいずれかとして示すことができる。それ故に、HfOは、「ZrO、SiO、Al、NaO、B、及びY以外の酸化物型」に含まれない。
【0056】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な記載を読むことから及び添付図面を検証することから、明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、ガラス炉の片側断面を図式的に示す。
図2a図2aは、本発明に従う例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。図示されている形はまた、慣用的なタックストーンの通常の形状である。
図2b図2bは、本発明に従う例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。図示されている形はまた、慣用的なタックストーンの通常の形状である。
図2c図2cは、本発明に従う例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。図示されている形はまた、慣用的なタックストーンの通常の形状である。
図2d図2dは、本発明に従う例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。図示されている形はまた、慣用的なタックストーンの通常の形状である。
図3a図3aは、本発明の好ましい実施態様におけるガラス炉の例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。
図3b図3bは、本発明の好ましい実施態様におけるガラス炉の例示的なタックストーンの図式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は導入部において記載されているので、本発明者等は次に、導入部で部分的に記載されている図2aを参照する。
【0059】
タックストーン20の長さL20は好ましくは、10cmよりも大きく且つ好ましくは100cm未満である。その幅l20は好ましくは、30cmよりも大きく及び/又は100cm未満であり、その高さh20は好ましくは、10cmよりも大きく及び/又は50cm未満である。
【0060】
断面、即ち長さL20の方向に垂直な断面、において、「軸X」は、上面20と下面20との間の途中まで延在する線である。
【0061】
該タックストーンの厚さe20は、正中横断面に含有される軸X上の点で、該点で軸Xに垂直に測定された場合に最小寸法になる。好ましくは、軸Xに沿ったタックストーンの平均厚さは10cmよりも大きく及び/又は50cm未満である。好ましくは、該厚さは、軸Xに沿って一定である。
【0062】
好ましくは、該タックストーンは、横断面でのその寸法が、懸案の断面とは独立するようになされたプロファイルである。
【0063】
好ましくは、支持面2014がスキンミクロ構造を有する。好ましい実施態様において、下面20全体及び/又は上遷移面2026-3の全て若しくは一部、好ましくは上遷移面2026-3の少なくとも非水平部分、及び/又はタックストーンの外側面20、が、スキンミクロ構造を有する。このようにして、亀裂耐性及び機械加工時間が改善される。
【0064】
該スキンミクロ構造が、型の表面に接触するようになることから得られる急速冷却によって得られる場合、該ミクロ構造を持つタックストーンの表面は、上部構造の側壁26との又は金属構造物とのタックストーン20の乾燥アセンブリに有害な、幾何形状のばらつきを有しうる。
【0065】
一つの実施態様において、界面材料40が、スキンミクロ構造を持つ表面の少なくとも一部に対して配置されている。界面材料40は、相互接触することが意図される2つの表面に順応するように、及び/又はそれらを互いに断熱するように構成される。
【0066】
該界面材料は、表面の幾何学的ばらつきを補償するように、変形可能な材料でありうる。
【0067】
該界面材料は、熱伝導度が好ましくは1.0W・m-1・K-1未満、0.7W・m-1・K-1未満、又は0.5W・m-1・K-1未満、の断熱材料でありうる。
【0068】
該界面材料は好ましくはフェルトであり、好ましくは断熱性のフェルトであって、好ましくはセラミック繊維で作製された、特にアルミナ及びシリカをベースにしたフェルトである。
【0069】
該界面材料は、スキンミクロ構造を持つ表面の全て又は部分上に、特に変形可能な材料がない場合に別の小片と直接接触する可能性のある接触面上に、配置されうる。
【0070】
断熱性及び/又は変形可能な界面材料は好ましくは層の形をとり、その厚さが好ましくは40mm未満、好ましくは32mm未満、好ましくは28mm未満、好ましくは22mm未満、及び/又は好ましくは3mmよりも大きく、又は5mmよりも大きい。
【0071】
更に好ましくは、該界面材料は、好ましくは接着によって、スキンミクロ構造を持つ表面に固定される。図2aでは、スキンミクロ構造を持つ支持面上に接着される。該界面材料は有利には、機械加工がないことから生ずる任意の寸法のばらつきにも関わらず、離間している2つの部品のアセンブリを安定化させる。
【0072】
一つの実施態様において、スキンミクロ構造を持つ表面は、特に変形可能な材料の場合に界面材料40の固定を改善する為に、局所的に構造化される。例えば、1以上の取着ゾーンを創出する為に、それぞれが閉じている1以上の円形の溝が設けられうる。
【0073】
一つの実施態様において、該界面材料が下面全体にわたって延在する。
【0074】
好ましくは、該界面材料は、スキンミクロ構造を持たない表面上に延在しない。
【0075】
図2c又は3bに示されている好ましい実施態様において:
下面20全体(支持面2014、タンク面2012、並びに支持面2014及びタンク面2012に接続する下遷移面2014-12)、
外側面20全体、及び
水平ではない上遷移面2026-3の部分
が、スキンミクロ構造を有する(図2c及び図3bの斜線領域)。該界面材料は好ましくは独占的に支持面2014全体にわたり及び水平ではない下遷移面2014-12の部分全体にわたり延在する(図2c及び図3b)。
【0076】
図2dに示されている実施態様において、支持面2014、即ち使用位置で金属構造物に面して延在する表面、が、1以上の、好ましくは2から4本の、脚42を含み、それらの端面44は平らであり同一平面にある。脚の高さh42は好ましくは1mmよりも大きく、好ましくは2mmよりも大きく、及び/又は2cm未満であり、好ましくは1cm未満であり、好ましくは8mm未満であり、好ましくは5mm未満である。
【0077】
該脚の端面は表面を画定し、それを介してタックストーンが金属構造物上に載置される。これらを機械加工することにより、表面を完全に順応させた状態でタックストーンを設置することが可能になり、該タックストーンの精密な位置決めが可能になる。
【0078】
好ましい実施態様において、該脚の端面にはスキンミクロ構造を有しない。しかしながら、支持面2014の残り及び/又は脚の表面の残りはスキンミクロ構造を有しうる。
【0079】
好ましくは、使用位置において、界面材料40は、タックストーンと金属構造物との間の空間を満たす。言い換えれば、界面材料40は、脚の間を延在する。界面材料40は、層の形をとり得、例えば脚の形状に適合させた穴46によって穿孔された不織マットでありうる。有利には、脚はこのように所定位置で界面材料40を保持するのを助ける。
【0080】
実施態様において、端面44を除いて支持面2014は機械加工されない。機械加工操作はそれによって有利に、実質的に加速される。
【0081】
脚の端面の面積S44の総計、又は支持面が単一の脚を画定するときの脚の端面の面積は、好ましくは支持面2014の面積の0.5%よりも大きく、好ましくは1%よりも大きく、2%よりも大きく、且つ/又は10%未満、好ましくは8%未満、好ましくは5%未満である。一つの実施態様において、各端面が、10cm未満、5cm未満、3cm未満の表面積を有する。
【0082】
好ましくは、該脚は並んでおらず、そのことがタックストーンの安定性を改善する。
【0083】
該脚の形状は限定的でない。特に、該脚の形状は円筒形であり得、好ましくは円形のベースを備え(図示されているように)、しかしながら、円錐形又は平行六面体でありうる。該脚は、必ずしも全てが同じ形状を有する必要はない。
【0084】
一つの実施態様において、少なくとも1つの又は各脚が、タックストーンの全長に沿って延在する。
【0085】
好ましくは、該脚の形状に、アンダーカットを持つ領域がない。
【0086】
一つの実施態様において、精密に決定された幾何形状を有する型、例えば3次元印刷によって作製された型、が使用される。
【0087】
好ましくは、本発明によるタックストーンは、その質量の80%よりも多くまで、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び場合によってはジルコニア安定化剤、特に酸化イットリウム、を含む、電融材料を含み、好ましくは該電融材料によって構成される。該材料は、AZS型のものであり得、又は非常に高いジルコニア含量(典型的には、質量パーセンテージで80%超のZrOを含む)を有しうる。
【0088】
一つの実施態様において、本発明に従うタックストーンは、0.5%よりも多く、1.5%よりも多く、3.0%よりも多く、4.0%よりも多く、5.0%よりも多く、又は6.0%よりも多く、及び/又は10.0%未満、9.0%未満、又は8.0%未満、のジルコニア安定化剤、特にCaO及び/又はY及び/又はMgO及び/又はCeO、好ましくはY及び/又はCaO、好ましくはY、を含む。
【0089】
好ましくは、本発明に従うタックストーンは、酸化物に対する質量パーセンテージで、合計で100%として、
Al+ZrO+SiO:80.0%よりも多く、好ましくは84.0%よりも多く、好ましくは86.0%よりも多く、及び/若しくは97.0%未満、若しくは95.0%未満、若しくは94.0%未満、並びに/又は
:0.5%よりも多く、1.5%よりも多く、2.0%よりも多く、及び/若しくは5.0%未満、4.0%未満、又は3.0%未満、並びに/又は
NaO:0.1%よりも多く、0.2%よりも多く、及び/若しくは0.6%未満、好ましくは0.5%未満、又は0.4%未満、並びに/又は
:0.1%よりも多く、又は0.2%よりも多く、及び/若しくは0.6%未満、好ましくは0.5%未満、又は0.4%未満、並びに/又は
Al、ZrO、SiO、Y、NaO、及びB以外の酸化物型:10.0%未満、好ましくは9.0%未満、更に好ましくは8.0%未満、5.0%未満、若しくは3.0%未満、若しくは2.0%未満、若しくは1.0%未満、若しくは0.5%未満
になるような化学組成を有する。
【0090】
一つの実施態様に従うと、本発明に従うタックストーンは:
ZrO:12.0%よりも多く、好ましくは15.0%よりも多く、好ましくは18.0%よりも多く、若しくは22.0%よりも多く、及び/若しくは45.0%未満、若しくは40.0%未満、若しくは35.0%未満、若しくは30.0%未満、若しくは25.0%未満、並びに/又は
SiO:8.0%よりも多く、好ましくは10.0%よりも多く、好ましくは12.0%よりも多く、及び/若しくは24.0%未満、若しくは20.0%未満、17.0%未満、若しくは14.0%未満、並びに/又は
Al:35.0%よりも多く、好ましくは38.0%よりも多く、若しくは40.0%よりも多く、及び/若しくは60.0%未満、好ましくは55.0%未満、若しくは50.0%未満、46.0%未満、若しくは44.0%未満
になるような化学組成を有する。
【0091】
一つの実施態様に従うと、本発明に従うタックストーンは、
ZrO:80.0%よりも多く、好ましくは83.0%よりも多く、好ましくは86.0%よりも多く、及び/若しくは97.0%未満、若しくは95.0%未満、若しくは94.0%未満、並びに/又は
SiO:0.5%よりも多く、好ましくは1.5%よりも多く、好ましくは2.5%よりも多く、好ましくは4.0%よりも多く、若しくは6.0%よりも多く、8.0%よりも多く、8.5%よりも多く、及び/若しくは15.0%未満、若しくは12.0%未満、10.0%未満、若しくは8.0%未満、並びに/又は
Al:0.2%よりも多く、好ましくは1.0%よりも多く、及び/若しくは3.0%未満、好ましくは2.0%未満
になるような化学組成を有する。
【0092】
一つの実施態様に従うと、タックストーンは、ガラス炉の金属エンベロープに固着させる為のデバイス42を有する。この固着デバイスは例えば、ネジ、フック、金属板、又は切欠きを含む。該固着デバイスは好ましくは、上部構造面から20cm未満、好ましくは10cm未満、好ましくは5cm未満、に固定され(図2c)、又は上部構造面に固定される(図3a)。
【0093】
当然ながら、上述の寸法及び形状は、限定的なものでない。
【0094】
図3は、本発明に従うタックストーンの好ましい形状の、図式的な斜視図を示す。
【0095】
上部構造アームとタンクアームとの間の接合部において、上遷移面2026-3は、隆起部のない上接合面21を画定し、好ましくは(図示されているように)90°を超える角度(円筒体の4分の1)に延在する且つ好ましくはこれらのアームの2つのそれぞれの水平面を接続する、円形の円筒状ベースの一部を好ましくは構成する。
【0096】
好ましくは、上部構造アームとタンクアームとの間の接合部で、下遷移面2014-12が、隆起部のない下接合面23を画定し、好ましくは(図示されているように)90°を超えた角度に延在する、好ましくはこれらのアームの2つのそれぞれの水平面を接続する、円形の円筒状ベースの一部を好ましくは含み又は構成する。一つの実施態様において、この円筒部分は、上遷移面の円筒部分と実質的に同軸である。
【0097】
型を生成する為の3次元印刷の使用は、隆起部のない表面、特に上遷移面及び/又は下遷移面の、特にこれらの遷移面の円筒部分の、より容易な生成を可能にする。タックストーンの機械的強度はそれによって改善される。
【0098】
好ましい実施態様において、図3に示されているように、タックストーンの厚さが軸Xに沿って一定である。
【実施例
【0099】
稼動中のタックストーンが被る応力を再現する為に、寸法150×100×85mmの試験片が炉内に配置され、第1の広い面(「高温面」(hot face)と呼ぶ)が加熱手段に近接しており、且つ、反対側の第2の広い表面(「低温面」(cold face)と呼ぶ)が、閉じたときに炉の扉に対して存在するようになされた。
【0100】
加熱手段の温度は、高温面で1350℃に到達するまで、1時間当たり30℃の速度で上昇させた。この温度は、試験の全体を通して維持された。
【0101】
次に、炉の扉が周期的に開かれ、3時間3サイクルにわたり600℃~1000℃で低温面の温度のばらつきを引き起こし(扉を1.5時間開放し、ドアを1.5時間閉じる)、次に、温度が600℃で15時間維持された。この処理が、連続5日間にわたり繰り返された。
【0102】
試験片の性能が、試験の前後で動的ヤング率又は「MOE」を測定することによって評価された。MOEは、フラットモードで、Ultratest社製のUltrasonic Tester IP8を使用して、試験片中での超音波の伝搬の速度を測定することによって決定された。表1で、20℃で測定された初期MOEに、「MOEini」とマーク付けされ、試験後の残留MOEに「MOEres」とマーク付けされ、MOEの損失(「MOEres」-「MOEini」)/「MOEinitial」に、「ΔMOE」とマーク付けされる。
【0103】
生成物のミクロ構造が、ImageJ画像解析ソフトウェアを備えたRichert Polyvar 2型の光学顕微鏡を使用して、好ましくは×5の倍率を使用して、分析され、特徴付けられることができた。画像解析ソフトウェアは、独立した(即ち、ガラス質相によって取り囲まれた)結晶の単離、及びそれらの表面積の決定を可能にする。特に、遊離ジルコニア又はアルミナ-ジルコニア共晶の結晶を区別することが可能である。表面積が12平方ミクロンよりも大きい結晶のみがカウントされた。
【0104】
低温面の表面(Nc-surface)の及び試験片内4cmに位置する表面(Nc-internal)の、1mm当たりの結晶(Nc)の数をカウントした。与えられた値は、4回にわたり読み取った平均に該当する。Nc-surface及びNc-internalの間の比を計算した。4よりも大きい、又は7よりも大きい比は、スキンミクロ構造を表す。
【0105】
試験片no.1は、全ての面が機械加工され且つSEFPRO社によって販売されたAZS ER1681材料からなる、参照試験片である。
【0106】
試験片no.2は、全ての面が機械加工され且つSEFPRO社によって販売されたER1195材料からなる、参照試験片である。
【0107】
試験片No.3は、低温面を除いた全ての面が機械加工され且つSEFPRO社によって販売されたER1195材料からなる、試験片である。
【0108】
試験片No.4は、低温面を除いた全ての面が機械加工され且つSEFPRO社によって販売されたER1681材料からなる、参照試験片である。
【0109】
耐腐食性を測定する為に、直径22mm及び高さ100mmの円筒バーを試験片から切り取り、アルカリ石灰ガラスの浴に浸漬させたバーを回転させることからなる試験に供した。試験片の回転速度は、1分当たり6回転であった。実施例2及び3では、ガラスを1550℃にし、試験を72時間続けた。実施例4では、ガラスを1500℃にし、試験を48時間続けた。試験の終わりに、各バーごとに、腐食した試験片の残りの容積を、評価した。参照生成物の残りの容積(各試験で存在する実施例1)を、比較基準として選択した。任意の他の腐食バーの残りの容積と、参照腐食バーの残りの容積との比を、100倍した値は、腐食指数(Ic)に該当し、参照生成物の場合に対する、試験がなされた試験片の耐腐食性の評価を与える。このように100よりも大きいスコアは、参照生成物の場合よりも小さい腐食損失を表す。それ故に、懸案の生成物は、参照生成物よりも、溶融ガラスによる腐食に対して良好な耐性を有する。
【0110】
また、500℃での温度での試験片の熱機械的強度が、MOR/MOE比を使用して評価された。次に、破断力(MOR)及びMOEが、寸法15×25×150cmの試験片において測定された。3点曲げ載置が、2つの下方支持体間が125mmの距離で、Shimadzuプレス機を使用してISO NF EN 843規格に合わせて生成された。ゴムをパンチ上に配置して、亀裂の開始を回避した。パンチ低下速度は、1分当たり5mmで一定であった。
【0111】
結果が表1に示されている:
【0112】
【表1】
【0113】
実施例は、ΔMOEを3よりも大きい値で割ることができるので、スキンミクロ構造(生成物の周辺での結晶密度の高い勾配)が、生成物の安定性に著しい改善をもたらすことを示す。
【0114】
MOR/MOE比の増大は、本発明に従うタックストーンの優れた熱機械的強度を示す。
【0115】
記載されている実施態様は、単なる例示であり、本発明の範囲から離れることなく、特に技術的均等物の置換によって変更できることが明らかである。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b