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特許7495348内部リザーバ技術一次ボアを有する可変力テンショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】内部リザーバ技術一次ボアを有する可変力テンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
F16H7/08 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020541944
(86)(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 US2018019640
(87)【国際公開番号】W WO2019164525
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】キース・ビー・コブ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・トッド
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】中屋 裕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509187(JP,A)
【文献】特開2015-183767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変力テンショナ(VFT)であって、
ハウジング、
前記ハウジング内に配置され、底端部、第1の部分および第2の部分を有する第1のボアであって、前記第1の部分は、第1の直径を有し、かつ前記第2の部分は、前記第1の部分の前記第1の直径よりも広い第2の直径を有し、前記第2の直径の部分は、前記第1のボアの前記第1の部分のセクション内に配置され外部供給源と流体連通する、第1のボア、
前記第1のボアに摺動可能に配置される一次ピストンであって、
その内部に配置された低圧チャンバ(LPC)であり、前記外部供給源から流体を収容するための第2の入口を含む一次リザーバを備える、低圧チャンバ(LPC)と、
その一端部に接続された一次低圧チャンバ-高圧チャンバ(LPC-HPC)入口とを含む一次ピストンであって、
流体が前記LPCから前記一次LPC-HPC入口を介して供給されるとき、その底部と前記第1のボアの底端部との間に高圧チャンバ(HPC)を生成する一次ピストン
前記第2の直径の部分は、追加の流体を前記外部供給源から前記LPCの前記一次リザーバの前記第2の入口へ伝達するものであり、
前記高圧チャンバ内に配置され、前記第1のボアの底端部から離れるように前記一次ピストン上にバイアスを印加するスプリング、
前記一次LPC-HPC入口に接続されたチェックバルブであって、流体が前記低圧チャンバから前記高圧チャンバへ流れるようにし、前記一次ピストンが前記第1のボアの外部に延びるように構成されたチェックバルブ、
前記ハウジング内に配置され、二次高圧チャンバを形成する中空内部を有する第2のピストン、第2のチェックバルブおよび二次LPC-HPC入口を含む第2のボアであって、前記第2のチェックバルブが前記第2のピストンと前記二次LPC-HPC入口との間に接続され、前記二次LPC-HPC入口から前記第2のピストンの中空内部への流体の流れを制御し、前記第2のピストンが前記第2のボアの外側に延びるようにされた第2のボア、および
前記ハウジングの後側に配置され、前記第1のボアの前記第2の直径部分および前記第2のボアの前記二次LPC-HPC入口に流体を提供する共有リザーバを含む、可変力テンショナ(VFT)。
【請求項2】
前記一次ピストンの下部は、その外側表面に沿って前記HPCから前記一次リザーバに軸方向に延びられ、過量の流体が前記一次リザーバに再び流れるようにする少なくとも1つの高圧ピストンボアクリアランス経路を含み、前記少なくとも1つの高圧ピストンボアクリアランス経路は、前記一次リザーバの圧力に対して作用する圧力を有する、請求項1に記載のVFT。
【請求項3】
前記第2のピストンは、その前記中空内部に配置されたスプリングを含み、前記スプリングは、前記第2のボアの外側に前記第2のピストンを付勢させる、請求項1に記載のVFT。
【請求項4】
前記一次ピストンは、外部表面の周りに形成され、その長さに沿って延びる一連のラチェット溝を含み、
前記第1のボアは、その中で延在して、前記ラチェット溝のいずれかを捕捉し、前記一次ピストンが前記第1のボア内へと摺動することを防止するラチェットクリップを含む、請求項1に記載のVFT。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧テンショナの分野に関する。より具体的に、本発明は、ピストンの高圧チャンバへのより速い流体の流れが提供できる一次ピストンに一体化されたリザーバを有する二重油圧力テンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
二重油圧可変力テンショナ(VFT)システムは、テンショナの後面部にリザーバを有する二重ピストン設計を利用している。流体は、リザーバ側からチェックバルブを通じてテンショナの底部からの両ピストン内に流れ込み、ピストン内の高圧チャンバを満たす。一次ピストンは、ピストンチャンバ内の高圧により、テンショナアームと接触させ、エンジンのチェーンまたはベルトに張力を保持するようにする。
【0003】
図1は、一次ボア103内に配置された一次ピストン102、二次ボア105内に配置された二次ピストン104、一次低圧チャンバ(LPC)-高圧チャンバ(HPC)入口106、二次低圧チャンバ(LPC)-高圧チャンバ(HPC)入口108および高圧ピストンボアクリアランス(clearance)経路110を含む従来の可変力テンショナ(VFT)100の前面部を示す。
【0004】
図2は、テンショナの後面部を示し、ここで共有リザーバ118は、一次LPC-HPC106(図1参照)および二次LPC-HPC108(図1参照)を介してそれぞれ両ピストン102、104に流体を提供する。テンショナ100は、2つの穴112を通って延びられるボルト(図示せず)およびエンジン内に延びられる対応穴(図示せず)を介してエンジンに接続される。ラチェット(ratchet)クリップ114(図1)は、一次ボア103の内部の周りに延びられるように配置され、ピストン102が一次ボア103内に再び摺動されることを防止する。停止溝116がピストン102の外部表面上に配置され、ピストン102がボア103からどれだけ遠くまで延びることができるかに関して制限されるように、ラチェットクリップ114によって捕捉されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の上述の実施形態は、ハウジング;ハウジング内に配置され、底端部を有する第1のボア;第1のボアに摺動可能に配置され、その内部に配置された低圧チャンバ(LPC)およびその一端部に接続された低圧チャンバ-高圧チャンバ(LPC-HPC)入口を含む一次ピストンであって、流体がLPCからLPC-HPC入口を介して供給されるときに、その底部と第1のボアの底端部との間に高圧チャンバ(HPC)を生成する一次ピストン;高圧チャンバ内に配置され、第1のボアの底部から離れるように一次ピストン上にバイアスを印加するスプリング;LPC-HPC入口に接続されたチェックバルブであって、流体が低圧チャンバから高圧チャンバへ流れるようにし、一次ピストンが第1のボアの外部に延びられるように強制的に構成されたチェックバルブ;およびハウジング内に配置され、中空内部を有する第2のピストン、第2のチェックバルブおよび第2のボアLPC-HPC入口を含む第2のボアであって、第2のチェックバルブが第2のピストンと第2のボアLPC-HPC入口との間に接続され、LPC-HPC入口から第2のピストンの中空内部への流体の流れを制御し、第2のピストンが第2のボアの外部に延びられるように強制する第2のボア;を含む可変力テンショナー(VFT)を提供する。
【0006】
本発明の実施形態において、低圧チャンバは、一次リザーバを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態において、一次リザーバは、外部供給源から流体を収容するための第2の入口を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態において、第1のボアは、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、第1の直径を有し、第2の部分は、第1の直径よりも広い第2の直径を有し、第1の部分のセクション内に配置され、追加の流体を外部供給源から一次リザーバの第2の入口へ伝達する。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態において、第1のボアは、その内側表面に沿ってその閉鎖端部からその第2の直径まで軸方向に延びられる少なくとも1つの高圧ピストンボアクリアランス経路を含み、過量の流体がHPCから一次リザーバに再び流れるようにし、少なくとも1つ以上の高圧ピストンボアクリアランス経路はHPCよりも低い圧力にある。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、第2のピストンは、その中空内部に配置されたスプリングを含み、スプリングは、第2のボアの外側に第2のピストンを付勢させる。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態において、VFTは、ハウジングの後側に配置された共有リザーバをさらに含み、第1のボアの第2の直径および第2のボアLPC-HPC入口に流体を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態において、第1のピストンは、外部表面の周りに形成され、その長さに沿って延びられる一連のラチェット溝を含み;第1のボアは、その中で延びられ、ラチェット溝のいずれかを捕捉するラチェットクリップを含み、一次ピストンが第1のボア内に摺動されることを防止する。
【0013】
本発明の上述の実施形態はまた、その中に外部供給源から流体を収容するための入口を有するハウジング;第1の直径を有する内壁およびその端部を含むボア;およびボアの内壁内に摺動可能に配置された一次ピストンを含む可変力テンショナ(VFT)を提供するところ、一次ピストンは、その第1の端部に配置され、リザーバから流体を放出するための第1の入口を含むリザーバ;およびその第2の端部に配置され、頂部、ピストンの第2の端部の2つの側部およびボアの端部で形成されたチャンバであって、内部に配置され、第1のリザーバ入口に接続されてリザーバからチャンバへの流体の流れを制御し、その中に高圧を生成してピストンをボアの外側に延びられるように強制するチェックバルブを含む、チャンバを含む。本発明の実施形態において、チャンバは、内部に配置され、ボアの端部に安着されてピストンをボアの外側に付勢させるスプリングをさらに含む。
【0014】
本発明の別の実施形態において、VFTは、ボアの側部に沿ってその端部からその第2の直径まで延びられ、高圧チャンバからリザーバに再び流体を漏出させる少なくとも1つの圧力ピストンボアクリアランス経路をさらに含む。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態で、VFTは、ハウジングの後側に配置され、流体をハウジング入口に供給する二次リザーバをさらに含む。
【0016】
本発明の別の実施形態において、ボアは、第1の直径よりも広く、第1の直径のセクション内に配置され、ハウジング入口からリザーバの第2の入口へ追加の流体を伝達する第2の直径を含む。
【0017】
本発明の上述の実施形態はまた、ハウジング;ハウジングの第1のボア内に摺動可能に配置された一次ピストンを含む可変力テンショナ(VFT)を提供するところ、一次ピストンは、一次ピストンを含む第1のセクションであって、一次リザーバは、外部供給源から内部にオイルを収容するための入口、および第1のボア内に延びられる第1の端部における出口を含む、第1のセクション;および第1の次リザーバと第1のボアの底端部との間に配置された高圧チャンバを含む第2のセクションであって、高圧チャンバは、出口に接続され、一次リザーバからオイルを収容するチェックバルブ、および第1のボア外部に延びられるように一次ピストンにバイアスを提供する内部のスプリングを含む、第2のセクションを有する。
【0018】
本発明の実施形態において、VFTは、第1のボアの溝に沿って高圧チャンバから入口に延びられ、オイルを一次リザーバに再び戻す高圧ピストンボアクリアランス経路を含む。
【0019】
本発明の別の実施形態において、第1のボアは、ピストンが内部で摺動されるその長さに沿って延びられる第1の直径、および第1の直径よりも大きく、第1のボアの一部に沿って延びられ、一次ピストン入口が第2の直径に沿って摺動されるときにハウジング入口からオイルを収容し、一次ピストン入口にオイルを放出する第2の直径を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、従来の可変力テンショナの前面部の斜視図を示す。
図2図2は、図1のVFTの後面部の斜視図である。
図3A図3Aは、本発明の例示的な実施形態による可変力テンショナ(VFT)の前面部の斜視図を示す。
図3B図3Bは、本発明の別の例示的な実施形態による可変力テンショナ(VFT)の前面部の斜視図を示す。
図4図4は、図3Aに示された例示的な実施形態によるVFTの後面部の斜視図を示す。
図5図5は、本発明のさらに別の実施形態による一次ピストンとボアの組み合わせを示す。
図6図6は、作動中の図3Bの可変力テンショナを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、その一部を形成し、本教示が実施され得る特定の例示的な実施形態を例として示す添付図面に対する参照がなされる。これらの実施形態は、当業者が本教示が実施できるように十分に詳細に説明されており、他の実施形態が利用し得、かつ本教示の範囲から逸脱することなく変更がなされ得ることを理解されるべきである。したがって、以下の説明は単に例示的である。
【0022】
本明細書に使用される専門用語は、特定の例示的実施例を説明するためのものにすぎず、限定しているものではない。本明細書に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示していない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「を含む(comprises)」、「を含む(comprising)」、「を含んでいる(including)」、および「を有する(having)」は、包含的であり、したがって述べられている特徴、整数、ステップ、作動、要素、および/または部品の存在を明示しているが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、部品、および/またはそれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではない。本明細書で説明される方法ステップ、プロセス、および作動は、実行の順序として特に識別されない限り、議論されるかまたは例示された特定の順序へのそれらの実行を必ずしも必要とするものと解釈されるべきではない。また、追加または代替のステップが使用され得ることを理解すべきである。
【0023】
ある要素または層が、別の要素または層に対して「上にある(on)」、「係合される(engaged to)」、「接続される(connected to)」、または「結合される(coupled to)」と称される場合、その他の要素または層に対して直上にあるか、直接係合されるか、直接接続されるか、直接結合されてもよく、あるいは介在の要素または層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層に対して「直上にある(directly on)」、「直接係合される(directly engaged to)」、「直接接続される(directly connected to)」、または「直接結合される (directly coupled to)」と称される場合、介在の要素または層は存在できない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方式で解釈すべきである(例えば、「の間に位置する(between)」と「の間に直接位置する(directly between)(directly adjacent)」、「に隣接(adjacent)」と「に直接隣接(directly adjacent)」、など)。本明細書において使用されるとき、用語「および/または」は、1つ以上の列挙された関連する項目の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0024】
「内部(inner)」、「外部(outer)」、「下(beneath)」、「下(below)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、本明細書で容易な説明のために図に示されたような別の要素(複数)または特徴(複数)に対する1つの要素または特徴の関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された配向以外に使用または作動時のデバイスの異なる配向を含むものと意図され得る。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下」または「下」として記載された要素は、そのとき、その他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、例示的な用語「下」は、上および下の両方の向きを含むことができる。装置は異なって配向(90度または他の配向に回転)されてもよく、本明細書中に使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈されてもよい。
【0025】
上述のように、本発明は、二重油圧可変テンショナ(VFT)に関し、より具体的には、ピストンの高圧チャンバ内へのより速い流体の流れが提供できる一次ピストンに一体化されたリザーバを有する二重油圧力テンショナに関する。
【0026】
図3A図4の二重油圧可変テンショナ(VFT)300は、自動車の内燃機関のための無限ループ可撓性動力伝達部材、例えば、チェーンまたはベルトに使用することができる。動力伝達部材は、エンジンのクランクシャフトなどの駆動シャフトによって駆動される駆動スプロケット、およびエンジンのカムシャフトなどの被動シャフトによって支持される少なくとも1つの被動スプロケットを取り囲む。
【0027】
図3Aを参照すると、本発明の例示的な実施形態による二重油圧可変力テンショナ(VFT)300が示されている。二重油圧可変力テンショナ(VFT)300は、テンショナアーム(図6参照)を介してチェーンまたはベルト(図示せず)に予め定められた張力を保持するのに使用することができる。二重油圧VFT300は、ハウジング302を接続する意図された目的を提供するボルトまたは他のタイプのファスナーなどのコネクタをコネクタ穴304を通じて自動車または他のチェーンまたはベルト被動装置に挿入することにより、自動車(図示せず)または他の装置のフレームに固定され得るハウジング302を含む。
【0028】
二重油圧VFT300は、一次ピストンチャンバ310および二次ピストンチャンバ312がそれぞれ内部に形成され得る一次および二次軸方向に延びるボア306、308を含むことができる。一次ピストン314は、一次ボア306内に配置されてもよく、二次ピストン316は、二次ボア308内に配置されてもよい。
【0029】
一次ボア306は、閉鎖端部306a、およびボア306の長さに沿って延びられる直径d1を有する第1の部分を含む側壁306bを含むことができる。入口302aは、ハウジング302を通じて提供され、外部供給源(以下により詳細に議論される)から追加のオイルまたは他の流体を収容することができる。入口302aは、一次ピストン314にオイルまたは他の流体を供給するために外部オイルまたは他の流体供給物(図示せず)と流体連通するように配置されてもよい。
【0030】
一次ピストン314は、ボア306に対して露出された第1の端部314a、ボア306内に配置された第2の端部314b、第1の端部314aと第2の端部314bとの間で延びられる長さL、および以下でさらに説明されるように、一次ピストン314の内部と連通するように配置され、戻り流体を収容する入口314cを有する本体を含むことができる。一次ピストン314は、その第1の端部314aに向かって配置された低圧チャンバ(LPC)318、およびその第2の端部314bに向かって配置された高圧チャンバ(HPC)320を含む2つのチャンバに分割されてもよく、LPC318は、HPC320の直径D2よりも小さい直径D1を有する。チェックバルブ324が、LPC318とHPC320との間に提供され、LPC318からHPC320へのオイルの流れを制御することができる。HPC318とチェックバルブ324との間に低圧チャンバ(LPC)入口328が提供され、オイルがLPC318からチェックバルブ324に流れるようにすることができる。
【0031】
HPC320は、チェックバルブ324と一次ボア306の閉鎖端部306aとの間に形成されてもよい。このように、HPC320は、一次ピストン314が第1のボア306の閉鎖端部306aから離れて延びられる距離に応じて長さが変わる。一次ピストン314はまた、HPC320に配置され、一次ボア306の閉鎖端部306aに安着されてピストン314をボア306の閉鎖端部306aから離れるようにバイアス(bias)させるピストンスプリング322を含むことができる。
【0032】
一次LPC318は、内部にオイルまたは別のタイプの圧力流体を含むピストンリザーバ326を含むことができる。このオイルは、LPC-HPC入口328およびチェックバルブ324を通じてHPC320内に流れる。ピストンスプリング322は、一次ピストン314に力を保持し、HPC320内の圧力が低下した場合、ピストン314が一次ボア306内にさらに摺動されることを防止する。HPC320はまた、リザーバ326から収容される内部に含まれる加圧オイルの結果として、一次ピストン314に力を保持する。
【0033】
本発明の別の実施形態において、図3Bに示すように、一次ボア306は、ボア306の第1の部分の第1の直径d1よりも広い第2の直径d2を有し、第1の部分のセクション内に配置された第2の部分を含むことができる。直径d2を有する第2の部分は、ハウジング302の入口302aと接続された外部供給源から一次リザーバ326の入口314cへ追加のオイル/流体を伝達する。本発明の別の実施形態において、図5に示されるように、一次ピストン314の外周は、その長さに沿って一連のラチェット溝540と、ラチェットクリップ544を捕捉するために入口314cにより近く、ラチェット溝540よりも大きい停止溝542を含むことができる。ラチェットクリップ544は、一次ピストン314に適用されるHPC320およびスプリング322の力により一次ピストン314が一次ボア306外部に延びられるにつれ、ラチェット溝540の内外にラチェット(または膨張)および収縮する拡張可能なクリップであり得る。ラチェットクリップ544は、テンショナアーム(図6参照)はテンショナアームに接触しているチェーンまたはベルトからの力により一次ピストン314を加圧するときに、一次ピストン314が一次ピストンボア306内に再び摺動されることを防止する。
【0034】
再び図3Bを参照すると、張力下のチェーンまたはベルトが摩耗し、および/または高負荷を有せず、これによって弛み始めるとき、追加の流体がリザーバ326からLPC-HPC入口328およびチェックバルブ324を介してHPC320に提供され、一次ピストン314が一次ボア306外部へさらに延びられる方向に強制されるようにする。結果として、一次ピストン314の第1の端部314aは、テンショナアーム(図6参照)に力をかけ続け、チェーンまたはベルトをぴんと張った状態の制御下に保持する。
【0035】
一次リザーバ326はまた、一次リザーバ326からHPC320に供給されるオイルの結果として一次リザーバ326が枯渇されるにつれ、追加のオイルを収容するためにピストン入口314cを含むことができる。ピストン入口314cは、一次ボア306の第2の部分d2からオイルを収容する。図4を参照して以下でより詳細に説明されるように、ボア306の第2の部分d2は、ハウジング入口302aに接続された外部供給源から流体を収容する。
【0036】
HPC320で過度の圧力が生じ得る場合、内部の流体の一部は、一次ピストン314の外部表面の下部に沿って軸方向に形成された1つ以上の高圧ピストンボアクリアランス経路330に沿って外部に漏出される可能性がある。高圧ピストンボアクリアランス経路330は、HPC320からリザーバ326(矢印330参照)に直接再び延びられ、リザーバの圧力に対して作用するため、図1および図2に示されるように、従来のテンショナと比較してピストン対ボアクリアランス漏出の量は減少される可能性があり、ここでクリアランス漏出経路は大気圧に対して作用する。このような低い隙間漏出は、より低い隙間漏出変動およびより一貫したテンショナ性能をもたらす。さらに、ピストンボアクリアランス経路(複数)330を通過するオイルは再循環される。1つ以上の二次ピストン対ボアクリアランス経路は、一次ピストン314の外部表面の上部に沿って軸方向に形成され、ボア306の第2の部分d2からボア306の頂部(top)を通って外部に延びられる。
【0037】
上述のように、二次ピストン316は、二次ボア308に配置されてもよく、その軸方向の長さに沿って内部が中空であってもよい。二次チャンバ312は、高圧チャンバ(HPC)であり、二次ピストン316と二次ボア308の中空内部の組み合わせによって形成され得る。二次ピストン316は、中空内側部分を通って延びられる二次ピストンスプリング334を含み、ピストン316に力を保持し、ピストン316が二次ボア308内にさらに摺動されることが防止できる。
【0038】
二次ピストン316はまた、二次HPC312内への一方向へのオイルの流れを可能にする二次一方向チェックバルブ336を含むことができる。より具体的に、二次チェックバルブ336を通る流体の流れは、二次HPC312内に一定の圧力を保持するために二次低圧チャンバ(LPC)-高圧チャンバ(HPC)入口338を介して追加の流体が提供されるときに生じ得る。二次LPC-HPC入口338を通って流れるオイルは、図4を参照してより詳細に説明されるように、外部流体供給源から収容され得る。
【0039】
図4の例示的な実施形態に示されるように、二次LPC-HPC入口338に入る流体は、図3Aおよび図3Bに示されるように、二重油圧可変力テンショナ(VFT)300のハウジング302の後部に配置された共有リザーバ402から収容され得る。より具体的に、共有リザーバ402の出口404は、二次LPC-HPC入口338を介して二次ピストンチャンバ312に流体が提供できる一方、共有リザーバ402の出口406は、ハウジング入口302aおよび一次ボア306の第2の部分d2を介してピストン314の一次リザーバ326に流体を提供することができる。二重油圧可変力テンショナ(VFT)300が新しいチェーンまたはベルトに張力をかけるとき、作動中に、オイルは一次リザーバ326からLPC-HPC入口328およびチェックバルブ324を介して一次HPC320に供給され得る。このオイルは、HPC320内に圧力を生成し、一次ピストンスプリング322によって提供される力とともに一次ピストン314を一次ボア306の外側に付勢させる力を提供する。HPC320およびスプリング322によって提供される力は、一次ピストン314によってテンショナアーム(図6参照)に伝達され、これは順番にエンジンの閉ループチェーンまたはベルトのスパン(span)を付勢させる。同時に、二次ピストン316は、二次ピストンスプリング334および二次PLC-HPC入口338から二次HPC312に供給された流体の力により二次ボア308の外側に強制される。二次HPC316およびスプリング334によって提供される力は、二次ピストン316によってテンショナアームに伝達され、これは順番にエンジンの閉ループチェーンまたはベルトのスパンを付勢させる。
【0040】
二重油圧可変力テンショナ(VFT)300が摩耗されたチェーンまたはベルト、あるいは荷重がほとんどまたはまったくかかっていないチェーンまたはベルトに張力をかけるとき、作動中に、オイルは一次LPC-HPC入口328およびチェックバルブ324を介して一次HPC320に供給され、一次ピストンスプリング322によって一次ピストン314にかかる力に加え、一次ピストン314を一次ボア306から外側に強制する圧力を生成することができる。HPC320およびスプリング322によって提供されるこれらの力は、一次ピストン314によってテンショナアームに伝達され、これは順番にエンジンの閉ループチェーンまたはベルトのスパンを付勢させる。同時に、二次ピストン316も二次ピストンスプリング334によって二次ボア308からさらに外側に強制される。チェーンまたはベルトがさらに磨耗されるにつれ、追加の弛みがチェーンまたはベルトに生じ、一次ピストン314および二次ピストン316の両方はそれらのそれぞれの一次および二次ボア306、308から外側にさらに延びられ、テンショナアームにバイアスをかけ続け、チェーンまたはベルトに張力を適切に保持する必要がある。
【0041】
二重油圧可変力テンショナ(VFT)300が、テンショナアーム(図6参照)を介して高い動的チェーンまたはベルト荷重中に、チェーンまたはベルトに張力をかけるとき、チェーンまたはベルトからの高い動的荷重は、一次ピストン314および二次ピストン316をそれらのそれぞれのボア306、308の内側に、次いでそこから外側に交互に加圧する。二次ピストン316の内側移動は、一方向チェックバルブ336によって生成された二次HPC312の流体圧力によって抵抗され、これは二次HPC312内の流体が二次LPC-HPC入口338を介して逆流することを停止させる。結果として、二次ピストン316は、スプリング334の力によって外側に移動する。この作動は、二次ピストン316が「ポンプアップ(pump up)」されるようにし、チェックバルブ336を介して二次HPC312内へより多くの流体を引き込み、これは順番に二次ピストン316の第1の端部316aがテンショナアームに力を加えるようにする。一次ピストン314の内側移動は、一次HPC320内の圧力によって防止される。
【0042】
図5に示される代替の実施形態において、一次ボア306に対する一次ピストン314の内側移動はまた、ラチェット溝540のいずれかに安着されるラチェットクリップ544によって防止することができる。
【0043】
図6は、一次ピストン310がテンショナアーム601と係合されるときに作動する図3Bの可変力テンショナを示す。二次ピストン312は、テンショナアーム601内部に位置する剛性(stiff)スプリング603と接触している。
【0044】
したがって、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本発明の原理の適用の単なる例示であることを理解されたい。本明細書において示された実施形態の詳細を参照することは、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲自体は、本発明に不可欠とみなされる特徴を列挙する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6