(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】アトマイザー組立品用の二層メッシュ要素
(51)【国際特許分類】
B05B 17/06 20060101AFI20240528BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240528BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240528BHJP
【FI】
B05B17/06
A24F40/40
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2020563528
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2019062730
(87)【国際公開番号】W WO2019219873
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-26
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バヤット ダラ
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥボシェ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】クイェルベルク イーヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ニーデルマン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】プラッテ パスカル アンドレ ダニエル ジャン
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149165(WO,A1)
【文献】特表2015-527481(JP,A)
【文献】特表2014-506172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
A24F1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトマイザー組立品のためのメッシュ要素であって、前記メッシュ要素が、
少なくとも一つのチャネルを画定する第一の層であって、前記少なくとも一つのチャネルが最小断面積を含む、第一の層と、
前記第一の層の上にある第二の層であって、前記第二の層が、最大断面積を含むノズルの少なくとも一つを画定し、かつ前記第二の層が、前記第一の層に面する内表面および前記第一の層に背いて面する外表面を備える、第二の層と、を含み、
前記少なくとも一つのノズルが、前記少なくとも一つのチャネルの上にあり、かつ前記少なくとも一つのノズルの前記最大断面積が、前記少なくとも一つのチャネルの前記最小断面積よりも小さく、
前記第二の層の前記外表面が、前記少なくとも一つのノズルの周りに延びる環状部分を画定し、前記環状部分が半円形の断面形状を有し、かつ各環状部分における前記第二の層の厚さが、隣接した環状部分
同士の間の前記第二の層の厚さよりも大きい、メッシュ要素。
【請求項2】
前記少なくとも一つのノズルが複数のノズルであり、かつ前記複数のノズルが、前記少なくとも一つのチャネルの上にある、請求項1に記載のメッシュ要素。
【請求項3】
前記少なくとも一つのチャネルが複数のチャネルを備え、かつ各チャネルが、前記ノズルの少なくとも二つの下にある、請求項2に記載のメッシュ要素。
【請求項4】
前記第一の層が第一の厚さを備え、前記第二の層が第二の厚さを備え、かつ前記第一の厚さが前記第二の厚さよりも大きい、請求項1、2または3に記載のメッシュ要素。
【請求項5】
前記少なくとも一つのチャネルが第一の長さを備え、前記少なくとも一つのノズルが第二の長さを備え、かつ前記第一の長さが前記第二の長さよりも大きい、請求項1~4のいずれかに記載のメッシュ要素。
【請求項6】
前記少なくとも一つのノズルが、前記少なくとも一つのノズルの前記第二の長さと平行に延びる線に沿った第一の断面形状を備え、かつ前記少なくとも一つのノズルの前記第一の断面形状が三角形である、請求項5に記載のメッシュ要素。
【請求項7】
前記第二の層の前記外表面上に疎水性被覆をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載のメッシュ要素。
【請求項8】
前記第一の層が、前記第二の層に背いて面する第一の表面、および前記第二の層に面する第二の表面を備え、かつ前記メッシュ要素が前記第一の層の前記第一の表面上に親水性被覆を備える、請求項1~7のいずれかに記載のメッシュ要素。
【請求項9】
前記第一の層または前記第二の層の表面上に位置付けられる電気発熱体をさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載のメッシュ要素。
【請求項10】
前記電気発熱体が微小電気機械システム発熱体を備える、請求項9に記載のメッシュ要素。
【請求項11】
エアロゾル発生装置用のアトマイザー組立品であって、前記アトマイザー組立品が、
請求項1~10のいずれかに記載のメッシュ要素、
弾性変形可能要素、
前記メッシュ要素と前記弾性変形可能要素との間に画定されるくぼみ、
前記くぼみに霧状にされる液体の供給を提供するための液体入口、および
前記弾性変形可能要素を振動させるように配置されたアクチュエータを備える、アトマイザー組立品。
【請求項12】
前記アクチュエータが圧電素子を備える、請求項11に記載のアトマイザー組立品。
【請求項13】
エアロゾル発生装置であって、
請求項11または12に記載のアトマイザー組立品と、
電源と、
前記電源から前記アクチュエータへの電力の供給を制御するように配置されたコントローラと、
液体貯蔵部を受けるためのコネクターであって、液体を前記液体貯蔵部から前記液体入口へ供給するように配置される、コネクターと、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
請求項13に記載のエアロゾル発生装置と、
液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵部と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトマイザー組立品のためのメッシュ要素に関連し、メッシュ要素は第一および第二の層を備える。本発明はまた、メッシュ要素と、アトマイザー組立品を備えるエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムとを備えるアトマイザー組立品に関する。
【0002】
電池および制御電子回路を備える電源セクション、および貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の供給と、電気的に作動するアトマイザー組立品とを備えるカートリッジから成る、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムが周知である。一部の実施例では、アトマイザー組立品は、液体エアロゾル形成基体を加熱および気化することによってエアロゾルを発生するための電気発熱体を備えうる。
【0003】
一部の装置は、一つ以上のノズルを画定するメッシュ要素を備えるアトマイザー組立品を備え、ここで装置は液体エアロゾル形成基体をメッシュ要素の一方の側に供給するように配置される。メッシュ要素は液体エアロゾル形成基体の供給に対して振動されて、ノズルに液体エアロゾル形成基体の飛沫を通過させることによってエアロゾルを発生させうる。この配置は、能動的なメッシュ要素と呼ばれる場合がある。
【0004】
代替的な配置は、メッシュ要素に対して液体エアロゾル形成基体の供給を振動して、ノズルに液体エアロゾル形成基体の飛沫を通過させるように配置されたアクチュエータを備えうる。この配置は、受動的なメッシュ要素と呼ばれる場合がある。
【0005】
メッシュ要素を備えるアトマイザー組立品は、特定の液体エアロゾル形成基体のためのアトマイザー組立品によって生成されうる最小の飛沫サイズを示す。一般的には、エアロゾル化された液体エアロゾル形成基体の肺への送達を最大化するために小さな飛沫サイズが望ましい。
【0006】
メッシュ要素によって生成される飛沫サイズを低減するための一つの手段は、ノズルの断面サイズを低減することである。しかしながら、より小さなノズル断面サイズは、ノズルに液体エアロゾル形成基体を通過させるためにより大きな圧力を必要とする。したがって、メッシュ要素を備える周知のシステムでは、要求される液体圧力の増加が非常に大きい場合は、一般的にノズルの断面サイズのさらなる低減は防止される。
【0007】
小さな飛沫サイズを呈するエアロゾルの発生を容易にするアトマイザー組立品のためのメッシュ要素を提供することが望ましい。メッシュ要素によって画定される一つ以上のノズルに液体を通過させるのに必要な圧力を、低減または最小化するメッシュ要素を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、アトマイザー組立品のためのメッシュ要素が提供される。メッシュ要素は、少なくとも一つのチャネルを画定する第一の層を備え、少なくとも一つのチャネルは最小断面積を含む。メッシュ要素はまた、第一の層の上にある第二の層を備え、ここで第二の層は最大断面積を含む少なくとも一つのノズルを画定する。少なくとも一つのノズルは、少なくとも一つのチャネルの上にあり、少なくとも一つのノズルの最大断面積は、少なくとも一つのチャネルの最小断面積よりも小さい。
【0009】
本明細書で使用される場合、「ノズル」という用語は、液体がメッシュ要素を通って移動するための通路を提供するメッシュ要素を通る開口部、穴または孔を意味する。
【0010】
本発明の発明者らは、ノズルの長さを減少させることが、ノズルに液体を通過させるのに必要な圧力を減少させることを認識してきた。本発明によるメッシュ要素は、少なくとも一つのチャネルを画定する第一の層と、少なくとも一つのチャネルの上にある少なくとも一つのノズルを画定する第二の層とを備え、ここで少なくとも一つのノズルの最大断面積は、少なくとも一つのチャネルの最小断面積より小さい。
【0011】
有利なことに、少なくとも一つのノズルの断面積と比較した少なくとも一つのチャネルのより大きな断面積は、少なくとも一つのチャネルの長さが少なくとも一つのノズルの長さに寄与しないことを意味する。言い換えれば、メッシュ要素の第一の層の厚さは、メッシュ要素の第二の層によって画定されるノズルの長さの一部を形成しない。従って、所与の液体について、少なくとも一つのノズルに液体を通過させるために必要な圧力は、少なくとも一つのノズルの最小断面積および少なくとも一つのノズルの長さによってのみ決定される。
【0012】
有利なことに、第二の層の厚さは、第二の層によって画定される少なくとも一つのノズルの長さを低減または最小化するように選択されうる。
【0013】
有利なことに、第一の層の厚さは、メッシュ要素の機械的強度を増加または最大化するように選択されうる。言い換えれば、第一の層の厚さは、第二の層によって画定される少なくとも一つのノズルの長さに影響を与えずに増加または最大化されうる。
【0014】
第一の層は、第一の表面および第二の表面を備え、ここで少なくとも一つのチャネルは第一の表面と第二の表面との間に延びることが好ましい。
【0015】
第二の層は、内表面および外表面を備え、ここで少なくとも一つのノズルは内表面と外表面との間に延びることが好ましい。第二の層の内表面は、第一の層の第二の表面に面することが好ましい。第二の層の外表面は、第一の層に背いて面することが好ましい。
【0016】
第一の層は、第一の表面と第二の表面との間に延びる第一の厚さを備えることが好ましい。第二の層は、内表面と外表面との間に延びる第二の厚さを備えることが好ましい。第一の厚さは第二の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0017】
第一の層は、少なくとも約0.1ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.15ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.2ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.25ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.3ミリメートルの第一の厚さを有することが好ましい。第一の層は、約1ミリメートル未満、好ましくは約0.95ミリメートル未満、好ましくは約0.9ミリメートル未満、好ましくは約0.85ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートル未満、好ましくは約0.75ミリメートル未満、好ましくは約0.7ミリメートル未満、好ましくは約0.65ミリメートル未満、好ましくは約0.6ミリメートル未満の第一の厚さを有することが好ましい。
【0018】
第二の層は、少なくとも約1マイクロメートル、好ましくは少なくとも約2マイクロメートル、好ましくは少なくとも約3マイクロメートル、好ましくは少なくとも約4マイクロメートル、好ましくは少なくとも約5マイクロメートル、好ましくは少なくとも約6マイクロメートル、好ましくは少なくとも約7マイクロメートル、好ましくは少なくとも約8マイクロメートル、好ましくは少なくとも約9マイクロメートルの第二の厚さを有することが好ましい。第二の層は、約50マイクロメートル未満、好ましくは約45マイクロメートル未満、好ましくは約40マイクロメートル未満、好ましくは約35マイクロメートル未満、好ましくは約30マイクロメートル未満、好ましくは約25マイクロメートル未満、好ましくは約20マイクロメートル未満、好ましくは約15マイクロメートル未満、好ましくは約12マイクロメートル未満の第二の厚さを有することが好ましい。第二の層は、約10マイクロメートルの第二の厚さを有してもよい。
【0019】
少なくとも一つのチャネルは第一の長さを有し、ここで第一の長さは、第一の表面と第二の表面との間の少なくとも一つのチャネルに沿った最短距離であることが好ましい。第一の層が第一の厚さを備える実施形態では、少なくとも一つのチャネルの第一の長さは、第一の層の第一の厚さと同一であってもよい。第一の長さは、少なくとも約0.1ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.15ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.2ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.25ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.3ミリメートルであることが好ましい。第一の長さは、約1ミリメートル未満、好ましくは約0.95ミリメートル未満、好ましくは約0.9ミリメートル未満、好ましくは約0.85ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートル未満、好ましくは約0.75ミリメートル未満、好ましくは約0.7ミリメートル未満、好ましくは約0.65ミリメートル未満、好ましくは約0.6ミリメートル未満であることが好ましい。少なくとも一つのチャネルの最小断面は、少なくとも一つのチャネルの第一の長さと直交することが好ましい。
【0020】
少なくとも一つのノズルは、第二の長さを有し、ここで第二の長さは、内表面と外表面との間の少なくとも一つのノズルに沿った最短距離であることが好ましい。第二の層が第二の厚さを備える実施形態では、少なくとも一つのノズルの第二の長さは、第二の層の第二の厚さと同一であってもよい。第二の長さは、少なくとも約1マイクロメートル、好ましくは少なくとも約2マイクロメートル、好ましくは少なくとも約3マイクロメートル、好ましくは少なくとも約4マイクロメートル、好ましくは少なくとも約5マイクロメートル、好ましくは少なくとも約6マイクロメートル、好ましくは少なくとも約7マイクロメートル、好ましくは少なくとも約8マイクロメートル、好ましくは少なくとも約9マイクロメートルであることが好ましい。第二の長さは、約50マイクロメートル未満、好ましくは約45マイクロメートル未満、好ましくは約40マイクロメートル未満、好ましくは約35マイクロメートル未満、好ましくは約30マイクロメートル未満、好ましくは約25マイクロメートル未満、好ましくは約20マイクロメートル未満、好ましくは約15マイクロメートル未満、好ましくは約12マイクロメートル未満であることが好ましい。第二の層は、約10マイクロメートルの第二の厚さを有してもよい。少なくとも一つのノズルの最大断面は、少なくとも一つのノズルの第二の長さと直交することが好ましい。
【0021】
少なくとも一つのチャネルの第一の長さは、少なくとも一つのノズルの第二の長さよりも大きいことが好ましい。
【0022】
少なくとも一つのノズルは複数のノズルであって、ここで複数のノズルは少なくとも一つのチャネルの上にあることが好ましい。
【0023】
少なくとも一つのチャネルは単一のチャネルであってもよく、ここで複数のノズルは単一のチャネルの上にある。
【0024】
少なくとも一つのチャネルは、複数のチャネルを備えてもよく、ここで各チャネルは少なくとも二つのノズルの下にある。複数のチャネルは、第一の複数のノズルの下にある第一のチャネルと、第二の複数のノズルの下にある第二のチャネルとを備えうる。
【0025】
有利なことに、各チャネルの上にある複数のノズルを提供することは、第一の層で必要とされるチャネルの数を減少させることによって、メッシュ要素の製造を簡略化しうる。
【0026】
各チャネルは、少なくとも約5ノズル、好ましくは少なくとも約10ノズル、好ましくは少なくとも約15ノズル、好ましくは少なくとも約20ノズルの下にあることが好ましい。各チャネルは、約150ノズル未満、好ましくは約140ノズル未満、好ましくは約130ノズル未満、好ましくは約120ノズル未満、好ましくは約110ノズル未満、好ましくは約100ノズル未満の下にあることが好ましい。
【0027】
少なくとも一つのチャネルの最小断面積は、少なくとも約0.01平方ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.02平方ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.03平方ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.04平方ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.05平方ミリメートルであることが好ましい。少なくとも一つのチャネルの最小断面積は、約0.5平方ミリメートル未満、好ましくは約0.45平方ミリメートル未満、好ましくは約0.4平方ミリメートル未満、好ましくは約0.35平方ミリメートル未満、好ましくは約0.3平方ミリメートル未満であることが好ましい。
【0028】
少なくとも一つのチャネルは、任意の適切な断面形状を有してもよい。
【0029】
少なくとも一つのチャネルは、少なくとも一つのチャネルの第一の長さと平行な第一の線に沿った第一の断面形状を有しうる。少なくとも一つのチャネルの第一の断面形状は円形、楕円形、卵形、三角形、正方形、長方形、または任意のその他の多角形の形状でありうる。少なくとも一つのチャネルの第一の断面形状は、正方形または長方形であることが好ましい。
【0030】
少なくとも一つのチャネルは、少なくとも一つのチャネルの第一の長さと直交する第二の断面形状を有しうる。言い換えれば、第二の断面形状は、少なくとも一つのチャネルの最小断面積を画定する。少なくとも一つのチャネルの第二の断面形状は円形、楕円形、卵形、三角形、正方形、長方形、または任意のその他の多角形の形状でありうる。少なくとも一つのチャネルの第二の断面形状は円形であることが好ましい。少なくとも一つのチャネルは最小直径を持つことが好ましい。少なくとも一つのチャネルの最小直径は、少なくとも約0.1ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.15ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.2ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.25ミリメートルであることが好ましい。少なくとも一つのチャネルの最小直径は、約1ミリメートル未満、好ましくは約0.95ミリメートル未満、好ましくは約0.9ミリメートル未満、好ましくは約0.85ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートル未満、好ましくは約0.75ミリメートル未満、好ましくは約0.7ミリメートル未満、好ましくは約0.65ミリメートル未満、好ましくは約0.6ミリメートル未満であることが好ましい。
【0031】
少なくとも一つのノズルの最大断面積は、少なくとも約0.01平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.05平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.1平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.2平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.3平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.4平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.5平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.6平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.7平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.8平方マイクロメートルであることが好ましい。少なくとも一つのノズルの最大断面積は、約20平方マイクロメートル未満、好ましくは約19平方マイクロメートル未満、好ましくは約18平方マイクロメートル未満、好ましくは約17平方マイクロメートル未満、好ましくは約16平方マイクロメートル未満、好ましくは約15平方マイクロメートル未満、好ましくは約14平方マイクロメートル未満、好ましくは約13平方マイクロメートル未満、好ましくは約12平方マイクロメートル未満、好ましくは約11平方マイクロメートル未満、好ましくは約10平方マイクロメートル未満であることが好ましい。
【0032】
少なくとも一つのノズルは、最小断面積を有し、ここで少なくとも一つのノズルの最小断面積は、少なくとも一つのノズルの最大断面積と等しいか、またはそれより小さいことが好ましい。少なくとも一つのノズルの最小断面積は、少なくとも約0.01平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.05平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.1平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.2平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.3平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.4平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.5平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.6平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.7平方マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.8平方マイクロメートルであることが好ましい。少なくとも一つのノズルの最小断面積は、約20平方マイクロメートル未満、好ましくは約19平方マイクロメートル未満、好ましくは約18平方マイクロメートル未満、好ましくは約17平方マイクロメートル未満、好ましくは約16平方マイクロメートル未満、好ましくは約15平方マイクロメートル未満、好ましくは約14平方マイクロメートル未満、好ましくは約13平方マイクロメートル未満、好ましくは約12平方マイクロメートル未満、好ましくは約11平方マイクロメートル未満、好ましくは約10平方マイクロメートル未満であることが好ましい。
【0033】
少なくとも一つのノズルは、任意の適切な断面形状を有してもよい。
【0034】
少なくとも一つのノズルは、少なくとも一つのノズルの第二の長さと平行な第二の線に沿った第一の断面形状を有しうる。少なくとも一つのノズルの第一の断面形状は、円形、楕円形、卵形、三角形、正方形、長方形、または任意のその他の多角形の形状でありうる。少なくとも一つのノズルの第一の断面形状は三角形であることが好ましい。「三角形の」という用語は本明細書で使用される場合、三角形または三角形の要素を含む形状を意味する。例えば、第一の断面形状は、三角形、切頂三角形、三角形の切頂部分から延びる正方形または長方形の部分を有する切頂三角形などを含みうる。有利なことに、三角形の第一の断面形状は、少なくとも一つのノズルが収束流面積を有して提供されうる。有利なことに、収束流面積は、少なくとも一つのノズルに液体を通過させるために必要な圧力を低減または最小化しうる一方、少なくとも一つのノズルの所望の最小断面積をも提供しうる。
【0035】
少なくとも一つのノズルは、少なくとも一つのノズルの第二の長さと直交する第二の断面形状を有しうる。言い換えれば、第二の断面形状は、少なくとも一つのノズルの最大断面積を画定する。少なくとも一つのノズルの第二の断面形状は、円形、楕円形、卵形、三角形、正方形、長方形、または任意のその他の多角形の形状でありうる。少なくとも一つのノズルの第二の断面形状は円形であることが好ましい。少なくとも一つのノズルは最大直径を有することが好ましい。少なくとも一つのノズルの最大直径は、少なくとも約0.1マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.25マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.5マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.75マイクロメートル、好ましくは少なくとも約1マイクロメートルであることが好ましい。少なくとも一つのノズルの最大直径は、約10マイクロメートル未満、好ましくは約9マイクロメートル未満、好ましくは約8マイクロメートル未満、好ましくは約7マイクロメートル未満、好ましくは約6マイクロメートル未満、好ましくは約5マイクロメートル未満、好ましくは約4マイクロメートル未満であることが好ましい。
【0036】
少なくとも一つのノズルは、最小直径を有し、ここで少なくとも一つのノズルの最小直径は、少なくとも一つのノズルの最大直径と等しいか、またはそれより小さいことが好ましい。少なくとも一つのノズルの最小直径は、少なくとも約0.1マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.25マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.5マイクロメートル、好ましくは少なくとも約0.75マイクロメートル、好ましくは少なくとも約1マイクロメートルであることが好ましい。少なくとも一つのノズルの最小直径は、約10マイクロメートル未満、好ましくは約9マイクロメートル未満、好ましくは約8マイクロメートル未満、好ましくは約7マイクロメートル未満、好ましくは約6マイクロメートル未満、好ましくは約5マイクロメートル未満、好ましくは約4マイクロメートル未満、好ましくは約3マイクロメートル未満であることが好ましい。
【0037】
少なくとも一つのノズルは、約0.1マイクロメートル~約3マイクロメートルの最小直径を有することが好ましい。
【0038】
有利なことに、約3マイクロメートル未満の最小直径を有するノズルは、2.5マイクロメートル未満の直径を有する液体飛沫の生成を容易にする。有利なことに、2.5マイクロメートル未満の直径を有する液体飛沫は、ユーザーの肺の肺胞への液体飛沫の送達を容易にする。一般的には、吸入中に、2.5マイクロメートル未満の直径を有する液体飛沫の少なくとも80%がユーザーの肺の肺胞に達する。
【0039】
有利なことに、少なくとも約0.1マイクロメートルの最小直径を有するノズルは、2.5マイクロメートル未満の直径を有する液体飛沫を生成する一方で、ノズルに液体を通過させるのに必要な圧力を低減または最小化しうる。
【0040】
第二の層が外表面および内表面を備える実施形態では、メッシュ要素は第二の層の外表面上に疎水性被覆を備えることが好ましい。「疎水性」という用語は、本明細書では、90度より大きい水接触角を示す材料を意味するために使用される。有利なことに、水溶性の液体がメッシュ要素を通して分注される実施形態では、疎水性被覆は、有利なことに、水溶性の液体と第二の層の外表面との間の接触角を増大または最大化する。有利なことに、増大したまたは最大化された接触角は、第二の層の外表面からの液体飛沫の放出を改善する。有利なことに、第二の層の外表面からの液体飛沫の放出を改善することは、液体飛沫のサイズの低減または最小化を容易にしうる。
【0041】
疎水性被覆は、第二の層の外表面の一つ以上の領域上に提供されうる。例えば、疎水性被覆は、少なくとも一つのノズルを囲む疎水性材料の環状領域の少なくとも一つを含みうる。
【0042】
疎水性被覆は、第二の層の全外表面上に提供されうる。
【0043】
疎水性被覆は、ポリウレタン(PU)、ペルフルオロカーボン(PFC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および超疎水性金属のうちの少なくとも一つを含みうる。適切な過疎水性金属は、炭素鎖と官能化された微孔性金属および金属メッシュを含む。例示的な金属は、銅およびアルミニウムを含む。
【0044】
疎水性被覆は、第二の層の表面改質によって形成されうる。例えば、第二の層の外表面は、所望の程度の疎水性を提供するように化学修飾されてもよい。
【0045】
疎水性被覆は、第二の層の外表面上への疎水性材料の堆積によって形成されうる。例えば、疎水性材料は、物理的蒸着プロセスおよび化学蒸着プロセスのうちの少なくとも一つを使用して、第二の層の外表面上に堆積されてもよい。
【0046】
第二の層の外表面は、少なくとも一つのノズルの周りに延びる環状部分を画定してもよく、ここで各環状部分における第二の層の厚さは、隣接した環状部分の間の第二の層の厚さよりも大きい。有利なことに、環状部分は、少なくとも一つのノズルの内側に残る液体からの液体飛沫の分離を容易にしうる。メッシュ要素が疎水性被覆を備える実施形態では、疎水性被覆の少なくとも一部が環状部分上に提供されることが好ましい。疎水性被覆が、疎水性材料の環状領域の一つ以上を備える実施形態では、疎水性材料の各環状領域は、第二の層の環状部分上に位置付けられることが好ましい。
【0047】
環状部分は丸みのある形状を有することが好ましい。有利なことに、丸みのある形状は、少なくとも一つのノズルの内側に残る液体からの液体飛沫の分離をさらに容易にしうる。環状部分は、半円形の断面形状を有してもよい。
【0048】
第一の層が第一の表面および第二の表面を備える実施形態では、メッシュ要素は第一の層の第一の表面上に親水性被覆を備えることが好ましい。
【0049】
第一の層は、第一の表面と第二の表面との間に延びるチャネル表面の少なくとも一つを含んでもよく、少なくとも一つのチャネル表面は、少なくとも一つのチャネルを画定する。メッシュ要素は、少なくとも一つのチャネル表面上に親水性被覆を備えてもよい。
【0050】
第二の層が外表面および内表面を備える実施形態では、メッシュ要素は第二の層の内表面上に親水性被覆を備えることが好ましい。
【0051】
第二の層は、外表面と内表面との間に延びるノズル表面の少なくとも一つを含んでもよく、少なくとも一つのノズル表面は、少なくとも一つのノズルを画定する。メッシュ要素は、少なくとも一つのノズル表面上に親水性被覆を備えてもよい。
【0052】
「親水性」という用語は、本明細書では、90度未満の水接触角を示す材料を意味するために使用される。有利なことに、水溶性の液体がメッシュ要素を通して分注される実施形態では、親水性被覆は、第一の層に向かい、かつ少なくとも一つのチャネルおよび少なくとも一つのノズルを通る水溶性の液体の流れを促進しうる。
【0053】
親水性被覆は、三つのポリアミド、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、綿、および一つ以上の親水性酸化物のうちの少なくとも一つを含みうる。適切な親水性酸化物には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および5酸化タンタルが含まれる。
【0054】
親水性被覆は、第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つの表面改質によって形成されうる。例えば、第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つの表面は、所望の程度の親水性を提供するように化学修飾されてもよい。親水性被覆が少なくとも一つの親水性酸化物を含む実施形態では、親水性被覆は、第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つを形成する材料の酸化によって形成されうる。
【0055】
親水性被覆は、第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つの表面上への親水性材料の堆積によって形成されうる。例えば、親水性材料は、物理的蒸着プロセスおよび化学蒸着プロセスのうちの少なくとも一つを使用して堆積されてもよい。
【0056】
メッシュ要素が複数のノズルを備える実施形態では、複数のノズルは、第二の層上に反復パターンで配置されてもよい。複数のノズルは、第二の層上に無作為に配置されてもよい。
【0057】
第一の層および第二の層は、一体に形成されてもよい。言い換えれば、第一の層および第二の層は、単一の要素として形成されうる。
【0058】
第二の層は、第一の層とは別個に形成されてもよい。第二の層は第一の層に固定されることが好ましい。例えば、第二の層は、締まりばめ、接着剤、および溶接のうちの少なくとも一つによって第一の層に固定されうる。
【0059】
第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つは、プラチナ、パラジウム、ニッケルおよびステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含んでもよい。第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つは、プラチナ、パラジウム、ニッケルおよびステンレス鋼のうちの少なくとも一つの混合物を含んでもよい。
【0060】
メッシュ要素はシリコン・オン・インシュレーターウェハーを備えてもよい。例えば、第一の層は第一のシリコンウェハーを備えてもよく、第二の層は第二のシリコンウェハーを備えてもよい。メッシュ要素は、第一のシリコンウェハーと第二のシリコンウェハーとの間に埋め込み酸化物層を備えてもよい。埋め込み酸化物層は、第一および第二のシリコンウェハーが相互に結合する前に、第一のシリコンウェハーおよび第二のシリコンウェハーのうちの少なくとも一つの表面の酸化によって形成されてもよい。
【0061】
少なくとも一つのチャネルは、任意の適切なプロセスを使用して第一の層内に形成されてもよい。少なくとも一つのチャネルは、レーザー穿孔、エッチング、および放電加工のうちの少なくとも一つを使用して形成されてもよい。
【0062】
少なくとも一つのノズルは、任意の適切なプロセスを使用して第二の層内に形成されてもよい。少なくとも一つのノズルは、レーザー穿孔、エッチング、および放電加工のうちの少なくとも一つを使用して形成されてもよい。
【0063】
メッシュ要素が第一のシリコンウェハー、埋め込み酸化物層、および第二のシリコンウェハーを備える実施形態では、少なくとも一つのチャネルおよび少なくとも一つのノズルは、複数の工程を含むエッチングプロセスによって形成されてもよい。
【0064】
エッチングプロセスは、第一のエッチングプロセスであってもよい。第一のエッチングプロセスは、埋め込み酸化物層の第一の個別領域の一つ以上をエッチングする第一の工程を含むことが好ましい。第一の工程でエッチングされた第一の個別領域のそれぞれは、完成したメッシュ要素内のノズルの所望の位置に対応する。第一の個別領域のそれぞれは、第一の個別領域のそれぞれが埋め込み酸化物層の厚さ全体を通って延びないように、部分的にエッチングされるのみである。
【0065】
第一のエッチングプロセスは、埋め込み酸化物層が第一のシリコンウェハーと第二のシリコンウェハーとの間に位置付けられるように、第一のシリコンウェハーを第二のシリコンウェハーに取り付ける第二の工程を含むことが好ましい。
【0066】
第一のエッチングプロセスは、一つ以上の第二の個別領域で第二のシリコンウェハーを通ってエッチングする第三の工程を含み、ここで第二の個別領域のそれぞれは、第一の個別領域のうちの一つの上にあることが好ましい。一つ以上の第二の個別領域は、第二の個別領域のそれぞれが下にある第一の個別領域と連通するように、第二のシリコンウェハーの厚さ全体を通ってエッチングされる。第二の個別領域のそれぞれは、第二のシリコン層を通って延びるノズルを形成する。第二の個別領域のそれぞれは、ノズルの所望の最小断面積に対応する最小断面積を有することが好ましい。第三の工程は、一つ以上の第二の個別領域における第二のシリコンウェハーの反応性イオンエッチングを含むことが好ましい。
【0067】
第一のエッチングプロセスは、第二のシリコンウェハーをさらにエッチングしてノズルのそれぞれを所望の形状で提供する第四の工程を含んでもよい。第四の工程は、第二のシリコンウェハーをエッチングしてノズルのそれぞれを放散形状で提供することを含んでもよい。第四の工程は、第二のシリコンウェハーを水酸化カリウムでエッチングすることを含みうる。
【0068】
第一のエッチングプロセスは、第一のシリコンウェハーの第三の個別領域の一つ以上をエッチングする第五の工程を含み、ここで第三の個別領域のそれぞれは、第二のシリコンウェハーにおける少なくとも一つのノズルの下にあることが好ましい。一つ以上の第三の個別領域は、第一のシリコンウェハーの厚さ全体を通ってエッチングされ、第三の個別領域のそれぞれは、第一のシリコン層を通って延びるチャネルを形成する。第五の工程は、一つ以上の第三の個別領域における第一のシリコンウェハーの反応性イオンエッチングを含むことが好ましい。
【0069】
第一のエッチングプロセスは、第一の個別領域のそれぞれにおいて、埋め込み酸化物層の残りを通ってエッチングして、各ノズルと下にあるチャネルとの間の流体連通を提供する第六の工程を含むことが好ましい。第六の工程は、第一の個別領域のそれぞれにおける埋め込み酸化物層の湿式化学エッチングを含みうる。湿式化学エッチングは、緩衝フッ化水素酸を用いた湿式化学エッチングを含みうる。
【0070】
第一のエッチングプロセスの代わりに、エッチングプロセスは、第二のエッチングプロセスであってもよい。第二のエッチングプロセスは、埋め込み酸化物層の第一の個別領域の一つ以上をエッチングする第一の工程を含むことが好ましい。第一の工程でエッチングされた第一の個別領域のそれぞれは、完成したメッシュ要素内のノズルの所望の位置に対応する。第一の個別領域のそれぞれは、第一の個別領域のそれぞれが埋め込み酸化物層の厚さ全体を通って延びないように、部分的にエッチングされるのみである。
第二のエッチングプロセスは、埋め込み酸化物層が第一のシリコンウェハーと第二のシリコンウェハーとの間に位置付けられるように、第一のシリコンウェハーを第二のシリコンウェハーに取り付ける第二の工程を含むことが好ましい。
【0071】
第二のエッチングプロセスは、第一のシリコンウェハーの第二の個別領域の一つ以上をエッチングする第三の工程を含み、ここで第二の個別領域のそれぞれは、埋め込み酸化物層の第一の個別領域の少なくとも一つの下にあることが好ましい。一つ以上の第二の個別領域は、第一のシリコンウェハーの厚さ全体を通ってエッチングされ、第二の個別領域のそれぞれは、第一のシリコン層を通って延びるチャネルを形成する。第三の工程は、一つ以上の第二の個別領域における第一のシリコンウェハーの反応性イオンエッチングを含むことが好ましい。
【0072】
第二のエッチングプロセスは、第一の個別領域のそれぞれにおいて、埋め込み酸化物層の残りを通ってエッチングする第四の工程を含むことが好ましい。第四の工程は、第一の個別領域のそれぞれにおける埋め込み酸化物層の湿式化学エッチングを含みうる。湿式化学エッチングは、緩衝フッ化水素酸を用いた湿式化学エッチングを含みうる。
【0073】
第二のエッチングプロセスは、一つ以上の第三の個別領域において、第二のシリコンウェハーを通って部分的にエッチングする第五の工程を含み、ここで第三の個別領域のそれぞれは、第一の個別領域のうちの一つの上にあることが好ましい。第三の個別領域のそれぞれは、第二のシリコンウェハー内まで延びるノズルの一部を形成する。第五の工程は、各ノズルの所望の形状の一部を提供しうる。第五の工程は、各ノズルの放散部を形成してもよい。第五の工程は、第二のシリコンウェハーを水酸化カリウムでエッチングすることを含みうる。
【0074】
第二のエッチングプロセスは、第三の個別領域のそれぞれが第二のシリコンウェハーを通って延びるノズルを形成するように、第三の個別領域のそれぞれにおいて、第二のシリコンウェハーの残りを通ってエッチングする第六の工程を含むことが好ましい。第六の工程の間にエッチングされた第二のシリコンウェハーのそれぞれの部分は、ノズルの所望の最小断面積に対応する最小断面積を有することが好ましい。第六の工程は、第二のシリコンウェハーの反応イオンエッチングを含むことが好ましい。
【0075】
第二のエッチングプロセスは、第三の個別領域のそれぞれにおいて、第二のシリコンウェハーをさらにエッチングして、ノズルのそれぞれをさらに形作る第七の工程を含みうる。第七の工程は、第二のシリコンウェハーを水酸化カリウムでエッチングすることを含みうる。
【0076】
第二のエッチングプロセスは、各チャネル内の埋め込み酸化物層の残りをエッチングする第八の工程を含みうる。第八の工程は、埋め込み酸化物層の湿式化学エッチングを含みうる。湿式化学エッチングは、緩衝フッ化水素酸を用いた湿式化学エッチングを含みうる。
【0077】
メッシュ要素は、第一の層または第二の層の表面上に位置付けられる電気発熱体を備えうる。有利なことに、電気発熱体は、メッシュ要素の少なくとも一つのノズルを通して排出される液体を加熱するために使用されうる。有利なことに、液体を加熱することは、液体の粘性を低減しうる。有利なことに、液体の粘性を低減することは、少なくとも一つのノズルに液体を通過させることによって形成される液体飛沫のサイズを低減または最小化しうる。
【0078】
電気発熱体は、少なくとも一つのノズルを通して排出される液体を直接的に加熱するように配置されうる。電気発熱体は、第一の層の第一の表面上に位置付けられてもよい。
【0079】
電気発熱体は、少なくとも一つのノズルを通して排出される液体を間接的に加熱するように配置されうる。電気発熱体は、第二の層の外表面上に位置付けられてもよい。
【0080】
電気発熱体は、微小電気機械システム発熱体を備えうる。
【0081】
電気発熱体は、接着層を含んでもよい。接着層は、第一の層および第二の層のうちの少なくとも一つへの電気発熱体の結合を容易にしうる。接着層は金属を含んでもよい。接着層はタンタルを含んでもよい。
【0082】
電気発熱体は、一つ以上の抵抗加熱トラックを備えうる。一つ以上の抵抗加熱トラックは、金属を含んでもよい。一つ以上の抵抗加熱トラックは、プラチナ、ニッケル、およびポリシリコンのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0083】
電気発熱体は、不動態化層を含んでもよい。不動態化層は、金属酸化物および金属窒化物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。不動態化層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、二酸化チタン、および酸化アルミニウムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0084】
本発明の第二の態様によると、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかに従って、エアロゾル発生装置のためのアトマイザー組立品であって、このアトマイザー組立品が本発明の第一の態様によるメッシュ要素を備える、アトマイザー組立品が提供される。アトマイザー組立品はまた、弾性変形可能要素、およびメッシュ要素と弾性変形可能要素との間に画定されるくぼみを備える。アトマイザー組立品はまた、霧状にされる液体のくぼみへの供給を提供するための液体入口と、弾性変形可能要素を振動させるように配置されたアクチュエータとを備える。
【0085】
使用中、霧状にされる液体は液体入口を通してくぼみに供給される。アクチュエータは、弾性変形可能要素を振動させて、くぼみ内の少なくとも一部の液体を、メッシュ要素の少なくとも一つのチャネルおよび少なくとも一つのノズルに通過させる。メッシュ要素の少なくとも一つのノズルを通過させられた液体は、少なくとも一つの飛沫を形成する。少なくとも一つの飛沫を形成するために少なくとも一つのノズルを通過させられた液体の運動量は、少なくとも一つの飛沫をメッシュ要素から遠ざかるように運ぶ。従って、使用中に、アトマイザー組立品は、メッシュ要素を通して排出される液体飛沫を含むエアロゾルを生成する。
【0086】
アトマイザー組立品は、メッシュ要素と弾性変形可能要素との間にくぼみを少なくとも部分的に画定する一つ以上の壁を備えうる。アトマイザー組立品は、少なくとも一つの側壁を備えうる。くぼみは、メッシュ要素、弾性変形可能要素、および少なくとも一つの側壁によって境界を与えられうる。液体入口は、少なくとも一つの側壁を通って延びてもよい。
【0087】
アトマイザー組立品のくぼみは、任意の適切な形状およびサイズとしうる。アトマイザー組立品のくぼみは、実質的に円柱状でありうる。
【0088】
アクチュエータは、弾性変形可能要素を、メッシュ要素に向かって、およびメッシュ要素から遠ざかるように振動させるように配置されることが好ましい。弾性変形可能要素は、メッシュ要素に対向して配置されることが好ましい。
【0089】
アクチュエータは、任意の適切なタイプのアクチュエータを備えてもよい。アクチュエータは、圧電素子を備えてもよい。
【0090】
アトマイザー組立品は予圧を行う要素を備え、予圧を行う要素と弾性変形可能要素との間のアクチュエータを圧縮するように配置されうる。予圧を行う要素は、予圧を行う要素と弾性変形可能要素との間のアクチュエータの圧縮を変化させるように調節可能であってもよい。予圧を行う要素は調節可能であってもよい。予圧を行う要素はねじを備えてもよい。予圧を行う要素は手動で調節可能であってもよい。予圧を行う要素は自動で調節可能であってもよい。アトマイザー組立品は、予圧を行う要素を動かして、予圧を行う要素と弾性変形可能要素との間のアクチュエータの圧縮を変化するように配置された、モーターを備えてもよい。
【0091】
本発明の第三の態様によると、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかに従って、本発明の第二の態様によるアトマイザー組立品を備えるエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置はまた、電源、および電源からアトマイザー組立品のアクチュエータへの電力の供給を制御するよう配置されたコントローラを備える。エアロゾル発生装置はまた、液体貯蔵部を受けるための装置コネクターを備え、液体を液体貯蔵部からアトマイザー組立品の液体入口に供給するように配置される。
【0092】
使用中に、コントローラは、本明細書で説明した通り、電源からアクチュエータへの電力の供給を制御して、メッシュ要素を通して液体の飛沫を排出する。
【0093】
アトマイザー組立品が電気発熱体を備える実施形態では、コントローラは、電源から電気発熱体への電力の供給を制御するように配置されることが好ましい。エアロゾル発生装置は、電気発熱体を使用中に摂氏約20度~摂氏約100度の間の温度まで加熱するように配置されることが好ましい。エアロゾル発生装置は、電気発熱体を使用中に摂氏約70度~摂氏約90度の間の温度まで加熱するように配置されることが好ましい。エアロゾル発生装置は、電気発熱体を使用中に摂氏約80度の温度まで加熱するように配置されることが好ましい。
【0094】
電源はDC電圧供給源であってもよい。好ましい実施形態において、電源は電池である。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とすることがあり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル発生物品とともに使用するために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有しうる。
【0095】
液体貯蔵部を受けるための装置コネクターは、バヨネットコネクター、ねじコネクター、磁気コネクター、および締まりばめコネクターのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0096】
エアロゾル発生装置はハウジングを備えることが好ましい。アトマイザー組立品、コントローラおよび電源はハウジング内に配置されることが好ましい。液体貯蔵部を受けるための装置コネクターは、ハウジング内に配置されてもよい。
【0097】
ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽量であり、脆くないものであってもよい。
【0098】
ハウジングは、エアロゾル発生装置の使用中にメッシュ要素から排出される液体飛沫を受けるように配置されたエアロゾルチャンバを画定しうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾルチャンバと流体連通する空気吸込み口を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、エアロゾルチャンバと流体連通する空気出口を備えることが好ましい。
【0099】
エアロゾル発生装置は、空気出口と流体連通するマウスピースを備えうる。マウスピースはハウジングと一体に形成されうる。マウスピースは、ハウジングから取り外し可能でありうる。
【0100】
使用中に、ユーザーはマウスピースを吸って、空気吸込み口を介してエアロゾルチャンバ内に空気を引き込む。空気は、エアロゾルチャンバを通って流れ、ここではメッシュ要素から排出された液体飛沫が気流内に混入され、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、空気出口を通ってエアロゾルチャンバから流れ出て、マウスピースを通してユーザーに送達される。
【0101】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙していることを示す気流を検出するためのセンサーを備えてもよい。気流センサーは電気機械装置であってもよい。気流センサーは、機械式装置、光学式装置、光学機械式装置、および微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサーのうちのいずれかであってもよい。コントローラは、ユーザーが吸煙していることを示す気流センサーからの信号に応答して、電源からアトマイザー組立品のアクチュエータに電力を供給するように配置されうる。
【0102】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙を開始するための手動で動作可能なスイッチを備えてもよい。コントローラは、手動で動作可能なスイッチからの信号に応答して、電源からアトマイザー組立品のアクチュエータに電力を供給するように配置されうる。
【0103】
エアロゾル発生装置は、電力が電源からアトマイザー組立品のアクチュエータに供給されている時を示すためのインジケータを備えることが好ましい。インジケータは、電力が電源からアトマイザー組立品のアクチュエータに供給されている時に点灯するように配置された光源を含みうる。
【0104】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別の電気的な装置に接続することを可能にする、外部プラグまたはソケットのうちの少なくとも一つと、少なくとも一つの外部電気接点とを備えてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別のUSB使用可能装置に接続することを可能にする、USBプラグまたはUSBソケットを備えてもよい。USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置をUSB充電装置に接続して、エアロゾル発生装置内の再充電可能電源を充電することを可能にしうる。USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置へのデータ転送、もしくはエアロゾル発生装置からのデータ転送、またはその両方を支援しうる。データをエアロゾル発生装置に転送するために、エアロゾル発生装置はコンピュータに接続可能であってもよい。
【0105】
エアロゾル発生装置がUSBプラグまたはソケットを備える実施形態において、エアロゾル発生装置は、使用されていない時にUSBプラグまたはソケットを覆う取り外し可能なカバーをさらに備えてもよい。USBプラグまたはソケットがUSBプラグである実施形態において、USBプラグは追加的に、または別の方法として、装置内に選択的に格納可能であってもよい。
【0106】
本発明の第四の態様によると、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従って、本発明の第三の態様によるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体を収容する液体貯蔵部をさらに備えてもよい。
【0107】
使用中に、液体貯蔵部は少なくとも部分的に装置コネクターによって受けられ、液体エアロゾル形成基体をアトマイザー組立品の液体入口に供給する。
【0108】
液体貯蔵部は容器を備え、ここで液体エアロゾル形成基体は容器内に位置付けられることが好ましい。容器は任意の適切な材料から形成されうる。容器は、ガラス、金属、およびプラスチックのうちの少なくとも一つから形成されうる。容器は透明であってもよい。容器は半透明であってもよい。
【0109】
容器は、液体エアロゾル形成基体が通って容器から流れうる開口部を画定しうる。液体貯蔵部は、容器内に液体エアロゾル形成基体を封着するために開口部の上を覆うシールを備えることが好ましい。シールは、取り外し可能である、および壊れやすいの少なくとも一つであることが好ましい。エアロゾル発生装置は、液体貯蔵部が装置コネクターによって少なくとも部分的に受けられる時にシールを貫通するように配置された貫通要素を備えうる。
【0110】
液体貯蔵部は、エアロゾル発生装置の装置コネクターと接続するように配置された貯蔵部コネクターを備えうる。貯蔵部コネクターは、バヨネットコネクター、ねじコネクター、磁気コネクター、および締まりばめコネクターのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0111】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0112】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、高密度かつ安定したエアロゾルの形成を容易にする、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0113】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。
【0114】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンを含んでもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールを含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約2%~約10%のニコチン濃度を有してもよい。
【0115】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1は、本発明の実施形態によるメッシュ要素の断面図を示す。
図2は、
図1のメッシュ要素の平面図を示す。
図3は、
図1のメッシュ要素の一部分の拡大断面図を示す。
図4は、
図1のメッシュ要素の単一のノズルの断面図を示す。
図5は、第二の層の代替的な外表面を図示する、
図1のメッシュ要素の単一のノズルの断面図を示す。
図6は、
図1のメッシュ要素を備えるアトマイザー組立品の斜視断面図を示す。
図7は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの部分的な分解断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0117】
図1および2は、本発明の実施形態によるメッシュ要素10を示す。メッシュ要素10は、複数の円柱状チャネル14を画定する第一の層12と、複数のノズル18を画定する第二の層16とを備える。ノズル18は群で配置され、ここでノズル18の各群はチャネル14の一つの上にある。
【0118】
メッシュ要素10はまた、第二の層16上に位置付けられる電気発熱体19を備える。使用中に、電気発熱体19はメッシュ要素10を加熱し、これがノズル18を通して排出されている液体を加熱する。
【0119】
図3および4は、チャネル14のうちの一つと、ノズル18のうちの一つとの拡大断面図を示す。第一の層12は、第一の表面20および第二の表面22を備える。第二の層16は、第一の層12の第二の表面22に面する内表面24を備える。第二の層16はまた、疎水性被覆28がその上に提供される外表面26を備える。第一の層12および第二の層16は、シリコンウェハーから形成される。埋め込み酸化物層30は、第一の層12および第二の層16がメッシュ要素10の製造中に一緒に結合される前に、第一の層12の第二の表面22の酸化によって形成される。
【0120】
各チャネル14は、最小直径32および第一の層12の厚さ33に対応する長さを有する。各チャネル14の最小直径32は、各上にあるノズル18の最大直径34よりも大きい。したがって、各チャネル14は、各ノズル18の最大断面積よりも大きな最小断面積を有する。そのため、チャネル14の長さは、各ノズル18に所与の液体を通過させるのに必要な圧力を決定するときに、各ノズル18の長さに寄与しない。有利なことに、第一の層12の厚さ33は、ノズル18から液体飛沫を排出するのに必要な圧力に影響を与えることなく、メッシュ要素を所望の強度および剛性で提供するように選択されうる。
【0121】
各ノズル18は、各ノズル18が第二の層16の内表面24における最大直径34および第二の層16の外表面26における最小直径36を有するように、三角形の断面形状を有する。各ノズル18の最小直径36は、使用中にノズル18を通して排出される液体飛沫の所望のサイズに従って選択される。各ノズル18は、第二の層16の厚さ38に対応する長さを有する。第二の層16の厚さ38は、各ノズル18の長さを最小化するために第一の層12の厚さ33よりも有意に小さい。各ノズル18の三角形の断面形状および各ノズル18の最小化された長さは、各ノズル18に所与の液体を通過させるのに必要な圧力を低減または最小化する。
【0122】
図5に示すように、第二の層16の外表面26は、各ノズル18を囲む増加された厚さの環状部分40を備えうる。各環状部分40の半円形断面形状は、使用中に各ノズル18内に残っている液体から液体飛沫を分離することを容易にする。
各環状部分40における第二の層16の厚さ41は、隣接した環状部分40同士の間の領域における第二の層16の厚さ43よりも大きい。
【0123】
図6は、
図1のメッシュ要素10を備えるアトマイザー組立品50の斜視断面図を示す。メッシュ要素10は、メッシュ要素ハウジング52内に受けられる。アトマイザー組立品50はまた、弾性変形可能要素54と、弾性変形可能要素54を振動するように配置されたアクチュエータ56とを備える。アクチュエータ56は圧電アクチュエータである。
【0124】
アトマイザー組立品50は予圧を行う要素58を備え、予圧を行う要素58と弾性変形可能要素54との間のアクチュエータ56を圧縮するように配置される。予圧を行う要素58、アクチュエータ56、および弾性変形可能要素54は、アクチュエータハウジング60内に配置される。アクチュエータハウジング60は、メッシュ要素ハウジング52に取り付けられ、メッシュ要素10と弾性変形可能要素54との間のくぼみ62を画定する。アクチュエータハウジング60は、霧状にされる液体のくぼみ62への供給を提供するための液体入口64を画定する。
【0125】
使用中、霧状にされる液体は液体入口64を通してくぼみ62に供給される。アクチュエータ56は弾性変形可能要素54を振動させて、メッシュ要素10のチャネル14およびノズル18に、くぼみ62内の少なくとも一部の液体を通過させる。メッシュ要素10のノズル18を通過させられた液体は、飛沫を形成する。飛沫を形成するためにノズル18を通過させられた液体の運動量は、飛沫をメッシュ要素10から遠ざかるように運ぶ。したがって、使用中に、アトマイザー組立品50は、メッシュ要素10を通して排出される液体飛沫を含むエアロゾルを生成する。
【0126】
図7は、本発明の任意の実施形態によるエアロゾル発生システム70の断面図を示す。エアロゾル発生システム70は、エアロゾル発生装置72と液体貯蔵部74とを備える。
【0127】
エアロゾル発生装置72は、第一のハウジング部分78および第二のハウジング部分80を備えるハウジング76を備える。コントローラ82および電池を備える電源84が、第一のハウジング部分78内に位置付けられる。マウスピースチャネル87を画定するマウスピース85は、第二のハウジング部分80に接続可能である。
【0128】
第二のハウジング部分80は、液体貯蔵部74を受けるための液体貯蔵チャンバ86を画定する。第一のハウジング部分78は、第二のハウジング部分80から取り外し可能であり、そのため液体貯蔵部74は交換可能である。
【0129】
エアロゾル発生装置72はまた、液体貯蔵部74の一部を形成する貯蔵部コネクター90と係合するための、液体貯蔵チャンバ86内に位置付けられた装置コネクター88を備える。
【0130】
エアロゾル発生装置72は、第二のハウジング部分80内に位置付けられた
図6のアトマイザー組立品50を備える。アトマイザー組立品50の液体入口64は、装置コネクター88と流体連通する。アトマイザー組立品50のメッシュ要素10は、第二のハウジング部分80によって画定されるエアロゾルチャンバ92内に位置付けられる。
【0131】
液体貯蔵部74は容器94を備え、液体エアロゾル形成基体96は容器94内に位置付けられる。貯蔵部コネクター90が装置コネクター88と係合する時、液体貯蔵部74からの液体エアロゾル形成基体96は、貯蔵部コネクター90、装置コネクター88、およびアトマイザー組立品50の液体入口64を通ってアトマイザー組立品50のくぼみ62に供給される。
【0132】
第一のハウジング部分78が第二のハウジング部分80に接続された時、コントローラ82は、電源84からアクチュエータ56への電力の供給を制御して、液体エアロゾル形成基体96の飛沫をメッシュ要素10からエアロゾルチャンバ92の中へと排出する。
【0133】
第二のハウジング部分80は、それぞれエアロゾルチャンバ92と流体連通する空気吸込み口98および空気出口100を画定する。使用中に、ユーザーはマウスピース85を吸って、空気吸込み口98を介してエアロゾルチャンバ92内に空気を引き込む。空気は、エアロゾルチャンバ92を通って流れ、ここでメッシュ要素10から排出された液体エアロゾル形成基体96の飛沫が気流内に混入され、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、空気出口100を通ってエアロゾルチャンバ92から流れ出て、マウスピースチャネル87を通してユーザーに送達される。
【0134】
エアロゾル発生装置72はまた、エアロゾルチャンバ92内に位置付けられた気流センサー102を備える。気流センサー102は、マウスピース85でのユーザー吸い込みを示す信号をコントローラ82に提供するように配置される。コントローラ82は、マウスピース85でのユーザー吸い込みを示す気流センサー102からの信号をコントローラが受信する時のみ、電源84からアトマイザー組立品50のアクチュエータ56へ電力を供給するように配置される。