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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】養液注入機、および水耕栽培システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20240528BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021031272
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131979
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000211592
【氏名又は名称】株式会社日立産機中条エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片野 浩
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205611(JP,U)
【文献】特開平3-117435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01K 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入ノズルを注入位置で先端が下向き状態となるように待機位置から移動させ、前記注入ノズルを用いて栽培用トレイに培養液を注入する養液注入機であって、
前記注入ノズルは、先端に蓋をし、前記注入ノズルの先端部の側面に前記栽培用トレイの中央部に向かって所定の角度に開口した吐出穴を設け、前記吐出穴から培養液を注入することを特徴とする養液注入機。
【請求項2】
注入ノズルを待機位置から移動させ、栽培用トレイ上に配置されたパネルの注入穴に挿入し、培養液を注入する養液注入機であって、
前記注入ノズルは、先端に蓋をし、前記注入ノズルの先端部の側面に前記栽培用トレイの中央部に向かって所定の角度に開口した吐出穴を設け、前記吐出穴から培養液を注入することを特徴とする養液注入機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルの吐出穴の開口した角度は、
前記注入ノズルを栽培用トレイの四隅に設ける場合は、略90度であり、
前記注入ノズルを栽培用トレイの辺に設ける場合は、略180度である、
ことを特徴とする養液注入機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、前記吐出穴を注入位置で下向き状態である前記注入ノズルの先端よりも上方に設け、前記注入ノズルの先端部に液溜まりを形成したことを特徴とする養液注入機。
【請求項5】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、前記吐出穴を含むノズルの先端部の径を、ノズルの配管部よりも大きくしたことを特徴とする養液注入機。
【請求項6】
請求項に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、ノズルの先端部の前記液溜りに培養液の排水穴を設けたことを特徴とする養液注入機。
【請求項7】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、前記吐出穴よりも配管部側に、注入ノズルを待機位置に移動したときにノズル内の培養液による滴が傾斜した注入ノズルを伝わって入る滴ポケットを有することを特徴とする養液注入機。
【請求項8】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、前記蓋を樹脂収縮チューブでノズルの先端に取り付けたことを特徴とする養液注入機。
【請求項9】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、ノズルの先端部に液面センサーを備え、前記液面センサーを樹脂収縮チューブで取り付けたことを特徴とする養液注入機。
【請求項10】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、配管の先頭部を略90度折り曲げた形状であることを特徴とする養液注入機。
【請求項11】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
前記注入ノズルは、駆動モータにより待機位置と注入位置とを回転移動するものであり、注入位置から待機位置へ移動する途中の、注入ノズルが水面よりも高い位置において一時停止し、注入ノズル内の残液を排水することを特徴とする養液注入機。
【請求項12】
請求項1または2に記載の養液注入機において、
液面センサーを備える前記注入ノズルと、前記注入ノズルを上下方向に1軸で回転可能で複数位置に位置決め停止可能な駆動機構と、を備える注入ノズルユニットと、
ポンプを収納したポンプユニットあるいは電磁開閉弁を収納した電磁弁ユニットと、
前記各ユニットの制御を行う制御ユニットと、
を備える養液注入機。
【請求項13】
請求項12に記載の養液注入機において、
前記ポンプユニットは、ポンプを複数台並列運転するものであり、
前記制御ユニットは、前記液面センサーの動作時間によりポンプの故障を判別することを特徴とする養液注入機。
【請求項14】
請求項13に記載の養液注入機において、
前記制御ユニットは、ポンプの故障を判別した場合は、前記液面センサーが動作してからポンプ動作を停止するまでのタイミングを切り換えることを特徴とする養液注入機。
【請求項15】
水耕栽培用トレイと、
前記水耕栽培用トレイを搬送するコンベヤと、
請求項1~14の何れか1項に記載の養液注入機と、
を備える水耕栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培用トレイ(水耕パネル)等に培養液を注入する養液注入機に関する。
【0002】
ここでいう水耕栽培用トレイは、培養液を入れたままコンベヤなどで自動搬送可能な栽培用トレイを指す。そして、水耕栽培の自動化に対応した栽培用トレイであり、移植用トレイならびに定植用トレイを指すものである。
【背景技術】
【0003】
野菜栽培の自動化に伴い、最新の野菜工場では自動搬送対応の水耕栽培用トレイを用いて栽培の自動化を図っている。
【0004】
自動搬送対応の水耕栽培用トレイは、重量の軽量化と立体栽培棚の高さを低くするため、薄型形状をしている。トレイに注入する養液量も最適量を一定に注入することが求められる。また、野菜に水分と養分が吸収されるために、収穫までには培養液の入れ替えが必要である。トレイを用いた野菜栽培の自動化ラインにおいては、培養液の注入と吸い出しを自動で行う養液注入機、養液吸出機が不可欠である。
【0005】
なお、栽培用トレイの上には苗パネルが載っていて、培養液の注入ならびに吸い出しはその苗パネルに設けた注入穴や吸出穴から行うが、この注入穴や吸出穴から光が入ると光合成により藻が繁殖するため開口穴はできるだけ小さいほうが望ましい。
【0006】
なお、自動搬送に対応する水耕栽培用トレイに、培養液を自動で注入する養液注入機ならびに養液吸出機は例をみない。
【0007】
自動搬送用ではないが、特許文献1には、水耕液を送給する栽培ベッド上面に栽培パネルを設置し、栽培パネルに培地体を支持させて作物を育成する水耕栽培装置であって、肥料タンクの液肥等を水と混合して水耕液を構成する液タンクを備え、循環ポンプにより水耕液を液タンクから送水管を介して栽培ベッドに供給し、栽培ベッドから配水管により水耕液を液タンクに循環させるようにした水耕栽培装置、が開示されている。(図1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平4-144621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
自動搬送対応の水耕栽培用トレイは、前述したように薄型形状をしていて、培養液の水深も浅い。このような栽培用トレイに短時間で培養液を注入するために1ノズルあたりの流量を多くする必要がある。図9に、下向き吐出ノズル2で栽培用トレイ4に培養液6を注入した図を示す。図に示すように、水道の蛇口のような形状の下向き吐出ノズル2で培養液6を吐出すると、トレイ4の底に培養液がぶつかって流速を増して放射状に広がり、トレイ4の外周縁を乗り越えて外部に流出してしまう。
【0010】
また、培養液の注入穴は、苗との干渉を避けるために、一般的に苗パネル5の外周で四隅の1ヵ所若しくは複数個所に設けられるが、トレイの外周縁と接近しているため、底面にあたった培養液6が乗り越えやすい配置である。
【0011】
本発明は、水耕栽培用トレイに迅速かつ安定した培養液の注入を行い、培養液の流出や飛散がなく、自動化ラインに対応した養液注入機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための、本発明の養液注入機の注入ノズルは、パイプの先の穴を塞ぎパイプ側面に吐出穴を設けることで、栽培用トレイの底に養液を当てずに水平方向に吐出するノズル構造としたことを特徴とする。
【0013】
本発明の「養液注入機」の一例を挙げるならば、
注入ノズルを注入位置で先端が下向き状態となるように待機位置から移動させ、前記注入ノズルを用いて栽培用トレイに培養液を注入する養液注入機であって、
前記注入ノズルは、先端に蓋をし、前記注入ノズルの先端部の側面に前記栽培用トレイの中央部に向かって所定の角度に開口した吐出穴を設け、前記吐出穴から培養液を注入することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水耕栽培用トレイに迅速かつ安定した培養液の注入を行い、培養液の流出や飛散がなく、自動化ラインに対応した養液注入機を提供することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例の養液注入機をコンベヤに取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】実施例の養液注入機を示す正面図、側面図および上面図である。
図3】実施例の養液注入機の注入ノズルユニットを示す正面図および上面図である。
図4】実施例の養液注入機の注入ノズルを示す正面図、側面図、底面図、および正面断面図である。
図5】実施例の養液注入機の注入ノズルユニットの各位置を示す図である。
図6】実施例の養液注入機の注入ポンプユニットの正面図、側面図および上面図である。
図7】実施例の養液注入機の、電気系のブロック構成図である。
図8】実施例の養液注入機を用いた水耕栽培システムを説明する図である。
図9】本発明の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一または類似する構成または機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0018】
図1に、本発明の実施例の養液注入機を、水耕栽培用トレイを上部に有するコンベヤに取り付けた斜視図を示す。図において、水耕栽培用トレイ200を搬送するコンベヤ400の側部に、養液注入機100が取り付けられている。また、図2に、養液注入機を示す。図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は上面図である。
【0019】
養液注入機100は、注入ノズルを有する注入ノズルユニット10と、注入ノズルに培養液を供給するポンプユニット30と、注入ノズルユニットおよびポンプユニットを制御する制御ユニット40から構成されている。
【0020】
図3に、本実施例の注入ノズルユニットを示し、図3(a)はその正面図を、図3(b)は上面図を示す。注入ノズルユニット10は、パイプ(配管)の先端を略90度折り曲げた注入ノズル12と、注入ノズル12を初期位置と注入位置とに駆動する駆動モータ26と、電気信号を伝達する防水中継コネクタ28を備えている。図に示すように、注入ノズル12は、略垂直な初期位置から、先端部を栽培パネル210の注入穴212から栽培用トレイ200に入れた注入位置へ、駆動モータ26により駆動される。駆動モータ26は、初期位置と注入位置との間の途中の位置で停止可能な例えばステッピングモータで構成される。
【0021】
注入ノズルユニット10の注入動作は、次の通りである。
起動指令が入力されると、駆動モータ26により注入ノズル12を回転移動させて、栽培パネル210の注入穴212に挿入し、注入高さ位置で停止する。
注入ポンプを起動させて、培養液を注入する。
液面センサーが水位を検知したら、制御装置が動作し、注入を停止する。
注入ノズル12を排水位置まで上昇させ、注入ノズル内の培養液が排出されるまで、停止する。
初期位置まで注入ノズル12を戻して、動作を終了する。
【0022】
図4に、本実施例の注入ノズルの先端部の拡大図を示す。図4(a)は正面図、図4(b)は側面図、図4(c)はその底面図、図4(d)は正面断面図である。
【0023】
注入ノズル12は、パイプの先端部を略90度折り曲げて形成する。そして、パイプの先端に塞ぎ材で蓋16をし、側面に吐出穴14を形成する。吐出穴14の開口の角度(吐出角)は、注入ノズル12を栽培用トレイの四隅に設ける場合は略90度とすればよい。或いは、注入ノズル12を栽培用トレイの辺に設ける場合は略180度とすればよい。
注入ノズル12の先端に蓋16をし、側面に所定の角度、例えば90度或いは180度の吐出穴14を形成したので、トレイの底に培養液がぶつかって放射状に広がり、トレイの外周縁を乗り越えて外部に流出することがなく、培養液をトレイ内に迅速かつ安定して供給することができる。
【0024】
パイプ側面に形成する吐出穴14の位置は、パイプ先端の蓋16より高い位置とし、先端に水溜まりができるようにする。水溜まりで緩衝させることにより、培養液の流速を抑えつつトレイに吐出することができる。
【0025】
注入ノズル12は、吐出穴14より上方数センチのところから口径を太くする。すなわち、図に示すように、パイプの径φD1に対して先端の径φD2を大きくする。これにより、培養液の流速あるいは水圧を低減して、トレイに注入することができる。
【0026】
注入ノズル12の材料は、弱アルカリ性の培養液に浸食されることがなく、安価な塩化ビニル製のパイプが好ましい。パイプ先端の塩化ビニル製の蓋(塞ぎ材)16の固定は、接着剤を用いてもよいが、ポリエチレン製の熱収縮チューブ22が好ましい。これにより、接着剤を用いることなく漏れのない取り付けを容易に実現できる。
【0027】
注入ノズル12を用いて培養液を注入する場合、ポンプからの送水を停止してもすぐには流れが停止せず、ノズル内に溜まった培養液が排出される。そのため、ノズル上昇時に液だれが発生する恐れがある。パイプの先端を塞ぎ、液溜まりを設けた本実施例の注入ノズルには、小径の排水穴20を設け、溜まった残液を排水できる構造とする。
【0028】
また、後述するように、注入終了後に注入ノズル12を上昇端まで戻す過程で一旦停止させて、積極的に排水を行う制御を行う。排水停止位置は吐出口14が栽培パネル210の注入穴212より低い位置とし、栽培パネル210の上面には滴下しないようにしている。
【0029】
さらに、図に示すように、吐出穴14の上方に、滴を受ける滴ポケット24をノズルに設け、栽培パネル210への培養液の滴下を防止する。
【0030】
注入ノズル12には、φ2mmの小径の液面検出センサー18をポリエチレン収縮チューブ22で固定し、ノズル外径を最小に仕上げている。これにより、栽培パネル210の注入穴212の径を小さく抑えることができる。注入穴212を小さくすることにより、栽培用トレイ200内に光が入ることによる、藻の繁殖を抑えることができる。
【0031】
図5に、注入ノズルユニットの各位置の状態を示す。
図5(a)の注入位置では、注入ノズル12を栽培用トレイ200に入れて、吐出穴14から培養液をトレイに注入する。
図5(b)の排水位置では、注入ノズル12を水面よりも高い排水位置で停止させて、ノズル内部の培養液を排水する。すなわち、注入終了後に注入ノズル12を上昇させ戻す過程で一旦停止させて、ノズル先端の排水穴20より培養液の排水を行う。
図5(c)の中間位置(注入位置と初期位置との間の位置)では、注入ノズル12の先端に少量の滴23がつく。
図5(d)の、注入ノズル12が垂直となる初期位置では、注入ノズル先端の滴23は傾斜したノズルを伝わって滴ポケット24に入るため、注入ノズルユニットを汚すことがない。
【0032】
図6に、本実施例の養液注入機の注入ポンプユニットを示す。図6(a)はカバーをとった正面図、図6(b)はカバーをとった左側面図、図6(c)は右側面図、図6(d)は上面図である。図に示すように、本実施例のポンプユニット30は、第1のポンプ32および第2のポンプ34とポンプを2台備え、並列運転を可能としている。
【0033】
自動化ラインにおける養液注入機はラインタクト内で短時間に注入を行う必要があるだけでなく、多くの工程が連動しているため、故障によりラインを停止させないようにする必要がある。
【0034】
この対応として、安価なポンプ2台を並列運転することで必要とする流量を確保する。そして、ポンプ2台運転時と1台運転時での液面センサーが動作するまでの時間差が生じることに着目し、液面センサーの動作時間によりポンプ1台故障を判別して警報表示する。また、ポンプ1台運転で液面センサーが動作してから適正液量となるまでのポンプ動作時間をあらかじめ設定しておき、ポンプ動作停止タイミングを自動切換えすることにより、ポンプが1台故障しても安定して稼働を継続できるようにする。このことにより、ポンプ1台が故障しても自動化ラインを停止させることなく、自動化ラインが稼働していない時間に計画的にポンプ交換のメンテナンス作業を実施できる。
【0035】
なお、培養液が水圧をもって供給される場合は、ポンプユニットに代えて、電磁弁を有する電磁弁ユニットを用いることもできる。電磁弁を送給と送給停止とに切り換えることにより、培養液を栽培用トレイに注入することができる。
【0036】
図7に、本実施例の養液注入機の電気系のブロック構成図を示す。
制御ユニット40内には、制御装置42を備え、制御装置42にはタイマ44を備えている。注入ノズル12に設けた液面センサー18から、栽培用トレイ200内の液面の検出信号が制御装置42に入力される。制御装置42は、ポンプユニット30の第1のポンプ32および第2のポンプ34の運転を制御する。また、制御装置42は、注入ノズルユニット10の駆動モータ26を制御して、注入ノズルユニット10の停止位置を変更する。操作指令は、操作部46から入力される。
【0037】
養液注入機の注入終了タイミングを液面センサー18の検出動作で行う場合、トレイ内の液面が上下したり波立ちの影響を受けて安定しない場合がある。また、波立ちについては、ポンプ1台が故障した場合の波立ち具合が変化するなどの液量変動要素が問題となる。
【0038】
液面センサー18が設定時間以上継続してONした場合からあらかじめ設定した時間経過後にポンプを停止させる制御とし、ポンプ1台故障を判別する。そして、ポンプ1台の場合の専用タイミングでポンプを停止させる制御とする。これにより、停止タイミングを安定させることで、注入量を安定させる。また、この制御にすることで、トレイ内の養液入れ替えにあたり、吸出後の残液量に左右されずに最適なポンプ停止タイミングで注入することが可能となる。時間の経過検出は、制御装置42のタイマ44を用いればよい。
【0039】
本実施例の養液注入機は、別途容器で計量してトレイに培養液を落下注入する複雑な構造ではなく、ポンプから直接注入し、液面センサー18により注入量を制御するシンプルな構造の養液注入機である。
【0040】
また、注入ノズルを前後上下など2軸以上に動作させる複雑な構造ではなく、回転方向の一軸だけで注入ノズルの上下を行う単純な構造の注入ノズル駆動ユニットとする。そして、コンベヤからの幅方向の出張り寸法を抑えたレイアウトとすることで、コンパクト化と低価格化を図った養液注入機となる。
【0041】
本実施例の養液注入機は、トレイ内に培養液がある場合には注入動作を行わない。また、注入ノズル12が下降したときに液面センサー18が培養液を検知して動作した場合は、注入動作を行わないで完了させ、トレイ内に過剰に培養液を注入させない。
【0042】
図8に、本実施例の養液注入機を用いた水耕栽培システムの一例を示す。図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)は上面図である。コンベヤ400上には、コンベヤで搬送される栽培用トレイ200を有し、コンベヤ400の側部に、本実施例の養液注入機100と、養液吸出機300が向かい合うように取り付けられている。なお、図示していないが、コンベヤ400は左右に続いており、コンベヤ400の先には多数の栽培用トレイを置く栽培棚を備えている。
【0043】
水耕栽培システムにおいて、移植時には養液注入機で栽培トレイに培養液を注入し、入れ替え時には溶液注入機および養液吸出機を用いて培養液の入れ替えを行い、収穫時には養液吸出機を用いて培養液の吸い出しを行う。
【符号の説明】
【0044】
10…注入ノズルユニット
12…注入ノズル
14…吐出穴
16…蓋(塞ぎ材)
18…液面センサー
20…排出穴
22…収縮チューブ
23…滴
24…滴ポケット
26…駆動モータ
28…防水中継コネクタ
30…ポンプユニット
32…第1のポンプ
34…第2のポンプ
40…制御ユニット
42…制御装置
44…タイマ
46…操作部
100…養液注入機
200…栽培用トレイ
210…栽培パネル
212…注入穴
220…培養液
300…養液吸出機
400…コンベヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9