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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021064525
(22)【出願日】2021-04-06
(62)【分割の表示】P 2020564949の分割
【原出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2021101387
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2019187507
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】青木 信也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 善之
(72)【発明者】
【氏名】金田 剛典
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002272(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173420(WO,A1)
【文献】米国特許第5774602(US,A)
【文献】特開2018-163687(JP,A)
【文献】特開2019-71150(JP,A)
【文献】特開2016-134168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン先側となる軸心方向の一端側に開口が設けられている筒状の筐体を有し、少なくとも1本の電子ペン本体部が前記筒状の筐体内に収納される電子ペンであって、
前記電子ペン本体部のペン先側とは反対側の後端部側が嵌合される嵌合部と、
前記嵌合部を前記筐体の軸心方向に移動させる移動機構と、
識別情報発生部を有する第1の電子回路と、
を備え、前記嵌合部は、前記筐体に配設される前記第1の電子回路に電気的に接続されている端子を備える結合用コネクタを具備し、
前記電子ペン本体部は、
前記移動機構により前記嵌合部が移動されることで、前記開口を通じて外部に突出可能とされる導電性の芯体を備えるペン先部と、
軸心方向の前記ペン先側に前記ペン先部が結合され、前記芯体を通じて外部に送出する信号を発生する信号発生回路を含む第2の電子回路を収納する本体筒状部と、
軸心方向において前記本体筒状部の前記ペン先部とは反対側の後端部に設けられ、前記第2の電子回路に接続されている端子を具備すると共に、前記筐体の前記嵌合部の前記結合用コネクタに結合される後端部コネクタと、
を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
前記筐体には、外部と接続される充電用電極が設けられていると共に、
前記電子ペン本体部の前記本体筒状部には、前記第2の電子回路に電源電圧を供給するための蓄電素子が設けられており、
前記充電用電極が前記結合用コネクタの第1の端子部に接続され、
前記後端部コネクタは、前記蓄電素子に充電電流を供給するように前記第2の電子回路に接続される第2の端子部を備え、
前記結合用コネクタに前記後端部コネクタが結合されたときには、前記第1の端子部と前記第2の端子部とが電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記筐体には、電磁誘導により充電用電流を発生する充電用コイルが装着されており、
前記電子ペン本体部の前記本体筒状部には、前記第2の電子回路に電源電圧を供給するための蓄電素子が設けられており、
前記充電用コイルが前記結合用コネクタの第1の端子部に接続され、
前記後端部コネクタは、前記蓄電素子に充電電流を供給するように前記第2の電子回路に接続される第2の端子部を備え、
前記結合用コネクタに前記後端部コネクタが結合されたときには、前記第1の端子部と前記第2の端子部とが電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出センサと電界結合により信号の授受を行う静電容量方式の電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式の電子ペンとして、位置検出装置の位置検出センサとの間の電界結合を通じて信号の授受(インタラクション)を行うことで、位置検出センサで電子ペンにより指示された位置を検出するようにする、いわゆるアクティブ静電容量方式の電子ペンが賞用されている。
【0003】
この種のアクティブ静電容量方式の電子ペンは、一次電池や二次電池を用いた電源回路と信号発信回路とを内蔵すると共に、芯体を導体で構成し、信号発信回路からの信号を、導体の芯体から、位置検出センサに対して静電結合により送信するようにするものである(例えば特許文献1(特許第5687398号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5687398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の小型化の嗜好により、携帯型の電子機器も、より小型化の要求が強くなっている。そして、電子ペンは、この種の小型の電子機器に搭載される位置検出センサと共に使用されるようになっており、より細型のものが求められている。
【0006】
さらに、最近は、電子ペンは、文具の延長として捉えられ、その内部構成をモジュール化して、ボールペンの替え芯(リフィルやカートリッジ)と同様に取り扱えるようにする要望もある。以下、この明細書では、電子ペンの内部構成部品をモジュール化して一体化し、ボールペンの替え芯のように交換可能に構成したものを電子ペン本体部と称することとする。
【0007】
アクティブ静電容量方式の電子ペンを、このような電子ペン本体部を電子ペンの筐体内に収納して構成しようとした場合に、電子ペン本体部内に収納される信号発信回路への電源の供給手段が問題となる。すなわち、この場合の電子ペン本体部は非常に細型となり、大型の一次電池を当該電子ペン本体部内に設けることは困難である。もしも一次電池を電子ペン本体部内に搭載することが可能であっても、その電池容量が小さく、頻繁に交換する必要が生じ、その煩に堪えない。そのため、電子ペン本体部には、充電可能な小型の蓄電素子あるいは二次電池を設けて、外部から充電をする必要があるが、その充電をどのようにして行うかが課題となる。
【0008】
また、電子ペンにおいては、サイドスイッチなど、使用者による操作可能な状態で電子ペンの筐体に設ける必要がある電子回路部品も存在し、その電子回路部品と、電子ペン本体部の電子回路との間の電気的な接続をどのように実現するかも課題である。
【0009】
そして、このような電子ペン本体部を用いて電子ペンを構成する場合に、細い先端部を保護するために、例えばノック式ボールペンと同様に、電子ペンの使用時にのみ、電子ペン本体部の先端部を電子ペンの筐体の開口から外部に突出させるようにすることも肝要であるが、そのように、電子ペン本体部が電子ペンの筐体内で軸心方向に移動する場合において、上述のような電子ペン本体部と電子ペンの筐体に設けられる電子回路部品との電気的な接続をどのようにするかが大きな課題となる。
【0010】
この発明は、以上のような課題を解決することができるようにした電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、
ペン先側となる軸心方向の一端側に開口が設けられている筒状の筐体を有し、少なくとも1本の電子ペン本体部が前記筒状の筐体内に収納される電子ペンであって、
前記電子ペン本体部のペン先側とは反対側の後端部側が嵌合される嵌合部と、
前記嵌合部を前記筐体の軸心方向に移動させる移動機構と、
識別情報発生部を有する第1の電子回路と、
を備え、前記嵌合部は、前記筐体に配設される前記第1の電子回路に電気的に接続されている端子を備える結合用コネクタを具備し、
前記電子ペン本体部は、
前記移動機構により前記嵌合部が移動されることで、前記開口を通じて外部に突出可能とされる導電性の芯体を備えるペン先部と、
軸心方向の前記ペン先側に前記ペン先部が結合され、前記芯体を通じて外部に送出する信号を発生する信号発生回路を含む第2の電子回路を収納する本体筒状部と、
軸心方向において前記本体筒状部の前記ペン先部とは反対側の後端部に設けられ、前記第2の電子回路に接続されている端子を具備すると共に、前記筐体の前記嵌合部の前記結合用コネクタに結合される後端部コネクタと、
を備えることを特徴とする電子ペンを提供する。
【0012】
上述の構成の電子ペンにおいては、電子ペン本体部は、電子ペンの移動機構により移動する嵌合部に嵌合されて、電子ペンの筐体の中空部内を軸心方向に移動して、そのペン先部が、筐体の開口から外部に突出可能に構成されている。
【0013】
そして、電子ペン本体部のペン先側とは反対側の後端部に、電子ペン本体部の内部に設けられる第2の電子回路に接続されている後端部コネクタが設けられている。また、電子ペンの筐体の嵌合部には、電子ペンの筐体に配設されている識別情報発生部や充電用電極やサイドスイッチなどを含む第1の電子回路が接続されている結合用コネクタが設けられている。
【0014】
したがって、電子ペン本体部の後端部が電子ペンの筐体の嵌合部に嵌合されると、後端部コネクタと結合用コネクタとが結合する。これにより、例えば、充電用電極に外部から供給された充電電流が、結合用コネクタ及び後端部コネクタを通じて電子ペン本体部の内部に設けられる第2の電子回路に含まれる蓄電素子に供給され、当該蓄電素子が充電される。また、例えばサイドスイッチの端子が、結合用コネクタ及び後端部コネクタを通じて電子ペン本体部の内部に設けられる電子回路に接続されることで、第2の電子回路ではサイドスイッチの状態を把握することができる。
【0015】
上記の構成においては、結合用コネクタが移動機構により移動させられる嵌合部に設けられ、この嵌合部に嵌合する電子ペン本体部の後端部に後端部コネクタが設けられるので、電子ペン本体部が電子ペンの筐体内で軸心方向に移動したとしても、電気的な接続は常に確保されるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明による電子ペンの第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による電子ペン本体部の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による電子ペン本体部の第1の実施形態のペン先側の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による電子ペン本体部の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図5】この発明による電子ペン本体部の第1の実施形態の電子回路の構成例を説明するためのブロック図である。
図6】この発明による電子ペンの第1の実施形態と共に使用する静電容量方式の位置検出装置の構成例を説明するための図である。
図7図6の例の位置検出装置における電子ペンの傾き角の検出方法を説明するために用いる図である。
図8】この発明による電子ペン本体部の第1の実施形態の変形例の構成を説明するための図である。
図9】この発明による電子ペンの第2の実施形態に用いる電子ペン本体部の構成例を説明するための図である。
図10】この発明による電子ペン本体部の他の実施形態の構成例を説明するための図である。
図11】この発明による電子ペンの他の実施形態の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明による電子ペン及び電子ペン本体部の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の電子ペンでは、カートリッジ式の構成とされ電子ペン本体部を、電子ペンの筒状の筐体内に着脱可能に収容する構成を備えている。
【0019】
ところで、近年のアクティブ静電容量方式の電子ペンにおいては、電子ペンによる指示位置を検出する位置検出センサ側からの信号を受信して、その受信した信号の要求に基づいたフォーマットの信号を発信する双方向通信型の電子ペンも登場してきている。
【0020】
この種の双方向通信型電子ペンにおいては、位置検出センサからの信号を受信するための受信部の位置が重要である。静電容量方式の電子ペンの場合、位置検出センサから送信される信号は、静電容量結合により受信可能な電界によるものであり、信号の到達距離は非常に短い。そのため、双方向通信型電子ペンの受信部は、位置検出センサからの信号を大きい強度で受信することができるように、ペン先に近い位置に配置すべきである。
【0021】
そこで、この実施形態の電子ペンでは、電子ペン本体部の構成を、上述の双方向通信型電子ペン用として最適なものとなるように考慮している。すなわち、以下に説明する実施形態では、電子ペン本体部に、位置検出センサからの信号の受信部を設けるが、この受信部は、導電性材料で構成されている中心電極との電気的な絶縁を考慮しつつ、この中心電極の周囲を、中心電極の先端部の近傍まで覆うように囲んで設けられた筒状の導体からならる周辺電極により構成される。
【0022】
また、最近は、電子ペンの位置検出センサ面に対する傾き角(電子ペンの軸心方向と位置検出センサ面との成す角度。以下、電子ペンの傾き角と略称する)を、位置検出装置で検出し、検出した傾き角を電子ペンの指示軌跡(筆記跡)の太さなどに反映するようにすることが提案されている。この実施形態の電子ペンの電子ペン本体部においては、上記の周辺電極を、この電子ペンの傾き角の検出にも用いることができるように構成する。
【0023】
また、この第1の実施形態では、周辺電極を、位置検出用信号を送出する中心電極に対するシールド電極の役割をするようにも構成する。
【0024】
図1は、この発明による電子ペンの第1の実施形態の構成例を示す図である。この第1の実施形態の電子ペン1は、筒状の筐体2(以下、ペン筐体2と称する)の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、移動機構の例としてのノックカム機構部4により、電子ペン本体部3のペン先側が、ペン筐体2の長手方向の一端側の径R0の開口2b側から出し入れされるノック式の構成を備える。
【0025】
図1(A)は、電子ペン本体部3の全体がペン筐体2の中空部2a内に収容されている状態を示し、図1(B)は、ノックカム機構部4により電子ペン本体部3のペン先側が、ペン筐体2の開口2bから突出した状態を示している。なお、図1の例では、電子ペン1のペン筐体2が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。
【0026】
この実施形態では、ペン筐体2及び当該ペン筐体2内に設けられるノックカム機構部4は、周知の市販のノック式ボールペンと同様に構成される。
【0027】
ノックカム機構部4は、図1に示すように、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされている。カム本体41は、筒状のペン筐体2の内壁面に形成されている。ノック棒42は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部42aが、ペン筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされている。回転子43は、電子ペン本体部3のペン先側とは反対側の後端部が嵌合される嵌合部43aを備える。
【0028】
ただし、この嵌合部43aには、電子ペン本体部3との電気的な接続の構成が追加されている点が、通常の文具のノック式ボールペンの筐体の嵌合部とは異なっている。すなわち、電子ペン本体部3は、後述するように、内部に、位置検出センサに中心電極又は周辺電極を通じて送出する信号を発生する信号発信回路を備えており、当該信号発信回路には電源電圧を供給する必要がある。
【0029】
この実施形態では、後述するように、電子ペン本体部3の内部には、信号発信回路及び当該信号発信回路に電源を供給する蓄電素子が設けられている。そして、蓄電素子は、電子ペン本体部3の外部から充電をする必要がある。そのため、この実施形態の電子ペン本体部3の嵌合部43aに嵌合される端部には、前記蓄電素子と接続される端子導体(電極)が設けられており、前記嵌合部43aには、当該蓄電素子と接続される端子導体と接続される導体が形成される。なお、電子ペン本体部3との結合部の構成は、電気的な構成が追加されるだけ、ボールペンの替え芯が結合されて装着される構成であることに変化はない。電子ペン本体部3の嵌合部43aに嵌合される端部の構成例については、嵌合部43aの構成例と共に後述する。
【0030】
そして、ペン筐体2の、この例ではペン先側とは反対側の外周側面の部分に、図1に示すように、嵌合部43aに設けられる導体に接続される充電用電極2d,2eが形成されている。
【0031】
また、ペン筐体2の、使用者が電子ペン1の使用時に操作可能となる外周側面位置に、サイドスイッチ2Sが設けられている。サイドスイッチ2Sは、押し釦スイッチやスライドスイッチの構成であり、電子ペンにおいては周知のものであるので、ここでは、その詳細な構造の例については省略する。
【0032】
この第1の実施形態の電子ペン1においては、サイドスイッチ2Sの操作情報を、電子ペン本体部3に対して、嵌合部43aを通じて伝達する。この第1の実施形態の電子ペン本体部3は、位置検出用信号及び筆圧情報に加えて、このサイドスイッチ2Sの操作情報を、位置検出装置に送出する。位置検出装置には、このサイドスイッチ2Sの操作情報に対応する機能が設定されており、電子ペン本体部3から受信したサイドスイッチ2Sの操作情報に応じて、設定されている機能に応じた処理を行う。
【0033】
そして、この実施形態では、ペン筐体2の、使用者が使用時に把持する外周側面位置に導体帯2fが設けられている。この導体帯2fは、例えば導電ゴム等の導電材料からなる筒状体からなるもので、ペン筐体2の軸心方向の一部の外周を覆うように設けられている。この第3の実施形態では、嵌合部43aを通じて、電子ペン本体部3のアース電極に接続されるように構成されている。使用者が使用時に、この導体帯2fの部分を把持することで、当該導体帯2f及び、これに接続される電子ペン本体部3のアース電極(後述する本体筒状部31の金属パイプ部31aも接続されている)は、使用者の人体を通じて、大地に接続(接地)される。
【0034】
以上のような構成の電子ペン1において、図1(A)の状態において、ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、ペン筐体2内において図1(B)の状態にロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、ペン筐体2の開口2bから突出する状態になる。そして、この図1(B)の状態から、ノック棒42の端部42aが再度押下されると、ノックカム機構部4によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン本体部3のペン筐体2内の位置は、図1(A)の状態に戻る。ノックカム機構部4の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0035】
[電子ペン本体部3の実施形態]
図2(A)は、この実施形態の電子ペン本体部3の外観構成例を示す図である。また、図2(B)は、この実施形態の電子ペン本体部3と電子ペン1の筐体2の嵌合部43aとの結合部における電気的な接続例を示している。そして、図2(C)は、電子ペン本体部3が嵌合部43aに嵌合されたときに、電子ペン本体部3の内部の電子回路と、電子ペン1のペン筐体2に配置されている電子回路部品とが電気的に接続される状態を模式的に示した図である。
【0036】
第1の実施形態の電子ペン1の電子ペン本体部3は、ペン筐体2の嵌合部43aに嵌合される後端側の構成を除き、ボールペンの替え芯と互換性を取れる構成を備えるようにされている。図3は、この実施形態の電子ペン本体部3のペン先側の構成例を示す図で、図3(A)は、その外観を示す図、図3(B)は、その縦断面図である。また、図4は、図3に示した、この実施形態の電子ペン本体部3のペン先側の構成例を説明するための分解斜視図である。
【0037】
この実施形態の電子ペン本体部3においては、図2(A)及び図3(A),(B)に示すように、本体筒状部31のペン先側に、筒状結合部材32を介して、導電部材、例えば導電性金属からなる周辺電極33が結合されて、電子ペン本体部3の筐体30(以下、本体筐体30と称する)が構成されている。
【0038】
本体筒状部31は、この例では、図2(A)に示すように、金属パイプ部31aのペン先側とは反対側の後端側に樹脂パイプ部31bが結合されて構成されている。そして、この例では、本体筒状部31は、金属パイプ部31aのペン先側に、周辺電極33が、筒状結合部材32を介して結合されている。筒状結合部材32は、金属パイプ部31aと周辺電極33との間の絶縁の役割もする。そして、樹脂パイプ部31bの後端部に、電子ペン1のペン筐体2内に設けられている嵌合部43aに嵌合される後端部コネクタ、この例ではコネクタプラグ50が設けられる。一方、ペン筐体2の嵌合部43aには、電子ペン本体部3の後端部コネクタと結合される結合用コネクタ、この例ではコネクタジャック90が設けられる。
【0039】
本体筐体30の中空部30a内には、図2(A)及び図3(A)において点線で示すように、芯体保持部材7、筆圧検出部8、信号発信回路が搭載されるプリント基板9、電源電圧供給用の蓄電素子の例としての充電可能なコンデンサ10が、ペン先側から順に、軸心方向に並べられて収納されて、配設されている。
【0040】
このコネクタプラグ50は、電子ペン本体部3内に収納されているコンデンサ10及びプリント基板9に形成されている電子回路に電気的に接続されていると共に、互いに絶縁されている複数個の端子部、この例では、5個の端子部51a,52a,53a,54a,55aを備える。
【0041】
この実施形態の電子ペン本体部3においては、コネクタプラグ50の5個の端子部51a,52a,53a,54a,55aは、以下のように構成されている。すなわち、この例においては、端子部51aが、中心の心棒を構成する導体金属で構成される。そして、コネクタプラグ50は、図2(A)の例では、この端子部51aの棒状の導体金属に対して、それぞれの内壁面に絶縁層が形成されている円筒状の端子部52a,53a,54a,55aが同心円状に組合されて構成されている。
【0042】
この場合に、中心の心棒を構成する導体金属の端子部51aが軸心方向の先端部とされて、軸心方向に所定長さだけその環状周面及び先端が露出するようにされると共に、円筒状の端子部52a,53a,54a,55aは、それぞれが、軸心方向に所定長さだけその環状周面が露出するようにされる。すなわち、コネクタプラグ50の5個の端子部51a,52a,53a,54a,55aは、軸心方向の異なる位置に円環状の導体接触部が露出する状態となっている。なお、端子部51aは、円柱状形状であるが、その環状周側面及び先端部が導体接触部を構成する。
【0043】
このコネクタプラグ50は、電子ペン1のペン筐体2の中空内に配置されている回転子43に設けられている嵌合部43aに形成されている結合用コネクタを構成するコネクタジャック90の嵌合凹部に挿入されると、図2(B)に示すように、コネクタジャック90に設けられている5個の接点端子91,92,93,94,95のそれぞれに弾性的に接続される状態となる。5個の接点端子91,92,93,94,95のそれぞれは、導電性の弾性金属からなり、ペン筐体2に設けられている充電用電極2d,2e,サイドスイッチ2Sおよび導体帯2fのそれぞれに電気的に接続されている(図2(C)参照)。
【0044】
したがって、コネクタプラグ50が、コネクタジャック90に挿入されて結合されることで、電子ペン本体部3の内部の電子回路部品と、電子ペン1のペン筐体2に配置されている電子回路部品とが、電気的に接続される。
【0045】
図2(C)に示すように、この実施形態では、コネクタプラグ50の端子部51a,52a,53a,54a,55aは、それぞれは、コネクタジャック90に設けられている5個の接点端子91,92,93,94,95(図2(C)ではコネクタジャック90の接点端子の図示は省略)を通じて、充電用電極2e,2d、サイドスイッチ2Sの両端2Sa及び2Sb、導体帯2fのそれぞれに電気的に接続されている。
【0046】
このとき、コネクタプラグ50の端子部51a,52a,53a,54a,55aの円環状の導体接触部が、コネクタジャック90の接点端子91,92,93,94,95のそれぞれと接続されるので、電子ペン本体部3が、軸心方向の中心線を中心として回転をしても、電気的な接続は常に保たれていて、電気的な非接触を回避することができる。
【0047】
以上の構成により、電子ペン本体部3が、電子ペン1のペン筐体2のノックカム機構部4の回転子43の嵌合部43aと嵌合されたときには、電子ペン本体部3に収納されているコンデンサ10の両端は、電子ペン1のペン筐体2の充電用電極2d,2eと接続される。これにより、コンデンサ10に電源電圧が蓄積していないときには、充電用電極2d,2eを通じて、コンデンサ10が充電されて十分な電源電圧が蓄積される。
【0048】
また、電子ペン本体部3の電子回路は、サイドスイッチ2Sの状態を検出可能となり、検出したサイドスイッチ2Sの状態の情報を、芯体35が送出する信号に含めて送信することができる。さらに、電子ペン本体部3のアース電極とペン筐体2の導体帯2fとが電気的に接続されるので、使用者が導体帯2fの部分を把持することで、電子ペン本体部3のアース電極を人体を通じて接地することができ、電子ペン本体部3からの信号の送受を安定して行うことができる。
【0049】
次に、この実施形態の電子ペン本体部3のペン先側の構成例を、図3及び図4を参照して、さらに説明する。
【0050】
本体筒状部31のペン先側に設けられる周辺電極33は、この例では、図2及び図3に示すように、外径が一定の円筒形状部33aと、ペン先側に向かって徐々に先細となるようにテーパー状に形成されているテーパー部33bとを有する形状とされている。本体筒状部31の金属パイプ部31aは、周辺電極33の円筒形状部33aの外径R2(>R1)と等しい外径の円筒形状を有している。例えばR2=2.2ミリメートルとされている。
【0051】
筒状結合部材32は、絶縁性材料、この例では樹脂で構成されており、図3(B)に示すような筒状体であって、その外周面の軸心方向の中ほどの位置には、当該外周側面から軸心方向に直交する方向に突出するリング状鍔部32Fが形成されている。このリング状鍔部32Fは、軸心方向に所定の幅W(図3参照)を有し、その端面は、図3(A)及び(B)に示すように、本体筒状部31及び周辺電極33と段差を生じることなく面一となって本体筐体30の一部を構成するようにされている。つまり、リング状鍔部32Fの外周部の径は、周辺電極33及び本体筒状部31の金属パイプ部31aの外径と等しく選定されている。
【0052】
そして、この筒状結合部材32の、リング状鍔部32Fよりも軸心方向の一方側であるペン先側は、周辺電極33の円筒形状部33aと嵌合される第1の嵌合筒状部32aとされており、周辺電極33の円筒形状部33aが第1の嵌合筒状部32aに、リング状鍔部32Fのところまで圧入嵌合されて結合されるように構成されている。
【0053】
また、筒状結合部材32のリング状鍔部32Fよりも軸心方向に後端側は、本体筒状部31の金属パイプ部31aと嵌合される第2の嵌合筒状部32bとされ、本体筒状部31の金属パイプ部31aが第2の嵌合筒状部32bに、リング状鍔部32Fのところまで圧入嵌合されて結合されるように構成されている。
【0054】
本体筒状部31の金属パイプ部31aと、周辺電極33とが、筒状結合部材32に対して結合された状態では、図2(B)及び図1(A)、(B)に示すように、1本の筒状体の本体筐体30が形成される。そして、導電性材料からなる本体筒状部31の金属パイプ部31aと、周辺電極33とは、筒状結合部材32のリング状鍔部32Fの存在により接触することなく互いに電気的に分離(絶縁)されている状態となっている。
【0055】
本体筐体30の内部には、図3(B)に示すように、中空部30aが存在する。そして、本体筐体30の周辺電極33のペン先側には、図2(A)及び図3(A),(B)に示すように、絶縁材からなるフロントキャップ34が装着される。フロントキャップ34は、その先端側に中心電極35の径よりも大きな径の開口34a(図3(B)参照)を備えており、その開口34aは、本体筐体30の中空部30aに連通している。
【0056】
中心電極35は、この実施形態の電子ペン本体部3の芯体を構成するもので、導電性の部材、この例では、導電性金属で構成されている。そして、この中心電極35が、図3(B)に示すように、フロントキャップ34の開口34aから、本体筐体30内に挿入され、ペン先側とは反対側の端部が、芯体保持部材7に着脱可能に装着される。
【0057】
導電性材料からなる芯体35と周辺電極33とは、図3(B)に示すように、絶縁材であるフロントキャップ34により、電気的に分離(絶縁)される。この実施形態の電子ペン本体部3おいては、中心電極35が装着されたときには、周辺電極33は、図3(B)に示すように、中心電極35のペン先となる先端部35aよりも後端側を囲むように配されている。なお、以下の説明においては、中心電極35は、芯体35と記すこととする。
【0058】
本体筐体30の周辺電極33の、ペン先側のテーパー部33bは、ペン先側に近づくにしたがって徐々に小さくなる径を有し、この実施形態では、図2(A)に示すように、当該テーパー部33bの軸心方向の中ほどの位置からペン先側は、ペン筐体2のペン先側の開口2bの径R0以下となるように構成されている。
【0059】
以上のような構成の電子ペン本体部3は、その本体筒状部31をノックカム機構部4の回転子43の嵌合部43aに嵌合させることにより、ペン筐体2内に収納することができる。そして、この実施形態の電子ペン1においては、使用者は、位置検出装置と共に使用するときには、ノック棒42の端部42aを押下する。すると、電子ペン1においては、図1(B)に示すように、芯体35の先端部35aと、フロントキャップ34の一部と、周辺電極33のテーパー部33bのペン先側の一部とが、ペン筐体2の開口2bから外部に突出する状態となる。
【0060】
電子ペン1の使用が終了したら、ノック棒42の端部42aを再押下することで、図1(A)に示すように、電子ペン本体部3の全体はペン筐体2の中空部2a内に収容させる状態とすることができる。このときには、電子ペン本体部3の全体がペン筐体2の中空部2a内に収容されて、電子ペン本体部3の芯体35の先端部35aは、ペン筐体2により保護される状態となる。
【0061】
そして、この実施形態では、本体筐体30の中空部30a内には、図3(B)に示すように、基板載置台部301にプリント基板9が載置された基板ホルダー300が収納されている。
【0062】
基板ホルダー300は、絶縁性の樹脂により構成され、電子ペン本体部3の軸心方向となる長手方向において、基板載置台部301側とは反対側に、筆圧検出部8を収納保持するための筆圧検出部保持部302を有している。基板ホルダー300は、図3(B)に示すように、本体筐体30の中空部内に収納されたときに、電子ペン本体部3の軸心方向となる長手方向に、筆圧検出部保持部302と、基板載置台部301とが連続する構成とされている。筆圧検出部保持部302は、内部の中空部に筆圧検出部8の複数個の部品を収納する中空部を備える円筒形状とされる。基板載置台部301は、プリント基板9を載置して保持するボート状の形状であって、筒状体を軸芯方向に略半分切断したような形状とされている。
【0063】
基板ホルダー300は、筆圧検出部保持部302がペン先側となるように、本体筐体30内に収納される。そして、この筆圧検出部保持部302に保持されている筆圧検出部8に対して、芯体35と嵌合して当該芯体35を保持する芯体保持部材7が結合され、芯体35に印加される圧力(筆圧)が、筆圧検出部8に伝達されるように構成されている。
【0064】
基板ホルダー300は、図3(B)に示すように、筆圧検出部保持部302が、軸心方向において、筒状結合部材32の第2の嵌合筒状部32bと嵌合結合されることで、本体筐体30内において軸心方向に移動しないように位置規制されている。
【0065】
そして、図示は省略するが、基板ホルダー300の基板載置台部301の、筆圧検出部保持部302とは反対側に配設されているコンデンサ10の両端と、プリント基板9の電源ライン及びアースラインの銅箔パターンとが電気的に接続されている。これにより、コンデンサ10の電圧が、プリント基板9に形成されている回路に、電源電圧として供給される。
【0066】
この実施形態では、導電性材料からなる本体筒状部31の金属パイプ部31aは、電気的に、プリント基板9のアースラインの銅箔パターンと接続されている。
【0067】
この実施形態では、プリント基板9上には、芯体35及び周辺電極33から送出する信号を発生する信号発信回路および当該信号発信回路からの信号の芯体35及び周辺電極33への送信を制御する制御回路を構成するIC(Integrate Circuit)100(図3(A)及び(B)参照)及びその周辺回路部品からなる回路部が設けられている。周辺回路部には、図示を省略するが、コンデンサ10の充電回路が含まれる。コンデンサ10の充電回路は、電子ペン1の外部に設けられていてもよい。
【0068】
芯体35を嵌合保持する芯体保持部材7は、図3(B)及び図4の分解斜視図に示すように、導電性弾性部材71と、芯体ホルダー72と、コイルばね73と、導体端子部材74とから構成されている。芯体保持部材7は、筆圧検出部8に対して、芯体35に印可される筆圧の伝達部材の役割もする。
【0069】
芯体35は、この実施形態では、図3(B)及び図4(B)に示すように、導電性弾性部材71を介して導電性材料からなる芯体ホルダー72に嵌合されることにより、芯体ホルダー72に対して結合保持されている。導電性弾性部材71は、例えば導電性ゴムからなり、芯体35の先端部35aとは反対側の端部が嵌合される貫通孔71aを備える円筒状形状に形成されている。
【0070】
芯体ホルダー72は、導電性材料、例えばSUS(Steel Special Use Stainless)からなり、導電性弾性部材71を収納嵌合する凹穴721aを有する収納嵌合部721と、筆圧検出部8の後述する保持部材83に嵌合する棒状部722とが一体に形成されたものである。
【0071】
そして、芯体ホルダー72の棒状部722の先端部722aが、筆圧検出部保持部302に保持される筆圧検出部8の保持部材83に嵌合されることにより、芯体35に印加される圧力(筆圧)が筆圧検出部8に伝達されるように構成されている。この場合に、芯体ホルダー72は、導電性金属などの導電性材料からなる弾性部材の例としてのコイルばね73により、基板ホルダー300に対して常に芯体35側に付勢されるように構成されている。
【0072】
コイルばね73は、導体端子部材74と共に、プリント基板9に配設されているIC100からの信号を芯体35に伝達するための電気的接続用部材を構成する。この実施形態の電子ペン本体部3においては、このコイルばね73と導体端子部材74とで構成される電気的接続用部材を通じて、プリント基板9上に構成されている信号発信回路で生成される送信信号が芯体35に供給される。
【0073】
すなわち、この実施形態では、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302には、図4(A)に示すように、芯体ホルダー72の棒状部722が挿入される開口部302a側を覆うように、導電性を有する材料、例えばSUSからなる導体端子部材74が装着されている。
【0074】
この導体端子部材74は、図4(A),(B)に示すように、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302の開口部302a側を覆い、かつ、芯体ホルダー72の棒状部722が挿通する貫通孔741aを備える当接板部741を有する。
【0075】
また、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302の部分を跨いで、基板載置台部301の部分まで延伸する延伸部742が設けられている。そして、導体端子部材74が基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302に装着された状態においては、図3(B)に示すように、導体端子部材74から延伸する延伸部742の先端の端子部742aは、基板ホルダー300の基板載置台部301に載置されているプリント基板9の裏面側の導体と当接し、例えば半田付けされる。これにより、導体端子部材74とプリント基板9に設けられている信号発信回路と電気的に接続される。
【0076】
導電性弾性部材71が嵌合された芯体ホルダー72の棒状部722は、コイルばね73を介在させた状態で、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302の中空部内に、導体端子部材74の当接板部741の貫通孔741aを通して挿入されて、筆圧検出部保持部302に嵌合される。コイルばね73の内径は、芯体ホルダー72の棒状部722の外形よりも大きいものとされている。
【0077】
コイルばね73は、芯体ホルダー72に弾性的に接触すると共に、導体端子部材74の当接板部741に当接して弾性的に接触する。コイルばね73は、導電性材料で構成され、導電性弾性部材71及び芯体ホルダー72は導電性を有するので、導体端子部材74を介して、プリント基板9に配設されている信号発信回路と、芯体ホルダー72に嵌合されている導電性弾性部材71は、電気的に接続される。したがって、導電性弾性部材71に芯体35が嵌合されると、プリント基板9に配設されている信号発信回路からの信号が、芯体35に供給される状態となる。
【0078】
次に、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302及び筆圧検出部8の構成、さらに、筆圧検出部8の保持部材83と、芯体ホルダー72との嵌合について説明する。
【0079】
筆圧検出部保持部302に筆圧検出部8が収納されて図3(B)に示すように構成されることで、筆圧検出用モジュールが構成される。そして、この筆圧検出用モジュールに、芯体ホルダー72を介して芯体35が結合されることで、芯体35の先端部35aに印加される筆圧が筆圧検出用モジュールの筆圧検出部8で検出される。この場合に、筆圧検出用モジュールは、これを構成する筆圧検出部8の部品の一部が、芯体35の先端部35aに印加される筆圧に応じて、芯体35及び芯体ホルダー72と共に軸心方向に移動することで、筆圧を検出する。
【0080】
この例の筆圧検出部8は、芯体35に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合であり、図3(B)に示すように、誘電体81と、端子部材82と、保持部材83と、導電部材84と、弾性部材85との複数個の部品からなる。
【0081】
以上のように基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302に芯体ホルダー72が嵌合されている状態において、芯体35を、芯体ホルダー72に嵌合されている導電性弾性部材71の貫通孔71aに圧入させる。これにより、芯体35は、前述したように、導電性弾性部材71により芯体ホルダー72に対してしっかりと保持される。なお、芯体35は、芯体ホルダー72に嵌合されて保持された状態から、先端部35a側の方向に引き抜くことが可能であって、前述したように、交換が可能である。
【0082】
この電子ペン本体部3において、芯体35の先端部35aに圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体35は、軸心方向に後端側に変位し、この変位により、筆圧検出部保持部302内の保持部材83が弾性部材85の弾性偏倚力に抗して、誘電体81側に変位する。その結果、保持部材83に嵌合されている導電部材84が、誘電体81側に変位し、導電部材84と誘電体81との間の距離、さらには、導電部材84と誘電体81との接触面積が、芯体35に印加される圧力に応じて変化する。
【0083】
これにより、第1の電極を構成する端子部材82と、第2の電極を構成する導電部材84との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体35に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、プリント基板9に設けられているIC100で検出されて筆圧が検出される。
【0084】
なお、筆圧検出部8は、上述ような構成のものに限られるものではなく、例えば容量可変コンデンサをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子からなる半導体チップで構成したもの(例えば特許文献(特開2013-161307号公報)参照)を用いてもよい。
【0085】
次に、周辺電極33と、プリント基板9の回路部との電気的な接続について説明する。筒状結合部材32の外周面には、凹溝(図示は省略)が、当該筒状結合部材32の軸心方向に沿った方向に、第1の嵌合筒状部32aから、リング状鍔部32Fの下部を通って、第2の嵌合筒状部32bに亘って形成されている。
【0086】
そして、基板ホルダー300の筆圧検出部保持部302の周側面にも、第2の嵌合筒状部32bの凹溝と連続するような凹溝(図示は省略)が形成されている。この連続する凹溝内には、図3(B)に示すように、導電体材料、この例では、導電体金属からなる接続端子導体11が配設される。そして、図3(B)に示すように、筒状結合部材32の第1の嵌合筒状部32a側の凹溝に配設される接続端子導体11の端部11aは、少なくとも一部が、当該第1の嵌合筒状部32aの外周面よりも若干膨出するように配設される。ただし、当該端部11aの部分の凹溝の深さは、当該端部11aを上から押下したときには、端部11aが弾性的に下方に押下できるような深さに構成されている。
【0087】
これにより、筒状結合部材32の第1の嵌合筒状部32aに周辺電極33が嵌合されたときに、接続端子導体11の端部11aと、周辺電極33の内壁とが確実に接触して、周辺電極33と接続端子導体11とが電気的に接続される状態となるように構成されている。そして、接続端子導体11のプリント基板9側に伸びている端部11bは、図3(B)に示すように、プリント基板9の裏面9b側に電気的に接続される。図示は省略してあるが、接続端子導体11の端部11bは、プリント基板9の表面側の回路部とはスルーホールを介して、電気的に接続されている。
【0088】
なお、接続端子導体11が配設される凹溝の深さは、第2の嵌合筒状部32bに本体筒状部31の金属パイプ部31aが嵌合されたときに、接続端子導体11と金属パイプ部31aとが接触しない深さとされる。あるいは、接続端子導体11と金属パイプ部31aとの間に絶縁物を介在させるようにしてもよい。
【0089】
[電子ペン本体部3の電子回路構成例]
次に、この実施形態の電子ペン本体部3の電気的な構成例を図5に示す。この例では、図5に示すように、プリント基板9に載置されているIC100により制御回路101が構成される。そして、この制御回路101に対して、信号発信回路102と信号受信回路103とが接続されると共に、筆圧検出部8で構成される可変容量コンデンサ8Cが接続されている。可変容量コンデンサ8Cには、並列に抵抗8Rが接続されている。
【0090】
そして、信号発信回路102の信号出力端が、スイッチ回路104を通じて、芯体35に接続されている。この場合、芯体35と、スイッチ回路104との間には、導体端子部材74及び芯体ホルダー72並びに導電性弾性部材71が介在するのは前述した通りである。
【0091】
また、この例では、信号発信回路102の信号出力端は、切替スイッチ回路105の端子Sに接続されている。この切替スイッチ回路105の可動端子Mは、周辺電極33に接続されている。この場合、周辺電極33と切替スイッチ回路105との間には、接続端子導体11が介在する。
【0092】
切替スイッチ回路105の端子Rは、信号受信回路103の入力端に接続されている。また、切替スイッチ回路105の端子Gは、アース電極(グランド電極)に接続されている。
【0093】
そして、制御回路101は、スイッチ回路104に対して、当該スイッチ回路104をオンオフ制御する制御信号SW1を供給する。また、制御回路101は、切替スイッチ回路105に対して、可動端子Mを、端子S、端子R、端子Gのいずれに接続するかを切り替える切替制御信号SW2を供給する。
【0094】
なお、図示は省略するが、コンデンサ10の電圧が、電源電圧として、制御回路101、信号発信回路102、信号受信回路103、スイッチ回路104、切替スイッチ回路105のそれぞれに対して供給されている。
【0095】
信号受信回路103は、周辺電極33で、位置検出装置の位置検出センサとの間での静電容量結合(電界結合)を介して受信した信号を受け取り、当該受信した信号に応じた復調等の処理をして、その処理結果の信号を制御回路101に送る。
【0096】
制御回路101は、信号受信回路103からの信号を解析して、相手の位置検出装置の仕様を判断すると共に、相手の位置検出装置の位置検出センサと信号のインタラクションをするタイミングを定める。そして、制御回路101は、信号発信回路102から出力する信号のフォーマットを、相手の位置検出装置の仕様に合致するものとなるように制御し、定めたタイミングで位置検出センサとのインタラクションを行う。
【0097】
信号発信回路102は、基本的には、位置検出装置での位置検出のための所定周波数の位置検出用信号(バースト信号)と、筆圧検出部8で検出した筆圧に応じた筆圧情報とを含む信号を、制御回路101の制御の下に出力する。また、信号発信回路102は、電子ペン1の傾き角の検出用の信号も出力する。すなわち、信号発信回路102は、制御回路101による制御の下に、位置検出のための、また、電子ペン1の傾き角の検出用のバースト信号を送出する。
【0098】
そして、制御回路101は、信号発信回路102から位置検出用のバースト信号を送出している期間に、筆圧検出部8で構成される可変容量コンデンサ8Cの静電容量に基づいて筆圧を検出する動作を実行する。
【0099】
この例では、制御回路101は、まず、可変容量コンデンサ8Cを満充電の状態まで充電し、その後、充電を停止させることで、可変容量コンデンサ8Cを、抵抗8Rを通じて放電する状態にする。そして、その放電開始時点から、可変容量コンデンサ8Cの両端電圧が予め定められている所定の電圧になるまでの時間を計測し、その時間から、可変容量コンデンサ8Cのその時の静電容量を検出する。可変容量コンデンサ8Cの静電容量は、その時に芯体35に印加されている筆圧に対応してものとなっているので、その検出した静電容量に基づき筆圧を検出する。
【0100】
制御回路101は、検出した筆圧を、この例では複数ビットのデジタル信号に変換し、このデジタル信号に応じた筆圧情報を、信号発信回路102から出力するように、この信号発信回路102を制御する。
【0101】
そして、コンデンサ10に蓄電された電源電圧Vccが、制御回路101、信号発信回路102、信号受信回路103、スイッチ回路104及び切替スイッチ回路104のそれぞれに供給される。この実施形態では、プリント基板9には、コンデンサ10の充電回路106が設けられており、充電用電極2d,2eが接続されるコネクタジャック50の端子52a及び521aに接続されている。したがって、充電用電極2d,2eが、図示は省略するが、充電用アダプタを通じてAC電源に接続されると、充電回路106によりコンデンサ10への充電がなされる。
【0102】
また、ペン筐体2に設けられているサイドスイッチ2Sは、コネクタジャック50の端子53a及び54aを通じて制御回路101に接続されている。制御回路101は、サイドスイッチ2Sのオン、オフ状態を判別し、判別したサイドスイッチ2Sの状態の情報を生成し、その生成したサイドスイッチ2Sの状態の情報を、信号発信回路102を通じて位置検出装置に送信する。
【0103】
なお、電子ペン本体部3のアース電極(グランド導体)は、コネクタジャック50の端子55aを通じて導体帯2fに接続されている。
【0104】
[位置検出装置の回路構成例]
次に、位置検出装置及び位置検出センサの回路構成例について説明する。図6は、静電容量方式の位置検出装置200の電子ペン1からの信号の受信処理回路の構成例を説明するためのブロック図である。
【0105】
この例の位置検出装置200は、図6に示すように、位置検出センサ210と、この位置検出センサ210に接続されるペン検出回路220とからなる。位置検出センサ210は、この例では、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体211Y1、211Y2、…、211Ym(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置した第1の導体群と、縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体212X1、212X2、…、212Xn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置した第2の導体群とで構成される。
【0106】
なお、以下の説明において、第1の導体群の複数の第1の導体及び第2の導体群の複数の第2の導体のそれぞれを区別する必要がないときには、第1の導体211Y及び第2の導体212Xと称することとする。
【0107】
ペン指示検出回路220は、位置検出センサ210との入出力インターフェースとされる選択回路221と、増幅回路222と、バンドパスフィルタ223と、検波回路224と、サンプルホールド回路225と、AD(Analog to Digital)変換回路226と、制御回路227とからなる。
【0108】
選択回路221は、制御回路227からの制御信号に基づいて、第1の導体群および第2の導体群の中から1本の導体211Yまたは212Xを選択する。選択回路221により選択された導体は増幅回路222に接続され、電子ペン1(の電子ペン本体部3)からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路222により増幅される。この増幅回路222の出力はバンドパスフィルタ223に供給されて、電子ペン1から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0109】
バンドパスフィルタ223の出力信号は検波回路224で検波され、その出力信号はサンプルホールド回路225に供給されて、制御回路227からのサンプリング信号によりサンプルホールドされた後、AD変換回路226によってデジタル値に変換される。AD変換回路226からのデジタルデータは制御回路227によって読み取られ、処理される。
【0110】
制御回路227は、サンプルホールド回路225、AD変換回路226、および選択回路221に、それぞれ制御信号を送出すると共に、AD変換回路226からのデジタルデータから、電子ペン1によって指示された位置検出センサ210上の位置座標を算出すると共に、筆圧情報を検出する。
【0111】
また、制御回路227は、以下に説明するようにして、電子ペン1の傾き角を検出する。この位置検出装置200での電子ペン1の傾き角の検出の方法について、図7を参照して説明する。
【0112】
図7(A)の模式図に示すように、位置検出センサ210の入力面に対して、電子ペン1の電子ペン本体部3の芯体35が垂直の状態にあるときには、位置検出期間Taでは、芯体35の先端部35aと位置検出センサ210との間で静電結合し、その静電結合する領域OBaは、図7(B)に示すように、真円の領域となる。一方、傾き検出期間Tbでは、周辺電極33と位置検出センサ210との間で静電結合し、その静電結合する領域OBbは、図7(C)に示すように、リング状の領域となる。
【0113】
また、図7(D)の模式図に示すように、位置検出センサ210の入力面に対して、電子ペン1の電子ペン本体部3の芯体35が傾いている状態にあるときには、位置検出期間Taにおいて芯体35の先端部35aと位置検出センサ210との間で静電結合する領域OBaは、図7(E)に示すように、ほぼ真円の領域のままとなる。一方、傾き検出期間Tbにおいて周辺電極33と位置検出センサ210との間で静電結合する領域OBbは、図7(F)に示すように、傾き角に応じると共に傾きの方向に長く伸びた楕円形状の領域となる。
【0114】
したがって、位置検出装置200の制御回路227では、図7(F)に示した領域OBbの楕円形状の長円方向の長さから電子ペン1の傾き角の大きさを検出することができ、また、図7(E)に示した電子ペン1の指示位置を起点とした領域OBbの楕円形状の長円方向を検出することにより、電子ペン1の傾きの方向を検出することができる。
【0115】
なお、上述の例では、傾き角を検出する用途とされる周辺電極33には、芯体35に供給する信号と同一の周波数の信号を用いるようにしたが、芯体35に供給する信号の周波数と、周辺電極33に供給する信号の周波数とを異ならせてもよい。その場合には、位置検出装置200では、芯体35からの信号と、周辺電極33からの信号とを区別することができる。そのため、電子ペン1の電子ペン本体部3では、上述のように、位置検出期間Taと傾き検出期間Tbとを時分割で実行するのではなく、芯体35からの信号と、周辺電極33からの信号とを同時に位置検出センサ210に送出するように構成してもよい。
【0116】
[第1の実施形態の効果]
上述した第1の実施形態の電子ペン本体部3によれば、電子ペン本体部3の後端部がペン筐体2の嵌合部43aに嵌合されると、電子ペン本体部3のコネクタプラグ50と、嵌合部43aコネクタジャック90とが結合する。これにより、電子ペン本体部3のコネクタプラグ50に接続されている電子ペン本体部3の内部の電子回路と、ペン筐体2のコネクタジャック90に接続されている、ペン筐体2の充電用電極2d,2e、サイドスイッチ2S及び導体帯2fなどの電子回路部品とが電気的に接続される。
【0117】
そして、コネクタジャック90は、ペン筐体2に設けられている移動機構としてのノックカム機構部4により移動させられる嵌合部43aに設けられており、この嵌合部に電子ペン本体部3の後端部にコネクタプラグ50が設けられるので、電子ペン本体部3がペン筐体2内で軸心方向に移動したとしても、電気的な接続は常に確保される。
【0118】
また、上述の実施形態では、コネクタプラグ50の端子部51a,52a,53a,54a,55aの円環状の導体接触部が、コネクタジャック90の接点端子91,92,93,94,95のそれぞれと接続されるので、電子ペン本体部3が、軸心方向の中心線を中心として回転をしても、電気的な接続は常に保たれていて、電気的な非接触を回避することができる。
【0119】
また、この第1の実施形態の電子ペン1おいては、電子ペン1のペン筐体2の開口2bから電子ペン本体部3のペン先側が外部に突出する電子ペン1の使用時には、芯体35の先端部35aのみではなく、周辺電極33のペン先側のテーパー部33bの一部もペン筐体2の開口2bから突出する。
【0120】
したがって、この第1の実施形態の電子ペン1によれば、芯体35の先端部35aのみではなく、周辺電極33のペン先側のテーパー部33bと、位置検出センサ210の入力面までの距離が短くなり、両者の静電容量結合(電界結合)が強くなる。さらに、この実施形態では、周辺電極33のペン先側は、テーパー部33bとされているので、そのペン先側の先端部の断面積が小さくなり、より位置検出センサ210と強く電界結合するようになる。
【0121】
したがって、この第1の実施形態の電子ペン1は、細型化された場合であっても、位置検出センサ210と強く電界結合することができ、位置検出装置200においては、電子ペン1による指示位置の検出を感度良く検出することができるようになる。しかも、この第1の実施形態の電子ペン1の電子ペン本体部3では、周辺電極33で位置検出装置200からの信号を受信して、その受信した信号により指示されるタイミングで、電子ペン本体部3が信号の送出を開始する。これにより、位置検出装置は、電子ペン1の電子ペン本体部3からの信号の送出を予測しながら、電子ペン本体部3からの信号の受信待ちをすることができ、電磁誘導方式に比べて結合強度が小さい電界結合であっても、良好な動作を実現することができる。
【0122】
[電子ペン本体部とペン筐体の嵌合部との嵌合構成の他の例]
電子ペン本体部3の後端部コネクタの例のコネクタプラグ50と、ペン筐体2の嵌合部43aの結合用コネクタの例のコネクタジャック90は、電子ペン本体部の後端部コネクタとペン筐体の嵌合部の結合用コネクタの一例であり、これに限られるものではない。
【0123】
図8は、電子ペン本体部の後端部コネクタとペン筐体の嵌合部の結合用コネクタの他の例を示すものである。この例の電子ペン本体部3Bは、後端部コネクタの構成が図2(A)の例と異なるだけで、他は上述の第1の実施形態の電子ペン本体部3と同様である。そこで、以下の説明においては、電子ペン本体部3Bにおいて、電子ペン本体部3と同様の構成部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0124】
この例の電子ペン本体部3Bにおいては、本体筒状部31の樹脂パイプ部31bの後端部に、後端部コネクタの例としてのコネクタプラグ50Bを備える。このコネクタプラグ50Bは、オーディオ用のピンプラグ(例えばノイズキャンセル機能付の5極のピンプラグ)と同様の構成を有するもので、この例においては、5個の端子部51b,52b,53b,54b,55bは、軸心方向に異なる位置において、同一の径の円環状の導体接触部が露出する状態となっている。
【0125】
すなわち、5個の端子部51b,52b,53b,54b,55bの内の先端の端子部51bはチップ端子とされ、中間の3個の端子部52b,53b,54bは、それぞれ絶縁リング56a,56b,56c,56dにより、他の端子部と絶縁されているリング端子とされ、電子ペン本体部3Bの根元側の端子部55bはスリーブ端子とされている。
【0126】
この例の電子ペン本体部3Bのコネクタプラグ50Bと結合される、ペン筐体2の嵌合部43aに設けられる結合用コネクタの例としてのコネクタジャックは、ここでは図示は省略するが、図2(B)と同様に、5個の端子部51b,52b,53b,54b,55bの円環状の導体接触部のそれぞれに接触して電気的な接続を構成する5個の接点端子を備える。なお、この例においても、コネクタプラグ50Bの端子部51b,52b,53b,54b,55bは、それぞれは、コネクタジャックに設けられている5個の接点端子を通じて、ペン筐体2の充電用電極2e,2d、サイドスイッチ2Sの両端2Sa及び2Sb、導体帯2fのそれぞれに電気的に接続されている。
【0127】
この例においても、コネクタプラグ50Bの端子部51b,52b,53b,54b,55bの円環状の導体接触部が、嵌合部43aのコネクタジャックの5個の接点端子のそれぞれと接続されるので、電子ペン本体部3Bが、軸心方向の中心線を中心として回転をしても、電気的な接続は常に保たれていて、電気的な非接触を回避することができる。
【0128】
なお、上述の例では、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bの本体筒状部31のペン先側とは反対側の後端部の後端部コネクタはコネクタプラグの構成とし、ペン筐体2の嵌合部43aの結合用コネクタはコネクタジャックの構成としたが、逆に、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bの後端部コネクタをコネクタジャックの構成とし、ペン筐体2Bの嵌合部43aの結合用コネクタはコネクタプラグの構成としてもよい。
【0129】
[第2の実施形態]
この第2の実施形態の電子ペンは、第1の実施形態の変形例である。上述した第1の実施形態では、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bを電子ペン1のペン筐体2内に1本のみを収納するようにした。この第2の実施形態では、電子ペンのペン筐体内に複数本の電子ペン本体部を収納させ、移動機構の例としてのノック機構により、その複数本の電子ペン本体部の内の1本を選択して、その選択した電子ペン本体部のペン先部の先端を、筐体のペン先側の開口から突出させて使用するようにする。
【0130】
第1の実施形態の電子ペン1の電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bは、ペン筐体2の嵌合部43aに嵌合される後端側の構成を除き、ボールペンの替え芯と互換性を取れる構成を備えるようにされている。市販のボールペンとしては、インク色の異なる替え芯を装着した多色ボールペンが存在する。この第2の実施形態は、電子ペン本体部3を、この多色ボールペンの筐体と同様の構成の筐体に収納することで構成される電子ペンを提供するものである。
【0131】
図9は、この第2の実施形態の電子ペン1Mの外観を示す構成図である。この図9の例も、電子ペン1Mのペン筐体2Mが透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。
【0132】
電子ペン1Mのペン筐体2Mは、市販のノック式の多色ボールペンの筐体及びノック機構とほぼ同様の構成を備えている。ただし、第1の実施形態の電子ペン1のペン筐体2及びノックカム機構部4と同様に、ペン筐体2Mに充電用電極2Md及び2Meとサイドスイッチ2MSと導体帯2Mfが設けられる構成と、ノック機構の、電子ペン本体部3AESを嵌合させる嵌合部の構成とが、市販のノック式の多色ボールペンの筐体及びノック機構とは異なる。
【0133】
この図9の例では、ペン筐体2M内には、1本の電子ペン本体部3AESが収納されるとともに、2色のボールペンの替え芯、例えば赤色のボールペンの替え芯6Rと黒色のボールペンの替え芯6Bとが収納されている。電子ペン本体部3AESは、多色ボールペンの替え芯と同寸法に構成されている点を除けば、第1の実施形態の電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bと同様に構成され、本体筒状部31の後端側に、例えばコネクタプラグ50又は50Bと同様の構成の後端部コネクタを備える。
【0134】
そして、電子ペン1Mのノック機構には、電子ペン本体部3AES、赤色及び黒色のボールペンの替え芯6R及び6Bのそれぞれが嵌合されるノック棒42AES,42R及び42Bが備えられている。ノック棒42AESに設けられる嵌合部43AESは、第1の実施形態におけるノックカム機構部4の嵌合部43aと同様に、電子ペン本体部3AESの後端部に構成される後端部コネクタと結合する結合用コネクタを備える構成とされている。したがって、結合用コネクタの5個の端子に、充電用電極2Md及び2Meとサイドスイッチ2MSと導体帯2Mfとが電気的に接続されている。
【0135】
なお、ノック棒42R,42Bの嵌合部43R,43Bは、多色ボールペンの嵌合部とされている。
【0136】
ノック棒42AES,42R,42Bのいずれかが、ペン先側にスライド移動されることで、電子ペン本体部3AESあるいは赤色、黒色のボールペンの替え芯6R,6Bのいずれかのペン先側が、ペン筐体2Mの開口2Maが突出する。そして、ノック棒42AESが、ペン先側にスライド移動されることで、電子ペン本体部3AESの芯体35の先端部35a及び周辺電極33の一部が突出して、位置検出装置の位置検出センサと電界結合するようにされる。
【0137】
なお、第2の実施形態の電子ペン1Mの場合には、ペン筐体2M内に電子ペン本体部3AES及びボールペンの替え芯6R,6Bを収納するので、電子ペン本体部3AESの軸心方向は、ペン筐体2Mの開口2Maからずれている。このため、電子ペン本体部3AESのペン先部を、ノック機構を用いて、ペン筐体2Mの開口2Maから繰り出させて突出させるようにしたときに、押し出される電子ペン本体部3AESは、ペン筐体2Mの嵌合部43AESに対して、若干屈曲する。
【0138】
しかし、この実施形態の電子ペン本体部3AESの本体筒状部31は、樹脂パイプ部31bを備えているので、この樹脂パイプ部31bの弾性により、電子ペン本体部3の先端部の繰り出し時の電子ペン本体部3の屈曲に対応することができる。樹脂パイプ部31bの軸心方向の長さは、この第2の実施形態のような多色ボールペンの筐体の機構に対応する場合には、電子ペン本体部3AESの先端部の繰り出し時の屈曲を、樹脂パイプ部31bで良好に吸収できる長さに調整すると良い。
【0139】
なお、上述の第2の実施形態では、3個のノック棒42AES,42R,42Bの内のノック棒42AESの嵌合部43AESのみのを、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bを嵌合させることができる、導体を備える構成とした。しかしながら、3個のノック棒42AES,42R,42Bの嵌合部の内の2個又は全てを、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3B用として、その嵌合部を導体を備える構成のものとしてもよい。ただし、その場合の電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bにおいては、電子回路部品が配設される本体筐体30内には、自身の識別情報を位置検出装置に送信する機能を実現するためのIC及びその周辺回路を設けるとよい。
【0140】
その場合、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bと共に使用される位置検出装置は、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3Bのそれぞれから送信されてくる識別情報を受信して、判別する機能を備える。そして、位置検出装置は、嵌合部43AES,43R,43Bに嵌合される電子ペン本体部3AESの違いを判別して、それぞれに割り当てられた機能を実現するようにする。例えば、3個のノック棒42AES,42R,42Bの嵌合部の全てを、電子ペン本体部3又は電子ペン本体部3B用とする場合に、嵌合部43Rに嵌合される電子ペン本体部は、その指示位置に応じて表示する筆記軌跡(文字や図形)を赤色で表す機能を割り当て、嵌合部43Bに嵌合される電子ペン本体部は、その指示位置に応じて表示する筆記軌跡を黒色で表す機能を割り当て、嵌合部43AESに嵌合される電子ペン本体部は、その指示位置に応じて、先に指示入力された筆記軌跡を消去する機能を割り当てるようにすることができる。
【0141】
なお、電子ペン本体部に割り当てられる機能は、この例のような指示位置に応じた軌跡の表示色のみではなく、軌跡の太さや、実線、点線、一点鎖線などの表示する線の種別などであってもよい。
【0142】
なお、ペン筐体2Mに、複数個の電子ペン本体部3又は3Bを収納する場合において、充電用電極2Ed及び2Meと導体帯2fとは、それら複数個の電子ペン本体部3又は3Bに共通とすることができる。また、サイドスイッチ2MSは、ペン筐体2M内に収納される複数個の電子ペン本体部3又は3Bに共通とするようにしてもよいし、ペン筐体2M内に収納される複数個の電子ペン本体部3又は3Bのそれぞれに対応して、複数個のサイドスイッチをペン筐体2Mに設けるようにしてもよい。
【0143】
また、第2の実施形態は、3個のノック棒を備える例であったが、ノック棒は2個でもよいし、4個以上であってもよい。
【0144】
[電子ペン本体部の他の実施形態]
図10に、電子ペン本体部の他の実施形態を示す。図10(A)は、上述した第1の実施形態の図8に示した電子ペン本体部3Bの他の例の変形例を示すもので、この例は、第2の実施形態と同様に、ボールペンの替え芯との共用を考慮して構成されている例である。この実施形態の電子ペン本体部3Cの説明においては、前述の電子ペン本体部3Bと同様の構成部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0145】
この実施形態の電子ペン本体部3Cにおいては、第1の実施形態の電子ペン本体部3Bの周辺電極33とは形状が異なる周辺電極33Cを用いる。すなわち、図10(A)に示すように、この実施形態の電子ペン本体部3Cの周辺電極33Cは、外径が軸心方向に一定である筒状形状とされ、かつ、その外径が、電子ペンのペン筐体2の開口2bの径(図1参照)よりも小さい径R1とされている。
【0146】
このため、この実施形態の電子ペン本体部3Cにおいては、周辺電極33Cの構成が、第1の実施形態の電子ペン本体部3とは異なることから、本体筒状部31に対して周辺電極33Cを結合する筒状結合部材32Cは、周辺電極33Cの構成に合わせて、当該周辺電極33Cを本体筒状部31にリング状鍔部32CFを介して結合することができるように構成されている。また、フロントキャップ34Cも、周辺電極33Cの構成に合わせて変更されて構成されている。その他は、第1の実施形態の電子ペン本体部3と同様の構成とされる。
【0147】
この図10(A)の例の電子ペン本体部3Cの後端側は、この例では電子ペン本体部3Bと同様に、後端部コネクタの例としてのコネクタプラグ50Bが設けられている。そして、電子ペン本体部3Cは、電子ペン1のペン筐体2の嵌合部43aに嵌合されて、後端部コネクタの例としてのコネクタプラグ50Bと、嵌合部43aの結合用コネクタの例としてのコネクタジャックと電気的に接続される。
【0148】
したがって、この図10(A)の例の電子ペン本体部3Cを用いた電子ペンにおいても、第1の実施形態の電子ペン1と同様の作用効果を得ることができ、使用時には、図10(A)において点線で示す電子ペンの筐体2Cの開口から、芯体35と、フロントキャップ34Cと、周辺電極33Cのペン先側の一部が外部に突出する。この場合に、筐体2Cの開口の部分では、周辺電極33Cの一定の外径の円筒状部が位置するようになるので、この周辺電極33Cの円筒状部の外径を調整することで、筐体2Cの開口で、電子ペン本体部3Cのペン先側が、がたつくことがないようにすることが容易にできる。
【0149】
次に、図10(B)の例も、上述した第1の実施形態の図8に示した電子ペン本体部3Bの他の例の変形例を示すものである、この実施形態の電子ペン本体部3Dの本体筒状部31D及び筒状結合部材32Dの部分が、上述した電子ペン本体部3Bとは異なり、その他の部分は同様の構成とされる。そこで、この実施形態の電子ペン本体部3Dにおいても、電子ペン本体部3Bと同様の構成部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0150】
この実施形態の電子ペン本体部3Dの本体筒状部31Dは、上述した電子ペン本体部3Bの本体筒状部31の外径R2よりも大きい外径R3を備える。そして、この実施形態の電子ペン本体部3Dの本体筒状部31Dの内径も、第1の実施形態の電子ペン本体部3の本体筒状部31の内径よりも大きな径とされている。
【0151】
このため、この実施形態の電子ペン本体部3Dにおいては、本体筒状部31Dの構成が、電子ペン本体部3Bとは異なることから、本体筒状部31Dに対して周辺電極33を結合する筒状結合部材32Dは、本体筒状部31Dの構成に合わせて、周辺電極33を本体筒状部31Dにリング状鍔部32DFを介して結合することができるように構成されている。
【0152】
この実施形態の電子ペン本体部3Dの本体筒状部31Dは、大きなスペースの中空部を備える。そして、この実施形態の電子ペン本体部3Dにおいては、この本体筒状部31Dの大きな中空部のスペースを利用して、上述の電子ペン本体部3Bで用いた蓄電素子としてのコンデンサ10の代わりに、当該中空部内に、図10(B)に示すように、一次電池(バッテリー)10BTを収納するように構成する。本体筒状部31D内のその他の電子回路部品は、第1の実施形態と同様にして、当該本体筒状部31D内に収納されており、必要な各部への電源電圧が、本体筒状部31D内に内蔵の一次電池10BTから供給される。したがって、この実施形態の電子ペン本体部3Dを用いる電子ペン1のペン筐体2には、充電用電極2d,2eを設ける必要がない。
【0153】
この実施形態の電子ペン本体部3Dの本体筒状部31Dは、この例では、金属パイプで構成されていると共に、そのペン先側とは反対側の後端部には、樹脂基材31Daに後端部コネクタの例としてコネクタプラグ50B´が形成されている部材31DEが着脱可能に装着されている。この実施形態の電子ペン本体部3Dでは、部材31DEを外して、本体筒状部31Dに収納されている一次電池10BTの交換が可能に構成されている。
【0154】
この実施形態の電子ペン本体部3Dを収納する電子ペンの筐体は、上述の第1の実施形態の電子ペンの筐体2の径よりも太い径とされる。電子ペンの筐体のその他の構成は、上述の実施形態と同様とされ、ノックカム機構やノック機構などの移動機構を備え、当該移動機能により移動される嵌合部には、電子ペン本体部3Dの後端部のコネクタプラグ50B´が結合して、サイドスイッチや導体帯2fに電気的に接続されているコネクタジャックが設けられている。
【0155】
なお、この実施形態の電子ペン本体部3Dのように本体筒状部31Dを太型に構成する場合においても、一次電池10BTを本体筒状部31Dの中空部に設ける代わりに、二次電池や、コンデンサなどの蓄電素子を設けるようにしてもよい。その場合には、電子ペン本体部3Dの本体筒状部31Dの後端部コネクタの構成を、第1の実施形態の電子ペン本体部又は電子ペン本体部3Bと同様に構成し、電子ペンの筐体2には、充電用電極2d,2eを設けるものである。
【0156】
この図10(B)の例の電子ペン本体部3Cを用いた電子ペンにおいても、第1の実施形態の電子ペン1と同様の作用効果を得ることができ、使用時には、図10(B)において点線で示す電子ペンの筐体2Dの開口から、芯体35と、フロントキャップ34と、周辺電極33のペン先側のテーパー部の一部が外部に突出する。
【0157】
図10(C)は、図10(A)の電子ペン本体部3Cの変形例である。この図10(C)の例の電子ペン本体部3C´の周辺電極33C´は、ペン先側がテーパー部33C´bとされている点が、図10(A)の例の電子ペン本体部3の周辺電極33Cと異なる。すなわち、この例の電子ペン本体部3C´の周辺電極33C´は、その外径が電子ペンのペン筐体2の開口2bの径R0(図1参照)よりも小さい径R1とされている円筒形状部33C´aのペン先側にテーパー部33C´bが形成された形状とされている。この例では、フロントキャップ34C´が、周辺電極33C´のテーパー部33C´bの先端部に設けられる。その他は、図10(A)の例の電子ペン本体部3Cと同様に構成されている。
【0158】
この図10(C)の例の電子ペン本体部3C´の場合においても、使用時には、電子ペンの筐体2Cの開口から、芯体35と、フロントキャップ34C´と、周辺電極33C´のペン先側の一部が外部に突出する。この場合に、外部に突出する周辺電極33C´の一部は、テーパー部33C´bだけでなく、円筒形状部33C´aの一部も含み、筐体2Cの開口に位置するのは、円筒形状部33C´aとなるので、図10(A)の例と同様の作用効果を奏する。
【0159】
[電子ペンの他の実施形態]
上述のように、電子ペン本体部が備える後端部コネクタを、移動機構により筐体内で移動可能とされ、結合用コネクタを備える嵌合部に嵌合することで構成される電子ペンの他の構成例のいくつかを、図11(A),(B),(C)に示す模式的な構成例により説明する。
【0160】
図11(A)に示す例の電子ペン1Eに収納される電子ペン本体部3Eは、電源電圧を筐体2E内に設けられる二次電池(充電式バッテリー)12BTから得る点が上述の実施形態の電子ペン本体部とは異なり、その他は同様の構成とされている。
【0161】
この例の電子ペン本体部3Eでは、ノック棒42Eにより移動される嵌合部43Eに結合用コネクタ90Eが設けられている。この結合用コネクタ90Eは、二次電池12BTからの電源電圧を電子ペン本体部3Eの内部の電子回路に供給するための端子と、この例では、サイドスイッチ2ESが接続される端子が設けられている。なお、ペン筐体2Eに導体帯2fを設けて、この導体帯2fと電子ペン本体部3Eのアース電極とを接続するための端子を設けていてもよい。
【0162】
電子ペン本体部3Eの後端部コネクタ50Eが、図11(A)に示すように、嵌合部43Eに嵌合されると、当該嵌合部43Eに設けられている結合用コネクタ90Eと結合され、二次電池12BTからの電源電圧が、電子ペン本体部3Eの電子回路に供給されると共に、サイドスイッチ2ESが電子回路に接続されて、その状態が検知可能とされる。
【0163】
この例では、二次電池12BTは、充電用端子2Ed,2Eeを通じて外部から充電されるように構成されている。
【0164】
この例によれば、電子ペン本体部3Eの本体筒状部内に電源を設けなくてよいので、電子ペン本体部3Eの構成を簡略にすることができる。
【0165】
なお、図11(A)の例では二次電池12BTを用いたので、ペン筐体2Eに充電用電極2Ed及び2Eeを設けるようにしたが、二次電池12BTではなく、一次電池を用いてもよい。その場合には、充電用電極2Ed及び2Eeは不要となる。
【0166】
次に、図11(B)は、図11(A)の例の電子ペン1Eの変形例であり、この図11(B)の例の電子ペン1Fでは、ペン筐体2F内に設ける二次電池12BTの充電方法が、電子ペン1Eとは異なるだけで、その他の構成は電子ペン本体部3Eと同様である。
【0167】
この例の電子ペン1Fにおいては、図11(B)に示すように、ペン筐体2Fの外周側面に、コア13が嵌合されて取り付けられ、このコア13に対して充電用コイル14が巻回されて設けられる。そして、この例の電子ペン1Fでは、充電用コイル14で、外部から供給される電磁エネルギを受信して二次電池12BTを充電するようにする構成とされる。
【0168】
この例の電子ペン1Fにおいては、移動機構は、スライド式のノック棒42Fを用いる構成であり、このノック棒42Fのスライド移動に応じて移動される嵌合部43Fには、結合用コネクタ90Fが形成され、電子ペン本体部3Fの後端部コネクタ50Fと結合するように構成されている。なお、この例の電子ペン1Fにおいても、図11(A)に示したような、ペン筐体2Fの後端側から押し込むようにされるノック棒による移動機構を用いるようにしてもよい。また、図11(A)の例の電子ペン1Eにおいても、図11(B)のようなスライド式のノック棒を用いた移動機構を用いるように構成することもできる。また、図11(B)の例では、二次電池12BTは、電子ペン1Fの筐体2Fに設けるようにしたが、電子ペン本体部33F内に二次電池を設けて、充電コイル14からの充電電流で充電するように構成してもよい。
【0169】
また、図11(C)の例の電子ペン1Gは、図11(B)の例の電子ペン1Fとは、ペン筐体2G内に電子回路15が設けられると共に、サイドスイッチ2Sが結合用コネクタではなく、例えばフレキシブルケーブルを介して電子回路15に接続されている点が異なり、その他は同様の構成とされている。そして、この例の電子ペン1Gにおいては、結合用コネクタ90Gと、電子ペン本体部3Gの後端部コネクタ50Gとが結合されて、電子ペン本体部3Gとペン筐体2Gに設けられている電子回路部品との間の電気的がフレキシブルケーブルなどを介して接続される。
【0170】
この例の電子ペン1Gにおいては、上述の例の電子ペン1E,1Fと同様に、電子ペン本体部3Gの電子回路に、ペン筐体2Gに設けられている二次電池12BTからの電圧が電源電圧として供給される。また、この例の電子ペン1Gにおいては、二次電池12BTからの電圧が電源電圧として、電子回路15に供給される。
【0171】
この電子回路15には、ICからなる制御部が設けられると共に、当該制御部に対して、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信を行う無線通信部が接続されて設けられる。この無線通信部は、上述の実施形態と同様に、電子ペン1Gと静電結合方式の位置検出装置との間で無線通信を行うためのものである。そして、電子回路15の制御部が、コネクタプラグ90Gの円環状の導体接触部を備える端子部に接続されている。
【0172】
そして、この例の電子ペン1Gにおいては、制御部にサイドスイッチ2Sが接続されており、このサイドスイッチ2Sの操作情報を、静電結合方式の位置検出装置に対して無線送信するように構成される。
【0173】
また、図11(C)の例の電子ペン1Gにおいては、ペン筐体2Gに設けられている電子回路15は、電子ペン本体部3Gの電子回路で検出される筆圧情報を、後端部コネクタ50G及び結合用コネクタ90Gを通じて取得して、静電結合方式の位置検出装置に対して無線送信するように構成される。したがって、この例の電子ペン本体部3Gの芯体35から送出される位置検出用信号には、筆圧情報を含める必要はない。なお、この例の電子ペン1Gにおいても、電子ペン本体部3Gの芯体35から送出される位置検出用信号に、筆圧情報を含めて送出してもよい。
【0174】
なお、この例の電子ペン1Gにおいても、図11(A)に示したような、ペン筐体2Fの後端側から押し込むようにされるノック棒による移動機構を用いるようにしてもよい。
【0175】
また、この図11(C)の例の電子ペン1Gの構成においては、電子回路15を利用することで、次のように構成することもできる。
【0176】
すなわち、電子ペン1Gの識別情報(ペンID)を記憶するメモリを、電子回路15の制御部に接続して設けて、無線通信部を通じて位置検出装置に当該ペンIDを通知するようにしてもよい。
【0177】
また、電子ペン本体部3Gの電子回路に、電子ペン本体部3Gの識別情報(ペン本体部ID)を記憶するメモリを設け、このメモリのペン本体部IDを後端部コネクタ50G及び結合用コネクタ90Gを通じて、ペン筐体2Gに設けられている電子回路15に供給する。そして、この電子回路15が、無線通信部を通じて位置検出装置に当該ペン本体部IDを通知するようにしてもよい。
【0178】
また、電子ペン本体部3Gの電子回路で、周辺電極33で位置検出装置の位置検出センサから送出される信号を受信し、その受信部で受信した信号の信号レベルを検出して、電子ペン1Gが位置検出センサと静電結合しているインレンジ状態か、非結合のアウトレンジの状態かを検出し、その検出信号を後端部コネクタ50G及び結合用コネクタ90Gを通じて、ペン筐体2Gに設けられている電子回路15に供給する。そして、この電子回路15が、無線通信部を通じて位置検出装置に当該インレンジ状態か、アウトレンジの状態かを通知するようにしてもよい。
【0179】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、周辺電極は、筒状の導体により構成するようにしたが、円周方向に複数個に分割した導体により筒状に構成したものとしてもよい。
【0180】
また、芯体35は、導電性金属で構成するようにしたが、導電性を有するものであればよいので、例えば、導体粉を混入した硬質の樹脂で構成するようにしてもよい。
【0181】
なお、電子ペン本体部の本体筒状部は、金属パイプ部と、樹脂パイプ部とを結合する構成ではなく、樹脂パイプ単体で構成してもよい。また、本体筒状部の後端側は、パイプ形状を備えなくても、樹脂材によりコネクタを備える構造とすることができればよい。
【符号の説明】
【0182】
1…電子ペン、2…電子ペンの筐体、3…電子ペン本体部、4…ノックカム機構、7…芯体保持部材、8…筆圧検出部、9…プリント基板、10…蓄電用のコンデンサ、10BT…二次電池、30…電子ペン本体部の筐体、31…本体筒状部、32…筒状結合部材、33…周辺電極、34…フロントキャップ、35…中心電極(芯体)
図1
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