IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社丸山製作所の特許一覧

<>
  • 特許-往復動ポンプ 図1
  • 特許-往復動ポンプ 図2
  • 特許-往復動ポンプ 図3
  • 特許-往復動ポンプ 図4
  • 特許-往復動ポンプ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】往復動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/16 20060101AFI20240528BHJP
   F04B 53/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F04B53/16 D
F04B53/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021065325
(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公開番号】P2022160856
(43)【公開日】2022-10-20
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 広太
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-217149(JP,A)
【文献】特開2001-073928(JP,A)
【文献】特開平08-189459(JP,A)
【文献】米国特許第8707853(US,B1)
【文献】中国実用新案第2704699(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/16
F04B 53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口(11)が設けられたクランクケース(10)と、
前記クランクケース(10)内に配置され、前記クランクケース(10)によって回転自在に支持されたクランク軸(20)と、
前記クランク軸(20)に接続された複数のポンプ(30)と、を備え、
前記複数のポンプ(30)のそれぞれは、
前記クランク軸(20)に接続されたコンロッド(31)と、
前記クランク軸(20)の回転に伴って往復動するピストン(33)であって、前記コンロッド(31)に接続され、往復動方向に沿って延びる前記流体の流路(34e)を含むピストン元(34)、及び、前記ピストン元(34)に設けられ、前記ピストン元(34)から前記往復動方向に沿って前記コンロッド(31)と逆側に突出するピストンロッド(35)、を含む前記ピストン(33)と、
前記往復動方向に沿って前記ピストン元(34)をガイドし、前記流路(34e)を通過した前記流体を収容するガイド孔(36)と、
前記ガイド孔(36)に連通して、前記ピストンロッド(35)を収容するポンプ室(37)であって、前記流体を吐出する吐出弁(55)を含む前記ポンプ室(37)と、
前記ピストンロッド(35)に設けられ、前記ガイド孔(36)に収容された前記流体を前記ポンプ室(37)に流通させる弁体(39)と、を含み、
前記複数のポンプ(30)のうちの少なくとも一対のポンプ(30)において、一方のポンプ(30)の前記ガイド孔(36)と他方のポンプ(30)の前記ガイド孔(36)とは、連通路(60)によって互いに連通されている、往復動ポンプ。
【請求項2】
前記連通路(60)は、前記ピストン(33)が上死点(P1)にあるときに、前記往復動方向において、前記ピストン元(34)よりも前記ピストンロッド(35)側に位置している、請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項3】
前記複数のポンプ(30)は、3つ以上のポンプ(30)であり、
前記複数のポンプ(30)のそれぞれの前記ガイド孔(36)は、前記複数のポンプ(30)の他の全ての前記ガイド孔(36)のそれぞれと前記連通路(60)によって互いに連通されている、請求項1又は2に記載の往復動ポンプ。
【請求項4】
前記複数のポンプ(30)は、3つのポンプ(30)であり、
前記往復動方向から見たときに、前記3つのポンプ(30)のそれぞれの前記ガイド孔(36)の中心同士を結んだ形は、三角形状をなしている、請求項3に記載の往復動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、往復動ポンプが開示されている。この往復動ポンプは、液体が供給されるクランクケースと、クランクケース内に収容されるクランク軸及びコンロッドと、コンロッドに接続されるピストンとを備えている。ピストンは、クロスヘッド(ピストン元)と、クロスヘッドに設けられたプランジャ(ピストンロッド)を含む。クロスヘッドには、クランクケース内の液体をプランジャ側に流通させる流路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-217149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の往復動ポンプでは、ピストン元に形成された流路を介して液体がプランジャ側に供給される。この構成では、プランジャ側に供給される液体の流量は、流路の大きさと、流路を流れる液体の流速に依存する。この場合、流量を大きくするために流速を大きくすると、例えばキャビテーションが発生することが考えられる。
【0005】
本発明は、ピストン元に形成された流路における流速を抑制できる往復動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例の往復動ポンプは、流体の流入口(11)が設けられたクランクケース(10)と、クランクケース(10)内に配置され、クランクケース(10)によって回転自在に支持されたクランク軸(20)と、クランク軸(20)に接続された複数のポンプ(30)と、を備え、複数のポンプ(30)のそれぞれは、クランク軸(20)に接続されたコンロッド(31)と、クランク軸(20)の回転に伴って往復動するピストン(33)であって、コンロッド(31)に接続され、往復動方向に沿って延びる流体の流路(34e)を含むピストン元(34)、及び、ピストン元(34)に設けられ、ピストン元(34)から往復動方向に沿ってコンロッド(31)と逆側に突出するピストンロッド(35)、を含むピストン(33)と、往復動方向に沿ってピストン元(34)をガイドし、流路(34e)を通過した流体を収容するガイド孔(36)と、ガイド孔(36)に連通して、ピストンロッド(35)を収容するポンプ室(37)であって、流体を吐出する吐出弁(55)を含むポンプ室(37)と、ピストンロッド(35)に設けられ、ガイド孔(36)に収容された流体をポンプ室(37)に流通させる弁体(39)と、を含み、複数のポンプ(30)のうちの少なくとも一対のポンプ(30)において、一方のポンプ(30)のガイド孔(36)と他方のポンプ(30)のガイド孔(36)とは、連通路(60)によって互いに連通されている。
【0007】
上記の往復動ポンプでは、クランク軸(20)の回転動に伴うピストン(33)の往復動によって、流入口(11)から吸入されたクランクケース(10)内の流体が吐出弁(55)から吐出される。すなわち、ピストン(33)が上死点から下死点に向かうときに、クランクケース(10)内の流体がピストン元(34)の流路(34e)及びピストンロッド(35)の弁体(39)を通ってポンプ室(37)に流入する。そして、ピストン(33)が下死点から上死点に向かうときに、ポンプ室(37)の流体が吐出弁(55)から吐出される。上記の往復動ポンプは、2つのガイド孔(6)同士を連通する連通路(60)を有している。そのため、一のガイド孔(36)においてピストン(33)が上死点から下死点に向かうときには、クランクケース(10)から流路(34e)を介して一のガイド孔(36)に流体が流入するとともに、他のガイド孔(36)からも連通路(60)を介して一のガイド孔(36)に流体が流入し得る。また、ピストン(33)が下死点から上死点に向かうときには、ガイド孔(36)内の流体が流路(34e)を介してクランクケース(10)に戻るとともに、連通路(60)を介して他のガイド孔(36)へと流体が流出し得る。このように、ガイド孔(36)内の流体が流路(34e)及び連通路(60)を流通しているため、ピストン元(34)に形成された流路(34e)における流速が抑制される。
【0008】
一例の連通路(60)は、ピストン(33)が上死点(P1)にあるときに、往復動方向において、ピストン元(34)よりもピストンロッド(35)側に位置していてもよい。この構成では、ガイド孔(36)に形成された連通路(60)の出入り口(60a)がピストン元(34)に覆われることがなく、一のガイド孔(36)と他のガイド孔(36)とが常時連通することになる。
【0009】
一例において、複数のポンプ(30)は、3つ以上のポンプ(30)であり、複数のポンプ(30)のそれぞれのガイド孔(36)は、複数のポンプ(30)の他の全てのガイド孔(36)のそれぞれと連通路(60)によって互いに連通されていてもよい。この構成では、一つのガイド孔(36)が少なくとも他の2つ以上のガイド孔(36)と、それぞれ連通路(60)によって連通されることになる。
【0010】
一例において、複数のポンプ(30)は、3つのポンプ(30)であり、往復動方向から見たときに、3つのポンプ(30)のそれぞれのガイド孔(36)の中心同士を結んだ形は、三角形状をなしていてもよい。この構成では、例えば、三角形状の辺に沿って連通路(60)を設けることにより、3つのポンプ(30)のそれぞれのガイド孔(36)同士を互いに連通させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ピストン元に形成された流路における流速を抑制できる往復動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一例の往復動ポンプの外観を示す図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】連通路と上死点との関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、一例の往復動ポンプの外観を示す図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図2と直交する面を示す往復動ポンプの断面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った断面図であり、ピストン軸に直交する面を示す往復動ポンプの断面図である。図示のとおり、往復動ポンプ1は、クランクケース10と、クランク軸20と、複数のポンプ30と、を備える。
【0015】
クランクケース10は中空に構成されている。この中空部分は、使用される液体が流れる流路となっており、当該液体を収容している。クランクケース10の側面には、液体の流入口11が設けられている。クランクケース10には、開口部12が形成されており、この開口部12は、ボルト締結された蓋13により閉じられている。クランクケース10には、電動モータ等の駆動源と接続するための接続部材15が設けられている。接続部材15は、クランクケース10の内側に連通する筒状体17と、筒状体17から径方向外側に延在するフランジ18とを含む。例えば、駆動源は、フランジ18によって支持され得る。
【0016】
クランク軸20は、クランクケース10内に配置されている。クランク軸20は、クランクケース10に設けられた一対の軸受19a,19bによって、回転自在に支持されている。一対の軸受19a,19bは、クランクケース10を構成する互いに対向する一対の壁部10a,10bに設けられている。一方の軸受19bは、駆動源と接続される接続部材15に並設されている。軸受19a,19bに支持されたクランク軸20は、駆動源の動力によって回転可能となっている。
【0017】
複数のポンプ30は、クランク軸20に接続されている。例えば、複数のポンプ30は、3つ以上のポンプであってよい。図示例では、複数のポンプ30は、同様の構成を有する3つのポンプである。ポンプ30は、コンロッド31と、ピストン33と、ガイド孔36と、ポンプ室37と、弁体39とを含んで構成されている。
【0018】
コンロッド31は、クランク軸20に接続されている。一例のコンロッド31は、図1及び図2に示すように、後側(クランク軸20側)の大径部31aが、円筒状の軸受31bを介して、クランク軸20のクランクピンに回転自在に連結されている。コンロッド31において、大径部31aと逆側には小径部31cが設けられている。小径部31cは、クランク軸20と平行な軸線を有する円筒状をなしている。なお、一例の往復動ポンプ1では、3つのポンプ30の動作タイミングが互いにずれるように(例えば位相が互いに120°ずれるように)、それぞれのコンロッド31がクランク軸20に接続されている。
【0019】
一例のピストン33は、ピストン元34と、ピストンロッド35とを含む。ピストン元34は、略円柱状をなしている。ピストン元34において往復動方向のコンロッド31側には、コンロッド31と逆側に凹む凹部34aが形成されている。凹部34aには、往復動方向に直交する方向に延在するピストンピン34bが形成されている。このピストンピン34bは、円筒状の軸受34cを介してコンロッド31の小径部31cに回転自在に接続されている。凹部34aの底面には、往復動方向に沿ってピストン元34を貫通する貫通孔34dが形成されている。これにより、ピストン元34における径方向の内側には、凹部と貫通孔とによって、往復動方向に沿って延びる流体の流路34eが形成される。
【0020】
ガイド孔36は、往復動方向に沿ってピストン元34をガイドし、ピストン元34の流路34eを通過した流体を収容し得る。一例において、ガイド孔36は、クランクケース10の中空分部分の一部を構成する円柱状空間によって構成されている。円柱状空間の軸方向は、ピストン33の往復動方向に一致している。円柱状空間の内周面には、円筒状をなすガイド部材36aが配置されている。なお、一例の往復動ポンプ1は、3つのポンプ30を含む多連式であるため、クランクケース10の中空部分は、クランク軸20が配置される空間と、当該空間に接続される3つの円柱状空間(ガイド孔36)とを含んでいる。
【0021】
ピストンロッド35は、ピストン元34に設けられ、ピストン元34から往復動方向に沿ってコンロッド31と逆側に突出する。一例において、ピストンロッド35の直径は、ピストン元34の直径よりも小さい。また、ピストン元34の中心軸とピストンロッド35の中心軸とは一致している。
【0022】
弁体39は、ピストンロッド35に設けられている。弁体39は、ガイド孔36に収容された流体をポンプ室37に流通させる。図示例では、ピストンロッド35に設けられた吸水弁機構40に弁体39が含まれている。一例の吸水弁機構40は、弁体39、弁体39が離座/着座する弁座(スリーブ)41、カラー43、留め具(ナット)45等を備え、これらが円筒状に構成され、圧縮バネ46と共にピストンロッド35に外挿される。
【0023】
弁座41は、円筒状をなしている。弁座41には、軸方向に沿った複数の貫通孔41aが設けられている。複数の貫通孔41aは、周方向に沿って互いに離間している。貫通孔41aは、クランクケース10内からの使用液をポンプ室37へ流すため流路として機能する。弁座41よりも下流側には、カラー43が配置されている。このカラー43の上流端には、弁体39が外挿されている。
【0024】
カラー43よりも下流側には、留め具45が配置され、この留め具45と弁体39との間に、カラー43を囲繞するように圧縮バネ46が配置される。吸水弁機構40では、圧縮バネ46の作用により弁体39が弁座41に着座することにで、貫通孔41aが閉じられて吸水弁が閉となる。また、ガイド孔から貫通孔41aに流れ込む流体の圧力により弁体39が弁座41から離座することにより、貫通孔41aが開けられて吸水弁が開となる。
【0025】
ポンプ室37は、ガイド孔36に連通した空間であり、ピストンロッド35及び吸水弁機構40を収容し得る。一例のポンプ室37は、クランクケース10に接続された円筒状の接続管51の内側空間によって構成されている。接続管51の中心軸とガイド部材36aの中心軸とは一致している。すなわち、ピストンロッド35は、ポンプ室37内を軸方向に沿って往復動する。
【0026】
ポンプ室37は、流体を吐出する吐出弁55を含む。一例においては、ポンプ室37を構成する接続管51がマニホルド53に接続されており、ポンプ室37とマニホルド53の接続部分に吐出弁55が配置されている。吐出弁55は、吸水弁機構40のポンプ作用によるポンプ室37の加圧/減圧により流路を開閉し、開によりポンプ室37内の加圧された使用液をポンプ室37外に吐出させる。
【0027】
以上の構成を備える往復動ポンプ1では、クランク軸20の回転動に伴うピストン33の往復動によって、流入口11からクランクケース10内に吸入された流体が吐出弁55から吐出される。すなわち、ピストン33が上死点から下死点に向かうときに、クランクケース10内の流体がピストン元34の流路34eを通りガイド孔36内に至る。そして、ガイド孔36内に至った流体はピストンロッド35の吸水弁機構40を通ってポンプ室37に流入する。そして、ピストン33が下死点から上死点に向かうときに、ポンプ室37の流体が吐出弁55から吐出される。
【0028】
このような往復動ポンプ1では、ガイド孔36内に供給される液体の流量は、流路34eの大きさと、流路34eを流れる液体の流速に依存し得る。この場合、流量を大きくするために、流速を大きくすると、例えばキャビテーションが発生し得る。また、流量を大きくするために、例えば、流路34eの断面積を大きくすることが考えられるが、流路34eの断面積を大きくした場合には、ピストン元34が大型化してしまう。
【0029】
そこで、一例の往復動ポンプ1は、図2に示すように、連通路60を有している。連通路60は、複数のポンプ30のそれぞれのガイド孔36同士を連通する流路であり、クランクケース10に形成されている。連通路60は、例えば断面円形状を有する直線状の流路であってもよい。それぞれのポンプ30のガイド孔36は、他の全てのポンプ30のガイド孔36と連通路60によって互いに連通されている。本例の往復動ポンプ1は、3つのポンプ30を有しているため、3つのポンプ30におけるそれぞれのガイド孔36同士が3の連通路60によって互いに接続されている。図4に示すように、往復動方向から見たときに、3つのポンプ30のそれぞれのガイド孔36の中心同士を結んだ形は、三角形状をなしている。3つの連通路60は、当該三角形の辺に沿って配置されている。
【0030】
図5は、連通路と上死点との関係を説明するための模式図である。図5では、ガイド孔36と、ガイド孔36に形成された連通路60と、往復動するピストン元34とが模式的に描かれている。図5に示すように、一例の往復動ポンプ1では、連通路60は、ピストン元34が上死点P1にあるときに、往復動方向において、ピストン元34よりもピストンロッド35側(下死点側)に位置している。すなわち、連通路60の出入り口(開口)60aは、ピストン33が上死点P1にあるときに、ピストン元34によって完全に覆われることがなく、少なくとも一部が常時露出している。図示例の位置関係においては、ピストン33が上死点P1にある状態で、連通路60の出入り口60aが半分程度露出している。なお、連通路60の出入り口60aは、ピストン33が上死点P1にある状態で、完全に露出していてもよい。
【0031】
このような往復動ポンプ1によれば、一のガイド孔36においてピストン33が上死点から下死点に向かうときには、クランクケース10から流路34eを介して一のガイド孔36に流体が流入するとともに、他のガイド孔36からも連通路60を介して一のガイド孔36に流体が流入し得る。また、ピストン33が下死点から上死点に向かうときには、ガイド孔36内の流体が流路34eを介してクランクケース10に戻るとともに、連通路60を介して他のガイド孔36へと流体が流出し得る。このように、ガイド孔36内の流体が流路34eのみならず連通路60も流通しているため、ピストン元34に形成された流路34eにおける流速が抑制される。また、ピストン33を大型化することなく、流量を増大させることができる。
【0032】
一例の連通路60は、ピストン33が上死点にあるときに、往復動方向において、ピストン元34よりもピストンロッド35側に位置している。この構成では、ガイド孔36に形成された連通路60の出入り口60aがピストン元34に覆われることがなく、一のガイド孔36と他のガイド孔36とが常時連通することになる。そのため、ピストン33が上死点から下死点に向かうときには、動作の初期から、連通路60を介してのガイド孔36への流体の流入が許容される。また、ピストン33が下死点から上死点に向かうときには、動作の最後まで、連通路60を介しての流体の流出が許容される。
【0033】
一例において、複数のポンプ30は、3つ以上のポンプ30であり、複数のポンプ30のそれぞれのガイド孔36は、複数のポンプ30の他の全てのガイド孔36のそれぞれと連通路60によって互いに連通されている。この構成では、一つのガイド孔36が少なくとも他の2つ以上のガイド孔36と、それぞれ連通路60によって連通されることになる。
【0034】
一例において、複数のポンプ30は、3つのポンプ30であり、往復動方向から見たときに、3つのポンプ30のそれぞれのガイド孔36の中心同士を結んだ形は、三角形状をなしている。この構成では、例えば、三角形状の辺に沿って連通路60を設けることにより、3つのポンプ30のそれぞれのガイド孔36同士を互いに連通させることができる。この場合、3つの連通路60の長さを互いに同じすることが容易である。
【0035】
以上、本開示の例示的な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。例えば、3つのポンプ同士が互いに連通路60で接続される例を示したが、複数のポンプのうちの少なくとも一対のポンプにおいて、一方のポンプのガイド孔と他方のポンプのガイド孔とが、連通路によって互いに連通されていればよい。
【0036】
また、断面円形状の連通路60によって、ガイド孔36同士が接続される例を示したが、連通路60の態様はこれに限定されない。連通路60は、ガイド孔36同士を互いに連通していれば、その形状は特に限定されない。例えば、3つのポンプのそれぞれのガイド孔の中心同士を結んだ形が三角形状をなしている場合、当該三角形状をなす平面状の連通空間によってガイド孔同士が連通されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…往復動ポンプ、10…クランクケース、20…クランク軸、30…ポンプ、31…コンロッド、33…ピストン、34…ピストン元、35…ピストンロッド、34e…流路、36…ガイド孔、37…ポンプ室、39…弁体、55…吐出弁、60…連通路。
図1
図2
図3
図4
図5