(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】可撓性容器から薬剤を移送するための閉鎖式システム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2021212412
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2020194629の分割
【原出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-11-21
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518180814
【氏名又は名称】アクティバックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】AKTIVAX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アミール ゲノサル
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503964(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161979(WO,A1)
【文献】特開2011-19924(JP,A)
【文献】特開2012-95834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0325085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量された投与量の有益な薬品を供給源から届け先ポートに移送するための流体制御装置であって、前記流体制御装置は、
供給源ポートと、
計量ポンプと、
前記有益な薬品を前記届け先ポートに連通する送達ポートと、
前記供給源ポート、前記計量ポンプ、および前記送達ポートと任意選択的に流体連通するバルブと
を備え、前記バルブはバルブハウジングを備え、
前記供給源ポートは前記バルブハウジングから延在し、
前記計量ポンプは前記バルブハウジングに結合され、
前記送達ポートは前記届け先ポートを収納するように構成された前記バルブハウジング内の開口部であり、
前記バルブは、前記届け先ポートと係合していない第1構成から前記届け先ポートと係合する第2構成に移動可能であり、
前記第1構成において、前記供給源ポートおよび前記計量ポンプは流体連通し、どちらも前記送達ポートとは流体連通せず、
前記第2構成において、前記計量ポンプは前記送達ポートと流体連通し、どちらも前記供給源ポートとは流体連通しない、
前記流体制御装置。
【請求項2】
前記バルブはニードルと、前記届け先ポートにつなぎ合わせるように構成される前方隔壁とをさらに備え、
前記第1構成において、前記ニードルは前記前方隔壁を貫通せず、前記前方隔壁は前記バルブと前記届け先ポートとの間の流体連通を遮断し、
前記第2構成において、前記ニードルは前記前方隔壁を貫通し、前記バルブと前記届け先ポートとの間に流体連通を確立する、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記届け先ポートは、前記届け先ポートが前記送達ポートから離脱させられる前記第1構成から、前記届け先ポートが前記送達ポートと係合する前記第2構成に、前記バルブを操作するように構成され、前記届け先ポートは隔壁を備え、前記第1構成において、前記隔壁は前記送達ポートと前記届け先ポートとの間の流体連通を遮断し、前記第2構成において、前記ニードルは前記隔壁を貫通し、前記送達ポートと前記届け先ポートとの間に流体連通を確立する、請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記第2構成において、前記前方隔壁および前記隔壁が前記流体制御装置から前記有益な薬品が漏れ出ることを防ぐ流体密封シールを確立する、請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記届け先ポートは、前記届け先ポートが前記送達ポートから離脱させられている前記第1構成から、前記届け先ポートが前記送達ポートと係合する前記第2構成に、前記バルブを操作するように構成される、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記供給源ポートは、前記供給源と流体連通される、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記供給源は前記有益な薬品を貯蔵するための容器を備える、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記供給源は、前記有益な薬品を貯蔵する容器を前記供給源ポートと相互作用させ、前記有益な薬品を前記容器から前記供給源ポートに連通するための導管を備える、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記計量ポンプがシリンジである、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記シリンジが前記バルブハウジング上に螺合されるように構成され、螺合後には前記シリンジが前記バルブハウジングにロックされて取り外すことができない、請求項9に記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記シリンジは前記有益な薬品の投薬オプションに相関する目盛りを備える、請求項9に記載の流体制御装置。
【請求項12】
前記届け先ポートは、静脈内送達システム、カテーテル、チューブ、ニードル、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと連通するように構成される、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項13】
前記バルブを前記第1構成に付勢するばねをさらに備える、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項14】
前方隔壁をさらに備え、前記前方隔壁および前記ばねは単一の構成要素に組み合わされている請求項13に記載の流体制御装置。
【請求項15】
前記バルブと流体連通する入れ物をさらに備え、前記第1構成において、前記計量ポンプは前記供給源ポートから流体を受け取ることのみが可能であり、前記計量ポンプは前記入れ物に流体を押し出すことのみが可能である、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項16】
前記バルブが前記第2構成のままであるように前記送達ポートに結合された前記届け先ポートを保持するラッチ機構をさらに備える、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項17】
前記バルブは、ストップコック、および、前記第1構成と前記第2構成との間で前記ストップコックを操作する回転作動レバーを備え、前記回転作動レバーは、前記第1構成において、前記送達ポートが前記届け先ポートに連結されるのを防ぐように前記送達ポートを閉塞する突出部を備える、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項18】
前記供給源ポートは、前記供給源ポートと前記供給源との間の流体連通を確立するために前記供給源と取り外し可能に係合できる、請求項1に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物調製および送達の分野に関連する。より具体的には、本開示は、危険な薬物の調合、移送、および投与のための閉鎖式システム移送装置(CSTD:Closed System Transfer Device)に関連する。
【背景技術】
【0002】
投与のための薬物の調製プロセスにおいて、一次容器から注入リザーバ、注入ラインなどの薬物送達システムへの、または直接患者への測定された量の薬剤の移送がしばしば必要とされる。調製者(典型的には、薬剤師または他の医療従事者)の薬剤への曝露には、健康へのリスクが存在する場合があり、このリスクを最小化するか、または完全に排除するように予防措置をとる必要がある。危険な薬剤の例には、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、およびホルモンなどの化学療法薬が含まれる。
【0003】
ガラスバイアルなどの硬質一次容器に収容される薬物は、バイアル内外に物質を移送することによって周囲の気圧とバイアル内圧力との間の圧力の不均衡が引き起こされる可能性があるので、特定の課題を提示する。この圧力の不均衡は、危険な物質への使用者の曝露というリスクを増加させる薬物の漏れおよびエアロゾル化につながり得る。危険な物質の取り扱いに関連する別のリスクには、薬物移送システムコネクタの露出面に残った薬物残留物が含まれる。液体薬物システムにおける一般的なコネクタは、ほとんどの非経口シリンジ先端ならびに静脈内(IV)バッグのポートおよびIV注入ラインにおいて見られるルアーコネクタである。連結時に、ルアーコネクタは信頼性の高い流体密封シールを特徴としているが、取り外し時には、ルアーコネクタは濡れた露出面および/または開いたラインを残し得る。これは、ルアーコネクタを使用するとき、薬物の漏出およびエアロゾル化を許容する。
【0004】
シリンジでバイアルから取り出されたとき、危険な物質への使用者曝露のリスクを減少させるように、いくつかのシステムが提案されていて、ヘルスケア業界では、一般的には、閉鎖式移送システムまたは閉鎖式システム移送装置(CSTD)と言及されている。閉鎖式移送システムは、通常、薬物曝露に対する2つの重要な誘因、a)一次容器と大気との間の圧力差、およびb)シリンジの先端、バイアルストッパ、またはIVシステムポートなどの流体システム構成要素の露出面上の薬物残留物、のうちの少なくとも1つに対して解決策を提供する。
【0005】
閉鎖式移送システムの一例は、Teva Pharmaceuticals社(Petach Tikva、イスラエル)から市販されるTevadaptor(商標)システムであり、その一つの実例は特許文献1である。Tevadaptor(商標)システムは、IV投与のための調合に関与するバイアル用アダプター、IVバッグポート、IVラインポート、およびシリンジを含む様々な通常の構成要素と相互作用させるように構成される一連の相互連結アダプターからなる。Tevadaptor(商標)バイアルアダプターは、バイアルから投与量が取り出されたとき、バイアル内と周囲の空気との圧力の連続的な均衡を保たせるが、汚染物質がバイアルを通り抜けること、またはエアロゾルがバイアルを離れることを防ぐエアフィルタリングシステムを含む。Tevadaptor(商標)バイアルアダプターならびに、それの他のアダプターは、コネクタの露出面上の薬物残留物を最小限に抑えるか、または排除するように構成されるコネクタを備えている。Tevadaptor(商標)システムにおいて、各ライン末端は、コネクタが連結されていないときにゴム隔壁によって密閉される。両側の隔壁が流体密封の態様で係合された後のみにおいて、中空のニードルが両側の隔壁末端を貫通して流体通路を形成した時点で、流体の連通が雄および雌コネクタの間で確立される。同じように、両末端が取り外されているとき、その中空のニードルは、2つの隔壁が互いに外れる前に格納され、乾燥した露出面が残される。
【0006】
閉鎖式薬物移送システムの別例はEquashieldシステムであり、EquashieldはEquashield(商標)社(米国ニューヨーク州ポートワシントン)の商標であり、その一つの実例は特許文献2である。Equashield(商標)システムは、圧力均等化システムを特徴とする特別なシリンジを含み、シリンジプランジャの後ろにある閉じた空気区画室を薬物区画室と連通する薬物通路と平行に、密閉された末端コネクタ(バイアルストッパなど)を横切って専用の空気通路が確立される。コネクタを横切る圧力は空気(および薬物蒸気)がこの特別な区画室に対して入出することを許容することによって均衡される。Equashield(商標)システムは、さらにTevadaptor(商標)コネクタに類似した耐漏性末端アダプターを含む。
【0007】
別のCSTDは、Phaseal(商標)システムであり、PhasealはBD社(Franklin Lake、NJ)の商標である。その一つの実例は特許文献3であり、バイアルとシリンジとの間に設置されたバイアルアダプターを含み、膨張可能な空気袋を収容するものである。空気袋は、周囲の空気との圧力平衡を維持し、バイアルおよびその空気袋に自由に入出できる可撓性素材から作られる。Phaseal(商標)システムは、漏れを減少または回避するために、Tevadaptor(商標)コネクタに類似した末端アダプターをさらに含む。
【0008】
他のCSTDは、Hospira(Lake Forest、IL)のLifeShield(商標)ChemoClave(商標)シリーズ、およびICU(San Clemente、CA)のChemoLock(商標)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第7,670,326号明細書
【文献】米国特許第8,196,614号明細書
【文献】米国特許第6,715,520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示において、現在までに企図されて提案されたCSTDには多くの課題があることが認識されている。提案されたCSTDの1つの課題は、バイアルと硬質バイアルとの間の圧力を平衡近くに維持するために必要なシステム構成要素の複雑さであり、これは、高い製造コストにつながり、多くの適用または設置に際してこれらのシステムを法外な費用にする。
【0011】
別の課題は、バイアルは1回の投与量より多くの薬物を収容し得るが、シリンジは追加の各投与量を取り出すようにバイアルから取り外されたり再連結されたりする必要があることにある。投与用のいくつかの注入バッグを調製するために、複数回投与用の単一のバイアルを使用することは薬局での一般的な慣行である。しかしながら、特定の公表された研究が示すように、以前のCSTDのいずれも、完全に漏れがないことがなく、したがって取り外し毎に薬物曝露のリスクを提示する。CSTDシステム構成要素の再連結は、薬物の汚染のリスクも提示する。
【0012】
別の課題は、提案されているCSTDの末端コネクタは、システムが適切に操作されたときのみ、ほぼ漏れがないことにある。しかしながら、シリンジに薬物が装填され、シリンジがバイアルから取り外されたとき、そのゴム隔壁末端にはすでに穿孔されており(薬物がバイアルから取り出されるとき)、したがってシリンジ内の薬物への潜在的な曝露のための通路を提供する。シリンジのゴム隔壁末端は、調合物が加圧されていないときに適切な流体密封シールを提供し得るが、シリンジ末端が別のシステム構成要素に連結されていない間に、シリンジ内の薬物が加圧される場合には、隔壁の穿孔領域を通って薬物が漏れる可能性がある。シリンジ内の薬物は、思い違いをしたユーザーによって、または、プランジャロッドに衝撃を与えた場合(例えばシリンジを誤って床に落とした場合)に、誤って加圧され得る。
【0013】
投薬エラーを軽減しないこともCSTDの別の課題である。様々な薬物および投与量サイズでの使用が予想されるので、CSTDシリンジには一般的に目盛りが付けられている。
CSTDシリンジのさらに別の課題は、CSTDシリンジが収容する特定の薬物では事前マークされていないことである。シリンジが一次容器から取り外されると、シリンジにラベルをつけることは使用者の裁量になり、したがって処置上のエラー様式になる可能性がある。これはシリンジの内容物がシリンジからIVシステムにすぐに移送されない場合、または、患者にすぐに注射されない場合に特に懸念事項である。また、薬局の調剤手順でシリンジと一次容器との不整合の余地を残す、複数の投与量を移送するために同じシリンジを使用することが許可されているかどうかも懸念を提示する。
【0014】
前述の観点から、現在、製造に、より費用がかからない単純化されたCSTDを入手する必要性が残っていることが認識される。シリンジを一次容器から取り外すことなしに、安全に複数の投与量の計量移送を可能にするCSTDを入手することも望ましい。また、シリンジが他のシステム構成要素に連結されていないときに誤って加圧された場合に、隔壁末端を通る薬物漏出を防ぐより安全なCSTDを入手することも望まれる。投薬エラーのリスクを減少させるために、薬物固有の目盛りを提供するCSTDを入手することも望まれる。また、シリンジから内容物が移送されるまで、または複数の移送用シリンジの使用が完了するまで、薬物情報がラベル付けされたCSTDシリンジを入手することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、以前に提案されているCSTDに対する改善を容易にする(例えば、上記の提案されているCSTDシステムの不足を低減または排除する)CSTDを提示する。当該CSTDは、一次容器から二次リザーバ、IV容器、およびIVラインのうちの少なくとも1つの相互交換ポートに、直接患者に(例えばニードル、カテーテル、またはノズルを通って)、または別の所望の届け先に(以下まとめて届け先と言及する)計量された投与量の有益な薬品の調合、移送、および投与を容易にするように構成される。
【0016】
本開示の一態様によると、当該CSTDは、可撓性壁を備える一次容器と、耐漏性送達ポートと、一次容器から計量された投与量を取り除くこと、および送達ポートを通って相互交換届け先ポートに前記投与量を移動させることができる計量ポンプと、前記一次容器、計量ポンプ、および送達ポートの間を連通するバルブとを備える。計量ポンプは本開示を通して記載されるが、一次容器から計量された投与量を取り除くこと、および送達ポートを通って相互交換届け先ポートに前記投与量を移動させることができる任意の形態の計量装置が限定されることなく使用され得ることが理解される。同様に、送達ポートが届け先ポートに連結されていないとき、バルブは計量状態にあり、一次容器と計量ポンプとの間の双方向の流体連通が可能にされ、送達ポートを通る流体連通が不可能にされる。送達ポートが届け先ポートに連結されるとき、バルブは送達状態にあり、計量ポンプと届け先との間の流体連通が可能にされ、一次容器と計量ポンプとの間の流体連通が不可能にされる。
【0017】
本開示の一態様によると、一次容器と送達ポートとの間の直接の流体連通は、計量状態および送達状態の両方で不可能にされる。
一次容器の可撓性壁は、有益な薬品と周囲の気圧との間の圧力平衡を提供する、有益な薬品と周囲の空気との間の障壁となる。有益な薬品が一次容器に入出するとき、一次容器壁は、一次容器の体積を調節するようにしぼんだり膨らんだり(例えば、弾性的または塑性的に拡張する)できる。この内在の圧力均等化能は、バイアルなどの硬質容器と類似した結果を得るために必要な複雑なシステムの必要性を排除するため、重要な利点である。
【0018】
一配置において、一次容器はフィルムまたは箔のうちの少なくとも1つから作られる。一次容器はポーチ、サシェ、フレキシブルチューブ、成形容器を備え得る。一配置において、一次容器は予備成形される。一配置において、一次容器は、有益な薬品を受け取るように構成された(大きさで作られた)充填可能なキャビティを構造的に規定(保持、画成、自己維持、または独立して維持)する第1の予備成形状態から、有益な薬品が計量ポンプに移動して前記体積が実質的に空である変形状態の間で移動可能の(強制的な)変形可能な壁を備える。
【0019】
一配置において、一次容器は可撓性素材から作られる壁を備え、一次容器は壁のシールによって規定される有益な薬品の区画室を備え(例えば、有益な薬品の区画室の少なくとも一部の周りに延在する周辺シール)、区画室壁は、このシールに垂直方向に予備成形される(例えば、区画室壁は、一般にシールから垂直に延在し得る)。
【0020】
一配置において、一次容器は少なくとも2つの区画室を含む。第1区画室は有益な薬品の少なくとも第1の組成物を収容し、少なくとも第2区画室は有益な薬品の少なくとも第2の組成物を収容する。第1区画室および第2区画室は、開いたとき、この第1の組成物と第2の組成物とを無菌的に混ぜ合わせることを許容する壊れやすいシールによって隔てられ得る。
【0021】
一配置において、一次容器の可撓性パッケージは、少なくとも部分的に硬質または半硬質の裏当てによって支持される。この裏当ては、例えば有益な薬品の区画室とバルブとの間、または一次容器の2つの隣接する組成物の区画室間の壊れやすいシールの破壊のための、パッケージの操作(例えば、使用者の指による指での操作)を容易にすることができる。
【0022】
一配置において、裏当ては一次容器をバルブとつなぎ合わせ得る。一配置において、バルブは裏当て内に収納される(例えば、バルブは裏当てと一体的に形成され得る)。一配置において、計量ポンプは裏当てによって支持され得る。一配置において、計量ポンプは、裏当て内に一体化され得る。一配置において、一次容器の内容物情報は、一次容器に(例えば、裏当てに)ラベル付けられ得る。一配置において、裏当てはバルブに関して移動可能であってよく、バルブを計量状態と分配状態との間で操作可能である。一配置において、CSTDが計量状態にあるとき、裏当ては、送達ポートが届け先ポートに連結されることを物理的に防ぎ得る。
【0023】
一配置において、CSTDが送達状態にあって届け先ポートに連結されているとき、裏当ては、バルブが計量状態に移動することを物理的に防ぎ得る。
本開示の一態様によると、CSTDは、有益な薬品の複数の計量された投与量を一次容器から1つの届け先または複数の届け先に順次移送可能であるが、それと同時に、一次容器はバルブおよび計量ポンプに連結されたままであり、有利には、以前に提案されているCSTD解決策に比べて、このプロセスにおける接離の数を削減し、それによって薬物曝露のリスクを減少させる。
【0024】
計量ポンプは、シリンジ、ベローズ、または一次容器から既知の量の有益な薬品を取り除き、送達ポートを通ってそれを移送することが可能な他の容積式配置を備え得る。
本開示の一態様によると、送達ポートが届け先ポートと係合している場合を除き、バルブは一次容器を吸引してよく、その結果、例えばシリンジのプランジャロッドの意図しない操作によって、計量ポンプ内の有益な薬品が誤って加圧された場合、有益な薬品は、耐漏性送達ポートの背後に圧力を発生するのではなく、一次容器に還流される。これは、漏れをもたらし得る耐漏性送達ポートの背後に圧力が発生するという類似した状況において、従来技術に対する重要な利点である。
【0025】
本開示の一態様によると、計量ポンプは一般的なシリンジの形態であり、シリンジ内に投与量を取り出す(計量する)こと、届け先ポートに送達ポートを連結すること、シリンジから届け先ポートに計量された投与量を移送すること、送達ポートを届け先ポートから取り外すこと、および、必要に応じて、同じまたは異なる届け先に別の投与量を移送するプロセスを繰り返すことの手順の間にわたって、シリンジはバルブ、送達ポート、および一次容器に連結されたままでよい。この配置は、シリンジおよび一次容器を連結し続けることによって、シリンジは常に一次容器ラベルでラベル付けされたままであり、シリンジ不一致のリスクを減少させ、したがって間違った薬物の意図しない投与のリスクを減少させるので、従来技術に対して重要な利点がある。加えて、以下に示すように、CSTDの特定の配置は、適切な投与量の計量を容易にするために情報をラベルに印刷できるように、一次容器ラベルに対して注射器を配置し得る。例えば、ラベルは、投与量体積をマイクログラムでの有益な薬品の重量などの他の関連する指標に変換し、および/または、患者の体重を有益な薬品の投与量体積または重量に変換するシリンジバレルに沿った目盛りのグラフィックが提示され得る。この追加のラベル情報により、使用者は処方箋から計算された投与量体積を確認し、計算エラーの余地を減少させることができる。
【0026】
本開示の一態様によると、CSTD配置は、一次容器と、シリンジ(または他の計量ポンプ)と、耐漏性送達ポートを備えるバルブとを備える事前に充填された装置である。したがって、シリンジバレルは、一般的なミリリットルの目盛りではなく、使用され得る製品固有の目盛りでマークされ得る。目盛りスケールは、有益な薬品の重量および/または患者の体重を表し得る。既知のアリコートにおいて処方される有益な薬品のために、スケールは、投与量計量エラーをさらに減少するためにそれらのマーキングのみを有し得る。
【0027】
本開示の別の態様によると、バルブは、届け先ポートと連通可能な耐漏性送達ポートを備え、前記バルブは、可撓性壁を備える一次容器と、一次容器から計量された投与量を取り除き、送達ポートを通って相互交換届け先ポートに前記投与量を押し出すことができる計量ポンプと連通するように構成され、この配置により、バルブが計量ポンプおよび一次容器と連通するとき、および、送達ポートが届け先ポートに連結されないとき、バルブが計量状態にあって、一次容器と計量ポンプとの間の双方向の流体連通が可能にされ、送達ポートを通る流体連通が不可能にされ、送達ポートが届け先ポートに連結されるとき、バルブは送達状態にあって、計量ポンプと届け先との間の流体連通が可能にされ、一次容器と計量ポンプとの間の流体連通が不可能にされる。
【0028】
前記バルブの一態様によると、一次容器と送達ポートとの間の直接の流体連通は、計量状態および送達状態の両方で不可能にされる。
本開示の一態様によると、CSTD配置はバルブを計量状態から送達状態に操作するように構成された届け先ポートをさらに備え、計量状態では、届け先ポートが送達ポートから離脱され、送達状態では届け先ポートが送達ポートと係合する。
【0029】
この要約は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明される、選択された概念を簡略化された形式で紹介するために提供される。この要約は、請求項の主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、請求項の主題の範囲を限定するために使用されることも意図されていない。
【0030】
他の実装もまた、本明細書に記載および列挙されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2a】CSTD配置の操作状態の断面図を示す図。
【
図2b】CSTD配置の操作状態の断面図を示す図。
【
図2c】CSTD配置の操作状態の断面図を示す図。
【
図4a】バルブがベローズを備える、CSTD配置を示す図。
【
図4b】バルブがベローズを備える、CSTD配置を示す図。
【
図5】一次容器の裏当てがシリンジに並行に配向され、かつ、投与スケール目盛りを有する、CSTD配置を示す図。
【
図6】一次容器の裏当ておよびバルブが組み合わされ、バルブ軸が裏当て面に垂直である、CSTD配置を示す図。
【
図7】一次容器の裏当ておよびバルブが組み合わされ、バルブ軸が裏当て面に垂直である、CSTD配置を示す図。
【
図8a】ストップコックバルブを備えるCSTD配置を示す図。
【
図8b】ストップコックバルブを備えるCSTD配置を示す図。
【
図9a】一次容器の裏当てがストップコックバルブのハンドルである、ストップコックバルブを備える、CSTD配置を示す図。
【
図9b】一次容器の裏当てがストップコックバルブのハンドルである、ストップコックバルブを備える、CSTD配置を示す図。
【
図9c】一次容器の裏当てがストップコックバルブのハンドルである、ストップコックバルブを備える、CSTD配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、様々な修正および代替の形態を許容するが、その複数の具体的な実施形態は、例として図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するのではなく、むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるすべての修正、均等物、および代替をカバーすることを意図していることを理解されたい。
【0033】
図1は、本開示によるCSTD配置100の概観を示す。CSTD配置100は、一次容器から二次リザーバ、静脈内(IV)容器、およびIVラインのうちの少なくとも1つの相互交換ポートに、直接患者に(例えばニードル、カテーテル、またはノズルを通って)、または別の所望の届け先に(以下まとめて届け先と言及する)計量された投与量の有益な薬品を調合、移送、および投与するように構成される。
【0034】
一実施形態において、有益な薬品を貯蔵するため、および有益な薬品の届け先ポートへの移送のためのCSTD配置100は、一次容器140内の圧力が実質的に周囲の気圧に均等化されるように少なくとも1つの可撓性壁148を備える、有益な薬品を貯蔵するためのパッケージ141と、計量ポンプ110と、有益な薬品を届け先ポートと連通するための送達ポート130と、一次容器140、計量ポンプ110および送達ポート130と流体連通するバルブ120とを含んでよく、バルブ120はバルブハウジングを含んでよく、一次容器140はバルブハウジングから延在し、計量ポンプ110はバルブハウジングに結合されてよく、送達ポート130は届け先ポートを収容するように構成されたバルブハウジング内に開口していてよい。バルブ120は、届け先ポートに係合されていない第1構成から、届け先ポートに係合されている第2構成に移動可能であり得る。第1構成において、一次容器140および計量ポンプ110は流体連通されていてよく、どちらも送達ポート130と流体連通されていなくてよい。第2構成において、計量ポンプ110は送達ポート130と流体連通されていてよく、どちらも一次容器140とは流体連通されていなくてよい。有益な薬品が一次容器140から計量ポンプ110に移送されるとき、(例えば一次容器140からの有益な薬品の除去に応じて一次容器140内の任意の圧力の不均衡の均等化のため)可撓性壁148はしぼむ。
【0035】
計量ポンプ110は、計量された投与量の有益な薬品を一次容器140から除去すること、および送達ポート130を通って相互交換届け先ポートに前記投与量を押し出すことができてよい。一実施形態において、計量ポンプ110はシリンジである。いくつかの実施形態において、ポンプ110は有益な薬剤の投薬オプションに相関する目盛りを備える。
【0036】
パッケージ141の可撓性壁148は、有益な薬品と周囲の気圧との間の圧力平衡を可能とする、有益な薬品と周囲の空気との間の障壁を提示している。有益な薬品が一次容器140に入出するとき、一次容器の壁148は一次容器140の体積を調節するようにしぼんだり膨らんだり(例えば、塑性的または弾性的に変形する)できる。この固有の圧力均等化能は、CSTD配置100からの漏出の原動力を排除する。パッケージ141の可撓性壁148は、フィルム、箔、または薄い成形またはブロー成形された構成要素のうちの少なくとも1つを備える。パッケージ141は、ポーチ、サシェ、フレキシブルチューブ、成形容器を備えてよい。可撓性壁148は、有益な薬品を受け取るように構成された第1区画室142の充填可能なキャビティを構造的に規定する第1の予備成形状態と、有益な薬品が計量ポンプ110に移動して一次容器140の前記体積が実質的に空である変形状態との間で実行されてよく、変形可能であってよい。第1区画室142は、パッケージ141の第1壁148と第2壁149との間の周辺シール145によって規定されてよく、区画室壁148は、このシール145に垂直方向に予備成形される。
【0037】
いくつかの実施形態において、パッケージ141は2つの区画室を含み得る。第1区画室142は、有益な薬品の少なくとも第1の組成物を収容し、第2区画室143は、有益な薬品の少なくとも第2の組成物を収容する。第1区画室142および第2区画室143は、壊れやすいシール144によって隔てられ、開放時に、有益な薬品の第1の組成物と第2の組成物とが無菌的に混ぜ合わせられ得る。パッケージ141は、硬質または半硬質の裏当て146によって支持され得る。裏当て146は、第1区画室142を押し下げることによる(例えば使用者の指によって)パッケージ141の指による操作(例えば壊れやすいシール144の破壊のため)を容易にすることができる。裏当て146は、コネクタ147を介して一次容器140およびバルブ120につなぎ合わされてよい。一次容器140および計量ポンプ110が事前に組み立てられているとき(CSTD配置100が事前に充填された薬物送達システムとみなされる)、CSTD配置100は使用者に対して提供され得る。CSTD100の別の配置において、計量ポンプ110および一次容器140のうちの少なくとも一方は、例えば使用者によって、製造後バルブ120に組み立てられる。
【0038】
図2においてさらに示されるように、送達ポート130は、上述されたTevadaptor(商標)システムに実装されたコネクタと実質的に同様の構成を有し得る耐漏性コネクタを備え得る。一実施形態においてCSTD配置100は、バルブが第2構成のままであるように、送達ポートに結合された届け先ポートを保持するためのラッチ機構を含み得る。この実施形態において、翼形状のカンチレバーアーム131は、届け先のポートとのラッチ連結を解放するように動作可能である。一配置において、コネクタ147は、ポンプ110に対する一次容器140の位置および配向を変更させる。一配置において、チューブはコネクタ147とバルブ120との間を連結する。
【0039】
図2a~2cは、
図1のCSTD100と類似した配置の、CSTD配置200の3つの操作状態での断面の切り抜き図を示している。
図2aは、CSTD配置200と届け先とが接触せず、CSTD配置200が第1構成にある第1操作状態を示す(計量状態としても言及される)。
図2bは、CSTD配置200が届け先と接触しているが第1構成のままである第2操作状態、または計量状態のCSTD配置200を示す。
図2cは、CSTD200が届け先と流体連通し、CSTD200が第2構成にある第3操作状態のCSTD200を示す(送達状態とも言及される)。
【0040】
CSTD配置200は、一次容器240と、シリンジ210の形態での計量ポンプと、耐漏性送達ポート230と、バルブ220とを備え、前記一次容器240、シリンジ210、および届け先の相互交換ポートと連通するように構成された送達ポート230との間で連通する。そのような届け先は、限定ではないが、容器、IVバッグ、IVライン、バイアル、送達装置、および送達装置へのコネクタ、アダプターまたは連結器であり得る。
【0041】
一次容器240は、事実上バルブ220に連結された円として輪郭を描かれる。一次容器240は、有益な薬品の貯蔵、調合、取り扱い、または移送するための当技術分野で知られている任意の様式のものであり得るが、本開示において教示されるように、一次容器240は好ましくはその内部容量を有益な薬品体積に合わせて調節するように変形することができる少なくとも1つの可撓性壁を備える。この可撓性壁は、周囲の空気と有益な薬品との間の障壁として機能し、一次容器240内およびCSTD200の他の場所の有益な薬品の圧力がほとんど周囲の気圧であることを確実にする。
【0042】
図2aは、そのような連結が行われた前後での、CSTD配置200が届け先ポート250に連結されていないときの(第1構成、または計量状態)CSTD配置200を示す。
【0043】
CSTD配置200の一実施形態において、バルブ220はさらに、ニードル225と、届け先ポート250とつなぎ合わせるように構成された前方隔壁223とを含む。第1構成では、ニードル225は前方隔壁223を貫通せず、前方隔壁223はバルブ220と届け先ポート250との間の流体連通を遮断し、第2の構成では、ニードル225は前方隔壁223を貫通し、バルブ220と届け先ポート250との間に流体連通を確立する。ニードル225は、隣接部分に一体化または取り付けられている金属ニードル、チューブ、成形部品のうちのいずれかであり得るか、または、長尺状ボディの中空の部分を通ってバルブ220と届け先ポート250との間の流体連通を確立し、中空のボディの周りの流体連通を防ぎ、前方隔壁223を貫通できる長尺状の中空のボディの任意の他の実施形態のいずれかであり得る。前方隔壁223(シール、ストッパ、またはプランジャとも言及される)は、バルブキャビティ228と送達ポート230との間にシールを提供し、ニードル225によって開くことができる様々な実施形態のものであり得る。前方隔壁223はシリコーンまたは硬質材料と弾性材料との組み合わせの、当技術分野で知られている他の弾性材料で作られ得る。
【0044】
CSTD配置200の一実施形態において、バルブ220は、管状ボディ221と、前方隔壁223と、後方隔壁224とを備えるバルブキャリッジ229を備え、ポート222を介して一次容器240と流体連通するバルブキャビティ228をその間に形成する。当該キャリッジは、その現在の計量状態から送達状態の間で、バルブハウジング231内に移動可能に配置されてよく、ばね226によって計量状態に付勢されている。実質的には、ばね226は、バルブ220を第1構成に付勢している。ニードル225は、シリンジ210とバルブキャリッジ229(または「キャリッジ」)との間に流体連通を形成する。後方隔壁224は、ニードル225に対してシールされ、液体がニードル225の周りのバルブキャビティ228から漏れ出るのを防ぐ様々な実施形態であり得る。後方隔壁224は、シリコーン、または、硬質材料と弾性材料との組み合わせの当技術分野で知られている他の弾性材料で作られ得る。
【0045】
ハウジング231の遠位端は、シリンジボディ211の雄コネクタと連通するように構成された雌ルアーコネクタ232の形態である。一配置において、シリンジ210はバルブハウジング231に螺合するように構成され、その後にシリンジは、バルブハウジング231にロックされ、取り外され得ない。シリンジ210と一次容器240との間の流体連通は、バルブキャビティ228によってインターフェイスされ、それによってシリンジのプランジャ212を格納することは、一次容器240からシリンジ210に流体を移動させることになり、シリンジプランジャ212をシリンジ210のチップに向かって前進させることは、シリンジ210から一次容器240に流体を移動させることになる。この計量状態において、有益な薬品はシリンジ210内へ計量されることができ、注射器シリンジ内に存在する任意の空気は一次容器240に押し戻されることができる。加えて、シリンジ210に最初に計量された投与量が所望の量を超えた場合、所望の投与量に到達するように過剰な有益な薬品を一次容器240内に押し戻すことができる。一配置において、一次容器240内の有益な薬品の第1の組成物は、シリンジ210内にある有益な薬品の第2の組成物と混合される必要があり、例えば、第1の組成物は乾燥形態(凍結乾燥または噴霧乾燥)であり、第2の組成物は注射用に第1の組成物を可溶化するために必要な希釈剤である。バルブの計量状態において、第2の組成物は一次容器240に押し込まれ得る。有益な薬品の均一な混合を容易にするように、第2の組成物は一次容器240の内外に移動することができる。一次容器の可撓性壁は、CSTD配置200内の有益な薬品およびその組成物が周囲の圧力に近いままでいることを確実にし、CSTD配置200からの有益な薬品の漏出、および、CSTD配置200内に押し込まれる異物のリスクを減少させる。一配置において、有益な薬品が一次容器240からシリンジ210に移動すること、および、シリンジ210から一次容器240内への流れを防ぐことを可能にするように、一次容器240とバルブキャビティ228との間にチェックバルブが配置される。
【0046】
図2aは、加えて、CSTD配置200の一実施形態を示し、CSTD配置200は、バルブ220を第1構成(届け先ポート250は送達ポート230から離脱している)から第2構成(届け先ポート250が送達ポート230に係合する)に操作するように構成された届け先ポート250をさらに備える。届け先ポート250は、ルアーコネクタ254の形態での遠位端と隔壁252によってシールされている近位端との間の流体通路253を備える、ボディ251を有する。第1構成において、隔壁252は送達ポート230と届け先ポート250との間の流体連通を遮断し、第2構成において、ニードル225は隔壁252を貫通し、送達ポート230と届け先ポート250との間に流体連通を確立する。
【0047】
届け先ポート250のルアーコネクタ254は、第2届け先に連結され得る。いくつかの実施形態において、届け先ポート250は、静脈内送達システム、カテーテル、チューブ、ニードル、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと連通するように構成される。
【0048】
図2bは、送達ポート230を届け先ポート250に接触させたときのCSTD配置200を示す。ばね226は、キャリッジ229が移動し始める前に、前方隔壁223と隔壁252との間に設定力を確立するのに役立ち、それにより、バルブ220が計量状態から送達状態に移動する前に送達ポート230と届け先ポート250との間の強力なシールを確実にする。このシールは、届け先ポート250とCSTD配置200との間の物質の移送中に有益な薬品がCSTD配置200から漏れ出ないこと、および、異物がCSTD配置200に侵入し、有益な薬品を汚染させないことを確実にする。
【0049】
図2cはバルブ220が第2構成(送達状態)にあるCSTD配置200を示す。届け先ポート250を送達ポート230に押し込むことにより、ばね226の力に打ち勝ち、キャリッジ229を後方へ移動させ、バルブキャビティ228から外へニードル225の先端を移動させ、届け先ポート250の隔壁252を貫かせて、シリンジ210と届け先ポート250との間に流体連通を確立して、計量された投与量の有益な薬品を届け先ポート250に移送させる。この状態において、流体はまた、届け先ポート250からシリンジ210内に取り出され得るが、これが望ましくない場合、届け先ポート250からCSTD配置200への流れを遮断するためにチェックバルブが通路に実装され得ることに留意されたい。
【0050】
第2構成において、前方隔壁223および隔壁252は、有益な薬品がCSTD配置200から外に漏れ出ることを防ぐ流体密封シールを確立する。隔壁252は、シリコーンまたは硬質材料と弾性材料との組み合わせの当技術分野で知られている他の弾性材料で作られ得る。ニードル225と後方隔壁224との接触面と、ニードル225と前方隔壁223との間に形成されるシールは、一次容器240を、届け先ポート250およびシリンジ210の両方から隔離し、有益な薬品が一次容器240から届け先ポート250に移動し得ないこと、および、最初にCSTD配置200を届け先ポート250から取り外すことなしには、有益な薬品の追加の投与量がシリンジ210内に計量され得ないことを確立する。
【0051】
一実施形態において、チェックバルブは、有益な薬品を一次容器240からシリンジ210に移動させ、シリンジ210から一次容器240内への流れを防ぐことを可能にするように一次容器240とバルブキャビティ228との間に配置される。届け先ポート250が送達ポート230から取り外されるとき、ばね226はバルブキャリッジ229を前方位置に戻すように移動し、バルブ220は第1構成(計量状態)に戻る。前方隔壁223のシールは送達状態でのニードル225の穿孔によって損なわれるが、バルブキャビティ228内の圧力は周囲の圧力と均衡したままであり、したがって、前方隔壁223の穿孔領域を通って起こる漏れは発生しない。
【0052】
一次容器240とバルブ220との間の連結は、a)CSTD配置200の製造プロセス中からの固定された永続的な連結と、b)ルアー連結などの取り外し可能な連結と、c)耐漏性送達ポート230または当技術分野で知られている他の耐漏性コネクタと類似した耐漏性連結とを含む、当業界で知られているさまざまなタイプのものを含み得る。
【0053】
図3は
図2a~2cのCSTD配置200と類似した別の配置のCSTD300を示し、その装置では、さらに第1構成において、計量ポンプ(例えば、シリンジ210)が、一次容器360から流体を受け取ることのみが可能であり、シリンジ210は入れ物370に流体を押し出すことのみが可能であるように、バルブ220と流体連通する入れ物370を備える。バルブキャリッジ329は、キャリッジボディ321内のポート362を介して一次容器360と連通し、キャリッジボディ321内の第2ポート372を介して入れ物370と連通する。第1チェックバルブ361は一次容器360とシリンジ210との間の流体通路内に配置され、一次容器360からシリンジ210への一方向の流れを可能にする。第1チェックバルブ361は一次容器360内またはキャリッジ329内に配置され得る。第2チェックバルブ371は、シリンジ210と第2の入れ物370との間の流体通路内に配置され、シリンジ210から入れ物370への一方向の流れを可能にする。第2チェックバルブ371は入れ物370内またはキャリッジ329内に配置され得る。入れ物370は、周囲の気圧と圧力平衡を維持しながら入れ物370の内部容量をそれが収容する流体の体積に対して調節することが可能な可撓性を有する素材から作られた少なくとも1つの壁を備え得る。このCSTD配置300は、シリンジ210からの空気または過剰な有益な薬品など、一次容器360の外側にあった流体が一次容器360内に移動しないようにすることが望ましい場合、特に有利である。その要件の考えられる理由は、一次容器360内の有益な薬品の汚染または発泡の懸念である。CSTD300の一配置において、一次容器360および第2の入れ物370は、同じパッケージの区画室である。
【0054】
図4aおよび4bは、バルブ420のいくつかの構成要素を除いて
図2a~2cのCSTD配置200と類似した、別の配置のCSTD400を示す。この配置において、前方隔壁およびばねは単一の構成要素に組み合わされている。バルブ420はバルブハウジング431内を軸方向に可動な硬質管状ボディ421を備える。その前方端において、可動ボディ421は、後方に延在し、かつ、バルブハウジング431と前方隔壁423との間にキャビティ428を形成するベローズ424を備えた前方隔壁423を収納する。ベローズ424は、可動ボディ421を計量状態に付勢するばねとして機能する。一配置において、ばねは、ハウジング431の空間433内であって、かつ、ベローズ424の外部に追加される。このばねは可動ボディ421をバルブ420の計量状態に付勢する。
【0055】
図4aは、バルブ420が第1構成(計量状態)にあるときのCSTD配置400を示し、流体連通は、ニードル425、キャビティ428、ニードル425とバルブハウジング431との間の通路429、および一次容器連結部432を介して、計量ポンプ(例えば、シリンジ210)と一次容器440との間に確立される。流体は一次容器440からシリンジ210に、およびその逆に移動し得る。
【0056】
図4bは、送達ポート430が届け先ポート450と係合し、バルブ420を第2構成(送達状態)に移動させるときのCSTD配置400を示す。ニードル425の先端はキャビティ428の外側にあり、計量ポンプ(例えば、シリンジ210)と一次容器440との流体連通を防ぐ。ニードル425の先端は、前方隔壁423と届け先ポート450の隔壁452とを貫通し、シリンジ210と届け先ポート450との間に流体連通を確立する。
【0057】
図5は、
図2のCSTD200と類似しているが裏当て546が計量ポンプ510の長軸に沿って平行に配置されたCSTD配置500を示す。有利には、この配置において、装置の使用を容易にするために、情報をグラフィックまたはテキスト形式で裏当て546に提示することができる。計量ポンプ510は、典型的なミリリットルの目盛りスケールでマークされてよいが、裏当て546は、有益な薬品の適用に固有の補足情報または代替情報を提供し得る目盛り549でマークされる。CSTD500の一配置において、裏当て546の目盛り549は、投与量の医薬品有効成分(API)の重量であり、典型的には、単位(例えばミリグラム/デシリットル)または重量(典型的にはミリグラムにおいて)で提供される。多くの場合、薬物の処方箋は、通常のシリンジの体積目盛りとは異なる単位で提供され、例えばミリグラムまたは単位で提供される。通常のシリンジが投与量の計量に使用されるとき、医療従事者(例えば薬剤師、看護師)は処方箋をシリンジの目盛りの単位に変換する必要があり、これは投薬エラーの原因となり得る。裏当て546に代替情報または補足情報を提供することにより、単位変換プロセスを検証され得るか、または完全に回避され得る。裏当て546には、関連規則で要求されているすべての有益な薬品のラベルが印刷されてもよい。
【0058】
図6は、
図2のCSTD200と類似しているが、バルブハウジング631が一次容器640の裏当て641と一体化された別の配置のCSTD600を示す。送達ポート630の軸は裏当て641に対して垂直に配向されている。バルブハウジング631の少なくとも一部および裏当て641は、同じ製造部品から作られ得る。
【0059】
図7は、
図2のCSTDと類似しているが、バルブハウジング731が一次容器740の裏当て741と一体化された別の配置のCSTD700を示す。送達ポート730の軸は、裏当て741と平行である。バルブハウジング731の少なくとも一部および裏当て741は、同じ製造部品から作られ得る。
【0060】
図8aおよび8bは、
図2のCSTD200と類似したCSTD配置800を示すが、バルブがレバーによって操作可能なストップコックバルブの形態であり、計量状態の送達ポートを閉塞するようにも機能し、したがって使用者がCSTD配置800を届け先に連結することを防ぐ。CSTD配置800は、シリンジ810の形態での計量ポンプと、送達ポート830と、裏当て846を備える一次容器840と、前記一次容器840、シリンジ810および送達ポート830に連通するバルブ870とを備える。バルブ870は、一次容器840およびシリンジ810および一次容器840の間で連通が確立される第1構成(計量状態)と、シリンジ810および送達ポート830の間で流体連通が確立される第2構成(送達状態)との間で移動可能なストップコックを備える。バルブ870は、ストップコックを操作する回転作動レバー871を備える。回転作動レバー871は、計量状態において、送達ポート830が届け先ポートに連結されるのを防ぐ突出部872を備える。
【0061】
図8aは、第1構成(計量状態)にあるCSTD800を示し、回転作動レバー871は、シリンジ810の長軸に沿って概ね配向され、バルブ870は第1構成にある。突出部872は送達ポート830を閉塞し、使用者が送達ポート830を届け先に連結するのを防ぐ。
【0062】
図8bは、第2構成(送達状態)のCSTD800を示し、回転作動レバー871は、シリンジ810の長軸に垂直に概ね配向される。突出部872は、送達ポート830を閉塞せず、使用者は送達ポート830を届け先に連結可能である。
【0063】
図9aおよび9bは、シリンジ910の形態の計量ポンプ、送達ポート930、半硬質の裏当て946を備える一次容器940、および前記一次容器940、シリンジ910、および送達ポート930に連通するバルブ970を備えるCSTD配置900を示す。バルブ970は、一次容器940とシリンジ910との間で連通が確立される第1構成(計量状態)と、シリンジ910と送達ポート930との間に流体連通が確立される第2構成(送達状態)との間で移動可能なストップコックを備える。一次容器940は、ストップコックバルブ970の回転コアの中心を介してバルブ970に連通する。裏当て946は、バルブ970のストップコックのコアと連結され、バルブ970の計量状態と送達状態との間で操作可能な、ストップコックの回転レバーとして役立つ。
【0064】
図9aは第1構成にあるCSTD900を示し、裏当て946の長軸とシリンジ910の長軸とが平行であり、送達ポート930との係合のための届け先へのアクセスを遮るように裏当て946が送達ポート930を越えて延在し、バルブ970は計量状態にある。
【0065】
図9bは第2構成にあるCSTD900を示し、裏当て946は、シリンジ910に対して垂直方向に回転され、送達ポート930との係合のための届け先へのアクセスを可能にし、バルブ970は送達状態である。
【0066】
図9cは、計量状態のバルブ970を示すCSTD900の部分断面図である。バルブ970は一次容器940、シリンジ910、および送達ポート930と連結する3つの流体通路をつなぎ合わせる。ストップコックバルブ970の回転コア973は、裏当て946の円筒形突出部である。コア973は、シリンジ910と一次容器940との間の流体連通を確立するが、送達ポート930につながる流体通路を隔離する。
【0067】
本発明は、図面および前述の記載において詳細に例示および記載されてきたが、そのような例示および記載は、例示的であり、性質を限定するものではないと見なされるべきである。例えば、上記で記載した特定の実施形態は、他の記載された実施形態と組み合わせられ得るか、および/または他の方法で配置され得る(例えば、プロセス要素は、他の順序で実行され得る)。したがって、好ましい実施形態およびその変形のみが示され、記載されていることと、本発明の趣旨の範囲内にあるすべての変更および修正が保護されることが望まれることとを理解されたい。