(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ポペットバルブおよびポペットバルブのバルブコンポーネントを製造する方法
(51)【国際特許分類】
F16K 15/02 20060101AFI20240528BHJP
F04B 39/10 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16K15/02
F04B39/10 G
(21)【出願番号】P 2021519591
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2019076900
(87)【国際公開番号】W WO2020074382
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592229502
【氏名又は名称】ブルクハルト コンプレッション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】フィスター、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、ライナー
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-73905(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第330438(FR,A1)
【文献】米国特許第1081803(US,A)
【文献】英国特許出願公開第114094(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0350380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
F04B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポペットバルブ(10
)であって、長手方向軸(L)と、複数のバルブシート通路チャネル(18)を有するバルブシート(12)と、前記バルブシート(12)から前記長手方向軸(L)の方向に距離を置いて配置されたキャッチャ(14)と、前記バルブシート通路チャネル(18)を開閉するように前記バルブシート(12)と前記キャッチャ(14)との間に可動に配置された封止要素(16)と、前記封止要素(16)と前記キャッチャ(14)との間に配置された減衰要素(20)と、を備え、バルブシート(12)またはキャッチャ(14)として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、複数の通路チャネル限定部分(36,52)と複数のウェブ部(38,54)とを有し、前記通路チャネル限定部分(36,52)は、バルブシート通路チャネル(18)とキャッチャ通路チャネル(48)とのうちの一方または両方を形成し、前記通路チャネル限定部分(36,52)および前記ウェブ部(38,54)は各々、互いに対しある角度(α)にて延びており、すべての前記通路チャネル限定部分(36,52)は、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸(L)の方向において、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)よりも短く寸法決定されており
、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)は、前記封止要素(16)または前記減衰要素(20)についての支持表面がなく、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)は、前記封止要素(16)または前記減衰要素(20)に面する面において、前記通路チャネル限定部分(36,52)のうちの1つに対し前記長手方向軸(L)の方向に凹んでいる、ポペットバルブ(10)。
【請求項2】
前記封止要素(16)は金属材料からなる、請求項1に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項3】
前記長手方向軸(L)の方向において、前記バルブシート(12)の前記通路チャネル限定部分(36)は、前記バルブシート(12)の前記ウェブ部(38)よりも少なくとも4分の1短い、請求項1または2に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項4】
前記ウェブ部(38)は、前記長手方向軸(L)に対し径方向に延び、複数の通路チャネル限定部分(36)は、前記径方向に互いから離間して配置されるとともに前記ウェブ部(38)に対し接続され、前記長手方向軸(L)の方向において、前記通路チャネル限定部分(36)の長さは、前記長手方向軸(L)に向かって減少する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項5】
前記長手方向軸(L)の方向において、前記長手方向軸(L)に最も近い前記通路チャネル限定部分(36)は、前記ウェブ部(38)の半分以下の長さを有する、請求項4に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項6】
前記バルブシート(12)の前記ウェブ部(38)は、支持構造(39)の一部を形成し、前記ウェブ部(38)は、前記バルブシート(12)の中心部分(40)からエッジ部分(42)まで外側に延びるとともに前記エッジ部分(42)に対し接続され、前記エッジ部分(42)は、前記バルブシート(12)の外周を形成するとともに前記支持構造(39)の一部であり、前記通路チャネル限定部分(36)は、前記支持構造(39)によって保持され、前記支持構造(39)は、前記通路チャネル限定部分(36)と一体に形成されている、請求項4または5に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項7】
すべての前記通路チャネル限定部分(36)は、前記長手方向軸(L)の方向において、前記支持構造(39)よりも短く寸法決定されている、請求項6に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項8】
各ウェブ部(38,54)は、その全長に沿って直線状である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項9】
前記バルブシート(12)が中心部分(40)とエッジ部分(42)とを有するか、前記キャッチャ(14)が中心部分(56)とエッジ部分(58)とを有するか、またはその両方であり、前記ウェブ部(38,54)は、前記中心部分(40,56)と前記エッジ部分(42,58)との間にスポーク状に延びる、請求項1~8のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項10】
前記封止要素(16)または減衰要素(20)を支持するための支持表面は、前記通路チャネル限定部分(36,52)に形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項11】
前記ウェブ部(38,54)の各々は、前記封止要素(16)または減衰要素(20)とは反対に面する面において、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸(L)の方向に、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記通路チャネル限定部分(36,52)のうちの1つに対し突出する、請求項1~10のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項12】
前記封止要素(16)または減衰要素(20)に面する面における前記ウェブ部(38,54)のうちの1つ以上は、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸(L)の方向に、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記通路チャネル限定部分(36,52)のうちの1つに対し凹んでいる、請求項1~11のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項13】
前記それぞれのバルブコンポーネントのすべてのウェブ部(38,54)は、前記長手方向軸(L)の方向において、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記通路チャネル限定部分(36,52)よりも大きい寸法を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項14】
前記バルブシート通路チャネル(18)と前記キャッチャ通路チャネル(48)とのうちの一方または両方は、前記長手方向軸(L)の方向に流体力学的に位置整合された形状を有するか、流体力学的に位置整合された形状を有する2つの隣接した通路チャネル限定部分(36,52)間に形成されるか、またはその両方である、請求項1~13のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項15】
前記キャッチャ通路チャネル(48)は、前記キャッチャ(14)の前記長手方向軸(L)に対し、傾斜している、湾曲している、またはその両方である長手方向部分を有する、請求項14に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項16】
前記バルブシート通路チャネル(18)と前記キャッチャ通路チャネル(48)とのうちの一方または両方のうちの少なくともいくつかは、少なくとも部分的には前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸(L)の方向に変化する形状を有する隣接した通路チャネル限定部分(36,52)の表面によって形成される、請求項14または15に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項17】
前記通路チャネル限定部分(36,52)のうちの1つ以上は、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸(L)の方向に、前記封止要素(16)からまたは減衰要素(20)から離れる配向にテーパーを有する長手方向部分形状を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項18】
6つ以上のウェブ部(38,54)が、前記長手方向軸(L)に対し周方向に相互に離間して配置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のポペットバルブ(10)。
【請求項19】
ポペットバルブ(10
)のバルブコンポーネントを製造するための方法であって、前記バルブコンポーネントは、複数のウェブ部(38,54)を備える支持構造(39,55)の付加製造によって作成することによって、また前記ウェブ部(38,54)に対し接続された複数の通路チャネル限定部分(36,52)の付加製造によって作り出すことによって、1つ以上のバルブシート(12)とキャッチャ(14)とのうちの一方または両方を備え、前記通路チャネル限定部分(36,52)は、バルブシート通路チャネル(36,52)とキャッチャ通路チャネル(48)とのうちの一方または両方が前記通路チャネル限定部分(36,52)間に形成されるように配置され、すべての前記通路チャネル限定部分(36,52)は長手方向軸(L)の方向において、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)よりも短く寸法決定されており、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)は、封止要素(16)または減衰要素(20)についての支持表面がないように形成され、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部(38,54)は、前記通路チャネル限定部分(36,52)に対し前記長手方向軸(L)の方向に凹んでいる、方法。
【請求項20】
前記長手方向軸(L)の方向において、前記バルブシート(12)の前記通路チャネル限定部分(36)は、前記バルブシート(12)の前記ウェブ部(38)よりも少なくとも4分の1短く形成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ウェブ部(38)は、前記長手方向軸(L)に対し径方向に延びるように形成され、複数の通路チャネル限定部分(36)は、前記長手方向軸(L)に対し径方向に互いから離間して配置されるとともに前記ウェブ部(38)に対し接続され、前記長手方向軸(L)の方向において、前記通路チャネル限定部分(36)は、前記長手方向軸(L)に向かって減少する長さに形成されている、請求項19または2
0に記載の方法。
【請求項22】
前記長手方向軸(L)の方向において、前記長手方向軸(L)に最も近い前記通路チャネル限定部分(36)は、長手方向(L)における前記ウェブ部(38)の長さの半分以下の長さに形成されている、請求項20または21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポペットバルブ、特にプレートバルブ、およびそうしたポペットバルブ用のバルブコンポーネントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピストンコンプレッサに用いられることが可能であるいわゆるプレートバルブまたはリングプレートバルブは、先行技術から(例えば、特許文献1または特許文献2から)知られている。そうしたプレートバルブは通常、バルブシート、バルブキャッチャ、およびバルブシートとバルブキャッチャとの間に配置された1つ以上の封止要素を有する。封止要素は、通路チャネルを開閉するように、バルブシートに可動に配置される。
【0003】
プレートバルブの通路チャネルが閉止されているとき、封止要素はバルブシートと接触することになり、その結果、封止要素に作用する閉止力がバルブシートによって吸収されるまたは散逸する。関連する機械的荷重に鑑みて、バルブシートは、特に安定するように設計される必要がある。この目的のため、当該バルブシートは通常、ソリッドブランクからフライス加工される。したがって、通路チャネルは、プレート形状のブランクにおいてフライス加工することによって形成される。一方、これは高い製造コストを伴う。これに加えて、フライス加工することによって作成された、形状が溝状であり得る通路チャネルは、例えば、バルブシートの長手方向の軸方向に(すなわち、バルブシートの高さに沿って)相対的に大きい延びを有し、これは流れる流体について比較的高い圧力損失を生じる。
【0004】
特許文献3は、軽い繊維材料からなるフレキシブルな弾性封止要素を備えるプレートバルブを開示している。この軽量封止要素は、鋼製の封止要素により生じる衝撃を防止し、その結果、プレートバルブの動作中の高い機械的荷重がバルブシートに生じない。特許文献4は、付加製造を用いたコンポーネントの製造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2004/065790号
【文献】特開第2010-112405号公報
【文献】英国特許出願公告第1025713号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0223117号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この先行技術に鑑みて、本発明の目的は、少しの努力しか伴わずに製造されることが可能であり、それと同時に改良された動作特性を有するポペットバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ポペットバルブに関して、この目的は請求項1の発明の主題によって解決される。本発明に係るバルブコンポーネントを製造する方法は、請求項19に与えられる。有利な実施形態は、従属請求項に提供され、また以下で議論される。
【0008】
本発明に係るポペットバルブは、特にプレートバルブまたはリングプレートバルブである。そうしたポペットバルブまたはプレートバルブは、特にピストンコンプレッサにおける使用のために設計される。
【0009】
本発明に係るポペットバルブは、バルブシートと、前記バルブシートから距離を置いて配置されたキャッチャと、前記バルブシートに形成された1つ以上の通路チャネルを開閉するように前記バルブシートと前記キャッチャとの間に可動に配置された封止要素と、を備える。バルブシート、キャッチャまたは封止要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、付加製造によって少なくとも部分的には作成される。したがって、バルブシート、キャッチャ、またさらに封止要素は、バルブコンポーネントであり、これらのバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、付加製造によって少なくとも部分的には作成される。バルブシートまたはキャッチャとして形成された前記バルブコンポーネントのうちの1つ以上は、複数の通路チャネル限定部分と複数のウェブ部とを有し、前記通路チャネル限定部分は、バルブシート通路チャネルとキャッチャ通路チャネルとのうちの一方または両方を形成し、前記通路チャネル限定部分およびウェブ部は各々、たがいに対しある角度αにて延びており、前記通路チャネル限定部分のうちの1つ以上は、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手方向軸の方向において、前記長手方向軸の方向における前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部よりも短く寸法決定されている。
【0010】
有利には、前記長手軸方向において、前記バルブシートと前記キャッチャとの一方または両方のすべての前記通路チャネル限定部分は、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部よりも短く寸法決定されている。これは、バルブシート通路チャネルの長さおよび/またはキャッチャ通路チャネルの長さを減少させ、したがって、流れ抵抗および/または死空間(デッドスペース)の体積を減少させる。これに加えて、バルブコンポーネントは、より計量であるように、より少ない材料により製造されることが可能であり、したがって、より費用対効果が高く、好ましくは付加製造を用いてより素早くも製造されることが可能である。
【0011】
有利には、前記長手軸方向において、前記バルブシートのすべての前記通路チャネル限定部分は、前記バルブシートの前記ウェブ部よりも少なくとも4分の1短い。
有利には、ウェブ部は、長手方向軸に対し径方向に延び、複数の通路チャネル限定部分はこの径方向に相互に離間して配置されるとともにウェブ部に対し接続され、長手軸方向において、通路チャネル限定部分の長さは長手方向軸に向かって減少する。そうしたバルブコンポーネントは、特に小さい流れ抵抗しか有さず、また製造には減少した量しか必要としない。
【0012】
有利には、前記長手方向軸に最も近い前記通路チャネル限定部分は、前記ウェブ部の半分以下の前記長手軸方向における長さを前記長手軸方向において有する。そうしたバルブコンポーネントはまた、特に小さい流れ抵抗しか示さず、製造には減少した量しか必要としない。
【0013】
有利には、バルブシートのウェブ部は支持構造の一部を形成し、ウェブ部はバルブシートの中心部分からエッジ部分まで外方に延びるとともにエッジ部分に対し接続され、エッジ部分はバルブシートの外縁を形成し、好ましくは支持構造の一部であり、その結果、通路チャネル限定部分が、通路チャネル限定部分と一体に形成されている支持構造によって保持される。バルブシートの支持構造へのこの分割と支持構造によって保持された複数の通路チャネル限定部分とは、通路チャネル限定部分が、加えられた力によって損傷を受けないように、または加えられた力に耐えることが可能であるように、通路チャネル限定部分の設計(例えば、径方向における幅および/または長手方向における高さ)が最適に減少させられることが可能であり、またしたがって比較的薄く設計されることが可能であるという利点を有する。通路チャネル限定部分に対し作用する力は、支持構造により分散する。好ましくは、外周は、360°の角度を通じて長手方向軸に対し周方向に延びることによって、バルブシートを完全に包囲する。
【0014】
通路チャネル限定部分がウェブ部によって周方向に相互に規則的に離間した接続点にて支持されるまたは保持されるように、長手方向軸に対し周方向に相互に離間した(好ましくは、相互に均等に離間した)4つ以上、5つまたは6つのウェブ部を配置することが有利であると示されてよい。有利には、7つ、8つ、9つまたは10個のウェブ部が、通路チャネル限定部分についてより多数の接続部を形成するように、相互に離間して(好ましくは、相互に均等に離間して)配置される。この設計は、より多数の接続点が力の分散のために利用可能であるため、通路チャネル限定部分が長手方向軸に対し径方向により薄く作成されることが可能であるという利点を有する。
【0015】
付加製造(生成的製造(generative Fertigung)としても知られる)の使用は、複雑な幾何構造が非常に少ない努力により作り出されることを可能にする。例えば、十分に高い機械的安定度を有するコンポーネントには、わずかな量の材料しか提供されないことが可能である。これは、高レベルの動作信頼性を保証することが可能である。例えば、必要とされる機械的安定度は、わずかな全高しか伴わない適切なコンポーネント形状を選択することによって達成されることが可能である。特に、付加製造の使用は、安定度の損失なく、バルブシートの全高(すなわち、長手方向軸の延び)を減少させることが可能である。
【0016】
バルブシートの全高を減少させることは、ピストンコンプレッサに用いられるとき、死空間を減少させる。それぞれのピストンコンプレッサの動作効率は、このようにして改良されることが可能である。
【0017】
最後に、付加製造の使用は、わずかな努力しか伴わずにバルブシートの長手軸方向における通路チャネルの短縮を促進することが可能である。一方、長手軸方向における通路チャネルの長さの短縮は、上述したように、それぞれのバルブコンポーネントの減少した全高から得られる。一方、付加製造処理の使用は、個々の通過流チャネルを、または長手軸方向における長さがそれぞれのバルブコンポーネントの全高よりも短い場合がある通過流チャネル限定部分を形成するように用いられることが可能であり、そのバルブコンポーネントの全高は、長手方向における支持構造またはウェブ部の全高によって好ましくは決定される。全体として、これは流れ抵抗を減少させることが可能であり、ポペットバルブについての改良された動作特性を得る。これに加えて、より少ない材料しか作成に必要とされない。最後に、付加製造の使用は、追加の費用なく通路の個数を増加させること、特に、バルブシート通路の幅またはキャッチャ通路の幅を長手方向軸に対し径方向に減少させることを可能とし、したがって、流れ抵抗をさらに減少させる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、減衰要素が封止要素とキャッチャとの間に配置されることも可能である。そうした減衰要素は、キャッチャの方向における封止要素の移動を減衰させるまたは遮るように、また材料上において緩やかにその移動を減速させるように用いられることが可能である。そうした減衰要素も、付加製造によって作成されることが可能である。
【0019】
好ましい実施形態では、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、付加製造によって全体が作成される。これに加えて、それぞれのコンポーネントは、後処理を受けてもよい。同様に、それぞれのバルブコンポーネントの1つの部分しか付加製造によって作成されず、別の部分は代替の製造処理によって作成されることが可能である。2つの異なって作成されたコンポーネント部分は、例えば、ともに繋げられてよい。これは、優れた設計および製造の柔軟性を生じる。したがって、複雑な幾何構造のみが機械加工によって作成されることが可能であり、単純な構造は、他の1次形状決定、形成または機械加工製造処理などの代替の製造処理によって作成されることが可能である。
【0020】
さらなる有利な実施形態では、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、機械加工される。そうした機械的な機械加工では、例えば、機械加工および/または切断製造が可能である。例えば、それぞれのバルブコンポーネントは、少なくとも部分的にはまたは完全に付加製造によって作成され、続けて機械加工を受けることが可能であり、これによって、付加製造および機械加工の利点が有利に組み合わせられることが可能である。
【0021】
好ましくは、バルブシートおよびキャッチャは、同一の製造処理によってまたは部分的に同一の製造処理によって作成されることが可能である。これは、製造コストをさらに減少させることを可能にする。対照的に、封止要素および/または減衰要素は、バルブシートおよび/またはキャッチャについての製造処理とは異なる製造処理によって作成されることが可能である。
【0022】
封止要素は、金属材料またはプラスチック材料から作成されることが可能である。封止要素は、付加製造処理によって、またはプレス加工などの切断製造処理によって製造されることが可能である。封止要素は、プレス加工部分として設計される場合、低コストにて製造されることが可能である。主として、封止要素はわずかな厚さまたは高さしか有しないため、プレス加工は封止要素に用いられることが可能である。対照的に、付加製造が用いられるとき、複雑な幾何構造も、封止要素の製造に提供されることが可能である。これは、封止要素がプラスチック材料から作成されるか金属材料から作成されるかにかかわらず適用される。例えば、付加製造を用いることによって、封止要素には、閉止位置においてバルブシートの通路チャネルに係合し、したがって改良された封止を保証する、形成要素が、チャネル厚さまたは高さ方向に提供されることが可能である。
【0023】
有利な実施形態によれば、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、少なくとも部分的には、粉末、粒子、展性および/または液体状態からの製造によって作成され、これによって、高度の製造の柔軟性が保証されることが可能である。
【0024】
さらなる有利な実施形態では、それぞれのバルブコンポーネントは、特に、金属材料および/またはプラスチックから作成されることが可能である。特に、バルブシートおよびキャッチャは、金属材料またはプラスチック材料からも作成されることが可能である。封止要素は、同様に、金属材料またはプラスチック材料から作成されることが可能である。最後に、減衰要素は、提供される場合、金属材料またはプラスチック材料から作成されることも可能である。
【0025】
それぞれのバルブコンポーネントを繊維強化材料を用いて作成することも可能である。強化繊維は、付加製造によってそれぞれのコンポーネントへと導入されることが可能である。プラスチック材料の場合は特に、これは大幅な強度の増加を達成することが可能である。
【0026】
さらなる好ましい実施形態では、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、少なくとも部分的には選択的レーザ溶融、選択的レーザ焼結(SLS)または電子ビーム溶融によって作成される。これは、大きい特定の密度を有するコンポーネントが作成されることを可能にし、したがって、高い総合安定度を保証する。
【0027】
選択的熱焼結(英語:selective heat sintering (SHS))、バインダジェット、熱溶解積層(英語:fused deposition modeling (FDM))、ステレオリソグラフィおよび/または3Dスクリーン印刷によって、それぞれのバルブコンポーネントを作成することも可能である。
【0028】
有利な実施形態によれば、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、上記の製造処理の組合せによって作成され、さらに製造の柔軟性を増加させてよい。
【0029】
バルブシートまたはキャッチャとして形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上が、周方向に延びる複数の通路チャネル限定部分と、複数のウェブ部であって、各々が0°より大きい角度、例えば90°または例えば互いに対し横切って45°に延びるウェブ部と、を有し、通路チャネル限定部分のうちの1つは、それぞれのバルブコンポーネントの長手軸方向においてウェブ部のうちの1つとは異なって寸法決定されるおよび/または位置する、場合が、さらに有利であり得る。
【0030】
したがって、ウェブ部の寸法または位置は、通路チャネル限定部分の寸法または位置から独立して選択されることが可能である。したがって、一方のウェブ部と他方の通路チャネル限定部分とは、ウェブ部と通路チャネル限定部分とのそれぞれの機能に関して、長手軸方向に特に寸法決定されるまたは位置することが可能である。
【0031】
有利には、ウェブ部は、ある角度、例えば90°または45°にてそれぞれのバルブコンポーネントの外周まで走ることが可能である。ウェブ部は、好ましくは、それぞれのバルブコンポーネントの平面図において(すなわち、バルブコンポーネントの高さ方向または長手軸方向により見られるように)通路チャネル限定部分に交わることが可能である。
【0032】
特に有利な実施形態では、ウェブ部は、径方向に配置されるまたは走ることが可能である。この場合、ウェブ部は、それぞれのバルブコンポーネントの中心部分から外周を形成するエッジ部分までの間を、好ましくは直線により走ることが可能である。このようにして、ウェブ部および通路チャネル限定部分は、互いに対し有利な補完を形成することが可能である。連続的な直線ウェブ部は、特に大きい加えられた力に耐えることができる。この目的のため、直線ウェブ部は、流れ抵抗が減少する比較的小さい直径を有することも可能である。
【0033】
ウェブ部は、通路チャネル限定部分と一体に形成される(特に好ましくは互いへと合体する)ことが可能である。ウェブ部は、通路チャネル限定部分を支持するか、通路チャネル限定部分についての支持構造を形成することが可能である。これは、主として十分な機械的強度に関してウェブ部を、また主としてそれぞれのバルブコンポーネントの流れ断面のさらなる細分化に関して通路チャネル限定部分を設計することを可能とする。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として設計されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、プレート形状であることが可能である。プレート形状のバルブコンポーネントは、上下に有利に配置されることが可能であり、したがって、特に、いわゆるプレートバルブを形成するため、全体として小型構造を保証する。
【0035】
さらに好ましくは、好ましくはプレート形状である、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として設計されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、円形、長円状または楕円形の外周を有することが可能である。同様に、それぞれのバルブコンポーネントの外周は、多角形、例えば矩形および/または正方形であることが可能である。したがって、主として、長手軸方向に対し横切る、したがってコンポーネントの高さに対し横切る長さ寸法と、長手軸方向に対し横切る、したがってコンポーネントの高さに対し横切る幅寸法とについて、互いに対応するか、または互いとは異なることも可能である。
【0036】
例えば、楕円形の外周形状を有するバルブコンポーネントは、平面図において幅よりも大きい長さを有し、円形の外周形状の場合には、バルブコンポーネントの長さおよび幅は平面図において互いに同一である。長手軸方向に対し横切る幅よりも大きい長さを有する外周形状は、大きい流れ断面を実現することを可能にし、これは、特にピストンコンプレッサの上死点において、より小さい流れ抵抗が実現されることが可能であることを意味する。
【0037】
好ましくは、シートバルブのすべてのバルブコンポーネント(特にバルブシート、キャッチャ、封止要素、および応用可能な場合は、提供される減衰要素も)は、形状的に互いに一致するか、対応して設計された外周形状を有する。それぞれのバルブコンポーネントの外周は、エッジ部分によって形成されることが可能である。エッジ部分は周部分であることが可能であり、その周部分の形状が内部通路チャネル限定部分に対応するか、その周部分が内通路チャネル限定部分に対し異なる形状を有する。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、通路チャネル限定部分は、円形、長円状または楕円形であってよい。通路チャネル限定部分は、多角形、回転方向において特に矩形または正方形形状を形成することも可能である。通路チャネル限定部分の進路は、有利には、外周の形状またはそれぞれのバルブコンポーネントのエッジ部分に順応するか、それに応じて設計される。
【0039】
特に有利には、バルブコンポーネントの通路チャネル限定部分は、互いに対し同心円状に走る、および/または互いに対し回転方向に一定の距離を有する。
さらに有利な実施形態では、前記封止要素または場合によっては提供される減衰要素を支持するための支持表面は、前記通路チャネル限定部分に形成されることが可能である。したがって、支持表面は、封止要素または減衰要素と相互作用するように設計されることが可能である。封止要素の支持表面との接触によって、したがって、通路チャネルの封止閉止が達成されることが可能である。ウェブ部が表面に接触しないことも可能である。したがって、ウェブ部は、封止要素または減衰要素と直接接触するように設計される必要がない。したがって、ウェブ部は、主として高靭性を有し、一方、特に高強度は必要とされない。
【0040】
前記封止要素または減衰要素に面する面における前記ウェブ部のうちの1つ以上が、前記それぞれのバルブコンポーネントの前記長手軸方向に、前記通路チャネル限定部分のうちの1つに対し凹んでいる場合が有利であることが可能である。したがって、それぞれの封止要素または減衰要素は、通路チャネル限定部分の支持表面に接触し、ウェブ部と接触することにならない。
【0041】
さらに好ましくは、ウェブ部のうちの1つ以上が、封止要素または減衰要素とは反対に面する面において、それぞれのバルブコンポーネントの前記長手軸方向に、通路チャネル限定部分のうちの1つに対し突出する。このようにして、それぞれのウェブ部は、特に有利には、支持または荷重耐性機能をそれぞれの通路チャネル限定部分に提供することが可能である。
【0042】
さらに好ましくは、ウェブ部のうちの1つ以上は、それぞれのバルブコンポーネントの長手軸方向において、通路チャネル限定部分のうちの1つよりも大きい寸法を有してよい。例えば、バルブシートのウェブ部は、バルブシートの長手軸方向において、バルブシートの通路チャネル限定部分よりも大きい寸法を有してよい。ウェブ部の長手軸方向におけるより大きい寸法によって、したがって、機械的に安定した設計が達成されることが可能であり、一方、通路チャネル限定部分は、長手軸方向におけるより小さい寸法を有し、したがって、流れる流体について比較的小さい流れ損失しか生じない。
【0043】
さらなる実施形態によれば、異なる通路チャネル限定部分は、長手軸方向における異なる寸法を有してよい。例えば、内寄りの通路チャネル限定部分は、外寄りの通路チャネル限定部分よりも長手軸方向に小さい延びを有してよい。特に、通路チャネル限定部分の広がりは、内寄りの通路チャネル限定部分からより外寄りの通路チャネル限定部分まで長手軸方向に次第に増加してよい。例えば、内寄りの通路チャネル限定部分は、外寄りの通路チャネル限定部分よりも長手軸方向に小さい延びを有してよい。最も外側に配置された通路チャネル限定部分は、特にエッジ部分であることが可能である。
【0044】
さらに好ましくは、バルブシートの1つ以上の通路は、2つの隣接した通路限定部分間に形成されることが可能である。この場合、通路チャネルは、バルブシートの長手軸方向において流体力学的に順応した形状を有することが可能である。したがって、通路チャネルの形状は、流体力学的に好ましい特性に関して、特に、小さい流れ抵抗に関して、または薄層のもしくは乱流のない流れを促進するように、選択されることが可能である。
【0045】
したがって、キャッチャは、2つの隣接した通路チャネル限定部分間に形成されるとともにキャッチャの長手軸方向において流体力学的に順応した形状を有する、通路チャネルを有してもよい。キャッチャにおける通路チャネルの流体力学的に順応した形状は、好ましい流体力学特性に関して選択されることも可能である。
【0046】
さらに有利な実施形態によれば、バルブシートまたはキャッチャとして設計されるバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、互いに同心円状に配置された複数の通路チャネルを有することが可能である。1つ以上の通路チャネルまたは複数の通路チャネルは、溝状に有利に設計されることが可能である。
【0047】
有利には、3つと20個との間、好ましくは5つと10個との間において、互いに径方向に同心円状に配置された通路チャネルまたは対応する通路チャネル限定部分は、バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として設計されることが可能であるそれぞれのバルブコンポーネントに提供されることが可能である。流れ抵抗は、バルブコンポーネントごとのより多数の通路チャネルによって、さらに減少することが可能である。
【0048】
さらに好ましくは、1つ以上の通路は、1つ以上のウェブ部によって部分的には周方向に遮断されることが可能である。部分的遮断によって、ここでは、通路チャネルの長手方向軸の全範囲に沿っては広がらない遮断が意味される。したがって、循環の方向に分配された通路チャネルの部分は、封止要素またはそれぞれの減衰要素がそれぞれのバルブコンポーネントの座面と接触しているときでも、互いに流体連通したままである。一方、これは、それぞれの通路チャネルの流れ特性を大幅に損なうことなく、高度の安定度を達成することを可能とする。
【0049】
さらに好ましい実施形態では、それぞれのバルブコンポーネントの通路チャネルは、2~10mm、3~10mm、好ましくは4~8mmおよび特に好ましくは6~7mmまたは2~3mmの径方向における幅を有することが可能である。それぞれの通路チャネルの幅は、3~4mmの最小値および8~10mmの最大値を有することが可能である。好ましくは、それぞれのバルブコンポーネントのすべての通路チャネルは、そうした幅寸法を有する。特に好ましくは、すべての通路チャネルは、同一の幅寸法を有する。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、1つ以上の通路チャネルは、その通路チャネルを通って流れる流体を、キャッチャの中心を通って延びる長手方向軸の方向に案内することが可能である。この目的のため、キャッチャの1つ以上の通路チャネルは、キャッチャの長手方向軸に対し長手方向に傾斜または湾曲していることが可能である。傾斜または湾曲によって、通路チャネルの長手方向部分進路の意味が意味され得る。そうした設計は、ポペットバルブを離れた後の流れる流体の流れ挙動に特に影響を及ぼすように用いられることが可能である。ピストンコンプレッサの内側または外側の流れ挙動は、このようにして改良されることが可能である。
【0051】
さらに好ましくは、1つ以上の通路チャネルは、隣接した通路チャネル限定部分の表面によって形成されることが可能であり、通路チャネル限定部分は、少なくとも部分的にはそれぞれのバルブコンポーネントの長手軸方向に変化する形状を有する。表面のそうした変化する形状は、有利には、流体力学特性に影響を及ぼすことが可能である。表面は、長手軸方向に湾曲を有すること、バルブコンポーネントの長手軸方向に対し傾斜すること、または自由な形状の表面として全体が設計されることが可能である。この種類の形状は、流体力学モデルの結果として選択されることが可能であり、付加製造の使用を通じてわずかな努力しか伴わずにそれぞれのバルブコンポーネントに形成されることが可能である。
【0052】
さらに好ましい実施形態では、通路チャネル限定部分のうちの1つ以上は、封止要素または減衰要素とは反対の配向において、それぞれのバルブコンポーネントの長手軸方向にテーパーを有する断面形状を有してよい。そうした実施形態は、バルブシートとキャッチャとの両方について考えられ得る。そうした実施形態では、バルブシートはノズルの機能を想定することが可能であり、キャッチャは拡散器の機能を果たすことが可能である。これは、特に、長手軸方向における通路チャネル限定部分の対応するテーパーが、封止要素または減衰要素とは反対に面する配向において通路チャネルの拡張または拡大を伴うという事実による。
【0053】
本発明に係るバルブシートのさらなる実施形態によれば、ウェブ部のうちの1つ以上は、それぞれのバルブコンポーネントの長手軸方向において変化する形状を有することが可能である。この場合、それぞれのウェブ部が流体力学的に順応した形状を有することも可能である。通路チャネルは部分的にはウェブ部によって遮断され得るため、流れ抵抗のさらなる減少が、ウェブ部の流体力学的に順応した形状によって保証される。同様に、通路チャネル限定部分に対し突出するウェブ部の一部では、ウェブ部の流れに好ましい形状がポペットバルブの特性を改良するのに寄与することが可能である。
【0054】
さらなる実施形態によれば、ウェブ部のうちの1つ以上は、自身の長手方向において(例えば、それぞれのバルブコンポーネントの径方向に)変化する形状を有することが可能である。ウェブ部は、部分的には自身の長手方向においてテーパーを有するおよび/または拡大される形状を有することが可能である。例えば、そうしたウェブ部は、最初はそれぞれのバルブコンポーネントの中心部分からテーパーを有し、次いでバルブコンポーネントのエッジ部分へと移行する前に再び拡大されることが可能である。これによって、優れた機械特性を同時に伴う材料節約構造を得る。特に、バルブコンポーネントの動作中の所望されない応力ピークが、このようにして避けられることが可能である。
【0055】
さらに好ましい実施形態によれば、複数のウェブ部(特に、3つ以上のウェブ部)は、それぞれのバルブコンポーネントの中心部分からそれぞれのバルブコンポーネントの外周を形成するエッジ部分まで延びることが可能である。中心部分によって、ここでは、バルブコンポーネントのネジ接続が作成されることが可能である穴を通じて範囲を定められるバルブコンポーネントの材料部分が意味される。好ましくは、2つの反対に配置されたウェブ部は、連続した線に沿って走ることが可能である。反対に配置されたウェブ部は、中心部分によって互いに対し接続されることが可能である。それぞれのバルブコンポーネント(特にバルブシートまたはキャッチャ)は、好ましくは鏡対称設計であることが可能である。
【0056】
さらに好ましくは、バルブシートまたはキャッチャとして設計されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、丸みを帯びた端面または丸みを帯びたエッジを、閉止要素または減衰要素とは反対に面する面に有することが可能であり、その結果として、流れる流体の乱流のリスクをさらに減少させることが可能である。そうした丸みを帯びた端面は、特に有利には、通路チャネル限定部分および/またはウェブ部に形成される。
【0057】
本発明の別の態様は、ポペットバルブ、好ましくはプレートバルブであって、バルブシートと、バルブシートから距離を置いて配置されたキャッチャと、バルブシートに形成された1つ以上の通路チャネルを開閉するようにバルブシートとキャッチャとの間に可動に配置された1つ以上の封止要素(16)と、キャッチャの方向における封止要素の減衰運動用に封止要素とキャッチャとの間に配置された1つ以上の減衰要素と、を備える、ポペットバルブに関する。バルブシート、キャッチャ、封止要素または減衰要素として形成されたバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、付加製造によって少なくとも部分的には作成される。したがって、バルブシート、キャッチャ、またさらに封止要素は、バルブコンポーネントであり、本発明の本態様によれば、これらのバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、付加製造によって少なくとも部分的には作成される。
【0058】
本発明の別の態様は、好ましくは上記のシートバルブ(好ましくは、プレートバルブ)用のバルブコンポーネントに関する。有利には、本発明に係るバルブコンポーネントは、バルブシートまたはキャッチャである。同様に、バルブコンポーネントは、封止要素または減衰要素であってよい。本発明に係るバルブコンポーネントは、1つ以上の壁部分によって範囲を定められた通路チャネルを有する。本発明によれば、壁部分は付加製造によって作成される。このようにして、全体として複雑な幾何形状を有する壁部分が作成されることが可能であり、その結果、一方で好ましい流れ特性と同時に高度の安定性も保証されることが可能である。
【0059】
本発明の別の態様は、上記の1つ以上のポペットバルブを有するおよび/または上記のバルブコンポーネントを有するピストンコンプレッサに関する。
本発明に係るポペットバルブの可能な設計または異なる態様に対する上記の記述は、したがって、本発明に係るバルブコンポーネントにも適用され、また本発明に係るピストンコンプレッサにも適用される。
【0060】
本発明によれば、ポペットバルブのバルブコンポーネントを製造する方法は、バルブシートおよびキャッチャのうちの1つ以上を備えるバルブコンポーネントは、複数のウェブ部を備える支持構造の付加製造によって行われ、またウェブ部に対し接続された複数の通路チャネル限定部分の付加製造によって作成され、通路チャネル限定部分は、バルブシート通路チャネルとキャッチャ通路チャネルとのうちの一方または両方が通路チャネル限定部分間に形成されるように配置され、通路チャネル限定部分のうちの1つ以上は、長手方向軸の方向において、長手軸方向における前記それぞれのバルブコンポーネントのウェブ部のうちの1つよりも短く寸法決定されている。
【0061】
好ましくは、前記長手方向軸の方向において、前記バルブシートと前記キャッチャとのうちの一方または両方のすべての前記通路チャネル限定部分は、長手軸方向において前記それぞれのバルブコンポーネントの前記ウェブ部よりも短く寸法決定されている。
【0062】
有利には、前記長手方向軸の方向において、前記バルブシートの前記通路チャネル限定部分は、前記長手軸方向において前記バルブシートの前記ウェブ部よりも少なくとも4分の1短く形成される。
【0063】
有利には、ウェブ部は、長手方向軸に対し径方向に延びるように形成され、複数の通路チャネル限定部分は長手方向軸に対し径方向に互いから離間して配置されるとともにウェブ部に対し接続され、長手軸方向において、通路チャネル限定部分は長手方向軸に向かって減少する長さを有するように形成される。
【0064】
有利には、長手軸方向において、長手方向軸に最も近い通路チャネル限定部分は、長手方向におけるウェブ部の長さの半分以下の長さを有するように形成される。
本発明は、以下で有利な実施形態および添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0065】
図面は、実施形態を説明するように用いられる。
一般に、同一の部分には、図面において同一の参照符号が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明に係るポペットバルブの流入側からの斜視図。
【
図2】
図1のポペットバルブの流出側からの斜視図。
【
図3】
図1のポペットバルブの断面A-Aに沿った断面図。
【
図4】
図1のポペットバルブの断面B-Bに沿った断面図。
【
図8】
図7のキャッチャの断面C-Cに沿った斜視断面図。
【
図9】
図7のキャッチャの外部放出側からの斜視図。
【
図10】
図7のキャッチャの閉止要素と減衰要素とを伴う組立位置における斜視図。
【
図11】バルブシートのさらなる実施形態の上面図。
【
図12】バルブシートのさらなる実施形態の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1および
図2は、本発明に係るシートバルブ10の斜視図を示し、
図3および
図4は、異なる平面に沿ったシートバルブ10の断面図を示す。特に、
図3は、
図1のポペットバルブ10の断面図を示し、
図4は、
図1のポペットバルブの平面B-Bに沿った断面図を示す。
【0068】
ポペットバルブ10は、ポペットバルブ10の長手軸方向にまたは高さ方向に延びた長手方向軸Lを有する。
図1~
図4から見られるように、ポペットバルブ10は、バルブシート12と、バルブシート12から離間したキャッチャ14と、バルブシート12とキャッチャ14との間に配置された封止要素16と、を備える。封止要素16は、バルブシート12に形成された通路チャネル18を開閉するように、バルブシート12とキャッチャ14との間において動かされることが可能である。特に、封止要素16は、通路チャネル18を開放するようにバルブシート12から離れるように動かされることが可能であり、また通路チャネル18を閉止するように、バルブシート12に向かって動かされるかバルブシート12と接触することになる。封止要素16の開閉運動は、長手方向軸Lに沿った長手軸方向において行われる。
【0069】
特に
図3および
図4における断面図から見られるように、減衰要素20が、封止要素16とキャッチャ14との間にさらに提供されることが可能である。減衰要素20は、封止要素16の開放運動を弱めることによって摩耗現象を低減させることが可能である。同様に、封止要素16自身は、減衰特性を有し、したがって、別個の減衰要素をなしで済ませることが可能である。
【0070】
図1~
図4からさらに見られるように、ポペットバルブ10のバルブコンポーネントは、ねじ接続22によりともにねじ止めされてよい。したがって、ねじ切り加工されたボルト24はキャッチャ14へとねじ止めされてよく、一方、スチーム要素20、封止要素16およびバルブシート12を通じて突出してよい。したがって、ねじ切り加工されたボルト24は、特に、長手軸方向において長手方向軸Lに沿って延びる。バルブシート12側では、固定用ナット26がねじ切り加工されたボルト24へと同様にねじ止めされることが可能である。バルブシート12とキャッチャ14との間に必要な距離は、スペーサ要素を用いることによって維持されることが可能である。
【0071】
本発明によれば、バルブシート12、キャッチャ14または封止要素16として形成されるバルブコンポーネントのうちの1つ以上は、ここでは、付加製造によって少なくとも部分的に作成される。特に、それぞれのバルブコンポーネントは、付加製造によって完全に作成されることも可能である。減衰要素20も提供される場合、これは付加製造によって製造されることも可能である。
【0072】
付加製造、特に、選択的レーザ溶融または選択的レーザ焼結を用いることによって、複雑な幾何構造が非常にわずかな努力により作り出されることが可能である。このようにして、それぞれのバルブコンポーネントは、流体力学特性と安定度要求との両方に対して設計されることが可能である。選択的レーザ溶融または選択的レーザ焼結に加えて、他の付加製造または生成的製造処理が、当該バルブコンポーネントを作成するように用いられることも可能である。これらは、例えば、選択的熱焼結、バインダジェット、電子ビーム溶融、熱溶解積層、ステレオリソグラフィおよび/または3Dスクリーン印刷処理を含む。
【0073】
付加製造処理の使用は、有利には機械的製造処理、特に機械加工処理と組み合わされることも可能である。このようにして、付加製造と機械的製造との両方が、一度のワークピースのクランプにより行われることが可能である。これは、バルブコンポーネントが特に高精度に作成されることを可能にする。
【0074】
封止要素16は、バルブシート12に面する配向にて予荷重を加えられることが可能である。ここではより詳細に示されないばね要素が、この目的のために提供されることが可能である。そうしたばね要素は、例えば、
図3に見られるように、特に、キャッチャ14の凹部28に配置されることが可能である。
【0075】
図5および
図6は、バルブシート12の斜視図を示し、
図5は外流入面30から、および
図6は内流出面32から、バルブシート12を示す。したがって、流入面30は、ポペットバルブ10が組み立てられたときに外側にある外面である。流出面32は、ポペットバルブ10が組み立てられたときにバルブを内側に置く内面である。
【0076】
バルブシート12に複数の通路チャネル18が提供されることが、
図5および
図6から見られる。特に、5つの通路チャネル18が提供されてよい。通路チャネル18は、互いに同心円状に配置され、バルブシート12の径方向に配置されてよい。したがって、径方向は、長手方向軸Lまたはバルブシート12のL1に沿った長手軸方向に対し横切って延びる。バルブシート12の長手方向軸L1は、組み立てられたシートバルブ10の長手方向軸Lと一致する。
【0077】
図5および
図6に係る実施形態例では、互いに対し同心円状に配置された5つの通路チャネル18のすべてが提供される。しかしながら、径方向に配置され互いから距離を置いて配置された、異なる数の通路チャネル、例えば6つ以上、特に10個までまたは11個以上の通路チャネル18が提供されることも考えられる。
【0078】
図5および
図6からさらに見られるように、通路チャネル18は各々、隣接して配置された通路チャネル限定部分36によって境界を定められる。特に、通路チャネル限定部分36は、長手方向軸L1の周りに周方向に延びる。
図5および
図6によれば、通路チャネル限定部分36は、通路チャネル18も長手方向軸L1の周りを円状に延びるように、特に円状に延びてよい。
【0079】
図5に示されるように、エッジ部分42と中心部分40との間の全幅に沿っては径方向に延びないものの部分的な幅にわたってしか延びない追加の部分的ウェブ部38aを提供することが有利であることも示してよい。
図5は、一例として単一の部分的ウェブ部38aしか示さない。好ましくは、そうした部分的ウェブ部38aは、相互に規則的に離間されて周方向に配置される。有利には、部分的ウェブ部38aは、エッジ部分42に対し接続され、エッジ部分42から径方向にまたは径方向に対し横切る方向に延びる。さらに、そうした部分的ウェブ部38aは、キャッチャ14に配置されてもよい。
【0080】
バルブシート12は、複数のウェブ部38を備えてよい。ウェブ部は、通路チャネル限定部分36と角度αにて交差することによって、通路チャネル限定部分36について支持または耐力構造39を形成してよい。この点に関して、ウェブ部38は、バルブシートの中心部分40から長手方向軸L1に対しエッジ部分42まで径方向外側に延びてよい。エッジ部分42は、バルブシート12の外周を形成してよく、好ましくは、長手方向軸L1に対し周方向に360°延びる。ウェブ部38と通路チャネル限定部分36とは、示されるように、90°の角度にて交差する。しかしながら、ウェブ部38は、通路チャネル限定部分36に対し横切って交わることも可能であり、したがって、これは、例えば
図11および
図12に示されるように、例えば、30°および150°の範囲にある角度αにある。
【0081】
有利には、中心部分40と、ウェブ部38と、エッジ部分42とはともに、通路チャネル限定部分36について安定した支持または耐力構造39を形成する。
ウェブ部38は、特に、スポークまたはスポーク形状として設計されることが可能である。ウェブ部38は、通路チャネル18を部分的には周方向に遮断することが可能である。
【0082】
したがって、通路チャネル18は、ウェブ部38によって細分化された、循環の方向に配置された複数のチャネル部分を有する。通路チャネル18がウェブ部38によって部分的に細分化されるに過ぎないという事実により、それぞれの通路チャネル18が封止要素16によって閉止されているとき、チャネル部分間の流体連通が存在することが可能である。この目的のため、ウェブ部38は、封止要素16に面する流出面にて通路チャネル限定部分36に対し、長手軸方向に長手方向軸L1に沿って戻るように突出することが可能である。したがって、通路チャネル限定部分36は封止要素についての支持面を形成し、一方、ウェブ部38はそうした支持面を有しない。したがって、封止要素16は、ウェブ部38と直接接触しないことが可能である。
【0083】
封止要素16とは反対に面するバルブシート12の流入面において、ウェブ部38が長手軸方向に通路チャネル限定部分36に対し突出することが、
図5からさらに見られる。バルブシート12の流入面30において、したがって、ウェブ部38は、さらに長手軸方向に長手方向軸L1に沿って通路チャネル限定部分36よりも延びる。したがって、ウェブ部38は、通路チャネル限定部分36について特に有利な支持機能または支持構造39を形成する。有利には、支持構造39は、すべてのウェブ部38ならびに中心部分40およびエッジ部分42を備える。
【0084】
ウェブ部38は、長手軸方向に長手方向軸L1に沿って通路チャネル限定部分36よりも全体として大きい延びを有してよい。すなわち、通路チャネル限定部分36は、長手方向軸L1の方向における寸法が、長手軸方向に長手方向軸L1に沿ったウェブ部38よりも短い。さらに、通路チャネル限定部分36は、特に
図4に示されるように、長手軸方向に長手方向軸L1に沿って異なって寸法決定されてよい。さらに内側に配置された通路チャネル限定部分36(すなわち、中心部分40または長手方向軸L1のより近くにある通路チャネル限定部分36)は、長手軸方向に長手方向軸L1に沿って、さらに外側に配置された通路チャネル限定部分36(すなわち、エッジ部分42のより近くにある通路チャネル限定部分36)よりも短くて良い。通路チャネル限定部分36の長手軸方向の寸法決定は、中心部分40から開始してエッジ部分42まで段階的に増加してもよい。有利には、バルブシート12の通路チャネル限定部分36は、長手軸方向に長手軸方向におけるバルブシート12のウェブ部38よりも4分の1以上短い。有利には、長手方向軸Lに最も近い通路チャネル限定部分36は、最大でも長手軸方向におけるウェブ部38の半分の長さの長手軸方向における長さを有する。
【0085】
図5および
図6から、また
図4における断面図から見られるように、通路チャネル18は流体力学的に順応した形状を有する。この目的のため、それぞれの通路チャネル18を限定する通路チャネル限定部分36の表面は、長手軸方向に長手方向軸L1に沿って変化する形状を有することが可能である。それぞれの表面は、例えば、長手軸方向に湾曲するまたは自由な形状の表面として形成されることが可能である。
【0086】
図4では、通路チャネル限定部分36の断面形状は、流入面30に向かってまたは封止要素16とは反対に面する配向にテーパーを有する。これに加えて、流入面30に面する表面または端部エッジは、流入する流体について乱流の小さいリスクしか存在しないように、丸みを帯びていることが可能である。対応する流体力学的に順応した形状が、ウェブ部38についても提供されることが可能である。ウェブ部38はまた、通路チャネル18を少なくとも部分的に形成する。これに加えて、流体はまた、通路チャネル18の外側のウェブ部38を越えて、すなわち、バルブシート12の流入面30において通路チャネル限定部分36に対し突出するウェブ部38の領域に案内される。したがって、通路チャネル限定部分36に対し突出するウェブ部38の表面部は、丸みを帯びているか、湾曲しているか、自由な形状の表面として形成されてもよい。
【0087】
上記の形状は、付加製造によって特に有利に好まれるまたは単純化される。これに加えて、各場合において必要とされるまたは所望される通路の数は、作成における大幅な追加の努力なく、特に処理時間(例えば、追加の時間消費する機械加工動作を通じて)の増加なく、増加することが可能である。
【0088】
図7、
図8および
図9は、キャッチャ14の斜視図を示し、
図8は
図7における平面C-Cに沿った断面図を示す。ここで、
図7は、ポペットバルブ10の組み立てられた状態において封止要素16または減衰要素20に面する内流入面44を示す。流入面44とは反対のキャッチャ14の面は、
図9に示されるように、ポペットバルブ10の組み立てられた状態において外側にある流出面46である。
【0089】
キャッチャ14は、複数の通路チャネル48、特に、互いに対し同心円状に配置された5つの通路チャネル48を有する。異なる数の通路チャネル48、例えば6つ以上、特に10個までまたは11個以上の通路チャネルがキャッチャ14に提供されてもよい。
【0090】
通路チャネル48は、互いに対し配置された径方向に配置される。ウェブ部54のすべては、キャッチャ14の長手方向軸L2の長手軸方向に対し垂直にまたはある角度にて径方向に延びてよい。ポペットバルブ10の組み立てられた状態では、長手方向軸L2は、長手方向軸Lまたはバルブシート12の長手方向軸L1と一致する。ウェブ部54は、ウェブ部54ならびに中心部分56およびエッジ部分58のすべてを備える支持構造55を形成する。
【0091】
通路チャネル48は、隣接して配置された通路チャネル限定部分52によって境界を定められてよい。したがって、通路チャネル限定部分52は、長手方向軸L2の周りに周方向に延びてよい。特に、通路チャネル限定部分52は、円形形状を形成してよい。
【0092】
キャッチャ14は、回転の方向に対し角度αに(特に、径方向に)延びる複数のウェブ部54をさらに備えてよい。ウェブ部54は、それによって、中心部分56からエッジ部分58まで径方向に延びることによって、通路チャネル限定部分52と交わってよい。ウェブ部54は、通路チャネル限定部分52に対し角度αにて延び、例では90°にて示される。これは、ウェブ部54、好ましくは、中心部分56およびエッジ部分58とともに、通路チャネル限定部分52について支持構造を同様に形成することを可能にする。
【0093】
減衰要素20についての支持面60は、通路チャネル限定部分52に形成されてよい。減衰要素が提供されない場合、支持表面16は、封止要素16を支持するように形成されることが可能である。欠損要素についての窪み28は、十分に安定な支持構造がここに図示されないばね要素に提供されるように、有利には、ウェブ部54の領域に形成される。ウェブ部54は、減衰要素20または封止要素16についての表面に接触しないことが可能である。この目的のため、ウェブ部54は、長手軸方向に長手方向軸L2に沿って戻るように、通路チャネル限定部分52に対し突出することが可能である。
【0094】
通路チャネル48は、キャッチャ14の場合に流体力学的に順応することも可能である。この目的のため、通路チャネル48の境界を定める通路チャネル限定部分52の表面は、長手軸方向に長手方向軸L2に沿って変化する形状(例えば、湾曲、傾斜および/または自由な形状の表面として形成される幾何形状)を有することが可能である。同様に、対応する表面形状が、ウェブ部54に提供されることが可能である。
【0095】
特に好ましい実施形態では、通路チャネル48は、その通路チャネル48を流れる流体を長手方向軸L2の方向に方向付けてよい。この目的のため、通路チャネルの断面は、
図4または
図8に見られるように、キャッチャ14の長手方向軸L2に対し傾斜および/または湾曲していることが可能である。そうした傾斜および/または湾曲は、それぞれの通路チャネル48の長手方向部分に見られるように、そうしたフィードを長手方向軸L2の方向に生じてよい。
【0096】
好ましくは、通路チャネル限定部分52は、特に、
図9に示されるように、ウェブ部54は長手軸方向に通路チャネル限定部分52を超えて突出するため、長手方向軸L2の方向における寸法が、長手軸方向に長手方向軸L1に沿ったウェブ部54よりも短い。
【0097】
図10は、封止要素16の図を示し、減衰要素20が封止要素16の下部にあり、キャッチャ14が減衰要素20の下部に配置されている。封止要素16はばね部分17によって、減衰要素20はばね部分21によって保持される。封止要素16には回転の方向に走る貫通孔62が提供されることが見られる。バルブシート12から流出する流体は、これらの貫通孔62を通過することが可能である。この目的のため、スチーム要素20にも、封止要素の貫通孔62とほぼ位置整合される貫通孔64が提供されてよい。貫通孔62および64は、キャッチャ14の通路チャネル48ともほぼ位置整合される。
【0098】
図1~
図10は、円形の外周と通路チャネル限定部分36および52とをそれぞれ備えるポペットバルブの一実施形態に関し、通路チャネル限定部分36および52は、ポペットバルブ10の長手方向軸Lの周りとそれぞれのバルブコンポーネントの長手方向軸L1またはL2の周りとをそれぞれ円形に延びる。
【0099】
ポペットバルブ10は、長円状もしくは楕円形または矩形の外周形状も有することが考えられる。この場合、通路チャネル限定部分は、そうした外周形状に順応するか、それぞれの外周形状に対応することが可能である。したがって、長円状または楕円形の外縁形状の場合、ポペットバルブ10は、長さ寸法と長手方向軸Lに沿った長手軸方向を横切る幅寸法とを有してよく、長さ寸法はそれぞれの幅寸法よりも大きい。流体が通路チャネル18を通って流れることが可能であるエリアは、このようにして増加することが可能である。そうしたポペットバルブは、ピストンコンプレッサにおいて上死点に用いられるとき、より小さい流れ抵抗しか有しないことが可能である。
【0100】
図11および
図12は、中心部分40と、エッジ部分42と、ウェブ部38とを備える支持構造を有するバルブシート12の2つのさらなる実施形態を示す。支持構造は、通路チャネル限定部分36を支え、通路チャネル限定部分36の各々の間には通路チャネル18が存在する。
図11および
図12は、下部のパネルしか通路チャネル限定部分36を示さないが、当然ながら空白に示される残りのパネルも、そうした通路チャネル限定部分36と関連する通路チャネル18とを有する。
図12では、右上領域では、通路チャネル18を形成する通路チャネル限定部分36の配置についてさらに別の変形が例示的に示され、これによって、好ましくは、右上領域の全エリアが通路チャネル限定部分36を有することが可能である。キャッチャ14も、このように構成されることが可能である。有利には、本発明に係るバルブシート12および/またはキャッチャ14は、支持構造と複数の通路チャネル限定部分36とを備える。支持構造へのこの細分化と通路チャネル限定部分36とは、
図11および
図12に示される実施形態が複数の可能な実施形態からの例しか表さないように、通路チャネル限定部分36が、支持構造に対し複数の幾何形状に配置されることを可能にする。
【0101】
ポペットバルブ10のバルブコンポーネントのうちの1つ以上についての付加製造の使用は、製造の努力を大幅に増加させることなく流体力学に関する両方の利点を生じることが可能である。同時に、それぞれのバルブコンポーネントの十分な機械的安定度が保証されることが可能である。これに加えて、付加製造の使用は、それぞれのコンポーネントの機械加工が避けられるまたはより小さい程度に減少することが可能であるため、材料節約を可能とする。
【0102】
ポペットバルブ10のバルブコンポーネントを製造する方法であって、バルブコンポーネントはバルブシート12およびキャッチャ14のうちの1つ以上を含む、方法は、複数のウェブ部38,54を備える支持構造39,55を作成するように付加製造によって、ウェブ部38,54に対し接続された複数の通路チャネル限定部分36,52をさらに作り出すように付加製造によって、行われ、通路チャネル限定部分36,52は、バルブシート通路チャネル18および/またはキャッチャ通路チャネル48が通路チャネル限定部分36,52間に形成されるように配置される。