(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ガラスまたはセラミック材料を溶融するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/033 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
C03B5/033
(21)【出願番号】P 2021555253
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 GB2020050905
(87)【国際公開番号】W WO2020212688
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-29
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513004995
【氏名又は名称】グラスフレイク・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ワトキンソン
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第01029197(GB,A)
【文献】特開昭61-006132(JP,A)
【文献】特開平01-167237(JP,A)
【文献】特開昭57-205327(JP,A)
【文献】特開昭55-056030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 5/02-5/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムであって、
幅および長さを備える内部を有する溶融タンクと、
複数の細長い電極を備える電極アレイであって、前記電極の各々が、
前記溶融タンクの前記内部の前記幅と実質的に平行に延びる幅、
前記溶融タンクの前記内部の前記長さと実質的に平行に延びる長さ、および
前記溶融タンクの前記内部の前記幅に実質的に直角に、かつ前記溶融タンクの前記内部の前記長さに実質的に直角に延びる厚さ、を有し、
前記電極アレイの各電極が、前記溶融タンクの前記内部の前記長さに対して実質的に直角な方向に、前記溶融タンクの前記内部の前記幅を少なくとも部分的に横断してそれぞれが延び
る、電極アレイと、
を備え、
前記電極アレイ内の各前記電極の幅は、前記電極アレイ内の前記電極の前記厚さより少なくとも40%大きく、
前記電極アレイ内の各電極は、前記電極アレイ内の隣接する電極から約5mmから100mm離間されており、
前記電極アレイは、加熱動作中に、電流が、前記電極アレイ内の隣接する電極間に流れて、熱が、前記電極から前記溶融タンクの前記内部に位置する材料に放射されるように構成される、システム。
【請求項2】
前記複数の電極は、実質的に同一平面内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電極アレイ内の各電極は、前記電極アレイ内の隣接する電極から、前記溶融タンクの前記内部の前記長さに沿って約5mmから30mm離間される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電極アレイ内の各電極は、前記電極アレイ内の隣接する電極から、前記溶融タンクの前記内部の前記長さに沿って約7mmから25mm離間される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の電極のうちの各電極は、帯片電極である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
各電極の上面は丸くなっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
各電極は、前記溶融タンクのベースの近傍の位置において、前記溶融タンクの前記内部の前記幅を少なくとも部分的に横断して延びる、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電極アレイは、第1の組の電極および第2の組の電極を備え、加熱動作中に、電流は、前記第1の組の電極のうちの電極と、前記第2の組の電極のうちの電極と、の間を流れる、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の組の電極のうちの前記電極は、前記溶融タンクの第1の側面に結合され、かつ前記第2の組の電極のうちの前記電極は、前記溶融タンクの第2の側面に結合される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の側面および前記第2の側面は、前記溶融タンクの対向する側面である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の組の細長い電極の前記電極は、前記第2の組の細長い電極の前記電極と交互に配置される、請求項8から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記第1の組の電極と前記第2の組の電極との間の電位差を制御するための制御システムを備える、請求項8から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、前記第1の組の細長い電極のそれぞれと、前記第2の組の細長い電極の隣接する電極と、の間の電位差が、約10Vから40Vであるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、少なくとも2つの電極アレイを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも2つの電極アレイのそれぞれは、前記溶融タンクの前記内部の前記長さに沿って、隣接する電極アレイから離間される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも2つの電極アレイのそれぞれは、前記溶融タンクの前記内部の前記長さに沿って、隣接する電極アレイから約50mmから300mm離間される、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも2つの電極アレイのそれぞれは、
第1の組の電極、
第2の組の電極、および
制御システム、を備え、
加熱動作中に、前記第1の組の電極と前記第2の組の電極との間に電流が流れ、
前記制御システムは、各電極アレイの前記第1の組の電極と前記第2の組の電極との間
の電位差を個々に制御するように構成される
、請求項1
4に記載のシステム。
【請求項18】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項19】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための方法であって
、
請求項1に記載のシステムを提供するステップと、
前記電極アレイ内の隣接する電極間で電流を流し、それにより、前記溶融タンクの前記内部に位置する材料に前記電極から熱を放射することを含む加熱動作を実施するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、材料を溶融するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、これだけに限らないが、本発明は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス(または同様に、いくつかのセラミック材料)の従来の電気的な溶融においては、直接電気抵抗法を使用するが、その場合、通常はモリブデンである電極が、溶融ガラスの中に置かれて、電流がその間で流される。ガラスの電気抵抗率は、電気回路におけるものよりも高く、電極間でガラスを加熱させる。主として珪砂であるが、様々な鉱物からなるガラスバッチが、溶融ガラスの上に供給され、それが溶けるまで加熱されて、新しいガラスが生成される。
【0003】
この方法でガラスを溶融することは清浄であり、また例えば、ガス溶融と比べて比較的効率がよい。しかし、この方法は、熱損失に起因してまだ不十分である。すなわち、電極間で加熱されるゾーンは、比較的薄く、浅いものであり、その上のガラスを加熱するために、伝導(およびはるかに少ないが、対流に)に依存する。ガラスは、不十分な熱の伝導体であり、したがって、この方法でガラスを溶融することは、作製プロセスに必要な量のガラスを得るためには大きな表面積を備えた浅い溶融タンクを必要とする。このため、熱損失が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を軽減する、材料を溶融するための向上させたシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムを提供し、システムは、
幅および長さを備える内部を有する溶融タンクと、
溶融タンクの内部の長さに対して実質的に直角な方向に、溶融タンクの内部の幅を少なくとも部分的に横断してそれぞれが延びる複数の細長い電極を備える電極アレイと、
を備え、
電極アレイ内の各電極は、電極アレイ内の隣接する電極から約5mmから100mm離間されており、
電極アレイは、加熱動作中に、電流が、電極アレイ内の隣接する電極間で流れて、熱が、電極から溶融タンクの内部に位置する材料へと放射されるように構成される。
【0006】
適切には、複数の電極は、実質的に同一平面内にある。
【0007】
適切には、電極アレイ内の各電極は、電極アレイ内の隣接する電極から、溶融タンクの内部の長さに沿って約5mmから30mm離間される。
【0008】
適切には、電極アレイ内の各電極は、電極アレイ内の隣接する電極から、溶融タンクの内部の長さに沿って約7mmから25mm離間される。
【0009】
適切には、複数の電極のうちの各電極は、帯片電極である。
【0010】
適切には、各電極の上面は丸くなっている。
【0011】
適切には、各電極は、溶融タンクのベースのすぐ近くの位置において、溶融タンクの内部の幅を少なくとも部分的に横断して延びる。
【0012】
適切には、電極アレイは、第1の組の電極および第2の組の電極を備え、加熱動作中に、電流は、第1の組の電極のうちの電極と、第2の組の電極のうちの電極と、の間を流れる。
【0013】
適切には、第1の組の電極のうちの電極は、溶融タンクの第1の側面に結合され、また第2の組の電極のうちの電極は、溶融タンクの第2の側面に結合される。
【0014】
適切には、第1の側面および第2の側面は、溶融タンクの対向する側面である。
【0015】
適切には、第1の組の細長い電極のうちの電極は、第2の組の細長い電極のうちの電極と交互に配置される。
【0016】
適切には、システムは、第1の組の電極と第2の組の電極の間の電位差を制御するための制御システムを備える。
【0017】
適切には、制御システムは、第1の組の細長い電極のそれぞれと、第2の組の細長い電極の隣接する電極との間の電位差が、約10Vから40Vであるように構成される。
【0018】
適切には、システムは、少なくとも2つの電極アレイを備える。
【0019】
適切には、少なくとも2つの電極アレイのそれぞれは、溶融タンクの内部の長さに沿って、隣接する電極アレイから離間される。
【0020】
適切には、少なくとも2つの電極アレイのそれぞれは、溶融タンクの内部の長さに沿って、隣接する電極アレイから約50mmから300mm離間される。
【0021】
適切には、制御システムは、各電極アレイの第1の組の電極と第2の組の電極との間の電位差を個々に制御するように構成される。
【0022】
したがって、本発明の第2の態様は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムを提供し、システムは、
幅および長さを備える内部を有する溶融タンクと、
溶融タンクの内部の長さに対して実質的に直角な方向に、溶融タンクの内部の幅を少なくとも部分的に横断してそれぞれが延びる複数の細長い電極を備える電極アレイと、
を備え、
電極アレイ内の電極の密度は、溶融タンクの内部の長さに沿って、200mm当たり、約2から20個の電極であり、
電極アレイは、加熱動作中に、電流が、電極アレイ内の隣接する電極間で流れて、熱が、電極から溶融タンクの内部に位置する材料に放射されるように構成される。
【0023】
したがって、本発明の第3の態様は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムを提供し、システムは、
幅および長さを備える内部を有する溶融タンクと、
溶融タンクの内部の長さに対して実質的に直角な方向に、溶融タンクの内部の幅を少なくとも部分的に横断してそれぞれが延びる複数の細長い帯片または平坦なバー電極を備える電極アレイと、
を備え、
電極アレイは、加熱動作中に、電流が、電極アレイ内の隣接する電極間で流れて、熱が、電極から溶融タンクの内部に位置する材料に放射されるように構成される。
【0024】
適切には、各電極の上面は丸くなっている。
【0025】
適切には、第2および第3の態様のシステムは、本発明の第1の態様に対応する特徴を有する。
【0026】
したがって、本発明の第4の態様は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための第1および第2の態様のシステムの使用を提供する。
【0027】
したがって、本発明の第5の態様は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための方法を提供し、方法は、
幅および長さを備える内部を有する溶融タンク、および
溶融タンクの内部の長さに対して実質的に直角な方向に、溶融タンクの内部の幅を少なくとも部分的に横断してそれぞれが延びる複数の細長い電極を備える電極アレイ、
を備え、
電極アレイ内の各電極は、電極アレイ内で隣接する電極から、約5mmから100mm離間される、
システムを提供するステップと、
電極アレイ内の隣接する電極間で電流を流し、それにより、溶融タンクの内部に位置する材料に電極から熱を放射することを含む加熱動作を実施するステップと、
を含む。
【0028】
適切には、第5の態様におけるシステムは、第1、第2、または第3の態様のものである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するための向上させたシステムが提供される利点を提供する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、本システムが、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、直接電気抵抗を利用する知られたシステムよりも効率的に、材料を溶融できる利点を提供する。特にシステムは、知られたシステムと比べて熱損失を低減させている。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態は、本システムが、直接電気抵抗を利用する知られたシステムと比較して、熱の伝導および/または対流への依存性が低いという利点を提供する。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態は、システムが、知られたシステムと比較して、小型の溶融タンクを利用して、連続する作製プロセスに必要な溶融ガラスまたはセラミックの量を達成できるという利点を提供する。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための向上させた方法が提供される利点を提供する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、本方法が、知られた方法よりもエネルギー効率がよいという利点を提供する。
【0035】
疑義を避けるために、本明細書で述べられる特徴のいずれも、本発明のどの態様にも等しく適用される。本出願の範囲内では、前の段落において、特許請求の範囲において、かつ/または以下の記述および図面において記載された様々な態様、実施形態、例、および代替形態、ならびに特にそれらの個々の特徴は、独立して、または任意の組合せで使用できることが明確に想定される。本発明の1つの態様または実施形態に関連して述べられた特徴は、このような特徴が非互換性のものではない限り、すべての態様または実施形態に適用可能である。
【0036】
本発明の諸実施形態が、例としてに過ぎないが、添付図面を参照して次に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】溶融タンクを含むシステムの切断平面図である。
【
図3a】
図1のシステムで使用される電極の例の横断面図である。
【
図3b】
図1のシステムで使用される電極の例の横断面図である。
【
図3c】
図1のシステムで使用される電極の例の横断面図である。
【
図4】溶融タンクを含む別のシステムの切断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1および
図2を次に参照すると、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムが示されている。システムは、溶融タンク200を含む。溶融タンク200は、任意の知られた溶融タンクとすることができる。例えば、溶融タンク200は、当業者には知られているシリモナイト(silimonite)断熱ブロックで裏打ちされたジルコン断熱レンガの構造を含むことができる。
【0039】
溶融タンクは、内部202を有する。内部202は、溶融される材料を受け入れるように構成される。例えば、内部202は、ガラス「バッチ」(ガラスの構成要素の混合体)またはガラスのペレットを受け入れることができる。溶融される材料は、任意の適切な方法で、溶融タンク200の内部202に受け入れることができる。例えば、材料は、ホッパーまたは同様のものから、溶融タンク200の内部202に溶融タンクの上から供給することができる。材料は、溶融タンク200の作製用途に応じて、連続的に、または1つ以上の別々の量で供給され得る。
【0040】
内部202は、幅Wおよび長さLを有する。この例では、溶融タンク200は、長方形の輪郭をしており、したがって、幅および長さは直角をなしている。溶融タンク200は、タンクの内部202の長さLを画定する2つの長い側面206と、タンクの内部202の幅Wを画定する2つの短い側面208と、を有する(タンクの幅は、タンクの長さよりも短い)。出口210は、通常、タンクの幅を画定する側面208に位置する。他の例では、出口は、どこか他に位置することができる(例えば、タンクの長さを画定する側面206など)。
【0041】
内部202は、ベース204(すなわち、内側ベース)を有する。図には示されていないが、ベース204は、出口210に向けて溶融された生成物が流れるのを支援するために、出口210に向けて下方に傾斜している(すなわち、ベースは、タンクの長さに沿って傾斜している)。しかし、他の例では、ベース204は、水平に(すなわち、傾斜することなく)延びることができる。内部202は、タンクの側面206、208によって囲まれる。
【0042】
システムは、電極アレイ1001を含む。電極アレイ1001は、溶融タンク200の内部の長さLに実質的に直角な方向に、溶融タンクの内部の幅Wを少なくとも部分的に横断してそれぞれが延びる複数の細長い電極102を含む。この例では、電極アレイ1001は4つの電極102を含むが、他の例は、例えば、3、5、6、またはそれを超える電極など、それより多くの、または少ない電極を含むことができる。
【0043】
電極102は、例えば、モリブデン、白金、イリジウム、または比較的高い融点の金属を含む別の金属など、任意の適切な材料から作ることができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「細長い(延びた)電極」という用語に含まれる「細長い(延びた)」という用語は、電極の寸法(例えば、電極の長さ)が、電極の別の寸法(例えば、電極の幅または厚さ)に対して延ばされていることを示す。述べられた例では、細長い(延びた)寸法は、溶融タンクの内部の幅を横断して延びる細長い電極の長さである。
【0045】
本明細書で使用される場合、溶融タンク200の内部の長さLに対して、電極の延長部に関する「実質的に直角をなす」という用語は、概して、溶融タンク200の内部の長さLに直角な方向に、溶融タンクの内部の幅を横断する電極102の延長部を指す。すなわち、電極は、溶融タンクの側壁206に対して直角である。しかし、直角になることからのわずかな、もしくはささいな逸脱は、この用語によって包含されることを理解されたい。
【0046】
この例では、電極アレイ1001の電極102は、平行であり、実質的に同一平面内にある。言い換えると、電極アレイ1001内の各電極102の延びた(または長手方向の)軸は、共通平面内に位置し、かつ隣接する電極の長手方向軸に平行である。この例では、電極102は、溶融タンクの内部の長さに沿って配置される。すなわち、電極アレイ1001内の電極102の共通平面は、実質的に水平であり、かつ/または溶融タンク200のベース204に対して平行である。
【0047】
この例では、電極は真っ直ぐである。言い換えると、電極は、直線的な経路に沿って、溶融タンク200の内部の幅を少なくとも部分的に横断して延びる。
【0048】
この例では、電極アレイ1001は、第1の組の電極1041-2および第2の組の電極1061-2を含む。この例では、第1の組の電極1041-2の電極は、第2の組の電極1061-2の電極と交互に配置される。言い換えると、溶融タンク200の内部202の長さに沿って、電極アレイ1001内の電極102は、第1の組の電極1041-2の電極と第2の組の電極1061-2の電極との間で交互に配置される。示された例では、第1の組の電極のうちの電極は、溶融タンクの第1の側面に結合され(すなわち、そこから延びる)、第2の組の電極のうちの電極は、溶融タンクの反対側の第2の側面に結合される。
【0049】
図2で示されるように、この例では、電極アレイ100
1の各電極102は、溶融タンクのベース204のすぐ近くの(すなわち、その近くもしくは隣接する)位置において、溶融タンク200の内部202の幅を少なくとも部分的に横断して延びる。例えば、電極102は、タンクのベースから、実質的に10mmから100mmに位置することができる。溶融ガラスは、排出口が、タンク200内で電極アレイよりも低い状態で、電極アレイを通って流れ落ちるように意図される。タンク200のベース204において過熱しないようにするために、概して、電極102の場所に関して最適な位置が存在する。例えば、最適な位置は、タンク200のベース204から50mmから70mm、より適切には、タンクのベースから約60mmとすることができる。
【0050】
電極アレイ1001は、加熱動作中に、電流が、電極アレイ1001内の隣接する電極102の間を流れるように構成される。この例では、第1の組の電極と第2の組の電極との間に電位差が加えられると、隣接する電極102の間で電流が流れるようになる。本明細書で使用される場合、「隣接する電極」とは、電極アレイ1001内で直接隣接するもの(言い換えると、アレイ内で隣にある、またはすぐ近くにある電極)のことである。
【0051】
電極アレイ1001内の隣接する電極102間の電流の流れは、直接電気抵抗加熱により溶融タンク200の内部202内の材料(例えば、溶融ガラス)を加熱することになる。電極アレイ1001内の隣接する電極102間で電流が流れると、熱がまた、電極102から溶融タンク200の内部に位置する材料に放射される。すなわち、隣接する電極102間で電流が流れると、電極が加熱され、赤外線(IR)放射の形で熱を放出する。言い換えると、加熱動作は、電極アレイ内で隣接する電極間で電流を流し、それにより、電極からの熱を溶融タンクの内部に位置する材料に放射することを含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、近赤外線放射を含む赤外線は、実質的に700nmから1mmの波長を有し、かつ実質的に300GHzから430THzの周波数を有する電磁放射線として定義される。特に近IRは、概して、700nmから2500nmの波長、またはより適切には、780nmから2500nmの波長を有すると考えられる。本明細書では、「赤外線」は、赤外線と近赤外線周波数との両方を指すものとする。
【0053】
電極アレイ1001内の各電極102は、電極アレイ内の隣接する電極から、約5mmから100mm離間される。電極アレイ1001内の隣接する電極の間の間隔は、溶融タンクの内部の長さに沿っている(言い換えると、電極は、実質的に水平に間隔が空けられる)。適切には、電極アレイ1001内の各電極102は、電極アレイ内の隣接する電極から、約5mmから30mm離間される。本明細書で使用される場合、隣接する電極間で「離間される」ことは、隣接する電極の間における分離または間隙を指す。
【0054】
言い換えると、電極アレイ1001内の電極102の密度は、溶融タンク200の内部202の長さに沿って、200mm当たり約2から20個の電極である(または言い換えると、20mm当たり2電極から200mm当たり2電極)である。
【0055】
本明細書で使用される場合、電極アレイ内の電極の密度は、電極アレイ内の端部電極の延びた/長手方向の軸(すなわち、中心点)の間で計算される。例えば、この例では、電極アレイ1001は、隣接する電極の間で15mmの間隔を有した状態で、幅20mmの4電極を有する。アレイ内の端部電極102の延びた軸の間の距離は、105mmである。電極の密度は、したがって、105mm当たり4電極(または200mm当たり7.6電極)である。
【0056】
別の例では、電極アレイ1001は、隣接する電極の間で5mmの間隔を有した状態で、幅10mmの4電極を有することができる。この場合、アレイ内の端部電極の延びた軸の間の距離は45mmであり、したがって、電極の密度は、45mm当たり4電極(または近似的に、200mm当たり18電極)である。
【0057】
別の例では、電極アレイ1001は、隣接する電極の間で100mmの間隔を有した状態で、幅30mmの4電極を有することができる。この場合、アレイ内の端部電極の延びた軸の間の距離は390mmであり、したがって、電極の密度は、390mm当たり4電極(または、195mm当たり2電極)である。
【0058】
電極アレイ1001における電極102の間の接近した間隔(すなわち、電極アレイ1001内の電極の高密度)は、電極から放射される熱の量を増加させる。すなわち、小さい領域内で電極の数が増加することは、広い電極表面積を提供し、増加したIR出力が得られる。このように、IRを生成する手段として直接電気抵抗も使用されるが、溶融タンク内の材料を加熱するための主な機構は、知られたシステムと同様の直接電気抵抗ではなく、放射によるものである。
【0059】
主な加熱機構として赤外線を使用することは、直接電気抵抗システムに対して、利点を提供する。赤外線は、溶融タンク内の材料(例えば、タンク内部のベース近くにある溶融ガラス)を容易に通過し、溶融すべきまだ溶融されていない材料(例えば、ガラスバッチまたはガラスペレット)に対して直接影響を与えることができる。タンク内における材料の加熱は、したがって、材料それ自体を通る熱の伝導/対流に対する依存度が少ない。したがって、小さい表面積を備えるタンクを使用することができ、熱損失が低減される。言い換えると、主な加熱機構として赤外線を使用することは、さらなる従来の直接電気抵抗法で使用されるものの何分の1かの寸法の溶融タンク内で、製品を迅速に溶融させることができる。加えて、共に接近させた間隔の電極を提供することは、知られたシステムと比較して、低い電圧を使用できるようにし、それは、所与の加熱効果に対するシステムの電力消費を低減するのを助ける。
【0060】
上記で指定された範囲に満たない間隔を設けることは、システムの可制御性が困難になり、太い水冷変圧器ワイヤが必要になる程度まで、必要電圧を低下させることになり得る。上記で指定された範囲を超える間隔を設けることは、補償するために低電圧を増加させることが必要となる程度にまで電極間の伝導性が低減することになり、事実上、より従来的な直接電気抵抗溶融を復帰させることになり得る。約7mmから25mm、より適切には、15mmの間隔が、上記で概略的に述べた理由で特に有利であることが見出されてきた。
【0061】
加熱する主な機構が、製品それ自体を電流が通過することによる、前に知られた直接電気抵抗システムを用いると、溶融タンク内の製品の加熱は、電極がさらに離間された(例えば、約500mmから約1m離れた)とき、さらに有効であることに留意されたい。さらに電極は、概して大きく(例えば、直径が約60mmなど)、かつ高価であり、したがって、可能な限り少ない電極が使用される。
【0062】
この例では、複数の電極102の各電極は、帯片電極(または言い換えるとバー電極、または平坦なバー電極)である。本明細書で使用される場合、「帯片電極」という用語に含まれる「帯片」という用語は、電極が帯片の厚さにより分離された2つの表面を有する幾何形状を指す。各表面は、帯片の厚さと比較して比較的大きい寸法を有する(例えば、表面は、電極の延ばされた長さに対応する長さと、幅とを有する)。例えば、各電極102の幅は、帯片の厚さよりも少なくとも40%大きくすることができる。
【0063】
本明細書で述べられる帯片に関して、「表面」は、そこから熱を放射するように構成された加熱面である。この例では、電極102は、加熱面が、上側および下側の加熱面であるように構成される。言い換えると、電極は、加熱面の一方が、タンク内で上方を向くように方向付けられる(言い換えると、電極の厚さは、溶融タンクのベースに対して実質的に直角をなすように配置され、また電極の幅は、タンク内部のベースに対して、実質的に水平に、かつ/または平行に配置される)。このように、上面から放射される熱は、上方の溶融されていない製品に向けられる。
【0064】
電極として細長い帯片を使用することは、電極の断面積に対して大きな外側の表面積を提供する。電流が中を通過したとき電極から放射される熱(ジュール熱による)の量は、概して、電極の抵抗に比例する。電極の抵抗は、その横断面積(所与の電極長さに対する)に反比例する。所与の電極表面積に対して、帯片は、他の形状(例えば、円形横断面積のロッド電極などであり、それはその強度に起因して、典型的な直接電気抵抗システムで使用される)よりもより低い横断面積を有し、したがって、高い抵抗を有する。このように、細長い帯片電極は、電極が効率よく熱を放射できるようにする(すなわち、所与の電位差において、低い電流で同じ熱出力が得られる)。
【0065】
帯片電極102は、例えば、実質的に長方形、実質的に半円形、それらの組合せ、または同様のものなど、任意の適切な横断面を有することができる。
図3aは、例示的な電極102の延びた軸を横断する横断面を示す。この例では、電極の横断面は、実質的に長方形である。他の例では、各電極102の上面は丸くなっている。すなわち、上面は、平坦ではない(直線ではない)。言い換えると、上面は、電極の側部の間で非直線的な経路を横切っている。
図3bおよび
図3cは、例示的な電極102の延びた軸を横断する横断面を示しており、電極の上面は丸くなっている。
【0066】
上面を丸くすることは、上面の表面積を増加させる。溶融されていないバッチまたはペレットに対する上方の赤外線放出/出力に利用可能な表面積は、したがって増加する。上面は、任意の適切な量だけ丸くすることができる。例えば、上面は、電極の両側の間で直線的な経路からわずかに逸脱した経路を横切ることができる(
図3bおよび
図3cの例で示されるように)。すなわち、丸くなった上面は、半円形になる程度まで(その場合、半円形の上面の直径は、電極の幅に相当する)湾曲されない。例えば、丸くなった表面は、約40mmから60mm、適切には、50mmの曲率半径を有することができる。このように、電極は、電極の横断面積を大幅に増加させることなく(したがって、電極の効率を低下させることなく)、赤外線放出を増加させるために、上側の表面積を増加させることにより利益が得られる。
【0067】
例えば、丸くした上面を用いると、底面は、丸くすることなく(すなわち、概して平坦または直線的にする)、したがって、すでに溶融された生成物への下方の赤外線出力は、その上の未溶融のバッチまたはペレットに送られるものよりも低くなる。
【0068】
電極の幅は、約10mmから30mm、適切には、約20mmの電極幅とすることができる。電極の厚さは、約5mmから20mmとすることができ、適切には、電極の厚さは、約12mmである。
【0069】
この例では、電極アレイ1001内の電極102は、溶融タンク200の内部202の幅を部分的に横断して延びるだけである。細長い電極の第1および第2の組の電極のそれぞれの端部は、溶融タンクの壁から約5mmから30mmの距離だけ離間される。各電極端部と、電極がそれに向けて延びる溶融タンクの壁と、の間に間隙を設けることは、システムの起動および停止中に電極により側壁を引く/押すことのないようにする。こうすることは、システムが、規則的に停止し、かつ開始される状況において特に重要である。
【0070】
他の例では、電極102は、溶融タンクの内部の幅全体を横断して延びることができる。例えば、電極の第1および第2の組は、上記で述べたように、溶融タンクの両側から延びることができるが、溶融タンク内部の両側まで完全に延びることができる。各電極の端部は、溶融タンク内部の対応する壁により支持することができる。例えば、各電極の端部は、例えば、溝、孔、棚状の突起、または取り付けられたブラケットなど、溶融タンク内部の対応する壁内に受け入れることができる。各電極の端部を支持することにより、電極は、撓む傾向がなくなり、したがって高温における変形が低減され、寿命が延びるようになる。
【0071】
この例では、システムは、上記で述べたタイプの少なくとも2つの電極アレイを含む。特にシステムは、3つの電極アレイ1001、1002、および1003を含む。システムは、いくつかの因子(例えば、タンク内部の寸法、および/または必要な熱出力であり、それ自体、例えば、溶融される材料、溶融される製品の必要な出力などに依存し得る)に従って、任意の数の電極アレイを有することができることを理解されたい。
【0072】
示された例では、電極アレイ100
1-3は同一平面内にある。すなわち、各電極アレイ100
1-3の平面は一致している。しかし、
図4で示されるものなど、代替的な実施形態では、電極アレイ100
1-3は、他の方法で配置することができる。例えば、電極アレイの少なくとも1つは、他の電極アレイからオフセットされた平面に位置することができる(例えば、1つは平行であるが、他の2つから垂直にオフセットされた3つの電極アレイが存在し得る)。隣接する電極アレイを垂直にオフセットすることにより、電極アレイ間の横方向間隔を、隣接するアレイ間で干渉することなく、減少させることができる。
【0073】
この例では、電極アレイ1001-3のそれぞれは、隣接する電極アレイから離間される。特に、電極アレイ1001-3は、溶融タンクの内部の長さに沿って離間される。電極アレイ1001-3の間隔を空けることは、電極アレイをより容易に個々に制御できるようにする(以下で述べられる)。言い換えると、電極アレイを分離することは、隣接するアレイの電極間で干渉電流が流れることを阻止し、したがって、より容易に電極アレイを個々に制御できるようにする。加えて、電極アレイを分離することは、加熱動作中に、溶融タンクの内部の「ホットスポット」を阻止するのを助ける。本明細書で述べられる「ホットスポット」とは、ガラスが周囲の材料よりも大幅に熱くなる領域のことである。これは、この領域における伝導性を増加させて、周囲の領域と比較して、そこを通る高い電流の流れを生ずる。より高い電流の流れは、ガラスをさらに加熱して、局所的な温度上昇が、自己伝播するようになり得る。
【0074】
電極アレイは、隣接する電極アレイから、約50mmから300mm、適切には、約60mmから150mm、より適切には、75mmの間隔を空けることができる。
【0075】
前に参照したように、上記で述べた構成は、知られたシステムと比べて低減された表面を有するタンクを使用して、連続的な作製プロセス内で、溶融された生成物を提供できるようにする。例えば、溶融タンクの内部は、400mmから600mmの幅を有することができる。溶融タンクの内部は、700mmまたはそれ以上の長さを有することができる。すなわち、前に述べた概念は、溶融タンクの長さを任意の必要な値に増加することにより、拡張することができる。
【0076】
この例では、システムは、各電極アレイ1001-3内の電流の流れを制御するための制御システムを含む。この例では、制御システムは、第1の組の電極と第2の組の電極との間の電位差を制御して、電流の流れに影響を与える。
【0077】
電極アレイ1001-3は、任意の適切な方法で制御システムに結合することができる。例えば、ケーブルが、第1および第2の組の電極アレイのそれぞれを(またはその中の各電極を)制御システムに接続することができる。対応する組または電極に、ケーブルをボルトで留めることができる。ケーブルは、水冷とすることができる。
【0078】
この例では、各電極アレイ1001-3の第1の組および第2の組の電極は、別々に制御される回路内に電気的に接続される。すなわち、各電極アレイ1001-3は、回路に接続される第1の組の電極1041-2および第2の組の電極1061-2を含む。示された例では、各組の電極は、対応するバスバー220、230に電気的に結合される。この例では、共通のバスバー220が、各電極アレイ1001-3の第1の組の電極の第1のバスバーとして使用される。しかし、各電極アレイ1001-3の第2の組の第2のバスバーとして、別個のバスバー230が使用され、各電極アレイ1001-3が、別の回路上に存在し、したがって、確実に個々に制御され得るようにする。各回路は、制御システムにより決定された必要レベルに、電源(または各アレイに対して別々の電源)から供給された電圧を変換するように構成された変圧器を含む。電源は、例えば、415V電源とすることができる。
【0079】
制御システムは、ユーザが、制御システムに対して、動作させる前に/動作中に命令を送ることのできるユーザインターフェースを含むことができる。他の実施形態では(または加えて)、制御システムは、事前にプログラムされた命令に従って動作することができる。
【0080】
例えば、システムは、最初に手動で制御することができる。手動制御は、モニタされるパラメータが比較的一定になるまで続けることができ、その時点で、制御システムの制御は、コンピュータに渡され、コンピュータは、事前にプログラムされた命令に従って動作する。
【0081】
いくつかの例では、電極アレイは、独立して制御される。すなわち、各電極アレイの第1の組と第2の組との間の電流の流れは独立して制御され、変更され得る(言い換えると、制御システムは、各電極アレイの第1の組の電極と第2の組の電極の間の電位差を個々に制御することができる)。独立した制御は、各電極アレイを個々に動作させることのできる単一の制御システムにより、または各電極アレイに対する独立した制御システムにより達成することができる。電極アレイの独立した制御は、タンク内の様々な位置において熱出力(すなわち、放出される赤外線放射)を変えることを可能にする。例えば、各電極アレイを通る電流の流れ、したがって、各電極アレイからの熱出力は、溶融タンクの出口からのその相対的な距離に対応することができる。例えば、出口から遠い電極アレイは、必要に応じて、出口に近いものに対して、より高い熱出力を有することができる。こうすることは、溶融タンク内の溶融生成物の温度勾配に対して大きく制御できるようにする。
【0082】
上記で述べた溶融タンクおよび電極アレイ構成の場合、個々に制御される電極アレイの両端の間に加えられる電位差は、実質的に10Vから40Vである。この範囲内の電位差は、一般に、溶融タンクの内部の材料を通り、電極アレイ内の隣接する電極間の小さな間隙を横断して電流を駆動するのに十分である。上記で述べられたタンク(3つの電極アレイを備える)に対して生ずる電力消費は、1から4kg/分の溶融ガラスの連続流れを生成するのに、通常40kWから100kWである。
【0083】
直接電気抵抗を用いて動作する知られたシステムと同様に、システムの起動中は、電極が、溶融された生成物に少なくとも部分的に浸漬されることが必要になり得る。例えば、システムがガラス材料を作製するために使用されるとき、溶融ガラスの層が提供されることが必要になり得る(いくつかの例では、ホウ砂を含む)、それは、電極が加熱動作を開始できるようにすることを含む(すなわち、ガラスが溶融されたときの向上した導電性に起因して、隣接する電極間で電流が流れるようにする)。電極を浸漬させるのに十分な溶融ガラスは、ガス加熱器を用いて提供することができる。
【0084】
上記で述べられた詳細な構成に対して様々な変更を行うことが可能である。例えば、述べられた例は、溶融ガラスを作製するために材料を溶融することだけを指しているが、上記の装置はまた、セラミック材料の作製における材料の溶融にも使用できることを理解されたい。
【0085】
各アレイ内の電極は、任意の適切な方法で構成することができる。例えば、異なる寸法および/または異なる横断面の電極、および/または異なる間隔を、単一の電極アレイ内で使用することができる。少なくとも1つのアレイ内の第1および第2の組の電極はすべて、溶融タンクの内部の同じ側面から延びることができる。
【0086】
各電極アレイは、任意の適切な方法で構成することができる。例えば、電極の構成(例えば、寸法および/または横断面、および/または間隔)、および/または隣接する電極アレイにおける電極の数は、タンクの特定の領域における必要な熱出力に従って異なることができる。
【0087】
示された例では、システムは、溶融タンクの出口210のすぐ近くに単一の任意選択の電極300を含む。この電極は、起動中に、溶融タンクの全長にわたる加熱を提供し、さらに、動作中に(必要な場合)細かい温度制御を可能にする。電極300は、加熱動作中に、電極300と、最も近い電極アレイ(1003)の電極もしくは出口210それ自体と、の間に電流が流れるように構成することができる。他の例では、この電極300は、存在しないこともあり、それに代えて、電極アレイ1003が、出口210のすぐ近くの位置へと延びることができる。
【0088】
いくつかの例では、溶融タンクは、電極1001,2,3(および任意選択で電極300)と出口210の間に位置するさらなるチャンバを含むことができる。このような例では、さらなるチャンバは、さらなるチャンバから溶融タンクの主容積を分離する堰(weir)により画定される。堰は、半溶融状態のガラス(例えば、溶融されていない、または部分的に溶融された小片)が、タンクの底部に沿って出口210の外へと移動して通過しないようにする。さらなる電極を、堰の上端に向けて配置することができ、その上を通過するガラスをさらに加熱して、形成されるどんな気泡も放出させるようにし、出口に向けて流れるとき、確実に溶融状態に留まるようにする。例えば、1対の電極(電極300を含むことができる)を、堰の上端のいずれかの側に配置することができる。
【0089】
当業者であれば、前述の特徴および/または添付図面で示されたものの任意の数の組合せが、従来技術に対して明確な利点を提供し、したがって、本明細書で述べられる本発明の範囲に含まれることが理解されよう。
【0090】
概略的な図面は、必ずしも縮尺を合わせておらず、限定するためではなく、例示するために提示されている。図面は、本開示で述べられる1つ以上の態様を示す。しかし、図面に示されていない他の態様も、本開示の範囲に含まれることが理解されよう。
【符号の説明】
【0091】
1001-3 電極アレイ
102 電極
1041-2 第1の組の電極
1061-2 第2の組の電極
200 溶融タンク
202 内部
204 ベース
206 側面
208 側面
210 出口
220 バスバー
230 バスバー
300 電極
L 長さ
W 幅