(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】直流電気回路遮断スイッチアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01H 39/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H01H39/00 C
(21)【出願番号】P 2021562888
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 SI2020000004
(87)【国際公開番号】W WO2020218977
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-30
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SI
(73)【特許権者】
【識別番号】521460424
【氏名又は名称】イーティーアイ エレクトロエレメント、ディー.オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】コプリフセク、ミティア
(72)【発明者】
【氏名】レバール、ブラーネ
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/027374(WO,A1)
【文献】特表2018-535629(JP,A)
【文献】特開2012-136180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/58 - 37/74
H01H 39/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電気回
路を遮断するスイッチアセンブリ(1)であって、組み込むのに適している第一導電体(11)および第二導電体(12)を介して直流電圧電源(2)と少なくとも1つの電気負荷(3)との間に電気接続を確立することによるものであり、その結果、前記スイッチアセンブリ(1)の前記
第一導電体(11)および第二導電体(12)によって、前記
直流電圧電源(2)の第一端子(21)は、各電気負荷(3)の第一端子(31)と電気接続でき、前記
直流電圧電源(2)の第二端子(22)は、各電気負荷(3)の第二端子(32)と電気接続でき、前記スイッチアセンブリ(1)の前記第一導電体(11)は、2つの分岐線
である第1の分岐線(111)と第2の分岐線(112)を有し、両分岐線は互いに並列接続され、前記第1の分岐線(111)は、溶融部材(41)を有する電気ヒューズ(4)を含み、前記第2の分岐線(112)はパイロスイッチ(5)を含み、前記パイロスイッチは、前記パイロスイッチ(5)を通って延在する前記第一導電体(11)の前記
第2の分岐線(112)を遮断できるとともに、アクチュエータ(52)も遮断でき、前記アクチュエータは、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発して前記第一導電体(11)の前記第2の分岐線(112)を遮断することで前記パイロスイッチアセンブリ(5)を作動させることができ、
前記パイロスイッ
チ(5)は、少なくとも2つのパイロスイッチ(5’、5”)を含み、前記パイロスイッチは、互いに並列接続され、各パイロスイッチ自体がそれぞれ対応する導電性分岐線(112’、112”)に組み込まれ、共に前記第一導電体(11)の前記第2の分岐線(112)を形成し、前記パイロスイッチはすなわち、第1のすなわち実質的に先行のパイロスイッチ(5’)、および第2のすなわち実質的に後続のパイロスイッチ(5”)であり、各々の前記パイロスイッチ(5’、5”)は、遮断部材(51’、51”)を有し、前記遮断部材によって各々のパイロスイッチ(5’、5”)の各分岐線(112’、112”)は、通常動作で接続されているか、それぞれの所定条件が満たされたときにそれぞれの対応する遮断部材(51’、51”)を別の位置に移動させることによって遮断されるかのいずれかであり、
前記アクチュエータ(52)は、前記パイロスイッチアセンブリ(5)のパイロスイッチ(5’、5”)の遮断部材(51’、51”)が少なくとも2つある配列を介して前記スイッチアセンブリ(1)の前記第二導
電体(12)と電気接続でき、前記アクチュエータ(52)は、
-前記第一導
電体(11)の前記分岐線(111、112)と直列の前記
直流電圧電源(2)および前記電気負荷(3)と接続した状態となるように、前
記分岐線(111、112)に加えて前記第一導電体(11)に組み込まれる電気回路(523)であって、前記電気回路(523)は、前記スイッチアセンブリ(1)の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電気過負荷が発生した場合に限って非遮断状態に設定される、接触部材(524’)を含む少なくとも1つの不可逆的な熱電気ヒューズ(524)と、前記スイッチアセンブリ(1)の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち前記スイッチアセンブリ(1)内の電流の所定値を越えた場合に限って非遮断状態に設定される、遮断部材(525’)を含む少なくとも1つの電磁リードスイッチ(525)とで構成され、前記アクチュエータ(52)の前記
熱電気ヒューズ(524)および前記アクチュエータ(52)の前記電磁
リードスイッチ(525)は、互いに並列接続され、前記アクチュエータ(52)が
熱電気ヒューズ(524)を2つ以上含んでいる場合、前記
熱電気ヒューズ(524)は互いに並列接続され、前記アクチュエータ(52)が電磁
リードスイッチ(525)を2つ以上含んでいる場合、すべての利用可能なスイッチ(525)も互いに並列接続される、電気回路(523)と、
-前記パイロスイッチアセンブリ(5)の各々の前記使用可能なパイロスイッチ(5’、5”)内にある電気開通部材(521’、521”)であって、前記開通部材(521’、521”)は、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発性の化学反応を開始するのに適している、電気開通部材(521’、521”)と;
-前記パイロスイッチアセンブリ(5)の各々の前記使用可能なパイロスイッチ(5’、5”)で利用可能であり、反応物の前記化学反応過程で、前記開通部材(521)の作動後に、前記遮断部材(51)に向かう方向に移動可能で、前記第一導
電体(11)と接触していて前記第二導
電体(12)から離れている第1の位置から、前記第二導
電体(12)と間接的または直接接触している他方の位置に前記遮断部材(51)を確実に移動させる、作動部材(522’)と;
を含む構成において、
前の各パイロスイッチ(5’)の前記遮断部材(51’)は(前記パイロスイッチの前記開通部材(521’)は前記アクチュエータ(52)の前記回路(523)と電気接続されている)、前記作動部材(522’)によって、所定条件が満たされたときに非遮断位置から、前記パイロスイッチ(5’)を通る前記対応する分岐線(112’)が遮断される別の位置へ移動可能であり、前記遮断部材(51’)は、移動後に後続の各パイロスイッチ部材(52’)の前記開通部材(521”)と導電接触し、一方、前記最後のパイロスイッチ部材(5”)では、前記遮断部材(51”)は、前記最後のパイロスイッチ(5”)を通る前記対応する分岐線(112”)が遮断される別の位置に移動可能で、前記位置では前記遮断部材は、前記第二導
電体(12)と直接導電接触するように配置される
ことを特徴とするスイッチアセンブリ。
【請求項2】
少なくとも1つの追加の導体(526)は、前記電気回路(523)に接続され、前記追加の導体によって前記回路(523)は、少なくとも1つの外部センサ(526’)と接続され、その結果、深刻な状況では、例えば車両の衝突状況では、前記アクチュエータ(52)には、前記追加の導体(526)を介して信号を提供することが可能で、前記信号は、各遮断部材(51’51”)の移動を開始するために必要で、特定回路内の電流を監視するのに適している前記外部センサ(526’)から受信されるか、少なくとも1つの別の物理的特徴を監視するのに適していて、前記スイッチアセンブリ(1)が組み込まれている装置がある領域の所望の各場所で利用可能なその他の任意のセンサから受信される
請求項1に記載のスイッチアセンブリ。
【請求項3】
前記遮断部材(51’、51”)の少なくとも一方は、機械的に遮断可能で、前記第一導電体(11)の前記第2の分岐線(112)の前記パイロスイッチ(5’、5”)を通過する分岐線(112’、112”)の該当する方の初期位置から別の位置に移動できる区画がある
請求項1または2に記載のスイッチアセンブリ。
【請求項4】
各パイロスイッチアセンブリ(5)の前記最後のパイロスイッチ(5”)の前記遮断部材(51”)は、前記スイッチアセンブリ(1)の前記第一導電体(11)の前記前記第2の分岐線(112)の全分岐線(112’、112”)を通る前記電気回路が遮断される第2の位置、つまり遮断位置で、前記スイッチアセンブリ(1)の前記第二導体(12)と導電接触し、間接的にいずれかの電気負荷(3)とも前記直流電圧電源(2)の前記第二端子(22)とも電気接触する
請求項1ないし3のいずれかに記載のスイッチアセンブリ。
【請求項5】
各々の電気開通部材(521’)は、一方では、前記アクチュエータ(52)の前記回路(523)に接続され、他方では、前記パイロスイッチアセンブリ(5)内の後続の各パイロスイッチ(5’、5”)の前記開通部材(521”)に接続され、前記パイロスイッチアセンブリ(5)内の前記最後のパイロスイッチ(5’、5”)の前記開通部材(521”)は、前記スイッチアセンブリ(1)が組み込まれている前記電気回路の前記第二導体(112)と電気接続される
請求項1ないし4のいずれかに記載のスイッチアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電気回路遮断スイッチアセンブリに関し、国際特許分類によれば、このような発明は、電気に属し、基本の電気構成要素、すなわちスイッチングデバイスのリストに挙げられているスイッチおよびスイッチアセンブリの中にあり、スイッチングデバイスは、電流に依存している適切な装置によって起こる爆発によって作動する。このような発明は、分類H01H39/006に属する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、小型で単純なスイッチアセンブリをどのようにして作製するかという課題に基づいている。このようなスイッチアセンブリは、一方では、長期間繰り返し起こる誘導関連の影響にも動的な電流負荷にも耐え得る、すなわち各々の直流電圧(DC)電気回路内の電流値の変動にも耐え得る必要があり、他方では、スイッチアセンブリの作動により、既知のスイッチアセンブリよりも実質的に公称電流値が高い場合、すなわち電流値が少なくとも400Aである場合であっても電気アークを形成することなく迅速に該電気回路を遮断して、該遮断後にそれぞれの電気負荷または電気負荷のグループを1つ以上の直流電圧電源から完全に電気的に絶縁することを確実にできる必要がある。
【0003】
電流の該遮断は、電流および電圧のそれぞれの使用可能な値とは無関係に実行される必要があり、スイッチアセンブリは、それ自体のアクチュエータを備えている必要があり、例えば車が衝突する状況で、電気的な過負荷と機械的な過負荷の両方に確実に反応する必要がある。したがって、スイッチアセンブリは、他のどのアセンブリからも独立して取り付けて機能するのに適している完全に自律したアセンブリとして構想される必要がある。本スイッチアセンブリは、様々な目的に使用できる可能性があり、該スイッチアセンブリが取り付けられる各車両またはその他の任意の装置に利用可能である。
【0004】
スロベニア国特許第25501A号(特許文献1)に記載されている直流電流遮断スイッチアセンブリは、組み込むのに適している第一導電体および第二導電体を介して直流電圧電源と少なくとも1つの電気負荷との間に電気接続を確立することによるものであり、その結果、スイッチアセンブリの該導体によって、該電源の第一端子は、各電気負荷の第一端子と電気接続でき、該電源の第二端子は、各電気負荷の第二端子と電気接続できる。該スイッチアセンブリの第一導電体は、2つの分岐線を有し、両分岐線は互いに並列接続され、第1の分岐線は、溶融部材を有する電気ヒューズを含み、第2の分岐線は、パイロスイッチを含む。該パイロスイッチは、該パイロスイッチを通って延在する第一導電体の該分岐線を遮断できるとともに、アクチュエータも遮断できる。アクチュエータは、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発して第一導電体の該第2の分岐線を遮断することで該パイロスイッチアセンブリを作動させることができ、電気インパルスは、特定の回路内の電流を監視するのに適している該外部センサ、または少なくとも1つの別の物理的特徴を監視するのに適していて、該スイッチアセンブリが組み込まれている装置がある領域内の望ましい各場所で利用可能な他のセンサから受信される。該パイロスイッチは遮断部材を有し、遮断部材は、パイロスイッチの中にあり、第一導電体の第2の分岐線を接続させることができて遮断部材が第二導電体から十分な距離を置いて保持される第1のすなわち非遮断位置から、パイロスイッチアセンブリの第一導電体の第2の分岐線を通る回路が遮断されて遮断部材がスイッチアセンブリの第二導体と直接導電接触するように配置される別の位置すなわち遮断位置へ移動可能である。
【0005】
しかしながら、上記のスイッチアセンブリでは、該アクチュエータは、深刻な状況で、すなわち特に衝突状況での機械的過負荷の場合に、各電気回路の電流値を監視する役割を果たしているセンサから、または他の物理値を監視する役割を果たし、かつ該スイッチアセンブリが取り付けられる装置内の望ましい各場所で利用可能な他のセンサから、必要なインパルスまたは信号を受信する。このような場合、スイッチアセンブリの機能は、他の装置の機能に左右され、その装置から該アクチュエータは、遮断部材のトリガーおよび移動に必要な信号を受信する必要がある。実際の用途では、これはつまり、このようなスイッチアセンブリのアクチュエータをそれぞれの特定のアセンブリに採用しなければならず、そのアセンブリからトリガー信号を受信する必要があり、それによってそのようなスイッチアセンブリの機能の信頼性も必ず他の各装置の信頼性に左右され、他の各装置からアクチュエータは、トリガーに必要な信号を受信する必要があるということである。
【0006】
このような直流電気回路遮断スイッチアセンブリがスロベニア国特許第25500A号(特許文献2)およびスロベニア国特許第25501号(特許文献1)ならびに国際特許第2019/027374A1号(特許文献3)にも記載されている。このようなスイッチアセンブリは、直流電気回路を遮断することが想定され、組み込むのに適している第一導電体および第二導電体を介して直流電圧電源と少なくとも1つの電気負荷との間に電気接続を確立することによるものであり、その結果、スイッチアセンブリの該導体によって、該電源の第一端子は、各電気負荷の第一端子と電気接続でき、該電源の第二端子は、各電気負荷の第二端子と電気接続できる。スイッチアセンブリの第一導電体は、2つの分岐線を有し、両分岐線は互いに並列接続され、第1の分岐線は、溶融部材を有する溶融インサートヒューズの形態である電気ヒューズを含み、第2の分岐線はパイロスイッチを含む。該パイロスイッチは、該パイロスイッチを通って延在する該第一導電体の第2の分岐線を遮断できる遮断部材を有するとともに、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発して該第一導電体の第2の分岐線を遮断することで確実に該遮断部材を適切に動かすことができるアクチュエータも有する。該パイロスイッチは、このような遮断部材を有し、遮断部材は、該パイロスイッチの内部で、この遮断部材によって該第一導電体の第2の分岐線が遮断されず該遮断部材が第二導電体から十分な距離を置いて保持される第1のすなわち元の位置から、第一導電体の第2の分岐線全体の電気回路が遮断され遮断部材がスイッチアセンブリの第二導体と導電状態で保持される第2のすなわちシフト位置へ移動可能である。該アクチュエータは、該遮断部材を介してスイッチアセンブリの第二導体と接続でき、
-内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発性の化学反応を開始するのに適している電気開通部材と;
-該開通部材の作動による該反応物の該化学反応過程で、第二導体から離れている第一導体と接触している初期位置から第二導体と接触している第二位置へ該遮断部材を移動させるために、遮断部材に向かう方向に移動可能である作動部材と;
-第一導体の該分岐線と直列の該電圧源および該負荷と接続した状態となるように、該並列分岐線に加えて該第一導電体に組み込まれている電気回路であって、該電気回路は、スイッチアセンブリの通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電気過負荷が発生した場合に限って非遮断状態に設定される、接触部材を含む少なくとも1つの不可逆的な熱電気ヒューズと、スイッチアセンブリの通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電流の所定値を超え、それに伴いスイッチアセンブリ内の電磁場を越えた場合に限って非遮断状態に設定される、遮断部材を含む少なくとも1つの電磁リードスイッチとで構成される、電気回路を含む。アクチュエータの該ヒューズおよびアクチュエータの該電磁スイッチは、互いに並列接続される。
【0007】
該アクチュエータがヒューズを2つ以上含んでいる場合、そのヒューズは互いに並列接続される。同じように、該アクチュエータが電磁スイッチを2つ以上含んでいる場合、各々の使用可能なスイッチも互いに並列接続される。
【0008】
該電気回路に少なくとも1つの追加の導体を接続でき、この追加の導体によって該回路は少なくとも1つの外部センサに接続され、その結果、深刻な状況では、例えば車両の衝突状況では、該アクチュエータには、該追加の導体を介して信号を提供することが可能で、信号は、遮断部材の移動を開始するために必要で、特定回路内の電流を監視するのに適している該外部センサから受信されるか、少なくとも1つの別の物理値を監視するのに適していて、該スイッチアセンブリが組み込まれる装置がある領域の所望の各場所で利用可能なその他の任意のセンサから受信される。
【0009】
該遮断部材は、機械的に遮断可能であり、第一導電体の第2の分岐線の初期位置から第2の位置まで移動できる区画である。
【0010】
また、該遮断部材は、第一導電体の第2の分岐線を通る電気回路が遮断される第2のすなわちシフト位置では、スイッチアセンブリの第2の導電体と導電接触して保持され、したがって、各負荷とも直流電圧電源の第二端子とも電気接触して保持される。
【0011】
電気開通部材は、該電気回路と、少なくとも1つの外部センサとの相互接続を確立するのに適している少なくとも1つの追加の導電体との両方に接続される。
【0012】
これまでに知られている他のスイッチアセンブリと同様に、該既知のスイッチアセンブリは、信頼性があり、必要なときに電気回路を効果的に遮断でき、電気回路では、直流電流の公称値はおよそ400Aを超えないが、これよりも高い値の電流ではその機能は予測不可能で信頼性がない。
【0013】
電気回路のさらに別の保護デバイスが国際特許第2017/042321A号(特許文献4)に開示されている。
【0014】
またさらに別の直流電気回路遮断スイッチアセンブリが米国特許第9,221,343B2号(特許文献5)(Tesla Motors,Inc.)に開示されている。このようなスイッチアセンブリは、直流電圧源を含み、この電圧源は、第一導体および第二導体を介して各負荷に電気接続されている。このようなアセンブリは一般に、電動車両に取り付けるのに適しており、車両の衝突などの非常事態で電気回路を遮断するのに使用される。実際に該電圧源は、1つのバッテリまたは互いに接続されているバッテリの集合であり、該負荷はインバータであり、インバータを介して他の各電気回路には電気が供給され、この電気は、車両の駆動、照明、暖房および空調、サーボモータの駆動などに使用される。考察した解決策に関して、第二導電体は、電気エネルギー源のマイナス端子と対応する負荷の接続端子との間に途切れなく延在している。該直流電圧電源のプラス端子と負荷の残りの接続端子との間に延在する第一導電体は、二又に分かれ、2つの別々の分岐線からなり、分岐線は互いに並列接続され、第1の分岐線には、溶融部材を含む電気ヒューズが組み込まれ、第2の分岐線はパイロスイッチを含み、パイロスイッチは、電気回路の通常動作で遮断解除される。該パイロスイッチは、ケーシングを備え、このケーシングを通って導電体が延在し、導電体は、この特定の事例では、第一導体の該第2の分岐線に相当する。該ケーシングの内部には、ギロチン形態のブレードが組み込まれ、ブレードは、電気絶縁材料からなり、電気回路の通常動作では該導体から特定の距離を置いて維持されているが、原則として必要なときに点火式のアクチュエータによって導体の方に動くこともできる。該アクチュエータの作動は、電気回路内の電流値を監視するのに適しているセンサの側から、または任意選択で、その他の任意の使用可能なセンサから、例えば各車両内にある膨張エアバッグを作動させるのに使用されるセンサの側からアクチュエータが受信する信号に基づいて起こる。このようなスイッチを作動させることによって、このように遮断された導電体の両方のセクションは、互いに離れて反れ、分割されて互いから離れ、他の導電構成要素からも離れたような状態のままになる。
【0015】
パイロスイッチは一般に、2つの実施形態で、すなわち通常遮断されている(NO-normally open、通常開いている)形態と、通常遮断されていない(NC-normally closed、通常閉じている)形態で市販されている。考察した解決策では、このようなスイッチは、通常動作では遮断されないが、必要に応じて遮断でき、それによって電気回路は遮断される。通常閉じたスイッチは遥かにかさばるため、電動車両での使用には適していない。
【0016】
電力の損失が少ないことに加えて、このようなパイロスイッチは、作動すなわち各電気回路の遮断によって反応時間が極めて短い点でも優れており、これはおよそ1msで行われる。その一方で、このようなスイッチは、内包されている化学反応物の特性が時間と共に変化し、温度変化が原因で変化する可能性があるという観点で問題があり、それに加えて、電圧過負荷および誘導関連の現象の観点でも問題がある。したがって、スイッチアセンブリの各々の通常動作で、両導体は、一方では電圧源に接続され、他方では各電気負荷に接続され、それによって電流は、電気ヒューズ内の溶融部材の抵抗が比較的高いために、電流は、単に該パイロスイッチが組み込まれているそれらの分岐線を通って誘導される。このように、特にこのようなスイッチアセンブリを電動車両で使用することによって、永続性のある動的電流過負荷に耐えられない溶融部材を含む電気ヒューズに関連する欠陥が最小に抑えられる。つまり、電動車両の電気ヒューズの開発中にわかったことは、次の電流負荷で溶融部材がさらにどのような反応をするかが比較的予測不可能で信頼できない限り、溶融部材を通って誘導される電流値が長期にわたって変化することにより溶融部材の材料の物理的特性が変化するおそれがあるということである。
【0017】
米国特許第9,221,343B2号(特許文献5)に記載の該スイッチアセンブリが、スイッチアセンブリが組み込まれている電気回路でこのような電流過負荷を受けた場合、スイッチアセンブリは、受信した信号を基に第一電流を遮断することによって反応するようになっており、それによってまず該パイロスイッチが作動し、その結果、対応する分岐線内の電流が遮断され、その際に電流は、他の分岐線を通って、すなわち電気ヒューズの溶融部材を通って引き続き誘導されることがある。すると、溶融部材は溶融し始め、それによってスイッチアセンブリ全体すなわち電圧源と各電気負荷との間の電気回路は、完全に遮断される。電流が電気ヒューズの公称電流制限値の倍数値を超えているという本質的な電流過負荷の場合、溶融部材の遮断が比較的迅速に行われ、これは実際にはおよそ20ms以内を意味する。ただし、このようなスイッチアセンブリを車両で使用する場合、特にスムーズな運転中の電流過負荷は通常それほど高くない。このような場合、車両の衝突により該アクチュエータは、通常パイロスイッチをトリガーするようになっており、それによって電気回路内の第一導体の所属する分岐線は遮断され、その際に電流は、該導体の残りの分岐線に再誘導される。電流過負荷が電気ヒューズの公称値をわずかしか上回っていない場合、該溶融部材の溶融は、数分あるいは1時間より多くかかるおそれがある。これはどのような衝突状況でもまったく受け入れられるものではなく、短絡および/または電気アークが発生するリスクがあるため危険である。それに加えて、直流電圧電気回路と各電気負荷との間で電気回路の第一導体を迅速かつ的確に遮断した場合であっても、第二導体は依然として遮断されずに電圧源と電気負荷の両方に接続されている状態である。特に車両では、この欠陥は問題を引き起こすおそれがある。なぜなら、該電気負荷は、一方では該電圧源に接続され、他方では様々な電気回路とも接続され、これらの電気回路の一部はコンデンサも含んでいることがあり、その場合、電気容量が依然として蓄えられたままで、これが追加の電圧源となるおそれがあり、この電圧源は、このようなスイッチアセンブリの第一導電体を遮断したにもかかわらず稼働状態であり続ける。このような「隠れた」電圧源は、該車両の衝突状況でも極めて危険となり得る。
【0018】
前述した技術の電磁スイッチは、当業者に公知のものであり、例えば米国特許第5,847,632A号(特許文献6)に開示されているものである。このようなスイッチは、加速度を受けた磁石が移動することに起因する電磁場の変化に基づいて機能し、磁石の移動は、機械的負荷の変化および/または変形に相関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】スロベニア国特許第25501A号
【文献】スロベニア国特許第25500A号
【文献】国際特許第2019/027374A1号
【文献】国際特許第2017/042321A号
【文献】米国特許第9,221,343B2号
【文献】米国特許第5,847,632A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、直流電気回路遮断スイッチアセンブリに関し、このスイッチアセンブリは、組み込むのに適している第一導電体および第二導電体を介して直流電圧電源と少なくとも1つの電気負荷との間に電気接続を確立することによるものであり、その結果、スイッチアセンブリの該導体によって、該電源の第一端子は、各電気負荷の第一端子と電気接続でき、該電源の第二端子は、各電気負荷の第二端子と電気接続できる。該スイッチアセンブリの第一導電体は、2つの分岐線を有し、両分岐線は互いに並列接続され、第1の分岐線は、溶融部材を有する電気ヒューズを含み、第2の分岐線はパイロスイッチを含み、パイロスイッチは、該パイロスイッチを通って延在する第一導電体の該分岐線を遮断できるとともに、アクチュエータも遮断でき、アクチュエータは、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発して第一導電体の該第2の分岐線を遮断することで該パイロスイッチアセンブリを作動させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
冒頭で述べた問題の本発明による解決策の背景では、該パイロスイッチアセンブリは、少なくとも2つのパイロスイッチを含み、パイロスイッチは、互いに並列接続され、各パイロスイッチ自体がそれぞれ対応する導電性分岐線に組み込まれ、共に第一導電体の該第2の分岐線を形成し、パイロスイッチはすなわち、第1のすなわち実質的に先行のパイロスイッチ、および第2のすなわち実質的に後続のパイロスイッチであり、各々の該パイロスイッチは、遮断部材を有し、この遮断部材によって各々のパイロスイッチの各分岐線は、通常動作で接続されているか、それぞれの所定条件が満たされたときにそれぞれの対応する遮断部材を別の位置に移動させることによって遮断されるかのいずれかであることが想定されている。該アクチュエータは、パイロスイッチアセンブリのパイロスイッチの遮断部材が少なくとも2つある配列を介してスイッチアセンブリの第二導体と電気接続でき、
-第一導体の該分岐線と直列の該電圧源および該負電気負荷と接続した状態となるように、該並列分岐線に加えて該第一導電体に組み込まれる電気回路であって、該電気回路は、スイッチアセンブリの通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電気過負荷が発生した場合に限って非遮断状態に設定される、接触部材を含む少なくとも1つの不可逆的な熱電気ヒューズと、スイッチアセンブリの通常動作で遮断され、閉じられる、すなわちスイッチアセンブリ内の電流の所定値を越えた場合に限って非遮断状態に設定される、遮断部材を含む少なくとも1つの電磁リードスイッチとで構成され、アクチュエータの該ヒューズおよびアクチュエータの該電磁スイッチは、互いに並列接続され、該アクチュエータがヒューズを2つ以上含んでいる場合、そのヒューズは互いに並列接続され、該アクチュエータが電磁スイッチを2つ以上含んでいる場合、すべての利用可能なスイッチも互いに並列接続される、電気回路と、
-パイロスイッチアセンブリの各々の使用可能なパイロスイッチ内にある電気開通部材であって、該開通部材は、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発性の化学反応を開始するのに適している、電気開通部材と;
-パイロスイッチアセンブリの各々の使用可能なパイロスイッチで利用可能であり、反応物の該化学反応過程で、該開通部材の作動後に、遮断部材に向かう方向に移動可能で、第一導体と接触していて第二導体から離れている第1の位置から、第二導体と間接的または直接接触している他方の位置に遮断部材を確実に移動させる、作動部材と
を含む。
前の各パイロスイッチの遮断部材は(パイロスイッチの開通部材は該アクチュエータの回路と電気接続されている)、作動部材によって、所定条件が満たされたときに非遮断位置から該パイロスイッチを通る対応する分岐線が遮断される別の位置へ移動可能であり、遮断部材は、移動後に後続の各パイロスイッチ部材の開通部材と導電接触する。一方、最後のパイロスイッチ部材では、遮断部材は、該最後のパイロスイッチを通る対応する分岐線が遮断される別の位置に移動可能で、この位置では遮断部材は、第二導体と直接導電接触するように配置される。
【0022】
また、本発明によれば、該電気回路に少なくとも1つの追加の導体が接続され、この追加の導体によって該回路は、少なくとも1つの外部センサに接続され、その結果、深刻な状況では、例えば車両の衝突状況では、該アクチュエータには、該追加の導体を介して信号を提供することが可能で、信号は、各遮断部材の移動を開始するために必要で、特定回路内の電流を監視するのに適している該外部センサから受信されるか、少なくとも1つの別の物理的特徴を監視するのに適していて、該スイッチアセンブリが組み込まれている装置がある領域の所望の各場所で利用可能なその他の任意のセンサから受信されることが想定されている。
【0023】
さらに、本発明によれば、遮断部材の少なくとも一方は、機械的に遮断可能で、第一導電体の第2の分岐線のパイロスイッチを通過する分岐線の該当する方の初期位置から別の位置に移動できる区画があることが想定されている。
【0024】
さらに、本発明によれば、各パイロスイッチアセンブリの最後のパイロスイッチの遮断部材は、スイッチアセンブリの第一導電体の第2の分岐線の全分岐線を通る電気回路が遮断される第2の位置、つまり遮断位置で、スイッチアセンブリの第二導体と導電接触し、間接的にいずれかの電気負荷とも直流電圧電源の第二端子とも電気接触することが想定されている。
【0025】
さらに、本発明によれば、各々の電気開通部材は、一方では、アクチュエータの該回路に接続され、他方では、パイロスイッチアセンブリ内の後続の各パイロスイッチの開通部材に接続され、パイロスイッチアセンブリ内の最後のパイロスイッチの開通部材は、スイッチアセンブリが組み込まれている電気回路の第二導体と電気接続されることが想定されている。
【0026】
本発明を添付の図面に概略的に示している実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】スイッチアセンブリとその電気回路を示し、電気回路が通常動作中の図である。
【
図2】
図1に準拠するスイッチアセンブリを示す図であり、電気回路を遮断する第1の工程にあり、外部障害または電気回路内の電気過負荷がある図である。
【
図3】同じく
図1に準拠するスイッチアセンブリを示す図であり、電気回路を遮断する後続の工程にあり、外部障害または電気回路内の電気過負荷がある図である。
【
図4】外部障害または電気回路内の電気過負荷が原因で電気回路が完全に遮断された後の
図1に準拠するスイッチアセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
このように、直流電流遮断スイッチアセンブリ1は、
図1~
図4に概略的に示され、組み込むのに適している第一導電体11および第二導電体12を介して直流電圧電源2と少なくとも1つの電気負荷3との間に電気接続を確立することによるものであり、その結果、スイッチアセンブリ1の該導体11、12によって、該電源2の第一端子21は、各電気負荷3の第一端子31と電気接続でき、該電源2の第二端子22は、各電気負荷3の第二端子32と電気接続でき、該スイッチアセンブリ1の第一導電体11は、2つの分岐線111、112を有し、両分岐線は互いに並列接続され、第1の分岐線111は、溶融部材41を有する電気ヒューズ4を含み、第2の分岐線112はパイロスイッチ5を含み、パイロスイッチは、該パイロスイッチ5を通って延在する第一導電体11の該分岐線112を遮断できるとともに、アクチュエータ52も遮断でき、アクチュエータは、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発して第一導電体11の該第2の分岐線112を遮断することで該パイロスイッチアセンブリ5を作動させることができる。
【0029】
図1~
図4でさらに明らかなように、該パイロスイッチアセンブリ5は、少なくとも2つのパイロスイッチ5’、5”を含み、パイロスイッチは、互いに並列接続され、各パイロスイッチ自体がそれぞれ対応する導電性分岐線112’、112”に組み込まれ、共に第一導電体11の該第2の分岐線112を形成する。パイロスイッチはすなわち、第1のすなわち実質的に先行のパイロスイッチ5’、および第2のすなわち実質的に後続のパイロスイッチ5”である。各々の該パイロスイッチ5’、5”は、遮断部材51’、51”を有し、この遮断部材によって各々のパイロスイッチ5’、5”の各分岐線112’、112”は、通常動作で接続されているか、それぞれの所定条件が満たされたときにそれぞれの対応する遮断部材51’、51”を別の位置に移動させることによって遮断されるかのいずれかである。
図1~
図4に図示した例では、パイロスイッチアセンブリ5は、2つのパイロスイッチを含んでいるが、一般にはパイロスイッチアセンブリ5に3つ以上のパイロスイッチ5’、5”を含むパイロスイッチアレイを使用することが可能である。
【0030】
該アクチュエータ52は、パイロスイッチアセンブリ5のパイロスイッチ5’、5”の遮断部材51’、51”が少なくとも2つある配列を介してスイッチアセンブリ1の第二導体12との電気接続が可能となり、電気回路523を含み、この電気回路は、第一導体11の該分岐線111、112と直列の該電圧源2および該電気負荷3と接続した状態となるように、該並列分岐線111、112に加えて該第一導電体11に組み込まれる。該電気回路523は、スイッチアセンブリ1の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電気過負荷が発生した場合に限って非遮断状態に設定される、接触部材524’を含む少なくとも1つの不可逆的な熱電気ヒューズ524と、スイッチアセンブリ1の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわちスイッチアセンブリ1内の電流の所定値を超えた場合に限って非遮断状態に設定される、遮断部材525’を含む少なくとも1つの電磁リードスイッチ525とで構成される。アクチュエータ52の該ヒューズ524およびアクチュエータ52の該電磁スイッチ525は、互いに並列接続される。該アクチュエータ52がヒューズ524を2つ以上含んでいる場合、そのヒューズ524は互いに並列接続される。同じように、該アクチュエータ52が電磁スイッチ525を2つ以上含んでいる場合、利用可能なすべてのスイッチ525も互いに並列接続される。
【0031】
また、該アクチュエータ52は、パイロスイッチアセンブリ5の各々の使用可能なパイロスイッチ5’、5”内に電気開通部材521’、521”を有し、該開通部材521’、521”は、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発性の化学反応を開始するのに適している。
【0032】
さらに、該アクチュエータ52は、作動部材522’を有し、作動部材は、パイロスイッチアセンブリ5の各々の使用可能なパイロスイッチ5’、5”で利用可能であり、反応物の該化学反応過程で、該開通部材521の作動後に、遮断部材51に向かう方向に移動可で、第一導体11と接触していて第二導体12から離れている第1の位置から、第二導体12と間接的または直接接触している他方の位置に遮断部材51を確実に移動させる。
【0033】
前の各パイロスイッチ5’の遮断部材51’は(パイロスイッチの開通部材521’は該アクチュエータ52の回路523と電気接続されている)、作動部材522’によって、所定条件が満たされたときに非遮断位置から、該パイロスイッチ5’を通る対応する分岐線112’が遮断される別の位置へ移動可能であり、遮断部材51’は、移動後に後続の各パイロスイッチ部材52’の開通部材521”と導電接触する。一方、最後のパイロスイッチ部材5”では、遮断部材51”は、該最後のパイロスイッチ5”を通る対応する分岐線112”が遮断される別の位置に移動可能で、この位置では遮断部材は、第二導体12と直接導電接触するように配置される。
【0034】
少なくとも1つの追加の導体526は、任意選択で該電気回路523に接続され、この追加の導体によって該回路523は、少なくとも1つの外部センサ526’に接続される。その結果、深刻な状況では、例えば車両の衝突状況では、該アクチュエータ52には、該追加の導体526を介して信号を提供することが可能で、信号は、各遮断部材51’51”の移動を開始するために必要で、特定回路内の電流を監視するのに適している該外部センサ526’から受信されるか、少なくとも1つの別の物理的特徴を監視するのに適していて、該スイッチアセンブリ1が組み込まれる装置がある領域の所望の各場所で利用可能なその他の任意のセンサから受信される。
【0035】
さらに、遮断部材51’、51”の少なくとも一方は、機械的に遮断可能で、第一導電体11の第2の分岐線112のパイロスイッチ5’、5”を通過する分岐線112’、112”の該当する方の初期位置から別の位置に移動できる区画があるように選択できる。各パイロスイッチアセンブリ5の最後のパイロスイッチ5”の遮断部材51”は、スイッチアセンブリ1の第一導電体11の第2の分岐線112の全分岐線112’、112”を通る電気回路が遮断される第2の位置、つまり遮断位置で、スイッチアセンブリ1の第二導体12と導電接触し、間接的にいずれかの電気負荷3とも直流電圧電源2の第二端子22とも電気接触する(
図3および
図4)。
【0036】
各々の電気開通部材521’は、一方では、アクチュエータ52の該回路523に接続され、他方では、パイロスイッチアセンブリ5内の後続の各パイロスイッチ5’、5”の開通部材521”に接続され、パイロスイッチアセンブリ5内の最後のパイロスイッチ5’、5”の開通部材521”は、スイッチアセンブリ1が組み込まれている電気回路の第二導体12と電気接続される。
【0037】
第一導電体11の第1の分岐線111の電気抵抗は、第2の分岐線112、112’、112”の電気抵抗よりも遥かに大きく、その結果、電流のほとんどは、電気回路の通常動作で第2の分岐線112、112’、112”を通過する。実際には、電気ヒューズ4は溶融部材41を含んでいるため、第1の分岐線111の電気抵抗は通常、第一導電体111の電気抵抗の合計の95%よりも大きく、第2の分岐線112の電気抵抗はその5%未満である。電気回路523で所定条件が満たされたときに、第1のパイロスイッチ5’の領域にある開通部材521’が作動部材522’をトリガーして、第1のパイロスイッチ5’の遮断部材51’を動かして(
図2)別のパイロスイッチ5”の開通部材521”と接触させたとき、電気回路は、新たに遮断された分岐線112’から他に利用可能な分岐線112”およびパイロスイッチ5”の方へ再誘導される。―再び所定条件が満たされたときに―電気回路523内で第2のパイロスイッチ5”の開通部材521”が作動するとき、作動部材522”は、第2のパイロスイッチ5’の遮断部材51”(
図2)をトリガーしてさらに別の後続のパイロスイッチの開通部材と電気接触させるように動かす。すると、後続のパイロスイッチが利用可能になる。図示した例では、2つのパイロスイッチ5’、5”のみが想定されているが、これは、開通部材521”の作動後に第2のパイロスイッチ5”の遮断部材51”が動いて、本発明によるスイッチアセンブリ1が組み込まれている電気回路の第二導体12と接触するという意味である。
【0038】
本発明によるパイロスイッチアセンブリ5は、アレイのパイロスイッチ5’、5”からなり、電気回路に接続され、前述の方法で配列されているという事実により、電気回路の遮断は、パイロスイッチアセンブリ5内のパイロスイッチ5’、5”の数に応じて段階的に一連の複数の工程で実行され、これにより実際に、400Aを超えることがある高い値の直流電流に暴露されている回路でスイッチアセンブリ1を使用することが可能になる。
【0039】
本発明によるスイッチアセンブリ1は、間違いなく単純であり、適切なパイロスイッチ5を取り入れているにもかかわらず、必要なスペースの観点でもかさばらない。該パイロスイッチ5と溶融部材41を有する電気ヒューズ4とを第一導電体11の2つの別々の分岐線111、112に構成することにより、このようなスイッチアセンブリ1は、温度変化に耐えることができ、さらに、誘導性の変化に対処できるとともに、動的電流強度、すなわち各々の特定の直流電圧(DC)電気回路内の頻繁な電流値の変化にも対処できる。その一方で、該スイッチアセンブリ1は、例えば電動車両が衝突する状況などで、各電圧および電流の実際の値に関係なくアクチュエータ52の作動に基づいて該直流電圧電気回路を迅速に遮断でき、特にパイロスイッチアセンブリ5の領域でアーク放電を起こすことがない。各々の使用可能な電気負荷は、各々の使用可能な直流電圧電源2に対して完全に絶縁状態になる。該スイッチアセンブリ1および各負荷3を介して、各遮断部材51’、51”が元の位置すなわち非遮断位置から各直流電圧回路で第二導体12と接触状態にあるシフト位置に移動することにより、電圧源2から完全に分離されている追加の電気回路が確立される。どの追加の電源もそのように新たに確立された回路内に隠れたままであるが、そのような電源が電源2と接触ことはあり得ない。
【0040】
本発明は、各所定要件が満たされたときにスイッチアセンブリ1を自動で作動させることを可能にする。そのために、該パイロスイッチ5の該アクチュエータ52は、該遮断部材51を介してスイッチアセンブリ1の第二導体12と接続可能であり、各々のパイロスイッチ5’、5”の領域に電気開通部材521’、521”を有し、電気開通部材の近傍には作動部材522’、522”および電気回路523が配置され、この両者を1つ1つさらに詳細に説明する。
【0041】
各電気開通部材521’、521”は、パイロスイッチアセンブリ5の各々の対応するパイロスイッチ5’、5”で、内包されている少なくとも1つの化学反応物が電気インパルスによって爆発性の化学反応を起こすのに適しており、該化学反応物の化学構造は、先行技術で公知のパイロスイッチに使用されているものと一致し得る。
【0042】
各作動部材522’、522”は、該反応物の該化学反応過程で、各々の対応する開通部材521’、521”が作動した際に、各遮断部材51’、51”が、第一導体11と接触していて第二導体12から離れている初期位置から、後続の各パイロスイッチ5”の開通部材521”と接触している、すなわち最後のパイロスイッチ部材5”が第二導体12自体と接触している場合に第二位置に移動するのを確実にするために、各々の対応する遮断部材51’、51”に向かう方向に移動できる。
【0043】
該電気回路523は、第一導体11の該分岐線111、112と直列の該電圧源2および該負荷3と接続した状態となるように、該並列分岐線111、112に加えて該第一導電体11に組み込まれる。この場合、該電気回路523は、スイッチアセンブリ1の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわち電気過負荷が発生した場合に限って非遮断状態に設定される、接触部材524’を含む少なくとも1つの不可逆的な熱電気ヒューズ524と、スイッチアセンブリ1の通常動作で遮断され、閉じられる、すなわちスイッチアセンブリ1内の電流の所定値を超えた場合に限って非遮断状態に設定される、遮断部材525’を含む少なくとも1つの電磁リードスイッチ525とで構成される。アクチュエータ52の該ヒューズ524およびアクチュエータ52の該電磁スイッチ525は、互いに並列接続される。
【0044】
また、該アクチュエータ52がヒューズ524を2つ以上含んでいる場合も、各々の使用可能なヒューズ524は互いに並列接続され、まったく同じように、該アクチュエータ52が電磁スイッチ525を2つ以上含んでいる場合は常に、各々の使用可能なスイッチ525も互いに並列接続される。
【0045】
電気開通部材521は、該電気回路523と、少なくとも1つの外部センサ526’との相互接続を確立するのに適している少なくとも1つの追加の導電体526の両方に接続される。
【0046】
さらに別の実施形態も可能であり、この実施形態では、深刻な状況で、例えば車両の衝突状況で、該アクチュエータ(52)に信号を提供でき、信号は、遮断部材(51)の移動を開始するために必要で、該追加の導体526’を介して、特定回路内の電流値を監視するのに適している該外部センサ526から受信されるか、少なくとも1つの別の物理値を監視するのに適していて、該スイッチアセンブリ1が組み込まれている装置がある領域の所望の各場所で利用可能なその他の任意のセンサから受信される。
【0047】
このようなスイッチアセンブリの作動は、一般に、電流過負荷を超えるかまたは短絡状態で実施される。
【0048】
過剰な電流による作動は、該不可逆的な熱電気ヒューズ524を用いて実施され、熱電気ヒューズは、スイッチアセンブリ伝導性構成要素と熱伝導接触した状態で配置される。電流を上げることによって、温度も上がり、各作動条件をヒューズ524の適切な寸法または選択に基づいて事前に規定できる。電流が所定の公称値よりも高くなると直ちにパイロスイッチの伝導性構成要素が加熱を開始し、接触部材524’を含んでいるヒューズ524も加熱される。所定温度に達すると直ちにヒューズ524の接触部材524’がシフトし、ヒューズ524を通る電気回路が確立され、つまりは遮断が解除され、電流はこの回路を流れ始めるが、電流はアクチュエータ52の抵抗によって制限されるため、過負荷の場合は該パイロスイッチ5が作動する。そのため、遮断部材51は、アクチュエータ52によって第一導体11と接触している初期位置から第二導体12と接触している第二位置にシフトする。
【0049】
短絡状態での作動は、該電磁リードスイッチ525によって実施され、電磁リードスイッチは、外部磁場に弱く、極めて短い時間内、例えば50μs以内に反応することが可能である。該時間は、電流が強く、それに応じて磁場強度が強いほど短くなる。このような短い作動、すなわちトリガー時間は、特に短絡状態でパイロスイッチが電流に耐性があることにより達成する必要がある。該電磁リードスイッチは、パイロスイッチ5’、5”の伝導性構成要素から適切な距離を置いて配置され、電磁スイッチ525が短絡過負荷に反応している各々の状態も、該スイッチ525の位置を調整することに基づいて事前に明らかにできる。なぜなら、該スイッチ525の感度、すなわち反応性は、電磁場発生源からの距離に相互に比例するからである。短絡状態で電流が増加し始めると電磁場が発生し、電磁場は、電磁リードスイッチ525に影響を及ぼす。電磁スイッチ525の接触部材525’は、所定の磁場強度で互いに接触し、それによって電流を伝導するのに適している回路が該スイッチ525の中に確立される。電流もこの状態で決定される、すなわちアクチュエータ52の抵抗によって制限され、過負荷によって、すなわち短絡によって該パイロスイッチ5’、5”が作動する。その結果、該アクチュエータ52によって各遮断部材51’、51”は、第一導体11と接触している初期位置から後続の各パイロスイッチ5”すなわち第二導体12と接触している第二位置にシフトする。