(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】排ガス装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240528BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/20 K
F01N3/24 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022137597
(22)【出願日】2022-08-31
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 577.9
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クレジミール ヤンブロシッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロニク ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】アントン-ボグダン ポペスク
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-004521(JP,A)
【文献】特開2002-364351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の排ガス装置であって、
-排ガス加熱器ケーシング(16)と、
-該排ガス加熱器ケーシング(16)内に配置された少なくとも1つの排ガス加熱器(20)と、
-前記排ガス加熱器ケーシング(16)の下流側の端部領域(18)に、上流側の端部領域(24)で接続する排ガス処理ユニットケーシング(22)と、
該排ガス処理ユニットケーシング(22)内に配置された少なくとも1つの排ガス処理ユニット(26)と
を含んでおり、
少なくとも1つの排ガス加熱器(20)が、下流側で前記排ガス処理ユニットケーシング(22)に向かう方向に延びる、前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)または/および前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)に配置された排ガス処理ユニット(26)に排ガス主流方向(A)でオーバラップする少なくとも1つの接続要素(48,50)を含んでいる、排ガス装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接続要素(48,50)が、前記排ガス処理ユニット(26)または/および前記排ガス処理ユニットケーシング(22)に前記排ガス主流方向(A)でオーバラップするオーバラップ延在区分(56,58)を有しており、かつ前記排ガス処理ユニットケーシング(22)が、少なくとも、前記少なくとも1つの接続要素(48,50)の前記オーバラップ延在区分(56,58)の延在領域において、前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)に配置された前記排ガス処理ユニット(26)の外周面を覆っていない、請求項1記載の排ガス装置。
【請求項3】
前記排ガス処理ユニットケーシング(22)が、前記少なくとも1つの接続要素(48,50)の前記オーバラップ延在区分(56,58)の前記延在領域において、上流側に向かう方向で開くオーバラップ延在区分収容切欠き(60)を有している、請求項2記載の排ガス装置。
【請求項4】
前記排ガス加熱器ケーシング(16)に、各接続要素(48,50)に対応して、該接続要素(48,50)に電気的に接触接続するコンタクトユニット(70,72)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の排ガス装置。
【請求項5】
1つの接続要素(48,50)に対応して設けられた少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニット(70,72)が、前記排ガス加熱器ケーシング(16)の、前記排ガス処理ユニットケーシング(22)または/および前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)に配置された前記排ガス処理ユニット(26)に前記排ガス主流方向(A)でオーバラップしている区分に配置されている、請求項4記載の排ガス装置。
【請求項6】
前記排ガス加熱器ケーシング(16)が、少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニット(70,72)に対応して、コンタクトユニット支持突出部(68)を有しており、かつ少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニット(70,72)が、対応する前記コンタクトユニット支持突出部(68)の領域において前記排ガス加熱器ケーシング(16)に支持されている、請求項
4記載の排ガス装置。
【請求項7】
少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニット支持突出部(68)が、前記排ガス主流方向(A)で、前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)または/および前記排ガス処理ユニットケーシング(22)の前記上流側の端部領域(24)に配置された前記排ガス処理ユニット(26)に少なくとも部分的にオーバラップする、請求項6記載の排ガス装置。
【請求項8】
前記排ガス加熱器ケーシング(16)が、前記少なくとも1つの排ガス加熱器(20)を収容する、前記下流側の端部領域(18)を提供するケーシング区分において、排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線(L
1)の方向で細長く延びており、かつ前記排ガス処理ユニットケーシング(22)が、前記少なくとも1つの排ガス処理ユニット(26)を収容する、前記上流側の端部領域(24)を提供するケーシング区分において、排ガス処理ユニットケーシング長手方向軸線(L
2)の方向で細長く延びている、請求項1
または2記載の排ガス装置。
【請求項9】
前記排ガス処理ユニットケーシング(22)が、前記上流側の端部領域(24)で、前記排ガス加熱器ケーシング(16)の前記下流側の端部領域(18)に係合するように位置決めされている、請求項1
または2記載の排ガス装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの排ガス加熱器(20)が、少なくとも1つの加熱導体(32,34)を含んでおり、前記接続要素のうちの第1の接続要素(48)が、前記少なくとも1つの加熱導体(32,34)の第1の接続区分(74)に導電接続されているか、または該第1の接続区分(74)を提供しており、または/かつ前記接続要素のうちの第2の接続要素(50)が、前記少なくとも1つの加熱導体(32,34)の第2の接続区分(76)に導電接続されているか、または該第2の接続区分(76)を提供している、請求項1
または2記載の排ガス装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの排ガス加熱器(20)が、互いに電気的に直列接続された、前記排ガス主流方向(A)で相前後して続くように配置された2つの加熱導体(32,34)を含んでおり、かつ前記排ガス主流方向(A)で相前後して続くように配置された前記加熱導体(32,34)のうちの一方の加熱導体に、前記第1の接続区分(74)が設けられており、前記排ガス主流方向(A)で相前後して続くように配置された前記加熱導体(32,34)のうちの他方の加熱導体に、前記第2の接続区分(76)が設けられている、請求項10記載の排ガス装置。
【請求項12】
少なくとも1つの、好適には各加熱導体(32)が、前記排ガス主流方向(A)に対して実質的に直交して延びるようにプレート状に構成されている、請求項
10記載の排ガス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の排ガス装置に関する。
【0002】
内燃機関が始動された場合に、内燃機関において対応配置された排ガス装置が、排ガスにより通流されるシステム領域、特にたとえば触媒または粒子フィルタのような排ガス処理ユニットを迅速に運転温度にもたらすことができるようにし、これによりこのような排ガス処理ユニットによって、概して比較的に高い温度で実施すべき反応を、内燃機関の始動後にできるだけ迅速に使用することができるようにするために、このような排ガス装置において、排ガス処理ユニットの上流側で排ガス加熱器を使用することが知られている。排ガス加熱器は、内燃機関から吐出される排ガス流に熱を伝達し、これによりこの熱を、排ガス流を介して下流側に続くシステム領域に伝達して、このシステム領域を迅速に運転温度にもたらすことができる。
【0003】
本発明の課題は、コンパクトに構成され、利用可能な構造空間を効率的に利用する排ガス装置を提供することにある。
【0004】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の内燃機関用の排ガス装置により解決される。この排ガス装置は、
-排ガス加熱器ケーシングと、
-排ガス加熱器ケーシング内に配置された少なくとも1つの排ガス加熱器と、
-排ガス加熱器ケーシングの下流側の端部領域に、上流側の端部領域で接続する排ガス処理ユニットケーシングと、
-排ガス処理ユニットケーシング内に配置された少なくとも1つの排ガス処理ユニットと
を含んでおり、少なくとも1つの排ガス加熱器が、下流側で排ガス処理ユニットケーシングに向かう方向で延びる、排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域または/および排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域に配置された排ガス処理ユニットに排ガス主流方向でオーバラップする少なくとも1つの接続要素を含んでいる。
【0005】
このような接続要素が、排ガス主流方向に関して下流側に続くシステム領域に延びているか、もしくはこのシステム領域に、このシステム領域において排ガス主流方向でオーバラップして延びていることによって、これらの互いに隣接するシステム領域、つまり内部に配置された構成部材を備える排ガス加熱器ケーシングと、内部に配置された構成部材を備える排ガス処理ユニットケーシングとを、互いにより近傍に配置することができる。このことは、コンパクトな構造形式もしくはこのような排ガス装置に利用可能な構造空間の効率的な利用につながる。
【0006】
少なくとも1つの接続要素のための空間を提供するために、少なくとも1つの接続要素が、排ガス処理ユニットまたは/および排ガス処理ユニットケーシングに排ガス主流方向でオーバラップするオーバラップ延在区分を有しており、かつ排ガス処理ユニットケーシングが、少なくとも、少なくとも1つの接続要素のオーバラップ延在区分の延在領域において、排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域に配置された排ガス処理ユニットの外周面を覆っていないことが提案される。
【0007】
このためには、たとえば、排ガス処理ユニットケーシングは、少なくとも1つの接続要素のオーバラップ延在区分の延在領域において、上流側に向かう方向で開くオーバラップ延在区分収容切欠きを有していてよい。
【0008】
概して排ガス装置の外側に配置された電圧源に排ガス加熱器を接続するために、排ガス加熱器ケーシングに、各接続要素に対応して、この接続要素に電気的に接触接続するコンタクトユニットが設けられていてよい。
【0009】
さらに、利用可能な構造空間を効率的に利用するために、接続要素に対応して設けられた少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニットが、排ガス加熱器ケーシングの、排ガス処理ユニットケーシングまたは/および排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域に配置された排ガス処理ユニットに排ガス主流方向でオーバラップしている区分に配置されていてよい。
【0010】
接続要素と排ガス処理ユニットとの相互の妨害を回避するために、排ガス加熱器ケーシングが、少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニットに対応して、コンタクトユニット支持突出部を有しており、少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニットが、対応するコンタクトユニット支持突出部の領域において排ガス加熱器ケーシングに支持されていることが提案される。
【0011】
少なくとも1つの、好適には各コンタクトユニット支持突出部は、排ガス主流方向で、排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域または/および排ガス処理ユニットケーシングの上流側の端部領域に配置された排ガス処理ユニットに少なくとも部分的にオーバラップすることができる。
【0012】
排ガス主流方向で相前後して続くもしくは互いに接続する両ケーシング、つまり排ガス加熱器ケーシングと排ガス処理ユニットケーシングとを、流れガイドが定義されている場合に、簡単に互いに接続して位置決めすることができるようにするために、排ガス加熱器ケーシングが、少なくとも1つの排ガス加熱器を収容する、下流側の端部を提供しているケーシング区分において、排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線の方向で細長く延びており、かつ排ガス処理ユニットケーシングが、少なくとも1つの排ガス処理ユニットを収容する、上流側の端部領域を提供するケーシング区分において、排ガス処理ユニットケーシング長手方向軸線の方向で細長く延びていることが提案される。
【0013】
排ガス処理ユニットケーシングが、その上流側の端部領域で、排ガス加熱器ケーシングの下流側の端部領域に係合するように位置決めされていることにより、コンパクトな構造形式を支援することができる。
【0014】
少なくとも1つの排ガス加熱器が、少なくとも1つの加熱導体を含んでいてよく、接続要素のうちの第1の接続要素が、少なくとも1つの加熱導体の第1の接続区分に導電接続されているか、または第1の接続区分を提供し、または/かつ接続要素のうちの第2の接続要素が、少なくとも1つの加熱導体の第2接続区分に導電接続されているか、または第2の接続区分を提供する。
【0015】
排ガス装置を流れる排ガスによる極めて効率的な加熱のために、少なくとも1つの排ガス加熱器が、互いに電気的に直列接続された、排ガス主流方向で相前後して続くように配置された2つの加熱導体を含んでいてよい。この場合、排ガス主流方向で相前後して続くように配置された加熱導体のうちの一方の加熱導体には、第1の接続区分が設けられていてよく、排ガス主流方向で相前後して続くように配置された加熱導体のうちの他方の加熱導体に、第2の接続区分が設けられていてもよい。
【0016】
排ガスを全流れ横断面にわたって加熱するために、少なくとも1つの、好適には各加熱導体が、排ガス主流方向に対して実質的に直交して延びるようにプレート状に構成されていてよい。
【0017】
本発明を以下に添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】排ガス加熱器ケーシングの下流側の端部領域に挿入された排ガス処理ユニットケーシングと一緒に排ガス装置の排ガス加熱器ケーシングを示す縦断面図である。
【
図2】排ガス加熱器ケーシングの下流側の端部領域に配置された排ガス加熱器と一緒に排ガス加熱器ケーシングを示す斜視図である。
【0019】
図1には、概して符号10で示された排ガス装置の一部分が縦断面で図示されている。
図1に図示された排ガス装置10の部分は、たとえば2つのケーシングシェル12,14により構成された排ガス加熱器ケーシング16を示しており、この排ガス加熱器ケーシング16は、下流側の、実質的に排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L
1の方向に細長く延びる、ほぼ円筒形の下流側の端部領域18において、概して符号20で示された排ガス加熱器を支持している。
【0020】
排ガス装置10の排ガス加熱器ケーシング16には、その下流側の端部領域18において、排ガス処理ユニットケーシング22の、排ガス処理ユニットケーシング長手方向軸線L2の方向に細長く延びる、実質的に円筒形に形成された上流側の端部領域24が接続する。排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1と排ガス処理ユニットケーシング長手方向軸線L2とは、排ガス加熱器ケーシング16と排ガス処理ユニットケーシング22とがたとえば円形の横断面で形成されていてよい、互いに内外に係合するように位置決めされた端部領域18,24において、互いに平行であり、特に同軸的に配置されていてよく、排ガス加熱器ケーシング16と排ガス処理ユニットケーシング22とは、互いにオーバラップして配置された領域において溶接により固定的かつ気密に互いに結合されていてよい。
【0021】
排ガス処理ユニットケーシング22内には、たとえばモノリスに構成された排ガス処理ユニット26が配置されていて、この排ガス処理ユニット26を実質的にその全外周面において取り囲んでいるキャリヤ装置28、たとえば1つ以上の繊維マット等によって、排ガス処理ユニットケーシング22内に固定的に保持されているので、これにより好適には排ガス処理ユニット26の上流側の端部は、排ガス処理ユニットケーシング22の上流側の端部と実質的に面一に終わっている。
【0022】
排ガス処理ユニット26は、たとえば、酸化触媒として、または粒子フィルタとして構成されていてよく、排ガス処理ユニット26のモノリスは、触媒作用材料でコーティングされている、または/かつ構成されていてよい。排ガス処理ユニットケーシング22への排ガス加熱器ケーシング16の隣接領域において、たとえば互いに対して同軸的な両方の長手方向軸線L1,L2の配向に実質的に対応する排ガス主流方向Aで排ガス加熱器ケーシング16から排ガス加熱器20を通って排ガス処理ユニット26に向かって流れるべき排ガスは、排ガス処理ユニット26の、排ガス加熱器20に面した端面30の領域において、この排ガス処理ユニット26の多孔質構造体内に進入することができ、その際に排ガス処理ユニット26内に形成された表面において、排ガス処理ユニット26により提供されるべき触媒反応を受けることができる。
【0023】
排ガス加熱器20は、図示された構成例において、排ガス主流方向Aもしくは排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1の方向で相前後して続くように配置された2つの加熱導体32,34を含んでいる。これらの加熱導体32,34のそれぞれは、プレート状に形成されており、したがって実質的に、排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1もしくは排ガス主流方向Aに対して直交する方向または平面内に延びている。たとえば、両方の加熱導体32,34は、金属材料から成る平材中間製品からの切出しによって製造することができ、この金属材料は、電圧の印加時、つまりこの金属材料を流れる電流が加えられた場合に加熱される。代替的には、加熱導体32,34は、ワイヤ状の加熱導体を螺旋状またはメアンダ状に巻成することによっても提供することができ、加熱導体32,34のこのような巻成体もしくは概して構造体は、たとえば、排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1の方向で円錐形または円錐台形の構造で拡張されているようになっていてよい。
【0024】
排ガス加熱器20は、さらにキャリヤ装置36を含んでおり、このキャリヤ装置36を介して排ガス加熱器20が排ガス加熱器ケーシング16の内面に固定されている。キャリヤ装置36は、両方の加熱導体32,34の両軸方向の側面に、実質的にプレート状の、つまり実質的に排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1に対して直交する平面内に位置する、たとえば変形加工された、もしくは平材中間製品からの切出しにより形成された金属薄板要素から成るキャリヤ要素38,40を含んでいる。両方のキャリヤ要素38,40のうちの1つのキャリヤ要素は、その外周領域において軸方向に屈曲させられており、この屈曲領域により排ガス加熱器ケーシング16の内面に、たとえば溶接のような材料結合部によって固定されている。
【0025】
電気絶縁のために、両方の加熱導体32,34間ならびに加熱導体32,34とキャリヤ要素38、40との間にたとえばセラミック材料で構成された絶縁要素が配置されている。排ガス加熱器20の固定的な結合は、キャリヤ要素38,40、加熱導体32,34およびこれらの加熱導体32,34を互いに電気的に絶縁した状態で支持する絶縁要素を貫通する複数のねじボルト等によって実現することができる。
【0026】
図示された構成例では、両方の加熱導体32,34は、互いに直列に接続されている。このことは、たとえばメアンダ状の構造で延びる加熱導体区分により構成されていてよい両方の加熱導体32,34のそれぞれが、それぞれ他方の加熱導体の接続端部に導電接続する接続端部を有していることを意味する。したがって、各加熱導体32,34は、別の接続端部42,44を有しており、これらの接続端部42,44を介して、互いに直列接続された両方の加熱導体32,34は、
図1において認識可能なコンタクト装置46を介して、たとえば車両内に設けられたバッテリのような電圧源に導電接続されている。
【0027】
この導電接続を行うために、各接続端部42,44に対応して、たとえば金属薄板材料から構成された接続要素48,50が設けられている。各接続要素48,50は、加熱導体32,34の対応する接続端部42,44に、たとえば材料結合部、つまりたとえば溶接またははんだ付けによって結合された接続区分52,54と、この接続区分から排ガス主流方向Aまたは長手方向軸線L1、L2の方向に屈曲させられ、したがって排ガス処理ユニットケーシング22に向かって延びるオーバラップ延在区分56,58とを有している。両方のオーバラップ延在区分56,58は、軸方向でキャリヤ装置36を超えて、排ガス主流方向Aもしくは両方の長手方向軸線L1,L2の方向で互いに周方向で隣接して、コンタクト装置46もしくは排ガス処理ユニットケーシング22の延在領域にまで延びている。このことを可能にするために、排ガス処理ユニットケーシング22は、両方のオーバラップ延在区分56,58に対応して、排ガス処理ユニットケーシング長手方向軸線L2の方向かつ上流側に向かう方向で開くオーバラップ延在区分収容切欠き60を有している。オーバラップ延在区分収容切欠き60の領域では、排ガス処理ユニット26の外周面は、排ガス処理ユニットケーシング22により覆われていない。キャリヤ装置28も、この領域において切欠きを有しており、これにより、オーバラップ延在区分56,58を収容するための空間を提供することができる。したがって、オーバラップ延在区分56,58は、軸方向で排ガス処理ユニットケーシング22の上流側の端部領域24に配置された排ガス処理ユニット26にオーバラップし、軸方向もしくは周方向で排ガス処理ユニットケーシング22にオーバラップしている。
【0028】
各オーバラップ延在区分56,58に対応して、コンタクト装置46は、コンタクトキャリヤ装置62によって排ガス加熱器ケーシング16において支持された導電性のコンタクト要素64,66を含んでいる。コンタクト要素64,66の、排ガス加熱器ケーシング16内に露出した端部区分は、たとえば、それぞれのオーバラップ延在区分56,58に設けられたそれぞれの対応する開口内に挿入されており、この領域において、対応配置されたオーバラップ延在区分56,58に、材料結合部、たとえば溶接またははんだ付けにより固定的に結合されている。
【0029】
排ガス処理ユニット26の外面に対して十分な軸方向の間隔でオーバラップ延在区分56,58を配置することができるようにするために、排ガス加熱器ケーシング16には、コンタクトキャリヤ装置62が排ガス加熱器ケーシング16に支持されている領域において、コンタクトユニット支持突出部68を提供する半径方向の成形部が設けられており、この成形部は、排ガス処理ユニットケーシング22の上流側の端部領域24に少なくとも部分的にオーバラップしている。したがって、コンタクトユニット支持突出部68の領域において、コンタクト装置46は、半径方向でさらに外方に向かってずらされて位置決めされている。したがって、オーバラップ延在区分56,58のそれぞれを、コンタクトキャリヤ装置62に関連してそれぞれのコンタクトユニット70もしくは72を提供しているコンタクト要素64,66のそれぞれに電気的に接触接続させるための十分な構造空間が設けられている。
【0030】
接続要素48,50を提供することによって、コンタクト装置46の位置決めを排ガス加熱器ケーシング長手方向軸線L1の方向での排ガス加熱器20の位置決めから実質的に独立して選択する可能性が生じる。同時に、排ガス処理ユニット26を排ガス加熱器20に向かってさらに上流側の方向にずらして位置決めする可能性が生じ、これにより利用可能な構造空間を効率的に利用することができる。コンタクト装置46をさらに半径方向外方に向かってずらすことに基づいて、接続要素48,50と排ガス処理ユニット26との相互の妨害は、このような排ガス装置10の構造において不可避に発生する製造誤差を考慮しても回避される。
【0031】
最終的に、本発明の本質を逸脱することなしに、上述した構造において種々異なる変更を実施することができることを指摘する。したがって、たとえば、排ガス処理ユニットケーシング22は、原則的に、排ガス処理ユニット26が上流側の端部領域24全体において排ガス処理ユニットケーシング22を超えて突出し、したがって、切欠きの領域だけではなく、周方向領域全体において排ガス処理ユニットケーシング22に覆われていないように、短く形成されていてもよい。両方の接続要素48,50もしくはそれらのオーバラップ延在区分56,58は、互いに対してより大きな周方向間隔で位置決めされていてもよく、これにより、たとえばオーバラップ延在区分56,58のそれぞれに対応して、排ガス処理ユニットケーシング22が別個のオーバラップ延在区分収容切欠き60を有している。コンタクトユニット70,72もしくはそれらのコンタクト要素64,66も、より大きな周方向間隔で、かつたとえば排ガス加熱器ケーシング16の互いに異なる軸方向領域において配置され、たとえば別個のコンタクトキャリヤ装置62を介して、このコンタクトキャリヤ装置62に対応する別個のコンタクトユニット支持突出部68に設けられていてよい。
【0032】
さらに、たとえば、排ガス加熱器20が、唯1つの、たとえば実質的にプレート状の加熱導体のみにより構成されていてもよく、または排ガス主流方向Aで相前後して続く2つよりも多い加熱導体を有していてもよいことに留意されたい。複数の加熱導体を備える構成では、これらの加熱導体は互いに並列接続されていてもよく、これにより、接続区分74,76を提供する各接続要素48,50は、次いでこれらの加熱導体の複数の接続端部に導電接続されている。代替的には、接続要素48,50またはこれらの接続要素48,50のうちの少なくとも1つの接続要素が、1つまたは場合によっては互いに異なる加熱導体の統合された構成部材として形成されていてよく、これにより、コンタクトユニット70,72のうちの1つのコンタクトユニットに接続するためにそれぞれ使用される接続区分74,76が、別個の構成部材により提供されているのではなく、加熱導体の、それぞれの接続端部42,44も提供する1つの区分によって提供されている。