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特許7495476ノズルから基板上に金属ナノ粒子組成物を供給する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ノズルから基板上に金属ナノ粒子組成物を供給する方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20240528BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240528BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240528BHJP
   B22F 1/054 20220101ALI20240528BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05D7/00 H
B05D7/24 303C
B22F1/054
H05K3/10 D
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2022501050
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 IB2020057100
(87)【国際公開番号】W WO2021019435
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】62/879,832
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/903,053
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521318941
【氏名又は名称】エックスティーピーエル エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼイジャック,マテウシュ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァク,ウルシュラ
(72)【発明者】
【氏名】コワルジェフスキ,ピョートル
(72)【発明者】
【氏名】グラネック,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コタルスキー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ティベル,マチェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジエバ,シモン
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-087788(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0121054(KR,A)
【文献】特表平05-506753(JP,A)
【文献】特開平04-223390(JP,A)
【文献】特開昭61-123192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05C 1/00-21/00
C09D 11/00-13/00
B22F 1/00-33/02
H05K 3/10-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の軌道に沿って金属ナノ粒子組成物を供給する方法であって、
入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の細長い流体通路とを含むノズルを提供するステップであって、前記出口は、前記基板に向かって下方を向き、前記出口は、出口サイズによって特徴付けられる、ステップと、
金属ナノ粒子組成物を前記ノズルに提供するステップと、
前記ノズルを初期化するステップと、
流体ブリッジを初期化するステップと、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給するステップと
を含み、
前記ノズルを初期化する前記ステップは、前記組成物を前記出口から流すために、前記ノズルにおいて前記組成物に初期圧力を加えることと、前記組成物が前記基板上に流れないように、前記基板の上方の初期高さに前記出口を位置付けることとを含み、
流体ブリッジを初期化する前記ステップは、前記ノズルを初期化する前記ステップ後に実行され、及び(1)流体ブリッジが前記出口と前記基板との間に形成され、且つ前記出口が前記基板と直接接触しないように、前記出口を前記初期高さから前記基板に向かって下降させることと、(2)前記初期圧力よりも低い、調整された圧力を前記組成物に加えることとを含み、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給する前記ステップは、流体ブリッジを初期化する前記ステップ後に実行され、及び前記基板上の前記軌道に沿って前記ノズルを横方向に移動させる間、前記調整された圧力以下の供給圧力を前記組成物に加えることを含む、方法。
【請求項2】
前記流体通路は、前記出口に向かって次第に細くなるテーパ部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期高さは、5μm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ノズルの垂直位置を調整するステップは、前記基板の上方の調整された高さまで前記出口を下降させることを含み、前記調整された高さは、50nm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記出口サイズは、700nm~40μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出口サイズは、700nm~5μmの範囲である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記初期圧力は、1.0バール~3.0バールの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記調整された圧力は、10ミリバール~200ミリバールの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記供給圧力は、0ミリバール~100ミリバールの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、銀ナノ粒子又は銅ナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物の粘度は、25℃で少なくとも2000cPである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ノズルから前記組成物を供給する前記ステップは、前記基板上の前記軌道に沿った上向きの段で前記ノズルを上昇させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上向きの段で前記ノズルを前記上昇させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、同時に実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上向きの段で前記ノズルを前記上昇させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、順次実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ノズルから前記組成物を供給する前記ステップは、前記基板上の前記軌道に沿った下向きの段で前記ノズルを下降させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
下向きの段で前記ノズルを前記下降させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、同時に実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
下向きの段で前記ノズルを前記下降させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、順次実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
基板上の軌道に沿って金属ナノ粒子組成物を供給する方法であって、
入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の細長い流体通路とを含むノズルを提供するステップであって、前記出口は、前記基板に向かって下方を向き、前記出口は、出口サイズによって特徴付けられる、ステップと、
金属ナノ粒子組成物を前記ノズルに提供するステップと、
メニスカスを初期化するステップと、
流体ブリッジを初期化するステップと、
前記ノズルの垂直位置を調整するステップと、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給するステップと
を含み、
メニスカスを初期化する前記ステップは、前記基板の上方の初期高さに前記出口を位置付けることと、メニスカスを前記出口から前記基板に向かって下方に突出させるために、前記ノズルにおいて前記組成物に初期圧力を加えることとを含み、
流体ブリッジを初期化する前記ステップは、メニスカスを初期化する前記ステップ後に実行され、及び流体ブリッジが前記出口と前記基板との間に形成され、且つ前記出口が前記基板と直接接触しないように、前記出口を前記基板の上方の中間高さに下降させることと、前記組成物に中間圧力を加えることとを含み、
前記ノズルの垂直位置を調整する前記ステップは、流体ブリッジを初期化する前記ステップ後に実行され、及び前記流体ブリッジが前記出口及び前記基板と接触し続けるように、前記中間高さよりも大きい、前記基板の上方の調整された高さに前記出口を位置付けることと、調整された圧力を前記組成物に加えることとを含み、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給する前記ステップは、前記ノズルの垂直位置を調整する前記ステップ後に実行され、及び前記基板上の前記軌道に沿って前記ノズルを横方向に移動させる間、供給圧力を前記組成物に加えることを含む、方法。
【請求項19】
前記初期高さは、30μm~80μmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中間高さは、1μm~5μmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記調整された高さは、10μm~20μmの範囲の差だけ前記中間高さよりも大きい、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記出口サイズは、100μm~150μmの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記初期圧力は、25ミリバール~100ミリバールの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記中間圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記調整された圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記供給圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物は、銅ナノ粒子又は銀ナノ粒子を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物の粘度は、25℃で少なくとも250cPである、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記粘度は、25℃で少なくとも1000cPである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ノズルから前記組成物を供給する前記ステップは、前記基板上の前記軌道に沿った上向きの段で前記ノズルを上昇させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
上向きの段で前記ノズルを前記上昇させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、同時に実行される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上向きの段で前記ノズルを前記上昇させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、順次実行される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ノズルから前記組成物を供給する前記ステップは、前記基板上の前記軌道に沿った下向きの段で前記ノズルを下降させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
下向きの段で前記ノズルを前記下降させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、同時に実行される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
下向きの段で前記ノズルを前記下降させること及び前記ノズルを前記横方向に移動させることは、順次実行される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ノズルは、垂直に対して傾けられ、傾き角は、30°~60°の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項37】
基板上の軌道に沿って金属ナノ粒子組成物を供給する方法であって、
入口と、出口と、前記入口と前記出口との間の細長い流体通路とを含むノズルを提供するステップであって、前記出口は、前記基板に向かって下方を向き、前記出口は、出口サイズによって特徴付けられる、ステップと、
金属ナノ粒子組成物を前記ノズルに提供するステップと、
ノズルを初期化するステップと、
流体ブリッジを初期化するステップと、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給するステップと
を含み、
前記ノズルを初期化する前記ステップは、前記ノズルにおいて前記組成物に初期圧力を加えることと、前記組成物が前記基板上に流れないように、前記基板の上方の初期高さに前記出口を位置付けることとを含み、
流体ブリッジを初期化する前記ステップは、前記ノズルを初期化する前記ステップ後に実行され、及び(1)流体ブリッジが前記出口と前記基板との間に形成され、且つ前記出口が前記基板と直接接触しないように、前記出口を前記初期高さから前記基板に向かって下降させることと、(2)前記初期圧力よりも低い、調整された圧力を前記組成物に加えることとを含み、
前記ノズルから前記基板上に前記組成物を供給する前記ステップは、流体ブリッジを初期化する前記ステップ後に実行され、及び前記基板上の前記軌道に沿って前記ノズルを横方向に移動させる間、前記基板上に前記組成物を供給するために十分な供給圧力を前記組成物に加えることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ナノ粒子組成物及び流体印刷装置における最近の進展により、約1μm~20μmの範囲の線幅を有する伝導性ナノ粒子特徴の供給が可能となっている。印刷装置は、出口及び入口を有するノズルを含み、出口は、出口サイズによって特徴付けられる。線幅制御は、流体(例えば、金属ナノ粒子組成物)が出口を通して基板上に供給される間、特定の出口サイズの出口を基板と接触させることによって部分的に実現される。
【0002】
場合により、平坦でない表面上に流体を供給する必要がある。既存の特徴が基板上にある場合、流体が供給される表面は、平坦でないことがあり得る。既存の特徴は、トランジスタ、抵抗器及びワイヤを含む導電性特徴等の回路要素であり得る。印刷装置が、基板と接触するノズルで流体を供給する場合、既存の伝導性特徴を横切ることが難しい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、ノズルから基板上に流体を供給するための改良された方法が必要とされている。そのような方法により、ノズルが基板上の軌道に沿って上向きの段又は下向きの段を横切ることが可能であるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
1つの態様において、基板上の軌道に沿って金属ナノ粒子組成物を供給する方法は、ノズルを初期化するステップと、流体ブリッジを初期化するステップと、ノズルから基板上に組成物を供給するステップとを含む。組成物は、ノズルからその出口を通して供給される。出口は、出口サイズによって特徴付けられる。第1に、ノズルを初期化するステップでは、組成物を出口から流すために、ノズルにおいて組成物に初期圧力が加えられ、及び組成物が基板上に流れないように、出口が基板の上方の初期高さに位置付けられる。第2に、流体ブリッジを初期化するステップでは、出口は、流体ブリッジが出口と基板との間に形成されるように基板に向かって下降され、及び調整された圧力がノズルにおいて組成物に加えられる。調整された圧力は、組成物が出口から流れ続けるために必要とされるものよりも低い。第3に、ノズルから流体を供給するステップでは、ノズルが基板上の軌道に沿って横方向に移動される間、供給圧力が流体に加えられる。供給圧力は、調整された圧力以下である。
【0005】
別の態様において、基板上の軌道に沿って金属ナノ粒子組成物を供給する方法は、メニスカスを初期化するステップと、流体ブリッジを初期化するステップと、ノズルの垂直位置を調整するステップと、ノズルから基板上に組成物を供給するステップとを含む。組成物は、ノズルからその出口を通して供給される。出口は、出口サイズによって特徴付けられる。第1に、メニスカスを初期化するステップでは、出口が基板の上方の初期高さに位置付けられ、及びメニスカスを出口から下方に突出させるためにノズルにおいて組成物に初期圧力が加えられる。第2に、流体ブリッジを初期化するステップでは、流体ブリッジが出口と基板との間に形成されるように、出口は、基板の上方の中間高さに下降され、及び組成物に中間圧力が加えられる。第3に、ノズルの垂直位置を調整するステップでは、流体ブリッジが出口及び基板と接触し続けるように、出口は、調整された高さに上昇され、及び調整された圧力が組成物に加えられる。第4に、ノズルから流体を供給するステップでは、ノズルが基板上の軌道に沿って横方向に移動される間、供給圧力が流体に加えられる。
【0006】
本発明の上記の概要は、本発明の開示される実施形態のそれぞれ又は本発明のすべての実装形態を記載することを意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより詳細に例示する。本出願の全体にわたるいくつかの箇所では、実施例を通して指針が提供され、それらの実施例は、様々な組合せで使用することができる。リストの各例において、列挙されるリストは、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的なリストとして解釈するべきではない。
【0007】
図の簡単な説明
本開示は、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮して、添付図面に関連してさらに詳細に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】基板上に印刷された伝導性特徴を形成するプロセスのフロー図である。
図2】例示的な流体印刷装置のブロック図である。
図3】ガラス毛細管の概略側面図である。
図4】ガラス毛細管の一部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図5】低倍率下における、ガラス毛細管のテーパ部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図6】高倍率下における、ガラス毛細管のテーパ部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図7】高倍率下における、集束イオンビーム処理後の出力部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図8】微細構造流体エジェクタを形成する方法のフロー図である。
図9】ステンレス鋼針の概略側面図である。
図10図9のステンレス鋼針の先端部の概略底面図である。
図11】第1の実施形態による印刷方法のフロー図である。
図12】第2の実施形態による印刷方法のフロー図である。
図13】プリントヘッドの切断概略側面図である。
図14】約3.7μmの線幅を有する印刷された銀ナノ粒子特徴の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図15図14の印刷された銀ナノ粒子特徴の一部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図16図14の印刷された銀ナノ粒子特徴の一部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図17図14の印刷された銀ナノ粒子特徴の一部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図18】約4.5μmの線幅を有する印刷された銀ナノ粒子特徴の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図19図18の印刷された銀ナノ粒子特徴の断面の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図20】約350μmの線幅を有する印刷された銅ナノ粒子特徴の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図21図20の印刷された銅ナノ粒子特徴の断面の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図22】別の印刷された銀ナノ粒子特徴の断面の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図23】段を含む基板の概略断面図である。
図24】基板上の段を横切る軌道の概略断面図である。
図25】基板上の段を横切る軌道の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態の詳細な説明
本開示は、金属ナノ粒子組成物及びこれらの金属ナノ粒子組成物を調製する方法に関する。
【0010】
本開示において、単語「好ましい」及び「好ましくは」とは、特定の状況下で特定の利益をもたらすことができる本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況又は他の状況下では、他の実施形態も好ましいことがあり得る。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0011】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が本説明及び特許請求の範囲に現れる場合、限定する意味を有するものではない。
【0012】
特に明記しない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され、1つ又は複数を意味する。
【0013】
端点による数値範囲の記述は、その範囲に含まれるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0014】
別個のステップを含む、本明細書に開示される任意の方法について、ステップは、任意の実現可能な順序で実行することができる。必要に応じて、2つ以上のステップの任意の組合せを同時に実行することができる。
【0015】
図1は、基板の印刷可能面上に伝導性特徴を形成するプロセス10のフロー図である。本開示において、金属ナノ粒子は、伝導性特徴を形成するために使用される。様々な金属ナノ粒子のうち、銀ナノ粒子及び銅ナノ粒子は、銀及び銅の高い電気伝導性のために重要である。例えば、20nm~80nmの範囲の平均粒子サイズを有する銀ナノ粒子及び50nm~225nmの範囲の平均粒子サイズを有する銅ナノ粒子が考えられている。銀と比べてより低い銅のコストのため、より大きい線幅(より広い線)を実現するために銅ナノ粒子を使用することが好ましいことがある。
【0016】
ステップ12では、金属ナノ粒子が作られる。一般に、溶液中の金属ナノ粒子の合成は、3つの成分を採用する。(1)金属前駆体(例えば、銀ナノ粒子のためのAgNO及び銅ナノ粒子のためのCu(NO)。(2)還元剤(例えば、銀ナノ粒子のためのエチレングリコール及び銅ナノ粒子のための次亜リン酸ナトリウム)。(3)安定(キャッピング)剤(例えば、ポリビニルピロリドン)。PVPと略されるポリビニルピロリドンは、水及び他の極性溶媒に可溶である。PVPが分散剤として効果的に使用されると、PVPが銀又は銅ナノ粒子の凝集を低減するため、PVPポリマで覆われた(キャップされた)安定なコロイド銀ナノ粒子又は銅ナノ粒子を小さいサイズ(<250nm)で得ることができる。銀ナノ粒子及び銅ナノ粒子の合成は、以下の実施例で詳細に記載する。
【0017】
銀ナノ粒子の平均サイズは、20nm~80nmの範囲で制御することができる。銅ナノ粒子の平均サイズは、50nm~225nmの範囲で制御することができる。平均粒子サイズ及び分散度は、熱力学及び動力学的反応パラメータを制御することによって制御することができる。反応温度、温度ランプ及び反応時間は、重要な熱力学的反応パラメータである。第2の場合において、試薬を添加する試薬添加速度及び安定剤(PVP)に対する使用された金属前駆体のモル比は、重要な動力学的反応パラメータである。これらのパラメータを適切に組み合わせることは、小さい粒子サイズ、低い分散度及び高い分散安定性(凝集の発生が少ない)の望ましい特性を示すナノ粒子を得ることにつながる。
【0018】
ステップ14では、金属ナノ粒子組成物は、ステップ12からの金属ナノ粒子から作られる。金属ナノ粒子組成物の調製は、以下の実施例で詳細に記載する。一般に、ナノ粒子は、不純物及び過剰なPVPを除去するために分離されて、第1の溶媒及び任意選択的な第2の溶媒を含む溶媒混合液中に分散する。金属ナノ粒子組成物は、任意選択的に、その物理化学的特性をより適切に制御するために添加剤を含み得る。これらの添加剤は、界面活性剤、バインダー、接着促進剤及び消泡剤を含む。本発明者らは、このような添加剤の濃度が金属ナノ粒子組成物中の3重量%以下又は金属ナノ粒子組成物中の1重量%以下であることが好ましいことを見出した。
【0019】
ステップ16では、金属ナノ粒子組成物は、流体印刷装置を使用して基板の印刷可能面上に供給される。本明細書に記載される実験結果において、組成物は、供給された特徴を形成するために清浄なガラス基板上に供給される。例示的な流体印刷装置の詳細及び印刷の方法は、図2~13を参照して詳細に記載される。それでも、本明細書に記載の金属ナノ粒子組成物は、これらの例示的な流体印刷装置の使用に限定されない。
【0020】
ステップ18では、加工物、すなわちその上に特徴が供給された基板は、任意選択的な前処理を受ける。例えば、加工物は、熱対流炉において、100℃~300℃の範囲の温度で5分~60分間にわたって前処理することができる。前処理ステップ中、前駆体特徴中に残る溶媒は、気化される。前処理ステップは、供給された特徴の基板への接着性を改善し得ることが見出された。
【0021】
ステップ20では、加工物は、焼結される。例えば、加工物は、熱対流炉において、300℃~500℃の温度で5分~90分間にわたって焼結させることができる。代わりに、レーザ又はフラッシュランプの使用等によるフォトニック焼結を使用することができる。キャッピング剤としてPVPを使用することにより、金属ナノ粒子組成物中のナノ粒子の凝集が低減するが、PVPによるナノ粒子表面のキャッピングは、電気伝導性をより低くする。焼結プロセスは、PVP及び有機残留物を除去する。したがって、焼結は、得られた伝導性特徴に高い電気伝導性をもたらすために重要である。
【0022】
【表1】
【0023】
金属ナノ粒子組成物での使用に好適ないくつかの溶媒は、それらの物理化学的特性(分子量、密度、沸点、粘度、水酸基の数及び表面張力)とともに表1に列挙される。溶媒は、すべて非水性極性プロトン性溶媒であり、分子構造中に2つ又は3つの水酸基を有する。沸点は、187.4℃(プロピレングリコール)~290℃(グリセリン)の範囲であり、粘度は、48.6cP(プロピレングリコール)~約10cP(グリセリン)の範囲である。
【0024】
いくつかの異なる金属ナノ粒子組成物が考えられてきた。例示的な組成物は、以下の表2にまとめられている。実施例1、2、3、4及び9の組成物は、様々な濃度(32~54重量%の範囲)の銅ナノ粒子(160nmの平均ナノ粒子サイズ)を含有し、実施例5、6、7、8、10及び11の組成物は、様々な濃度(55重量%~60重量%の範囲)の銀ナノ粒子(45nmの平均ナノ粒子サイズ)を含有する。表2に列挙された実施例のすべてにおいて、プロピレングリコールが第1の溶媒として使用される。いくつかの実施例(実施例1、2、3、6、7及び9)では、グリセリンの第2の溶媒が使用され、他の実施例(実施例4、5、8、10及び11)では、第2の溶媒は、使用されない。実施例1、2、3、6、7及び9の組成物は、様々な濃度(約4重量%~9重量%の範囲)のグリセリンの第2の溶媒を含有する。さらに、実施例2の組成物は、0.3重量%の濃度のポリエーテル変性シロキサン界面活性剤(BYK-349)と、配合段階中に組成物に添加される約2重量%の濃度のPVP(K30グレード)とを含有する。
【0025】
【表2】
【0026】
本発明の金属ナノ粒子組成物は、流体印刷装置での使用に好適である。例示的な流体印刷装置及び印刷の方法は、図2~13を参照して記載される。
【0027】
例示的な流体印刷装置は、図2を参照して説明される。図2は、例示的な流体印刷装置のブロック図である。流体印刷装置100は、基板ステージ102と、プリントヘッド104と、空気圧システム106と、プリントヘッド位置決めシステム108と、撮像システム114とを含む。基板110は、印刷(供給)中、基板ステージ102上の所定の位置に固定され、上向きであり且つプリントヘッド104に面する印刷可能面112を有する。プリントヘッド104は、基板110の上方に位置付けられる。プリントヘッドは、ノズル200を含み、ノズル200は、出口166(図7)又は出口38(図9及び10)を含む。
【0028】
基板110は、ガラス又はシリコン等の任意の好適な材料であり得る。可撓性基板又は剛性基板を使用することができる。さらに、基板は、既存の金属配線、回路又は基板上に堆積した他の材料を有することができる。例えば、本開示は、既存の回路にオープン欠陥がある領域に線を印刷することができるオープン欠陥修復装置に関する。このような場合、基板は、液晶表示装置(LCD)又は微小発光ダイオード(マイクロLED)アレイのための薄膜トランジスタアレイ基板であり得る。
【0029】
プリントヘッドは、ノズルを含む。市販のガラス毛細管をノズルとして使用することができる。例えば、0.5μmの先端の内径及び0.7μmの先端の外径を有する毛細ガラス管(Eppendorf(商標)Femtotips(商標)II Microinjection Capillary Tips)は、Fisher Scientificから入手可能である。市販のガラス毛細管120は、図3に概略的に示される。ガラス毛細管は、第1の端部の入口124と、第1の端部の反対側の第2の端部の出口132と、入口124と出口132との間の細長い流体通路とを有する。プラスチックハンドル122は、ガラス毛細管120の外周に取り付けられている。プラスチックハンドル122は、入口(入力端部)124及びその近傍に配置され、外部本体又は外部導管(図3に示されていない)へのネジ連結を可能にする、入口124の近くのネジ部126を含む。入口124は、1.2mmの内径を有する。
【0030】
ガラス毛細管は、細長い入力部128及びテーパ部130を含む。ガラス毛細管120の外から見える部分134が存在する。細長い入力部128の一部は、周囲のプラスチックハンドル122によって隠され得る。テーパ部130は、出口(出力端部)132に向かって次第に細くなる(特定のFemtotips(商標)II Microinjection Capillary Tipsの場合、0.5μmの内径及び0.7μmの先端の外径を有する)。細長い入力部128から出口132へのテーパ部130に沿った直径の減少は、図4~6により明確に示されている。図4は、ガラス毛細管120の外から見える部分134全体の走査電子顕微鏡写真図(複数のSEM画像を縫合することから形成される)である。走査電子顕微鏡(SEM)の低倍率下で観察された、出口132を含むテーパ部130の第1の拡大領域136が図5に示されている。さらに、走査電子顕微鏡(SEM)の高倍率下で観察された、第1の拡大領域136内に配置された第2の拡大領域138が図6に示されている。外径は、出口132(図6)において最も小さく、出口132からの長手方向に離れるにつれて大きくなる。
【0031】
多くの場合、出口のサイズ(出口サイズ)を増加させることが望ましい。テーパ部130に沿った好適な長手方向位置でガラス毛細管120を切断することにより、出口サイズを増加させることが可能である。この切断方法150は、図8を参照して説明される。切断は、集束イオンビーム(FIB)装置を使用して行われ得る。ステップ152では、例えば、図3に示されるガラス毛細管120が提供される。ステップ154では、ガラス毛細管は、集束イオンビーム(FIB)装置に設置される。例えば、プラズマ源XeFIB(PFIBとも呼ばれる)が使用される。ステップ156では、テーパ部130に沿った長手方向位置が選択され、ガラス管を切断するために十分なエネルギー密度を有する集束イオンビームがその位置に向けられる。ステップ156では、選択された長手方向位置のテーパ部全体で集束イオンビームを使用して切断される。前のステップ156が完了した後、(FIB装置の)走査電子顕微鏡は、先端の外径若しくは内径又はその両方を測定するために使用される(ステップ158)。測定された内径若しくは外径又はその両方があまりに小さい場合、ステップ156は、テーパ部に沿った別の長手方向位置で実行され、及びステップ158が実行される。所望の出口サイズが得られるまでステップ156及び158が繰り返される。図7に示されるように、最終的な切断(ステップ156の最終的な繰り返し)は、出口オリフィス168及び端面170を含む(仕上げられた)出口166を画定する。本明細書において、仕上げられた出口166は、方法150(図8)に従って切断及び研磨された出口を意味する。図7に示される実施例では、出口内径は、2.153μmであると測定され、出口外径は、2.504μmであると測定されている。本発明者らは、出口外径を出口サイズと呼ぶ。ガラス毛細管120について、700nm~40μmの範囲の出口サイズ又は700nm~5μmの範囲の出口サイズが可能であり、これらの出口サイズをここでの印刷(供給)方法で使用することができる。
【0032】
その後、ステップ160では、集束イオンビームのエネルギーは、減少し、集束イオンビームは、端面170に向けられる。端面170は、集束イオンビームを使用して研磨され、0.1μm未満、好ましくは1nm~20nmの範囲の表面粗さを有する端面が得られる。図7に示される端面の例では、端面が0.1μm未満の表面粗さを有することは、外径及び内径の大きさから導き出すことができる。FIB装置の研磨能力を考慮すると、端面の表面粗さは、1nm~20nmの範囲であり得ると考えられる。ステップ160の終了後、微細構造流体エジェクタ(ノズル)200が得られる。その後、ステップ162では、微細構造流体エジェクタ200がFIB装置から取り外される。さらに、0.1バール(10,000Pa)~10バール(1,000,000Pa)の圧力を加えながら溶媒に浸漬することにより、微細構造流体エジェクタ(特に出力部)を清浄にすることが好ましい(ステップ164)。本発明者らは、印刷流体で使用される溶媒と同一である溶媒を使用することが効果的であることを見出した。例えば、印刷流体がプロピレングリコールを含有する場合、このステップ164において清浄するための溶媒としてプロピレングリコールを使用することが効果的であることが見出された。前述は、ガラス毛細管の改良によって得られる微細構造流体エジェクタの例の説明である。より一般的には、微細構造流体エジェクタは、プラスチック、金属及びシリコン等の他の材料又は複数の材料の組合せから得ることができることが意図される。ステップ162及び/又はステップ164の終了後、微細構造流体エジェクタは、直ちに使用可能である。
【0033】
市販のステンレス鋼針をノズルとして使用することができる。例えば、World Precision InstrumentsのNanoFil(商標)Needlesと呼ばれるステンレス鋼針が利用可能である。針部品番号NF35BL-2及びNF36BL-2が使用されている。ステンレス鋼針30の側面図が図9に概略的に示されている。針30は、作業時に注射器に取り付けられる入口36と、出口38と、入口36と出口38との間の細長い流体通路部40とを有する。流体通路部40は、入口36を含む軸部32と、出口38を含む先端部34とを含む。軸部の長さ42は、30mmであり、軸部の外径46は、460μmである。先端部の長さ44は、5mm(NF35BL-2)又は3mm(NF36BL-2)である。図10は、先端部34の底部概略図であり、出口38をより詳細に示す。針先端部34は、外径62によって特徴付けられる外壁52と、内径64によって特徴付けられる内壁54とを有する。外径62は、135μm(NF35BL-2)又は120μm(NF36BL-2)である。内径64は、55μm(NF35BL-2)又は35μm(NF36BL-2)である。先端部34の外径62は、出口サイズと呼ばれることもある。針30について、出口サイズは、好ましくは、100μm~150μmの範囲である。
【0034】
図11及び12は、それぞれ第1の実施形態及び第2の実施形態による印刷方法のフロー図である。例えば、図11に示される方法は、ノズル200として微細構造流体エジェクタを使用する。ガラス毛細管から微細構造流体エジェクタを作ることは、図8を参照して説明された。図11の方法は、銀ナノ粒子組成物を供給するために使用され(実施例5、6、7、8及び10)、銀ナノ粒子を印刷した特徴の例は、図14、15、16、17、18、19及び22に示される。図11の方法は、銅ナノ粒子組成物を含む他の金属ナノ粒子組成物を供給するために使用することもできる。
【0035】
例えば、図12に示される方法は、ノズル200としてステンレス鋼針(図9及び10)を使用する。図12の方法は、銅ナノ粒子組成物を供給するために使用され(実施例1、2、3、4及び9)、銅ナノ粒子を印刷した特徴の例は、図20及び21に示される。図12の方法は、銀ナノ粒子組成物を含む他の金属ナノ粒子組成物を供給するために使用することができる。
【0036】
図11は、流体印刷装置が作動する(図2)供給方法180のフロー図である。方法180は、図1のステップ16に対応する。ステップ182では、基板ステージ102と、空気圧システム106と、プリントヘッド位置決めシステム108と、撮像システム114とを含む流体印刷装置100のシステムが提供される。ステップ184では、プリントヘッド104が提供される。例えば、これは、ノズル200としての使用のために、方法150(図8)に従って微細構造流体エジェクタを調製することを含む。ステップ186では、基板110が調製され、それは、流体印刷装置100の基板ステージ上の適切な位置に基板を位置付けることを含む。ステップ186は、任意選択的に、基板を清浄することを含み得る。
【0037】
プリントヘッド104の例が図13に示されている。プリントヘッド104は、微細構造流体エジェクタ(ノズル)200を含む。ノズル200の一部及びそのプラスチックハンドル122は、外部ハウジング204に収容される。細長い入力部128は、外部ハウジング204から下向きに延在する。出口オリフィス168及び端面170(図7)を含む出口166は、細長い入力部128の下方(下流)に配置される。テーパ部130は、出口166と細長い入力部128との間に配置される。外部ハウジング204は、空気圧導管210及び流体導管208を含む本体202を収容する。空気圧導管210及び流体導管208は、いずれもプラスチックハンドル122の入口124に接続される。プラスチックハンドル122は、プラスチックハンドル122のネジ部126によって本体202に取り付けられる。空気圧導管210は、空気圧コネクタ216の出力端部218を空気圧導管210に取り付けるために使用される、その入力端部上のネジ部214を有する。空気圧コネクタ216は、空気圧システム106が接続される(図13に示されていない)入力端部220を有する。流体(例えば、ナノ粒子組成物)は、流体導管208を介してノズル200に供給される。図13に示されるように、流体がノズル200に供給された後、流体導管208は、流体入口プラグ212で塞がれる。ナノ粒子組成物は、プリントヘッド104のノズル200に蓄えることができるか、又はナノ粒子組成物は、流体導管208を介してプリントヘッド104にインクを供給する流体リザーバに蓄えることができる。
【0038】
ステップ188(図11)は、出口166が基板110に向かって下向きになるように、基板110の上方にプリントヘッド104のノズルを設置することを含む。ステップ188は、ステップ14(図1)で作られた金属ナノ粒子組成物をノズル200に供給することをさらに含む。これは、ナノ粒子組成物をノズル200に移送することによって実現される。ステップ188は、空気圧システム106をプリントヘッド104に連結することをさらに含む。通常、空気圧システム106は、ポンプ及び圧力調整器を含む。空気圧システム106は、ノズルの入口に0~6バールの範囲の圧力を加えることが可能であり得る。通常、1バール~3バール、又は1.5バール~3バール、又は2バール~3バールの範囲の圧力(初期圧力)がノズルのナノ粒子組成物に加えられる。初期圧力下において、ナノ粒子組成物は、出口から流れ出る。このステップ188中、出口は、基板110の印刷可能面112の上方において、ナノ粒子組成物が基板上に流れないだけ十分に高さにある。代わりに、ナノ粒子組成物は、ガラス毛細管の端面170及び外壁上に蓄積する。そのような高さは、特に限定されないが、ナノ粒子組成物が基板上に流れない限り、100μm以上、500μm以上又は1mm以上であり得る。
【0039】
プリントヘッド位置決めシステム108は、基板に対するプリントヘッド104の垂直移動及びプリントヘッド104の横移動を制御する。ステップ190では、プリントヘッドは、開始位置に移動される。ステップ190では、プリントヘッド位置決めシステム108は、基板110に対して横方向にプリントヘッド104を移動させるように作動する。基板に対するプリントヘッドの横移動は、以下のオプションの1つを意味する。(1)基板は、静止しており、及びプリントヘッドは、横方向に移動する。(2)プリントヘッドは、横方向に移動せず、及び基板は、横方向に移動する。(3)プリントヘッド及び基板の両方が横方向に移動する。プリントヘッド位置決めシステム108は、横方向位置決め装置及び垂直位置決め装置を含む。一般に、垂直位置決め装置は、プリントヘッドに連結される。オプション(1)では、横方向位置決め装置もプリントヘッドに連結され、プリントヘッドは、横方向及び垂直方向に移動する。オプション(2)では、横方向位置決め装置が基板ステージに連結される。オプション(3)では、基板ステージに連結される第1の横方向位置決め装置及びプリントヘッドに連結される第2の横方向位置決め装置がある。例えば、第1の横方向位置決め装置は、粗動のために使用され得、第2の横方向位置決め装置は、微動のために使用され得る。
【0040】
さらに、ステップ190では、プリントヘッド位置決めシステム108は、ノズルを開始位置まで垂直移動させる。通常、開始位置において、出口166は、基板110の印刷可能面112から5μm~15μmの範囲で上方にある。通常、ノズルは、この開始位置まで下降する。ノズルは、1.0μmずつ開始高さの方に下降させることができる。この開始高さ(開始位置)は、ナノ粒子組成物が基板上に流れないように選択される。ステップ190では、ナノ粒子組成物が流れ続けるために十分な圧力が加えられる。通常、1.0バール~2.0バール又は1.0バール~1.5バールの範囲の圧力がノズルのナノ粒子組成物に加えられる。
【0041】
ステップ192は、ステップ190後に実行される。ステップ192では、出口166と、基板110の印刷可能面112との間の流体ブリッジが形成される。この場合、流体ブリッジは、ナノ粒子組成物によって形成されるブリッジである。流体ブリッジは、出口から突出する流体(ナノ粒子組成物)が基板と接触するように、調整された高さまで基板の方にノズルを下降させることによって形成することができる。ノズルは、0.25μmずつ基板の方に下降させることができる。出口が基板と直接接触するように、ノズルを基板の方に下降させることが可能である。しかしながら、そのような場合、ノズルは、その後、出口がもはや基板と直接接触しないように上昇されなければならない。例えば、ノズルは、出口と基板との間の直接接触の検出時、0.25μm~1.0μmの範囲の垂直距離まで上昇することができる。例えば、撮像システム114は、ノズルの屈曲若しくは形状の変化又は基板の表面からのノズルの反射を検出することにより、ノズルが基板と直接接触することを検出するように構成することができる。基板110の印刷可能面112の上方の出口166の高さとして測定される、調整された高さは、好ましくは、50nm以上である。すべての場合において、ステップ192中、出口は、流体ブリッジが出口と基板との間に形成され、且つ出口が基板と直接接触しないように基板に向かって初期高さから下降される。
【0042】
さらに、ステップ192では、ノズルが基板に向かって下降している間、調整された圧力がノズルにおいてナノ粒子組成物に加えられる。この調整された圧力は、好ましくは、組成物が出口から流れ続けるために必要とされるものよりも低いことが見出された。通常、調整された圧力は、10ミリバール~200ミリバールの範囲である。
【0043】
ステップ194は、ステップ192後に実行される。ステップ192では、ナノ粒子組成物は、ノズル200から基板110上に供給され、同時に、プリントヘッド104は、開始位置から終了位置まで軌道に沿って基板110に対して横方向に移動する。例えば、このステップ192中の横移動の速度は、0.01mm/秒である。このステップ192中、ノズルにおいて組成物に加えられる圧力は、供給圧力と呼ばれる。供給圧力は、基板上に組成物を供給するために十分でなければならない。この供給圧力は、好ましくは、組成物が出口から流れ続けるために必要とされるものよりも低いようにステップ192で選択された調整された圧力以下であることが見出された。通常、供給圧力は、0ミリバール~100ミリバールの範囲である。供給は、ナノ粒子組成物に電界を印加することなく実行される。ナノ粒子組成物の供給(ノズルの横移動)中、出口は、基板上方の調整された高さにあり続け得る。その場合、ノズルは、調整された高さほど高くない高さの段を横切ることが可能であり得る。
【0044】
ステップ196では、基板110に対するプリントヘッド104の横移動が終了位置で完了する。ノズル200は、基板110から離れるように上昇し、より高い圧力がノズルにおいて組成物に加えられる。通常、1.0バール~2.0バール又は1.0バール~1.5バールの範囲の圧力がノズルのナノ粒子組成物に加えられる。通常、出口166が基板110の印刷可能面112より少なくとも5μm上方にあるように、ノズル200は、持ち上げられる。印刷を複数回繰り返して実行するために、所望の繰り返しのすべてが完了するまでステップ190、192、194及び196が繰り返される。基板上の異なる位置に複数の印刷された特徴を形成するか、又はより大きい厚さ及び/又は線幅の単一の印刷された特徴を形成するために、複数回の繰り返しを使用することができる。
【0045】
図12は、流体印刷装置が作動する(図2)供給方法280のフロー図である。方法280は、図1のステップ16に対応する。ステップ182では、流体印刷装置100のシステムは、図11について説明されたように提供される。ステップ284では、プリントヘッド104が提供される。これは、ノズル200として使用されるステンレス鋼針(図9及び10)を提供することを含む。ステップ186では、基板110は、図11について説明されたように調製される。
【0046】
ステップ286(図12)は、針30の出口38が基板110に向かって下向きになるように、基板110の上方にプリントヘッド104のノズルを設置することを含む。針30は、垂直に対して30°~60°の範囲の角度(傾き角)又は40°~60°の範囲の角度で傾けられることが好ましい。ステップ286は、ステップ14(図1)で作られた金属ナノ粒子組成物をノズル200に供給することをさらに含む。これは、ナノ粒子組成物をノズル200に移送することによって実現される。任意選択的に、空気圧システム106は、このステップ286においてプリントヘッド104に連結することができる。しかしながら、ステップ286では、ナノ粒子組成物に圧力が加えられない、したがって、ナノ粒子組成物は、出口から流れない。通常、空気圧システム106は、ポンプ及び圧力調整器を含む。空気圧システム106は、ノズルの入口に0~6バールの範囲の圧力を加えることが可能であり得る。このステップ286中、出口は、ノズルと基板との間に安全な隙間を提供するために、基板の上方の十分な高さにある。そのような高さは、特に限定されないが、100μm以上、500μm以上又は1mm以上であり得る。
【0047】
ステップ288では、プリントヘッドは、プリントヘッド位置決めシステム108の作動によって開始位置に移動される。ステップ290では、メニスカスが初期化される。ステップ290は、基板110の印刷可能面112についての初期高さに位置付けられた出口38によって実行される。この初期高さは、好ましくは、30μm~80μmの範囲である。例えば、初期高さは、約50μmである。ノズルは、ステップ288又はステップ290で初期高さに移動する。プリントヘッド104への空気圧システム106の連結は、ステップ288又はステップ290で実行される。ステップ290では、基板の上方の初期高さに位置付けられた出口38とともに、メニスカスを出口から基板に向かって下方に突出させるために、初期圧力がノズルにおいて組成物に加えられる。初期圧力は、好ましくは、25ミリバール~100ミリバールの範囲である。例えば、初期圧力は、約75ミリバールである。
【0048】
ステップ292は、ステップ290後に実行される。ステップ292では、出口38と、基板110の印刷可能面112との間の流体ブリッジが初期化される。この場合、流体ブリッジは、ナノ粒子組成物によって形成されるブリッジである。ステップ292では、中間圧力がノズルにおいてナノ粒子組成物に加えられる。好ましくは、中間圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である。例えば、中間圧力は、約25ミリバールである。流体ブリッジは、出口から突出するメニスカス(ナノ粒子組成物)が基板と接触するように、中間高さまで基板の方にノズルが下降することによって形成することができる。基板110の印刷可能面112の上方の出口38の高さとして測定される中間高さは、好ましくは、1μm~5μmの範囲である。流体ブリッジが出口と基板との間に形成されるが、出口は、基板と直接接触しない。
【0049】
ステップ294は、ステップ292後に実行される。ステップ294では、ノズルの垂直位置が以下のように調整される。出口38が基板110の印刷可能面112の上方の調整された高さにあるように、ノズルが上昇する。調整された高さは、中間高さよりも大きく、流体ブリッジが出口及び基板と接触し続けるように選択される。好ましくは、調整された高さは、10μm~20μmの範囲の高さの差だけ中間高さよりも大きい。ステップ294では、出口が、調整された高さに位置付けられる調整された圧力は、流体ブリッジが出口及び基板と接触し続けるようにノズルにおいてナノ粒子組成物に加えられる。好ましくは、調整された圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である。例えば、調整された圧力は、約25ミリバールである。
【0050】
ステップ296は、ステップ294後に実行される。ステップ296では、ナノ粒子組成物は、ノズル200から基板110上に供給され、同時に、プリントヘッド104は、開始位置から終了位置まで軌道に沿って基板110に対して横方向に移動する。このステップ296中、ノズルにおいて組成物に加えられる圧力は、供給圧力と呼ばれる。好ましくは、供給圧力は、10ミリバール~50ミリバールの範囲である。例えば、供給圧力は、約25ミリバールである。供給は、ナノ粒子組成物に電界を印加することなく実行される。針30は、垂直に対する傾き角だけ傾けられることが好ましい。好ましくは、傾きの方向は、基板の軌道に沿ったノズルの横移動の方向の横断方向であり、すなわち平行ではない。傾きの結果として、印刷された特徴の線幅は、ノズルが傾けられない場合よりも小さい。ナノ粒子組成物の供給(ノズルの横移動)中、出口38は、基板上方の調整された高さにあり続け得る。その場合、ノズルは、調整された高さほど高くない高さの段を横切ることが可能であり得る。
【0051】
ステップ298では、基板110に対するプリントヘッド104の横移動が終了位置で完了する。ノズル200は、基板110から離れるように上昇し、圧力は、オフにされる。通常、出口166が基板110の印刷可能面112より少なくとも30μm上方にあるように、ノズル200は、持ち上げられる。印刷を複数回繰り返して実行するために、所望の繰り返しのすべてが完了するまでステップ288、290、292、294、296及び298が繰り返される。
【0052】
金属ナノ粒子組成物の用途は、オープン欠陥修復である。伝導性特徴の不連続部は、オープン欠陥と呼ばれる。オープン欠陥は、第1の伝導性特徴と第2の伝導性特徴との間に位置する。オープン欠陥がない場合、1つの連続した伝導性特徴が第1及び第2の伝導性特徴の代わりにあったであろう。第1の伝導性特徴と第2の伝導性特徴との間に延在する新しい伝導性特徴を加えることにより、オープン欠陥の修復を試みることができる。この新たに加えられた伝導性特徴は、修復特徴と呼ぶことができる。オープン欠陥修復(ODR)作業では、プリントヘッドが、1回又は複数回繰り返して、第1の伝導性特徴と第2の伝導性特徴との間の軌道に沿って基板に対して横方向に移動しながら、金属ナノ粒子組成物がノズルから供給される。
【0053】
図14では、ガラス基板110の印刷可能面112の一部を見ることができる。第1の伝導性特徴230及び第2の伝導性特徴232を印刷可能面112上に見ることができる。この例では、金層がガラス基板上に付着され、(伝導性特徴230、232を含む)テストパターンを形成するためにレーザアブレーションによって形作られている。(破線に囲まれて示され、第1の伝導性特徴230と第2の伝導性特徴232との間に位置する)オープン欠陥234は、伝導性特徴が意図されたが、形成されなかった領域を表す。
【0054】
図14は、銀ナノ粒子を含み、伝導性特徴(230、232)間に形成された修復特徴240を示す。修復特徴240は、銀ナノ粒子(濃度56重量%)と、プロピレングリコールの第1の溶媒と、グリセリン(濃度4.6重量%)の第2の溶媒とを含有する、実施例7による金属ナノ粒子組成物を使用して形成されている。修復特徴240は、約3.7μmの線幅及び約410nmの厚さを有する。修復特徴は、第1の伝導性特徴230上の左端点250と第2の伝導性特徴232上の右端点252との間の3つのセグメント(242、244、246)からなる。
【0055】
ナノ粒子組成物は、修復特徴240を形成するために、方法180(図11)に従って複数回繰り返して供給される。図14に示される場合において、修復特徴240は、4回の繰り返しで形成されている。それぞれの繰り返しにおいて、金属ナノ粒子組成物は、以下の軌道に従って供給される。(1)第1の伝導性特徴230の上の端点250で開始する。(2)セグメント242に沿って第1の伝導性特徴230から離れる。(2)方向を変えて、セグメント244に沿って右に移動する。(3)方向を変えて、第2の伝導性特徴232の方にセグメント246に沿って移動する。(4)第2の伝導性特徴232上の端点252で終了する。したがって、修復特徴240は、オープン欠陥領域234を横切らない。
【0056】
図15は、第2の修復特徴セグメント244の一部をより大きい拡大で示す。線幅254は、約3.7μmである。供給された線は、高度に均質であり、線幅均一性に優れている。図16は、修復特徴240の一部をより大きい拡大で示し、第1の修復特徴セグメント242及び第2の修復特徴セグメント244が頂点243で交わる領域を含む。頂点243でノズルの軌道の方向が変化しているが、供給された線は、高度に均質であり、線幅均一性に優れている。
【0057】
図14から分かるように、セグメント242に沿ったノズルの軌道は、第1の伝導性特徴(金特徴)230の縁辺260を横切り、セグメント246に沿ったノズルの軌道は、第2の伝導性特徴(金特徴)232の縁辺262を横切る。伝導性特徴(金特徴)の厚さは、150nm~250nmの範囲である。軌道が端点250から始まり、端点252で終わるため、縁辺260の段は、下向きの段であり、縁辺262の段は、上向きの段である。図17は、第3の修復特徴軌道が伝導性特徴縁辺262を横切る領域を含む、第3の修復特徴セグメント246の一部をより大きい拡大で示す。ノズルの軌道の方向は、矢印266として示される。したがって、ノズルは、第2の伝導性特徴232の縁辺262で上向きの段を横切る。それにも関わらず、上向きの段における修復特徴セグメント246の均質性は、優れている。
【0058】
図18に示される修復特徴は、ナノ粒子組成物がグリセリンを含有しないこと以外、図14の修復特徴と類似している。修復特徴340は、銀ナノ粒子(濃度57重量%)と、プロピレングリコールの第1の溶媒とを含有し、第2の溶媒を含有しない、実施例8による金属ナノ粒子組成物を使用して形成されている。図18では、ガラス基板110の印刷可能面112の一部を見ることができる。第1の伝導性特徴330及び第2の伝導性特徴332を印刷可能面112上に見ることができる。伝導性特徴330、332は、図14の伝導性特徴230、232と類似している。(破線に囲まれて示され、第1の伝導性特徴330と第2の伝導性特徴332との間に位置する)オープン欠陥334は、伝導性特徴が意図されたが、形成されなかった領域を表す。
【0059】
図18は、銀ナノ粒子を含み、伝導性特徴(330、332)間に形成された修復特徴340を示す。修復特徴340は、約4.5μmの線幅及び約570nmの厚さを有する。供給された線は、高度に均質であるように見え、線幅均一性に優れている。修復特徴は、第1の伝導性特徴330上の左端点350と第2の伝導性特徴332上の右端点352との間で3つのセグメント(342、344、346)からなる。
【0060】
ナノ粒子組成物は、修復特徴340を形成するために、方法180(図11)に従って複数回繰り返して供給される。図18に示される場合において、修復特徴340は、4回の繰り返しで形成されている。それぞれの繰り返しにおいて、金属ナノ粒子組成物は、以下の軌道に従って供給される。(1)第1の伝導性特徴330の上の端点350で開始する。(2)セグメント342に沿って第1の伝導性特徴330から離れる。(2)方向を変えて、セグメント344に沿って右に移動する。(3)方向を変えて、第2の伝導性特徴332の方にセグメント346に沿って移動する。(4)第2の伝導性特徴332上の端点352で終了する。したがって、修復特徴340は、オープン欠陥領域334を横切らない。ノズルは、伝導性特徴縁辺360の下向きの段及び伝導性特徴縁辺362の上向きの段を横切っている。横切られた段の高さは、150nm~250nmの範囲の伝導性特徴の厚さである。それにも関わらず、修復特徴340の均質性は、優れている。図19は、修復特徴340の断面図を示す。修復特徴340は、約570nmの最大厚さ364を有する。
【0061】
図22は、銀ナノ粒子(濃度55重量%)と、プロピレングリコールの第1の溶媒とを含有し、第2の溶媒を含有しない、実施例11による銀ナノ粒子組成物を使用して形成された別の伝導性特徴380の断面図である。ナノ粒子組成物は、方法180(図11)に従って供給されている。ガラス基板110は、その上に形成された銅電極特徴384を有する。窒化ケイ素層382は、銅電極特徴を含む全表面上に形成されている。したがって、印刷可能面112は、窒化ケイ素層382の露出面である。銅電極特徴384のために、銀ナノ粒子組成物の供給中に横切られる500nm~550nmの範囲の段高さの段386が存在する。段386は、伝導性特徴380の破損なしに横切られた。方法180は、最大750nmの段高さを横断するために使用され得ることが見出された。
【0062】
方法180(図11)及び280(図12)を供給する前述の議論において、基板上の軌道に沿って上向き(又は下向き)にノズル高さを調整する議論はなかった。これらの方法180及び280は、ノズルが基板上の軌道に沿って上向きの段又は下向きの段を横切るとき、ノズルが調整されるように修正することができる。図23は、基板110の印刷可能面112上に形成又は堆積された既存の特徴440を含む基板110の概略断面図である。既存の特徴440は、ワイヤ等の伝導性特徴であり得る。図示された断面は、その長手方向に対して垂直なワイヤを横切り得る。既存の特徴は、基板110上に厚さ(高さ)420を有する。ノズル200は、その出口166(又は必要に応じて出口38)が基板110の上方の高さ422にあるように、基板110の上方に位置付けられる。示されている例では、ノズル高さ422は、既存の特徴厚さ420よりも小さい。ノズルが高さ422であり続ける場合、ノズルは、既存の特徴440を横切ることができないであろう。ノズル200の観点から、既存の特徴440は、上向きの段442(上向きの勾配)と、高さ420の平坦域446と、下向きの段444とからなる。撮像システム114(図2)は、既存の特徴440の存在を検出して、その大きさを測定するように構成することができる。
【0063】
図24及び25は、図22に示される段を横切る軌道の例を示す。図24の例では、ノズルは、軌道セグメントの以下の順序:水平セグメント452、垂直セグメント454、水平セグメント456、垂直セグメント458及び水平セグメント460に従って軌道450に沿って移動する。これらの軌道セグメントは、軌道に沿ったノズル出口のおよその高さを示すために描かれている。水平軌道セグメント452では、ノズルは、横方向に(図24の右に)移動し、ノズルは、高さ422に維持され、その高さは、調整された高さ(図11のステップ192又は図12のステップ294)と略等しいことができる。上向きの段442の始まりに近づくと、ノズルは、平坦域446の上方の高さ424に達するために、垂直軌道セグメント454に沿って上昇する。この高さ424は、高さ422と略等しいことができるが、ゼロよりも大きくなければならない。その後、ノズルは、既存の特徴440を横切るために、平坦域の上方の高さ424で水平軌道セグメント456に沿って横方向に(図24の右に)移動する。ノズルが下向き勾配444の終わりに近づくと、ノズルは、基板110の上方の高さ426に達するために、垂直軌道セグメント458に沿って下降する。高さ426は、高さ422と略等しいことができる。その後、ノズルは、高さ426でノズルとともに水平軌道セグメント460に沿って横方向に(図24の右に)移動する。
【0064】
図25の例では、ノズルは、軌道セグメントの以下の順序:水平セグメント522、上向き勾配セグメント524、水平セグメント526、下向き勾配セグメント528及び水平セグメント530に従って軌道520に沿って移動する。これらの軌道セグメントは、軌道に沿ったノズル出口のおよその高さを示すために描かれている。水平軌道セグメント522では、ノズルは、横方向に(図25の右に)移動し、ノズルは、高さ422に維持され、その高さは、調整された高さ(図11のステップ192又は図12のステップ294)と略等しいことができる。上向きの段442の始まりに近づくと、ノズルは、平坦域446の上方の高さ424に達するために、上向き勾配セグメント524に沿って同時に上昇及び横方向移動する。この高さ424は、高さ422と略等しいことができるが、ゼロよりも大きくなければならない。その後、ノズルは、既存の特徴440を横切るために、平坦域の上方の高さ424で水平軌道セグメント526に沿って横方向に(図25の右に)移動する。ノズルが下向き段444の終わりに近づくと、ノズルは、基板110の上方の高さ426に達するために、下向き勾配セグメント528に沿って同時に下降及び横方向移動する。高さ426は、高さ422と略等しいことができる。その後、ノズルは、高さ426でノズルとともに水平軌道セグメント530に沿って横方向に(図25の右に)移動する。
【0065】
さらに、上向き段442でノズルを上昇させて、下向き段444でノズルを同時に下降及び横方向移動させることにより、既存の特徴440を横切ることが可能である。上向き段442でノズルを同時に上昇及び横方向移動させて、下向き段444でノズルを下降させることにより、特徴440を横切ることも可能である。
【0066】
実施例7の組成物は、56重量%の銀ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての4.60重量%のグリセリンとを含有する。60重量%の銀ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての4.93重量%のグリセリンとを含有する実施例6の組成物も、高品質の伝導性特徴を印刷するために正常に使用されている。一般に、50重量%~75重量%の範囲の高い銀ナノ粒子濃度を有するナノ粒子組成物が可能である。これらの組成物では、ポリビニルピロリドンが銀ナノ粒子表面に存在する。180℃~250℃の範囲の沸点及び25℃で10cP~100cPの範囲の粘度を有する第1の非水性極性プロトン性溶媒が使用される。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、2つの水酸基を有する。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、プロピレングリコール、エチレングリコール又はジエチレングリコールである。組成物の粘度は、25℃で少なくとも2000cPであることが好ましい。
【0067】
組成物は、第1の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒を含有することができる。金属ナノ粒子組成物の第1の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒の濃度は、全体で15重量%以下であることが好ましい。金属ナノ粒子組成物の第1の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒の濃度は、全体で10重量%以下であることがより好ましい。280℃~300℃の範囲の沸点及び25℃で少なくとも100cPの粘度を有する第2の非水性極性プロトン性溶媒を15重量%以下又は10重量%以下の濃度で使用することができる。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は3つの水酸基を有する。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は、グリセリンである。第2の非水性極性プロトン性溶媒の高い沸点のため、ナノ粒子組成物におけるその存在は、乾燥時間を長引かせる。この影響は、同じ位置にナノ粒子組成物を複数回繰り返して供給する必要のある用途で顕著である。結果として、組成物中の第2の非水性極性プロトン性溶媒の濃度を15重量%以下又は10重量%以下に制限することが好ましい。
【0068】
印刷された特徴に最も良好な電気伝導性をもたらすために、印刷された特徴を焼結させることが好ましい。焼結は、通常、300℃~500℃で5分~90分間行われる。この高温焼結中、一部のナノ粒子組成物は、ナノ粒子の凝集、連結性の損失及び基板への接着性の損失を示す。本発明者らは、これらの影響をチタン前駆体化合物の添加によって防ぐか又は減少させ得ることを見出した。例示的なチタン前駆体化合物は、チタンアルコキシド(チタン(IV)ブトキシド及びチタン(IV)イソプロポキシドを含む)、塩化チタン(IV)(塩化チタン(IV)テトラヒドロフラン錯体を含む)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(IV)並びにジメチルチタノセンである。57.6重量%の銀ナノ粒子、第1の溶媒としてのプロピレングリコール及び4重量%のTBT(チタン(IV)ブトキシド)を含有し、第2の溶媒を含有しない実施例10の組成物は、高品質の伝導性特徴を印刷するために使用され、焼結中の劣化に対する高い耐性があることが見出された。好ましくは、組成物のチタン前駆体化合物の濃度は、5重量%以下である。
【0069】
上記の3つの段落の議論は、50重量%~75重量%の範囲の濃度の銀ナノ粒子を含有する組成物に関するものであった。さらに、銅ナノ粒子を含有する組成物が可能である。実施例9の組成物は、39重量%の銅ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての8.06重量%のグリセリンと、4重量%のTBT(チタン(IV)ブトキシド)とを含有する。図20は、実施例9の銅ナノ粒子組成物を使用して形成された、焼結処理後の伝導性特徴360を示す。伝導性特徴360は、針30(図9及び10)を使用して、方法280(図12)に従って供給されている。線幅364は、約350μmである。図21は、焼結処理後の特徴360の断面SEM図である。伝導性特徴360の高さ374は、約1200nmである。ナノ粒子の凝集、連結性の損失及び基板110の印刷可能面112への接着性の損失がないことが図20及び21から観察することができる。
【0070】
実施例9の組成物に加えて、32重量%~55重量%の範囲の濃度で銅ナノ粒子を含有する他の組成物が考えられた(表2)。実施例2の組成物は、32~34重量%の銅ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての7.4重量%のグリセリンと、他の添加剤(0.3重量%のBYK-349ポリエーテル変性シロキサン界面活性剤及び配合段階中に添加される約2重量%のK30グレードのPVP)とを含有する。実施例1の組成物は、40~42重量%の銅ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての8.4重量%のグリセリンとを含有する。実施例3の組成物は、52~54重量%の銅ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールと、第2の溶媒としての8.8重量%のグリセリンとを含有する。優れた均質性を有する伝導性特徴は、方法280(図12)に従って供給される実施例2、実施例1及び実施例3の組成物を使用して得られた。
【0071】
一般に、32重量%~55重量%の範囲の銅ナノ粒子濃度を有するナノ粒子組成物が可能である。これらの組成物では、ポリビニルピロリドンが銅ナノ粒子表面に存在する。180℃~250℃の範囲の沸点及び25℃で10cP~100cPの範囲の粘度を有する第1の非水性極性プロトン性溶媒が使用される。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、2つの水酸基を有する。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、プロピレングリコール、エチレングリコール又はジエチレングリコールである。280℃~300℃の範囲の沸点及び25℃で少なくとも100cPの粘度を有する第2の非水性極性プロトン性溶媒は、4重量%~10重量%の範囲又は好ましくは7重量%~9重量%の範囲の濃度で使用される。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は、3つの水酸基を有する。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は、グリセリンである。組成物の粘度は、25℃で少なくとも250cPであることが好ましい。
【0072】
金属ナノ粒子組成物の第1の非水性極性プロトン性溶媒及び第2の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒の濃度は、全体で6重量%以下であることが好ましい。組成物は、シロキサン界面活性剤を0.5重量%以下の濃度でさらに含有し得る。組成物は、チタン前駆体化合物を7重量%以下の濃度でさらに含有し得る。
【0073】
上記の4つの段落の議論は、32重量%~55重量%の範囲の濃度の銅ナノ粒子を含有する組成物に関するものであった。さらに、50重量%~75重量%の範囲の濃度で銅ナノ粒子を含有する組成物が可能である。実施例4の組成物は、52~54重量%の銅ナノ粒子と、第1の溶媒としてのプロピレングリコールとを含有し、第2の溶媒を含有しない。伝導性特徴は、方法280(図12)に従い、実施例4の組成物を使用して供給されている。優れた均質性を有する伝導性特徴が得られた。これらの組成物では、ポリビニルピロリドンが銅ナノ粒子表面に存在する。180℃~250℃の範囲の沸点及び25℃で10cP~100cPの範囲の粘度を有する第1の非水性極性プロトン性溶媒が使用される。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、2つの水酸基を有する。好ましくは、第1の非水性極性プロトン性溶媒は、プロピレングリコール、エチレングリコール又はジエチレングリコールである。組成物の粘度は、25℃で少なくとも1000cPであることが好ましい。
【0074】
50重量%~75重量%の範囲の濃度で銅ナノ粒子を含有する組成物は、第1の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒を含有することができる。金属ナノ粒子組成物の第1の非水性極性プロトン性溶媒以外の溶媒の濃度は、全体で2重量%以下であることが好ましい。280℃~300℃の範囲の沸点及び25℃で少なくとも100cPの粘度を有する第2の非水性極性プロトン性溶媒を2重量%以下の濃度で使用することができる。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は、3つの水酸基を有する。好ましくは、第2の非水性極性プロトン性溶媒は、グリセリンである。組成物は、シロキサン界面活性剤を0.5重量%以下の濃度でさらに含有し得る。組成物は、チタン前駆体化合物を5重量%以下の濃度でさらに含有し得る。
【実施例
【0075】
実施例
実施例1
試薬:
PVP(K30グレード)
NaHPO・H
Cu(NO・3H
エチレングリコール
プロピレングリコール
グリセリン(無水)
DI水
エタノール96%
【0076】
1)合成
PVP(100.0g)及び次亜リン酸ナトリウム一水和物(28.6g)を2000mlのビーカーに入れ、250mlのエチレングリコールを加えた。ビーカーをオイルバスに入れ、磁気撹拌した(300RPM)。溶液を150℃まで加熱した。同時に、50mlのエチレングリコールを15gの硝酸銅三水和物とともに100mlのビーカーに入れ、塩が完全に溶解するまで撹拌した。
【0077】
Cu2+溶液を150℃(温度は、外部温度計でダブルチェックした)のPVP/NaHPO溶液に注ぎ、2分間の撹拌下でその温度に維持した。その後、反応を止めるために、1000mlのDI水を直ちに加えた。反応時間の終わりに、激しいガスバブリング並びに透明な黄色から黒色及び赤ワインへの色変化が観察された。水添加後、ビーカーを低温水槽に入れ、10分間撹拌した。
【0078】
2)精製
約50℃まで冷却した後、得られた分散液を4つの遠心分離装置用ボトルに均等に分けてよく振り、8000×g(RCF)で15分間にわたって遠心分離した。上清を廃棄し、100mlのDI水をすべてのボトルに加えた。沈殿物(光沢のある赤色系の金属的な外観)は、混合のためのガラス棒を使用して、超音波槽で10分間にわたって再分散させた。分散液を2つのボトルに集約し、その後、8000×gで15分間にわたって遠心分離した。
【0079】
銅ナノ粒子をエタノールの50ml/ボトルで再分散させて、1つのボトルに集約し、6000×g(RCF)で15分間にわたって再び遠心分離した。光沢のある銅ケークを30mlのエタノールで再分散させて、集約して、3.0mlのプロピレングリコールを含有する100mlの丸底フラスコに濾過した(1.0μm GMF)。分散液を40℃及び35ミリバールで35分間(最初の5分は110ミリバール)にわたってロータリーエバポレータに入れた。
【0080】
3)配合
得られた3.5mlの銅ナノ粒子濃縮液を0.25mlのグリセリンと混合し、超音波槽で均質化し、1.0μmのGMFフィルタを通して清浄なPP/PE容器に濾過した。UV-VIS、DLS(30mlのエチレングリコールに希釈された0.3μlの試料)、窒素雰囲気中でのTGA及びTEM(3mlのEtOHへの1μlの試料)によって行われる特性化である。得られた配合物の銅ナノ粒子濃度は、40~42重量%であると推定され、銅ナノ粒子は、160nmの平均粒子サイズを有する。
【0081】
実施例2
1)合成
実施例1と同一である。
【0082】
2)精製
実施例1と同一である。
【0083】
3)配合
得られた3.5mlの銅ナノ粒子濃縮液を0.25mlのグリセリン、0.75mlのプロピレングリコール中の11重量%のPVP(K30グレード)溶液及び3.75μlのBYK-349ポリエーテル変性シロキサン界面活性剤と混合する。混合液を超音波槽で均質化し、1.0μmのGMFフィルタを通して清浄なPP/PE容器に濾過した。UV-VIS、DLS(30mlのエチレングリコールに希釈された0.3μlの試料)、窒素雰囲気中でのTGA及びTEM(3mlのEtOHへの1μlの試料)によって行われる特性化である。得られた配合物の銅ナノ粒子濃度は、32~34重量%であると推定され、銅ナノ粒子は、160nmの平均粒子サイズを有する。
【0084】
実施例3
1)合成
実施例1と同一である。
【0085】
2)精製
約50℃まで冷却した後、得られた分散液を4つの遠心分離装置用ボトルに均等に分けてよく振り、8000×g(RCF)で15分間にわたって遠心分離した。上清を廃棄し、100mlのDI水をすべてのボトルに加えた。沈殿物(光沢のある赤色系の金属的な外観)は、混合のためのガラス棒を使用して、超音波槽で10分間にわたって再分散させた。分散液を2つのボトルに集約し、その後、8000×gで15分間にわたって遠心分離した。
【0086】
銅ナノ粒子は、エタノールの50ml/ボトルで再分散させて、1つのボトルに集約し、6000×g(RCF)で15分間にわたって再び遠心分離した。光沢のある銅ケークを30mlのエタノールで再分散させて、集約して、2.0mlのプロピレングリコールを含有する100mlの丸底フラスコに濾過した(1.0μm GMF)。分散液を40℃及び35ミリバールで35分間(最初の5分は110ミリバール)にわたってロータリーエバポレータに入れた。
【0087】
3)配合
得られた2.0mlの銅ナノ粒子濃縮液を0.15mlのグリセリンと混合し、超音波槽で均質化し、1.0μmのGMFフィルタを通して清浄なPP/PE容器に濾過した。UV-VIS、DLS(30mlのエチレングリコールに希釈された0.3μlの試料)、窒素雰囲気中でのTGA及びTEM(3mlのEtOHへの1μlの試料)によって行われる特性化である。得られた配合物の銅ナノ粒子濃度は、52~54重量%であると推定され、銅ナノ粒子は、160nmの平均粒子サイズを有する。
【0088】
実施例4
1)合成
実施例1と同一である。
【0089】
2)精製
約50℃まで冷却した後、得られた分散液を4つの遠心分離装置用ボトルに均等に分けてよく振り、8000×g(RCF)で15分間にわたって遠心分離した。上清を廃棄し、100mlのDI水をすべてのボトルに加えた。沈殿物(光沢のある赤色系の金属的な外観)は、混合のためのガラス棒を使用して、超音波槽で10分間にわたって再分散させた。分散液を2つのボトルに集約し、その後、8000×gで15分間にわたって遠心分離した。
【0090】
銅ナノ粒子は、エタノールの50ml/ボトルで再分散させて、1つのボトルに集約し、6000×g(RCF)で15分間にわたって再び遠心分離した。光沢のある銅ケークを30mlのエタノールで再分散させて、集約して、2.15mlのプロピレングリコールを含有する100mlの丸底フラスコに濾過した(1.0μm GMF)。分散液を40℃及び35ミリバールで35分間(最初の5分は110ミリバール)にわたってロータリーエバポレータに入れた。
【0091】
3)配合
得られた2.15mlの銅ナノ粒子濃縮液を超音波槽で均質化し、1.0μmのGMFフィルタを通して清浄なPP/PE容器に濾過した。UV-VIS、DLS(30mlのエチレングリコールに希釈された0.3μlの試料)、窒素雰囲気中でのTGA及びTEM(3mlのEtOHへの1μlの試料)によって行われる特性化である。得られた配合物の銅ナノ粒子濃度は、52~54重量%であると推定され、銅ナノ粒子は、160nmの平均粒子サイズを有する。
【0092】
実施例5
試薬:
AgNO
PVP(K30グレード)
エチレングリコール
アセトン
エタノール96%
【0093】
1)合成
2つの合成反応が並列して行われた。各合成反応に関して、AgNO(12.5g)を室温で50mlのエチレングリコールに溶解させた。三つ口フラスコでPVP(100.2g)を還流下において140℃で加熱しながら250mlのエチレングリコールに溶解させた。AgNO溶液を、エチレングリコールに溶解された高温のPVPに迅速に移動させて(漏斗を介して)注いだ。混合液を激しく撹拌しながら140℃で60分間にわたって加熱した。最後に、室温に達するまで低温水槽で冷却した。
【0094】
2)精製
それぞれの合成からの混合液を2.5Lのビーカーに注いだ。100mlのエチレングリコールを三つ口反応フラスコに加え、撹拌下で1分間にわたって超音波処理し、Agナノ粒子懸濁液とともにプールした。1440mlのアセトン及び160mlのエチレングリコールを2Lのビーカーで混合し、最初に500rpm、その後、900rpmで撹拌しながら、Agナノ粒子懸濁液を含有するビーカーに注いだ。その後、他の40mlのアセトン、その後、他の40mlのアセトン、その後、約2~3mlのEGを加えた。濃緑色から茶色に溶液の色が変化した。ビーカーの内容物を500mlのPPCO製の6つの遠心分離装置用ボトル(Nalgene)に均等に注ぎ、4000×gで15分間にわたって遠心分離した。上清(橙色)を廃棄し、ペレットを超音波処理及び揺動(10分)下において(ボトル毎に)40mlのEtOH内で再分散させた。溶液を1つのボトルに注ぎ、続いて17000×gで50分間にわたって遠心分離した。ペレットを超音波処理及び揺動(10分)下において80mlのEtOH内で再分散させた。
【0095】
3)配合
約160mlの得られた分散液をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して丸底フラスコに直接濾過した。7.0mlのプロピレングリコールを加えた。フラスコを43℃、110ミリバールのロータリーエバポレータに40分間入れ、その後、35ミリバールに設定した。30分で設定圧力に達し、達するとその状態を5分間維持した。粘性組成物をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して5mlのPEシリンジに直接濾過した(上から充填)。得られた組成物は、60重量%の銀ナノ粒子濃度を有すると推定される。
【0096】
実施例6
1)合成
2つの合成反応が並列して行われた。各合成反応に関して、AgNO(6.25g)を室温で25mlのエチレングリコールに溶解させた。三つ口フラスコでPVP(50.1g)を還流下において140℃で加熱しながら125mlのエチレングリコールに溶解させた。AgNO溶液を、エチレングリコールに溶解された高温のPVPに迅速に移動させて(漏斗を介して)注いだ。混合液を激しく撹拌しながら140℃で60分間にわたって加熱した。最後に、室温に達するまで低温水槽で冷却した。
【0097】
2)精製
それぞれの合成からの混合液を2Lのビーカーに注いだ。50mlのエチレングリコールを三つ口反応フラスコに加え、撹拌下で1分間にわたって超音波処理し、Agナノ粒子懸濁液とともにプールした。720mlのアセトン及び80mlのエチレングリコールを1Lのビーカーで混合し、最初に200rpm、その後、350rpmで撹拌しながら、Agナノ粒子懸濁液を含有するビーカーに注いだ。その後、他の20mlのアセトン、その後、他の20mlのアセトン、その後、約2~3mlのEGを加えた。濃緑色から茶色に溶液の色が変化した。ビーカーの内容物を500mlのPPCO製の4つの遠心分離装置用ボトル(Nalgene)に均等に注ぎ、4000×gで15分間にわたって遠心分離した。上清(橙色)を廃棄し、ペレットを超音波処理及び揺動(10分)下において(ボトル毎に)30mlのEtOH内で再分散させた。溶液を1つのボトルに注ぎ、続いて11000×gで35分間にわたって遠心分離する。ペレットを超音波処理及び揺動(10分)下において30mlのEtOH内で再分散させた。
【0098】
3)配合
約65mlの得られた分散液をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して丸底フラスコに直接濾過した。2.75mlのプロピレングリコール:グリセリン(2.6:0.3の体積対体積比)混合液を加えた。フラスコは、43℃、110ミリバールでロータリーエバポレータに5分間入れ、その後、35ミリバールに設定した。30分で設定圧力に達し、達するとその状態を5分間維持した。粘性組成物をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して5mlのPEシリンジに直接濾過した(上から充填)。得られた組成物は、60重量%の銀ナノ粒子濃度を有すると推定される。
【0099】
実施例7
1)合成
実施例6と同一である。
【0100】
2)精製
実施例6と同一である。
【0101】
3)配合
実施例6で詳述されたように、推定60重量%の銀ナノ粒子濃度を有する粘性組成物が得られた。その後、約56重量%まで銀ナノ粒子濃度を希釈する(下げる)ために、71mgのプロピレングリコールを組成物1.0gごとに加えた。
【0102】
実施例8
1)合成
実施例6と同一である。
【0103】
2)精製
実施例6と同一である。
【0104】
3)配合
約65mlの得られた分散液をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して丸底フラスコに直接濾過した。3.0mlのプロピレングリコールを加えた。フラスコは、43℃、110ミリバールでロータリーエバポレータに5分間入れ、その後、35ミリバールに設定した。30分で設定圧力に達し、達するとその状態を5分間維持した。粘性組成物をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して5mlのPEシリンジに直接濾過した(上から充填)。得られた組成物は、60重量%の銀ナノ粒子濃度を有すると推定される。その後、約57重量%まで銀ナノ粒子濃度を希釈する(下げる)ために、53mgのプロピレングリコールを組成物1.0gごとに加えた。
【0105】
実施例9
試薬:
PVP(K30グレード)
NaHPO・H
Cu(NO・3H
エチレングリコール
プロピレングリコール
グリセリン(無水)
DI水
エタノール96%
チタン(IV)ブトキシド(TBT)
【0106】
1)合成
実施例1と同一である。
【0107】
2)精製
実施例1と同一である。
【0108】
3)配合
得られた3.5mlの銅ナノ粒子濃縮液を0.25mlのグリセリン及び0.26mlのTBTと混合し、超音波槽で均質化し、1.0μmのGMFフィルタを通して清浄なPP/PE容器に濾過した。UV-VIS、DLS(30mlのエチレングリコールに希釈された0.3μlの試料)、窒素雰囲気中でのTGA及びTEM(3mlのEtOHへの1μlの試料)によって行われる特性化である。得られた配合物の銅ナノ粒子濃度は、約39重量%であると推定され、銅ナノ粒子は、160nmの平均粒子サイズを有する。組成物中のTBTの濃度は、約4重量%である。
【0109】
実施例10
試薬:
AgNO
PVP(K30グレード)
エチレングリコール
アセトン
エタノール96%
チタン(IV)ブトキシド(TBT)
【0110】
1)合成
実施例5と同一である。
【0111】
2)精製
実施例5と同一である。
【0112】
3)配合
約160mlの得られた分散液をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して丸底フラスコに直接濾過した。7.0mlのプロピレングリコールを加えた。フラスコは、43℃、110ミリバールでロータリーエバポレータに40分間入れ、その後、35ミリバールに設定した。30分で設定圧力に達し、達するとその状態を5分間維持した。粘性組成物をPP容器に移し、42μlのTBTを組成物1.0gごとに加えた。インクを混合して均質化し、1.0μmのPAフィルタを通して5mlのPEシリンジに直接濾過した(上から充填)。得られた組成物は、57.6重量%の銀ナノ粒子濃度及び4.0重量%のTBT濃度を有すると推定される。
【0113】
実施例11
1)合成
実施例6と同一である。
【0114】
2)精製
実施例6と同一である。
【0115】
3)配合
約65mlの得られた分散液をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して丸底フラスコに直接濾過した。3.0mlのプロピレングリコールを加えた。フラスコは、43℃、110ミリバールでロータリーエバポレータに5分間入れ、その後、35ミリバールに設定した。30分で設定圧力に達し、達するとその状態を5分間維持した。粘性組成物をシリンジに移し、1.0μmのPAフィルタを通して5mlのPEシリンジに直接濾過した(上から充填)。得られた組成物は、60重量%の銀ナノ粒子濃度を有すると推定される。その後、約55重量%まで銀ナノ粒子濃度を希釈する(下げる)ために、91mgのプロピレングリコールを1.0gの組成物ごとに加えた。
【0116】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分、分子量等の量を表現するすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に、別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明によって得ようとされる所望の特性に応じて変わることがある近似値である。最低限でも、均等論を特許請求の範囲の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して通常の丸めの技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0117】
本発明の幅広い範囲を説明する数値の範囲及びパラメータが近似値であるにも関わらず、具体例に記載される数値は、できるだけ正確に報告される。しかしながら、すべての数値は、本質的に、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を含む。
【0118】
すべての見出しは、読者の便宜のためであり、そのように指定されない限り、見出しに続く文章の意味を限定するために使用されるべきではない。
図1
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