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▶ ショッテル マリン テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】固定用具及び取付方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/26 20060101AFI20240528BHJP
   E21B 7/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B63B21/26
E21B7/12
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022508928
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 GB2020051911
(87)【国際公開番号】W WO2021028676
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】1911535.1
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1911538.5
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523019239
【氏名又は名称】ショッテル マリン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】ハント アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クレスウェル ニコラス
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02536372(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第01783379(EP,A1)
【文献】米国特許第05460231(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/26
E21B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中での固定に使用するための細長い固定用具であって、
前記固定用具が、
軸方向に第1の長さを有し、遠位端に配設されているカッター及び前記カッターに隣接し近位に配置されたテーパ形状セクションを有する内側主部、
前記軸方向に第2の長さを有し、前記第2の長さが前記第1の長さ未満であり、管状形状を有する中間主部であって、前記内側主部の中央部分を取り囲み、前記テーパ形状セクションに向かって遠位に延在し、その遠位端に1つ又は複数の張り出し可能な切削指を有する中間主部、並びに
管状形状及び基礎に前記固定用具を保持するための部分を有し、前記第1の長さ未満の前記軸方向の第3の長さを更に有し、前記中間主部の近位部分を取り囲み、前記中間主部の近位端を越えて近位に延在している外側主部、
前記内側主部と前記中間主部との間の第1の取り外し可能な連結部、並びに
前記外側主部と前記中間主部との間の第2の取り外し可能な連結部
を備え、
前記内側主部、前記中間主部及び前記外側主部が、互いに回転可能に連結され、
前記第1の取り外し可能な連結部が、前記内側主部と前記中間主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第1距離に沿って、前記内側主部と前記中間主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、
前記第2の取り外し可能な連結部が、前記中間主部と前記外側主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第2距離に沿って、前記中間主部と前記外側主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、
前記外側主部が、回転駆動装置に連結するための駆動部分を有し、前記内側主部が、前記内側主部及び前記外側主部の前記相対的な軸方向位置を調節するために、駆動部分の近位に配置されるテンションナットを有し、前記テンションナットは、前記内側主部上に配置され、前記回転駆動装置に連結することにより調節可能であり、
前記テンションナット及び前記駆動部分が、同じ回転駆動装置に連結するように構成されている
細長い固定用具。
【請求項2】
前記駆動部分が、前記外側主部の前記近位端から遠位方向に離間している
請求項1に記載の固定用具。
【請求項3】
前記外側主部の前記近位端が、前記駆動部分よりも細い
請求項1に記載の固定用具。
【請求項4】
海中での固定に使用するための細長い固定用具であって、
前記固定用具が、
軸方向に第1の長さを有し、遠位端に配設されているカッター及び前記カッターに隣接し、近位に配置されるテーパ形状セクションを有する内側主部、
管状形状を有し、軸方向に、前記第1の長さ未満の第2の長さを有する中間主部であって、前記内側主部の少なくとも中央部分を取り囲み、前記テーパ形状セクションに向かって遠位に延在し、その遠位端に1つ又は複数の張り出した切削指を有する中間主部、
管状形状及び基礎に前記固定用具を保持するための部分を有する外側主部であって、第1の長さ未満の軸方向の第3の長さを更に有し、前記中間主部の近位部分を取り囲み、前記中間主部の近位端を越えて近位に延在している外側主部、
前記内側主部と前記中間主部との間の第1の取り外し可能な連結部、並びに
前記外側主部と前記中間主部との間の第2の取り外し可能な連結部
を備え、
前記第1の取り外し可能な連結部が、前記内側主部と前記中間主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第1距離に沿った前記内側主部と前記中間主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、
前記第2の取り外し可能な連結部が、前記中間主部と前記外側主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第2距離に沿った前記中間主部と前記外側主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、
前記中間主部が、前記外側主部の少なくとも大部分について、前記外側主部内部に入れ子式で存在する
細長い固定用具。
【請求項5】
1つ又は複数の前記第1の取り外し可能な連結部及び/又は前記第2の取り外し可能な連結部が、前記細長い固定用具の前記近位端に向かって配置される
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項6】
前記中間主部と前記内側主部との間の前記相対的な軸方向運動が、第1軸方向連結部により前記第1距離に制限され、及び/又は前記中間主部と前記外側主部との間の前記相対的な軸方向運動が、第2軸方向連結部により前記第2距離に制限される
請求項1から5のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項7】
前記第1軸方向連結部と前記第2軸方向連結部のうちの1つ又はそれぞれが、前記細長い固定用具の前記近位端に向かって配置される
請求項6に記載の固定用具。
【請求項8】
前記第1軸方向連結部と前記第2軸方向連結部のうちの1つ又はそれぞれが、スロット及びピン構成を備える
請求項6又は7に記載の固定用具。
【請求項9】
前記第1の取り外し可能な連結部、及び/又は前記第2の取り外し可能な連結部がシヤーピンを備える
請求項1から8のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項10】
両方の取り外し可能な連結部がシヤーピンを備え、前記中間主部と前記外側主部との間の前記シヤーピンのせん断強度が、前記内側主部と前記中間主部との間の前記シヤーピンのせん断強度よりも大きいせん断強度を有する
請求項9に記載の固定用具。
【請求項11】
前記第1距離が前記第2距離よりも大きい
請求項1から10のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項12】
前記第1距離が最長の切削指と少なくとも同じ長さである
請求項1から11のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項13】
前記基礎に前記固定用具を保持するための前記部分が、その近位端からその遠位端まで細長くなっている部分を備える
請求項1から12のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項14】
前記張り出した切削指が前記中間主部の前記遠位端にヒンジで取り付けられる
請求項1から13のいずれか一項に記載の固定用具。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか一項、又は請求項1から3のいずれか一項に従属する請求項6から14のいずれか一項に記載の固定用具を設置するための遠隔駆動操作システムであって、
回転駆動装置、
前記固定用具の前記外側主部と前記テンションナットの両方を回転可能に駆動するための前記回転駆動装置により回転可能に駆動される第1接続部、
前記細長い固定用具の前記内側主部に連結するための第2接続部、
前記テンションナットを保持しつつ、前記外側主部から連結解除するための前記第1接続部の軸方向運動のための第1軸方向駆動装置、及び
前記中間主部に対する前記内側主部の軸方向運動のための第2軸方向駆動装置を備える
遠隔駆動操作システム。
【請求項16】
前記第2接続部がまた、前記回転駆動装置により回転可能に駆動される
請求項15に記載の遠隔駆動操作システム。
【請求項17】
請求項1から3のいずれか一項、又は請求項1から3のいずれか一項に従属する請求項6から14のいずれか一項に記載の固定用具、及び請求項15又は16に記載の遠隔駆動操作システムを備えるアンカー取付システムであって、
前記第1接続部が、前記テンションナット及び前記駆動部分に連結され、かつ
前記第2接続部が前記内側主部に連結される
アンカー取付システム。
【請求項18】
請求項1から3のいずれか一項、又は請求項1から3のいずれか一項に従属する請求項6から14のいずれか一項に記載の固定用具を基礎に設置する方法であって、
単独回転駆動装置で前記外側主部の前記駆動部分及び前記テンションナットを回転可能に駆動し、前記外側主部、前記中間主部及び前記内側主部を、それらの回転連結部により回転させ、前記内側主部の前記回転により、前記カッターが基礎へと打ち込まれる工程、
前記中間主部を回転可能に駆動させつつ、前記中間主部に対して近位方向に前記内側主部を引き出し、前記基礎にて指にアンダーカットを張り出させ、広げさせる工程、
前記回転駆動装置に前記テンションナットを保持しつつ、前記回転駆動装置を前記外側主部から連結解除させる工程、並びに
前記外側主部に対して遠位方向に前記テンションナットを駆動する工程、を含む
方法。
【請求項19】
前記方法が、請求項15又は16に記載の遠隔駆動操作システムを使用して実施される
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中間主部を回転可能に駆動させつつ、前記中間主部に対して近位方向に前記内側主部を引き出し、前記基礎にて指にアンダーカットを張り出させ、広げさせる工程が、前記第2軸方向駆動装置を展開することで実施される
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記連結解除させる工程が、前記第1軸方向駆動装置を格納することで実施される
請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記固定用具が前記基礎に設置されると、浮力装置を前記固定用具に連結する工程を更に含む
請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固定用具に関し、詳細には、例えば水力タービン又は風力タービン、船舶、リグ、浮体式生産貯蔵施設、水産養殖場などといった浮体式装置を、水底へと固定するため、水中環境における我々のための固定用具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの設計の固定システムが知られており、今日使用されている。本発明は、アンダーカットアンカー杭に焦点を当てる。アンダーカットアンカー杭の一例は、英国特許第2536372号明細書に記載されており、本出願の図1は、先行技術の特徴を示すため、ここから取り上げられている。
【0003】
図1は、設置の中間段階にあるアンカー杭を示す。基礎の大部分及び穿孔穴の両方は示されてはいないが、基礎のレベルが線で示された状態で、パイロット穴は基礎に穿孔されている。アンカー杭の構造は、遠位端に配置されたドリルビット64を携える細長いシャフト62を含む。ガイド本体66は、ドリルビット64の後ろのシャフト62に対応する状態で設けられている。
【0004】
内側シャフトは外側シャフトにより収容され、2つの螺合する部分で形成されている。これはすなわち、切削指80を有し、遠位端に設けられた円筒形の下方筐体部分73;及び一般的には84として示され、3つの入れ子の中央でより詳細に示される、壊れやすいトルク結合により、下方部分73にトルク連結部を設ける上方部分88である。切削指は、枢軸86により、スリーブの下方部分を中心に関着する。外側シャフト73、88の2つの部分の内径は等しく、各スロットは、外側シャフト73、88の内径とほぼ同じ外径を有する内側シャフト62上に整然と存在している。
【0005】
外側シャフト88、73の2つの部分はそれぞれの役割を有し、この部分間の接合箇所はこの機能を強調する。上方部分88は、基礎を支え、以下により詳細に記載されるように穿孔工程によってアンカー周辺に形成される隙間を埋めるためにテーパ形状となっている。上方部分88は、回転可能かつ軸線上に連結されてはいるが、アンダーカットを切削するために使用される下方部分73と分けられている。これらの2つの部分73、88間の接合部84は、外側スリーブの長さに沿ってほぼ中間に配置され、この接合部に向けて上方部分を滑らかなテーパ形状としており、その機能を充足するのに十分な長さを有するが、意図した通りに下方部分73を操作するのに十分な空間を下方端に残している。
【0006】
穿孔する第1段階では、回転駆動装置は、スリーブの筐体とは独立して、又はこの全体装置が回転可能に駆動されるという意味での連結方式のいずれかで、シャフト62に付与される。独立した駆動は非常に複雑であり、最初の掘削リグが連結解除され、最上部セクションで切削するために別のリグが取り付けられることが少なくとも必要とされる。これは、ドリルビット64を介した切削動作をもたらし、穴を通して基礎へと遠位に装置を打ち込み、そうすることで基礎を穿孔するために、長手方向軸を中心にシャフトを回転可能に駆動させる効果を有する。
【0007】
示されている中間設置工程においては、スリーブ構成73、88はシャフト62から回転可能に連結解除され、これとは別個に駆動される。スリーブ73、88は、ガイド本体66を越えて下向きに(更には基礎へと)押し込まれ、指80を広げ(枢軸86による枢動、穴の底部に逆テーパ形状のアンダーカットを掘る。次いで指80及びテーパ形状のガイド本体66は、逆にテープで粘着されたアンダーカットと係合し、定位置に装置を固定する。
【0008】
英国特許第2536372号明細書に開示されている実施例では、外側スリーブ73、88にはバヨネット駆動装置95、内側シャフトには六角駆動装置が設けられており、内側シャフトは、内側主部のねじ付き端部とドリルヘッドとの間に接続部を形成するため、ねじ付きロッド及び特別な接触部分によって駆動される。これは、例えば接続部がねじ切られている場合のように、内側シャフト又は外側スリーブのいずれかの回転運動を防止する必要なく、各シャフトのそれぞれの駆動装置を装置から係合解除させることを可能にする。これは、アンカーに張力がかかった場合、接続部を破断することにより実現される。外側スリーブへのバヨネット結合は、詳細には、使用後基礎からアンカー/杭装置を後退させるため、接続を容易にすることができるように設けられる。
【0009】
指80がアンカーとして逆テーパ形状のアンダーカット内部の位置に展開されると、プレテンションがシャフトへと導入され、これを杭のテンドンとして機能させる。これは、内側シャフト62の近位端91a上に設けられたテンションナット92により行われる。
【0010】
引込み式のトルク結合84は、中央の入れ子により詳細に示される。これは、スリーブの上方部分88上の内側にスプラインが付けられた圧縮スリーブ99、スリーブ73の下方部分上の外側にスプラインが付けられた圧縮スリーブ102、及びスプラインが付けられた接続部に共に接続している2つのシヤーピン100連結部を備える。
【0011】
この連結部は、スリーブの上方部分88と下方部分73との間のスペーサ部分として機能する。スプラインは、2つの部分73、88間で回転駆動及びドリルによる押し込みを伝達する。展開の最終段階では、テンションナット92を介して張力がシャフト62へと徐々に導入されるため、このリンク結合に圧縮荷重が生じ、最終的にシヤーピン100は所定の圧縮荷重で脱落し、2つの圧縮スリーブ99、102が内部で互いに嵌まり合い、2つの部分88と73との間の軸方向空間を押しつぶす。アンカー杭は、スリーブ88の上方部分のテーパ部分と、指80とガイド本体66との組合せの間で基礎に割り込まれ、内側主部62に張力がかかった状態で保持される(テンションナット92により張力がかかる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の発明者らは、設置及び取り外し工程における困難さ、横方向の荷重に対する耐久性に関する課題、並びに製造の複雑性及び費用などのこの先行技術の構成に関する設計上のいくつかの欠点に注目した。本発明は、これらの欠点の一部又は全てに対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書に開示される第1の例は、海中での固定に使用するための細長い固定用具である。この固定用具は、遠位端に配設されているカッター及びこのカッターに隣接して、近位に配置されているテーパ形状セクションを有する内側主部;一般的な管状形状を有し、内側主部よりも短い中間主部であって、内側主部の中央部分を取り囲み、テーパ形状セクションの方に遠位に延在し、その遠位端に1つ又は複数の張り出した切削指を有する中間主部;並びに一般的な管状形状及び基礎に固定用具を保持するための部分を有し、第1の長さ未満の軸方向の第3の長さを更に有し、中間主部の近位部分を取り囲み、中間主部の近位端を越えて近位に延在している外側主部;内側主部と中間主部との間の第1の取り外し可能な連結部;並びに外側主部と中間主部との間の第2の取り外し可能な連結部を備え、内側主部、中間主部及び外側主部が互いに回転可能に連結され、第1の取り外し可能な連結部は、内側主部と中間主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第1距離に沿って、内側主部と中間主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、第2の取り外し可能な連結部は、中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第2距離に沿って、中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、外側主部は回転駆動に接続するための駆動部分を有し、内側主部は内側主部及び外側主部の相対的な軸方向位置を調節するため、駆動部分の近位に配置されているテンションナットを有し、テンションナットは内側主部上に配置され、回転駆動装置に連結することにより調節可能であり、テンションナット及び駆動部分が同じ回転駆動装置に連結するように構成されている。
【0014】
すなわち、駆動部分及び六角ナットのそれぞれは、これらを作動させるために同じ回転トルクにより駆動され得る。外側主部は、海底へと穴を開けるために装置を回転させる(すなわち、主部間の回転連結部により全体装置を回転させる)ように、回転装置によって掴むための外形を有する。テンションナットは、内側主部に沿って回転動作した状態で可動し(この動きを可能とするため、その近位端でねじ切られ得る)、この箇所で外側主部の突出部に当たり、相対運動によって岩石を掴ませる。
【0015】
この目的のため、単独駆動装置を使用することで、取付手順が大幅に簡素化される。先行技術と比較すると、上記装置は張力をかける段階及び穿孔段階向けに別の駆動を使用する。単純な軸方向運動を用いて連結部を連結させること/駆動装置から連結解除することが可能であるため、好適な連結部の一例は六角駆動システムである。当然、他の形状及び他の種類の駆動装置もまた可能である。
【0016】
他の例では、六角ナットは必須ではなく、四角形、三角形などの外形を有する連結部が使用されてもよい。実際に、任意の正多角形が可能である。外形を駆動させるため、面の数が多くなればなるほど、入手可能なものが少なくなる(限定的な場合としては円である)。逆に、面が少なくなることで、外側主部から駆動部分を形成する問題が生じる。これは、相対的に薄い壁厚から容易にフライス加工が可能である円と、少ない数の面とは大きく異なっているため、外側主部の壁厚は形成されることができる形状を限定するからである。これらの理由のため、これらの2つの相反する圧力を均衡させることから六角形の外形が好ましい。ただし、当業者は、本明細書に開示される固定用具は、テンションナットの外形に一致する限りは任意の外形を有する駆動部分によって作用するであろうことを理解するだろう。
【0017】
上述箇所にて明らかなように、中間主部は、外側主部の少なくとも大部分について、外側主部内部に入れ子式で存在していてもよい。この特徴を実現するための手段は、中間主部の最大外径よりも大きくなるように外側主部の最小内径を配置することである。すなわち、外側主部は、その長さの大部分に関して、中間主部の一部分を含む。例えば、中間主部は外側主部の端部を越えて延在することができる。これは中間主部の部分は外側主部により覆われていないことを意味する。ただし、外側主部の長さの大部分、又はその全てに関して、中間主部の一部は管状の外側主部の中空部分内部に配置される。この場合の外側主部の大部分とは少なくとも半分を意味する。ただし、これは外側主部全体を含んでもよい。
【0018】
任意選択的には、駆動部分は遠位方向に外側主部の近位端から離間している。このことは、駆動部分は解放されているが、一方でテンションナットは六角駆動装置に完全に保持可能であるという意味で、二段駆動能力に関してある程度の許容差を提供する。この隙間により、六角駆動装置の端部は駆動部分から離れているが、外側主部の一部分と依然として重なる領域を存在させることが可能となる。それゆえ、テンションナットは明確に依然として保持されることを保証する。
【0019】
任意選択的には、外側主部の近位端は駆動部分よりも細い。これにより、駆動部分が係合解除された場合には、外側主部は六角駆動装置により駆動されない(かつ実際には、外側部分は六角駆動装置とは全く相互作用しない)ことを保証する。
【0020】
本明細書に開示される第2の例は、海中での固定に使用するための細長い固定用具である。この用具は、軸方向に第1の長さを有し、遠位端に配設されているカッター及びこのカッターに隣接し、近位に配置されるテーパ形状セクションを有する内側主部;一般的な管状形状を有し、軸方向に、第1の長さ未満の第2の長さを有し、内側主部の少なくとも中央部分を取り囲み、テーパ形状セクションの方に遠位に延在し、その遠位端に1つ又は複数の張り出した切削指を有する中間主部;並びに一般的な管状形状及び基礎に固定用具を保持するための部分を有し、第1の長さ未満の軸方向の第3の長さを更に有し、中間主部の近位部分を取り囲み、中間主部の近位端を越えて近位に延在している外側主部;内側主部と中間主部との間の第1の取り外し可能な連結部;並びに外側主部と中間主部との間の第2の取り外し可能な連結部を備え、第1の取り外し可能な連結部は、内側主部と中間主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第1距離に沿って、内側主部と中間主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、第2の取り外し可能な連結部は、中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が防止される連結構成、及び第2距離に沿って、中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が可能である非連結構成を有し、中間主部は、外側主部の少なくとも大部分について、外側主部内部に入れ子式で存在する。言い換えると、外側主部の大部分は、中間主部の一部と重なる。この後者の特徴を実現するための手段は、中間主部の最大外径よりも大きくなるように外側主部の最小内径を配置することである。すなわち、外側主部は、その長さの大部分に関して、中間主部の一部分を含む。例えば、中間主部は外側主部の端部を越えて延在することができる。これは中間主部の部分は外側主部により覆われていないことを意味する。ただし、外側主部の長さの大部分、又はその全てに関して、中間主部の一部は管状の外側主部の中空部分内部に配置される。この場合の外側主部の大部分とは少なくとも半分を意味する。ただし、これは外側主部全体を含んでもよい。上記のように、これは第2の例に適用可能な構成であり、場合によっては第1の例にも適用可能である。任意選択の特徴及びそれらの利点の前述の説明はしたがって、第1の例及び第2の例に等しく適用される。
【0021】
記載の方式により主部が重なるように配置することで、先行技術の設計での距離よりも遙かに大きく、最大で外側主部の実質的に全体長でさえある距離にわたり、外側主部は中間主部の上にこれに沿って延在可能である。こうすることで、(内側主部が通常、装置の実質的に全体の長さにわたり延びることから)三重の入れ子式の主部構成がもたらされる。同様に、外側主部の最小内径が中間主部の最大外径より大きい箇所では、外側主部と中間主部との間の考えられる相対的な軸方向運動の範囲は増加する。これは、構造的強度といった点で更なる利点をもたらす。
【0022】
杭理論から、杭アンカーが基礎に設置される場合には、図に示されるように、アンカーは、部分的に沿う形で、先細の基礎下の点を中心に、アンカー基部に向かって枢動する。上記の先行技術の装置において、枢動点(すなわち、横方向荷重により引き起こされる撓み又は屈曲による最大歪みの位置)は、引込み式連結部に近接して生じる。この枢動により、アンカー構造上での曲げモーメントの分布は、引込み式連結部に近接して最高点に達することになる。これは、ここでの弱い点が、アンカーにとって潜在的な故障メカニズムであることを意味する。3本の異なる同軸の主部構成を提供することにより、中間主部及び外側主部はより大きな範囲の重なりを有する。これは強度を本質的に増加させる。
【0023】
更には、大きな範囲の重なりは、重なりの長さに沿った任意の点で軸方向運動又は回転運動を伝えるための任意の連結を行うことができる。これにより、これらの接続を歪み及び屈曲の最大点以外の位置で行うことができる。許容可能な動きの範囲(第1距離及び第2距離に沿う)は、重なる量により制限されることがない(スプラインの重なりがこの範囲を制限する場合、英国特許第2536372号における状況とこれを比較する)。それゆえ、第1距離及び/又は第2距離を変化させる再設計が更に容易となる。
【0024】
最後に、この構成により、岩石塊の圧縮に良好に適合することが可能となる。これは、上で提示される重複構成により設けられる広範囲の摺動運動により達成される。対照的に、上で提示される先行技術の装置は、スプライン長さが重複することにより運動範囲内に制限される。実際には、軸方向連結部は、主部のいずれかに破断部を形成する必要がない(上に提示される先行技術の装置と比較される)。代わりに、本装置はアンカー主部から軸方向連結部セクションを取り除き、荷重印加点を超える岩石塊の変形を補助するような、崩壊させる能力を提供する。
【0025】
同様に、中間主部は初期構成ではテーパ形状セクションと重ならない。代わりに、限られた範囲の軸方向運動を使用し、中間主部に対して内側主部を近位に摺動させ、指を外側に張り出させる。中間セクションは、内側主部外部の外側主部内に嵌合するようにサイズ決め及び成形される。
【0026】
テーパ形状セクションの最も大きい部分の径は、中間主部の内径よりも広く、テーパ形状セクションの最も細いセクションは、中間主部の内径と同じ広さである。
【0027】
テーパ形状セクションは、形状としては円錐型又は円錐台型であってもよい。テーパ形状セクションの円錐部分又は角錐部分は、近位端には最も細い部分が、遠位端には最も大きい部分を有するように配向される。
【0028】
カッターの形状は、基礎に穿孔される穴の形状を決定する。場合によっては、カッターは内側主部全体の幅を横断して延在する。これによって、円筒形の穴を基礎内部に穿孔する。別の例では、カッターは環状形状を有するが、これにより、環状穴が基礎内部へと穿孔される。言い換えると、穿孔されると、穴は円筒形の穴であり、未切削の基礎の柱部分はこの円筒形の穴の中心へと延出している。環状穴が穿孔される場合、内側主部は穴の中に残存する未切削の基礎の柱部分を収容するためのルーメンを備える。このルーメンは、カッターの穴(すなわち、非切削部分)と位置合わせする限りは、中央に存在してもよく、又は実際には中心軸からオフセットされていてもよい。これは、岩屑をフラッシングすることが可能なため、基礎中に穴を滑らかに穿孔する一助となる。いくつかの例では、ルーメンはその他の主部のうち1つに設けられてもよい。
【0029】
こうした環状形状により、中心が(理論的には)接線方向の回転速度を有さない円形の穿孔面と比較すると、至る所で穿孔面速度(カッターと基礎との間の相対速度)を上げることができる。穿孔速度を更に上げることにより、穿孔はより速く進行することができる。これらの設計では、カッターの内径(穿孔後の穴に残る未切削の基礎の柱部分の径と同等である)は、内側主部のルーメンの内径未満である。次いでこのことは、固定用具の内側部分をフラッシング液体が通過するのを保証する。なぜならこれは、柱部分は周辺に隙間を有するルーメン(カッターの内径とルーメンの内径との間の差異に等しい)に嵌合することを保証するからである。
【0030】
いくつかの例では、カッターはローラーコーンデザインであってもよく、その他の例では、固定切削ビットに埋め込まれている切削用素材を備えてもよい。カッターの選択は、中に穿孔することを意図している基礎の種類(例えば、岩石の種類、硬度など)に関して、カッターを最適化するという観点から行われる。
【0031】
任意選択的には、1つ又は複数の第1取り外し可能な連結部及び/又は第2取り外し可能な連結部は、装置の近位端に向かって配置される。好ましくは、連結部は装置近位側の3分の1、又は更には装置近位側の4分の1、若しくは装置上部の4分の1内に配置される。装置が通常、近位端から基礎へと下向きに打ち込まれ、近位部分を最上方かつ露出した状態を維持するため、用語「近位」及び「上部」、「上方」、「高位」などは、本開示では互換的に使用される。用語「遠位」及び「底部」、「下方」、「基礎」などもまた、同様の理由で互換的に使用される。言い換えると、「近位端に向かって」は、装置の近位端から装置に沿って33%以下、又は更には25%の距離を意味する。これは、最大荷重経路から入れ子式主部間の任意の連結部を取り外すだけではなく、更に有利には、連結部を上部の最も近くに配置することで、任意の損傷(改良されたデザインに起因してそれ自体発生する可能性が低い)を修理可能とする可能性を高める。
【0032】
任意選択的には、中間主部と内側主部との間の相対的な軸方向運動は、第1軸方向連結部により第1距離に制限され、及び/又は中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が、第2軸方向連結部により第2距離に制限される。軸方向連結部の使用により、隣接する主部を互いに連結する簡便な方法を提供し、これによって、基礎に装置を設置するために、回転駆動及び限られた範囲の軸方向運動が必要とされる特徴を提供することができる。
【0033】
軸方向連結部又は各軸方向連結部は、装置の近位端に向かって配置されてもよい。上のように、これは連結部が、装置の近位(すなわち上部)端から装置の長さに沿って33%以下、又は更には25%の距離で配置されることを意味してもよい。再度これは両方とも、入れ子式主部間の任意の連結部を最大荷重経路から取り外し、かつ任意の損傷(改良されたデザインによりそれ自体発生する可能性が低い)を修理可能とする可能性を高める。
【0034】
任意選択的には、軸方向連結部又は各軸方向連結部は、それぞれ取り外し可能な連結部とは異なる軸方向位置で配置される。このことは、軸方向連結部及び/又は取り外し可能な連結部により導入される任意の脆弱性が互いに重複することがなく、そのため弱い箇所が形成されるのを防止することを意味する。実際には、場合によっては、複数の軸方向連結部が存在する場合、それぞれの軸方向連結部は、互いに異なる軸方向位置に配置され、弱い箇所を防止する。同様に、複数の取り外し可能な連結部が存在する場合、それぞれの取り外し可能な連結部は、互いに異なる軸方向位置に配置され、弱い箇所を防止する。
【0035】
同様の方法で、軸方向連結部又は各軸方向連結部は、それぞれ取り外し可能な連結部とは異なる、装置周辺の角位置で配置されてもよい。実際には、各軸方向連結部は、他の軸方向連結部から、装置周辺で角度的に離間されていてもよく、及び/又は取り外し可能な連結部は、他の取り外し可能な連結部から、装置周辺で角度的に離間されていてもよい。このことはまた、連結部が装置周辺の同じ角位置である場合に考えられる弱点形成を防止する一助となる。詳細には、連結部間で角度が付いた空間があることで、装置の横方向荷重に対する弾性を向上させる一助となり得る。
【0036】
軸方向連結部又は各軸方向連結部は、スロット及びピン構成を備えてもよい。例えば、ピンは外側主部又は中間主部の内側面から離れて延在してもよく、このピンはそれぞれ、中間主部又は内側主部の対応するスロットに収容される。あるいは、ピンは内側主部又は中間主部の外側面から離れて延在してもよく、このピンはそれぞれ、中間主部又は外側主部の対応するスロットに収容される。このことにより、ある程度の軸方向運動を許容しつつ、隣接する主部(内側-中間、中間-外側)を回転可能に連結するための便利かつフォールトトレラントである方式を提供する。各スロットの長さは、所望の範囲の軸方向運動をもたらすように選択され得る。詳細には、スロット長は第1距離及び第2距離がどのくらい長いかを決定する。
【0037】
任意選択的には、軸方向連結部又は各軸方向連結部は、装置の正反対に対向する部分に配置される一対のスロット及び対応するピンを備える。スロット及びピンの正確な数及び位置は、目的の用途に応じて選択され得る。ただし、設計留意点としては、応力が装置を通して均等に広がり、単一部分への集中が発生しないことを保証するために、装置周辺に均一に角度的に離間された状態で複数のスロット及びピンを設けることが挙げられる。これは、スロット数の増加という困難につながる。一方、スロットを部分へと分断することで、材料が取り除かれてその部分が弱くなるため、スロット数の減少という困難が存在する。これらの要因のバランスをとることで、2本の隣接する主部を連結するために、2~5個のスロット及びピン連結部が望ましい数となる。単一のスロット及びピン構成は簡略さのため場合によっては好ましい可能性があるが、好ましい例では、対応するピンを有する2つのスロットは、これらの競合する要因間の良好なバランスであることが明らかになっている。
【0038】
各内側主部の軸方向連結部(すなわち、内側-中間及び中間-外側)がスロットとピンである場合、上に提示されるように、弱点形成を防止し、近位端に可能な限り近接したこれらの設置が可能となるため、正反対に対向する一対を互いに対して90度回転させることができる。
【0039】
いくつかの例では、スロット及びピンは、隣接する主部に対応する面にフライス加工された細長い環状開口部の内側に嵌合される大きな環状ピンから形成される。このことは、この面にフライス加工された開口部を有する主部は連続しており、主部の本体よりも薄い壁厚セクションを有し、そのため、弱点がスロットにより導入されることを回避するという利点を有する。環状ピン及び環状開口部は、例えば六角外形と嵌合することができ、回転駆動を可能とする。又は、これらは互いに回転可能に連結解除されるように円筒形外形を有することができる。これらは、こうした連結部が望ましい事例においては、2本の主部を互いに独立して回転させることが可能であることから、有用であり得る。
【0040】
任意選択的には、内側主部と中間主部との間の取り外し可能な連結部、及び/又は中間主部と外側主部との間の取り外し可能な連結部はシヤーピンを備える。シヤーピンは、所定の歪みで主部から互いに容易に連結解除するための簡便な方式を提供する。現代の製造技術により、高度に一貫したせん断強度が可能となる。このため、操作は所望のせん断応力に抑制されることができ、設置に関与するユーザは、工程時にいつピンがせん断すべきかを正確に決定することができる。場合によっては、両方の取り外し可能な連結部はシヤーピンを備え、中間主部と外側主部との間のシヤーピンのせん断強度が、内側主部と中間主部との間のシヤーピンのせん断強度よりも大きなせん断強度を有する。これにより、同様の運動は両方のピンをせん断するために使用することができる。ただし、内側-中間ピンは、中間-外側ピンの前にせん断することを保証する。このことは、第1距離に沿った内側主部と中間主部との間の相対的な軸方向運動が、第2距離に沿った中間主部と外側主部との間の相対的な軸方向運動が可能となる前に可能になるという効果を有する。以下により詳細に説明されるように、このことは、設置された装置に張力がかかる前に指が張り出し、基礎をアンダーカット可能であることを意味する。
【0041】
場合によっては、取り外し可能な連結部又は各取り外し可能な連結部は、装置の正反対に対向する部分上に一対のシヤーピン連結部を備える。軸方向連結部に関する、上に与えられる同様の理由について、力の均一な分布を有するだけでなく、過剰な量の穴を穿孔することにより主部を弱めないようにする困難が存在する。こうした理由から、適正な数のシヤーピンは正反対に対向する2つであってもよい。ただし場合によっては、ざっと見て1~5個が有利であってよく、この場合、シヤーピンは装置周辺に角度的に均等に離間される。
【0042】
任意選択的には、第1距離は第2距離よりも大きい。これは2つの距離の異なる役割を反映しており、アンダーカットは、装置(第1距離により決定される)を首尾良く固定するのに十分大きく切断されることができる。岩石塊の圧縮に必要とされる運動は少ないことが期待される。そのため、第2距離(こうした圧縮を可能とする)は、第1距離よりも相応して短く作られ得る。
【0043】
第1距離は、最長の切削指と任意選択的には少なくとも同じ長さである。多くの事例では切削指は全て同じ長さであり、場合によっては、これらは異なる長さを有してもよい。この切削指は通常、これらのどの部分もテーパ形状セクションに軸線上に位置合わせしない位置で始まり、こうすることでこれらの切削指は内側主部の外側面に密着して位置することができる。これらの切削指が異なる長さを有する場合、これは最長の切削指がテーパ形状セクションの近位端が存在するはるか前方にのみ存在し得、これより短い指はどれも、ここまでは延在しないことを意味する。したがって、第1距離は最大長の指と少なくとも同じ長さでない限り、指はどれもテーパ形状セクション上には完全に付勢されず、それらが完全に延在するまで張り出す。それゆえ、アンダーカット部が減る。
【0044】
任意選択的には、基礎に固定用具を保持するための部分は、その近位端からその遠位端までテーパ形状である部分を備える。すなわち、テーパ部は、その最遠位領域よりも広い外側主部の近位端に生じる。このことにより、指と外側主部のテーパ部との間で基礎に割り込むことで、基礎を掴む簡単な手段が提供される。主部上のテーパは有利には、基礎の穴に横方向に(すなわち、外側に放射状に)圧力を加えるように形作られ得る。他の例では、キャップ付プレートを使用し、基礎表面を押圧し、プレートと指との間で基礎を掴んでもよい。これは、基礎が軟らかい、又は基礎が構造的欠陥を有する場合には有用であり得る。こうすることで圧縮荷重は分散方式で良好に印加される。
【0045】
任意選択的には、張り出し可能な切削指は、中間主部の遠位端にヒンジで取り付けられる。これにより、内側主部が中間主部に対して上向きに引き出される場合には、指を容易に広げることが可能となる。別の場合では、内側主部は指に適するように連続して延在してもよく、指の張り出し能力は中間主部の薄い部分により設けられる。この結果、この薄さによって中間主部が指を張り出すことが可能となるように変形する優先的な箇所が提供される。言い換えると、張り出した指は中間主部の遠位端の一部分を形成することができる。張り出した指に対応する中間主部の部分は、中間主部の本体よりも薄い中間主部の部分を介して中間主部の本体に連結されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、この指は一般的に平坦である。その他の実施形態では、この指は、一部領域ではその他の領域よりも厚いくさび形状の外形を有してもよい。この外形は、指をより広く張り出させ、平坦な指にとっても可能であるようにより大きいアンダーカット部を広げる一助となる。こうすることは典型的には、テーパ形状セクションの最も薄い端部が(指の最も厚い部分を収容するために)更に薄いことを必要とし、それにより内側主部から強度を取り除く。
【0047】
第2の例のいくつかの場合では、外側主部は回転駆動装置に連結するための駆動部分を有し、内側主部は内側主部及び外側主部の相対的な軸方向位置を調節するために、駆動装置のうち近位に配置されるテンションナットを有する。このテンションナットは内側主部に配置され、回転駆動装置に連結することにより調節され、テンションナット及び駆動部分は同様の回転駆動装置に連結するために構成される。
【0048】
すなわち、駆動部分及び六角ナットのそれぞれは、これらを作動させるために同じ回転トルクにより駆動され得る。外側主部は、海底へと穴を開けるために装置を回転させる(すなわち全体装置、主部間の回転連結部による)ように、回転装置により掴むための外形を有する。テンションナットは、内側主部に沿って回転動作下で可動し(その近位端でねじ切られ得る)、ここで外側主部の突出部に当たり、相対運動によって岩石を掴む。
【0049】
他の例では、六角ナットは必須ではなく、四角形、三角形などの外形を有する連結部が使用されてもよい。実際に、任意の正多角形が可能である。外形を駆動させるため、面の数が多くなればなるほど、入手可能なものが少なくなる(限定的な場合としては円である)。逆に、面が少なくなることで、外側主部から駆動部分を形成する問題が生じる。これは、相対的に薄い壁厚から容易にフライス加工が可能である円と、少ない数の面とは大きく異なっているため、外側主部の壁厚は形成されることができる形状を限定するからである。これらの理由のため、これらの2つの相反する圧力を均衡させることから六角形の外形が好ましい。ただし、当業者は、本明細書に開示される固定用具は、テンションナットの外形に一致する限りは任意の外形を有する駆動部分によって作用するであろうことを理解するだろう。
【0050】
上記のように、この目的のために単独駆動装置を使用することで、取付手順が大幅に簡素化される。先行技術と比較すると、上記装置は張力をかける段階及び穿孔段階向けに別の駆動を使用する。単純な軸方向運動を用いて連結部を連結させ、かつ駆動装置から連結解除可能なことから、好適な連結部の一例は六角駆動システムである。当然、他の形状及び他の種類の駆動装置もまた可能である。
【0051】
任意選択的には、駆動部分は遠位方向に外側主部の近位端から離間している。このことは、駆動部分は解放されているが、一方でテンションナットは六角駆動装置に完全に保持可能であるという意味で、二段駆動能力に関してある程度の許容差を提供する。この隙間により、六角駆動装置の端部は駆動部分から離れているが、外側主部の一部分と依然として重なる領域を存在させることが可能となる。それゆえ、テンションナットは明確に依然として保持されることを保証する。
【0052】
任意選択的には、外側主部の近位端は駆動部分よりも細い。これにより、駆動部分が係合解除された場合には、外側主部は六角駆動装置により駆動されない(かつ実際には、外側部分は六角駆動装置とは全く相互作用しない)ことを保証する。
【0053】
第1の例又は第2の例のいずれかの内側主部は、カッターにより穿孔された穴をフラッシングするためのルーメンを備えてもよい。ルーメンは中心であってもよく、又は実際には中心軸からオフセットされていてもよい。上記のように環状穴が穿孔される事例での使用に加え、ルーメンは全てのデザイン(円筒形又は環状穴)において、岩屑をフラッシングすることが可能であることから、基礎に円滑に穿孔する一助となり得る。いくつかの例では、ルーメンはその他の主部のうち1つ又は複数に設けられてもよい。加えて、フラッシュチャネルは、フラッシングすることでフラッシング液体及び岩屑を穴から排出可能とするために、外側主部の外側面に存在してもよい。
【0054】
加えて、内側ルーメンは、固定用具を固形の塊中の定位置に固定可能とするように、グラウト又は他の硬化可能な材料を供給するために使用されてもよい。これにより、穴内部の固定用具の動きを阻止する。
【0055】
固定用具は、装置の近位端の方に配置される取付点を更に有してもよい。取付点は外側主部に配置されてもよい。これは、装置の複雑さを低減する一助となり得る。この取付点が装置の中心軸を中心として回転するように、装置に回転可能に連結されるという意味で、この取付点は、装置に回転可能に連結されてもよい。これは、荷重(例えば、浮遊している物体に接続されている係留索)が装置に接続されている場合には、荷重は装置の取付点に位置合わせされる必要がないことを意味している。これは取付点が単純に回転して荷重と位置合わせすることが可能であることによる。設置にかかるコストを削減するだけではなく、例えばボートが装置に係留される場合には、波及び潮流は、装置に対するボートの向きを変化させ得る。取付点が回転可能な場合、装置は自動的にこうした荷重に適合する。当然ながら、場合によっては装置に複数の取付点が存在してもよい。
【0056】
取付点は、係留索、ケーブル、鎖などを装置に連結するために設けられる。次いで、これらの係留索、ケーブル又は鎖は、ボート、FPSO、リグ、タービン組立体を連結し、水底に係留することができる。取付点はしたがって、設置時に予想される基礎の位置よりも上の装置に配置される。言い換えると、取付点が基礎の表面下となるなど、装置を基礎奥深くに穿孔してはならないように、取付点の位置は装置が穿孔され得る深さを決定する。これは、装置への係留索の固定を妨げ、それによってその有用性を低減させるからである。
【0057】
更なる別の例では、固定用具は水中構造物を建造する位置を提供するための構造的接続部分を追加的に又は代替的に備えてもよい。言い換えると、固定用具は固定される基礎の部分又はその近くに水中構造物を接続又は構築するために、基礎よりも上に延在するように意図された部分の特徴を含んでもよい。一例としては、構造物は水底に固定されてもよく、結果的に構造物の角部は固定用具に連結され、それにより水底の定位置に構造物を保持する。
【0058】
上記固定用具を設置するための遠隔駆動操作システムも本明細書に開示され(例えば、駆動部分及びテンションナットが設けられる)、遠隔駆動操作システムは、回転駆動装置;固定用具の外側主部とテンションナットの両方を回転可能に駆動するための回転駆動装置により回転可能に駆動される第1接続部;アンカーの内側主部に連結するための第2接続部;テンションナットを保持しつつ、外側主部から連結解除するための第1接続部の軸方向運動のための第1軸方向駆動装置;及び中間主部に対する内側主部の軸方向運動のための第2軸方向駆動装置を備える。この遠隔駆動操作システムは、固定用具と相互作用し、これを地中へと打ち込むために配置される。回転駆動装置及び2つの軸方向駆動装置は、特に、上に述べられる固定用具に連結し、基礎に固定用具を設置するために意図した方式で様々な部分を駆動させるために設けられる。
【0059】
いくつかの例では、第2軸方向駆動装置はまた、回転駆動されてもよい。例えば、第2回転駆動装置を使用し、又は第1接続部を駆動させる回転駆動装置に第2軸方向駆動装置を連結することにより、回転駆動される。内側主部及び外側主部の両方を駆動させるためにより少ない回転駆動装置が必要とされることから、この後者の事例は遠隔駆動操作システムにおいて大幅な簡略化を可能とする。回転駆動装置と第2接続部との間の連結部は、内側主部が他の主部に対して回転するよう意図される場合(又はその逆)のために内側主部を選択的に連結解除可能とするために、固定方式で、又はクラッチ及び/若しくはブレーキシステムにより単純に構成され得る。
【0060】
任意選択的には、遠隔駆動操作システムは、カッターにより開けられた穴を洗い流すためのポンプ手段を更に備える。任意選択的には、遠隔駆動操作システムは、穴をフラッシングするための液体の貯蔵部を更に備える。これらは、フラッシング液体を固定用具の下方(遠位)端に供給し、穿孔されている穴をフラッシングするために、内側主部の中央ルーメンに接続され得る。遠隔駆動操作システムは、穴をグラウト加工し(すなわち、グラウトで穴を充填する)、それによって硬化可能材料が硬化した際に固体の塊に固定用具を固定するために、グラウト又は他の硬化可能材料の供給を更に(又は代替的に)含む。
【0061】
当然ながら、上記固定用具の好適な例は、上記遠隔固定操作システムと共に単一の組立体へと組み合わせられることができる。これはまた、本明細書に開示される。具体的には、この構成は上記固定用具及び上記遠隔駆動操作システムを備えるアンカー取付システムを提供し、第1接続部はテンションナット及び駆動部分に連結され、第2接続部は内側主部に連結される。
【0062】
任意選択的には、第1軸方向駆動装置は、遠位方向に延在する展開位置に存在する。追加的には又は代替的には、第2軸方向駆動装置は、格納され、最遠位構成で配置される格納位置に存在する。
【0063】
当然ながら、この構成は上記固定用具であると考えることができ、上にまた記載され、固定用具に接続される遠隔固定操作システムを更に備える。代替的には、これを遠隔操作固定システムとして見なすことができ、これに接続される固定用具を更に備える。固定用具及び遠隔操作固定システムを共に連結することは、取り付け前に例えば船上、又は更には波止場といった設置箇所に到着する前に実行されてもよい。こうすることで、取付チームに様々な接続を正確に実施することを保証し、かつ様々な駆動装置及びアクチュエータが安全かつ使用しやすい環境で正確に操作しているかを試験することが可能になる。
【0064】
第1軸方向駆動装置は、外側主部の駆動部分の少なくとも軸方向程度と等しい軸方向作動距離を提供し、第1軸方向駆動装置の作動により、駆動部分が駆動システムから任意選択的に連結解除することを可能とするように配置されてもよい。固定用具は、特に本明細書に述べられる改良された駆動システムと共に使用するために設計されることに留意されたい。駆動部分及びテンションナットは、第1接続部がテンションナットと駆動部分の両方に連結し、それらの両方を駆動することができるように配置される。ただし、第1軸方向駆動装置の作動は、駆動部分を連結解除するがテンションナットを保持する第1接続部の軸方向運動を生じさせる。これは、第1軸方向駆動装置を固定用具から離し、駆動部分を連結解除し、テンションナットを連結解除することがないように、駆動部分よりも最近位領域にテンションナットを配置することで実現される。固定用具の標準的な設置が、テンションナットと独立して外側主部を駆動させる必要がなく、更に張力工程が、駆動部分を駆動させることなくテンションナットを回転させることで実行されることから、こうすることは望ましい。
【0065】
上記固定用具の好適な例を基礎に設置する方法もまた本明細書にて開示され、この方法は、外側主部の駆動部分及び単独回転駆動装置を有するテンションナットを回転可能に駆動し、それらの回転連結部により、外側主部、中間主部及び内側主部を回転させる工程であって、内側主部の回転によりカッターを基礎へと打ち込ませる工程;中間主部を回転可能に駆動させつつ、中間主部に対して近位方向に内側主部を引き出し、基礎にて指にアンダーカットを張り出させ、広げる工程;回転駆動装置にテンションナットを保持しつつ、回転駆動装置を外側主部から連結解除させる工程;並びに外側主部に対して遠位方向にテンションナットを駆動する工程、を含む。外側主部の駆動部分及びテンションナットが同じ回転駆動装置と駆動可能ではない場合のように、駆動装置の完全な連結解除を必要とせず、設置工程を継続させるために別の駆動装置に交換することから、外側主部及びテンションナットの駆動部分に連結するための単独駆動装置の使用は、取付方法を大幅に簡素化する。
【0066】
任意選択的には、該方法は上記遠隔駆動操作システムを使用して実施される。上記のように、遠隔駆動操作システムは、本明細書に記載の固定用具を設置するために特に適合される。
【0067】
任意選択的には、引き出し工程は、第2軸方向駆動装置を展開することで実施される。追加的に又は代替的には、連結解除工程は、第1軸方向駆動装置を格納することにより実施されてもよい。異なる目的のために2つの軸方向駆動装置を分離することにより、設置工程に柔軟性を与える。
【0068】
任意選択的には、方法を実施する前に、遠隔駆動操作システムは固定用具に連結される。こうすることで、船舶上で、又は更には波止場上で実施することができ、取付チームに様々な接続を正確に実施することを保証し、かつ様々な駆動装置及びアクチュエータが安全かつ使用しやすい環境で正確に操作しているかを試験することが可能になる。
【0069】
任意選択的には、該方法は、装置が穿孔及び穴を広げている間に実施される、フラッシング工程及び清掃工程を更に含む。上記のように、これにより、穿孔工程が円滑となり、岩屑が設置工程に悪影響を及ぼさないことを保証することができる。
【0070】
フラッシング工程及び清掃工程は、穿孔工程の最後に終了してもよい。固定用具が定位置に固定されると、硬化材料で穴を充填し、こうすることで定位置に材料を固定して穴内部の固定用具の動きを阻止するため、グラウト加工工程が実施されてよい。
【0071】
該方法は、固定用具が基礎に設置されると、浮力装置を固定用具に連結する工程を更に含む。これにより、浮力装置は水底に係留可能となる。構造的接続部が設けられる場合には、任意の追加工程は、構造的接続部に接合される水中構造物を構築又は設置することであってもよい。
【0072】
固定用具及び遠隔駆動操作システムは、プラグ及びソケット状の補完部分であるといった点で、複数の相互に関連する製品のように動作するという意味で、本明細書に述べられる様々な例は全て相互に関連していることに留意されたい。これは、固定用具及び遠隔駆動操作システムが、設置工程を改良するために共に連結するように特に設計されるためである。
【0073】
本発明は、以下の図面を参照する非限定的な例としてここで記載される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、先行技術の固定用具を示す。
図2A図2Aは、本発明による固定用具の平面図及び側面図を示す。
図2B図2Bは、図2Aの装置の正面図を示す。
図2C図2Cは、図2Bの線A-Aに沿った矢印の方向における、図2A及び図2Bの装置を通した断面図を示す。
図3A図3Aは、基礎への設置前の、図2A図2Cの固定用具、及び設置リグの断面図を示す。
図3B図3Bは、基礎への設置の初期段階における、図2A図2Cの装置、及び設置リグの断面図を示す。
図3C図3Cは、図3Bに示されているものよりも、基礎の設置の後期段階における、図2A図2Cの装置、及び設置リグの断面図を示す。
図3D図3Dは、基礎に設置された装置を伴う、図2A図2Cの装置、及び設置リグの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
更により詳細には、図2A図2Cを考慮されたい。図2Aは、図の底部の側面図及び図の上部の平面図からの固定用具1を示す。図2Bは正面図からの同様の装置1を示し、図2Cは、図2Bに示される矢印の方向である線A-Aに沿った、断面図における装置1を示す。図はそれぞれ、基礎内部に固定されるように意図された固定用具1の部分、及び基礎からどの部分が突出するかを示すため、予想される基礎表面位置90を示す。固定用具1の一例の構成は、これらの図を全体的に参照してここでは参照される。
【0076】
内側主部2は、図の上端(近位端とも呼ばれる)から図の下端(遠位端とも呼ばれる)まで延びる。下方端に向かって、内側主部2はテーパ形状セクション8を有する。このテーパ形状セクション8は、円錐型の形状を有し、その最も細い部分は装置1の近位端の最も近くに配置される(装置の近位端は、例えば、図2B及び図2Cの上部に存在する)。テーパ形状セクション8の最も幅広な(かつ遠位)端の遠位には、カッター9が配置されている。カッター9は、内側主部が回転し、基礎へと打ち込まれる場合に岩石に穿孔するための歯、又はその他の切削面を備える。このカッターは、穿孔動作を向上させるように成形されていてもよく、その切削効果を最適化させるために特に耐久性が高い素材を含んでもよい。例えば、炭化タングステン、炭化ケイ素、合成ダイヤモンド、焼入鋼などは好適な素材であり得る。テンションナット12は、ねじ山により内側主部2に取り付けられる。内側主部は、穿孔工程中に形成された穴からの岩屑をフラッシングするために使用され得る中央ルーメン13を有する。内側主部2の上端部は、以下により詳細に記載されるように、設置装置に取り付けるための連結部14を有する。連結部は回転力の伝達、軸力の伝達、及び/又は穿孔中に穴をフラッシングするため、ルーメン13への液体の供給を可能とすることができる。示されるように、カッター9は切削ビットに埋め込まれている切削用素材から形成される。その他の例は、代わりにローラーコーン型ビットを含んでもよい。
【0077】
中間主部3は内側主部2のまわりで入れ子状になっている。中間主部3は、内側主部2の中央部分に沿って延在するが、内側主部2の近位端及び遠位端は中間主部3により覆われていない状態のままである。中間主部3の下方端には複数の切削指7が存在し、各切削指はそれぞれのヒンジ結合部16により中間主部3に取り付けられる。上のように、この指は岩石の切削を容易にするように成型されており、炭化タングステン、炭化ケイ素、合成ダイヤモンド、焼入鋼等の好適な素材を含む、特別な切削部分を有してもよい。
【0078】
中間主部3は、以下により詳細に記載されるように、基礎中にてアンダーカットが広がるように、内側主部2と中間主部3の間の相対運動(特に内側主部2を上向きに又は中間主部3に対して近位に移動させる場合)により、指7をテーパ形状セクション8と相互作用させ、外側に張り出すようにするために配置される。
【0079】
示されるように、内側主部2と中間主部3との間の相対運動は、各主部上の対応する穴に嵌合することで回転可能かつ軸線上で、内側主部2及び中間主部3の両方に連結する第1シヤーピン17によって防止される。第1シヤーピン17は特定の力でせん断されるように構成されており、それにより、主部2、3が、(例えば、外側主部3に対して内側主部2を持ち上げ、必要とされるせん断力を印加することにより)好適な力が印加されるまで連結されたままであり、それゆえ内側主部2と中間主部3との間で取り外し可能な連結部を提供するという点で選択的な連結部を提供する。第1シヤーピン17がせん断されると、2本の主部2、3は回転可能に連結されたままであるが、第1スロット及びピン構成19によって互いに対し、限られた軸方向範囲を越えて移動することができる。こうした方法で軸方向運動を制限することで、損傷を与える可能性がある設置工程中の指7の過度な引張を防止する一助となり得る。
【0080】
外側主部4は、中間主部3の上端部のまわりで入れ子状になっている。外側主部3の上端部は、回転駆動装置に連結するための駆動部分10を有し、これにより外側主部4を駆動して回転させる。駆動部分10及びテンションナット12は、以下により詳細に述べられるように、同じ回転駆動手段により駆動されるように配置される。離間領域11は駆動部分10に隣接しており、これは駆動部分10よりも細く、回転駆動手段と相互作用しないように配置される。これは、固定用具1を回転駆動するために係合させることなく、駆動手段が外側主部4の最上部と重なることができることを意味する。
【0081】
外側主部4は第2シヤーピン18によって中間主部に連結される。部分的には、このことにより、示されるように外側主部4が中間主部3を駆動させ、次いで各主部間の回転連結部によって内側主部2を駆動させることを保証する。上のように、第2シヤーピン18は、所定の荷重が印加される場合にせん断されるように構成されることができ、それゆえ中間主部3と外側主部4との間に取り外し可能な連結部を提供する。これにより外側主部4及び中間主部3が連結解除される。上のように、第2シヤーピン18がせん断した場合には、外側主部4と中間主部3との間の回転連結部を保持しつつ、外側主部4と中間主部3との間の相対運動は第2スロット及びピン構成20により軸方向範囲に限定される。外側主部4と中間主部3との間の相対的な軸方向運動の限られた範囲を可能にすることで、設置中の基礎の塊の圧縮に固定用具1を適合させる一助となる。
【0082】
外側主部4には、係留索、ケーブル、鎖などに連結するための取付点6が設けられている。次いでこれらは、リグ、FPSO、船舶、浮体式生産装置など、水底に係留されている組立体に接続され得る。いくつかの例では、水中構造物を建造する位置を提供するための構造的接続部分は、取付点に加えて又は取付点の代わりに設けられてもよい。示される例では、取付点は固定用具1の中心軸(図2A図2Cに一点鎖線で示される)のまわりで回転することができる回転カラー15上に設けられる。これにより、係留された組立体が波又は潮流に乗って漂流することが可能となり、更には係留された組立体の位置に追従するように自由に旋回する取付点6の位置と、位置合わせすることが可能となる。当然、いくつかの例では、取付点6は固定用具1に対して回転されることはできないが、代わりに定位置に固定され得る。
【0083】
外側主部4は、中間主部3及び内側主部2の上端部周辺に最初に配置される。外側主部4にはテーパ部5が設けられており、これは固定用具1の下方端に向かって細くなっている。このテーパ部5は、内側主部2を上向きに引っ張っている間に、外側主部4の上部に対し下向きにきつく押し込む場合には、テンションナット12を介して張力が装置に印加されることから、基礎に装置を掴む又は支える一助となる。基礎は、テーパ部5と指7との間で掴まれ、圧縮される(指7は、内側主部2が上向きに引っ張られることから、内側主部2のテーパ形状セクション8により上向きに引っ張られている)。いくつかの例では、テーパ部は存在しなくてもよく、代わりにテンションナット12が幅広いプレート又は構造的接続部が設けられる場合には、実際には脚部を有するテンプレートに対して押し込まれてもよい。これは、代わりに基礎表面90と係合する。
【0084】
主部2、3、4のそれぞれは一般的には管状であり、三重の同軸円状構成で入れ子式となっている。これらの主部は任意の好適な素材から成形されており、特に基礎を掴んでいる張力、及び取付点6に組立体が連結されることにより生じる横方向荷重に耐え得る素材から成形される。耐食ステンレス鋼、炭素鋼に保護され、かつ覆われたアノードは全て、水中で見られる過酷な条件に対する耐久性、及び適切な費用で入手可能であるにもかかわらず、力に対して必要とされるレベルの剛性及び耐久性を提供する。これは、設置される場合に剛直なアンカー杭を提供し、かつ杭に張力をかけ、横方向荷重、圧縮荷重(岩石空洞による過度の屈曲又は歪みに対して支持される、及び引張荷重に耐えることを保証することができる。
【0085】
第1シヤーピン17及び第1スロット及びピン構成19は、角度的に位置合わせされるが、軸線上で互いにオフセットされることに留意されたい。同様に、第2シヤーピン18及び第2スロット及びピン構成20は、角度的に位置合わせされるが、軸線上で互いにオフセットされる。最終的に、第1シヤーピン17、第2シヤーピン18は角度的に、かつ軸線上で互いにオフセットされ、第1スロット及び第2スロット、並びにピン構成19、20も同様である。これにより、強度として弱い点が一箇所に集中するのを防止する一助となる。当然、その他の構成が可能である。例えば、シヤーピン17、18はスロット及びピン構成19、20又は互いに角度的に位置合わせされない。
【0086】
示されるように、シヤーピン17、18は実際には正反対に対向するシヤーピンの一対である(ただし、簡潔さのために単数形で記される)。同様に、各スロット及びピン構成19、20は、実際には正反対に対向するピン及び対応するスロットの一対である。ただし、簡潔さのために単数形で記される。これらの構成により、隣接する主部2、3、4の間での回転の伝達は円滑であり、装置のいずれか一部分に歪みを集中させないことを保証する一助となる。いくつかの例では、隣接する主部2、3、4に連結する異なる数のシヤーピン17、18及びスロット/ピン構成19、20が存在する。
【0087】
いくつかの例では、固定用具1は合計でおよそ1.5m~2.5mの長さであり、外側主部4の外径にわたっては0.25m~0.5mであってもよい(任意の取付点又は構造的接続部分を含まない)。
【0088】
図3A図3Dに移り、この固定用具の設置についてここで記載する。図3Aは設置前であり、遠隔操作用設置装置21に連結されている固定用具1を示す。この設置装置は、固定用具1に回転運動を供給するための上方回転駆動装置22、及び下方回転駆動装置27、並びに2つの軸方向駆動装置25、26をも有する。第1軸方向駆動装置25により、設置装置21上の回転駆動連結部23を固定用具上の駆動部分10から連結解除させるため、設置装置21上の回転駆動連結部23(回転駆動装置22により駆動される第1接続部として呼ばれる場合がある)を軸方向に動かすことができる。第2軸方向駆動装置26は、内側主部接続部14に連結するための接続部24に連結され、これにより内側主部を取付手順で上向きに引っ張ることが可能となる。軸方向駆動装置25、26の両方のセットは、この例では油圧ポンプとして示されており、任意の好適な手段は空気圧システム、ラックオンピニオンシステムなどであり得る。
【0089】
固定用具1及び設置装置21は、取付部位に到達する前に図3Aに示されるように共に連結されてもよい。例えば、連結は乾燥した陸地上に生じてもよく(例えば、架設用の船舶への荷役前の波止場にて)、又は架設用の船舶自体に生じてもよい。こうすることにより、操作者は設置装置21の機能を試験することができる。例えば、様々な回転アクチュエータ及び軸方向アクチュエータが操作可能であり、動きの全範囲を通じて移動可能であるかをチェックすることができる。任意の場合では、連結及び試験が完了すると、固定用具1及び設置装置21は、図3Aに示される構成で水底へと下げられ、設置を開始する。
【0090】
この設置前の構成では、固定用具は図2A図2Cに示される構成であり、特に指7は内側主部2の外側面に対して水平であり、シヤーピン17、18は無傷の状態である(主部2、3、4のいずれかの間で、相対的な軸方向運動又は回転運動は不可能である)。固定用具1の駆動部分10及びテンションナット12は、設置装置21の回転駆動連結部23により係合される。この例では、駆動部分10、回転駆動連結部23及びテンションナット12のそれぞれは、全て六角接続部である。固定用具1にトルクを提供するため、設置装置21の回転駆動連結部23は回転駆動装置22(例えば、油圧モータ又は電気モータ)に連結される。場合によっては、上方回転駆動装置22は単純なクラッチ/ブレーキ構成であり、回転運動を固定用具1に供給するために、単独駆動装置(下方回転駆動装置27)のみを使用することを意味する。他の構成では、上方駆動装置22は主要な駆動装置であり、下方駆動装置27はクラッチ/ブレーキ構成によりこれに連結される。以下の議論は主要な上方駆動装置22といった観点から成り立っているが、当業者は、下方駆動装置27が主要であるというものと同様の考慮が適用されることを認識している。
【0091】
加えて、内側主部連結部14は、設置装置21に内側主部連結部24に連結される。この連結部により、設置装置21は内側主部2に軸方向運動を付与することが可能となる。これによってまた、回転運動を内側主部2に付与し、かつ/又は内側主部2により穿孔された穴をフラッシングするための液体を提供してもよい。
【0092】
設置装置21は、第1軸方向駆動装置25が展開された状態、すなわち下向き(遠位)方向に延在した状態で開始する。この状態により、設置装置21上の回転駆動連結部23が、その最も下方の範囲に向けて存在するように押しつけられる。設置装置21上の回転駆動連結部23は、固定用具1上の駆動部分10の両方に連結され、かつこれを格納し(これが展開構成又は拡張工程で開始する場合)、後で確認するように)、固定用具1上の駆動部分10から連結解除され得る。
【0093】
第1軸方向駆動装置25の位置は、互いに対し、内側主部2及び中間主部3の相対的な軸方向構成に対応する(かつ、破断されていない第1シヤーピン17により保持される)。より詳細に、内側主部2は、第1スロット及びピン構成19により制限されるように、中間主部3に対しその最遠位(下向き)位置で保持される。これは、第1シヤーピン17が破断する場合には、内側主部2は最大で第1軸方向距離にわたり、中間主部3に対して近位(上向き)方向でのみ移動可能なことを意味する。これはその最下方(最遠位、展開)状態である第1軸方向駆動装置25に対応するが、このことは上向き方向にのみ内側主部2を駆動可能であることを意味する。
【0094】
関連して、外側主部4は、第2スロット及びピン構成20により制限されるように、破断されていない第2シヤーピン18により中間主部3に対してこの最上方(最近位)位置に保持されている。第2シヤーピン18が破断される場合、外側主部4は、中間主部3に対して(及び内側主部2に対して)下向き(遠位)方向にのみ移動することができる。これにより、外側主部4及びそのテーパ部5及び指7(及び内側主部2、8)は、一度設置された基礎を掴むこと及び圧縮することが可能である。
【0095】
第2軸方向駆動装置26は格納されるプロセス、すなわち、その最下方又は最遠位構成でも開始する。これは、展開される場合には、軸方向に近位方向又は上向き方向に動くことを意味する。再度、これは第2軸方向駆動装置26が展開される場合には、固定用具1の残りの部分に対して内側主部2を上向きに持ち上げることができることを意味する。
【0096】
水底に配置される場合には、設置装置21は、固定用具を水底の所望の領域へと向けるように固定化される。位置決定は、GPSを使用し水上艦からチェックすることができる。例えば、設置装置21及び固定用具1はクレーンにより水底へと共に下ろされ、クレーンヘッドの位置は固定用具1の位置を良好に表す。加えて、固定用具1は所望の角度にて水底の所望の領域に適合するように配置される。通常、これは水底を形成する基礎の傾斜にかかわらずほぼ真下であるが、場合によっては例えば、局所表面に対して垂直、又は局所表面に対してある角度でなど他の角度が望ましい場合が存在する。固定用具9が水底に適合する角度は、固定用具1及び設置装置21のピッチ及びロールを変更(changing)することにより変更(alter)され得る。これは、設置装置21に連結する取付フレーム(図示せず)を提供することによって実現され得る。フレームの向きは、フレーム上の油圧脚を使用して調整され得る。あるいは、固定用具21は、その向きを変更可能とするため、フレームに調節可能な連結部を有する。一方でフレームは移動部分を有さない単純なフレームである。
【0097】
この段階で設置を開始することができる。最初に、高速ギアに回転駆動装置22の回転が生じる。これは次いで、設置装置回転連結部23を駆動させ、次いで固定用具回転連結部10を介して外側主部4を回転させる。3本の主部2、3、4全ては互いに回転して連結するため、固定用具1全体が回転する。これは詳細には、内側主部2はテンションナット12と同様のRPMで回転しており、そのため相対的な回転は生じないことを意味する。また、テンションナット12は、内側主部2のねじ切られた部分に沿って上下に運動するというよりも、定位置に維持される。設置装置21は水中でおよそ5メトリックトンの重量を有してもよい。これは固定用具を基礎へと打ち込むのに十分である。ドリルによる押し込みが例えば、わずか1~2メトリックトンへと適切な制限を保証されることにより、トルクは固定用具1に効果的に伝達される。
【0098】
このプロセスは、固定用具1がその意図される深さにまで穴開けされるまで継続する(例えば、図2A図2Cにおける基礎表面90の位置の例を参照されたい)。穿孔工程中、内側主部2中でフラッシング媒体をルーメン13下方に押し流し、穿孔で生じた岩屑を穴から取り除くことができる。工程進行前に穴を完全に除去した状態とすることができるように、追加のフラッシング媒体をルーメン13下方に押し流している間、この段階で遅延が存在していてもよい。深いところまで穿孔すると、固定用具1は、基礎にカッター9の径と等しい径を有する穴に配置される。指7は内側主部2の外側面に密着するため、これらはカッターにより穿孔された穴に隙間なく嵌合する。
【0099】
次の工程は、内側主部2上で引っ張り上げながら、駆動部分10及び回転駆動連結部23を介して固定用具1に回転力を供給し続けること(及び任意選択的にはルーメン13を通して穴をフラッシングすること)である。シヤーピン17、18の連結により、内側主部2を上向きに引っ張ることでも、中間主部3及び外側主部4を上向きに引っ張る。ただし、設置装置21の回転駆動連結部23はこの動きでは軸方向に移動しないため、設置装置21の回転駆動連結部23の遠位(下方)端は、固定用具1の駆動部分10の下方端で外側主部4の肩に当たり、外側主部4が(及び第2シヤーピン18を介して中間主部3も)上向きに移動するのを防止する。このことにより、内側主部2が中間主部3に対して上向きに引っ張られることから、シヤーピン17、18の両方にわたりせん断歪みが生じる(この運動は、中間主部3に対して内側主部2の上向きの並進を可能にする、第1スロット及びピン構成19の初期位置によって可能となる)。同様に、第1シヤーピン17が最初に破断していないことから、上向きの軸力は、内側主部2から中間主部3まで伝達され、これにより第2シヤーピン18にわたり歪みが発生し、ここで中間主部3は外側主部4に対して上向きに押し出される。これは、外側主部4が中間主部3に対して下向きに押し出される所望の構成(以下でより詳細に述べられる)と同等であり、このため、第2スロット及びピン構成20により、中間主部3は外側主部4に対して上向きに移動可能となる。ただしこの場合、第2シヤーピン18は破断していない。外側主部4及び中間主部3のこの相対運動は、後の設置工程までその発生が意図されていないため、第2シヤーピン18は第1シヤーピン17のせん断強度よりも大きなせん断強度を有する。これにより、正しい順序でこの運動の相対的なタイミングが提供されることが保証される。
【0100】
指7が、そのヒンジ16周辺で図3Bにおける位置へと枢動させることによって外側に張り出している間、中間主部3を回転させる(実際には、3本の主部2、3、4全てが共に回転している)ことが、この運動の全体的な結果である。場合によっては、中間主部3は指まで連続していてもよく、ヒンジ16の代わりに、指7を外側に優先的に変形及び張り出させるために、例えば中間主部の残りの部分よりも薄い優先的に変形可能な部分が設けられてもよい。指7の最も外側の縁は外側に張り出すため、これにより基礎へと穿孔される穴の外側の幅広い部分全体が広げられる。この運動が終了した時には、基礎中の穴は大部分が、円錐型部分がその下方端の方にある状態で、円筒形状又は環状(上記のように)に維持される。ここで、固定用具1における上向きの力により、穴の円錐型部分の下向きに面する表面に対して指7は上向きに引っ張られ、それゆえ固定用具1が穴から外れるのに抵抗する。この動きの間、固定用具1の駆動部分10及びテンションナット12の両方が、設置装置21の回転駆動連結部23に保持される。
【0101】
当然、いくつかの構成では、中間主部3は内側主部2を越えて下向きに押し込まれることになり、ほぼ同じ効果で指を張り出す。ただし、図3A図3Dに示される構成は、内側主部2が中間主部内部で上向きに引っ張られるという事実により、テンションナット12及び駆動連結部10の両方に同じ駆動を使用することが可能となることから特に有利である。これは、設置装置21の回転駆動連結部23の遠位(下方)端は、固定用具1の回転駆動連結部10の下方端で外側主部4の肩に当たり、外側主部2を上向きに移動するのを防止することによる。設置装置21の回転駆動連結部23は、下向きの軸方向ブレース(つまり、外側主部4の上向き運動を防止するための下向きの力)を提供するためにのみ必要とされることから、これは回転駆動連結部22を自由な状態のままにし、固定用具1の回転駆動連結部10を容易に連結解除させるために上向きに持ち上げる。代わりに設置装置21の回転駆動連結部23が上向きのブレース力を提供するため(つまり、外側主部4の下向き運動を防止するため)に必要とされると仮定すると、例えば中間主部3が内側主部2を越えて下向きに押し込まれると、より複雑な駆動構成が必要となり、結果的に取付手順を複雑化することになる。とはいえ、いくつかの例ではこれが実装されてもよい。当然、この構成により、第1軸方向駆動装置25の開始位置は、第1軸方向駆動装置25が格納されるために中間主部3が内側主部2を越えて下向きに押すことができるように、最近位構成(上向きに引っ張られ、第1軸方向駆動装置25が展開されている)に必然的に存在することになる。当然ながら、こうした構成は、中間主部3が設置装置21に連結することを必要とし、本例の内側主部2に連結する設置装置21よりも中間主部3を押すことが可能となる。
【0102】
指7が展開される(つまり、意図する程度まで張り出している)と、回転駆動22の回転が停止する。停止すると、第1軸方向駆動装置25を作動させてこれを格納し、設置装置21の回転駆動連結部23を引き戻す。この動作により固定用具1の駆動部分10が係合解除されるが、テンションナット12は保持される。これは図3Cに示される状況である。
【0103】
次に設置装置21の回転駆動連結部23は低速ギアで使用され、外側主部4の最上方部分11に当たるまでテンションナット12を下向きに巻き付ける。場合によっては、高歯車機構/低歯車機構の代わりに、連続的に可変する速度及びトルク駆動を使用し、設置工程中の柔軟性を提供してもよい。この段階中、内側主部2の回転を防止し、内側主部2に対してテンションナット12を転向させ、結果的に内側主部2のねじ部分に沿って並進可能としてもよい。設置装置21の回転駆動連結部23は、テンションナット12を下向きに駆動させ続け、外側主部4の下向きの力を増加させる。所定の力において、第2シヤーピン18はせん断し、外側主部4を中間主部3に対して下向きに移動させ、テーパ部5と指7との間で基礎を圧縮することを可能にする。第2シヤーピン18がせん断されるまで、外側主部4は定位置で安定して保持されることに留意されたい。したがって、穴中へと外側主部4を正確に位置づけ、内側主部2の張力を制御し、基礎の圧縮を実現することができる。基礎の圧縮は、第2スロット及びピン構成20により限定された軸方向範囲にわたって制御される。圧縮段階が完了すると、設置装置21及び固定用具1は図3Dに示される通りとなる。この段階では、設置装置21は、固定用具1の内側主部連結部14と設置装置21の内側主部連結部24との間の接続部を破断することにより、固定用具から連結解除され得る。設置装置21の回転駆動連結部23は、テンションナットをたやすく上向きに外す。次に設置装置21を取り出して再利用し、本明細書に記載された種類の後続の固定用具を設置することができる。様々な係留連結部(ケーブル、鎖、索など)を固定用具1の取付点6に取り付け、水底に組立体を係留することができる。実際には、図示されてはいないが、固定用具1は水中構造物を建造する位置を提供するための構造的接続部分を更に又は代替的に含んでもよい。
【0104】
任意選択的には、設置装置21は中央ルーメン13を介して固定用具1にグラウト又はその他の硬化可能な材料を更に供給してもよい。グラウトは水に代わって硬化可能な材料で穴を充填するために使用されてもよい。これは次に穴中で固定用具1をしっかりと硬化及び保持させることができる。
【0105】
基礎から固定用具1を取り除く工程及び回収する工程は、逆の順で同様の工程を大まかに進められる。最初に、任意の係留組立体を固定用具1から取り外す。水中の張力装置を水底へと下ろし、固定用具1に連結する。この張力装置は内側主部2に連結し、内側主部2からの張力を受けている。同時に、指7を完全に圧縮可能とするため、テンションナット12を緩め、最長の指7と少なくとも同じ長さである距離分、上向きに駆動させる。次に張力装置を固定用具1から取り外し、内側主部を(最長の指7と少なくとも同じ長さである距離分)下向きに投下することを可能にする。指7は重力下で作用し、かつ垂直に懸架し、内側主部2の外側面に密着しており、それゆえ穴の外径に該当する。
【0106】
次に装置を持ち上げることで外側主部4に取り付け、上向きの力が印加される。これは、第2スロット及びピン構成20により可能となるのと同程度に、外側主部4に対して中間主部3を低く懸架させる。同様に、内側主部2は、第1スロット及びピン構成19により可能となるのと同程度に、中間主部3に対して低く懸架する。それゆえ、指7が内側主部2の外側面に密着し続けることを保証する。この構成により、穴の外側へと安定して固定用具全体を持ち上げ、取付箇所からこれを取り外すことが可能となる。
【0107】
この取付方法は、図3A図3Dで確認されるように、穿孔のため、単独駆動装置を使用し、固定用具1にトルクを付与する。これは、アンカー設置のための制御要件を達成するため、内側同軸バレル及び外側同軸バレルに別の駆動装置の使用が必要となる従来の岩石アンカー技術とは対照的である。
【0108】
従来のアンカーにおける外側駆動装置は、固定用具にバヨネット型構成を介して接続される。
【0109】
本開示において、単独駆動装置は、設置装置21の回転駆動連結部23の穴に六角形状の内側外形を使用することにより実現される。これは、図3A図3Dで確認されるように、外側主部4の上部及びテンションナット12の両方に対応する六角形状の外側外形に一致するようにサイズ決めされる。この構成により、穿孔後に外側主部4接続部を破断し、続けてテンションナット12を位置合わせかつ係合させる後続の段階を必要とすることを除き、取付手順の開始時に水面上に設置装置21に固定用具1を取り付ける場合には、駆動装置内にプレテンションナットを捕捉することが可能になる。これは、固定用具1と設置装置21との間の接続部が大幅に簡素化されることを表しており、これゆえに取付手順を大幅に簡素化し、全体のプロセス時間を短縮する。
【0110】
穿孔中に、トルクは、上で詳述されるスロット及びピン構成19、20による設置に必要とされる3本の同軸主部2、3、4の間で伝達する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D