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特許7495479管状ガス発生器のキャップおよびデフレクタ要素からなる組立体群、管状ガス発生器、ならびに管状ガス発生器を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】管状ガス発生器のキャップおよびデフレクタ要素からなる組立体群、管状ガス発生器、ならびに管状ガス発生器を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
B60R21/264
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022513088
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020071389
(87)【国際公開番号】W WO2021037468
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】102019122992.8
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520137095
【氏名又は名称】ツェット・エフ・エアーバッグ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ユング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カプフェルスペルガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュモーケル,ミヒャエル
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102006041611(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0200327(US,A1)
【文献】米国特許第5918898(US,A)
【文献】特開2003-127821(JP,A)
【文献】特開2019-124090(JP,A)
【文献】特開2013-158130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0072212(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0069398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0245716(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ガス発生器(12)のキャップ(14)と、デフレクタ要素(16)であって、前記キャップ(14)の少なくとも1つの流出開口部(28)から流れ出るガスを前記デフレクタ要素(16)の少なくとも1つの放出開口部(34)へ偏向させるデフレクタ要素(16)とからなる組立体群(10)であって、前記デフレクタ要素(16)の偏向表面(30)が、前記流出開口部(28)の径方向外方に配置され、前記デフレクタ要素(16)の少なくとも2つの固定アーム(40)が、前記流出開口部(28)を通って延在し、かつ、内側での前記キャップ(14)とのかみあい接続において、前記流出開口部(28)を画定している縁部(44)の後方に係合する、組立体群(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の組立体群(10)において、前記かみあい接続が、クリックロックおよび/または差込みロックであることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組立体群(10)において、前記固定アーム(40)の自由端部(42)が、曲げられ、かつ、前記キャップ(14)の壁の内側面上で前記流出開口部(28)の前記縁部(44)に隣接することを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記偏向表面(30)が、湾曲されるかまたは溝状に形成されることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記偏向表面(30)の側方面(38)が、前記偏向表面(30)の頂上線(36)の両側に延在し、前記頂上線(36)が、前記キャップ(14)の軸方向(A)に延在することを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の組立体群(10)において、前記側方面(38)がまとまって前記固定アーム(40)になることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記デフレクタ要素(16)が成形金属薄板から作られることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記固定アーム(40)が、前記流出開口部(28)の前記縁部(44)に向かって互いに離れるように付勢され、かつ/または前記縁部(44)に作用することを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記デフレクタ要素(16)が、細長い形状を有し、かつ、放出開口部(34)が各軸方向端部に形成されるようにその軸方向端部の両方で開口していることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の組立体群(10)において、前記2つの放出開口部(34)の断面積が異なることを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、前記キャップ(14)の前記流出開口部(28)と前記デフレクタ要素(16)の前記少なくとも1つの放出開口部(34)との間にフィルタ(46)が介在されること、および/または、前記キャップ(14)が少し離れて拡散器(23)を囲むことを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組立体群(10)において、中央ウェブ(48)によって互いに隔てられた2つの流出開口部(28)が設けられ、前記デフレクタ要素(16)が、少なくとも4つの固定アーム(40)を含み、2つの隣接する固定アーム(40)が、前記中央ウェブ(48)の両側でそれぞれの前記流出開口部(28)の前記縁部(44)に作用することを特徴とする、組立体群(10)。
【請求項13】
軸方向端部(22)に設けられた少なくとも1つのガス出口開口部と、請求項1から12のいずれか一項に記載の組立体群(10)とを備える、管状ガス発生器(12)であって、キャップ(14)が、前記軸方向端部(22)を包囲しながら前記管状ガス発生器(12)に固定され、前記少なくとも1つのガス出口開口部と前記キャップ(14)との間に収集チャンバが形成され、ガスが、前記収集チャンバを通ってデフレクタ要素(16)に向かって流れる、管状ガス発生器(12)。
【請求項14】
請求項13に記載の管状ガス発生器(12)を製造するための方法であって、
キャップ(14)が前記管状ガス発生器(12)の軸方向端部(22)にしっかりと固定されるステップと、
続いて、デフレクタ要素(16)がその固定アーム(40)を流出開口部(28)に通して前記キャップ(14)の外側から摺動されるステップと、
を含み、
前記固定アーム(40)が、前記流出開口部(28)の縁部(44)とのかみあい接続を形成し、それが前記デフレクタ要素(16)を前記キャップ(14)にしっかりと固定する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記固定アーム(40)が、前記流出開口部(28)内に摺動される前に、力の印加により弾性的に変形されながら互いに向かって移動され、前記力の印加が停止されたときにばね作用で再び離れること、または、前記固定アーム(40)が、第1の配向において前記流出開口部(28)内に摺動され、続いて差込みロックを形成しながら第2の配向まで所定の角度だけ回転されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ガス発生器のキャップおよびデフレクタ要素からなる組立体群、管状ガス発生器、ならびに管状ガス発生器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管状ガス発生器とも呼ばれる細長いガス発生器では、作動に応じて生成されたガスは、1つまたは複数のガス出口開口部を備える流出領域を通ってガス発生器から離れる。流出領域は、管状ガス発生器の軸方向端部に設けられることが多い。
【0003】
可能な一変形形態では、流出領域は、ガス発生器の外壁に直接形成される。
【0004】
あるいは、ガス発生器の軸方向端部にしっかりと取り付けられた拡散器により流出領域を実現することも知られており、この拡散器は、その周壁に複数のガス出口開口部を含む。この変形形態では、拡散器は、ガス発生器の構成要素と見なされる。
【0005】
ガス出口開口部は、通常、ガス発生器の作動時にガス発生器を推力中立(thrust-neutral)に維持するために、拡散器またはガス発生器の周囲にわたって均等に拡散され、ガスは、通常、径方向に流れ出る。
【0006】
多くのエアバッグモジュールでは、管状ガス発生器は、その流出領域がエアバッグの膨張可能容積の内側に位置するように、配置される。この設計は、例えば、カーテン様のサイドエアバッグに見られ、あるいは、車両座席の背もたれ内に設置されるサイドエアバッグに見られる。
【0007】
しかし、径方向のガス放出は、個々のエアバッグまたはエアバッグの個々のチャンバの特定の充填がこれによって妨げられるので、欠点であることが多い。管状ガス発生器から退出するガスを複数のガス流に分割することも、困難である。
【0008】
これに関して、例えば特定のファブリック層を設けることが知られており、このファブリック層は、管状ガス発生器の流出領域を周方向に囲み、エアバッグファブリックを退出ガスから守るだけでなく、ガス流を軸方向に偏向させる。しかし、ファブリック層の柔軟性により、ガス流の特定の分割は不可能である。
【0009】
いわゆるガスランスを設けることも知られており、このガスランスは、両端が開口している管状部品を有し、また、退出ガスを管状ガス発生器から少し離れて配置されたエアバッグまで数デシメートルの距離にわたって移送するために、管状ガス発生器に軸方向に取り付けられる。エアバッグ内への指向性ガス流はこのようにして生成され得るが、エアバッグ上に直接にまたはエアバッグの内側に管状ガス発生器の流出領域を配置することは不可能であり、それが、エアバッグモジュールの寸法を必然的に増大させる。
【0010】
さらに、様々なエアバッグモジュールでの使用に対して、全体的なガス経路指定は、常に複雑な態様で適合されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、管状ガス発生器から流れ出るガスをその使用場所まで案内する柔軟な選択肢を提供するのと同時に、低い製造コストで、また、ガス流を複数のガス流に分割する選択肢を有して、小さなサイズ、様々な幾何形状への適応の適切な可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴を備える組立体群によって達成される。組立体群は、管状ガス発生器のキャップと、デフレクタ要素であって、キャップの少なくとも1つの流出開口部から流れ出るガスをデフレクタ要素の少なくとも1つの放出開口部へ偏向させるデフレクタ要素とからなり、デフレクタ要素の偏向表面は、流出開口部の径方向外方に配置されている。デフレクタ要素の少なくとも2つの固定アームが、流出開口部を通って延在し、かつ、内側でのキャップとのかみあい接続(positive connection)において、流出開口部を画定する縁部の後方に係合する。
【0013】
デフレクタ要素により、管状ガス発生器から径方向に流れ出るガスを異なる方向に、特に管状ガス発生器の軸方向に沿って偏向させることが可能であり、これは、複数の用途にとってより好都合である。例えば、組立体は、カーテン様のサイドエアバッグを含むサイドエアバッグモジュールの管状ガス発生器に使用することができ、この場合、デフレクタ要素によるガスの偏向により、より穏やかなガス導入が可能である。
【0014】
デフレクタ要素が複数の放出開口部を含む場合、例えばエアバッグの複数のチャンバを満たすために、管状ガス発生器から退出するガスを場合により様々な量のガスを含む複数のガス流に分割することも、容易に達成され得る。
【0015】
管状ガス発生器が拡散器を含む場合、キャップは、拡散器も設けられる管状ガス発生器の軸方向端部に配置されるべきであり、通常、キャップは、軸方向および周方向において拡散器を完全に覆い、かつ/または、少し離れて拡散器を囲む。
【0016】
しかし、本発明による組立体群に加えて独立した拡散器を設けることは、必須ではなく、組立体群それ自体が、管状ガス発生器からのガス放出の機能を持つことができ、その際に、実際の拡散器に取って代わることができる。拡散器を含まないそのような事例では、当然のことながら、キャップは、ガスが流れ出ることができる管状ガス発生器の軸方向端部に配置されるべきである。
【0017】
キャップは、最初は管状ガス発生器とは別の構成要素であり、かつ、管状ガス発生器とは別に製造される。キャップは、一体形構成要素(one-piece component)であることが好ましい。
【0018】
デフレクタ要素は、キャップとは別に製造され、かつ、最初はキャップとは別の構成要素である。デフレクタ要素は、一体に(in one-piece)作られることが好ましい。
【0019】
キャップは、管形状とされ、かつ、管状ガス発生器の軸方向端部上または管状ガス発生器の拡散器の上で摺動されて管状ガス発生器にしっかりと固定される開口端部を有することが好ましい。キャップの対向端部は、管状ガス発生器が作動されたときに管状ガス発生器から退出するガスがキャップおよびデフレクタ要素の放出開口部だけを通ってエアバッグ内などの管状ガス発生器の周囲環境へ有利に流れるように、気密の態様で封止されることが好ましい。
【0020】
本出願における軸方向および径方向という用語は、管状ガス発生器の長手軸を常に参照し、この長手軸は、キャップが管状ガス発生器に取り付けられたときのキャップの長手軸に一致する。
【0021】
デフレクタ要素の偏向表面は、有利には、流出開口部から退出する全てのガスを所望の方向に偏向させるように、キャップの流出開口部を完全に覆う。
【0022】
流出開口部の縁部の後方に係合することによるかみあい接続は別として、キャップ上でのデフレクタ要素のさらなる固定は必要とされないことが示された。デフレクタ要素は、迅速に、したがってコスト効率良く、キャップに配置することができる。当然ながら、接着または溶接などによる何らかの追加の固定を提供することが考えられる。
【0023】
好ましい変形形態では、流出開口部は、長方形の表面を含み、かつ、特にスリット形状とされる。この場合、固定アームは、流出開口部の長辺に位置する対向する縁部分に作用することが好ましい。
【0024】
固定アームは、管状ガス発生器が作動されたときに固定アームの均一負荷を得るために、デフレクタ要素の長手方向範囲に関して、おおよそデフレクタ要素の中央に配置され得る。
【0025】
固定アームは、偏向表面の両側において延在することが好ましい。
【0026】
固定アームの自由端部は、曲がっていることが好ましく、かつ、キャップの壁の内側面上で、特に流出開口部の対向する縁部分において、流出開口部の縁部に隣接する。
【0027】
かみあい接続は、キャップの流出開口部の縁部の後方での単純な係合であってよいが、クリックロック(click-lock)または差込みロック(バヨネットロック:bayonet lock)であってもよい。その場合、固定アームの曲がった自由端部は、例えば、止め要素、または差込みロックの要素を形成する。
【0028】
デフレクタ要素がその長手方向範囲に対して横方向に弾性的に変形可能である場合、デフレクタ要素は、取付け力(mounting force)により固定アームを圧縮し、それらを流出開口部からキャップの内部内へ摺動させることにより、外側から流出開口部に容易に取り付けられ得る。次いで、取付け力が弱められると、固定アームがばね作用で離れることにより、流出開口部の縁部との形状嵌合(form fit)がもたらされる。
【0029】
デフレクタ要素とキャップとの間の適切な接続を達成するために、また、デフレクタ要素とキャップとの間に十分なガス密性を生じさせるために、この変形形態では、固定アームは、キャップの長手方向に沿ってデフレクタ要素の長さの50%以上にわたって延在し得る。固定アームは、流出開口部がある限り、軸方向に沿って存在することが好ましい。
【0030】
デフレクタ要素が差込みロックによって固定されるべき場合、デフレクタ要素は、弾性的に変形可能であることをあまり必要としない。しかし、固定アームの弾性変形能は、バイアスの生成に好都合である。
【0031】
この場合、固定アームの弾性変形などの一時的な機械的変形がデフレクタ要素上で行われなくてもよいことが、組立てにとって有利である。したがって、例えばより薄肉の材料などのより安価な材料が、デフレクタ要素に使用され得る。
【0032】
しかし、この場合ではまた、デフレクタ要素は、第1の配向における固定アームを流出開口部に通して摺動させ、続いてデフレクタ要素の回転により形状嵌合を提供することにより、外側から取り付けられ得る。
【0033】
この場合、固定アームは、キャップの長手方向においてより短いように選択されるべきである。固定アームは、例えば、キャップの長手方向に沿ってデフレクタ要素の長さの25%以下にわたって延在し得る。長方形の流出開口部では、固定アームは、デフレクタ要素が回転された配向で流出開口部内に挿入され得るように、流出開口部の短辺よりも狭いことが有利である。
【0034】
デフレクタ要素はキャップの流出開口部を通して外側から取り付けられ得るので、最初にデフレクタ要素なしでキャップを管状ガス発生器に固定し、このステップの後でのみデフレクタ要素をキャップ内に挿入することが可能である。これは、例えばローラバニシングによる、管状ガス発生器へのキャップの安価な取付けを可能にする。
【0035】
デフレクタ要素の偏向表面は、弓形状または溝形状とされ、かつ、キャップに向かって特に凹状に湾曲していることが、好ましい。デフレクタ要素は、有利には、流出開口部から退出するガスが流入するキャップの外側と偏向表面の内側との間の空洞を包囲する。ガスは、管状ガス発生器が作動されたときに、設けられた放出開口部のみを通ってデフレクタ要素から離れることが好ましい。
【0036】
偏向表面の側方表面は、偏向表面の頂上線(crown line)の両側に延在することが好ましく、頂上線は、取り付けられた状態では、キャップの軸方向に延在する。頂上線は、例えば、キャップの中心軸から最も遠いデフレクタ要素の部分である。
【0037】
側方表面は、まとまって固定アームになることが好ましく、この場合、それは、それぞれの側方表面がまとまって固定アームになるときにデフレクタ要素の外側表面の曲率が変化しないときにバイアスを生成することにとって有利である。
【0038】
デフレクタ要素は、好ましくは成形金属薄板で構成され、かつ、例えば一体形金属薄板ブランクから、具体的にはばね鋼から作られ得る。
【0039】
ブランクは、偏向表面および固定アームを備え、偏向表面は、好ましくはブランクの長方形部分によって形成され、固定アームは、長方形部分の対向する側から突出する。
【0040】
すると、偏向表面の後の頂上線(later crown line)は、長方形部分の2つの長辺の間で中央に延在する。
【0041】
ブランクを形成するときに、側方表面は、頂上線の両側で互いに向かって曲げられ得る。この場合、少なくとも1つの固定アームが、側方表面の長辺のそれぞれから頂上線に直角に延在することが好ましい。側方表面が頂上線の周りで曲げられる場合、固定アームは、それらが互いにおおよそ平行になる位置まで移動される。
【0042】
2つの側方表面及び/または固定アームは、2つの側方表面を外方に偏らせる弾性バイアスが生じ得るように、例えば弾性的に変形可能である。
【0043】
デフレクタ要素がキャップに取り付けられた状態では、上記バイアスは、好ましくは、固定アームと流出開口部の縁部との間の形状嵌合が維持されること、および、固定アームが偏らされて流出開口部の縁部に対して付勢されることを確実にする。
【0044】
固定アームと同じ高さの取り付けられた状態におけるキャップの長手方向に直角な断面では、デフレクタ要素は、例えば、おおよそΩ形状とされる。
【0045】
デフレクタ要素は、流出開口部の領域が長方形であるときに、最も簡単な方法で取り付けられる。しかし、原則的に、流出開口部は、任意の適切な断面を有することができる。
【0046】
長方形またはスリット形状の出口(流出)開口部において、デフレクタ要素の固定アームは、均一な固定力を得るために、長辺の対向する縁部分に作用することが好ましい。
【0047】
デフレクタ要素がキャップに取り付けられたときに、流出開口部の縁部に向かって互いに離れるように付勢することが、固定アームにとって有利であり得る。
【0048】
例えば、キャップおよびデフレクタ要素の両方は、適切な金属から作られ、一般に、デフレクタ要素の肉厚は、キャップよりも小さくされ得る。
【0049】
デフレクタ要素は、好ましくは細長い形状を有し、かつ、各軸方向端部に放出開口部が形成されるように、その軸方向端部の両方において開口している。
【0050】
この幾何形状は、例えば、管状ガス発生器を介して1つのエアバッグの2つの別々のチャンバまたは2つの別々のエアバッグにガスを充填するのに有用であり、あるいは、エアバッグを相対する方向に膨張させるのに有用である。
【0051】
偏向表面は、典型的には、ガス誘導を向上させるために、固定アームを越えて両側で長手方向に沿って延在する。
【0052】
この場合、放出開口部は、単純に、デフレクタ要素の軸方向端部においてそれぞれが湾曲している側方表面の短辺に起因する。
【0053】
デフレクタ要素がキャップに取り付けられるときに、1つの変形形態では、側方表面の自由縁部は、キャップの周方向壁に隣接し、したがって、キャップの外側とキャップに向かい合う偏向表面の内側との間の空洞を封止する。
【0054】
別の変形形態では、側方表面の自由縁部は、互いに向かって曲げられて、ガスを流出開口部から放出開口部のそれぞれに導く管を形成する。
【0055】
これらの場合では、デフレクタ要素とキャップとの間に形成される空洞は、軸方向端部においてのみ管状ガス発生器の周囲環境に向かって開口されている管を画定し、空洞は、流出開口部を介してキャップの内部に接続されている。
【0056】
放出開口部は、等しいサイズとされ得、また、管状ガス発生器が推力中立であるように維持されるように、相反する方向に向けられ得る。
【0057】
しかし、放出開口部の配向は、変更されてもよく、かつ、退出ガス流の所望の方向に適合され得る。
【0058】
60/40の比率または70/30の比率などの異なる量のガスを含むガス流を実現するために、2つの放出開口部の断面積を異なるように選択することも考えられる。
【0059】
場合により、キャップの流出開口部とデフレクタ要素の少なくとも1つの放出開口部との間に、フィルタが配置される。流出ガスは、上記フィルタを通って流れるが、このフィルタは、例えば、粒子を引き留めかつ/または流出ガスを冷却することができる。フィルタは、ガスの再濾過に役立ち得るが、管状ガス発生器の拡散器内または管状ガス発生器自体内のフィルタの代用品としても使用され得る。
【0060】
フィルタは、既知の方法で、ニットメッシュまたはスクリーンを備え得る。
【0061】
組立てのために、フィルタは、デフレクタ要素が組み立てられる前にデフレクタ要素に挿入されてよく、または、デフレクタ要素をキャップ上に組み付けた後で、放出開口部を通って長手方向に沿ってデフレクタ要素に挿入されてもよい。フィルタは、場合により、その長手方向端部におけるタブを介して、所望の位置に保持される。
【0062】
可能な変形形態では、中央ウェブによって互いに隔てられた2つの流出開口部が、キャップの周方向壁に設けられ、デフレクタ要素は、少なくとも4つの固定アームを含み、隣接する2つの固定アームが、各流出開口部の縁部上で中央ウェブの両側に作用する。このようにして、中央ウェブは、管状ガス発生器が作動されたときに、流出開口部の縁部のためのタイロッドとしての役割を果たすことができるので、安定性を実質的に失うことなしに、流出開口部の全表面積を拡大することができる。
【0063】
上述の目的はまた、少なくとも1つのガス出口開口部を軸方向端部に含み、かつ、上記で説明された組立体群を備える、管状ガス発生器によって達成される。キャップは、管状ガス発生器に固定され、かつ、キャップの軸方向端部を包囲する。少なくとも1つのガス出口開口部とキャップとの間に収集チャンバが形成され、管状ガス発生器が作動されたときに、ガスは収集チャンバを通ってデフレクタ要素へ流れる。少なくとも1つのガス出口開口部は、管状ガス発生器自体の開口軸方向端部であってよく、または、上記端部において開管からもたらされる対応する開口部を構成してもよい。しかし、少なくとも1つのガス出口開口部はまた、上記端部において管状ガス発生器の外側ハウジングの周方向壁に導入されるかまたは周方向壁上に配置されてもよい。
【0064】
必要とされる場合には、管状ガス発生器の軸方向端部において、複数のガス出口開口部を有する特に推力中立の拡散器も、管状ガス発生器の周方向壁または管状ガス発生器の軸方向端部に配置され、かつ、具体的には管状ガス発生器の軸方向延長部の一種として理解され得る。したがって、径方向に基づくと、拡散器は、管状ガス発生器とキャップとの間に位置する。
【0065】
したがって、周方向壁は、1つまたは複数のガス出口開口部を有する場合、ガス発生器自体の外側ハウジングまたは拡散器のどちらかに属するものと見なされ得る。
【0066】
さらに、上述の目的は、上記で説明されたような管状ガス発生器を製造するための方法によっても達成される。方法は、以下のステップを含む。キャップが、管状ガス発生器の軸方向端部にしっかりと固定される。続いて、デフレクタ要素が、その固定アームを流出開口部に通してキャップの外側から摺動され、固定アームは、流出開口部の縁部とのかみあい接続を形成し、それがデフレクタ要素をキャップにしっかりと固定する。
【0067】
この製造法は、最初にキャップを管状ガス発生器に固定することを可能にし、これは、例えば、回転対称のキャップでは、ローラバニシングによって低コストで行われ得る。当然ながら、圧接、口広げ加工、または溶接などの、様々なタイプの固定も可能である。
【0068】
デフレクタ要素は、後から挿入されるだけであり、この場合、デフレクタ要素は、ハンダ付けまたは溶接などの、時間を消費しかつ費用のかかる方法をなしで済ますことができるように、かみあい接続のみによってキャップに固定されることが好ましい。
【0069】
基本的に、特定の管状ガス発生器に適しているただ一つの幾何形状がキャップに提供されればよいことが、別の利点である。異なるエアバッグモジュールなどのための様々な用途への適合は、異なるデフレクタ要素を使用することによって簡単に達成することができ、そのようなデフレクタ要素は、キャップの流出開口部内に係合するための適切な固定アームを含むだけでよいが、偏向表面および放出開口部の幾何形状に関しては、様々な用途に容易に適合され得る。
【0070】
デフレクタ要素は、例えば、固定アームが互いに向かって移動され、かつ力の印加によって弾性的に変形され、力の印加の停止後に固定アームがばね作用で再び互いに離れることにより、挿入される。
【0071】
デフレクタ要素をキャップに取り付けるために、この場合、特に、2つの側方表面は、固定アームがキャップの外側から流出開口部を通って挿入され得るまで、取付け力によって互いに向かって付勢される。したがって、デフレクタ要素は、弾性的に変形される。上記バイアスは、取付け力が消失するときに側方表面および固定アームが再び突っ張って離れることを確実にし、固定アームの曲がった自由端部は、流出開口部の縁部の後方に係合する。
【0072】
流出開口部の縁部との固定アームの形状嵌合が差込みロックによって得られる変形形態では、固定アームは、第1の配向で流出開口部に挿入され、次いで、差込みロックを形成する間、第2の配向へと所定の角度だけ回転される。回転は、有利には、流出開口部の表面領域に対して直角に、例えば約90°だけ行われる。その際、固定アームの曲がった自由端部は、流出開口部の縁部の後方に確実に係合する。この場合もまた、デフレクタ要素のバイアスは、取り付けられた状態において2つの固定アームが流出開口部の縁部に対して外方に偏らされ続けることを確実にし得るが、この構成では、バイアスは基本的に必要とされない。
【0073】
以下、複数の実施形態により、また、添付の図面に関して、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】管状ガス発生器に組み付けられる前の第1の実施形態によるキャップおよびデフレクタ要素からなる本発明による組立体群の概略的な斜視図である。
図2図1の組立体群の概略的な長手方向断面図である。
図3図1の組立体群の概略的な断面図である。
図4図1の組立体群の一変形形態の概略的な長手方向断面図である。
図5図1の組立体群のさらなる変形形態の概略的な長手方向断面図である。
図6図1の組立体群のなおもさらなる変形形態の概略的な長手方向断面図である。
図7図1の組立体群のなおも別の変形形態の概略的な長手方向断面図である。
図8】本発明による管状ガス発生器に取り付けられかつキャップおよびデフレクタ要素からなる本発明による組立体群を備える本発明による管状ガス発生器を概略的な斜視図で示す図である。
図9図8の組立体群を概略的な斜視図で示す図である。
図10図9の組立体群を概略的な断面図で示す図である。
図11図9の組立体群を概略的な長手方向断面図で示す図である。
図12図9の組立体群のデフレクタ要素を概略的な斜視図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1から3は、管状ガス発生器12(図8参照)に取り付けられる組立体群10を示す。この事例における組立体群10は、キャップ14およびデフレクタ要素16からなる。
【0076】
キャップ14は、開口端部18と例えば半球形の閉口端部20とを備える、回転対称の管状構成要素である。開口端部18は、管状ガス発生器12の軸方向端部22に、例えばその周方向壁などに堅固かつ特に気密の態様で固定されるために設けられる。この接続は、例えば、ローラバニシング、圧接、口広げ加工、または溶接によってなされ得る。
【0077】
管状ガス発生器12は、ここでは独立して示されている拡散器23を軸方向端部22に有し、この拡散器23は、その周囲にわたって分散された複数のガス出口開口部25を有しており、作動すると、ガスはガス出口開口部25を通って管状ガス発生器12から退出する(図8参照)。拡散器23は、管状ガス発生器12の外側ハウジングにしっかりと接続され、かつ、管状ガス発生器12とともに既製ユニットを形成する。拡散器23は、事実上、管状ガス発生器12の軸方向延長部分の一種と見なされ得る。
【0078】
キャップ14は、拡散器23がキャップの壁および閉口端部20から少し離れてキャップ14の内部24内に配置されるように、管状ガス発生器12の軸方向端部22の上で摺動され、キャップの壁は、この事例では周方向壁26である。したがって、拡散器23から退出するガスが流入する収集チャンバが、拡散器23の外側と周方向壁26の内側との間に形成される。
【0079】
異なる変形形態では、拡散器は設けられない。この場合、収集チャンバは、少なくとも1つのガス出口開口部25が設けられる管状ガス発生器12の周方向壁とキャップ14の周方向壁26との間に直接形成される。すると、組立体群10はまた、管状ガス発生器12の軸方向端部22から流れ出るガスを導きかつ分散させるための拡散器の機能を持つ。少なくとも1つのガス出口開口部が、管状ガス発生器12自体の開口軸方向端部22、または上記端部における外側ハウジングとして開管から得られるそれぞれの開口部を構成することが、同様に可能である。
【0080】
流出開口部28が、キャップ14の周方向壁26に設けられる。図1から3のそれぞれの例では、キャップ14は、1つだけの流出開口部28を有するが、複数の流出開口部28を有する変形形態も考えられる(図7も参照)。
【0081】
この事例での流出開口部28は、長方形の表面領域を有し、長方形の長辺は、取り付けられた状態では管状ガス発生器12の長手方向に一致するキャップ14の軸方向Aに対して平行に配向される。
【0082】
流出開口部28の断面積は、管状ガス発生器12から退出するガス流が流れ抵抗の著しい増大を伴わずに流出開口部28を通って流れ去ることができるほどの大きさであるように選択される。
【0083】
デフレクタ要素16は、湾曲した偏向表面30を含み、この偏向表面30の凹状の内側は、偏向表面30と周方向壁26の外側との間に管状空洞32が形成されるように、キャップ14の周方向壁26および流出開口部28に面する。
【0084】
偏向表面30は、径方向rにおいて流出開口部28の外側に位置し、かつ、軸方向Aおよび周方向Uに基づくと、流出開口部28を完全に覆う。
【0085】
デフレクタ要素16は、この例では、空洞32と直接流体連通する放出開口部34が各軸方向端部に形成されるように、その軸方向端部の両方において開口している。
【0086】
偏向表面30は、この事例では、管状空洞32が軸方向Aに沿って延在するように配向される。
【0087】
頂上線36からキャップ14の周方向壁26の方向に延在する側方表面38が、偏向表面30の頂上線36の両側に延在する。
【0088】
図3を参照すると、頂上線36に対して直角に見たときに、側方表面38のそれぞれは、軸方向Aに沿って中央部分でまとまって固定アーム40になり、この固定アーム40は、デフレクタ要素16をキャップ14に固定するのに役立つ。
【0089】
軸方向Aにおいて、この実施形態では、各固定アーム40は、偏向表面30の中央で延在し、かつ、軸方向Aにおける偏向表面30の長さの約50%を上回る幅を有する。
【0090】
この事例では、デフレクタ要素16全体は、ばね鋼などの適切な弾性を有する金属薄板で作られた一体形ブランクから曲げられる。
【0091】
ブランクは、長方形部分から作られ、この長方形部分は、後ほど偏向表面30を形成し、また、各側方縁部において、後ほど固定アーム40を形成する延長部を形成し、長方形部分の長辺は、まとまって延長部になる。完成したデフレクタ要素16において、短辺は、デフレクタ要素16の軸方向端部を形成し、かつ、放出開口部34の範囲を定める。
【0092】
延長部の自由端部は、外方に曲げられ、かつ、完成したデフレクタ要素16において、固定アーム40の曲がった自由端部42を形成する(図3参照)。
【0093】
長方形部分は、曲がった偏向表面30が形成されるように、長辺間の中央に延在する頂上線36の周りで曲げられる。その際、固定アーム40は、互いにおおよそ平行になるまで、互いに向かって移動される。
【0094】
したがって、固定アーム40と同じ高さの軸方向Aに対して横方向の断面では、デフレクタ要素16は、おおよそΩ形状とされる(図3参照)。
【0095】
デフレクタ要素16をキャップ14に取り付けるために、固定アーム40および/または側方表面38は、両方の固定アーム40が流出開口部28を通して外側から摺動され得る程度まで、対向する固定アーム40の曲がった自由端部42間の距離が減少されるように、所定の取付け力を印加することにより互いに向かって移動される。側方表面38および/または固定アーム40は、バイアスの下で互いに離れるように作動している。
【0096】
次いで、取付け力は、特に連続的に減少されることによって無効とされ、したがって、固定アーム40の曲がった自由端部42が流出開口部28の縁部44に、より正確には縁部44の2つの対向する縁部分に押し付けられるまで、それらの自由端部42を再びバイアスにより突っ張らせかつ互いに離れさせる。その際、曲がった自由端部42は、周方向壁26の内側面上で流出開口部28の縁部44の後方に係合して、デフレクタ要素16をロックする。
【0097】
曲がった自由端部42が縁部44の後方に係合し、また場合により固定アーム40が流出開口部28の縁部44に隣接するので、デフレクタ要素16とキャップ14との間に形状嵌合が形成され、この形状嵌合は、管状ガス発生器12が作動されたときでもデフレクタ要素16をキャップ14上にしっかりと保持し、したがって内部24内の内圧は、放出ガス流によって高められる。
【0098】
ここに示された例では、固定アーム40、および特に曲がった自由端部42は、軸方向Aにおいて、流出開口部28の長辺と同じ寸法を有し、その結果、曲がった自由端部42は、軸方向Aにおいて、それぞれの縁部分の全長にわたって流出開口部28の縁部44に隣接する。
【0099】
キャップ14上でのデフレクタ要素16の追加の固定は、ここでは提供されない。
【0100】
固定アーム40が流出開口部28を通して外側から摺動されるときにクリックロックにより形状嵌合が自動的に形成されるように固定アーム40の曲がった自由端部42を設計することも考えられ、この場合、流出開口部28の縁部44は、最初に固定アーム40を内方に偏向させ、固定アーム40は、曲がった自由端部42が縁部44を通過したときに再び跳ね返り、次いで縁部44の内側の後方に係合する(図示せず)。
【0101】
この実施形態では、取り付けられた状態において、固定アーム40の両側の側方表面の自由端部45は、キャップ14の周方向壁26の上に載り、このようにして、空洞32を封止する。
【0102】
組立体群10を管状ガス発生器12に取り付けるために、最初に、デフレクタ要素16を含まないキャップ14が、開口端部18が管状ガス発生器12の軸方向端部22における拡散器を覆う状態で摺動され、キャップ14の開口端部18は、堅固かつ特に気密の態様で、管状ガス発生器12の外壁に接続される。これは、例えば、ローラバニシング、圧接、口広げ加工、または溶接によって行われる。
【0103】
キャップ14を管状ガス発生器12にしっかりと接続した後、上記のように、デフレクタ要素16が流出開口部28に挿入される。
【0104】
管状ガス発生器12が作動されると、ガスは、管状ガス発生器12のまたはその拡散器23のガス出口開口部25を出て、キャップ14の内部24に流入し、そこで収集チャンバを介してキャップ14の流出開口部28を通り、デフレクタ要素16の偏向表面30とキャップ14の周方向壁26との間の空洞32に流入する。ガスは、偏向表面30において径方向rから軸方向Aに偏向され、2つの放出開口部34を通って組立体群10から離れる。
【0105】
ここに示された例では、管状ガス発生器12によって生成されたガスは、2つの放出開口部34だけを通って管状ガス発生器12の周囲環境に流入する。しかし、デフレクタ要素16またはキャップ14に追加の放出開口部を設けることも考えられる。1つだけの放出開口部をデフレクタ要素16に形成することも可能である。
【0106】
放出開口部34のそれぞれは、例えば、エアバッグの単一のチャンバに接続されてよく、または、デフレクタ要素16全体は、単一の膨張可能チャンバ(図示せず)の内側に位置決めされてよい。当然ながら、任意の他の適切な応用も想像できる。
【0107】
今しがた説明された実施形態では、放出開口部34は、軸方向Aに向けられる。
【0108】
図4は、固定アーム40の両側の側方表面38が周方向に閉じられた管に形成されている一変形形態を示し、自由縁部45は、互いに接触しており、空洞32は、周方向壁26から離れるように全体として凸状に湾曲されている。結果として、2つの放出開口部34は、軸方向Aに対して傾斜している。
【0109】
空洞32、側方表面38、および放出開口部34の構成および配置は、当業者の自由裁量によるものであり、様々な用途に容易に適合され得る。
【0110】
これらの変形形態は、異なるデフレクタ要素16が使用される場合でも、同様に形成されたキャップ14が常に使用され得るように、同一の固定アーム40を常に備え得る。
【0111】
前述の変形形態では、両方の放出開口部34は、そこから流出するガス流Gのそれぞれが同量のガスを含むように、等しい断面積を有するように選択される。
【0112】
図5は、異なるガス量のガス流G1、G2が得られるように放出開口部34の断面積が不等であるように選択される、一変形形態を示す。
【0113】
分割は、例えば60/40もしくは70/30の比率、または任意の他の比率で選択され得る。
【0114】
放出開口部34の断面形状は、偏向表面30、および特に側方表面38を適切に成形することにより、容易に得られ得る。
【0115】
図6は、流出開口部28を通って空洞32に流入するガスから粒子を除去するかまたはガスを冷却するフィルタ46が空洞32内に挿入される、別の変形形態を示す。
【0116】
フィルタ46は、例えば、既知の方法で適切な金属から作られたニットメッシュおよび/またはスクリーンを備える。
【0117】
フィルタ46は、デフレクタ要素16をキャップ14に取り付ける前またはデフレクタ要素16を取り付けた後のいずれでも空洞32内に挿入され得る。
【0118】
図5および6による変形形態においても、側方表面38の自由縁部45は、それらが互いに接触するまで、固定アーム40の両側で軸方向Aにおいて互いに向かって曲げられ、その結果、実質的に周方向に閉じられた管の端部により、放出開口部34が形成される。
【0119】
図7は、軸方向Aにおいて並置された2つの流出開口部28がキャップ14の周方向壁26に設けられるさらなる変形形態を示し、2つの流出開口部28は、中央ウェブ48によって互いに隔てられる。
【0120】
この事例では、デフレクタ要素16は、合計4つの固定アーム40を含み、そのうちの2つは、流出開口部28の軸方向高さにおけるそれぞれの対向する側方表面38に配置される。デフレクタ要素16がキャップ14に取り付けられるときに、それぞれの隣接する固定アーム40は、取り付けられた状態において中央ウェブ48が軸方向Aにおいて固定アーム40間に位置するように、2つの並置された流出開口部28内で片側に係合する。
【0121】
当然ながら、3つ以上の並置された流出開口部28にまでこの構想を拡大することも想像できる。
【0122】
図8では、管状ガス発生器12および組立体群10のユニットが示されている。
【0123】
図8は、管状ガス発生器12および組立体群10が接合ユニットを形成するようにキャップ14が管状ガス発生器12の軸方向端部22に付着され、かつ接続される方法を示す。
【0124】
同じ配置は、図1から7による組立体群10を用いても可能である。
【0125】
図9から11は、第2の実施形態による組立体群10を示し、デフレクタ要素16は、キャップ14の流出開口部28に挿入されている。
【0126】
第1の実施形態とは対照的に、デフレクタ要素16は、差込みロックにより流出開口部28の縁部44に固定される。
【0127】
この目的のために、固定アーム40は、軸方向Aにおいて第1の実施形態よりも狭くなるように、具体的には流出開口部28の短辺と同じ長さかまたはそれよりも狭くなるように、選択される。さらに、曲がった自由端部42は、丸み付けされる。
【0128】
一般に、デフレクタ要素16は、第1の実施形態よりも堅いものであり得る。具体的には、第1の実施形態におけるような弾性バイアスは、ここでは必要とされない。
【0129】
組立てのために、デフレクタ要素16は、可能であればデフレクタ要素16の大きな変形を伴わずに2つの固定アーム40の自由端部42がキャップ14の外側から流出開口部28内に挿入され得るように、最初に軸方向Aに対して90°だけ回転される。次いで、デフレクタ要素16は、頂上線36が軸方向Aに向けられるように、90°だけ回転される。したがって、曲がった自由端部42は、キャップ14の周方向壁26に内側で接触し、かつ、流出開口部28の縁部44の後方に係合する。
【0130】
組み立てられた状態では、デフレクタ要素16の偏向表面30および下方の空洞32は、第1の実施形態におけるように、軸方向Aに沿って流出開口部28の上方で径方向に延在する。
【0131】
一般に、ここで示された全ての構想は、当業者の自由裁量によって互いに容易に組み合わせられ得る。例えば、全てのデフレクタ要素16とともにフィルタ46が使用されてもよい。示されたデフレクタ要素のそれぞれに対して異なる断面積の放出開口部34を選択すること、または、軸方向Aに対するその方向を変更することも、可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12