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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】スタンプを剥離する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/00 20060101AFI20240528BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B29C59/00 H
B29C59/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022523346
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2019083339
(87)【国際公開番号】W WO2021110237
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ブライアー
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092396(JP,A)
【文献】特開2018-074159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105137714(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110879(US,A1)
【文献】特開2011-207221(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0881630(KR,B1)
【文献】特開2013-207180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00 - 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(12)から、エンボス加工材料(11)から、および/または製品から、支持体(3,3’)上のスタンプ(17)を剥離する方法であって、
前記基材(12)から前記スタンプ(17)を剥離するために、前記スタンプ(17)を前記基材(12)の方向に変形させ
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スタンプ(17)を正圧によって変形させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スタンプ(17)の中心で最大の変形が行われ、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記スタンプ(17)の変形を、内側から外側に向かって行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
剥離するために、前記基材(12)と前記スタンプ(17)とを、互いに離れるように動かす、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記スタンプ(17)の剥離を、外側から内側に向かって行う、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
支持体(3,3’)上にスタンプ(17)を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-マスタースタンプ(12)上にエンボス加工材料(11)を塗布するステップ
-前記エンボス加工材料(11)を前記支持体(3,3’)に接触させるステップ
-前記エンボス加工材料(11)を硬化させるステップ
化した前記エンボス加工材料(11)から前記マスタースタンプ(12)を剥離するステップであって、この際に、生成された前記スタンプ(17)は前記支持体(3,3’)上に留まるステップ
を有している方法において、
前記マスタースタンプ(12)を前記スタンプ(17)から剥離するために、前記支持体(3,3’)を、前記マスタースタンプ(12)の方向に変形させ
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、方法。
【請求項8】
エンボス加工材料(11)から製品を製造する方法であって
-前記エンボス加工材料(11)をスタンプ(17)に接触させるステップ
-前記エンボス加工材料(11)を硬化させるステップ
記エンボス加工材料(11)から支持体(3,3’)上の前記スタンプ(17)を剥離するステップ
を有している方法において、
前記スタンプ(17)を前記製品から剥離するために、前記スタンプ(17)を、前記製品の方向に変形させ
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、方法。
【請求項9】
基材(12)から、エンボス加工材料(11)から、および/または製品から、支持体(3,3’)上のスタンプ(17)を剥離するための装置であって、
前記基材(12)から前記スタンプ(17)を剥離するために、前記スタンプ(17)は前記基材(12)の方向に変形可能であり、
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、装置。
【請求項10】
持体(3,3’)上にスタンプ(17)を製造する装置であって、
-マスタースタンプ(12)上にエンボス加工材料(11)を塗布するための塗布手段(10)と、
-前記エンボス加工材料(11)を前記支持体(3,3’)に接触させるための接触手段と、
-硬化した前記エンボス加工材料(11)から前記マスタースタンプ(12)を剥離するための硬化手段であって、この際に、生成された前記スタンプ(17)は前記支持体(3,3’)上に留まる、硬化手段と、を有している装置において、
前記マスタースタンプ(12)を前記スタンプ(17)から剥離するために、前記支持体(3,3’)は、前記マスタースタンプ(12)の方向に変形可能であり、
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、装置。
【請求項11】
エンボス加工材料(11)から製品を製造するための装置であって、
-前記エンボス加工材料(11)をスタンプ(17)に接触させる接触手段と、
-前記エンボス加工材料(11)を硬化させる硬化手段と、
-前記エンボス加工材料(11)から支持体(3,3’)上の前記スタンプ(17)を剥離するための剥離手段と、を有している装置において、
-前記スタンプ(17)を前記製品から剥離するために、前記スタンプ(17)を前記製品の方向に変形させるための変形手段が設けられており、
この場合、支持体変形エレメント(2)が前記支持体(3,3’)を変形させ、
前記支持体(3,3’)は、前記支持体変形エレメント(2)によって張設されており、
前記支持体変形エレメント(2)は、前記支持体(3,3’)の動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメント(6)を有していることを特徴とする、装置。
【請求項12】
前記支持体変形エレメント(2)は、少なくとも1つの支持体変形エレメント隆起部(2e)を有しており、前記支持体変形エレメント隆起部(2e)は前記支持体(3,3’)を前記支持体変形エレメント(2)から持ち上げる、かつ/または前記支持体(3,3’)を伸張させる、請求項11記載の装置。
【請求項13】
記少なくとも1つの固定エレメント(6)は、スおよび/またはガス混合物を、前記支持体変形エレメント(2)と前記支持体(3,3’)との間の中間室に供給することができるように切り替え可能である、請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
前記支持体(3,3’)を伸張させるための少なくとも1つの伸張エレメントを有しており、
前記少なくとも1つの伸張エレメントは流体エレメントであって、前記流体エレメントを介して、前記支持体変形エレメント(2)と前記支持体(3,3’)との間に正圧を生成するために、ガスおよび/またはガス混合物を供給することができる、請求項11から13までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンプを剥離する方法および装置を説明する。
【0002】
従来技術には、スタンプを製造するための、およびスタンプを使用するための様々な装置および方法が含まれている。スタンプは大まかに、硬質スタンプおよび/または軟質スタンプに区別される。軟質スタンプの1つの特殊な形態は、比較的薄いフィルムから成るフィルムスタンプであり、このフィルム上にはエンボス加工パターンが形成される。この場合、フィルムとエンボス加工パターンとが、軟質スタンプを形成する。従来技術では、軟質スタンプの使用がとりわけ好まれる。軟質スタンプは、確かに硬質スタンプよりも早期に摩耗するが、極めて迅速に複製することができる。精密に製造される極めて高価な硬質スタンプをマスタースタンプとして使用し、この硬質スタンプのネガ型として軟質スタンプが製造される。したがって、この軟質スタンプは、いわゆる作業スタンプである。したがって、実際の製品をエンボス加工すべき製品エンボス加工材料は、軟質スタンプによってのみ加工され、この間、硬質スタンプは安全に保管され、保護されている。しかしながら、従来技術において頻繁に生じる問題が、マスタースタンプからのもしくは製品エンボス加工材料からの軟質スタンプの離型について残っている。
【0003】
硬質スタンプは耐用期間が極めて長いが、ナノメートル範囲および/またはマイクロメートル範囲におけるパターンの、少なくとも部分的な破壊のリスクなしには、離型の実施が比較的困難であるという欠点を有している。これに対して、軟質スタンプは、極めて早期に摩耗する。容易な離型は、とりわけ、弾性と極めてわずかな曲げ抵抗との結果として可能である。両特性により、軟質スタンプを引き離すことができ、または少なくとも、軟質スタンプを連続的に、すなわち段階的にエンボス加工材料から引き離すことができる程度に曲げることができる。軟質スタンプはもちろん極めて低い硬度値を有しており、したがって比較的摩耗しやすい。したがって、軟質スタンプを、継続的にマスタースタンプから新たに成形しなければならない。
【0004】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を解消し、特にマスタースタンプ(=硬質スタンプ)および/またはエンボス加工材料からの、以下では作業スタンプとも呼ばれるスタンプ(=軟質スタンプ)の剥離を容易にすることである。この課題は、並列独立請求項の対象により解決される。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載された少なくとも2つの特徴から成るすべての組み合わせも本発明の範囲にある。記載された数値範囲においては、上記範囲内にある値も、限界値として開示されたものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求されるべきものである。
【0005】
本発明によるスタンプ(=軟質スタンプ)は、特に、以下の特性を備えている、もしくは以下の材料を有している。
【0006】
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・パーフルオロポリエーテル(PFPE)
・多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)
・ポリ(オルガノ)シロキサン(シリコーン)
本発明によるスタンプ(=軟質スタンプ)は、基本的に、以下の材料分類のうちの1つに由来し得る
・熱可塑性物質
・エラストマー
・デュロプラスト
マスタースタンプ、エンボス加工材料、および製品は、以下で、基材とも呼ばれる。
【0007】
本発明は、基材から、特にマスタースタンプから、エンボス加工材料から、および/または製品から、スタンプを剥離する方法であって、この場合、スタンプを基材から剥離するために、スタンプを基材の方向に変形させる、方法に関する。
【0008】
本発明はさらに、特に本発明の独自の対象として、支持体上にスタンプを製造する方法であって、以下のステップ、特に以下のシーケンス、すなわち、
-マスタースタンプ上にエンボス加工材料を塗布するステップ、
-エンボス加工材料を支持体に接触させるステップ、
-エンボス加工材料を硬化させるステップ、
-特に上述した実施の形態による方法によって、硬化したエンボス加工材料からマスタースタンプを剥離するステップであって、この際に、生成されたスタンプは支持体上に留まるステップ、を有しており、マスタースタンプをスタンプから剥離するために、支持体を、マスタースタンプの方向に変形させる、方法に関する。
【0009】
本発明はさらに、特に本発明の独自の対象として、エンボス加工材料から製品を製造する方法であって、以下のステップ、特に以下のシーケンス、すなわち、
-エンボス加工材料をスタンプに接触させるステップ、
-エンボス加工材料を硬化させるステップ、
-特に上述した請求項に記載の形態による方法によって、エンボス加工材料からスタンプを剥離するステップ、を有しており、スタンプを製品から剥離するために、スタンプを、製品の方向に変形させる、方法に関する。
【0010】
本発明はさらに、特に本発明の独自の対象として、基材から、特にマスタースタンプから、エンボス加工材料から、および/または製品から、スタンプを剥離するための装置であって、この場合、スタンプを基材から剥離するために、スタンプは基材の方向に変形可能である、装置に関する。
【0011】
本発明はさらに、特に本発明の独自の対象として、特に上述した請求項に記載の形態による方法により、支持体上にスタンプを製造する装置であって、
-マスタースタンプ上にエンボス加工材料を塗布するための塗布手段と、
-エンボス加工材料を支持体に接触させるための接触手段と、
-硬化したエンボス加工材料からマスタースタンプを剥離するための硬化手段であって、この際に、生成されたスタンプは支持体上に留まる硬化手段と、を有しており、マスタースタンプをスタンプから剥離するために、支持体は、マスタースタンプの方向に変形可能である、装置に関する。
【0012】
本発明はさらに、特に本発明の独自の対象として、エンボス加工材料から製品を製造するための装置であって、
-エンボス加工材料をスタンプに接触させる接触手段と、
-エンボス加工材料を硬化させる硬化手段と、
-エンボス加工材料からスタンプを剥離するための剥離手段と、を有しており、スタンプを製品から剥離するために、スタンプを製品の方向に変形させるための変形手段が設けられている、装置に関する。
【0013】
好適には、スタンプおよび/または支持体は、正圧によって変形されるもしくは変形可能であることが想定されている。
【0014】
さらに、スタンプおよび/または支持体の中心で最大の変形が行われ、特にこの変形は、スタンプおよび/または支持体の中心に対して対称に行われることが好ましい。
【0015】
さらに、スタンプおよび/または支持体の変形は、内側から外側に向かって、特にスタンプおよび/または支持体の中心から、スタンプおよび/または支持体の縁部に向かって行われることが好ましい。
【0016】
さらに、剥離するために、基材とスタンプおよび/または支持体とを、特にスタンプおよび/または支持体の変形と同時に、互いに離れるように動かすことが好ましい。
【0017】
さらに、スタンプの剥離を、外側から内側に向かって、特にスタンプの縁部から、スタンプの中心に向かって行うことが好ましい。
【0018】
さらに、変形により、スタンプおよび/または支持体が凸状に成形されることがおよび/または丸み付けされることが好ましい。
【0019】
さらに、剥離するために、マスタースタンプと支持体とを、特に支持体の変形と同時に、互いに離れるように動かすことが好ましい。
【0020】
さらに、支持体がフィルムであることが、かつ/またはスタンプがフィルムスタンプであることが好ましい。
【0021】
別の実施の形態では、支持体が極めて薄く柔軟なガラス板であることが想定されている。ガラス板は、特に20mmより薄く、好ましくは10mmより薄く、より好ましくは5mmより薄く、さらにより好ましくは2mmより薄く、最も好ましくは1mmより薄い。
【0022】
さらに、装置は、支持体を変形させるための少なくとも1つの支持体変形エレメントおよび/または支持体を伸張させるための少なくとも1つの伸張エレメントを有しており、支持体は特に支持体変形エレメントによって張設されていることが好ましい。
【0023】
さらに、支持体変形エレメントは、少なくとも1つの支持体変形エレメント隆起部を有しており、支持体変形エレメント隆起部は支持体を支持体変形エレメントから持ち上げる、かつ/または支持体を伸張させることが好ましい。
【0024】
さらに、支持体変形エレメントは、支持体の、特に動的な固定のために機能する少なくとも1つの固定エレメントを有しており、好適には、少なくとも1つの固定エレメントは、この少なくとも1つの固定エレメントを介して、ガスおよび/またはガス混合物を、支持体変形エレメントと支持体との間の中間室に供給することができるように切り替え可能であることが好ましい。
【0025】
さらに、少なくとも1つの伸張エレメントが、流体エレメントであって、流体エレメントを介して、支持体変形エレメントと支持体との間に正圧を生成するために、ガスおよび/またはガス混合物を供給することができることが好ましい。
【0026】
別の例示的な実施の形態では、特に支持体後方に位置している支持体変形エレメントの代わりに、支持体がフレームによって保持されることが想定されている。フレームを使用する場合でも、伸張エレメントが通常の形式で、支持体の背面に位置している。
【0027】
本発明の核心は、特に、縁部から中心に向かって行われる、マスタースタンプおよび/またはエンボス加工材料からの、および/または製品からのスタンプ(=軟質スタンプ)の剥離を可能にする、スタンプの固定にある。
【0028】
特定の実施の形態では、この固定は、複数のスタンプを形成することができるエンドレスフィルムを使用することができるように、構成されている。この場合、エンドレスフィルムを、一方では、エンボス加工パターンの問題となるほどの歪みが生じないように、他方では、エンボス加工パターンもしくはスタンプの離型を、連続的に外側から内側に向かって行うことができるように、固定することができる。
【0029】
離型は特に、外側から内側に向かって制御可能に行われる。エンドレスフィルムを含む実施の形態により、唯1つのマスタースタンプによって自動的に軟質スタンプを製造することができるエンボス加工装置を提供することができる。
【0030】
本発明による実施の形態およびプロセスの特別な利点は、スタンプの離型が、基材のサイズに、とりわけ基材の厚さに依存していないことにある。変形プロセス中、基材は、完全に平坦に固定されたままとすることができ、その間、スタンプは、特に、生成された凸状の湾曲による、本発明による変形によって、基材から剥離され、特に連続的に、外側から内側に向かって基材から離型される。これにより、基材の破損は阻止される。
【0031】
さらなる利点は、除外周辺領域(英語:exclusion zone)がないことである。分離のために、基材の縁部における構成部品およびパターンを破壊するおそれのあるブレードのような物体を導入する必要がないので、パターンを、基材の最も外側の縁部までエンボス加工することができる。
【0032】
本発明による実施の形態は、基本的に、基材が、相応の大きさに構成されているならば、任意のサイズおよび形状の基材にエンボス加工することができる。
【0033】
さらなる本発明による利点は、特に、スタンプの支持体の再利用可能性にある。支持体上のパターンが複数回の利用により破壊または摩耗した場合には、支持体を交換して、またはさらに動かして、新しい、欠陥のない作業スタンプを製作することができる。
【0034】
本発明によるさらなる利点は特に、スタンプが、エンボス加工すべきウェハの全面に達することができ、除外区域(英語:exclusion zone)までもエンボス加工することができることにある。これはとりわけ、成形および変形するすべての構成部品が、スタンプもしくはスタンプの支持体の後方に位置していて、したがって、スタンプが何らかの構成部品によって側方で制限されることがない、という事実によるものである。
【0035】
従来技術に対する本発明のさらなる利点は特に、エンボス加工すべきではない基材だけがスタンプから離型されるだけではなく、好適には、スタンプが基材から離型されることにある。基材からのスタンプの離型は確かに、スタンプから離れる基材の並進運動により支援されるが、主要な離型は、本発明による支持体の湾曲もしくはスタンプの湾曲に基づくものである。これにより、本発明によれば、基材を全面的に固定することができ、基材自体を湾曲させる必要がないので、極めて薄い基材にエンボス加工することが可能となり、その後、スタンプを基材の破壊なしに離型することができる。
【0036】
さらなる本発明の利点は、特に、エンボス加工プロセスでは、スタンプもしくは支持体が剛性的な状態にあり、離型プロセスではスタンプもしくは支持体が柔軟な状態にある、ということである。エンボス加工プロセスでは、支持体および/または支持体の後方に位置する構成部品によってスタンプは安定化されるので、スタンプは圧力負荷を受けることができ、離型プロセスではスタンプおよび支持体は変形することができる。
【0037】
スタンプの離型挙動は、支持体の厚さによって極めて影響を受けやすく、調節することができる。支持体は、特に5mmより薄く、好ましくは1mmより薄く、より好ましくは0.1mmより薄く、さらにより好ましくは0.01mmより薄く、最も好ましくは0.001mmより薄い。
【0038】
本発明による実施の形態は、一方では、スタンプの製造のために、他方では、エンボス加工プロセスのためのスタンプの使用のために、利用することができる。したがって、従来技術とは異なり、2つの別個の実施の形態はもはや必要ない。
【0039】
従来技術では、支持体(英語:back plane)が極めて頻繁に使用されており、特に作業スタンプエンボス材料に対する付着性を保証するために、スタンプを製作する前に支持体をコーティングしなくてはならない。本発明により好適に使用される支持体は、納品時に既に、相応のコーティングを有することができるので、スタンプ製造業者でのコーティングプロセスは省かれ、これによりコストと時間とが節約される。
【0040】
本発明による実施の形態は、特に、スタンプを支持体上に生成することができる装置に関する。
【0041】
本発明による装置は、特に少なくとも1つの支持体変形エレメントを有しており、この支持体変形エレメントによって支持体は張設されてよい。支持体変形エレメントは、好適には少なくとも1つの支持体変形エレメント隆起部を有しており、この支持体変形エレメント隆起部は、張設された支持体の支持体スタンプ側を、支持体変形エレメントのその他の部分から持ち上げる。
【0042】
支持体変形エレメントは、特に、少なくとも1つの固定エレメントを有していて、この固定エレメントは、特に動的な、支持体の固定のために機能する。支持体変形エレメントの固定エレメントは特に、オン・オフ切り替え可能である。固定エレメントは、特にできるだけ応力のない、支持体の保持のために機能する。
【0043】
1つのもしくは複数の固定エレメントは、
●真空固定装置であって、特に、
・個別に駆動制御可能な真空軌道
・互いに接続された真空軌道
を有している、真空固定エレメント
●機械的な固定装置であって、特に
・クランプ
●電気的な固定装置であって、特に
・静電気的固定装置
・磁気的固定装置
●接着固定部であって、特に
・ゲルパックの固定部
・接着性の、特に駆動制御可能な表面を備えた固定部
である。
【0044】
少なくとも1つの固定エレメントは、特に電子的に駆動制御可能である。真空固定装置は、固定エレメントの好適な形式である。真空固定装置は、好ましくは複数の真空軌道から成っていて、これらの真空軌道は、支持体変形エレメントの表面から外に出ている。真空軌道は、好ましくは、個別に駆動制御可能である。
【0045】
好ましい用途では、いくつかの真空軌道が統合されて真空軌道セグメントを形成しており、これらの真空軌道セグメントは個別に駆動制御可能であって、したがって個別に排気することができる、または流体を通すことができる。もちろん、各真空セグメントは、他の真空セグメントと独立している。これにより、個別に駆動制御可能な真空セグメントを構成することができる。真空セグメントは、好ましくは、リング状に構成されている。これにより、目的に合わせて、半径方向対称な、特に内側から外側に向かって行われる基材の固定および/またはプローブホルダからの基材の切り離しが可能である。真空セグメントの別の好適な形状は、長方形である。
【0046】
支持体変形エレメントは、特に、支持体変形エレメントから支持体を持ち上げるための少なくとも1つのエレメントを有している。支持体の持ち上げは、以下では、伸張とも言う;伸張を生じさせる1つもしくは複数のエレメントは、伸張エレメントとも呼ばれる。好ましくは、少なくとも1つの伸張エレメントは流体エレメントであって、この流体エレメントを介して、支持体変形エレメントと支持体との間に正圧を生成するために、ガスおよび/またはガス混合物が流出することができる。
【0047】
極めて特別な本発明による実施の形態では、固定装置として機能する既に上述した少なくとも1つの真空セグメントは、この真空セグメントを介して、ガスおよび/またはガス混合物を、支持体変形エレメントと支持体との間の中間室内へポンピングすることができるように切り替え可能である。したがって、少なくとも1つの固定エレメントは、同時に伸張エレメントとして使用することができる。他の固定エレメントを使用すべき場合には、伸張エレメントは別個に、固定エレメントとは独立して設けられる。
【0048】
少なくとも1つの支持体変形エレメントは、支持体を可能な限り穏やかな方法で変向させる、好ましくは丸みを帯びた縁部を有している。丸みを帯びた縁部の半径は、0.1mmより大きく、好ましくは1mmより大きく、より好ましくは5mmより大きく、さらにより好ましくは10mmより大きく、最も好ましくは30mmより大きい。
【0049】
支持体は、好適には、外側から係合する、支持体変形エレメントとは独立した、特に機械的な固定ユニットによって、特に対向する、少なくとも2つの側で固定される。
【0050】
支持体が支持体変形エレメントに固定される力を測定し、監視するために、固定ユニットには、特にロードセルが組み込まれている。特に、固定ユニットによって支持体が損傷されるべきではなく、損傷されることがあってはならない。
【0051】
固定ユニットは、特に支持体の大まかな固定のために役立つ。固定ユニットによって支持体に加えることができる力は、好ましくは、調節可能である。使用される力は、0.001N~1000N、好ましくは0.01N~500N、より好ましくは0.1N~100N、さらにより好ましくは1N~50N、最も好ましくは1N~25Nである。
【0052】
支持体の損傷がまったく生じないように、支持体に加えてよい圧力を特定することが適切である。上述した力の値は、1平方メートルあたりを基準として表されて、相応の圧力値が得られる。その圧力は、0.001MPa~1000MPa、好ましくは0.01MPa~500MPa、より好ましくは0.1MPa~100MPa、さらにより好ましくは1MPa~50MPa、最も好ましくは1MPa~25MPaである。
【0053】
支持体に生じた微細なクラックは、好適には、作業スタンプの製造プロセスにおいて、作業スタンプエンボス加工材料によって完全に閉じられる。
【0054】
エンボス加工材料
本明細書では、特に、作業スタンプエンボス加工材料と製品エンボス加工材料とを区別する。作業スタンプエンボス加工材料は、作業スタンプ(=スタンプ、軟質スタンプ)を製作するエンボス加工材料である。製品エンボス加工材料は、所望の製品を製作するために作業スタンプによってエンボス加工されるエンボス加工材料である。
【0055】
スタンプエンボス加工材料と製品エンボス加工材料とは異なっていてよい。好適には、作業スタンプエンボス加工材料と製品エンボス加工材料との違いは、これらの材料の疎水性もしくは親水性にある。疎水性もしくは親水性の基準は、試験液滴、特に水と、測定すべき表面との間に形成される接触角である。親水性の表面は、液体と表面との間の接着力が液体の凝集力を上回って支配し、したがって小さい接触角を形成するので、液滴を平らにする。疎水性の表面は、液体の凝集力が液体と表面との間の接着力を上回って支配的であるので、液滴はより球形の形状となる。
【0056】
疎水性もしくは親水性を特定する一般的な方法は、接触角法である。試験液を用いて固体の表面エネルギに関する情報を得るために、接触角法はヤングの式と共に使用される。この方法によって、所定の試験液、主として水によって表面の表面エネルギが評価される。当業者には、相応の測定方法、ならびに評価方法が公知である。接触角法によって求められた接触角を、N/mまたはJ/mの単位の表面エネルギに換算することができる。同じ試験液における様々な表面の相対比較については、表面の接着力の相対的推定値を得るために、接触角の情報はもちろん既に十分である。したがって、試験液として水を使用することにより、水滴において約30°の接触角をなす濡れた表面は、水滴において約120°の接触角を有している表面よりも高い接着性を有していると言える。
【0057】
本発明の好ましい実施の形態では、表面エネルギによる作業スタンプ材料の接着性は、0.1J/m未満、特に0.01J/m未満、好ましくは0.001J/m未満、より好ましくは0.0001J/m未満、理想的には0.00001J/m未満に規定されていることが想定されている。
【0058】
代替的にまたは付加的に、本発明の有利な実施の形態によれば、接触面の接着性は、20°超、特に50°超、好ましくは90°超、より好ましくは150°超の接触角によって規定されることが想定されている。他の材料に対する表面の接着性は、上述した接触角法を用いて特定することができる。この場合、既知の1滴の液体、好適には1滴の水(水に関する本発明による値)、(代替的には、グリセリンまたはヘキサデカン)を、測定すべき表面上に滴下する。顕微鏡を使用して、横から角度を、すなわち液滴の接線と表面との間の角度を、正確に測定する。
【0059】
本発明により使用されるエンボス加工材料は、好ましくは1cp~25000cp、好ましくは10cp~25000cp、より好ましくは100cp~25000cp、さらにより好ましくは1000cp~25000cp、最も好ましくは10000cp~25000cpの粘度を有している。
【0060】
装置
本発明の第1の好適な実施の形態では、支持体は、支持体変形エレメント上に置かれる。支持体は好ましくはフィルムである。フィルムは最初に、動的な支持体固定装置、好適には真空エレメントによって予備固定される。その後、静的な支持体固定装置によって側方の固定が行われる。この実施の形態は、裁断されたフィルムまたは有限の剛性的な支持体を収容するために設計されている。特に、支持体のサイズは、静的な支持体固定装置が支持体を固定することができるように設計されている。この実施の形態は、支持体を伸張させることができる少なくとも1つの伸張エレメントを有している。好ましくは、動的な固定装置は、同時に伸張エレメントとして機能する。
【0061】
別の好適な本発明による実施の形態では、支持体に沿って複数のスタンプを製作することができるエンドレスフィルムを使用するスタンプ支持体装置が開示される。エンドレスフィルムは、好ましくはロールとして納品されて、第1の軸に取り付けられる。第2の軸によって、エンドレスフィルムから保護フィルムを巻き取って、除去することができる。エンドレスフィルムは、別のエレメントを介してガイドされてよく、第1の静的な支持体固定装置と支持体変形エレメントとの間にガイドされる。エンドレスフィルムは、静的な支持体固定装置と第2の静的な支持体固定装置とを通過して、最終的に第3の軸に巻き取られる。
【0062】
静的な支持体固定装置は、エンドレスフィルムを、特に支持体変形エレメントに挟むことができる可動の固定ユニットから成る。これにより、エンドレスフィルムの摺動は阻止される。この状態で、エンドレスフィルムの部分に、相応のエンボス加工パターンを設けることができる。この実施の形態は、支持体を伸張させることができる少なくとも1つの伸張エレメントを有している。好ましくは、動的な固定装置が同時に伸張エレメントとして機能する。
【0063】
本発明のフィルムは、1N~1000N、好ましくは2N~800N、より好ましくは5N~600N、さらにより好ましくは8N~400N、最も好ましくは10N~100Nの力で予荷重をかけることができる。
【0064】
本発明による装置は、1つのクラスタのモジュール部分として存在することができる。クラスタとは、互いに接続された複数のモジュールの集合体を意味し、これら互いに接続された複数のモジュールは、特に、すべてが互いに真空密に接続されているので、基材は、外部雰囲気に接触することなくモジュール間で搬送可能である。
【0065】
各モジュールは好ましくは個別に排気することができる。クラスタ全体を排気することができる。各モジュールおよび/またはクラスタ全体における圧力は、1bar未満、好ましくは10-1mbar未満、より好ましくは10-3mbar未満、さらにより好ましくは10-5mbar未満、最も好ましくは10-7mbar未満に調整されてよい。
【0066】
モジュールおよび/またはクラスタを、特にガスおよび/またはガス混合物でフラッシュすることもできる。モジュールおよび/またはクラスタは、特に正圧下に置かれてもよい。この場合、圧力は、1bar~5bar、好ましくは1bar~4.5bar、より好ましくは1bar~4bar、さらにより好ましくは1bar~3.5bar、最も好ましくは1bar~3barに調節される。
【0067】
クラスタ内のモジュールは、特に中央モジュールによって互いに接続されており、この中央モジュール内には好ましくは、保管容器(英語:Foup)間および/またはモジュール間で基材を移動させることができるロボットが位置している。
【0068】
方法
本発明の第1の好適な方法では、支持体が、本発明による装置に固定される。
【0069】
第1の工程段階では、分離装置によって、作業スタンプエンボス加工材料がマスタースタンプ上に分離される。好適には、作業スタンプエンボス加工材料は既に、可能な限り均一かつ全面に分配される。
【0070】
第2の工程段階では、本発明による装置が、マスタースタンプに対して相対的に位置合わせされる。本発明による装置および/またはマスタースタンプの移動が可能である。しかしながら、好ましくはマスタースタンプが移動させられる。位置合わせは、機械的にかつ/または光学的に行うことができる。マスタースタンプが、本発明による装置に対して相対的に、単に大まかに位置決めされることが考えられる。しかしながら、好ましくは、両対象物の位置合わせは、アライメントマークに基づき行われる。アライメントマークは、支持体変形エレメントおよび/または支持体上に位置することができる。しかしながら好ましくは、アライメントマークは支持体上に位置している。
【0071】
第3の工程段階では、支持体と作業スタンプエンボス加工材料との接触が行われる。圧力を加えることにより、作業スタンプ材料は、支持体に沿って平坦になり、マスタースタンプパターンが、作業スタンプ材料にネガ型として成形される。
【0072】
第4の工程段階では、作業スタンプエンボス加工材料の硬化が行われる。作業スタンプエンボス加工材料は、熱的に、かつ/または電磁放射によって、硬化させることができる。
【0073】
熱硬化は、0℃~500℃、好ましくは50℃~450℃、より好ましくは100℃~400℃、さらにより好ましくは150℃~350℃、最も好ましくは200℃~300℃で行われる。
【0074】
電磁放射は、好ましくは10nm~2000nm、好ましくは50nm~1500nm、より好ましくは100nm~1000nm、さらにより好ましくは150nm~500nm、最も好ましくは200nm~370nmの範囲の波長を有する。
【0075】
第5の工程段階では、硬化した作業スタンプエンボス加工材料を有した支持体が、伸張エレメントによってこの支持体を伸張させることによって、マスタースタンプから剥離される。好適には、ガスまたはガス混合物が真空エレメントから成る動的な支持体固定装置を介して、支持体変形エレメントと支持体との間に流入し、外側から見て凸状に湾曲した支持体を生じさせる。これにより支持体は、外側から内側に向かって剥離される。
【0076】
第6の工程段階では、動的な支持体固定装置を介して支持体は再び固定される。
【0077】
本発明の第2の好適な方法では、支持体としてエンドレスフィルムが、本発明による装置に固定される。
【0078】
第2の方法の最初の6つの工程段階は、第1の方法の最初の6つの工程段階と実質的に同じである。
【0079】
第7の工程段階において、エンドレスフィルムを解放するために、固定ユニットの静的な支持体固定装置を後退させることにより、エンドレスフィルムの固定の解除が行われる。その後、またはそれと同時に、第3のロールへのエンドレスフィルムの巻き取りが行われる。これにより、製作された作業スタンプエンボス加工材料が支持体変形エレメントから離されて、エンドレスフィルムの新たな領域が、エンボス加工のために提供される。
【0080】
これにより、複数の作業スタンプを1つのエンドレスフィルム上に、極めて簡単に製作することができる。
【0081】
第3の好適な本発明による方法では、上述した方法の1つによって製作された作業スタンプが、製品エンボス加工材料のエンボス加工のために使用される。製品エンボス加工材料からは、実際に製作すべき製品が製作される。好ましくは、製品エンボス加工材料は、基材上に塗布され、基材は、作業スタンプに対して相対的に位置合わせされる。その後、エンボス加工工程、硬化工程、および離型工程が行われる。
【0082】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1a】本発明の第1の実施の形態を示す側面図である。
図1b】本発明の第1の実施の形態を下方から見た図である。
図2a】本発明による第1の方法の第1の工程段階を示す図である。
図2b】本発明による第1の方法の第2の工程段階を示す図である。
図2c】本発明による第1の方法の第3の工程段階を示す図である。
図2d】本発明による第1の方法の第4の工程段階を示す図である。
図2e】本発明による第1の方法の第5の工程段階を示す図である。
図2f】本発明による第1の方法の第6の工程段階を示す図である。
図3a】本発明による第2の方法の第2の工程段階を示す図である。
図3b】本発明による第2の方法の第3の工程段階を示す図である。
図3c】本発明による第2の方法の第4の工程段階を示す図である。
図3d】本発明による第2の方法の第5の工程段階を示す図である。
図3e】本発明による第1の方法の第6の工程段階を示す図である。
図3f】本発明による第2の方法の第7の工程段階を示す図である。
【0084】
図中、同一の構成要素または機能的に同一の構成要素には、同じ参照符号が付されている。
【0085】
図1aは、手動の、本発明による第1のスタンプ装置1の側面図を示しており、このスタンプ装置には少なくとも2つの固定ユニット4が設けられており、この固定ユニットによって、支持体3を、特に対向する2つの側で固定することができる。両固定ユニット4は、好適には支持体変形エレメント2に結合されている。支持体変形エレメント2は、好適には支持体変形エレメント隆起部2eを有しており、この支持体変形エレメント隆起部を介して支持体3を張設させることができる。固定ユニット4は、例えば、静的な支持体固定装置5、スペーサ部分7、および上方部分8から成っている。これらの構成部品5,7および8は、固定エレメント9、特にねじによって互いに取外し可能に固定可能である。支持体変形エレメント2は、好適には、作業スタンプエンボス加工材料を硬化するために使用される電磁放射の波長範囲に対して透過性である。支持体変形エレメント2は、オン・オフ切り替え可能な動的な固定エレメント6(以下では動的な支持体固定装置とも呼ぶ)を有している。固定エレメント6は、支持体変形エレメント表面2oにわたって任意に分布されていてよい。使用される固定エレメント6の数は、特に2よりも多く、好適には5よりも多く、さらに好適には10よりも多く、極めて好適には50よりも多く、最も好適には100よりも多い。極めて特に好適な本発明による実施の形態では、固定エレメント6は個別に駆動制御可能である。固定エレメント6を、好適には、支持体3の、外側から見て凸状の変形を生じさせることができるように制御することができる。これは特に、固定エレメント6を、支持体3と支持体変形エレメント2との間の中間領域を排気するために機能するだけでなく、正圧を生成するためにも使用することができるチャネルとして形成することにより特に簡単に可能である。したがって、固定エレメント6は、好適には、真空もしくは正圧を生成することができるチャネルである。固定エレメント6の本発明によるさらなる利用は、固定ユニット4の静的な支持体固定装置5を介して比較的歪みの生じやすい固定を行う前に、支持体3の歪みの生じない固定をこの固定エレメントによって行うことができるということにある。これにより、支持体3は、あとから行われるエンボス加工プロセスにおいてスタンプされる領域においては、まったくまたは極めてわずかにしか歪まない。支持体3は、左側および右側で、支持体変形エレメント2の外側部分と、静的な支持体固定装置5との間で挟み込まれている。さらに、アライメントマーク14が支持体変形エレメント表面に配置されている。
【0086】
図1bは、手動の、本発明による第1の装置1の下面図を示している。構成部品5,7および8を取外し可能にねじ固定するために機能する固定エレメント9、特にねじを見ることができる。動的な支持体固定装置6は、全周を取り囲む長方形の単一の真空チャネルとして示される。円形の領域16は、あとからスタンプによってエンボス加工されるスタンプ領域16を示す。スタンプ領域は、もちろん、それぞれ任意のサイズおよび形状をとることができるが、半導体工業における円形の規格品のウェハ形状に関連して円形に示される。
【0087】
図2aは、本発明による第1の方法の本発明による第1の工程段階を示しており、このステップでは、複数のマスタースタンプパターン13を備えたマスタースタンプ12のマスタースタンプ表面12o上に、分離装置10を介して作業スタンプエンボス加工材料11が塗布される。
【0088】
図2bは、本発明による第1の方法の本発明による第2の工程段階を示しており、このステップでは、アライメントマーク14を利用して、本発明による手動式の第1のスタンプ装置1を、マスタースタンプ12に対して相対的に位置合わせする。マスタースタンプ12のアライメントマーク14とスタンプ装置1のアライメントマーク14とは、この場合、好適には光学的なアライメントエレメント15によって互いに位置合わせされる。特にアライメントエレメント15およびアライメントマーク14を用いずに、スタンプ装置1をマスタースタンプ12に対して相対的に、純粋に機械的に大まかに位置合わせすることも考えられる。
【0089】
図2cは、本発明による第1の方法の本発明による第3の工程段階を示しており、このステップでは、支持体スタンプ側3sにわたって、支持体3と作業スタンプエンボス加工材料11との接触が行われる。このような接触により、作業スタンプエンボス加工材料11は平坦化される。
【0090】
図2dは、本発明による第1の方法の本発明による第4の工程段階を示しており、このステップでは、作業スタンプエンボス加工材料11が硬化させられる。硬化は、熱的に、しかしながら好適には電磁的に、特にUV光によって実施することができる。硬化は好適には支持体変形エレメント2によって行われる。電磁放射を使用する場合、支持体変形エレメント2は、作業スタンプエンボス加工材料11の相応の硬化を生じさせるために、相応の波長範囲において十分に透過性でなければならない。
【0091】
図2eは、本発明による第1の方法の本発明による第5の工程段階を示しており、このステップでは、本発明により生成されたスタンプ17(以下では、作業スタンプとも呼ぶ)の本発明による切り離しが行われる。この場合、支持体3は、支持体変形エレメント2から分離される。この分離は、特に、真空軌道として形成される動的な支持体固定装置6を通って流出する流体の正圧により行われる。動的な支持体固定装置6とは独立した、支持体3の、ひいてはスタンプ17の相応の湾曲を発生させることができるエレメントが存在していることも考えられる。例えば、付加的に組み込まれたノズルが考えられる。支持体3を静電的に帯電させて、支持体変形エレメント2内のエレメントを通る同じ極性の第2の電位によって、支持体変形エレメント2から支持体3を突き離すことも考えられる。本発明によれば、硬化した作業スタンプエンボス加工材料11は、外側から内側に向かって、特に連続的に、マスタースタンプ12から剥離される。このような形式の離型により、硬化したスタンプ材料11は、マスタースタンプ12のマスタースタンプパターン13から特に穏やかに剥離される。これによりこのように生成されたスタンプ17を、欠陥なく生成することができる。
【0092】
図2fは、本発明による第6の工程段階を示しており、このステップでは、硬化したエンボス加工材料11と共にスタンプ17を形成する支持体3は、再び完全に支持体変形エレメント2上に固定される。この場合、この固定は、再度、動的な支持体固定装置6を介して行われる。このように生成されたスタンプ17は、今や、エンボス加工材料のエンボス加工プロセスのために使用することができる。後続のエンボス加工プロセスにおけるエンボス加工材料からのスタンプ17の離型は、図2eによるマスタースタンプ12からのスタンプ17の離型とまったく同様に行うことができる。
【0093】
図3aは、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第2の工程段階を示している。本発明による第1の工程段階は、図2aの工程段階と同様であるので、ここでは改めて図示しない。本発明による第2のスタンプ装置1’は、ロールシステムを備えた装置である。ロール18a上には、支持体3’が位置していて、この支持体には保護フィルム19を被覆することができる。支持体3’は、本発明による第1の実施の形態の支持体3とは異なり「エンドレスフィルム」である。支持体3’は、支持体変形エレメント2を介して張設されて、ロール18c上に巻き取られる。保護フィルム19は、引き離すことができ、ロール18b上に巻き取ることができる。固定ユニット4’は、支持体3’を特に側方から挟むことができるように構成されている。支持体3’のクランプは、好適には、角度付けされた静的な支持体固定装置5’によって行われ、この支持体固定装置のクランプ面5k’は、対向する支持体変形エレメントクランプ面2kに対して平行である。支持体変形エレメントクランプ面2kと支持体変形エレメント背面2rとの間の角度αは、この場合、0°~90°であり、好適には5°~85°であり、さらに好適には10°~80°であり、より好適には15°~75°であり、最も好適には20°~70°である。本発明による実施の形態では、好適にはマスタースタンプ12は、スタンプ装置の下方に移動する。
【0094】
図3bは、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第3の工程段階を示している。スタンプ装置1’は好適には、全体として不動であるように設計されているので、作業スタンプエンボス加工材料11を支持体3’に接触させるために、マスタースタンプ12が支持体3’に向かって移動する。
【0095】
図3cは、図2dの工程段階と同様の、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第4の工程段階を示している。
【0096】
図3dは、図2eの工程段階と同様の、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第5の工程段階を示している。
【0097】
図3eは、図2fの工程段階と同様の、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第6の工程段階を示している。
【0098】
図3fは、本発明による第2のスタンプ装置1’による本発明による第7の工程段階を示していて、このステップでは、固定ユニット4’が開放されて、これにより支持体3はロール18a,18cによってさらに動かすことができる。本発明によれば、この場合、支持体変形エレメント2からの作業スタンプ17の除去が行われる。支持体3’をロール18cに巻き取ることにより、支持体3’の新しい未使用区分3uが支持体変形エレメント2の下方に到り、工程段階3a~3dにより改めてエンボス加工材料を設けることができる。
【符号の説明】
【0099】
1,1’ スタンプ装置
2 支持体変形エレメント
2e 支持体変形エレメント隆起部
2o 支持体変形エレメント表面
2r 支持体変形エレメント背面
2k 支持体変形エレメントクランプ面
3,3’ 支持体
3u 未使用支持体区分
3s 支持体スタンプ側
4,4’ 固定ユニット
5,5’ 静的な支持体固定装置
5k’ クランプ面
6 動的な支持体固定装置/固定エレメント
7 スペーサ部分
8 上方部分
9 固定エレメント
10 分離装置
11 作業スタンプエンボス加工材料
12 マスタースタンプ
12o マスタースタンプ表面
13 マスタースタンプパターン
14 アライメントマーク
15 アライメントエレメント
16 スタンプ領域
17 スタンプ/作業スタンプ
18a,18b,18c ロール
19 保護フィルム
α 角度
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f