(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】空調、電子膨張弁及びその電磁コイル構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20240528BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2022526025
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020109690
(87)【国際公開番号】W WO2021120650
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】201922259422.1
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】曾 慶軍
(72)【発明者】
【氏名】鄭 利峰
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208935520(CN,U)
【文献】実開昭61-081101(JP,U)
【文献】特開2019-135888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に設けられたプラスチックパッキンシェル、及び前記プラスチックパッキンシェル内に収容され固定されたコイルを含む、コイルアセンブリと、
前記プラスチックパッキンシェルの側壁に設けられた絶縁保護シェルであって、前記絶縁保護シェルと前記プラスチックパッキンシェルの側壁との間に、一端に開口部を有する収容室が形成され、絶縁保護シェルの内壁に凸状又は凹状の防水構造が形成され、前記防水構造が前記収容室の開口部の周方向に沿って延在する、絶縁保護シェルと、
前記収容室内に収容され凝固されたシーラントであって、前記絶縁保護シェルとは材質が異なるために前記絶縁保護シェルとは膨張係数が異なるシーラントと、
前記コイルに電気的に接続された回路基板を含み、前記回路基板が前記収容室内に収容され固定されている、引き出し線アセンブリと、
を含
み、
前記絶縁保護シェルと前記プラスチックパッキンシェルの側壁との間には、前記絶縁保護シェルが前記プラスチックパッキンシェルの側壁に密封接続されるように、密封溶接継手が形成されており、
前記収容室の開口部の周方向に沿って延在した前記防水構造の両端部が前記密封溶接継手と接続されて、前記両端部において連結防水シールが形成されている、電磁コイル構造。
【請求項2】
前記防水構造は、前記絶縁保護シェルの内壁から突出して設けられた防水リブである、請求項1に記載の電磁コイル構造。
【請求項3】
前記防水リブの長手方向に垂直な断面形状は鋸歯状である、請求項2に記載の電磁コイル構造。
【請求項4】
前記防水リブの長手方向に垂直な断面形状は矩形である、請求項2に記載の電磁コイル構造。
【請求項5】
前記防水構造は、前記絶縁保護シェルの内面に穿設されてなる防水歯溝である、請求項1に記載の電磁コイル構造。
【請求項6】
前記コイルアセンブリは、前記コイルに電気的に接続されたピンを更に含み、前記ピンの前記コイルから離れた一端は、前記収容室内に入り込んで、前記回路基板に電気的に接続されている、請求項1に記載の電磁コイル構造。
【請求項7】
前記引き出し線アセンブリは引き出し線を更に含み、前記引き出し線の一端は、前記シーラント内に予め作られて、前記回路基板に電気的に接続され、他端は前記収容室の開口部から伸びる、請求項1に記載の電磁コイル構造。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の電磁コイル構造と、
中空構造のハウジング、前記ハウジング内に収容されたロータ、及び前記ロータに駆動接続されたスピンドルを含む弁体構造であって、前記プラスチックパッキンシェルが前記ハウジングの一端に嵌合され、前記ロータが前記コイルと同軸に設けられた、弁体構造と、
を含む電子膨張弁。
【請求項9】
請求項
8に記載の電子膨張弁を含む空調。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[001] 本出願は、2019年12月16日に出願された、出願番号が201922259422.1であり、発明創造の名称が「空調、電子膨張弁及びその電磁コイル構造」である中国特許出願の優先権を請求しており、その全ての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
[002] 本出願は空調装置制造の技術分野に関し、特に、空調、電子膨張弁及びその電磁コイル構造に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 電子膨張弁は、絞り弁又は調節弁とも呼ばれ、空調システム中の主な要素であり、主に絞り減圧及び流量調節の役割を果たす。電子膨張弁は、一般に、電磁コイル構造、及び電磁コイル構造に接続される弁体構造を含む。電磁コイル構造は、通常、絶縁保護シェル、絶縁保護シェル内に設けられる回路基板、及び絶縁保護シェル内に収容され凝固されたシーラントを含む。
【0004】
[004] 絶縁保護シェルの材質とシーラントの材質とが異なるため、両者の膨張係数も異なる。従来の電子膨張弁を使用する場合、絶縁保護シェルとシーラントとは、温度変化の影響を受けて、分離して微細な隙間が生じる状況が発生しやすく、このとき、外部の水蒸気がこの微細な隙間を経由して回路基板にまで浸透しやすくなることで、製品の絶縁性能が低下し、電磁コイル構造の使用信頼性に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0005】
[005] これにより、従来の電磁コイル構造は信頼性が高くないという課題に対して、信頼性の高い空調、電子膨張弁及びその電磁コイル構造を提供する必要がある。
【0006】
[006] 電磁コイル構造は、
中空構造のプラスチックパッキンシェル、及びプラスチックパッキンシェル内に収容されて固定されるコイルを含むコイルアセンブリと、プラスチックパッキンシェルの側壁に設けられ、且つプラスチックパッキンシェルの側壁との間に、一端に開口部を有する収容室が形成され、内壁に凸状又は凹状の防水構造が形成され、防水構造が収容室の開口部の周方向に沿って延在する絶縁保護シェルと、
収容室内に流し込まれて凝固されたシーラントと、
コイルに電気的に接続される回路基板を含み、回路基板が収容室内に収容されて固定される引き出し線アセンブリと、を含む。
【0007】
[007] 一実施例において、防水構造は、絶縁保護シェルの内壁から突出して設けられる防水リブである。
【0008】
[008] 一実施例において、防水リブの長手方向に垂直な断面形状は鋸歯状である。
【0009】
[009] 一実施例において、防水リブの長手方向に垂直な断面形状は矩形である。
【0010】
[010] 一実施例において、防水構造は、絶縁保護シェルの内面に穿設される防水歯溝である。
【0011】
[011] 一実施例において、絶縁保護シェルとプラスチックパッキンシェルの側壁との間には、絶縁保護シェルがプラスチックパッキンシェルの側壁に密封接続されるように、密封溶接継手が形成される。
【0012】
[012] 一実施例において、コイルアセンブリは、コイルに電気的に接続されるピンを更に含み、ピンのコイルから離れた一端は、収容室内に入り込んで、回路基板に電気的に接続される。
【0013】
[013] 一実施例において、引き出し線アセンブリは引き出し線を更に含み、引き出し線の一端は、シーラント内に予め作られて、回路基板に電気的に接続され、他端は収容室の開口部から伸びる。
【0014】
[014] 電子膨張弁は、
電磁コイル構造と、
中空構造のハウジング、ハウジング内に収容されるロータ、及びロータに駆動接続されるスピンドルを含み、プラスチックパッキンシェルがハウジングの一端に嵌合され、ロータがコイルと同軸に設けられる弁体構造と、を含む。
【0015】
[015] 空調は電子膨張弁を含む。
【0016】
[016] 上記の空調、電子膨張弁及びその電磁コイル構造において、収容室内に収容され凝固されたシーラントは、液体ゲル材料を収容室内に流し込んで、冷却した後に硬化することで形成されるため、絶縁保護シェルの内壁に面するシーラントの表面の形状は、絶縁保護シェルの内壁の形状と合致する。そのため、防水構造の設置によって、絶縁保護シェルとシーラントとの結合力を向上させることができ、外部の温度が変化したとしても、絶縁保護シェルとシーラントとの間には微細な隙間が生じにくい。更には、防水構造が収容室の開口部の周方向に沿って延在するため、防水構造は、外部の水蒸気が収容室の開口部を経由して回路基板の経路に入り込むことを遮断することができる。従って、防水構造の設置によって、外部の水蒸気が回路基板に入り込む確率を低減させ、水蒸気が回路基板に入り込むことによって絶縁性能が低下する確率を低減させ、電磁コイル構造の使用信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
[017] ここで開示されたこれらの発明の実施例及び/又は例をよりよく記述及び説明するために、1つ以上の図面を参照することができる。図面を説明するために用いられる追加の詳細又は例は、開示された発明、現在説明している実施例及び/又は例、並びに現在理解されているこれらの発明の最適な形態のうちのいずれかの範囲を制限するものとしてみなされるべきではない。
【0018】
【
図1】[018] 本出願の好ましい実施例における電磁コイル構造の構成模式図である。
【
図2】[019]
図1に示す電磁コイル構造の部分拡大図である。
【
図3】[020] 本出願の一実施例における絶縁保護シェルの構成模式図である。
【
図4】[021] 本出願の別の実施例における絶縁保護シェルの構成模式図である。
【
図5】[022] 本出願の更に別の実施例における絶縁保護シェルの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[023] 本出願の理解を容易にするために、以下に関連する図面を参照して本出願を更に全面的に説明する。図面には本出願の好ましい実施例が示されている。ただし、本出願は多くの異なる形態で実現することができ、本文で説明する実施例に限定されない。むしろこれらの実施例は、本出願の開示内容に対する理解をより完全且つ全面的なものにすることを目的として提供される。
【0020】
[024] 特に定義しない限り、本文で使用される全ての技術及び科学用語は当業者によって一般に理解される意味と同じである。本文において、本出願の明細書に使用される用語は実施例の目的を具体的に説明するためのものにすぎず、本出願を制限するものではない。本文で使用される「及び/又は」という用語は、関連する項目の任意及び全ての組み合わせを1つ又は複数含む。
【0021】
[025] 位置関係を説明する際に、特に規定しない限り、ある要素が別の要素の「上」にあるとされる場合、それは他の要素の上に直接存在してもよく、あるいは中間要素が存在してもよい。要素が2つの要素の「間」にあるとされる場合、それは2つの要素の間の唯一のものであってもよく、あるいは1つ又は複数の中間要素が存在してもよいことも理解され得る。
【0022】
[026] 本文に記載された「含む」、「有する」、及び「包含する」を使用する場合、例えば、「のみ」、「からなる」等の明らかな限定用語が使用されない限り、別の部材を追加してもよい。逆に言及されない限り、単数形の用語は複数形のものを含んでもよく、その数が1つであると理解されてはならない。
【0023】
[027] 更に、図面は、1:1の比率で描かれているわけではなく、図面において、各要素の相対的な寸法は例示的に描かれたものにすぎず、必ずしも実際の比率で描かれているわけではない。
【0024】
[028]
図1を参照すると、本出願は、空調(図示せず)、電子膨張弁(図示せず)及びその電磁コイル構造100を提供している。ここで、空調は電子膨張弁を含む。電子膨張弁は、電磁コイル構造100及び弁体構造を含む。
【0025】
[029] 電磁コイル構造100は、主に、電子膨張弁に回転磁界を提供して、電子膨張弁内の機構を駆動して移動させて、電子膨張弁の流量調節機能を実現するために用いられる。
【0026】
[030] 弁体構造は、中空構造のハウジング、ハウジング内に収容されるロータ、及びロータに駆動接続されるスピンドルを含む。電磁コイル構造100はハウジングの一端に嵌合される。弁体構造は、電子膨張弁の主な構成要素として、スピンドルがハウジングの長さ方向に沿って往復移動することによって、弁口の開閉を実現するため、電子膨張弁は、主に、弁口が開く大きさを調節することによって、その流量の調節を実現する。
【0027】
[031] 本出願の好ましい実施例における電磁コイル構造100は、コイルアセンブリ110と、絶縁保護シェル120と、シーラント130と、引き出し線アセンブリ140と、を含む。
【0028】
[032] コイルアセンブリ110は、プラスチックパッキンシェル111、及びプラスチックパッキンシェル111内に収容され固定されるコイル112を含む。具体的には、本実施例において、プラスチックパッキンシェル111は、開口部を有する中空構造である。プラスチックパッキンシェル111は、主に、支持及び電気絶縁の役割を果たす。一般に、プラスチックパッキンシェル111は、プラスチック、マイカ等の絶縁性を有し且つ強度の高い材料からなり、プラスチックパッキンシェル111が電気絶縁性を有するうえに、大きな支持力を有する。電子膨張弁において、プラスチックパッキンシェル111は、ハウジングの一端に嵌合されて、電磁コイル112構造100と弁体構造との取り付けを完成する。
【0029】
[033] 本実施例において、コイル112は、プラスチックパッキンシェル111内に予め作られる。これにより、コイル112をプラスチックパッキンシェル111内に予め作っておくことによって、コイル112が作動中に短絡する確率を低減させることができる。従って、コイル112が通電された後に、プラスチックパッキンシェル111の内部に回転する磁界が発生して、弁体構造が駆動されて作動する。電子膨張弁において、コイル112はロータと同軸に設けられる。従って、コイル112によって発生する回転磁界は、ロータを動かして回転させることができ、回転するロータは、電子膨張弁がその流量調節機能を実現するように、スピンドルを駆動して移動させることができる。
【0030】
[034]
図2から
図5も併せて参照すると、絶縁保護シェル120は、プラスチックパッキンシェル111の側壁に設けられ、且つプラスチックパッキンシェル111の側壁との間に、一端に開口部を有する収容室150が形成される。絶縁保護シェル120の内壁には凸状又は凹状の防水構造121が形成される。防水構造121は、収容室150の開口部の周方向に沿って延在する。絶縁保護シェル120は、通常、プラスチック、セラミック、アスベスト等の電気絶縁性のよい材料からなる。絶縁保護シェル120は、溶接、接着、ねじ接続等によって側壁に固定することができる。具体的には、本実施例において、絶縁保護シェル120は、超音波溶接によって側壁に固定される。防水構造121は、溝、ストライプ、リブ等であり得る。
【0031】
[035] シーラント130は、収容室150内に流し込まれて凝固される。シーラント130は、主に、密封、固定及び電気絶縁の役割を果たす。従って、シーラント130は一般に、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、ポリブタジエン酸、シリコーン、ポリエステルイミド、ポリイミド等の電気絶縁性能のよいゲル材料からなる。具体的には、シーラント130は、液体ゲル材料を収容室150内に流し込み、冷却された後に凝固されて形成される固体構造である。従って、絶縁保護シェル120の内壁に面するシーラント130の表面の形状は、絶縁保護シェル120の内壁の形状と合致する。
【0032】
[036] 本実施例において、シーラント130はエポキシゲルである。エポキシゲルが強い粘着力、良好な電気性能、機械的性能、高い化学安定性及び寸法安定性を有することにより、シーラント130も良好な電気性能、よい機械的性能、高い化学安定性及び強い粘着力等の利点を有するようになる。従って、シーラント130は、収容室150とのよい接続安定性を維持すると同時に、よい電気絶縁性能及び外力により変形しにくい等の利点を有する。
【0033】
[037] 再び
図1を参照すると、引き出し線アセンブリ140は、コイル112に電気的に接続される回路基板141を含む。回路基板141は、収容室150内に収容されて固定される。実際の使用過程において、回路基板141は、外部電源に電気的に接続される。これにより、回路基板141は、主に、外部電源がコイル112に電力を提供するように、コイル112と外部電源とを接続されるために用いられる。
【0034】
[038] 本実施例において、引き出し線アセンブリ140は引き出し線142を更に含む。引き出し線142の一端は、シーラント130内に予め作られて、回路基板141に電気的に接続され、他端は収容室150の開口部から伸び出る。実際の使用過程において、引き出し線142の回路基板141から離れた一端は外部電源に電気的に接続される。従って、引き出し線142は、主にコイル112と外部電源とを接続する役割を果たす。更に、引き出し線142の長さは、電子膨張弁を使用する際の外部電源との距離に応じて選択することができるため、引き出し線142の設置によって、電子膨張弁の使用がより自在且つ便利になる。
【0035】
[039] 再び
図1及び
図2を参照すると、絶縁保護シェル120の内壁に面するシーラント130の表面の形状が絶縁保護シェル120の内壁の形状と合致するため、凸状又は凹状の防水構造121の設置によって、絶縁保護シェル120とシーラント130との結合力を向上させることができ、外部の温度が変化したとしても、絶縁保護シェル120とシーラント130との間には微細な隙間が生じにくい。更には、防水構造121が収容室150の開口部の周方向に沿って延在するため、防水構造121は、外部の水蒸気が収容室150の開口部を経由して回路基板141の経路に入り込むことを遮断することができる。従って、防水構造121の設置によって、外部の水蒸気が回路基板141に入り込む確率を低減させ、水蒸気が回路基板141に入り込むことによって絶縁性能が低下する確率を低減させ、電磁コイル構造100の使用信頼性を大幅に向上させることができる。
【0036】
[040] 本実施例において、防水構造121は複数ある。複数の防水構造121の設置によって、シーラント130と絶縁保護シェル120の内壁との結合力がより強くなり、電磁コイル構造100の使用信頼性が更に向上している。
【0037】
[041] いくつかの実施例において、防水構造121は絶縁保護シェル120の内壁から突出して設けられる防水リブである。防水リブは収容室150の開口部の周方向に沿って延在する。具体的には、防水リブは絶縁保護シェル120と一体的に成形される。もちろん、別のいくつかの実施例において、防水リブは接着等によって絶縁保護シェル120の内壁に接続されてもよい。防水リブの長手方向に垂直な断面形状は、三角形、矩形、台形、円弧形、多角形等とすることができる。防水構造121を防水リブとすることによって、防水構造121の加工がより簡単になる。
【0038】
[042] 再び
図3を参照すると、具体的には、一実施例において、防水リブの長手方向に垂直な断面形状は鋸歯状である。これにより、防水リブの絶縁保護シェル120の内壁から離れた側に鋭角構造が形成されることによって、シーラント130と絶縁保護シェル120の内壁との結合力を更に向上させ、シーラント130と絶縁保護シェル120の内壁との間に微細な隙間が形成される確率を更に低減させ、外部の水蒸気が収容室150の開口部を経由して回路基板141に入り込む確率を更に低減させ、電磁コイル構造100の使用信頼性をよりよくすることができる。
【0039】
[043] 再び
図4を参照すると、具体的には、別の実施例において、防水リブの長手方向に垂直な断面形状は矩形である。防水リブの断面形状を矩形とすることによって、防水リブの絶縁保護シェル120の内壁から離れた側に2つの鋭角構造を形成することができるため、シーラント130と絶縁保護シェル120の内壁との結合力を向上させるだけでなく、防水構造121の加工もより簡単にすることができる。
【0040】
[044] 再び
図5を参照すると、別のいくつかの実施例において、防水構造121は、絶縁保護シェル120の内面に穿設される防水歯溝である。シーラント130の表面には防水歯溝と合致する突起が形成され、突起は、防水歯溝に係合されて、シーラント130と絶縁保護シェル120との結合力を向上させ、シーラント130と絶縁保護シェル120との間に微細な隙間が形成される確率を低減させ、外部の水蒸気が回路基板に入り込む確率を低減させ、電磁コイル構造100の使用信頼性を向上させる。
【0041】
[045] 再び
図1を参照すると、本実施例において、絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111の側壁との間には、絶縁保護シェル120がプラスチックパッキンシェル111の側壁に密封接続されるように、密封溶接継手160が形成される。ここで、密封溶接継手160は、溶融した材料が冷却されて凝固された後に形成される接続継手であり、絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111の側壁との溶接を実現するために用いられる。更に、密封溶接継手160は、材料が溶融した後に凝固されて形成されるものであるため、密封溶接継手160によって絶縁保護シェル120がプラスチックパッキンシェル111の側壁に固定接続されることを実現することによって、絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111の側壁との密封性を向上させ、外部の水蒸気が絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111の側壁との接続部を経由して回路基板141に入り込む確率を低減させ、電磁コイル構造100の使用信頼性をより一層向上させることもできる。
【0042】
[046] 再び
図3及び
図5を参照すると、具体的には、溶接する前に、プラスチックパッキンシェル111に面する絶縁保護シェル120の外面には溶接リブ122が突出して設けられる。溶接リブ122は、1本であってもよく、複数本であってもよい。絶縁保護シェル120をプラスチックパッキンシェル111の側壁に取り付けようとする場合、先に、絶縁保護シェル120をプラスチックパッキンシェル111の側壁に配置してから、超音波溶接によって、溶接リブ122を溶融させた後に、プラスチックパッキンシェル111の側壁に結合させて、絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111との固定接続を実現する。従って、溶接リブ122の設置によって、絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111との固定効果をよりよくすることができるだけでなく、防水の役割を果たすこともできるため、外部の水が絶縁保護シェル120とプラスチックパッキンシェル111との間を経由して回路基板141内に入り込むことを防止し、回路基板141の絶縁性能を確保する。
【0043】
[047] 再び
図1を参照すると、本実施例において、コイルアセンブリ110は、コイル112に電気的に接続されるピン113を更に含む。ピン113のコイル112から離れた一端は、収容室150内に入り込んで、回路基板141に電気的に接続される。ピン113は、棒状の金属棒である。コイル112を回路基板141に電気的に接続しようとする場合、導線に電気的に接続されるピン113を回路基板141に挿入して、回路基板141に電気的に接続すればよい。従って、ピン113の設置によって、回路基板141の取り付けがより便利且つ迅速になる。
【0044】
[048] 本実施例において、回路基板141は、プラスチックパッキンシェル111の側壁に取り付けられる。これにより、回路基板141を取り付ける際に、先に回路基板141をプラスチックパッキンシェル111の側壁に取り付けて、それが収容室150内に位置するようにしてから、収容室150内にシーラント130を硬化して形成すれば、回路基板141を固定して取り付けることを実現することができる。従って、回路基板141をプラスチックパッキンシェル111の側壁に取り付けることによって、後のシーラント130の形成を容易にし、電磁コイル112構造100の加工がより便利且つ迅速になる。
【0045】
[049] 上記の空調、電子膨張弁及びその電磁コイル112構造100において、収容室150内に収容され凝固されるシーラント130は、液体ゲル材料を収容室150内に流し込んで、冷却した後に硬化することで形成される。絶縁保護シェル120の内壁には凸状又は凹状の防水構造121が形成されるため、絶縁保護シェル120の内壁に面するシーラント130の表面の形状は、絶縁保護シェル120の内壁の形状に合致する。そのため、防水構造121の設置によって、絶縁保護シェル120とシーラント130との結合力を向上させることができ、外部の温度が変化したとしても、絶縁保護シェル120とシーラント130との間には微細な隙間が生じにくい。更には、防水構造121が収容室150の開口部の周方向に沿って延在するため、防水構造121は、外部の水蒸気が収容室150の開口部を経由して回路基板141の経路に入り込むことを遮断することができる。従って、防水構造121の設置によって、外部の水蒸気が回路基板141に入り込む確率を低減させ、水蒸気が回路基板141に入り込むことによって絶縁性能が低下する確率を低減させ、電磁コイル構造100の使用信頼性を大幅に向上させることができる。
【0046】
[050] 上述した実施例の各技術特徴は任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術特徴の可能な組み合わせについては全て説明されていないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載された範囲とみなされるべきである。
【0047】
[051] 上述した実施例は、本出願のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、その説明が比較的に具体的且つ詳細ではあるが、それ故に出願の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者にとって、本出願の趣旨を逸脱しないことを前提にいくつかの変形及び改善を行うこともできるが、いずれも本出願の保護範囲に含まれることを指摘しておかなければならない。従って、本出願の特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。