(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】車両用の駆動装置および車両
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240528BHJP
H02K 5/00 20060101ALI20240528BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240528BHJP
H02K 11/02 20160101ALI20240528BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/00 B
H02K11/33
H02K11/02
B60L15/00 H
B60L15/00 Z
(21)【出願番号】P 2022564197
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2021057714
(87)【国際公開番号】W WO2021213774
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】102020205151.8
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】カトラン,ゲルゲー・ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ジシガ,デネス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ケジン
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-239350(JP,A)
【文献】特開昭62-193300(JP,A)
【文献】特開昭56-067996(JP,A)
【文献】特開平10-190277(JP,A)
【文献】特開平02-148895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 5/00
H02K 11/33
H02K 11/02
B60L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の駆動装置(1)であって、
変換器ハウジング(20)および前記変換器ハウジング(20)内に配置された電気変換回路(21)を備えた変換器(2)と、
前記変換器ハウジング(20)に隣接して配置されている機械ハウジング(30)および前記機械ハウジング(30)内に配置されたステータ・ロータ構成(31)を備えた電気機械(3)と、
前記電気変換回路(21)と前記ステータ・ロータ構成(31)を電気的に結合しており、前記変換器ハウジング(20)に形成された第1の貫通口(22;23;24)を通って、および前記機械ハウジング(30)に形成された第2の貫通口(32;33;34)を通って延びる複数の配線レール(41;42;43)と、
前記変換器ハウジング(20)と前記機械ハウジング(30)の間に配置されており、前記複数の配線レール(41;42;43)を包囲し、かつ前記変換器ハウジング(20)および前記機械ハウジング(30)に当接する、導電材料から成るシールドフレーム(5)と、
を備える、駆動装置(1)において、
前記シールドフレーム(5)が金属材料から形成され、
前記シールドフレーム(5)が、平らなベース部分(50)および前記ベース部分(50)から飛び出る多くの弾性要素(51)を有し、
前記弾性要素(51)の少なくとも1つが、前記ベース部分(50)によって規定された前記シールドフレーム(5)の外周に沿って延びるアーム(54)として形成され、
前記アーム(54)が、前記ベース部分(50)から逸れて位置し、湾曲して延びている端部領域(54B)を有し、
前記ベース部分(50)は実質的に長方形の外周を有し、
前記弾性要素(51)は、前記ベース部分(50)の外周に沿って分散して配置されており、
前記アーム(54)のすべては、前記ベース部分(50)の同じ側で前記ベース部分(50)から飛び出ており、
前記アーム(54)は、前記ベース部分(50)の外周に沿って延びており、
前記アーム(54)は、前記ベース部分(50)と一体的に形成され、
前記シールドフレーム(5)が前記変換器ハウジング(20)と前記機械ハウジング(30)の間に配置されたときに、前記アーム(54)は、前記変換器ハウジング(20)の端面壁(20C)に、または前記機械ハウジング(30)の端面壁(30C)に当接し、かつ前記ベース部分(50)の方向に曲がるように、前記アーム(54)は、前記ベース部分(50)に対して相対的に弾性変形可能で
ある、
駆動装置(1)。
【請求項2】
前記弾性要素(51)の少なくとも1つが、前記ベース部分(50)によって規定されたフレーム開口部(52)内に突き出ている成形部材(56)として形成されている、請求項1に記載の駆動装置(1)。
【請求項3】
前記成形部材(56)が段状に形成されている、請求項2に記載の駆動装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動装置(1)を備えた車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば乗用車、トラック、バス、またはその類似物のような車両では、ますます電気駆動が用いられるようになっている。電気駆動機として、しばしば三相交流モータまたは交流モータが用いられる。このタイプの駆動機に必要な交流電圧は、しばしば変換器またはインバータにより直流電圧から生成される。変換器と電気駆動機が駆動装置へと組み合わされ、かつ相応に機械的に相互に結合されるのが典型的であり、この場合、変換器のハウジングおよび電気機械のハウジングが相並んで配置されることが目的にあっている。変換器によって生成された交流電圧の電気機械への伝送は、典型的には、少なくとも部分的にハウジングの外を走る配線レールを介して行われ得る。
【0003】
駆動装置から放出される電磁放射線をできるだけ少なく保つことが、例えば駆動装置の周囲にある電子機器を保護するために望ましい。
電気モータから出る電磁放射線を減らすため、WO2009/130249A1には、変速機および電気モータを、部分ハウジングから構成された1つのハウジング内に収めること、および電気モータのブラシ要素を追加的に金属のカバーによってシールドすることが記載されている。WO2018/197473A1は、極ハウジング内に配置された電気モータと、極ハウジングと結合されたプラスチック製の電子機器ハウジングとを備えた車両における可動部分を変位するためのアクチュエータを説明しており、この電子機器ハウジングは、金属材料から成る蓋と、蓋を極ハウジングと導電性に結合する接触要素とを有する。DE102012222683A1には、金属製のハウジングポット、金属製のハウジング蓋、およびハウジングポットとハウジング蓋の間に配置されたプラスチック製のプラグ部品を有する1つのハウジングを有する電気モータが記載されており、ハウジングポットとハウジング蓋を機械的および電気的に結合する挟持具が設けられている。さらにDE102016203553A1は、電気シールドを有するハウジングを備えたバッテリーアセンブリを説明している。
【発明の概要】
【0004】
本発明により、請求項1に基づく特徴を有する駆動装置および請求項10に基づく特徴を有する車両が提供される。
本発明の第1の態様に基づき、車両用の、例えば乗用車、トラック、バス、オートバイ、またはその類似物のような路上走行車用の駆動装置が提供される。
【0005】
この駆動装置は、変換器ハウジングおよび変換器ハウジング内に配置された電気変換回路、例えばインバータ回路または整流回路を備えた変換器と、変換器ハウジングに隣接して配置されている機械ハウジングおよび機械ハウジング内に配置されたステータ・ロータ構成を備えた電気機械とを含む。機械ハウジングと変換器ハウジングは、任意選択で機械的に結合しており、例えば相互にネジ固定されている。したがって、変換器ハウジングの1つのハウジング壁と、機械ハウジングの1つのハウジング壁とは、相並んで配置されており、例えば平行にまたは互いに沿って延び得、この場合、これらのハウジング壁の間にハウジング間隙が形成されている。
【0006】
さらに、変換回路とステータ・ロータ構成を電気的に結合する複数の配線レールが設けられており、これらの配線レールは、変換器ハウジングに形成された第1の貫通口を通って、および機械ハウジングに形成された第2の貫通口を通って延びる。例えば、導電材料から、例えばアルミニウムまたは銅から形成された2つ、3つ、またはそれ以上の配線レールまたは送電レールが設けられ得る。配線レールは、相並んだハウジング壁に形成された貫通口を通り抜けて突き出ており、かつハウジング間隙を通って延びる。
【0007】
この駆動装置はさらに、変換器ハウジングと機械ハウジングの間に配置された、導電材料から成るシールドフレームを有し、シールドフレームは、複数の配線レールを包囲し、かつ変換器ハウジングおよび機械ハウジングに当接する。シールドフレームは、フレーム開口部を規定する閉じたフレームであり、このフレーム開口部を通り抜けて送電レールまたは配線レールが突き出る。シールドフレームは、それぞれ同様に導電材料から形成されていてもよい機械ハウジングとも変換器ハウジングとも機械的に接触している。これにより、配線レールの周りに一種のファラデーケージが形成される。したがって、配線レールによって放出される電磁波は、シールドフレームによって分散することができ、またはシールドフレーム内で逆方向の電界を誘導し、それによりこの逆方向の電界が、放出された電磁波を少なくとも部分的に打ち消す。よって出てくる電磁放射線に対し、駆動装置のシールドの改善が達成されることが有利である。
【0008】
前述の構造のさらなる利点は、例えばシールドフレームが変換器ハウジングと機械ハウジングの間のハウジング間隙内で挟み込まれることにより、シールドフレームが容易に据え付け可能なことである。さらに、シールドフレームの交換が非常に容易に可能である。
【0009】
本発明のさらなる態様に基づき、本発明の第1の態様に基づく駆動装置を備えた車両が企図されている。この車両は、とりわけ乗用車、トラック、バス、オートバイ、またはその類似物のような路上走行車であり得る。任意選択で、駆動装置はこれに加え、電気機械のステータ・ロータユニットの従動シャフトに連結されている変速機を有し得る。
【0010】
幾つもの実施形態に基づき、シールドフレームは金属材料から形成されていることが企図されていてもよい。シールドフレームは、例えば銅、アルミニウム、または鋼板から形成されていてもよい。
【0011】
幾つもの実施形態に基づき、シールドフレームは、平らなベース部分およびベース部分から飛び出ている多くの弾性要素を有することが企図されていてもよい。ベース部分は、シールドフレームの外周およびフレーム開口部を規定し、例えば、一平面を規定する円形または長方形の部品として実現されていてもよい。ベース部分から弾性部分が飛び出ており、これらの弾性部分は、ベース部分によって規定されたフレーム平面から突き出、かつシールドフレームの外周に沿って分散して配置されている。これらの弾性部分または弾性要素は、とりわけベース部分と一体的に形成されていてもよい。弾性部分は、例えば曲げによって製造され得る。弾性部分は、変換器ハウジングおよび/または機械ハウジングに当接しており、かつ変換器ハウジングおよび機械ハウジングによって変形されているかまたはベース部分の方向に押されている。これにより、ハウジングとシールドフレームの間の電気的および機械的な接触が、さらに改善されて達成される。とりわけ、変換器ハウジングと機械ハウジングの間に生じるハウジング間隙の間隙幅を不揃いにし得るハウジングの公差が、より良く補われ得る。
【0012】
幾つもの実施形態に基づき、弾性要素の少なくとも1つは、ベース部分によって規定されたシールドフレームの外周に沿って延びるアームとして形成されていることが企図されていてもよい。基本的には、すべての弾性要素がアームとして形成されていてもよい。これにより、それぞれのアームは、シールドフレームの外周に沿って延びており、かつフレーム平面から飛び出ているかまたはベース部分に対して相対的に角度をつけて延びている。例えば、アームがすべて、フレーム平面の同じ側でベース部分から飛び出していてよく、またはアームの幾つかがフレーム平面の第1の側で、および幾つかのアームがフレーム平面の第2の側でベース部分から飛び出していてよい。アームは、シールドフレームと変換器ハウジングと機械ハウジングとの間の確実な接触を改善するバネとして作用する。
【0013】
幾つもの実施形態に基づき、アームは、ベース部分から逸れて位置し、湾曲して延びている端部領域を有することが企図されていてもよい。したがって、それぞれのアームの端部は、ベース部分の方向に折れ曲がっていてもよい。これにより、それぞれのアームとそれぞれのハウジングの間のより良く規定された接触が達成される。
【0014】
幾つもの実施形態に基づき、弾性要素の少なくとも1つは、ベース部分によって規定されたフレーム開口部内に突き出る成形部材として形成されていることが企図されていてもよい。この成形部材もバネとして作用し、これにより、シールドフレームとそれぞれのハウジングの間のさらに確実な接触に寄与する。基本的には、1つのベース部分に、弾性要素として成形部材もアームもまたはアームだけもしくは成形部材だけが設けられていることが考えられる。
【0015】
幾つもの実施形態に基づき、成形部材は段状に形成されていることが企図されていてもよい。例えば、第1の段部分は、ベース部分からフレーム開口部内に突き出ることができ、第1の段部分と結合した第2の段部分は、第1の段部分に対して横に、したがってフレーム平面に対して横に延びてもよく、かつ第3の段部分は、第2の段部分と結合されていてもよく、かつ第2の段部分に対して横にまたはフレーム平面に平行に、フレーム開口部内にさらに延びてもよい。これにより、相対的に変形し難い弾性要素が提供される。それにより、それぞれのハウジングとシールドフレームの間の電気的および機械的な接触がさらに確実に達成され得る。
【0016】
幾つもの実施形態に基づき、シールドフレームは、フレーム平面に対して互い違いに湾曲して延びている弾性変形可能な波部分を有し、フレーム平面の第1の側に位置する波部分が変換器ハウジングに、およびフレーム平面の第2の側に位置する波部分が機械ハウジングに当接することが企図されていてもよい。とりわけ、このシールドフレームは実質的に正弦波状の軌道を有し得る。したがって、湾曲して延びている個々の部分は、それぞれフレーム平面の異なる側に飛び出ており、かつそれぞれ変換器ハウジングまたは機械ハウジングに当接する。シールドフレームのこの波状の造形の利点は、とりわけ、単純で一体的な構造および簡単で安価に製造可能なことである。
【0017】
幾つもの実施形態に基づき、フレーム平面に対して互いに逆に位置する波部分の極値点に、変換器ハウジングまたは機械ハウジングに当接する突出部が形成されていることが企図されていてもよい。この突出部は、例えばほぼ球形の材料塊によって形成されていてもよい。これにより、それぞれのハウジングとシールドフレームの間のより良く規定された接触が達成される。
【0018】
ここでは、方向表現および軸、とりわけ物理的な構造の軌道に関する方向表現および軸に関し、1つの軸、1つの方向、または1つの構造の、別の1つの軸、方向、または構造「に沿った」軌道とは、これらの軸、方向、または構造、とりわけこれらの構造のそれぞれの箇所で生じる接線が、それぞれ45度以下、好ましくは30度未満の角度で、とりわけ好ましくは互いに平行に走っているということが理解される。
【0019】
ここでは、方向表現および軸、とりわけ物理的な構造の軌道に関する方向表現および軸に関し、1つの軸、1つの方向、または1つの構造の、別の1つの軸、方向、または構造「に対して横に」軌道とは、これらの軸、方向、または構造、とりわけこれらの構造のそれぞれの箇所で生じる接線が、それぞれ45度以上、好ましくは60度以上の角度で、とりわけ好ましくは互いに垂直に走っているということが理解される。
【0020】
以下に、図面の図を参照しながら本発明が解説される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の1つの例示的実施形態に基づく車両の概略的なブロック図である。
【
図2】本発明の1つの例示的実施形態に基づく駆動装置の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の1つの例示的実施形態に基づく駆動装置のシールドフレームの透視図である。
【
図4】本発明の1つのさらなる例示的実施形態に基づく駆動装置のシールドフレームの中断された透視図である。
【
図5】本発明の1つのさらなる例示的実施形態に基づく駆動装置のシールドフレームの中断された透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
相反することが何も記載されていなければ、図において同じ符号は、同じまたは同じ機能のコンポーネントを意味している。
図1は、車両100の概略的なブロック図を示す。
図1に例示的に示されているように、車両100は、駆動装置1と、例えばバッテリーの形態での電気エネルギー源105と、運動学的に駆動装置1に連結された1つまたは複数の車輪110とを有し得る。
【0023】
図1で概略的に示されるように、駆動装置1は、変換器2と、電気機械3と、任意選択の変速機7とを有し得る。変換器2は、エネルギー源105と電気的に結合されており、かつ電気エネルギー源105によって提供される電圧、例えば直流電圧を、動作電圧、例えば交流電圧に変換するために適応されている。したがって変換器2は、とりわけインバータ回路を有し得る。
【0024】
電気機械3は、とりわけ、モータとしておよび任意選択で発電機としても動作され得る三相交流機であり得る。電気機械3は、変換器2と電気的に結合されており、かつ変換器2によって提供される電圧によって動作され得る。
【0025】
任意選択の変速機7は、電気機械3の出力シャフト(
図1では示されていない)と運動学的に結合されており、かつ電気機械3の出力シャフトによって伝達されるトルクを動作トルクに変速するために適応されている。車両100の車輪110は、変速機7に運動学的に連結されており、したがって電気機械3によって駆動可能である。
【0026】
図2は、
図1に例示的に示した車両100内に取り付けられてもよい駆動装置1を例示的に示す。駆動装置1は、これが
図2に例示的に示されているように、変換器2と、電気機械3と、シールドフレーム5とを有し得る。もちろん駆動装置1は、
図2には示されていない任意選択の変速機7も有し得る。
【0027】
図2で概略的に示されているように、変換器2は、変換器ハウジング20および変換器ハウジング20内に配置された電気変換回路21を有し得る。変換器ハウジング20は、閉じた内部空間を規定している。例えば、変換器ハウジング20は、共同で内部空間の範囲を画定している複数の壁20A、20B、20C、20D、20Eを有し得る。
図2では変換器ハウジング20が、純粋に例示的に直方体形のハウジングとして示されている。もちろん別の形状、例えば円筒形またはポット形も考えられる。変換器ハウジング20の1つの端面壁20Cには、または一般的には1つの壁には、複数の第1の貫通口22、23、24が形成されていてもよい。
図2では、純粋に例示的に3つの第1の貫通口22、23、24が設けられており、第1の貫通口22、23、24は端面壁20C内で相並んで形成されている。変換器ハウジング20は、導電材料から、とりわけ金属材料、例えばアルミニウム合金、鋳鋼、またはその類似物から形成されていてもよい。
【0028】
電気変換回路21は、
図2では単に象徴的にブロックとして示されており、例えば直流電圧を交流電圧に変換可能なインバータ回路として形成されていてもよい。
図2では、出力インターフェイス21A、21B、21Cが純粋に例示的におよび概略的に示されており、この出力インターフェイス21A、21B、21Cにおいて、変換回路21が、電気機械3のための出力電圧または動作電圧を提供する。変換回路21は、変換器ハウジング20によって規定された内部空間内に配置されている。
【0029】
図2にさらに示されているように、電気機械3は、機械ハウジング30および機械ハウジング30内に配置されているステータ・ロータ構成31を有する。
図2に例示的に示されているように、機械ハウジング30は、周面壁30Aおよび対置された端面壁30B、30Cをもつ円筒形の断面形状を有し得る。一般的には、機械ハウジング30が内部空間を規定し、この内部空間内にステータ・ロータ構成31が配置されている。機械ハウジング30のハウジング壁に、例えば端面壁30B、30Cの一方に、第1の貫通口22、23、24の数に相応する数の第2の貫通口32、33、34が形成されている。さらに、対置された端面壁30Bには、ロータシャフト口35が形成されていてもよい。機械ハウジング30は、導電材料から、とりわけ金属材料、例えばアルミニウム合金、鋳鋼、またはその類似物から形成されていてもよい。
【0030】
ステータ・ロータ構成31は、
図2では概略的にのみ示されており、とりわけステータ36およびステータ36に対して相対的に回転可能なロータ37を有し得る。例えば、これが
図2で例示的に示されているように、ロータ37はステータ36内で回転可能であり得る。ロータシャフト38は、ロータ37と相対回転不能に結合されていてもよく、かつロータシャフト口35を通り抜けて突き出ることができる。任意選択の変速機(
図2では示されていない)はロータシャフト38と結合されていてもよい。
【0031】
図2に概略的に示されているように、機械ハウジング30および変換器ハウジング20は互いに隣接して配置されており、これに関しては、変換器ハウジング20のうち第1の貫通口22、23、24が形成されている端面壁20Cが、機械ハウジング30のうち第2の貫通口32、33、34が形成されている端面壁30Cに面している。
図2に概略的に示されているように、機械ハウジング30の端面壁30Cと変換器ハウジング20の端面壁20Cの間には間隙4が形成されていてもよい。任意選択で、これが
図2で象徴的に示されているように、変換器ハウジング20と機械ハウジング30は機械的に相互に結合されており、例えば相互にネジ固定されている。
【0032】
ステータ・ロータ構成31は、変換回路21と電気的に結合されている。とりわけ、変換器ハウジング20の内部空間から第1の貫通口22、23、24を通り抜け、間隙4を越えて第2の貫通口32、33、34を通り抜けて機械ハウジング30の内部空間へと延びる配線レールまたは送電レール41、42、43が設けられていてもよい。配線レール41、42、43は、これが
図2で概略的に示されているように、それぞれ、変換回路21の出力インターフェイス21A、21B、21Cおよびステータ・ロータ構成31の入力インターフェイス31A、31B、31Cと電気的に結合されていてもよい。
【0033】
図2に同様に概略的に示されているように、変換器ハウジング20と機械ハウジング30の間にはシールドフレーム5が配置されている。したがってシールドフレーム5は、機械ハウジング30の端面壁30Cと変換器ハウジング20の端面壁20Cの間の間隙4内に配置されており、かつこれらの壁20C、30Cに当接する。とりわけ、シールドフレーム5は機械ハウジング30と変換器ハウジング20の間に挟み込まれていてもよい。シールドフレーム5は、閉じたフレームとして形成されており、かつ配線レール41、42、43を包囲する。したがってシールドフレーム5はフレーム開口部52を規定し、これが
図2に象徴的に示されているように、このフレーム開口部52を通り抜けて配線レール41、42、43が延びる。シールドフレーム5は、導電材料、例えば、アルミ板、銅板、鋼板、またはその類似物のような金属材料から形成されている。したがってシールドフレーム5は、配線レール41、42、43からの電磁放射線の放出を妨害する一種のファラデーケージを形成する。
【0034】
図3~
図5では、シールドフレーム5の様々な可能な造形が示されている。
図3では、フレーム開口部52を規定するベース部分50と、アーム54の形態での多くの弾性要素51とを有するシールドフレーム5が例示的に示されている。
【0035】
図3に例示的に示されているように、ベース部分50は実質的に長方形の外周を有し得る。その代わりにベース部分は円形もしくは三角形の外周または別の閉じた外周も有し得る。とりわけ、ベース部分50は一平面を規定し得る。ベース部分50は、例えば、平らな板金から外周およびフレーム開口部52を打ち抜くことで製造され得る。
【0036】
図3ではアーム54として実現されている弾性要素51は、ベース部分50の外周に沿って分散して配置されており、かつベース部分50から飛び出ている。
図3では、例示的にすべてのアーム54がベース部分50の同じ側でベース部分50から飛び出ていることが示されている。ベース部分50の両方の側でアーム54が飛び出ていることも考えられる。各アーム54は、これが
図3に例示的に示されているように、ベース部分50の外周に沿って、とりわけフレーム開口部52の外で延び得る。例えば、アーム54はベース部分50と一体的に、例えば折り曲げられた部分として形成されていてもよい。
図3でさらに例示的に示しているように、アーム54はそれぞれ任意選択で、ベース部分50から逸れている端部領域54Bを有することができ、端部領域54Bは、湾曲して延びており、例えばベース部分50の方向に折れ曲がっていることが企図されていてもよい。アーム54は、ベース部分50に対して相対的に弾性変形可能であり、したがって、シールドフレーム5がハウジング20、30の間に配置されている場合、アーム54は、変換器ハウジング20の端面壁20Cに、または機械ハウジング30の端面壁30Cに当接し、かつベース部分50の方向に曲がっている。
【0037】
図4では、同様に平らなベース部分50およびベース部分50から飛び出る多くの弾性要素51を有するシールドフレーム5が概略的に示されている。
図4に例示的に示されたシールドフレーム5の場合、弾性要素51は、ベース部分50によって規定されたフレーム開口部52内に突き出た成形部材56として形成されている。成形部材56は、例えば、これが
図4で概略的に示されているように、段状またはZ字形に形成されていてもよい。各成形部材56は、例えば、これが
図4で概略的に示されているように、ベース部分50からフレーム開口部52内に突き出る第1の段部分56Aと、第1の段部分56Aと結合されており、第1の段部分56Aに対して横に、またはフレーム平面に対して横に延びる第2の段部分56Bと、第2の段部分56Bと結合されており、かつ第2の段部分56Bに対して横に、またはフレーム平面に平行に、フレーム開口部52内へとさらに延びる第3の段部分56Cとを有し得る。
【0038】
図3では、純粋に例示的に、シールドフレーム5のすべての弾性要素51がアーム54として形成されていることが示されている。
図4でも例示的にシールドフレーム5のすべての弾性要素51が成形部材56として形成されていることが示されている。1つのシールドフレーム5が、アーム54として形成された弾性要素51も、成形部材56として形成された弾性要素51も有することも考えられる。
【0039】
図5では、波状の軌道を有するシールドフレーム5が例示的におよび概略的に示されている。シールドフレーム5は、例えば、実質的に正弦波状に延び得る。とりわけ、シールドフレーム5は、フレームの周方向に互いに繋がれた多くの波部分58を有することができ、これらの波部分58は、フレーム平面Eに対して互い違いに湾曲して延び、かつ弾性変形可能である。とりわけ、これらの波部分58は、中心平面であるフレーム平面Eの第1および第2の側に交互に配置されている。例えば、フレーム平面Eの第1の側にある波部分58Aは第1の湾曲を、およびフレーム平面Eの第2の側にある波部分58Bは逆の第2の湾曲を有し得る。シールドフレーム5が変換器ハウジング20と機械ハウジング30の間に配置されている場合、フレーム平面Eの第1の側にある波部分58Aは変換器ハウジング20に、およびフレーム平面Eの第2の側にある波部分58Bは機械ハウジング30に当接する。
【0040】
図5にさらに例示的に示されているように、フレーム平面Eに対して互いに逆に位置する波部分58の極値点に、任意選択の例えば球形の突出部59が形成されていてもよく、これらの突出部59が変換器ハウジング20または機械ハウジング30に当接する。極値点は、フレーム平面E上に垂直に立っている方向に関し、フレーム平面Eに対する最大間隔を有する。
【0041】
本発明を上で例示的実施形態に基づいて具体的に解説してきたが、本発明はそれらに限定されるのではなく、多種多様に改変可能である。とりわけ、前出の例示的実施形態の組合せも考えられる。