(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電池パック及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/267 20210101AFI20240528BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20240528BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240528BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240528BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H01M50/267
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/485
H01M50/204 401Z
H01M10/052
H01M10/42 Z
(21)【出願番号】P 2022568960
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2021126372
(87)【国際公開番号】W WO2023070307
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2022-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】許 宝云
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 少聰
(72)【発明者】
【氏名】付 成華
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212625786(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0194079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20- 50/298
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックケースと、前記電池パックケースに収容される電池セルとを含む電池パックであって、
前記電池パックケースの内部空間は、第1の領域と第2の領域で構成され、前記第1の領域に第1の電池セルが配置され、前記第2の領域に第2の電池セルが配置され、前記第2の電池セルは、前記第1の電池セルの周囲を囲んで配列し、
前記第1の電池セルと前記第2の電池セルは、それぞれ第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、前記第1の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧は、前記第2の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧よりも高く、
前記第1の電池セルと前記第2の電池セルのそれぞれにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第2の電池セルの前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、前記第1の電池セルの前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大き
く、
前記第1の電池セルと前記第2の電池セルのそれぞれの正極活物質は、前記第1の放電電圧プラットフォームを有する第1の正極活物質と前記第2の放電電圧プラットフォームを有する第2の正極活物質とが混合されてなるものであり、
前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、
又は、前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムであり、
又は、前記第1の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムであり、
前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がリン酸鉄リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)であり、
前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-13)であり、
前記第1の正極活物質がリン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)である、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記第1の、第2の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と前記第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、0.25-0.6Vである、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、91.8%-99%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、1%-8.2%を占める、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第2の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、52.5%-96.8%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、3.2%-47.5%を占める、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第1の正極活物質の種類が同じであり、且つ前記第2の正極活物質の種類が同じである場合、前記第1の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、第1の電池セル、第2の電池セルの順にデクリメントし、前記第2の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、第1の電池セル、第2の電池セルの順にインクリメントする、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1の電池セルにおいて、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、92.5%~97.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、2.5%~7.5%を占める、ことを特徴とする請求項
1~
5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第2の電池セルにおいて、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、50%~92.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、7.5%~50%を占める、ことを特徴とする請求項
1~
6のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項8】
0℃以下の温度で、前記第1の電池セルの放電カットオフ電圧は、前記第2の電池セルの放電カットオフ電圧よりも0~0.3V高く、前記第2の電池セルの放電カットオフ電圧は、1.6V以上である、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記第1の電池セルの数:前記第2の電池セルの数=(3~8):(18~28)である、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項10】
異なる電池セルの隙間にコンデンサが設けられる、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項11】
電力消費装置であって、請求項1~1
0のいずれか1項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウムイオン電池分野に関し、特に低温でのエネルギ保持率が高い電池パックと、この電池パックを含む電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池技術の絶えない発展に伴って、リチウムイオン電池は、水力、火力、風力と太陽光発電所等のエネルギ貯蔵電源システム、及び電動ツール、電動自転車、電動オートバイク、電気自動車、軍事装備、航空宇宙等の複数の分野に広く応用されている。上記分野において、リチウムイオン二次電池セルの容量は、使用ニーズを満たすことができない場合があり、このとき、複数のリチウムイオン二次電池セルを直列又は並列に接続して電池パックを構成する必要がある。電池パックに使用されるリチウムイオン二次電池セルは、主にニッケルコバルトマンガン酸リチウム電池又はニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム電池等の三元電池、リン酸鉄リチウム電池、マンガン酸リチウム電池、コバルト酸リチウム電池、チタン酸リチウム電池、二酸化マンガン電池等を有する。
【0003】
しかし、リチウムイオン二次電池セルで構成される電池パックは、冬季のような低温環境で使用する時、エネルギ保持率が大幅を低減し、すなわち、低温での航続能力が著しく低下し、どのように電池パック全体の低温での航続能力を向上させるかは、早急な解決が待たれている肝心な問題となる。そのため、リチウムイオン二次電池セルで構成される既存の電池パックの低温でのエネルギ保持率を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、上記技術課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温でのエネルギ保持率に優れ、低温での航続能力が向上するリチウムイオン二次電池で構成される電池パックとこの電池パックを含む電力消費装置を提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本出願の第1の態様は、電池パックを提供し、それは、電池パックケースと、前記電池パックケースに収容される電池セルとを含み、前記電池パックケースの内部空間は、第1の領域と第2の領域で構成され、前記第1の領域に第1の電池セルが配置され、前記第2の領域に第2の電池セルが配置され、前記第2の電池セルは、前記第1の電池セルの周囲を囲んで配列し、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルは、それぞれ第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、前記第1の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧は、前記第2の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧よりも高く、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルのそれぞれにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第2の電池セルの前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、前記第1の電池セルの前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きい。
【0006】
これによって、本出願は、電池パック内の温度分布に従って、低温での放電能力が異なる電池セルを設定することにより、電池パック全体の低温でのエネルギ保持率を改善する。具体的には、電池パックケースの内部空間の温度が異なる領域に、二重放電電圧プラットフォーム(放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームと放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォーム)を有する低温エネルギ保持率が異なる電池セルをそれぞれ配置し、且つ温度が低い領域ほど、低温エネルギ保持率が高い電池セルを配置する。電池パックケースの内部空間における温度が比較的に高い領域に低温性能が比較的に低い(低温エネルギ保持率が比較的に小さい)電池セルを配置することによって、電池パックケースの内部空間における温度が比較的に低い領域に低温性能が比較的に高い(低温エネルギ保持率が比較的に大きい)電池セルを配置することによって、電池パックの異なる温度の各領域における電池セルの循環一致性をより高くし、電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることにより、電池パック全体の低温航続能力を向上させることができる。
【0007】
本出願に記載の電池パックの形状は、任意であり、顧客の要求に応じて設計された任意の形状であってもよい。
【0008】
任意の実施形態では、前記第1の、第2の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と前記第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、0.25-0.6Vである。
【0009】
これによって、放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームを利用して放電を行った後、放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行うことができ、各電池セルが低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、電池パック全体的の低温でのエネルギ保持率を向上させる。
【0010】
好ましい実施形態では、前記第1の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、91.8%~99%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、1%~8.2%を占める。
【0011】
これによって、第1の電池セルにおける第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第1の電池セルが低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0012】
好ましい実施形態では、前記第2の電池セルにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、52.5%~96.8%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、3.2%~47.5%を占める。
【0013】
これによって、第2の電池セルにおける第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第2の電池セルが低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、さらに電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0014】
好ましい実施形態では、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルのそれぞれの正極活物質は、前記第1の放電電圧プラットフォームを有する第1の正極活物質と前記第2の放電電圧プラットフォームを有する第2の正極活物質とが混合されてなるものである。
【0015】
これによって、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれは、放電電圧が異なる第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームを利用して放電を行った後、放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行うことができ、それにより、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0016】
好ましい実施形態では、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質は、それぞれ独立して、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウムと二酸化マンガンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0017】
これによって、第1の正極活物質により生成された第1の放電電圧プラットフォームと第2の正極活物質により生成された第2の放電電圧プラットフォームとの放電電圧と放電容量割合が上記関係を満たす限り、第1の正極活物質と第2の正極活物質は、既存の様々な正極活物質から選択することができ、それにより、既存の正極活物質を利用して本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0018】
好ましい実施形態では、前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、又は、前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムであり、又は、前記第1の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムである。
【0019】
電圧プラットフォームと比エネルギの大きさは、基本的に以下の順序に従う: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム>リン酸鉄リチウム>マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。そのため、それに応じて、エネルギ密度の順序は、以下の通りである: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム>ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム>リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。それに応じて、同じ体積のモジュール又は電池パックにおいて、上記三つの体系の航続距離の順序は、以下の通りである: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム>ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム>リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。そのため、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム体系は、航続距離が比較的に高く、又は出力パワー要求が比較的に大きいシーンにより適用され、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムは、中程度の航続距離又は出力電力が適当なシーンに適用され、リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム体系は、低速スクーター等の出力パワー要求が大きくないシーンにより適用される。
【0020】
好ましい実施形態では、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第1の正極活物質の種類が同じであり、且つ前記第2の正極活物質の種類が同じである場合、前記第1の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、前記第1の電池セル、前記第2の電池セルの順にデクリメントし、前記第2の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、前記第1の電池セル、前記第2の電池セルの順にインクリメントする。
【0021】
放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォームを生成するための第2の正極活物質の質量割合が大きいほど、第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合が大きいほど、電池セルの低温エネルギ保持率が高く、第2の領域に配置される第2の電池セルの第2の正極活物質の質量割合>第1の領域に配置される第1の電池セルの第2の正極活物質の質量割合にすることによって、第2の電池セルの低温エネルギ保持率>第1の電池セルの低温エネルギ保持率にすることができ、第1の電池セルと第2の電池セルが低温で放出するエネルギをほぼ一致させることができ、それにより、電池パック全体の低温でのエネルギ保持率を向上させることができる。
【0022】
好ましい実施形態では、前記第1の電池セルにおいて、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、92.5%~97.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、2.5%~7.5%を占める。
【0023】
これによって、第1の電池セルにおける第1の正極活物質と第2の正極活物質の質量割合を上記範囲内にすることによって、第1の電池セルにおける第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第1の電池セルが低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0024】
好ましい実施形態では、前記第2の電池セルにおいて、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、50%~92.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、7.5%~50%を占める。
【0025】
これによって、第2の電池セルにおける第1の正極活物質と第2の正極活物質の質量割合を上記範囲内にすることによって、第2の電池セルにおける第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第2の電池セルが低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、さらに電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がリン酸鉄リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)であり、前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-13)であり、前記第1の正極活物質がリン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルにおける前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)である。
【0027】
これによって、第1の電池セルと第2の電池セルにおいて特定の第1の正極活物質と特定の第2の正極活物質を特定の質量比で使用することによって、異なるシーンに適用する本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0028】
好ましい実施形態では、0℃以下の温度で、前記第1の電池セルの放電カットオフ電圧は、前記第2の電池セルの放電カットオフ電圧よりも0~0.3V高く、前記第2の電池セルの放電カットオフ電圧は、1.6V以上である。
【0029】
これによって、第1の電池セルと第2の電池セルの放電カットオフ電圧を上記のように設定することによって、第1の電池セルと第2の電池セルが低温で放出するエネルギをほぼ一致させることができ、それにより、電池パック全体の低温でのエネルギ保持率を向上させることができる。
【0030】
好ましい実施形態では、前記第1の電池セルの数:前記第2の電池セルの数=(3~8):(18~28)である。換言すれば、第1の電池セルの数と前記第2の電池セルの数との和が100%である場合、第1の電池セルの数の割合は、10~30%であり、第2の電池セルの数の割合は、70~90%である。
【0031】
これによって、一般的な電池パックの温度分布範囲に従って第1の電池セル、第2の電池セルの数を設定すれば、本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0032】
好ましい実施形態では、異なる電池セルの隙間にコンデンサが設けられる。
【0033】
これによって、電池セルの間の隙間を十分に利用して、電池パック全体の体積エネルギ密度を向上させることができる。
【0034】
本出願の第2の態様は、電力消費装置を提供し、それは、本出願の第1の態様の電池パックを含む。
【0035】
これによって、本出願の第2の態様の電力消費装置は、低温での航続能力が高く、低温でも長時間正常に使用することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明を採用して、電池パックケース内部の温度が異なる領域に、二重放電電圧プラットフォームを有する低温エネルギ保持率が異なる電池セルを配置することによって、温度が異なる領域の電池セルが低温で放出するエネルギをほぼ一致させることができ、全体として低温でのエネルギ保持率を向上させことができる電池パックとこの電池パックを含む電力消費装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本出願の一実施形態の電池パックの構造概略図である。
【
図2】
図1に示される本出願の一実施形態の電池パックのケースを除去した後の構造アセンブリの平面図である。
【
図3】本出願の一実施形態の電池パック内の第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有する電池セルの定電流放電を示すグラフである。
【
図4】本出願の一実施形態の電池パックを電源として使用する電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、添付図面を適宜参照しながら、本出願の電池パックと電力消費装置を具体的に開示した実施形態について詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0039】
本出願に開示される「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定範囲は、特定の範囲の境界を限定する1つの下限と1つの上限を選定することによって限定される。このように限定される範囲は、端値を含んでもよく含まなくてもよく、任意に組み合わせてもよく、即ち、任意の下限と任意の上限とを組み合わせて1つの範囲を形成してもよい。例えば、特定のパラメータに対して60~120と80~110の範囲がリストアップされた場合、60~110と80~120の範囲として理解されることも想定できることである。なお、リストアップされた最小範囲値が1と2で、かつリストアップされた最大範囲値が3、4と5である場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5の範囲の全ては想定できるものである。本出願において、別段の記載がない限り、数値範囲「a~b」は、aないしbの間の全ての実数の組み合わせを表す短縮表現であり、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書で「0~5」の間の全ての実数がリストアップされていることを意味し、「0~5」はこれら数値の組み合わせの省略表示にすぎない。また、あるパラメータ≧2の整数であると記述している場合、このパラメータは例えば、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0040】
特に説明されていない限り、本出願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0041】
特に説明されていない限り、本出願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0042】
特に説明されていない限り、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上で言及した前記方法がステップ(c)をさらに含んでもよいことは、ステップ(c)が任意の順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0043】
特に説明されていない限り、本出願で言及した「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0044】
特に説明されていない限り、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という語句は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、以下のいずれか一つの条件は、いずれも「A又はB」という条件を満たす。Aが真であり(又は存在し)且つBが偽であり(又は存在せず)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真であり(又は存在し)、又はAとBがいずれも真である(又は存在する)。
【0045】
本発明者は、リチウムイオン二次電池セルで構成される電池パックを、冬季に使用する時、電池パックの異なる位置での電池セルの放熱能力と保温効果とが異なるため、異なる位置での電池セルの充放電性能が一致しないことに着目した。具体的には、低温環境で使用する時、電池パックの内側に位置する電池セルの温度が比較的に高く、低温での放電性能が比較的に高く、電池パックの外側に位置する電池セルの温度が比較的に低く、低温での放電性能が比較的に低い。電池パックの異なる部位の電池セルの低温での放電能力の差は、電池パック全体の低温でのエネルギ保持率を大幅に低減させる。
【0046】
そこで、本発明者は、電池パックにおいて温度が比較的に低い領域に低温放電性能により優れた電池セルを配置することによって、電池パックの異なる位置で電池セルが低温環境で放出するエネルギをほぼ一致させることにより、電池パック全体の低温環境でのエネルギ発揮を向上させ、さらにこの電池パックを電源として使用する電力消費装置の低温環境での航続距離を向上させることができると考えた。
【0047】
上記目的を達成するために、本発明者は、検討を重ねた結果、温度が比較的に低い領域に配置される電池セルに2つの放電電圧プラットフォームを設けることによって、放電電圧が比較的に高い放電電圧プラットフォームの放電が終了した後、放電電圧が比較的に低い放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行い、これらの電池セルの放電量を向上させることができ、それにより、これらの電池セルの低温での放電性能により優れるものとした。
【0048】
そして、放電電圧が比較的に低い放電電圧プラットフォームの正極活物質の質量が、放電電圧が比較的に高い、放電電圧が比較的に低い2つの放電電圧プラットフォームの正極活物質の総質量に占める比率が50%を超えない場合、放電電圧が比較的に低い放電電圧プラットフォームに対応する放電容量が、高低2つの放電電圧プラットフォームに対応する総放電容量に占める比率が高いほど、電池セルの低温性能に優れる。温度が低い領域ほど、そのように、放電電圧が比較的に低い放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合が高い電池セルを使用する。これによって、温度の異なる各領域に配置される電池セルが低温で発揮するエネルギをほぼ一致させることができ、電池パック全体の低温でのエネルギ保持率を向上させることができる。それにより、この電池パックを電源として使用する電気自動車等の電力消費装置の低温での航続能力を向上させることができる。
【0049】
電池パック
以下では、本出願の電池パック1について具体的に説明する。
【0050】
図1は、本出願の一実施形態の電池パック1の構造概略図である。
図2は、
図1に示される電池パック1のケースを除去した後の構造アセンブリの平面図である。
【0051】
図1と
図2に示すように、本出願の電池パック1は、電池パックケースと、電池パックケースに設けられる複数の電池セル(61と62)とを含む。電池パックケースは、上ケース2と下ケース3とを含み、上ケース2は下ケース3を覆う蓋として設けることが可能であり、且つ複数の電池セルを収容するための閉空間(電池パックキャビティ)を形成する。
【0052】
図2に示すように、電池パックケースの内部空間は、ほぼ矩形形状をなしており、電池パックケースの内部空間は、第1の領域R1と第2の領域R2で構成され、ここで、第1の領域R1は、第1の境界線BL1によって囲まれたほぼ矩形の領域であり、電池パックケースの内部空間の矩形形状の中心部に位置し(例えば、第1の領域R1の矩形形状の長さと幅は、それぞれ電池パックケースの内部空間の矩形形状の長さと幅のほぼ2分の1であってもよい)、第2の領域R2は、第1の境界線BL1と第2の境界線BL2との間のほぼ環状の領域である。ここで、第1の境界線BL1と第2の境界線BL2は、第1の領域R1と第2の領域R2を明確に表すために描かれる仮想線である。
【0053】
さらに、前記第1の領域R1に第1の電池セル61が配置され、前記第2の領域R2に第2の電池セル62が配置される。前記第2の電池セル62は、前記第1の電池セル61の周囲を囲んで配列する。前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62は、それぞれ第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有する。前記第1の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧は、前記第2の放電電圧プラットフォームの平均放電電圧よりも高い。前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62のそれぞれにおいて、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第2の電池セル62の前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、前記第1の電池セル61の前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きい。同じ様な温度の外部環境に置かれる時、電池パック1内に、第2の領域R2の温度は、第1の領域R1の温度よりも低い。
【0054】
なお、「放電電圧プラットフォーム」は、放電曲線において放電電圧が比較的に穏やかな部分であり、放電電圧プラットフォームが放電を行う時、単位時間の放電量が比較的に多い。
図3に示される2つの電池セルの定電流放電グラフ: 実線で表された放電曲線は、1つの放電電圧プラットフォームのみを有し、A’点を通過した後、放電電圧が急激に低下し(シングルプラットフォーム電池セルに対応し)、破線で表された放電曲線は、2つの放電電圧プラットフォームを有し、A点を通過した後、放電電圧が急激に低下し、B点に低下した後にまた穏やかになり、放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行う(二重プラットフォーム電池セルに対応する)。
【0055】
図3の破線に示すように、1番目の電圧の瞬間降下が終了するB点の前は、第1の放電電圧プラットフォーム(すなわち高電圧放電プラットフォーム、すなわち本出願の第1の放電電圧プラットフォーム)であり、それは、データ値で高電圧正極活物質が放出した全てのエネルギと電流との比(均衡した値であり、B点の前の平均電圧と大まかに見なしてもよい)に等しく、1番目の電圧の瞬間降下が終了するB点の後は、第2の放電電圧プラットフォーム(すなわち低電圧放電プラットフォーム、すなわち本出願の第2の放電電圧プラットフォーム)となり、低電圧正極活物質が放出した全てのエネルギと電流との比(均衡した値であり、B点の後の平均電圧と大まかに見なしてもよい)として表れる。
【0056】
本出願において、電池パックケースの内部空間の温度が異なる領域に、二重放電電圧プラットフォーム(放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームと放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォーム)を有する低温エネルギ保持率が異なる電池セル61、62をそれぞれ配置し、且つ温度が低い領域に低温エネルギ保持率が高い電池セルを配置する。具体的には、通常の電池パック内部の温度分布に従って、第1の領域R1の温度>第2の領域R2の温度であり、本出願において、第2の電池セル62の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合>第1の電池セル61の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合である。
【0057】
なお、本出願の第1の/第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合の具体的な定義とテスト方法は、本明細書の「関連テスト」部分を参照する。
【0058】
電池パックにおいて異なる位置にある電池セルは、放熱能力が異なり、通常、外側にある電池セルほど、放熱能力が高く、すなわち放熱速度が速く、電池パックの外側から電池パックの内部へと、電池セルの放熱速度が徐々に低減し、逆に、電池パックの内部から電池パックの外側へと、電池セルの保温能力が徐々に低減する。電池パックの異なる領域の電池セルの温度が異なるため、その充放電性能は一致しない。例えば、低温外部環境で、内側の電池セルの放熱速度は比較的に遅く、温度は比較的に高く、低温外部環境での性能は比較的に高い(しかし高温性能は比較的に低い)が、外側の電池セルの放熱速度は比較的に速く、温度は比較的に低く、低温外部環境での性能は比較的に低い(しかし高温性能は比較的に高い)。これによって、このような電池パック内の異なる領域の電池セルの低温環境で現れる相互間の充放電性能の差異が大き過ぎる現象は、電池パック全体の低温環境でのエネルギ保持率を低減させる。
【0059】
上記問題を解決するために、本出願の発明者は、温度が異なる第1の領域R1と第2の領域R2にいずれも二重放電電圧プラットフォーム(すなわち、放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームと放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォーム)を有する第1の電池セル61と第2の電池セル62を設置することによって、第1の放電電圧プラットフォームの放電が終了した後、第2の放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行うことができる(すなわち同一の電池セルの段階的放電を実現する)。これによって各電池セルが低温環境で放出するエネルギを向上させることにより、電池パック全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0060】
そして、第1の電池セル61と第2の電池セル62の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合をさらに調節することによって、全体として低温エネルギ保持率がより高い電池パック1を得ることができ、且つこのような設置は、電池パックが冬季の低温条件での低温エネルギ保持率を著しく改善することができることを発見した。具体的には、第2の電池セル62における第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量の割合を第1の電池セル61の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量の割合よりも大きくすることによって、第1の電池セル61が放電を継続できない低温環境で、第2の電池セル62の放電を継続することができ、それによって電池パック全体の放電容量が比較的に高いレベルにあることを確保する。
【0061】
本発明者は、温度が異なる各領域R1、R2に設けられる二重放電電圧プラットフォームを有する第1の電池セル61と第2の電池セル62のそれぞれにおける第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合と電池パックの-20℃での総エネルギ保持率との間の関係をさらに深く検討した。その結果、第1の電池セル61と第2の電池セル62のそれぞれにおいて、第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、第2の電池セル62の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合>第1の電池セル61の第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合にすることによって、第2の電池セル62の低温エネルギ保持率>第1の電池セル61の低温エネルギ保持率にすることができ、電池パックの異なる温度の各領域R1、R2に配置される各電池セル61、62が低温で放出可能なエネルギ(低温での放電容量)をほぼ一致させることができ、それにより、電池パック1全体の低温エネルギ保持率(電池パックの-20℃での総エネルギ保持率)を向上させることができ、電池パック全体の低温での航続能力を向上させることができる。
【0062】
図2に示すように、複数の電池セルにおいてより外側に位置する電池セルは、電池パックケース(上ケース2、下ケース3)の内面に接触してもよく、電池パックケースの内面上に設けられる構造部材に接触してもよい。
図2に示される平面図において、最外側の電池セルと電池パックケースの内面との間に、ギャップg1、g2が任意選択的に形成され、これらのギャップg1、g2において、電池パックの様々な構造部材を設置することができる。異なる電池セルの間の隙間において、コンデンサC11、C12等を任意選択的に設置して、電池パック全体のエネルギ密度を向上させることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記第1の、第2の電池セル61、62において、前記第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と前記第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、0.25-0.6Vである。
【0064】
図3を参照すると、本出願に記載の「第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧」は、A点に対応する放電電圧を指し、「第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧」は、B点に対応する放電電圧を指す。
【0065】
これによって、2つの放電電圧プラットフォームが存在する電池セルに対して、前記第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と前記第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差が0.25Vよりも小さければ、第2の放電電圧プラットフォームに寄与する正極活物質の質量が多すぎ、第2の放電電圧プラットフォームに寄与する正極活物質によって出力されるエネルギが第1の放電電圧プラットフォームに寄与する正極活物質によって出力されるエネルギよりも小さいことに相当し、故に電池セル全体のエネルギ出力が低く、それにより電池パック全体のエネルギ出力が低く、逆に、前記第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と前記第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差が0.6Vよりも大きければ、第1の放電電圧プラットフォームに寄与する正極活物質の質量が多すぎる(第2の放電電圧プラットフォームに寄与する正極活物質の質量が少なすぎる)ことに相当し、比較的に低い外部温度環境において、第1の放電電圧プラットフォームが早すぎてエネルギを出力することができず、第2の放電電圧プラットフォームによって出力されるエネルギが限られ、さらに電池パック全体の低温エネルギ保持率が低いことを招く。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記第1の電池セル61において、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、91.8%~99%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、1%~8.2%を占める。
【0067】
これによって、第1の電池セル61における第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第1の電池セル61が低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、電池パック1全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、前記第2の電池セル62において、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量との和が100%である場合、前記第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、52.5%~96.8%を占め、前記第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量は、3.2%~47.5%を占める。
【0069】
これによって、第2の電池セル62における第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第2の電池セル62が低温で放出可能なエネルギを向上させることができ、それにより、さらに電池パック1全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62のそれぞれの正極活物質は、前記第1の放電電圧プラットフォームを有する第1の正極活物質と前記第2の放電電圧プラットフォームを有する第2の正極活物質とが混合されてなるものである。
【0071】
これによって、第1の電池セル61と第2の電池セル62のそれぞれは、放電電圧が異なる第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、放電電圧が比較的に高い第1の放電電圧プラットフォームを利用して放電を行った後、放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォームを引き続き利用して放電を行うことができ、それにより、第1の電池セル61と第2の電池セル62のそれぞれの低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質は、それぞれ独立して、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウムと二酸化マンガンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0073】
第1の正極活物質により生成された第1の放電電圧プラットフォームと第2の正極活物質により生成された第2の放電電圧プラットフォームの放電電圧と放電容量割合が上記関係を満たす限り、第1の正極活物質と第2の正極活物質は、既存の様々な正極活物質から選択することができ、それにより、既存の正極活物質を利用して本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、又は、前記第1の正極活物質は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムであり、又は、前記第1の正極活物質は、リン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質は、マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムである。
【0075】
電圧プラットフォームと比エネルギの大きさは、基本的に以下の順序に従う: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム>リン酸鉄リチウム>マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。そのため、それに応じて、エネルギ密度の順序は、以下の通りである: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム>ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム>リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。それに応じて、同じ体積のモジュール又は電池パックにおいて、上記三つの体系の航続距離の順序は、以下の通りである: ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム>ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム>リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム。そのため、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+リン酸鉄リチウム体系は、航続距離が比較的に高く、又は出力パワー要求が比較的に大きいシーンにより適用され、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウムは、中程度の航続距離又は出力電力が適当なシーンに適用され、リン酸鉄リチウム+マンガン酸リチウム又はチタン酸リチウム体系は、低速スクーター等の出力パワー要求が大きくないシーンにより適用される。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62における前記第1の正極活物質の種類が同じであり、且つ前記第2の正極活物質の種類が同じである場合、前記第1の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、前記第1の電池セル61、前記第2の電池セル62の順にデクリメントし、前記第2の正極活物質が正極活物質に占める質量割合は、前記第1の電池セル61、前記第2の電池セル62の順にインクリメントする。
【0077】
放電電圧が比較的に低い第2の放電電圧プラットフォームを生成するための第2の正極活物質の質量割合が大きいほど、第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合が大きいほど、電池セルの低温エネルギ保持率が高い。第2の領域R2に配置される第2の電池セル62の第2の正極活物質の質量割合>第1の領域R1に配置される第1の電池セル61の第2の正極活物質の質量割合の関係にすることによって、第2の電池セル62の低温エネルギ保持率>第1の電池セル61の低温エネルギ保持率の関係にすることができ、第1の電池セル61と第2の電池セル62が低温で放出するエネルギをほぼ一致させることができる。それにより、電池パック1全体の低温でのエネルギ保持率を向上させることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記第1の電池セル61において、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、92.5%~97.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、2.5%~7.5%を占める。
【0079】
これによって、第1の電池セル61における第1の正極活物質と第2の正極活物質の質量割合を上記範囲内にすることによって、第1の電池セル61における第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第1の電池セル61が低温で放出可能なエネルギを向上させることができる。それにより、電池パック1全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記第2の電池セル62において、前記第1の正極活物質と前記第2の正極活物質との総質量が100%である場合、前記第1の正極活物質の質量は、50%~92.5%を占め、前記第2の正極活物質の質量は、7.5%~50%を占める。
【0081】
これによって、第2の電池セル62における第1の正極活物質と第2の正極活物質の質量割合を上記範囲内にすることによって、第2の電池セル62における第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量のそれぞれの割合を上記範囲内にすることができ、第2の電池セル62が低温で放出可能なエネルギを向上させることができる。それにより、さらに電池パック1全体の低温エネルギ保持率を向上させることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がリン酸鉄リチウムである場合、前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62における前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)であり、前記第1の正極活物質がニッケルコバルトマンガン酸リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62における前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-13)であり、前記第1の正極活物質がリン酸鉄リチウムであり、前記第2の正極活物質がチタン酸リチウム又はマンガン酸リチウムである場合、前記第1の電池セル61と前記第2の電池セル62における前記第2の正極活物質の質量比は、1:(9-17)である。
【0083】
これによって、第1の電池セル61と第2の電池セル62において特定の第1の正極活物質と特定の第2の正極活物質を特定の質量比で使用することによって、異なるシーンに適用する本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、0℃以下の温度で、前記第1の電池セル61の放電カットオフ電圧は、前記第2の電池セル62の放電カットオフ電圧よりも0~0.3V高く、前記第2の電池セル62の放電カットオフ電圧は、1.6V以上である。
【0085】
これによって、第1の電池セル61と第2の電池セル62の放電カットオフ電圧を上記のように設定することによって、第1の電池セル61と第2の電池セル62が低温で放出するエネルギをほぼ一致させることができる。それにより、電池パック1全体の低温でのエネルギ保持率を向上させることができる。
【0086】
充電カットオフ電圧が高すぎて又は放電カットオフ電圧が低すぎる場合、電池セルの循環性能を損傷する。充電カットオフ電圧が高すぎる場合、電池セルが過充電になり、電池セルの電力量がいっぱいになった場合に充電を継続すれば正極材料の構造が変化し、容量損失を引き起こし、正極材料の分解により放出された酸素は、電解液と激しい化学反応を起こし、最悪の場合に、爆発に至る可能性がある。放電カットオフ電圧が低すぎる場合、電池セルが過放電になり、過放電により電池セルの内圧が上昇し、正負極活物質の可逆性が破壊され、充電しても部分的にしか回復できず、容量も明らかに減衰する。電池セルを深く充放電すると、電池セルの損失を増大させ、電池セルの最も理想的な作動状態は、浅い充放電であり、このように電池セルの寿命を延長することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記第1の電池セル61の数:前記第2の電池セル62の数=(3~8):(18~28)である。換言すれば、第1の電池セル61の数と前記第2の電池セル62の数との和が100%である場合、第1の電池セル61の数の割合は、10~30%であり、第2の電池セル62の数の割合は、70~90%である。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1の電池セル61の数は、1であってもよい。
【0089】
これによって、一般的な電池パックの温度分布範囲に従って第1の電池セル61と第2の電池セル62の数を設定すれば、本出願の電池パックを容易に実現することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、異なる電池セルの隙間にコンデンサが設けられる(例えば、
図2におけるコンデンサC11、C12を参照する)。
【0091】
これによって、電池セルの間の隙間を十分に利用して、電池パック全体の体積エネルギ密度を向上させることができる。
【0092】
電力消費装置
また、本出願は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、本出願の電池パックを含む。前記電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いることができ、前記電力消費装置のエネルギ蓄積ユニットとして用いることもできる。前記電力消費装置は、移動体設備(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶と衛星、エネルギ貯蔵システムなどを含んでもよいが、それらに限られない。
【0093】
前記電力消費装置として、その使用上の需要に応じて電池セル又は電池パックを選択してもよい。
【0094】
図4は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド車、又はプラグインハイブリッド車等である。低温での航続能力に対するこの電力消費装置のニーズを満たすために、本出願の電池パックを採用してもよい。
【実施例】
【0095】
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述されている実施例は、例示的なもので、本出願を解釈することのみに用いられ、本出願を制限するものとして理解すべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていないものは、当技術分野の文献に記述されている技術若しくは条件、又は製品説明書に従って実行する。使用する試薬又は機器について、製造メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で購入できる一般的な製品である。
【0096】
(一)電池セルの製造
I.第1の電池セルの製造
[製造例I-1]
1)正極極板の製造
正極活物質としての第1の正極活物質LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM)と第2の正極活物質リン酸鉄リチウム(LFP)、導電剤としての超導電性カーボンブラックSP、接着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)に分散させて均一に混合し、正極スラリーを得て、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔上に均一にコーティングし、乾燥、冷間プレス、ストリップ、裁断を経た後、正極極板を得た。
【0097】
ここで、正極活物質、超導電性カーボンブラック、接着剤PVDFの質量比は、96:2:2であり、第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMの質量比は、5:95である。
【0098】
2)負極極板の製造
負極活材料の黒鉛、導電剤としての超導電性カーボンブラックSP、接着剤としてのSBR、増稠剤としてのCMC-Naを質量比96:1:1:2で溶媒としての脱イオン水に分散させて均一に混合し、負極スラリーを得て、負極スラリーを負極集電体銅箔上に均一にコーティングし、乾燥、冷間プレス、ストリップ、裁断を経た後、負極極板を得た。
【0099】
3)セパレータ
ポリエチレンフィルムをセパレータとして選択した。
【0100】
4)電解液の製造
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1に従って、均一に混合して有機溶媒を得て、次に十分に乾燥したリチウム塩LiPF6を混合した後の有機溶媒に溶解し、濃度が1mol/Lの電解液を調製した。
【0101】
5)電池セルの製造
上記正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積層し、セパレータが正極極板と負極極板との間に介在して分離の役割を果たし、その後に巻き取ってベアセルを得て、ベアセルを外装体ケースに置き、乾燥した後に電解液を注入し、真空パッケージング、静置、化成、整形等の工程を経て、第1の電池セルI-1を取得した。
【0102】
[製造例I-2]
正極活物質が第1の正極活物質LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM)と第2の正極活物質マンガン酸リチウム(LMO)を使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-2を取得する。
【0103】
[製造例I-3]
正極活物質が第1の正極活物質LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM)と第2の正極活物質チタン酸リチウム(LTO)を使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-3を取得した。
【0104】
[製造例I-4]
正極活物質が第1の正極活物質リン酸鉄リチウム(LFP)と第2の正極活物質マンガン酸リチウム(LMO)を使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-4を取得した。
【0105】
[製造例I-5]
正極活物質が第1の正極活物質リン酸鉄リチウム(LFP)と第2の正極活物質チタン酸リチウム(LTO)を使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-5を取得した。
【0106】
[製造例I-6]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が2.5:97.5であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-6を取得した。
【0107】
[製造例I-7]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質NCMとの質量比が2.5:97.5であることを除き、製造例I-2と同様に操作し、第1の電池セルI-7を取得した。
【0108】
[製造例I-8]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が2.5:97.5であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第1の電池セルI-8を取得した。
【0109】
[製造例I-9]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質LFPとの質量比が2.5:97.5であることを除き、製造例I-4と同様に操作し、第1の電池セルI-9を取得した。
【0110】
[製造例I-10]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質LFPとの質量比が2.5:97.5であることを除き、製造例I-5と同様に操作し、第1の電池セルI-10を取得した。
【0111】
[製造例I-11]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質LFPとの質量比が7.5:92.5であることを除き、製造例I-5と同様に操作し、第1の電池セルI-11を取得した。
【0112】
[製造例I-12]
正極活物質がNCMのみを使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-12を取得した。
【0113】
[製造例I-13]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-13を取得した。
【0114】
[製造例I-14]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が55:45であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第1の電池セルI-14を取得した。
【0115】
[製造例I-15]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が0.5:99.5であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第1の電池セルI-15を取得した。
【0116】
[製造例I-16]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が37.5:62.5であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第1の電池セルI-16を取得した。
【0117】
II.第2の電池セルの製造
[製造例II-1]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第2の電池セルII-1を取得した。
【0118】
[製造例II-2]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質NCMとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-2と同様に操作し、第2の電池セルII-2を取得した。
【0119】
[製造例II-3]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第2の電池セルII-3を取得した。
【0120】
[製造例II-4]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質LFPとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-4と同様に操作し、第2の電池セルII-4を取得した。
【0121】
[製造例II-5]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質LFPとの質量比が22.5:77.5であることを除き、製造例I-5と同様に操作し、第2の電池セルII-5を取得した。
【0122】
[製造例II-6]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が50:50であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第2の電池セルII-6を取得した。
【0123】
[製造例II-7]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質NCMとの質量比が50:50であることを除き、製造例I-2と同様に操作し、第2の電池セルII-7を取得した。
【0124】
[製造例II-8]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が50:50であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第2の電池セルII-8を取得した。
【0125】
[製造例II-9]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質LFPとの質量比が50:50であることを除き、製造例I-4と同様に操作し、第2の電池セルII-9を取得した。
【0126】
[製造例II-10]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質LFPとの質量比が50:50であることを除き、製造例I-5と同様に操作し、第2の電池セルII-10を取得した。
【0127】
[製造例II-11]
第2の正極活物質LMOと第1の正極活物質NCMとの質量比が7.5:92.5であることを除き、製造例I-2と同様に操作し、第2の電池セルII-11を取得した。
【0128】
[製造例II-12]
正極活物質がLFPのみを使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第2の電池セルII-12を取得した。
【0129】
[製造例II-13]
正極活物質がNCMのみを使用することを除き、製造例I-1と同様に操作し、第2の電池セルII-13を取得した。
【0130】
[製造例II-14]
第2の正極活物質LFPと第1の正極活物質NCMとの質量比が5:95であることを除き、製造例I-1と同様に操作し、第2の電池セルII-14を取得した。
【0131】
[製造例II-15]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が65:35であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第2の電池セルII-15を取得した。
【0132】
[製造例II-16]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質NCMとの質量比が2:98であることを除き、製造例I-3と同様に操作し、第2の電池セルII-16を取得した。
【0133】
[製造例II-17]
第2の正極活物質LTOと第1の正極活物質LFPとの質量比が60:40であることを除き、製造例I-5と同様に操作し、第2の電池セルII-17を取得した。
【0134】
(二)電池パックの組み立て
[実施例1]
図2に示すように、電池パックケースの内部空間は、第1の領域R1と第2の領域R2に区分され、第1の領域R1に第1の電池セル61として第1の電池セルI-1が配置され、第2の領域R2に第2の電池セル62として第2の電池セルII-1が配置され、電池パックを組み立てた。ここで、第1の電池セル61の数:第2の電池セル62の数=12:72である。
【0135】
[実施例2]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-2を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-2を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0136】
[実施例3]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-3を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-3を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0137】
[実施例4]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-4を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-4を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0138】
[実施例5]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-5を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-5を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0139】
[実施例6]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-6を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-6を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0140】
[実施例7]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-7を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-7を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0141】
[実施例8]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-8を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-8を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0142】
[実施例9]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-9を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-9を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0143】
[実施例10]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-10を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-10を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0144】
[実施例11]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-14を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-15を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0145】
[実施例12]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-15を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-16を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0146】
[実施例13]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-7を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-11を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0147】
[実施例14]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-7を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-10を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0148】
[実施例15]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-11を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-10を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0149】
[実施例16]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-16を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-17を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0150】
[実施例17]
実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0151】
[実施例18]
実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0152】
[実施例19]
実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0153】
[実施例20]
実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0154】
[実施例21]
実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0155】
[比較例1]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-12を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-12を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0156】
[比較例2]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-12を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-13を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0157】
[比較例3]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-13を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-14を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0158】
[比較例4]
第1の電池セルI-1の代わりに第1の電池セルI-11を使用し、第2の電池セルII-1の代わりに第2の電池セルII-11を使用することを除き、実施例1と同様に操作し、電池パックを組み立てた。
【0159】
(三)関連テスト
1.電池セルの第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量の測定
実施例1~21と比較例1~4の各電池パックにおける第1の電池セルと第2の電池セルに対して、新威動力電池テスト機(型番BTS-5V300A-4CH)をそれぞれ使用して25℃の時の第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量を測定し、さらに第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合(%)を計算する。
【0160】
電池セルの放電容量の測定方法は、以下の通りである:
(1)電池セルを25℃で2h静置し、電池セルの温度が25℃であることを確保し、
(2)25℃で0.33Cで電池セルを下記表1に示される充電カットオフ電圧に充電した後、電流が0.05C(ここで、Cが電池セルの定格容量を表す)になり、充電がオフになるまで、この充電カットオフ電圧で定電圧充電を継続し、
(3)電池セルを25℃で1h静置し、
(4)25℃で0.33Cで電池セルを下記表1に示される放電カットオフ電圧に放電し、電池セルが放出した総放電容量C0を記録し、
(5)ステップ(4)における放電曲線を得る。これは、例えば、本出願の
図3において破線で表される放電曲線であり、
図3において破線で表される放電曲線において、B点の前の放電容量は、合計で第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量C1であり、B点から放電カットオフ電圧までの放電容量は、第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量C2である。
【0161】
そのため、電池セルの第1の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合=C1/C0であり、電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合=C2/C0である。
【0162】
【0163】
2、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率の測定
また、実施例1~21と比較例1~4の各電池パックに対して、新威動力電池テスト機(型番BTS-5V300A-4CH)をそれぞれ使用して電池パックの25℃での総満放電エネルギと電池パックの-20℃での総満放電エネルギを測定し、電池パックの-20℃での総満放電エネルギを電池パックの25℃での総満放電エネルギで除算し、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率(%)を計算する。
【0164】
電池パックの25℃での総満放電エネルギの測定は、『GB/T 31467.2-2015電気自動車用のリチウムイオントラクション電池パック及びシステム-パート2:高エネルギ応用テスト規程』における「7.1.2室温での容量とエネルギテスト」に従って行う。
【0165】
電池パックの-20℃での総満放電エネルギの測定は、『GB/T 31467.2-2015電気自動車用のリチウムイオントラクション電池パック及びシステム-パート2:高エネルギ応用テスト規程』における「7.1.4低温での容量とエネルギテスト」に従って行う。実施例1~21と比較例1~4の各電池パックの組成とテスト結果を下記表2~表5に示す。
【0166】
【0167】
上記表2の結果から分かるように、実施例1~5において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、且つ、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、86%~92%に達する。
【0168】
比較例1と比較例2において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも1つの放電電圧プラットフォームのみを有し、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、僅か74%と71%である。
【0169】
比較例3において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有するが、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームの放電容量割合よりも小さく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、僅か63%である。
【0170】
【0171】
上記表3の結果から分かるように、実施例1、6~10において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きく、且つ、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、0.25-0.6Vの範囲にあり、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、82%~92%に達する。
【0172】
実施例11において、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、いずれも0.25Vよりも小さく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、63%である。
【0173】
実施例12において、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれの第1の放電電圧プラットフォームの最低放電電圧と第2の放電電圧プラットフォームの最高放電電圧との差は、いずれも0.6Vよりも大きく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、72%である。
【0174】
【0175】
上記表4の結果から分かるように、実施例1、13~15において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きく、且つ、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれにおける第2の正極活物質の質量割合と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、本出願に記載の好ましい範囲にあり、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、81%~92%に達する。
【0176】
比較例4において、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも小さく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、僅か70%である。
【0177】
実施例16において、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きいが、第1の電池セルと第2の電池セルのそれぞれにおける第2の正極活物質の質量割合と第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、本出願に記載の好ましい範囲以外にあり、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、62%である。
【0178】
【0179】
上記表5の結果から分かるように、実施例1、17~18において、第1の電池セルと第2の電池セルは、いずれも第1の放電電圧プラットフォームと第2の放電電圧プラットフォームを有し、第2の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合は、第1の電池セルの第2の放電電圧プラットフォームに対応する放電容量割合よりも大きく、且つ、-20℃の時の第1の電池セルの放電カットオフ電圧と第2の電池セルの放電カットオフ電圧との差、及び第2の電池セルの放電カットオフ電圧は、本出願に記載の好ましい範囲にあり、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、87%~94%に達する。
【0180】
実施例19において、-20℃の時の第2の電池セルの放電カットオフ電圧は、第1の電池セルの放電カットオフ電圧よりも大きく、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、65%である。
【0181】
実施例20において、-20℃の時の第1の電池セルの放電カットオフ電圧と第2の電池セルの放電カットオフ電圧が低すぎ、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、88%に達するが、上記したように電池セルの循環性能を損傷する。
【0182】
実施例21において、-20℃での第1の電池セルの放電カットオフ電圧と第2の電池セルの放電カットオフ電圧との差は、本出願に記載の好ましい範囲にあるが、-20℃の時の第1の電池セルの放電カットオフ電圧と第2の電池セルの放電カットオフ電圧が高すぎ、電池パックの-20℃での総エネルギ保持率は、66%である。
【0183】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0184】
1 電池パック、2 上ケース、3 下ケース、g1、g2 ギャップ、C11、C12 コンデンサ、BL1 第1の境界線、BL2 第2の境界線、R1 第1の領域、R2 第2の領域、61 第1の電池セル、62 第2の電池セル