(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】P38アルファマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 207/12 20060101AFI20240528BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20240528BHJP
C07D 239/30 20060101ALI20240528BHJP
C07D 265/32 20060101ALI20240528BHJP
C07D 491/08 20060101ALI20240528BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20240528BHJP
C07D 211/46 20060101ALI20240528BHJP
C07D 211/42 20060101ALI20240528BHJP
C07D 295/185 20060101ALI20240528BHJP
C07D 241/04 20060101ALI20240528BHJP
C07D 241/08 20060101ALI20240528BHJP
C07D 295/135 20060101ALI20240528BHJP
C07D 267/10 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240528BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240528BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240528BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240528BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240528BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240528BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240528BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240528BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240528BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240528BHJP
A61P 3/08 20060101ALI20240528BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240528BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240528BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20240528BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C07D207/12
C07D491/107 CSP
C07D239/30
C07D265/32
C07D491/08
C07D491/048
C07D211/46
C07D211/42
C07D295/185
C07D241/04
C07D241/08
C07D295/135
C07D267/10
A61K31/553
A61K31/397
A61K31/506
A61K31/407
A61K31/5375
A61K31/439
A61K31/445
A61K31/40
A61K31/495
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P31/14
A61P11/00
A61P15/00
A61P17/00
A61P13/12
A61P9/10
A61P9/00
A61P11/06
A61P1/04
A61P17/06
A61P25/00
A61P3/06
A61P3/08
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/02
A61P21/00
A61P19/04
A61P43/00 111
A61P43/00 ZNA
(21)【出願番号】P 2022570610
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 US2021032487
(87)【国際公開番号】W WO2021236449
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-01-16
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522451137
【氏名又は名称】ジーニー ライフサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラン、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ウェンディー
(72)【発明者】
【氏名】ラル、リトゥ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527239(JP,A)
【文献】KOROLEVA, E. V. et al.,Synthesis of new amides of the N-methylpiperazine series,Russian Journal of Organic Chemistry,2011年,47(10),1556-1563
【文献】BIAVA, M. et al.,Synthesis and antimycobacterial activity of new amido derivatives of ortho-, meta- and para-toluidine ,Medicinal Chemistry Research,1998年,8(9),523-541
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(1)、
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(3)、
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)、
N-(4-((8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(5)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(7)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、
N-(4-(((1R,5S)-3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(9)、
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド
(10)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)、
N-(4-((4-アセチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(14)、
4-クロロ-N-(4-((3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(15)、
及び
4-クロロ-N-(4-((4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド
(16)
からなる群から選択される化合物、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(1)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、及び
N-(4-((4-アセチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(14)
からなる群から選択される化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(1)、
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(3)
、
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)、
及び
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド
(13)
からなる群から選択される化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)、及び
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)
からなる群から選択される化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項7】
前記薬学的組成物が治療有効量の請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又はウイルス性疾患を治療するための、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記ウイルス性疾患が、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、及びSARS-CoV-2感染症を含むコロナウイルス感染症、コロナウイルス感染症に関連する肺炎、並びにヒト呼吸器症候群感染症からなる群から選択され、
前記がんが、乳がん及び黒色腫からなる群から選択され、並びに
前記炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎からなる群から選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記薬学的組成物が治療有効量の請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症、又は嚢胞性線維症を治療するための、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又はウイルス性疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
前記ウイルス性疾患が、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、及びSARS-CoV-2感染症を含むコロナウイルス感染症、コロナウイルス感染症に関連する肺炎、並びにヒト呼吸器症候群感染症からなる群から選択され、
前記がんが、乳がん及び黒色腫からなる群から選択され、並びに
前記炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎からなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症、又は嚢胞性線維症を治療するための医薬の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によってその全体が組み込まれる、2020年5月18日に出願された米国仮特許出願第63/026,466号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
本開示は、p38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤、その薬学的組成物、並びにp38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤及びその薬学的組成物の、疾患を治療するための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
MAPKは、広範囲の細胞外刺激に応答して細胞特性を処理及び調節するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。p38 MAPKは、4つのアイソフォーム(α、β、γ、及びδ)を含む。p38α MAPKは、同定されるp38 MAPKの第1のアイソフォームであり、リポ多糖(LPS)及び炎症性サイトカインによって活性化され得るストレス誘発キナーゼとして最初に認識された。これらの酵素は、タンパク質におけるセリン又はスレオニンのOH基をリン酸化し、細胞増殖、分化、生存、及びアポトーシスの調節において重要な役割を果たす。哺乳動物細胞では、p38 MAPKを含む、いくつかの異なるMAPKが同定されている。
【0004】
p38 MAPKは、炎症性サイトカイン及び活性酸素種(ROS)などのストレス刺激に応答するMAPKのクラスであり、異なる生物学的機能を刺激する幅広いシグナル伝達経路に関与している。例えば、p38 MAPKは、免疫細胞における腫瘍壊死因子-α(TNF-α)及びインターロイキン-1β(IL-1β)を含む、炎症誘発性シグナル伝達ネットワークの調節及びサイトカインの生合成において不可欠な役割を果たすことが判明している。
【0005】
研究は、p38 MAPKが慢性炎症の発症に寄与し、それによってリウマチ性関節炎及び喘息などの炎症性疾患におけるp38 MAPK阻害剤の適用のための前臨床試験及び臨床試験を動機付けることを示している。
【0006】
多くのp38 MAPK触媒阻害剤は、効果が低く、非炎症性p38に対する活性及びp38α依存性逆調節応答の喪失に起因する可能性がある毒性を引き起こす。炎症性及び腫瘍学的疾患の治療のための適用により、特定のp38α MAPK機能を選択的に阻害し、重要な逆調節及び恒常性機能を保存することができるp38α MAPK阻害剤が望ましい。p38 MAPKの阻害は、リウマチ性関節炎、心血管疾患、及び炎症性疼痛などの炎症性疾患を効果的に緩和することが示されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、化合物は、式(1)の構造、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を有し、式中、
R
1は、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2は、式(2a)の部分、式(2b)の部分、式(2c)の部分、C
8-16ヘテロビシクロアルキル、及び置換C
8-16ヘテロビシクロアルキルから選択され、
【化2】
式中、
B
1、B
2、B
3、及びB
4の各々は、独立して、-(CH(-R
4))
n-から選択され、式中、
各nは、独立して、0、1、2、3、及び4から選択され、
B
1及びB
2の両方は、0ではなく、
B
3及びB
4の両方は、0ではなく、
各R
4は、独立して、水素、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-3アルキル、C
1-3ヘテロアルキル、置換C
1-3アルキル、及び置換C
1-3ヘテロアルキルから選択され、
Dは、メタン-ジイル及びエタン-ジイルから選択され、
Xは、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され、R
3は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択される。
【0008】
本発明によれば、化合物は、式(1)の構造、
【化3】
又はその薬学的に許容される塩を有し、式中、
R
1は、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2は、式(2d)の部分であり、
【化4】
式中、
各A
1及びA
2は、独立して、-CH
2-、-CH(-R
5)-、及び-C(=O)-から選択され、式中、各R
5は、独立して、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択され、
A
1及びA
2のうちの1つ以上は、独立して、-CH(-R
5)-及び-C(=O)-から選択され、
各nは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、
Xは、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され、R
3は、水素、C
1-6アルキル、C
5-8シクロアルキル、C
6アリール、C
6-12シクロアルキルアルキル、C
7-10アリールアルキル、C
1-6ヘテロアルキル、C
5-8ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、C
7-10ヘテロアリールアルキル、置換C
1-6アルキル、置換C
5-8シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
6-12シクロアルキルアルキル、置換C
7-10アリールアルキル、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
5-8ヘテロシクロアルキル、置換C
5-6ヘテロアリール、置換C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、及び置換C
7-10ヘテロアリールアルキルから選択される。
【0009】
本発明によれば、薬学的組成物は、本発明による化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0010】
本発明によれば、患者において疾患を治療する方法は、その治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明による化合物の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患は、黒色腫などのがん;急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、リウマチ性関節炎、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症などの炎症性疾患;自己免疫疾患;難聴、筋変性症、ウェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病などの加齢関連疾患;又はコロナウイルス感染症、コロナウイルス感染症に関連する肺炎、及びヒト呼吸器合胞体感染症などのウイルス性疾患である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「-」)は、部分又は置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-CONH2は、炭素原子を介して結合される。
【0012】
「アルキル」は、親アルカン、アルケン、又はアルキンの単一の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって誘導される、飽和、分岐、又は直鎖、一価炭化水素ラジカルを指す。アルキル基の例は、メチル;エタニル、エテニル、及びエチニルなどのエチル;プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、プロプ-1-エン-1-イル、プロプ-1-エン-2-イル、プロプ-2-エン-1-イル(アリル)、プロプ-1-イン-1-イル、プロプ-2-イン-1-イルなどのような、プロピル;ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロプ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどのような、ブチル;などを含む。「アルキル」という用語には、任意の飽和度又はレベルを有する基、すなわち、排他的に炭素-炭素単結合を有する基、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する基、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する基、並びに炭素-炭素単結合、二重結合、及び三重結合の組み合わせを有する基が含まれる。特定の飽和レベルが意図される場合、アルカニル、アルケニル、及びアルキニルという用語が使用される。アルキル基は、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、エチル、又はメチルであり得る。
【0013】
「アルコキシ」は、Rが本明細書で定義されるアルキルであるラジカル-ORを指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C1-6アルコキシ、C1-5アルコキシ、C1-4アルコキシ、C1-3アルコキシ、エトキシ、又はメトキシであり得る。
【0014】
「アリール」自体又は別の置換基の一部としては、親芳香族環系の単一炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価芳香族炭化水素ラジカルを指す。アリールは、5員及び6員の炭素環式芳香族環、例えば、ベンゼン;少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族である二環式環系、例えば、ナフタレン、インダン、及びテトラリン;並びに少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族である三環式環系、例えば、フルオレンを包含する。アリールは、少なくとも1つの炭素環式芳香族環、シクロアルキル環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合した少なくとも1つの炭素環式芳香族環を有する複数の環系を包含する。例えば、アリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する5~7員のヘテロシクロアルキル環に縮合したフェニル環を含む。環のうちの1つのみが炭素環式芳香族環であるそのような縮合二環式環系について、ラジカル炭素原子は、炭素環式芳香族環又はヘテロシクロアルキル環にあり得る。アリール基の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、及びトリフェニレン、トリナフタレンに由来する基が挙げられる。アリール基は、C6-10アリール、C6-9アリール、C6-8アリール、又はフェニルであり得る。しかしながら、アリールは、本明細書で別々に定義される、ヘテロアリールをいかなる方法でも包含しないか、又はヘテロアリールと重複しない。
【0015】
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリール基で置換されている非環式アルキルラジカルを指す。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられる。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニルという名称が使用される。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキルであり得、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-6であり、アリール部分は、C6-10である。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキルであり得、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-6であり、アリール部分は、C6-10である。アリールアルキル基は、C7-9アリールアルキルであり得、アルキル部分は、C1-3アルキルであり、アリール部分は、フェニルである。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキル、C7-14アリールアルキル、C7-12アリールアルキル、C7-10アリールアルキル、C7-8アリールアルキル、又はベンジルであり得る。
【0016】
「バイオアベイラビリティ」とは、薬物又はそのプロドラッグの患者への投与後に患者の全身循環に到達する薬物の速度及び量を指し、例えば、薬物の血漿又は血液濃度対時間プロファイルを評価することによって決定することができる。血漿又は血液濃度対時間曲線を特徴付けるのに有用なパラメータには、曲線下面積(AUC)、最大濃度までの時間(Tmax)、及び最大薬物濃度(Cmax)が含まれ、Cmaxは、薬物又は薬物の形態の用量の患者への投与後の患者の血漿又は血液中の薬物の最大濃度であり、Tmaxは、薬物又は薬物の形態の用量の患者への投与後の患者の血漿又は血液中の薬物の最大濃度(Cmax)までの時間である。
【0017】
「経口バイオアベイラビリティ」(F%)は、全身循環に到達する経口投与薬物の画分を指す。経口バイオアベイラビリティは、吸収された画分、腸壁除去を逃れた画分、及び肝臓除去を逃れた画分の産物であり、バイオアベイラビリティに影響を与える因子は、生理学的因子、生化学的因子、及び生物薬剤学的因子に分けることができる。
【0018】
本明細書に開示される「化合物」は、開示される式内の任意の特定の化合物を含む。化合物は、化学構造及び/又は化学名のいずれかによって特定され得る。化合物は、ChemBioDraw Ultra 14.0.0.117(CambridgeSoft、Cambridge,MA)命名プログラムを使用して命名される。化学構造及び化学名が矛盾する場合、化学構造は、化合物の同一性を決定する。本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体異性中心及び/又は二重結合を含み得、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマー、又はアトロプ異性体などの立体異性体として存在し得る。したがって、相対的な構成で、全体的又は部分的に示される本明細書の範囲内の任意の化学構造は、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性体的に純粋、又はジアステレオマー的に純粋)並びに鏡像異性及び立体異性混合物を含む、示される化合物の全ての可能な鏡像異性体及び立体異性体を包含する。鏡像異性及び立体異性混合物は、当業者に周知の分離技法又はキラル合成技法を使用して、それらの成分鏡像異性体又は立体異性体に分解され得る。
【0019】
本明細書に開示される化合物及び部分には、化合物及び部分の光学異性体、それらのラセミ体、並びにそれらの他の混合物が含まれる。そのような実施形態では、単一の鏡像異性体又はジアステレオマーは、不斉合成によって、又はラセミ体の分解によって得られ得る。ラセミ体の分解は、例えば、分解剤の存在下での結晶化、又は例えば、キラル固定相を有するキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用した、クロマトグラフィーなどの従来の方法によって達成され得る。加えて、化合物は、単一の幾何異性体又はその混合物のいずれかとして、二重結合を有する化合物の(Z)-及び(E)-形態(又はシス-及びトランス-形態)を含む。
【0020】
化合物及び部分はまた、エノール形態、ケト形態、及びそれらの混合物を含むいくつかの互変異性形態で存在し得る。したがって、本明細書に示される化学構造は、示される化合物の全ての可能な互変異性形態を包含する。化合物は、非溶媒和形態、及び水和形態を含む、溶媒和形態で存在し得る。特定の化合物は、複数の結晶、共結晶、又は非晶質形態で存在し得る。化合物は、その薬学的に許容される塩、又は前述のいずれかの遊離酸形態の薬学的に許容される溶媒和物、及び前述のいずれかの結晶形態を含む。
【0021】
「シクロアルキル」は、飽和又は部分的に不飽和環状アルキルラジカルを指す。シクロアルキル基は、C3-8シクロアルキル、C3-5シクロアルキル、C5-6シクロアルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルであり得る。シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロセプチル、及びシクロオクチルから選択され得る。
【0022】
「シクロアルキルアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つが本明細書で定義されるようにシクロアルキル基で置換されている非環式アルキルラジカルを指す。特定のアルキル部分が意図される場合、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、又はシクロアルキルアルキニルという名称が使用される。シクロアルキルアルキル基は、C4-30シクロアルキルアルキルであり得、例えば、シクロアルキルアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-10であり、シクロアルキルアルキル部分のシクロアルキル部分は、C3-20である。シクロアルキルアルキル基は、C4-20シクロアルキルアルキルであり得、例えば、シクロアルキルアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-8であり、シクロアルキルアルキル基のシクロアルキル部分は、C3-12である。シクロアルキルアルキルは、シクロアルキルアルキル基のアルキル部分がC1-3アルキルであり、シクロアルキル基のシクロアルキル部分がC3-6シクロアルキルである、C4-9シクロアルキルアルキルであり得る。シクロアルキルアルキル基は、C4-12シクロアルキルアルキル、C4-10シクロアルキルアルキル、C4-8シクロアルキルアルキル、及びC4-6シクロアルキルアルキルであり得る。シクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル(-CH2-シクロ-C3H5)、シクロペンチルメチル(-CH2-シクロ-C5H9)、又はシクロヘキシルメチル(-CH2-シクロ-C6H11)であり得る。シクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルエテニル(-CH=CH-シクロ-C3H5)、シクロペンチルエチニル(-C≡C-シクロ-C5H9)などであり得る。
【0023】
「シクロアルキルヘテロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、アルキル基の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つ以上が独立して、同じ又は異なるヘテロ原子基で置き換えられ、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがシクロアルキル基で置き換えられているヘテロアルキル基を指す。特定のアルキル部分が意図される場合、シクロアルキルヘテロアルカニル、シクロアルキルヘテロアルケニル、及びシクロアルキルヘテロアルキニルという名称が使用される。シクロアルキルヘテロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-である。
【0024】
「シクロアルキルオキシ」は、Rが本明細書で定義されるシクロアルキルであるラジカル-ORを指す。シクロアルキルオキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシが挙げられる。シクロアルキルオキシ基は、C3-6シクロアルキルオキシ、C3-5シクロアルキルオキシ、C5-6シクロアルキルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、又はシクロヘキシルオキシであり得る。
【0025】
「疾患」は、前述のうちのいずれかの疾患、障害、状態又は症状を指す。
【0026】
21U.S.C.§321(g)(1)下で定義される「薬物」とは、「(A)米国薬局方、米国ホメオパシー薬局方、若しくは国民医薬品集、又はそれらのいずれかの任意の補足文書で認められている物品、及び(B)人間又は他の動物における疾患の診断、治療(cure)、軽減、治療(treatment)、又は予防における使用を意図した物品、及び(C)人間又は他の動物の身体の構造又は任意の機能に影響を与えることを意図した物品(食品を除く)...」を意味する。
【0027】
「フルオロアルキル」とは、水素原子のうちの1つ以上がフルオロで置き換えられている、本明細書で定義されるアルキル基を指す。フルオロアルキル基は、C1-6フルオロアルキル、C1-5フルオロアルキル、C1-4フルオロアルキル、又はC1-3フルオロアルキルであり得る。フルオロアルキル基は、ペンタフルオロエチル(-CF2CF3)又はトリフルオロメチル(-CF3)であり得る。
【0028】
「フルオロアルコキシ」とは、水素原子のうちの1つ以上がフルオロで置き換えられている、本明細書で定義されるアルコキシ基を指す。フルオロアルコキシ基は、C1-6フルオロアルコキシ、C1-5フルオロアルコキシ、C1-4フルオロアルコキシ、C1-3フルオロアルコキシ、-OCF2CF3、又は-OCF3であり得る。
【0029】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード基を指す。
【0030】
「ヘテロアルコキシ」は、炭素原子のうちの1つ以上がヘテロ原子で置き換えられているアルコキシ基を指す。ヘテロアルコキシ基は、C1-6ヘテロアルコキシ、C1-5ヘテロアルコキシ、C1-4ヘテロアルコキシ、又はC1-3ヘテロアルコキシであり得る。ヘテロアルコキシにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-NR-から選択され得、式中、Rは、C1-6アルキル、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-であるか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-である。ヘテロアルコキシ基は、C1-6ヘテロアルコキシ、C1-5ヘテロアルコキシ、C1-4ヘテロアルコキシ、又はC1-3ヘテロアルコキシであり得る。
【0031】
「ヘテロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つ以上が、独立して、同じ又は異なるヘテロ原子基で置き換えられているアルキル基を指す。ヘテロ原子基の例としては、-O-、-S-、-Si-、-B-、-NH-、-NR-、-O-O-、-S-S-、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR-、-PR-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-POR-、-SO-、-SO2-、及び-Sn(R)2-が挙げられ、各Rは、独立して、水素、C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、C6-12アリール、置換C6-12アリール、C7-18アリールアルキル、置換C7-18アリールアルキル、C3-7シクロアルキル、置換C3-7シクロアルキル、C3-7ヘテロシクロアルキル、置換C3-7ヘテロシクロアルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C6-12ヘテロアリール、置換C6-12ヘテロアリール、C7-18ヘテロアリールアルキル、及び置換C7-18ヘテロアリールアルキルから選択される。各Rは、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択され得る。例えば、C1-6ヘテロアルキルへの言及は、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)の少なくとも1つがヘテロ原子で置き換えられているC1-6アルキル基を意味する。例えば、C1-6ヘテロアルキルは、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を有する基、4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子を有する基などを含む。ヘテロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。ヘテロアルキル基は、C1-6ヘテロアルキル、C1-5ヘテロアルキル、又はC1-4ヘテロアルキル、又はC1-3ヘテロアルキルであり得る。
【0032】
「ヘテロアリール」自体又は別の置換基の一部としては、親複素芳香族環系の単一原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価複素芳香族ラジカルを指す。ヘテロアリールは、芳香族又は非芳香族であり得る、少なくとも1つの他の環に縮合した少なくとも1つの複素芳香族環を有する複数の環系を包含する。例えば、ヘテロアリールは、1つの環が複素芳香族であり、第2の環がヘテロシクロアルキル環である二環式環を包含する。そのような縮合二環式ヘテロアリール環系について、環のうちの1つのみが1つ以上のヘテロ原子を含有する場合、ラジカル炭素は、芳香族環又はヘテロシクロアルキル環にあり得る。ヘテロアリール基におけるN、S、及びO原子の総数が1を超える場合、ヘテロ原子は、互いに隣接していてもしていなくてもよい。ヘテロアリール基のヘテロ原子の総数は、2以下である。ヘテロアリールにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。ヘテロアリール基は、例えば、C5-10ヘテロアリール、C5-9ヘテロアリール、C5-8ヘテロアリール、C5-7ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール、又はC6ヘテロアリールから選択され得る。
【0033】
ヘテロアリール基の例としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、α-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、チアゾリジン、及びオキサゾリジンに由来する基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、又はピラジンに由来し得る。例えば、ヘテロアリールは、C5ヘテロアリールであり得、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、又はイソキサゾリルから選択され得る。ヘテロアリールは、C6ヘテロアリールであり得、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルから選択され得る。
【0034】
「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つがヘテロ原子で置き換えられているアリールアルキル基を指す。ヘテロアリールアルキル基は、C6-16ヘテロアリールアルキル、C6-14ヘテロアリールアルキル、C6-12ヘテロアリールアルキル、C6-10ヘテロアリールアルキル、C6-8ヘテロアリールアルキル、又はC7ヘテロアリールアルキル、又はC6ヘテロアリールアルキルであり得る。ヘテロアリールアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0035】
「ヘテロビシクロアルキル」は、2つのヘテロシクロアルキル基を有する部分を指す。ヘテロビシクロアルキル基は、縮合環又はスピロ化合物であり得る。
【0036】
「ヘテロシクロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、1つ以上の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)が独立して同じ若しくは異なるヘテロ原子で置き換えられている飽和又は不飽和環状アルキルラジカル、又は1つ以上の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)が独立して同じ若しくは異なるヘテロ原子で置き換えられている親芳香族環系を指し、環系は、ヒュッケル則に反する。炭素原子を置き換えるヘテロ原子の例としては、N、P、O、S、B、及びSiが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の例として、エポキシド、アゼチジン、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、及びキヌクリジンに由来する基が挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、C5ヘテロシクロアルキルであり得、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ドキソラニル、及びジチオラニルから選択される。ヘテロシクロアルキルは、C6ヘテロシクロアルキルであり得、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、オキサジニル、ジチアニル、及びジオキサニルから選択され得る。ヘテロシクロアルキル基は、C3-8ヘテロシクロアルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C3-5ヘテロシクロアルキル、C5-6ヘテロシクロアルキル、C5ヘテロシクロアルキル、又はC6ヘテロシクロアルキルであり得る。ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0037】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル環の1つ以上の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)が、独立して、同じ又は異なるヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキルアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキルアルキルは、C4-12ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-8ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-6ヘテロシクロアルキルアルキル、C6-7ヘテロシクロアルキルアルキル、又はC6ヘテロシクロアルキルアルキル若しくはC7ヘテロシクロアルキルアルキルであり得る。ヘテロシクロアルキルアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0038】
「親芳香族環系」は、4n+2個の電子(ヒュッケル則)を有する環式共役π(パイ)電子系を有する不飽和環式又は多環式環系を指す。「親芳香族環系」の定義内に含まれるのは、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和、例えば、フルオレン、インダン、インデン、及びフェナレンなどである縮合環系である。親芳香族環系の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、及びトリナフタレンが挙げられる。
【0039】
「水和物」は、付加物の形成をもたらす、化学量論的な割合での、本明細書に記載される化合物の結晶格子への水の組み込みを指す。水和物を作製する方法は、例えば、水蒸気を含有する雰囲気中での貯蔵、水を含む剤形、又は、例えば、結晶化(すなわち、水又は混合された水性溶媒から)、凍結乾燥、湿式造粒、水性フィルムコーティング、若しくは噴霧乾燥などの、日常的な薬学的処理ステップを含む。水和物はまた、特定の状況下で、水蒸気への曝露時、又は水中の無水材料の懸濁時に、結晶性溶媒和物から形成され得る。水和物はまた、2つ以上の形態で結晶化し、水和物多型をもたらし得る。
【0040】
「親芳香族環系」は、共役π電子系を有する不飽和環式又は多環式環系を指す。「親芳香族環系」の定義内に具体的に含まれるのは、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和、例えば、フルオレン、インダン、インデン、及びフェナレンなどである縮合環系である。親芳香族環系の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、及びトリナフタレンが挙げられる。
【0041】
「親複素芳香族環系」は、1つ以上の炭素原子(及び任意の関連する水素原子)が、芳香族系及びヒュッケル則(4n+2)に対応するいくつかのπ電子に特徴的な連続したπ電子系を維持するような方法で、同じ又は異なるヘテロ原子と独立して置き換えられる芳香族環系を指す。炭素原子を置き換えるヘテロ原子の例としては、N、P、O、S、Si、及びBが挙げられる。具体的には、「親複素芳香族環系」の定義内には、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系、例えば、アルシンドール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、及びキサンテンなどが含まれる。親複素芳香族環系の例としては、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、チアゾリジン、及びオキサゾリジンが挙げられる。
【0042】
「患者」は、哺乳動物、例えば、ヒトを指す。
【0043】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認された若しくは承認可能なもの、又は米国薬局方若しくは動物、より具体的にはヒトにおける使用について他の一般的に認められている薬局方に列挙されたものを指す。
【0044】
「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩を指す。そのような塩には、無機酸、並びに親化合物内の一級、二級、又は三級アミンなどの1つ以上のプロトン化可能な官能基で形成される酸付加塩が含まれる。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸が挙げられる。塩は、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファールスルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などで形成することができる。塩は、親化合物中に存在する1つ以上の酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又はこれらの組み合わせ、あるいはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びN-メチルグルカミンなどの有機塩基との配位によって置き換えられる場合に形成され得る。薬学的に許容される塩は、塩酸塩であり得る。薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩であり得る。2つ以上のイオン化可能な基を有する化合物において、薬学的に許容される塩は、二塩、例えば、二塩酸塩などの1つ以上の対イオンを含むことができる。
【0045】
「薬学的に許容される塩」という用語は、水和物及び他の溶媒和物、並びに結晶形態又は非結晶形態の塩を含む。特定の薬学的に許容される塩が開示される場合、特定の塩(例えば、塩酸塩)は塩の一例であり、他の塩は当業者に既知の技法を使用して形成され得ることが理解される。加えて、当該技術分野で一般に既知の技法を使用して、当業者は、薬学的に許容される塩を対応する化合物、遊離塩基、及び/又は遊離酸に変換することができるであろう。
【0046】
「薬学的に許容されるビヒクル」とは、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、又は前述のうちのいずれかの組み合わせを指し、それらとともに、本開示によって提供される化合物を患者に投与することができ、その薬理活性を破壊せず、治療有効量の化合物を提供するのに十分な用量で投与される場合に無毒である。
【0047】
「薬学的組成物」は、式(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び、それとともに式(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩が患者に投与される、少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクルを指す。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0048】
「予防すること」又は「予防」は、疾患又は障害に罹患するリスクの低減(すなわち、疾患に曝露されるか、又は疾患にかかりやすい場合があるが、まだ疾患の症状を経験していないか、又は示していない患者において、疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを発症させないこと)を指す。いくつかの実施形態では、「予防すること」又は「予防」は、本開示によって提供される化合物を予防的に投与することによって、疾患の症状を低減することを指す。疾患又は障害を予防すること又はその予防のための治療剤の適用は、予防として知られている。本開示によって提供される化合物は、長期間にわたるより低い長期的な副作用のために、優れた予防を提供することができる。
【0049】
「溶媒和物」は、化学量論又は非化学量論量の1つ以上の溶媒分子を有する化合物の分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、薬学分野で一般的に使用されるものであり、水又はエタノールなどの患者にとって無害であることが知られている。化合物又は化合物の部分と溶媒との分子複合体は、例えば、静電力、ファン・デル・ワールス力、又は水素結合などの非共有分子内力によって安定化され得る。「水和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子が水である溶媒和物を指す。「溶媒和物」は、付加物の形成をもたらす、化学量論的な割合での、本明細書に記載される化合物の結晶格子への溶媒の組み込みを指す。溶媒和物を作製する方法は、例えば、溶媒を含有する雰囲気中での貯蔵、溶媒を含む剤形、又は例えば、結晶化(すなわち、溶媒又は混合溶媒からの)蒸気拡散などの日常的な薬学的処理ステップを含む。溶媒和物はまた、特定の状況下で、溶媒への曝露時又は溶媒中での材料懸濁時に、他の結晶性溶媒和物又は水和物から形成され得る。溶媒和物は、1つを超える形態で結晶化し、溶媒和物多形をもたらし得る。
【0050】
「本開示によって提供される化合物」は、式(1)によって包含される化合物及びその薬学的な塩を指す。本開示によって提供される化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、及び/又は前述のいずれかのプロドラッグなどの式(1)によって包含される化合物を更に含むことができる。
【0051】
本開示によって提供される化合物はまた、例えば、多形体、擬多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体構造多形体、及び化合物の非晶質形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物の結晶形態及び非晶質形態を含む。「結晶形態」及び「多形」は、特定の結晶形態又は非晶質形態が参照されない限り、例えば、多形体、擬似多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体構造多形体、及び非晶質形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物の全ての結晶形態及び非晶質形態を含むことが意図されている。
【0052】
「置換」は、1つ以上の水素原子が独立して同じ又は異なる置換基で置換されている基を指す。各置換基は、独立して、例えば、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-CF3、-OCF3、=O、-NO2、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、-COOR、-NR2、及び-CONR2から選択され得、各Rは、独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される。各置換基は、独立して、例えば、重水素、ハロゲン、-NH2、-OH、C1-3アルコキシ、及びC1-3アルキル、トリフルオロメトキシ、及びトリフルオロメチルから選択され得る。各置換基は、独立して、重水素、-OH、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、及びトリフルオロメトキシから選択され得る。各置換基は、重水素、C1-3アルキル、=O、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、及びフェニルから選択され得る。各置換基は、例えば、重水素、-OH、-NH2、C1-3アルキル、及びC1-3アルコキシから選択され得る。
【0053】
「持続放出」は、同じ投与経路による同じ化合物の即時放出製剤の投与によって達成されるものと比較して長期にわたる、患者の全身循環における、化合物又はその活性代謝物の治療又は予防濃度を達成するのに有効な速度での薬学的組成物の投与形態からの化合物の放出を指す。いくつかの実施形態では、化合物の放出は、少なくとも約4時間、例えば、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約20時間、及びいくつかの実施形態では、少なくとも約24時間の期間にわたって生じる。
【0054】
疾患の「治療すること」又は「治療」は、疾患又は疾患若しくは障害の臨床症状の少なくとも1つを停止又は緩和すること、疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを獲得するリスクを低減すること、疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つの発症を低減すること、又は疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを発症するリスクを低減することを指す。「治療すること」又は「治療」はまた、物理的に、(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に、(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで疾患を阻害すること、及び患者に識別可能であってもなくてもよい少なくとも1つの物理的パラメータ又は兆候を阻害することを指す。「治療すること」又は「治療」はまた、その患者がまだ疾患の症状を経験していないか、又は示していなくても、疾患若しくは障害に曝露されるか、又はかかりやすい場合がある患者において、疾患の発症を遅延させること、又はその少なくとも1つ以上の症状の発症を遅延させることを指す。
【0055】
「治療有効量」は、疾患、又は疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを治療するために患者に投与される場合、疾患又はその症状のそのような治療に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。「治療有効量」は、例えば、化合物、疾患及び/又は疾患の症状、疾患及び/又は疾患若しくは障害の症状の重症度、治療される患者の年齢、体重、及び/又は健康状態、並びに処方医師の判断に応じて変動し得る。任意の所与の事例における適切な量は、当業者によって確認され得るか、又は日常的な実験によって決定することができる。
【0056】
「治療有効用量」は、患者において疾患又は障害の有効な治療を提供する用量を指す。治療有効用量は、化合物によって、及び患者によって変動し得、患者の状態及び送達の経路などの因子に依存し得る。治療有効用量は、当業者に既知の日常的な薬理学的手順に従って決定され得る。
【0057】
「ビヒクル」は、化合物が患者にともに投与される希釈剤、賦形剤、又は担体を指す。ビヒクルは、薬学的に許容されるビヒクルであり得る。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0058】
「結合親和性」は、単一の生体分子とそのリガンド/結合パートナーとの間の結合相互作用の強度を指す。結合親和性は、IC50値として表される。結合親和性は、ファージELISA競合アッセイによって決定することができる。
【0059】
「調節する」及び「調節」とは、例えば、タンパク質、遺伝子、ペプチド、又は抗体などの生物学的分子の生物学的活性の変化を指し、そのような変化は、生物学的分子についての、例えば、増加した活性、アゴニズム、活性化、発現、上方調節、及び/若しくは増加した発現などの、生物学的活性の増加、又は例えば、低下した活性、アンタゴニズム、抑制、脱活性化、下方調節、及び/若しくは低下した発現などの、生物学的活性の低下に関連し得る。
【0060】
例えば、本明細書に記載される化合物は、p38α MAPKタンパク質を阻害するなど、調節することができる。本開示によって提供される化合物は、他のMAPK又はp38 MAPKアイソフォームと比較して、p38α MAPKタンパク質を選択的に阻害することができる。本開示によって提供される化合物は、他のMAPK又はp38 MAPKタンパク質と比較して、p38α MAPKタンパク質を選択的に阻害するなど、選択的に調節することができる。
【0061】
「部分」は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学部分は、多くの場合、分子に埋め込まれるか、又は分子に付加される化学実体として認識される。
【0062】
ここで、化合物、組成物、及び方法の特定の実施形態を詳細に参照する。開示される実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。それとは反対に、特許請求の範囲は、全ての代替物、修正物、及び同等物を包含することが意図されている。
【0063】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKタンパク質の選択的阻害剤である。本開示によって提供される薬学的組成物は、本開示によって提供される化合物を含む。本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、疾患を治療するために使用することができ、疾患は、p38α MAPKタンパク質を阻害することによって治療される。
【0064】
p38α MAPKに関連する触媒活性の阻害剤は、炎症性サイトカインの発現をブロックすることができるだけでなく、恒常性を確立及び維持するために重要な他のp38α MAPKシグナル伝達経路をブロックすることもできる。
【0065】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKの基質結合溝を標的とすることができ、これは、2つの酸性パッチ、CD及びEDドメイン間に延在し、DEF基質結合ポケットとは異なる。下流基質、上流活性化キナーゼ、及び場合によっては足場分子は、CD及びEDドメインを介してp38 MAPKと相互作用する。本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKに選択的に結合することができ、p38βMAPKに結合することができず、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVECL)における内皮バリア機能を安定化することができ、THPl細胞におけるLPS誘発性炎症促進性遺伝子発現を阻害することができる。
【0066】
本開示によって提供される化合物としては、R
2が縮合環を含む式(1)の化合物、及びR
2が単環式環を含む式(1)の化合物が挙げられる。
【化5】
【0067】
本開示によって提供される化合物は、式(1)の構造を有し得、
【化6】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1は、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され得、
R
2は、式(2a)の部分、式(2b)の部分、式(2c)の部分、C
8-16ヘテロビシクロアルキル、及び置換C
8-16ヘテロビシクロアルキルから選択され得、
【化7】
式中、
B
1、B
2、B
3、及びB
4の各々は、独立して、-(CH(-R
4))
n-から選択され得、式中、
各nは、独立して、0、1、2、3、及び4から選択され得、
B
1及びB
2の両方は、0ではなく、
B
3及びB
4の両方は、0ではなく、
各R
4は、独立して、水素、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-3アルキル、C
1-3ヘテロアルキル、置換C
1-3アルキル、及び置換C
1-3ヘテロアルキルから選択され得、
Dは、メタン-ジイル及びエタン-ジイルから選択され得、
Xは、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され得、R
3は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択され得る。
【0068】
式(1)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-6アルキル、C1-6シクロアルキル、C6アリール、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ヘテロシクロアルキル、C5-6ヘテロアリール、置換C1-6アルキル、置換C1-6シクロアルキル、置換C6アリール、置換C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C5-6ヘテロアリールから選択され得る。
【0069】
式(1)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0070】
式(1)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、-OH、=O、及びC1-3アルキルから選択され得る。
【0071】
式(1)の化合物において、R1は、C1-4アルカンジイルであり得る。
【0072】
式(1)の化合物において、R1は、エタンジイルであり得る。
【0073】
式(1)の化合物において、R1は、メタンジイルであり得る。
【0074】
式(1)の化合物において、R
2は、式(2a)の部分であり得る。
【化8】
【0075】
式(2a)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0076】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0077】
式(2a)の部分において、B1、B2、及びB3の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0078】
式(2a)の部分において、B1、B2、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0079】
式(2a)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの1つは、-CH(-R4)-を含み、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0080】
式(2a)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの2つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0081】
式(2a)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの3つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0082】
式(2a)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0083】
式(2a)の部分において、各nは、独立して、0、1、2、及び3から選択され得る。
【0084】
式(2a)の部分において、各nは、独立して、1、2、及び3から選択され得る。
【0085】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、独立して、1及び2から選択され得、B3及びB4の各々におけるnは、2であり得る。
【0086】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、1であり得、B3及びB4の各々におけるnは、2であり得る。
【0087】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、2であり得、B3及びB4の各々におけるnは、1であり得る。
【0088】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、2であり得、B3及びB4の各々におけるnは、2であり得る。
【0089】
式(2a)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、1であり得、B3及びB4の各々におけるnは、1であり得る。
【0090】
式(2a)の部分において、Xは、-O-であり得る。
【0091】
式(2a)の部分において、Xは、-CH(-OH)-であり得る。
【0092】
式(2a)の部分において、Xは、-SO2-であり得る。
【0093】
式(2a)の部分において、Xは、-NR3-であり得る。
【0094】
式(2a)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0095】
式(2a)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-C(=O)-CH3であり得る。
【0096】
式(2a)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-CH3であり得る。
【0097】
式(2a)の部分において、B1は、-(CH2)2-であり得、B2は、-CH2-であり得、B3は、-(CH2)n-であり得、式中、nは、0、1、2、及び3から選択され、B3は、-(CH2)3n-であり得、Xは、Oである。
【0098】
式(2a)の部分は、式(2a.1)~(2a.4)の部分から選択され得る。
【化9】
式中、R
5が、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルである。
【0099】
式(1)の化合物において、R
2は、式(2b)の部分であり得る。
【化10】
【0100】
式(2b)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0101】
式(2b)の部分において、B1及びB2の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0102】
式(2b)の部分において、B1、B2、及びB3の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0103】
式(2b)の部分において、B1、B2、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0104】
式(2b)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの1つは、-CH(-R4)-を含み、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0105】
式(2b)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの2つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0106】
式(2b)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの3つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0107】
式(2b)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0108】
式(2b)の部分において、各nは、独立して、1及び2から選択され得る。
【0109】
式(2b)の部分において、各nは、1であり得る。
【0110】
式(2b)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、1であり得、B3及びB4の各々におけるnは、2であり得る。
【0111】
式(2b)の部分において、B1及びB2の各々におけるnは、2であり得、B3及びB4の各々におけるnは、1であり得る。
【0112】
式(2b)の部分において、B1、B2、及びB3の各々におけるnは、1であり得、B4におけるnは、2であり得る。
【0113】
式(2b)の部分において、B1、B2、及びB3の各々におけるnは、2であり得、B4におけるnは、1であり得る。
【0114】
式(2b)の部分において、Xは、-O-であり得る。
【0115】
式(2b)の部分において、Xは、-CH(-OH)-であり得る。
【0116】
式(2b)の部分において、Xは、-SO2-であり得る。
【0117】
式(2b)の部分において、Xは、-NR3-であり得る。
【0118】
式(2b)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0119】
式(2b)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-C(=O)-CH3であり得る。
【0120】
式(2b)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-CH3であり得る。
【0121】
式(1)の化合物において、R
2は、式(2c)の部分であり得る。
【化11】
【0122】
式(2c)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0123】
式(2c)の部分において、B1及びB2の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0124】
式(2c)の部分において、B1、B2、及びB3の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0125】
式(2c)の部分において、B1、B2、及びB4の各々は、独立して、-(CH2)n-から選択され得る。
【0126】
式(2c)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの1つは、-CH(-R4)-を含み、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0127】
式(2c)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの2つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0128】
式(2c)の部分において、B1、B2、B3、及びB4のうちの3つは、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0129】
式(2c)の部分において、B1、B2、B3、及びB4の各々は、独立して、-CH(-R4)-を含み、式中、R4は、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0130】
式(2c)の部分において、各nは、独立して、1及び2から選択され得る。
【0131】
式(2c)の部分において、各nは、1であり得る。
【0132】
式(2c)の部分において、
B1及びB2の各々におけるnは、1であり得、
B3及びB4の各々におけるnは、2であり得る。
【0133】
式(2c)の部分において、
B1及びB2の各々におけるnは、2であり得、
B3及びB4の各々におけるnは、1であり得る。
【0134】
式(2c)の部分において、各nは、2であり得る。
【0135】
式(2c)の部分において、Dは、メタンジイルであり得る。
【0136】
式(2c)の部分において、Dは、エタンジイルであり得る。
【0137】
式(2c)の部分において、Xは、-O-であり得る。
【0138】
式(2c)の部分において、Xは、-CH(-OH)-であり得る。
【0139】
式(2c)の部分において、Xは、-SO2-であり得る。
【0140】
式(2c)の部分において、Xは、-NR3-であり得る。
【0141】
式(2c)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0142】
式(2c)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-C(=O)-CH3であり得る。
【0143】
式(2c)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-CH3であり得る。
【0144】
式(1)の化合物は、
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(3)、
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)、
N-(4-((8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(5)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
N-(4-(((1R,5S)-3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(9)、及び
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0145】
本開示によって提供される化合物は、式(1)の構造を有し得、
【化12】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1は、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され得、
R
2は、式(2d)の部分であり得、
【化13】
式中、
各A
1及びA
2は、独立して、-CH
2-、-CH(-R
5)-、及び-C(=O)-から選択され得、式中、各R
5は、独立して、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択され得、
A
1及びA
2のうちの1つ以上は、独立して、-CH(-R
5)-及び-C(=O)-から選択され得、
各nは、独立して、1、2、3、及び4から選択され得、
Xは、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され得、R
3は、水素、C
1-6アルキル、C
5-8シクロアルキル、C
6アリール、C
6-12シクロアルキルアルキル、C
7-10アリールアルキル、C
1-6ヘテロアルキル、C
5-8ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、C
7-10ヘテロアリールアルキル、置換C
1-6アルキル、置換C
5-8シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
6-12シクロアルキルアルキル、置換C
7-10アリールアルキル、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
5-8ヘテロシクロアルキル、置換C
5-6ヘテロアリール、置換C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、及び置換C
7-10ヘテロアリールアルキルから選択され得る。
【0146】
式(2d)の部分において、R1は、C1-4アルカンジイルであり得る。
【0147】
式(2d)の部分において、R1は、エタンジイルであり得る。
【0148】
式(2d)の部分において、R1は、メタンジイルであり得る。
【0149】
式(2d)の部分において、各nは、独立して、1、2、及び3から選択され得る。
【0150】
式(2d)の部分において、各nは、2であり得る。
【0151】
式(2d)の部分において、各nは、3であり得る。
【0152】
式(2d)の部分において、各nは、4であり得る。
【0153】
式(2d)の部分において、A1及びA2のうちの1つ以上は、独立して、-CH(-R5)-(式中、R5は、C1-3アルキルであり得る)、及び-C(=O)-から選択され得る。
【0154】
式(2d)の部分において、A1及びA2のうちの1つ以上は、独立して、-CH(-R5)-から選択され得、式中、R5は、C1-3アルキルであり得る。
【0155】
式(2d)の部分において、A1及びA2のうちの1つ以上は、-C(=O)-であり得る。
【0156】
式(2d)の部分において、Xは、-O-であり得る。
【0157】
式(2d)の部分において、Xは、-CH(-OH)-であり得る。
【0158】
式(2d)の部分において、Xは、-SO2-であり得る。
【0159】
式(2d)の部分において、Xは、-NR3-であり得る。
【0160】
式(2d)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択され得る。
【0161】
式(2d)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-C(=O)-CH3であり得る。
【0162】
式(2d)の部分において、Xは、-NR3-であり得、R3は、-CH3であり得る。
【0163】
式(1)の化合物は、
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(1)、
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(7)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、
4-クロロ-N-(4-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(11)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)、
N-(4-((4-アセチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(14)、
4-クロロ-N-(4-((3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(15)、
4-クロロ-N-(4-((4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(16)、及び
4-クロロ-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(17)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0164】
式(2d)の部分において、A1は、-(CH2)n-であり得、式中、nは、1~4の整数であり得、A2は、-(CH2)5-n-であり得、Xは、Oである。
【0165】
式(2d)の部分は、式(2d.1)又は式(2d.2)の構造を有し得る。
【化14】
式中、R
5は、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rは、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rは、C
1-3アルキルである。
【0166】
式(2d)の部分において、A1は、-(CH2)n-であり得、式中、nは、1又は2であり、A2は、-(CH2)3-n-であり得、Xは、-N(-C(=O)-R6)-であり、式中、R6は、から選択される。
【0167】
式(2d)の部分は、式(2d.3)及び式(2d.4)の部分から選択され得る。
【化15】
式中、
R
5は、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rは、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rは、C
1-3アルキルであり、
R
6は、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される。
【0168】
式(2d)の部分において、A1は、-(CH2)n-であり得、式中、nは、1又は2であり得、A2は、-(CH2)3-n-であり得、Xは、Oであり得、1つ又は2つの-CH3置換基を含み得る。
【0169】
式(2d)の部分は、式(2d.5)の構造を有し得る。
【化16】
【0170】
本開示によって提供される化合物は、式(1)の構造を有し得、
【化17】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1は、C
1-4アルカンジイルから選択され得、
R
2は、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換又は非置換部分から選択され、
【化18】
式中、
R
5は、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rは、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rは、C
1-3アルキルであり、
R
6は、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される。
【0171】
式(1)の化合物において、R1は、メタン-ジイル、エタン-ジイル、及びn-プロパン-ジイルから選択される。
【0172】
式(1)の化合物において、R1は、メタン-ジイルである。
【0173】
式(1)の化合物において、R2は、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの非置換部分から選択される。
【0174】
式(1)の化合物において、R2は、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換部分から選択される。
【0175】
式(1)の化合物において、置換部分は、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの構造を有し得、
【化19】
式中、
R
5は、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rは、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、Rは、C
1-3アルキルであり、
R
6は、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される。
【0176】
式(1)の化合物は、溶媒和物、薬学的に許容される塩、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0177】
式(1)の化合物において、薬学的に許容される塩は、塩酸塩であり得る。
【0178】
式(1)の化合物において、薬学的に許容される塩は、二塩酸塩であり得る。
【0179】
式(1)の化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩、その水和物、又は前述のいずれかの溶媒和物であり得る。
【0180】
本開示によって提供される化合物は、p38 MAPK阻害剤及び/又はp38α MAPKタンパク質活性の調節剤であり得る。
【0181】
本開示によって提供される化合物は、選択的にp38α MAPKに結合することができる。本開示によって提供される選択的p38α MAPK阻害剤は、p38α MAPKの標的ポケットに対してp38β MAPKに対してより高い結合親和性を有し得る。予め設定された本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKを選択的に阻害することができる。p38α MAPK阻害剤は、CD及びEDドメインと称される2つの酸性パッチ間に延在する、p38α MAPKの基質結合溝の近くでp38α MAPKに結合することができる。結合ポケットは、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義することができる。結合ポケットは、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65によって定義することができる。
【0182】
本開示によって提供される化合物のp38α MAPKへの選択的結合は、相補的な技術を使用して確認することができる。例えば、選択的p38α MAPK阻害剤は、リガンド誘発性タンパク質安定化を検出する、示差走査蛍光測定(DSF)を使用して決定されるように、p38βではなくp38αの融解温度の濃度依存的増加を示すことができる。タンパク質からリガンドプロトンへの非スカラー磁化移動を介して低親和性タンパク質/リガンド結合を測定する、STD-NMRを使用して、p38αへの特定の化合物結合を確認し、その芳香族環への相互作用を局在化することができる。p38α MAPK阻害剤は、p38α MAPKの融解温度の濃度依存的増加を引き起こし得る。融解温度Tmの差は、1nM~1,000μMのp38α MAPK阻害剤濃度、例えば、100μMの濃度で測定することができる。例えば、融解温度の差は、0.1℃~約2℃であり得る。
【0183】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKのED基質ドッキング部位の近くでポケットと相互作用することができる。
【0184】
本開示によって提供される化合物は、CD及びEDドメイン間に延在する、p38α MAPKの基質結合溝の近くでp38α MAPKに結合することができる。
【0185】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKとの相互作用を通してMK2リン酸化を阻害することができる。
【0186】
本開示によって提供される化合物は、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドと競合的にp38α MAPKに結合することができる。
【0187】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKサブユニットに、p38β MAPKサブユニットに結合するためのIC50未満のIC50で結合することができる。
【0188】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、logP、例えば、-5~10、-3~8、0~5、0.1~3、0.1~1、0.5~1.5、0.75~2、1~2.5、又は1.75~3を有し得る。LogPは、薬物溶解度の尺度であり、化合物のオクタノール/水分配係数の対数として定義される。
【0189】
MK2のリン酸化は、p38α MAPKにおける標的ポケットに隣接するED部位への結合を必要とする。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるアミノ酸R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義することができる。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるR49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65から選択されるアミノ酸によって定義することができる。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるアミノ酸R49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65によって定義することができる。
【0190】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、MK2リン酸化を少なくとも部分的に阻害することができる。例えば、ウェスタンブロッティングを使用して、本開示によって提供される化合物によるアニソマイシン刺激型HeLa細胞におけるMK2リン酸化の阻害を測定することができる。
【0191】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、内皮又は上皮バリア機能を安定化することができる。内皮バリア透過性は、TNFa及び温熱療法への別個の又は組み合わされた曝露、続いて10kDaのデキストランについての透過性の測定によって測定することができる。例えば、内皮バリア安定化は、本開示によって提供される化合物で前処理することによって評価することができ、その前後に透過性測定が行われ、安定化は、前処理の前後の透過性増加の低減パーセントとして表すことができる。10kDaデキストランの透過性増加は、例えば、5%超、10%超、20%超、40%超、60%超、80%超、又は100%超などの、5%~100%超低減することができる。
【0192】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、例えば、RNASeqを使用して決定されるように、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVECL)におけるTNFa誘発性遺伝子発現を調節することができる。例えば、HMVECLは、適切な濃度のp38α MAPK阻害剤で一定期間にわたって前処理し、次いでTNFaで一定期間にわたって刺激することができる。本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、PRRG4、TSLP、CCLI7、EXOC3L4、MMP9、IDOI、CXCLlO、CD200、SLCI5A3、VDR、ILIB、GPR88、CD207、TCHH、HAS3、GBPIPI、MUC4、ELOVL7、CXCLll、GBP4、PLAIA、及び/又はCXCL5などの遺伝子を阻害することができる。
【0193】
炎症性サイトカイン発現に対するp38α MAPK阻害剤の効果は、PMA分化THPI細胞をp38α MAPK阻害剤で前処理し、次いでLPSで刺激し、PCRベースのサイトカインアレイによる分析のために後で一定期間RNAを収集することによって決定することができる。p38α MAPK阻害剤は、IL-IA、IL-8、TNFSF8、CXCL5、CCL7、CCLI7、TNFSF9、IL-IB、CXCLI、TNFSFI5、CCL5、CCL4、CCL20、CXCL2、TNF、又はBMP6などの、様々な遺伝子の発現を阻害することができる。p38α MAPK阻害剤は、Foxp3 T調節細胞の分化を駆動し、インターフェロン-γを抑制するSmad3の発現を阻害することができる。炎症低減は、p38α MAPK阻害剤の様々な濃度での倍率変化mRNAレベル対非刺激型PMA分化THPI細胞を比較することによって測定することができる。
【0194】
式(1)の化合物は、当該技術分野で既知の方法を使用して合成することができる。
【0195】
合成前駆体4-クロロ-N-(4-(クロロメチル)フェニル)ベンズアミド(B)を調製するために、塩化4-クロロベンゾイルをTHF(100mL)中の(4-アミノフェニル)メタノール及び酢酸ナトリウムの撹拌溶液に室温(23℃)で添加し、室温で1.5時間反応させることができる。
【0196】
反応混合物を抽出し、有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮して、4-クロロ-N-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(A)を提供することができる。塩化メタンスルホニルをDCM中の4-クロロ-N-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(A)の撹拌溶液に室温で加え、反応混合物を室温で2時間撹拌することができる。反応混合物を抽出、洗浄、乾燥、及び濾過して、前駆体4-クロロ-N-(4-(クロロメチル)フェニル)ベンズアミド(B)を提供することができる。
【0197】
式(1)の化合物は、無水炭酸カリウムを、DMF中の化合物(A)(200mg、0.714mmol)及び複素環式部分(式(1)の化合物中のR2)の撹拌混合物に添加することによって調製し、50℃で2時間撹拌しながら反応させることができる。反応混合物を濾過し、精製して、式(1)の化合物を提供することができる。
【0198】
本開示によって提供される式(1)の化合物は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口(oral)、経口(peroral)、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、又は局所を含む任意の適切な投与経路によって患者に投与される薬学的組成物に組み込むことができる。本開示によって提供される薬学的組成物は、注射可能な製剤であり得る。本開示によって提供される薬学的組成物は、注射可能な静脈内製剤であり得る。本開示によって提供される薬学的組成物は、経口製剤であり得る。経口製剤は、経口剤形であり得る。薬学的組成物は、静脈内投与又は皮下投与のために製剤化することができる。
【0199】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者への適切な投与のための組成物を提供するために、好適な量の1つ以上の薬学的に許容されるビヒクルと一緒に治療有効量の式(1)の化合物を含み得る。好適な薬学的ビヒクル及び薬学的組成物を調製する方法は、当該技術分野で説明されている。
【0200】
治療に対する単一の患者の反応を評価し、患者を最適な治療法に認定することは、現代の医療における最大の課題の一つであり、パーソナライズされた医療の動向に関連している。式(1)の化合物は、例えば、特定のがん及び免疫細胞について、標的選択性を有し得る。陽電子放出断層撮影(PET)又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のために放射性標識された式(1)の化合物を使用して、単一試験ケースバイケース患者分析に基づいて、治療の標的化を予測することができ、よって治療から利益を得ないと予想される患者を除外する。式(1)の化合物を使用したPET/SPECTスキャンは、濃度と相関すると、3次元分布マップを提供することができ、これは次いで巨視的用量計算に使用することができる。
【0201】
したがって、療法のために式(1)の化合物及び/又はその薬学的組成物をアッセイ及び使用することは、当業者の能力の範囲内である。
【0202】
式(1)の化合物及び/又はその薬学的組成物は、一般に、意図された目的を達成するために有効な量で使用することができる。がん、自己免疫疾患、又は炎症性疾患などの疾患を治療する使用について、式(1)の化合物及び/又はその薬学的組成物は、治療有効量で投与又は適用され得る。
【0203】
本明細書に開示される特定の障害又は状態の治療において有効であろう式(1)の化合物及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物の量は、部分的に、疾患又は状態の性質に依存し、当該技術分野で既知の標準的な臨床技法によって決定され得る。加えて、インビトロ又はインビボアッセイは、任意に、最適な投与範囲を特定するのを助けるために使用され得る。投与される式(1)の化合物、及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物の量は、他の因子の中でも、治療されている患者、患者の体重、罹患の重症度、投与方法、及び処方医の判断に依存するであろう。
【0204】
式(1)の化合物は、ヒトにおける使用前に、所望の治療活性について、インビトロ及びインビボでアッセイすることができる。例えば、インビトロアッセイは、特定の化合物又は化合物の組み合わせの投与が好ましいかを決定するために使用され得る。化合物はまた、動物モデルシステムを使用して効果的かつ安全であると実証することができる。
【0205】
特定の実施形態では、治療有効用量の式(1)の化合物及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物は、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療的利益を提供するであろう。式(1)の化合物及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物の毒性は、標準的な薬学的手順を使用して決定され得、当業者によって容易に確認され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指標である。式(1)の化合物及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物は、疾患及び障害を治療することにおいて特に高い治療指数を示す。式(1)の化合物、及び/又は前述のいずれかの薬学的組成物の用量は、最小限の毒性で有効用量を含む循環濃度の範囲内であろう。
【0206】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、治療目的のために化合物を患者に投与するために使用され得るキットに含まれ得る。キットは、患者への投与に好適な本開示によって提供される化合物を含む薬学的組成物と、薬学的組成物を患者に投与するための指示とを含み得る。キットは、がんを治療するため、自己免疫疾患を治療するため、又は炎症性疾患を治療するために好適であり得る。がんを治療することにおける使用のため、自己免疫疾患を治療するため、又は炎症性疾患を治療するためのキットは、本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物と、患者に化合物を投与するための指示とを含むことができる。
【0207】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、容器、パック、又はディスペンサーに投与の指示と一緒に含まれ得る。
【0208】
キットとともに供給される使用説明書は、例えば、電子可読媒体、ビデオカセット、オーディオテープ、フラッシュメモリデバイスとして印刷及び/若しくは供給されてもよく、又はインターネットウェブサイト上で公開されてもよく、又は電子通信として患者及び/若しくは医療提供者に配布されてもよい。
【0209】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、患者において疾患を治療するために使用することができる。
【0210】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、疾患の病因がp38α MAPKタンパク質の上方調節及び/又は下方調節と関連付けられる、疾患を治療するために使用することができる。
【0211】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本開示によって提供される化合物又は組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療することを含み、疾患は、p38α MAPKタンパク質を阻害することによって治療される。
【0212】
ストレス及びサイトカイン活性化キナーゼのp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーは、例えば、がん、リウマチ性関節炎、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症、心血管疾患、多発性硬化症、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び急性肺損傷(ALI)を含む、多くのヒト疾患の病因と関連付けられる。p38 MAPKによって調節される多くの重要な生物学的プロセスのうち、内皮及び上皮バリア機能、白血球トラフィキング、及びサイトカイン発現の調節は、急性及び慢性炎症性障害の病因の中心である。
【0213】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、患者においてがんを治療するために使用され得る。がんは、例えば、固形腫瘍又は転移であり得る。
【0214】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者においてがんを治療する方法を含む。
【0215】
好適ながんの例としては、聴神経鞘腫、腺がん、脈管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性がん、子宮頸がん、脊索腫、絨毛がん、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺がん、胎児性がん、内皮がん、上衣腫、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝がん、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様がん、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、筋肉腫、鼻腔がん、神経芽腫、乏突起膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腺がん、乳頭がん、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、肉腫、皮脂腺がん、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺がん、咽頭がん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液がん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病が挙げられる。
【0216】
好適ながんの例としては、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、結腸がん、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣がん、脳がん、原発性脳がん腫、頭頸部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝臓がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん腫、乳がん腫、卵巣がん腫、肺がん腫、小細胞肺がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部がん腫、精巣がん腫、膀胱がん腫、膵臓がん腫、胃がん腫、結腸がん腫、前立腺がん腫、尿生殖器がん腫、甲状腺がん腫、食道がん腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎がん腫、腎細胞がん腫、子宮内膜がん腫、副腎皮質がん腫、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイドがん腫、絨毛がん、菌状息肉症、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、有毛細胞白血病、神経芽腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性多血症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、又は網膜芽腫などが挙げられる。他の実施形態では、がんは、聴神経鞘腫、腺がん、脈管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性がん、子宮頸がん、脊索腫、絨毛がん、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺がん、胎児性がん、内皮がん、上衣腫、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝がん、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様がん、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、筋肉腫、鼻腔がん、神経芽腫、乏突起膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腺がん、乳頭がん、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、肉腫、皮脂腺がん、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺がん、咽頭がん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液がん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0217】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、例えば、以下のがん:急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、虫垂がん、星細胞腫、非定型奇形腫様/横紋筋様腫瘍、基底細胞がん(非黒色腫)、B細胞リンパ腫、膀胱がん、骨がん、脳及び脊髄腫瘍、脳幹がん、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、頭頸部のがん、中枢神経系胎児性腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頚がん、脊索腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、乳管がん、色素がん、内分泌膵臓腫瘍(島細胞腫瘍)、子宮内膜がん、上衣芽細胞腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイングファミリーの腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠芽腫、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頚部がん、心臓がん、リンパ系統の造血腫瘍、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部及び視路神経膠腫、IDs関連リンパ腫、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、口唇及び口腔がん、男性乳がん、悪性線維性組織球腫、悪性生殖細胞腫瘍、悪性中皮腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、中皮腫、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成、骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣生殖細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍(島細胞腫瘍)、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体実質腫瘍、松果芽細胞腫及び小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠及び乳がん、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓がん、不顕性を伴う原発性転移性頸部扁平上皮がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂及び尿管、気道がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん(非黒色腫)、胃がん、小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、視路及び視床下部神経膠腫、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、並びに前述のいずれかの全身及び中枢転移のうちの1つ以上を治療するために使用することができる。
【0218】
本開示によって提供される方法は、がんを治療する方法を含み、がんは、乳がん及び黒色腫から選択される。
【0219】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において炎症性疾患を治療する方法を含む。
【0220】
炎症性疾患の例としては、アレルギー、アルツハイマー病、貧血、強直性脊椎炎、関節炎、アテローム性動脈硬化症、喘息、自閉症、関節炎、手根管症候群、セリアック病、大腸炎、クローン病、うっ血性心不全、皮膚炎、糖尿病、憩室炎、湿疹、線維筋痛、線維症、胆嚢疾患、胃食道逆流症、橋本甲状腺炎、心臓発作、肝炎、過敏性腸症候群、腎不全、狼炎、多発性硬化症、腎炎、神経障害、膵炎、パーキンソン病、乾癬、多発性筋痛、リウマチ、リウマチ性関節炎、硬化性皮膚炎、脳卒中、外科合併症、及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。
【0221】
本開示によって提供される方法は、患者において炎症性疾患を治療する方法を含み、炎症性疾患は、例えば、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択される。
【0222】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において自己免疫疾患を治療する方法を含む。
【0223】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、自己免疫疾患を治療するのに有用であり得る。自己免疫疾患は、免疫系がそれ自体のタンパク質、細胞、及び/又は組織を攻撃するヒト疾患として定義することができる。自己免疫疾患の包括的なリスト及びレビューは、例えば、The Autoimmune Diseases,Rose and Mackay,2014,Academic Pressに見出すことができる。
【0224】
自己免疫疾患の例としては、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBN腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性自律神経失調症、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索及びニューロン神経障害、バロ病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ・ストラウス、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心臓ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病、円盤状狼瘡、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化症、免疫性血小板減少性紫斑病、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性糖尿病、若年性筋炎、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病、狼瘡、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、ムッカ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、パリー・ロンバーグ症候群、扁平部炎、パーソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグス症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣自己免疫、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、血小板減少性紫斑病、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、並びにウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0225】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、例えば、狼瘡、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、妊娠の自然喪失、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患などの自己免疫疾患を治療するために使用することができる。
【0226】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、自己免疫疾患を治療するための1つ以上の追加の治療剤とともに投与することができる。式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、プレドニゾン、ブデソニド、及びプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;トファシチニブなどのヤヌスキナーゼ阻害剤;シクロスポリン及びタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;シロリムス及びエベロリムスなどのmTOR阻害剤;アザチオプリン、レフルノミド、及びマイコフェノール酸塩などのIMDH阻害剤;アバタセプトアダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、及びベドリズマブなどの生物製剤;並びにバシリキシマブ及びダクリズマブなどのモノクローナル抗体を含む、1つ以上の免疫抑制剤と併せて投与され得る。
【0227】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、急性冠動脈症候群、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アルツハイマー病、喘息、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患、大うつ病性障害、多発性硬化症、神経因性疼痛、及びリウマチ性関節炎から選択される。
【0228】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、例えば、難聴、筋変性、ヴェルナー症候群、細胞老化、又はアルツハイマー病などの加齢関連疾患である。
【0229】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、突発性難聴、薬物誘発性難聴、加齢性難聴、及びデュシェンヌ筋ジストロフィーから選択される。
【0230】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、ウイルス性疾患を治療するために患者に投与され得る。
【0231】
好適なウイルス性疾患の例としては、Acinetobacter感染症、放線菌症、アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)、AIDS(後天性免疫不全症候群)、アメーバ症、アナプラズマ症、アンギオストロンギルス症、アニサキス症、炭疽症、Arcanobacterium haemolyticum感染症、アルゼンチン出血熱、回虫症、アスペルギルス症、アストロウイルス感染症、バベシア症、Bacillus cereus感染症、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、細菌性膣炎、Bacteroides感染症、バランチジウム症、バルトネラ症、Baylisascaris感染症、ベジェル、梅毒、フランベジア、BKウイルス感染症、黒色砂毛症、ブラストシストーシス、ブラストミセス症、ボリビア出血熱、ボツリヌス症(及び乳児ボツリヌス症)、ブラジル出血熱、ブルセラ症、腺ペスト、Burkholderia感染症、ブルーリ潰瘍、カリシウイルス感染症(ノロウイルス及びサポウイルス)、カンピロバクター症、カンジダ症(モニリア症、鵞口瘡)、カピラリア症、カリオン病、猫ひっかき病、蜂巣炎、シャーガス病(American trypanosomiasis)、軟性下疳、水痘、チクングニア熱、クラミジア、Chlamydophila pneumoniae感染症(台湾急性呼吸器因子又はTWAR)、コレラ、クロモブラストミコーシス、ツボカビ症、肝吸虫症、Clostridium difficile大腸炎、コクシジオイデス症、コロラドダニ熱(CTF)、風邪(急性ウイルス性鼻咽頭炎)、急性鼻感冒、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、又はSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、コロナウイルス感染症に関連する肺炎、ヒト呼吸器症候群感染症、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、クリプトコッカス症、クリプトスポリジウム症、皮膚幼虫移行症(CLM)、シクロスポラ症、嚢虫症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、デスモデスムス感染症、ジエンタメビアシス、ジフテリア、裂頭条虫症、メジナ虫症、エボラ出血熱、エキノコックス症、エーリキア症、蟯虫症(蟯虫感染症)、 Enterococcus感染症、エンテロウイルス感染症、発疹チフス、エプスタイン・バールウイルス伝染性単核症(Mono)、伝染性紅斑(第5病)、突発性発疹(第6病)、肝蛭症、肥大吸虫症、致死性家族性不眠症(FFI)、フィラリア症、Clostridium perfringensによる食中毒、自由生活性アメーバ感染症、Fusobacterium感染症、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、ジオトリクム症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、ジアルジア症、顎口虫症、淋病、鼠径肉芽腫(ドノバン症)、A群連鎖球菌感染症、B群連鎖球菌感染症、Haemophilus influenzae感染症、手足口病(HFMD)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、ハートランドウイルス感染症、Helicobacter pylori感染症、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腎症候性出血熱(HFRS)、ヘンドラウイルス感染症、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペス、ヒストプラスマ症、鉤虫感染症、ヒトボカウイルス感染症、ヒトewingii ehrlichiosis、ヒト顆粒球アナプラズマ症(HGA)、ヒトメタニューモウイルス感染症、ヒト単球性エーリキア症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ヒトパラインフルエンザウイルス感染症、膜様条虫症、インフルエンザ(流感)、イソスポラ症、川崎病、角膜炎、Kingella kingae感染症、クールー病、ラッサ熱、レジオネラ症(レジオネラ病)、リーシュマニア症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病(ライムボレリア症)、リンパ球性フィラリア症(象皮病)、リンパ球性脈絡髄膜炎、マラリア、マールブルグ出血熱(MHF)、麻疹、類鼻疽(ホイットモア病)、髄膜炎、髄膜炎菌性疾患、横川吸虫症、微胞子虫症、中東呼吸器症候群(MERS)、伝染性軟属腫(MC)、サル痘、流行性耳下腺炎、発疹熱、菌腫、mycoplasma genitalium感染症、マイコプラズマ肺炎、蝿蛆症、新生児結膜炎(新生児眼炎)、ニパウイルス感染症、ノカルジア症、ノロウイルス(小児及び乳児)、オンコセルカ症(河川盲目症)、オピストルキス症、パラコクシジオイデス症(南米ブラストミセス症)、肺吸虫症、パスツレラ症、アタマジラミ寄生症(アタマジラミ)、コロモジラミ寄生症(コロモジラミ)、ケジラミ寄生症(ケジラミ)、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳、ペスト、肺炎球菌感染症、ニューモシスチス肺炎(PCP)、肺炎、ポリオ、ポンティアック熱、Prevotella感染症、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)、進行性多巣性白質脳症、オウム病、Q熱、狂犬病、回帰熱、呼吸器合胞体ウイルス感染症、リノスポリジウム症、リノウイルス感染症、リケッチア感染症、リケッチア痘、リフトバレー熱(RVF)、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、ロタウイルス感染症、風疹、サルモネラ症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、疥癬、猩紅熱、住血吸虫症、敗血症、細菌性赤痢、帯状疱疹、天然痘、スポロトリクム症、ブドウ球菌食中毒、ブドウ球菌感染症、糞線虫症、亜急性硬化性全脳炎、条虫症、破傷風、白癬性毛瘡、頭部白癬、体部白癬、頑癬、手白癬、黒癬、足白癬、爪白癬、癜風、トキソカラ症(眼幼虫移行症(OLM))、トキソカラ症(内蔵幼虫移行症(VLM))、トキソプラズマ症、トラコーマ、旋毛虫症、トリコモナス症、鞭虫症(鞭虫感染症)、結核、野兎症、腸チフス、Ureaplasma urealyticum感染症、渓谷熱、ベネズエラウマ脳炎、ベネズエラ出血熱、vibrio parahaemolyticus腸炎、vibrio vulnificus感染症、ウイルス性肺炎、ウエストナイル熱、白色砂毛症、黄熱病、Yersinia pseudotuberculosis感染症、エルシニア症、ゼアスポラ、ジカ熱、並びに接合菌症が挙げられる。
【0232】
がんの治療において有効であろう本開示によって提供される式(1)の化合物、又はその薬学的組成物の量は、少なくとも部分的に、疾患の性質に依存し得、当該技術分野で既知の標準的な臨床技法によって決定され得る。加えて、インビトロ又はインビボアッセイは、最適な投薬範囲を特定するのを助けるために使用され得る。投薬レジメン及び投薬間隔はまた、当業者に既知の方法によって決定され得る。投与される本開示によって提供される式(1)の化合物の量は、他の因子の中でも、治療されている患者、患者の体重、疾患の重症度、投与経路、及び処方医の判断に依存し得る。
【0233】
全身投与について、治療有効用量は、最初にインビトロアッセイから推定され得る。初期用量はまた、当該技術分野で既知の技法を使用して、インビボデータ、例えば、動物モデルから推定され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用できる。当業者であれば、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化してもよい。
【0234】
本開示によって提供される式(1)の化合物の用量及び適切な投薬間隔は、患者の血液中の本開示によって提供される式(1)の化合物の持続的な治療有効濃度を、特定の実施形態では、最小有害濃度を超えることなく、維持するように選択され得る。
【0235】
本開示によって提供される式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、例えば、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、又は6週間毎に1回投与され得る。投薬は、単独で又は他の薬物と組み合わせて提供されてもよく、疾患の有効な治療に必要な限り継続してもよい。投薬はまた、一定の期間にわたって連続的又は半連続的な投与を使用して行われ得る。投薬には、哺乳動物、例えばヒトに、給餌状態又は絶食状態で薬学的組成物を投与することが含まれる。
【0236】
薬学的組成物は、単一の剤形又は複数の剤形で、又は一定期間にわたって連続的若しくは累積的な用量として投与され得る。複数の剤形が使用される場合、複数の剤形の各々の内に含有される本開示によって提供される式(1)の化合物の量は、同じでも異なっていてもよい。
【0237】
投与に好適な1日用量範囲は、例えば、体重1キログラム当たり約2μg~約200mgの本開示によって提供される式(1)の化合物の範囲であり得る。
【0238】
投与に好適な1日用量範囲は、例えば、体表面の平方メートル(m2)当たり約1μg~約50mgの本開示によって提供される式(1)の化合物の範囲であり得る。
【0239】
本開示によって提供される式(1)の化合物は、患者においてがんを治療するために、例えば、0.001mg/日~100mg/日の量で、又は任意の他の適切な1日用量で投与され得る。用量は、例えば、0.01μg/kg体重/週~100μg/kg体重/週、又は任意の他の好適な用量であり得る。
【0240】
本開示によって提供される式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、患者においてがんを治療するために、患者の血液又は血漿中の本開示によって提供される式(1)の化合物の治療有効濃度を提供するように投与され得る。患者の血液中の本開示によって提供される式(1)の化合物の治療有効濃度は、例えば、0.01μg/L~1,000μg/L、0.1μg/L~500μg/L、1μg/L~250μg/L、又は約10μg/L~約100μg/Lであり得る。患者の血液中の本開示によって提供される式(1)の化合物の治療有効濃度は、例えば、少なくとも0.01μg/L、少なくとも0.1μg/L、少なくとも1μg/L、少なくとも10μg/L、又は少なくとも100μg/Lであり得る。患者の血液中の式(1)の化合物の治療有効濃度は、例えば、恒常性への有害効果を含む許容されない有害効果を引き起こす量未満であり得る。患者の血液中の式(1)の化合物の治療有効濃度は、患者において恒常性を回復及び/又は維持するのに十分な量であり得る。
【0241】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者において疾患を治療するために、患者の血液中の式(1)の化合物の治療有効濃度を、例えば、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、1日、又は2日などの期間にわたって提供するように投与され得る。
【0242】
投与される式(1)の化合物の量は、治療レジメン中に変動し得る。
【0243】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)の化合物に加えて、1つ以上の薬学的に活性な化合物を更に含み得る。そのような化合物は、例えば、式(1)の化合物で治療されているがんを治療するため、又は式(1)の化合物で治療されているがん以外の疾患、障害、若しくは状態を治療するため、式(1)の化合物を投与することによって引き起こされる副作用を治療するため、式(1)の化合物の有効性を増強するため、及び/又は式(1)の化合物の活性を調節するために提供され得る。
【0244】
本開示によって提供される式(1)の化合物は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて投与され得る。式(1)の化合物は、患者においてがんを治療するための別の化合物と一緒に患者に投与され得る。少なくとも1つの他の治療剤は、式(1)の第2の異なる化合物であり得る。式(1)の化合物及び少なくとも1つの他の治療剤は、相加的に、又は特定の実施形態では、式(1)の別の化合物と相乗的に作用し得る。少なくとも1つの追加の治療剤は、式(1)の化合物を含む同じ薬学的組成物若しくはビヒクルに含まれ得るか、又は別個の薬学的組成物若しくはビヒクルに含まれ得る。したがって、本開示によって提供される方法は、式(1)の化合物を投与することに加えて、がん又はがんとは異なる疾患、障害、若しくは状態を治療するために有効な1つ以上の治療剤を投与することを更に含む。本開示によって提供される方法は、式(1)の化合物及び1つ以上の他の治療剤の投与を含み、ただし、併用投与は、式(1)の化合物の治療有効性を阻害しない、且つ/又は有害な併用効果を生じない。
【0245】
式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、別の治療剤の投与と同時に投与され得、これは、式(1)の化合物を含む薬学的組成物と同じ薬学的組成物の一部であるか、又はそれとは異なる薬学的組成物中にあり得る。式(1)の化合物は、別の治療剤の投与前又は投与後に投与され得る。特定の併用療法において、併用療法は、例えば、特定の薬物に関連する有害な薬物効果を最小限に抑えるために、式(1)の化合物と別の治療剤を含む組成物とを交互に投与することを含み得る。式(1)の化合物が、例えば、毒性を含む、有害な薬物効果を潜在的に生じ得る別の治療剤と同時に投与される場合、他の治療剤は、有害な薬物反応が誘発される閾値を下回る用量で投与され得る。
【0246】
本開示によって提供される式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、例えば、式(1)の化合物の放出、バイオアベイラビリティ、治療有効性、治療効力、及び/又は安定性を増強、調節、及び/又は制御するために、1つ以上の物質とともに投与され得る。例えば、式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、式(1)の化合物の治療有効性を増強する薬理学的効果を有する活性剤と同時投与することができる。
【0247】
式(1)の化合物、又はその薬学的組成物は、式(1)の化合物で治療されている同じ疾患などの、患者におけるがん、自己免疫疾患、又は炎症性疾患などの疾患を治療するのに有効であることが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0248】
式(1)の化合物、又はその薬学的組成物は、細胞増殖に干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0249】
式(1)の化合物、又はその薬学的組成物は、細胞代謝に干渉する、代謝拮抗剤である、RNA転写に干渉する、RNA翻訳に干渉する、細胞タンパク質合成に干渉する、DNA合成及び複製のための前駆体の合成に干渉する、プリン合成に干渉する、ヌクレオシド合成に干渉する、mTORと相互作用する、mTOR阻害剤である、細胞周期チェックポイントに干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0250】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、イピリムマブなどのCTLA-4阻害剤、ペンブロリズマブ及びニボルマブなどのPD-1阻害剤、並びに/又はアテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブなどのPD-LI阻害剤を含むチェックポイント阻害剤と併せて投与され得る。式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、CD137/4-1BB、CD27、GIYR、及び/又はOC40などの免疫調節剤と併せて投与され得る。
【0251】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、細胞傷害性である、DNA損傷を引き起こす、細胞周期停止を引き起こす、又は分裂期細胞死を引き起こすことが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0252】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、グルタチオン濃度を調節する、細胞内のグルタチオン濃度を調節する、細胞内のグルタチオン濃度を低下させる、細胞内へのグルタチオン取り込みを低減する、グルタチオン合成を低減する、又は細胞内のグルタチオン合成を低減することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0253】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、新生血管形成に干渉する、新生血管形成を低減する、又は新生血管形成を促進することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0254】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、ホルモン恒常性に干渉する、ホルモン合成に干渉する、ホルモン受容体結合に干渉する、又はホルモンシグナル伝達に干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0255】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、成長因子恒常性に干渉する、成長因子受容体発現に干渉する、成長因子受容体への成長因子結合に干渉する、成長因子受容体シグナル伝達に干渉する、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達に干渉する、ヘッジホッグ経路シグナル伝達を阻害する、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)経路シグナル伝達を阻害する、又は非相同末端結合(NHEJ)経路を阻害することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0256】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)阻害剤、RTK(受容体チロシンキナーゼ)阻害剤、ナトリウムチャネル電流遮断剤、aFAK(焦点接着キナーゼ)阻害剤、GLI(神経膠腫関連がん遺伝子)阻害剤、GLI1阻害剤、GLI2阻害剤、GLI3阻害剤、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)阻害剤、MAPK/ERK経路(Ras-Raf-MEK-ERK経路としても知られる)阻害剤、MEK1阻害剤、MEK2阻害剤、MEK5阻害剤、MEK5/ERK5阻害剤、aRTA(尿細管性アシドーシス)阻害剤、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害剤、Aa LKキナーゼ阻害剤、核転座阻害剤、PORCN(ヤマアラシ)阻害剤、5-ARI(5α還元酵素阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤、Ras(ラット肉腫)阻害剤、K-ras阻害剤、CERK(セラミドキナーゼ)阻害剤、PKB(プロテインキナーゼB、別名AKT)阻害剤、AKT1阻害剤、EZH2(zesteホモログ2のエンハンサー)阻害剤、BET(ブロモドメイン及びエクストラターミナルドメインモチーフ)阻害剤、SYK(脾臓チロシンキナーゼ)阻害剤、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤、SYK/JAK阻害剤、IDO(インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤、IDO1阻害剤、RXR(レチノイン酸X受容体)活性化剤、選択的RXR活性化剤、p糖タンパク質阻害剤、ERK阻害剤、PI3K(ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼ)阻害剤、BRD(ブロモドメイン含有タンパク質)阻害剤、BRD2阻害剤、BRD3阻害剤、BRD4阻害剤、BRDT(ブロモドメイン精巣特異的タンパク質)阻害剤、逆転写酵素阻害剤、NRT(ヌクレオシド類似体逆転写酵素)阻害剤、PIM(モロニーウイルスのプロウイルスインテグレーション)阻害剤、EGFR(表皮増殖因子受容体)阻害剤、光増感剤、放射線増感剤、ROS(がん原遺伝子、受容体チロシンキナーゼ)阻害剤、ROS1(がん原遺伝子1)阻害剤、CK(カゼインキナーゼ)阻害剤、CK2阻害剤、Bcr-Abl(ブレークポイントクラスター領域-Abelsonがん原遺伝子)チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ダサチニブ、微小管安定化剤、微小管解重合/分解阻害剤、DNAインターカレーター、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、化学保護剤、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤、DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)阻害剤、DPP-4阻害剤、BTK(ブルトンのチロシンキナーゼ)阻害剤、キナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブ、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ニロチニブ、ARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)阻害剤、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、CDK4/6阻害剤、HIF1α(低酸素誘導性因子1-α)阻害剤、DNAリガーゼ阻害剤、DNAリガーゼIV阻害剤、NHEJ(非相同末端結合)阻害剤、DNAリガーゼIV、NHEJ阻害剤及びRAF阻害剤、TKI及びRAF阻害剤、TKI及びRAF阻害剤、例えば、ソラフェニブ、PDT(光力学療法)増感剤、ATR(毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連プロテインキナーゼ)阻害剤、又は前述のいずれかの組み合わせであることが知られているか、又は考えられている1つ以上の薬剤と併せて投与され得る。
【0257】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、フルキンチニブ、モテサニブ/AMG-706、バタラニブなどのVEGFR阻害剤;ポナチニブなどのRTK阻害剤;GS967などのナトリウムチャネル遮断剤;TAE226などのFAK阻害剤;GANT61などのGLI1及びGLI2阻害剤;ビニメチニブなどのMEK阻害剤;リニファニブなどのRTA阻害剤;ブリグスチニブなどのALK阻害剤;ブロモピルビン酸;チオテパなどのDNAアルキル化剤;JSH-23などの核転座因子;Wnt-C59などのPORCn阻害剤;デュタステリドなどの5α還元酵素阻害剤;カルビシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤;Kobe0065などのRAS阻害剤;NVP-231などのCerK阻害剤;アプロセルチブなどのAKT阻害剤;GSK-503などのEZH2阻害剤;OTX015などのBETブロモドメイン阻害剤;BIX02189などのMEK5/ERK5阻害剤;セルデュラチニブなどのSyl/JAK阻害剤;NLG919などのIDO1阻害剤;ベキススロテンなどのレチノイン酸X受容体活性化剤;アコチアミド若しくはアクトチアミドHClなどのPGP阻害剤;SCH772984などのErk阻害剤;ゲダトリシブなどのPI3K阻害剤;ルキソリチニブなどのJAK阻害剤;アフレセルチブ又はアフレセルチブHClなどのAKT阻害剤;セリチニブなどのALK1阻害剤;アベキシノスタットなどのHDAC阻害剤;オアマリグリプチンなどのDPP阻害剤;ゲフィチニブなどのEGFR阻害剤;GSK126などのEZH2阻害剤;イブルチニブなどのBTK阻害剤;イマチニンHClなどのキナーゼ阻害剤;INCB024360などのIDO阻害剤;マイトマイシンCなどのDNA架橋剤;ニロチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤;オラパリブなどのPARP阻害剤;パクリタキセルなどのチューブリン安定化プロモーター;パルボシクリブなどのCDK4/6阻害剤;スニチニブなどのRTK阻害剤;ツルスポルフィンなどのPDT増感剤;タリキダールなどのp糖タンパク質阻害剤;VE-822などのATR阻害剤;PCI-24781などのHDAC阻害剤;オマリグリプチンなどのDPP阻害剤;ゲフィニブなどのEGFR阻害剤;GSK126などのEZH2阻害剤;イルブルチニブなどのBTK阻害剤;INCB024360などのIDO阻害剤;又は前述のいずれかの組み合わせのような、1つ以上の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0258】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、N-アセチルシステイン(NAC)、アドリアマイシン、アレムツズマブ、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスコルビン酸、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブチオニンスルホキシム、カルフィルゾミブ、カルムスチン、クロファラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダサチニブ、ダチノマイシン、デフィブロチド、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フィルグラスチム、フロキスリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、インターフェロンアルファ、イピリムマブ、レナリドマイド、ロイコボリン、メルファラン、ミコフェノール酸モフェチル、パクリタキセル、パリフェルミン、パノビノスタット、ペグフィルラスチム、プレドニゾロン、プレドニゾン、レブリミド、リツキシマブ、シロリムス、2-メルカプトエタン硫酸ナトリウム(MESNA)、チオ硫酸ナトリウム、タクロリムス、テモゾロミド、タリドミド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、ベルケイド、又は前述のいずれかの組み合わせなどの、別の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0259】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、葉酸類似体などの1つ以上の代謝拮抗剤;フルオロウラシル、フロクスウリジン、及びシトシンアラビノシドなどのピリミジン類似体;メルカプトプリン、チオグナイン、及びペントスタチンなどのプリン類似体;ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テルチポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミタマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、及びインターフェロンアルファなどの天然産物;シス-白金、及びカルボプラチンなどの白金配位複合体;ミトキサントロン;ヒドロキシ尿素;プロカルバジン;プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、及びロイプロリドなどのホルモン及びアンタゴニスト;アンジオスタチン、レチノイン酸、パクリタキセル、エストラジオール誘導体、及びチアゾロピリミジン誘導体などの抗血管新生剤又は阻害剤;アポトーシス防止剤;トリプトリド;コルヒチン;ルリコナゾール;並びに放射線療法を含む、他の化学療法剤との併用療法で使用することができる。
【0260】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、O6-ベンジルグアニン(O6-BG)などの、DNA修復を阻害する化合物と同時投与され得る。
【0261】
式(1)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、アバレリクス、アベマシクリブ、アビラテロン、酢酸アビラテロン、ABVD、ABVE、AC、アカラブルチニブ、アクラルビシン塩酸塩、AC-T、ADE、アデニン、アド-トラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン、アファチニブ、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アレンドロネートナトリウム、アリトレチノイン、アロプリノールナトリウム、アルペリシブ、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、ゾレドロン酸、アンギオスタチン、アパルタミド、アプレミラスト、アプレピタント、三酸化ヒ素、アスコルビン酸、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンテミ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、アザチオプリンナトリウム、バゼドキシフェン(serm)、BEACOPP、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、ビリコダール、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブリブジン、BuMel、ブセレリン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシム、カバジタキセル、カボザンチニブ、CAF、カラスパルガーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシズマブ-yhdp、CAPOX、カルボプラチン、カルボクオン、カルフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、CEM、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、CEV、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート二ナトリウム、クロファラビン、CMF、コビメチニブ、コパンリシブ塩酸塩、COPDAC、COPP、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラベツムマブ、ダルベポエチンα、ダサチニブ、ダチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デブリブロチド、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジアジコン、ジエチルスチルベストロール、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュルバルマブ、デュタステリド、デュベリシブ、エロツズマブ、エルトロムボパグ、エマパルマブ-lzsg、メシル酸エナシデニブ、エンコラフェニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、エポエチンα、エルダフィチニブ、メシル酸エリブリン、エルロチニブ塩酸塩、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、fec、フェンタニル、フィルグラスチム、フィンゴリモド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルフィリ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォルメスタン、フォルミルメルファラン、フォサプレピタント、フォスタマチニブ二ナトリウム、フォテムスチン、FU-LV、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、フマル酸ギルテリチニブ、マレイン酸グラスデギブ、グルカルピダーゼ、グルタチオン、グリシホスホラミド、グリホスフィン、酢酸ゴセレリン、グラニセトロン、ヘプタプラチン、5-アミノレブリン酸ヘキシル、酢酸ヒストレリン、HPV二価ワクチン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、hyper-CVAD、イバンドロン酸ナトリウム、イブルチニブ、ICE、イコチニブ、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イドクスリジン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、イミキモド、メブチン酸インゲノール、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ、イオベングアン、イピリムマブ、イリノテカン塩酸塩、イボシデニブ、イキサベピロン、クエン酸イキサゾミブ、JEB、酢酸ランレオチド、ラパチニブ、硫酸ラロトレクチニブ、ラソフォキシフェン、l-アスパラギナーゼ、レナリドミド、メシル酸レンバチニブ、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミゾール塩酸塩、レボロイコボリンカルシウム、ロバプラチン、ロムスチン、ロルラチニブ、ルテチウムLu177-ドタテート、マロピタント、マソプロコール、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、スルホン酸メルカプトエタンナトリウム、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、メチレンブルー、メチルイソインジゴチン、臭化メチルナルトレキソン、ミドスタウリン、ミファムルチド、ミルテホシン、ミリプラチン、ミタマイシン、ミトブロニトール、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン塩酸塩、モガムリズマブ-kpkc、モキセツモマブパスドトクス-tdfk、MVAC、ミコフェノール酸モフェチル、ナビキシモルス、n-アセチルシステイン、ナファレリン、ナンドロロン、ネシツムマブ、ネダプラチン、ネララビン、マレイン酸ネラチニブ、ネツピタント、ニロチニブ、ニルタミド、ニムスチン、ニンテダニブ、トシル酸ニラパリブ一水和物、ニボルマブ、ノコダゾール、O6-ベンジルグアニン、オビヌツズマブ、オクトレオチド、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、メペコハク酸オマセタキシン、オンダンセトロン塩酸塩、OPPA、メシル酸オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パシレオチド、パゾパニブ塩酸塩、PCV、PEB、ペガスパルガーゼ、ペグフィルラスチム、ペグインターフェロンα-2b、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペルツズマブ、ピポブロマン、ピラルビシン、プレリキサホル、プリカマイシン、ポラツズマブベドチン-ピイク、ポマリドマイド、ポナチニブ、ポナチニブ塩酸塩、ポルフィメルナトリウム、ポルフィロマイシン、プララトレキセート、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、キナゴリド塩酸塩、二塩化ラジウム223、ラドチニブ、ラロキシフェン、ラロキシフェン塩酸塩、ラルチトレキセド、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカーゼ、ラブリズマブ-cwvz、R-CHOP、R-CVP、組換えHPV二価ワクチン、レゴラフェニブ、R-EPOCH、レチノイン酸、レブリミド、リボシクリブ、R-ICE、リツキシマブ、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、カンシル酸ルカパリブ、ルキソリチニブ、セムスチン、シルツキシマブ、シプロイセル-t、シロリムス、チオ硫酸ナトリウム、ソニデギブ、ソラフェニブフリー、STANFORD V、ストレプトゾシン、スフェンタニル、スニチニブ、TAC、タクロリムス、タグラキソフプ-erzs、タラポルフィンナトリウム、トシル酸タラゾパリブ、タルク、タリモゲン、アヘルパレプベク、タミバロテン、タモキシフェン、クエン酸塩、タペンタドール、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テリフルノミド、テルチポシド、テストラクトン、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チマルファシン、チサゲンレクロイセル、リン酸トセラニブ、トシリズマブ、トポテカン、塩酸塩、トレミフェン、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、トリフルリジン、イピラシル、塩酸塩、トリロスタン、トリプトレリン、トロピセトロン、ウラムスチン、ウリジン、リアセテート、VAC、バルルビシン、VAMP、バンデタニブ、ベドチン、VeIP、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、vip、ビスモデギブ、ボリノスタット、ボリノスタット、XELIRI、XELOX、ジブ-アフリベルセプト、ゾレドロン酸、又は前述のいずれかの組み合わせなどの、1つ以上の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0262】
がん、炎症性疾患、又は自己免疫疾患を治療するための式(1)の化合物又はその薬学的組成物を投与する有効性は、インビトロ及び動物試験を使用して並びに臨床試験において評価され得る。
【0263】
本開示によって提供されるp38α MAPKを阻害する方法は、p38α MAPKを、本開示によって提供される化合物と、p38α MAPKのED基質ドッキング部位の近くのポケットに接触させることを含む。
【0264】
本開示によって提供されるp38α MAPKを阻害する方法は、p38α依存性逆調節応答の喪失をもたらさない。p38α依存性逆調節応答は、マイトジェン及びストレス活性化プロテインキナーゼ-I(MSKl)、又はMSK2に関する。p38αのED基質ドッキング部位の近くのポケットを標的とする際、本開示によって提供される阻害剤は、MSKl/2を含む、CD特異的基質に干渉することを回避し、よってIL-10及びDUSP2の発現を通した炎症を制限する。
【0265】
発明の態様
Th発明は、以下の態様によって更に定義される。
【0266】
態様1.式(1)の構造を有する化合物、
【化20】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、式(2a)の部分、式(2b)の部分、式(2c)の部分、C
8-16ヘテロビシクロアルキル、及び置換C
8-16ヘテロビシクロアルキルから選択され、
【化21】
式中、
B
1、B
2、B
3、及びB
4の各々が、独立して、-(CH(-R
4))
n-から選択され、式中、
各nが、独立して、0、1、2、3、及び4から選択され、
B
1及びB
2の両方が、0ではなく、
B
3及びB
4の両方が、0ではなく、
各R
4が、独立して、水素、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-3アルキル、C
1-3ヘテロアルキル、置換C
1-3アルキル、及び置換C
1-3ヘテロアルキルから選択され、
Dが、メタン-ジイル及びエタン-ジイルから選択され、
Xが、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され、R
3が、水素、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0267】
態様2.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-6アルキル、C1-6シクロアルキル、C6アリール、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ヘテロシクロアルキル、C5-6ヘテロアリール、置換C1-6アルキル、置換C1-6シクロアルキル、置換C6アリール、置換C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C5-6ヘテロアリールから選択される、態様1の化合物。
【0268】
態様3.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様1の化合物。
【0269】
態様4.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、及びC1-3アルキルから選択される、態様1の化合物。
【0270】
態様5.R1が、C1-4アルカンジイルである、態様1~4のいずれか1つの化合物。
【0271】
態様6.R1が、エタンジイルである、態様1~4のいずれか1つの化合物。
【0272】
態様7.R1が、メタンジイルである、態様1~4のいずれか1つの化合物。
【0273】
態様8.R
2が、式(2a)の部分である、態様1~7のいずれか1つの化合物。
【化22】
【0274】
態様9.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様8の化合物。
【0275】
態様10.B1及びB2の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様8の化合物。
【0276】
態様11.B1、B2、及びB3の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様8の化合物。
【0277】
態様12.B1、B2、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様8の化合物。
【0278】
態様13.B1、B2、B3、及びB4のうちの1つが、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様8~12のいずれか1つの化合物。
【0279】
態様14.B1、B2、B3、及びB4のうちの2つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様8~12のいずれか1つの化合物。
【0280】
態様15.B1、B2、B3、及びB4の3つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様8~12のいずれか1つの化合物。
【0281】
態様16.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様8~12のいずれか1つの化合物。
【0282】
態様17.各nが、独立して、0、1、2、及び3から選択される、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0283】
態様18.各nが、独立して、1、2、及び3から選択される、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0284】
態様19.B1及びB2の各々におけるnが、独立して、1及び2から選択され、B3及びB4の各々におけるnが、2である、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0285】
態様20.B1及びB2の各々におけるnが、1であり、B3及びB4の各々におけるnが、2である、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0286】
態様21.B1及びB2の各々におけるnが、2であり、B3及びB4の各々におけるnが、1である、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0287】
態様22.B1及びB2の各々におけるnが、2であり、B3及びB4の各々におけるnが、2である、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0288】
態様23.B1及びB2の各々におけるnが、1であり、B3及びB4の各々におけるnが、1である、態様8~16のいずれか1つの化合物。
【0289】
態様24.Xが、-O-である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0290】
態様25.Xが、-CH(-OH)-である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0291】
態様26.Xが、-SO2-である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0292】
態様27.Xが、-NR3-である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0293】
態様28.Xが、-NR3-であり、R3が、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0294】
態様29.Xが、-NR3-であり、R3が、-C(=O)-CH3である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0295】
態様30.Xが、-NR3-であり、R3が、-CH3である、態様8~24のいずれか1つの化合物。
【0296】
態様31.R
2が、式(2b)の部分である、態様1~7のいずれか1つの化合物。
【化23】
【0297】
態様32.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様31の化合物。
【0298】
態様33.B1及びB2の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様31の化合物。
【0299】
態様34.B1、B2、及びB3の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様31の化合物。
【0300】
態様35.B1、B2、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様31の化合物。
【0301】
態様36.B1、B2、B3、及びB4のうちの1つが、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様31~35のいずれか1つの化合物。
【0302】
態様37.B1、B2、B3、及びB4のうちの2つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様31~35のいずれか1つの化合物。
【0303】
態様38.B1、B2、B3、及びB4の3つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様31~35のいずれか1つの化合物。
【0304】
態様39.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様31~35のいずれか1つの化合物。
【0305】
態様40.各nが、独立して、1及び2から選択される、態様31~39のいずれか1つの化合物。
【0306】
態様41.各nが、1である、態様31~39のいずれか1つの化合物。
【0307】
態様42.B1及びB2の各々におけるnが、1であり、B3及びB4の各々におけるnが、2である、態様31~39のいずれか1つの化合物。
【0308】
態様43.B1及びB2の各々におけるnが、2であり、B3及びB4の各々におけるnが、1である、態様31~39のいずれか1つの化合物。
【0309】
態様44.B1、B2、及びB3の各々におけるnが、1であり、B4におけるnが、2である、態様31~39のいずれか1つの化合物。
【0310】
態様45.B1、B2、及びB3の各々におけるnが、2であり、B4におけるnが、1である、態様21の化合物。
【0311】
態様46.Xが、-O-である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0312】
態様47.Xが、-CH(-OH)-である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0313】
態様48.Xが、-SO2-である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0314】
態様49.Xが、-NR3-である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0315】
態様50.Xが、-NR3-であり、R3が、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0316】
態様51.Xが、-NR3-であり、R3が、-C(=O)-CH3である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0317】
態様52.Xが、-NR3-であり、R3が、-CH3である、態様31~45のいずれか1つの化合物。
【0318】
態様53.R
2が、式(2c)の部分である、態様1~7のいずれか1つの化合物。
【化24】
【0319】
態様54.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様53の化合物。
【0320】
態様55.B1及びB2の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様53の化合物。
【0321】
態様56.B1、B2、及びB3の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様53の化合物。
【0322】
態様57.B1、B2、及びB4の各々が、独立して、-(CH2)n-から選択される、態様53の化合物。
【0323】
態様58.B1、B2、B3、及びB4のうちの1つが、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様53~57のいずれか1つの化合物。
【0324】
態様59.B1、B2、B3、及びB4のうちの2つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様53~57のいずれか1つの化合物。
【0325】
態様60.B1、B2、B3、及びB4の3つが、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様53~57のいずれか1つの化合物。
【0326】
態様61.B1、B2、B3、及びB4の各々が、独立して、-CH(-R4)-を含み、R4が、-OH、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様53~57のいずれか1つの化合物。
【0327】
態様62.各nが、独立して、1及び2から選択される、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0328】
態様63.各nが、1である、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0329】
態様64.B1及びB2の各々におけるnが、1であり、B3及びB4の各々におけるnが、2である、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0330】
態様65.B1及びB2の各々におけるnが、2であり、B3及びB4の各々におけるnが、1である、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0331】
態様66.各nが、2である、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0332】
態様67.各nが、1である、態様53~61のいずれか1つの化合物。
【0333】
態様68.Dが、メタンジイルである、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0334】
態様69.Dが、エタンジイルである、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0335】
態様70.Xが、-O-である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0336】
態様71.Xが、-CH(-OH)-である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0337】
態様72.Xが、-SO2-である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0338】
態様73.Xが、-NR3-である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0339】
態様74.Xが、-NR3-であり、R3が、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0340】
態様75.Xが、-NR3-であり、R3が、-C(=O)-CH3である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0341】
態様76.Xが、-NR3-であり、R3が、-CH3である、態様53~67のいずれか1つの化合物。
【0342】
態様77.化合物が、
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(3)、
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)、
N-(4-((8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(5)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
N-(4-(((1R,5S)-3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(9)、及び
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、態様53の化合物。
【0343】
態様78.式(1)の構造を有する化合物、
【化25】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、式(2d)の部分であり、
【化26】
式中、
各A
1及びA
2が、独立して、-CH
2-、-CH(-R
5)-、及び-C(=O)-から選択され、式中、各R
5が、独立して、-OH、-NH
2、-NO
2、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、置換C
1-6アルキル、置換C
1-6シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6ヘテロアリールから選択され、
A
1及びA
2のうちの1つ以上が、独立して、-CH(-R
5)-及び-C(=O)-から選択され、
各nが、独立して、1、2、3、及び4から選択され、
Xが、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3-、及び-SO
2-から選択され、R
3が、水素、C
1-6アルキル、C
5-8シクロアルキル、C
6アリール、C
6-12シクロアルキルアルキル、C
7-10アリールアルキル、C
1-6ヘテロアルキル、C
5-8ヘテロシクロアルキル、C
5-6ヘテロアリール、C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、C
7-10ヘテロアリールアルキル、置換C
1-6アルキル、置換C
5-8シクロアルキル、置換C
6アリール、置換C
6-12シクロアルキルアルキル、置換C
7-10アリールアルキル、置換C
1-6ヘテロアルキル、置換C
5-8ヘテロシクロアルキル、置換C
5-6ヘテロアリール、置換C
6-12ヘテロシクロアルキルアルキル、及び置換C
7-10ヘテロアリールアルキルから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0344】
態様79.R1が、C1-4アルカンジイルである、態様78の化合物。
【0345】
態様80.R1が、エタンジイルである、態様78の化合物。
【0346】
態様81.R1が、メタンジイルである、態様78の化合物。
【0347】
態様82.各nが、独立して、1、2、及び3から選択される、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0348】
態様83.各nが、2である、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0349】
態様84.各nが、3である、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0350】
態様85.各nが、4である、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0351】
態様86.A1及びA2のうちの1つ以上が、独立して、-CH(-R5)-から選択され、式中、R5が、C1-3アルキル、-C(=O)-から選択される、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0352】
態様87.A1及びA2のうちの1つ以上が、独立して、-CH(-R5)-から選択され、式中、R5が、C1-3アルキルである、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0353】
態様88.A1及びA2のうちの1つ以上が、-C(=O)-である、態様78~81のいずれか1つの化合物。
【0354】
態様89.Xが、-O-である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0355】
態様90.Xが、-CH(-OH)-である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0356】
態様91.Xが、-SO2-である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0357】
態様92.Xが、-NR3-である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0358】
態様93.Xが、-NR3-であり、R3が、水素、C1-3アルキル、C1-3ヘテロアルキル、置換C1-3アルキル、及び置換C1-3ヘテロアルキルから選択される、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0359】
態様94.Xが、-NR3-であり、R3が、-C(=O)-CH3である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0360】
態様95.Xが、-NR3-であり、R3が、-CH3である、態様78~88のいずれか1つの化合物。
【0361】
態様96.化合物が、
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(1)、
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(7)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、
4-クロロ-N-(4-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(11)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)、
N-(4-((4-アセチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(14)、
4-クロロ-N-(4-((3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(15)、
4-クロロ-N-(4-((4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(16)、及び
4-クロロ-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(17)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、態様78の化合物。
【0362】
態様97.化合物が、p38α MAPK受容体を阻害する、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0363】
態様98.化合物が、p38α MAPK受容体を選択的に阻害する、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0364】
態様99.化合物が、p38β MAPKサブユニットに対してよりもp38α MAPKサブユニットに対してより高い結合親和性を有する、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0365】
態様100.化合物が、p38α MAPKの選択的結合部位に結合し、結合ポケットが、ポケットによって定義され、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義され得る、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0366】
態様101.化合物が、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドと競合的に選択的結合部位に結合する、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0367】
態様102.化合物が、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドによってアニソマイシン刺激型HeLa細胞におけるMK2リン酸化を阻害する、態様1~96のいずれか1つの化合物。
【0368】
態様103.態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【0369】
態様104.薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、態様99の薬学的組成物。
【0370】
態様105.疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、態様104の薬学的組成物。
【0371】
態様106.疾患が、がんである、態様104の薬学的組成物。
【0372】
態様107.疾患が、炎症性疾患である、態様104の薬学的組成物。
【0373】
態様108.疾患が、自己免疫疾患である、態様104の薬学的組成物。
【0374】
態様109.疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、態様104の薬学的組成物。
【0375】
態様110.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、方法。
【0376】
態様111.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、がんである、方法。
【0377】
態様112.がんが、乳がん及び黒色腫から選択される、態様111の方法。
【0378】
態様113.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、炎症性疾患である、方法。
【0379】
態様114.炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択される、態様113の方法。
【0380】
態様115.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、自己免疫疾患である、方法。
【0381】
態様116.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、加齢関連疾患である、方法。
【0382】
態様117.加齢関連疾患が、難聴、筋変性症、ヴェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病から選択される、態様116の方法。
【0383】
態様118.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~96のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、方法。
【0384】
態様119.p38α MAPK受容体を阻害する方法であって、p38α MAPK受容体を、態様1~96のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
【0385】
態様120.患者においてp38α MAPK受容体を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の、態様1~96のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0386】
態様121.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α MAPK受容体を選択的に阻害することを含む、態様120の方法。
【0387】
態様122.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α依存性逆調節応答の喪失をもたらさない、態様121の方法。
【0388】
態様123.p38α依存性逆調節応答が、マイトジェン活性化及びストレス活性化プロテインキナーゼ-1(MSK1)又はMSK2に関する、態様122の方法。
【0389】
態様124.p38α MAPK受容体を阻害することが、内皮又は上皮バリア機能を安定化する、態様119~123のいずれか1つの方法。
【0390】
態様125.p38α MAPK受容体を阻害することが、炎症を低減する、態様119~124のいずれか1つの方法。
【0391】
態様126.p38α MAPK受容体を阻害することが、KPS誘発性肺損傷を軽減する、態様119~125のいずれか1つの方法。
【0392】
態様127.p38α MAPK受容体を阻害することが、白血球トラフィキングを調節する、態様119~126のいずれか1つの方法。
【0393】
態様128.p38α MAPK受容体を阻害することが、サイトカイン発現を調節する、態様119~127のいずれか1つの方法。
【0394】
態様1A.B1が、-(CH2)2-であり、B2が、-CH2-であり、B3が、-(CH2)n-であり、nが、0、1、2、及び3から選択され、B3が、-(CH2)3n-であり、Xが、Oである、態様8の化合物。
【0395】
態様2A.式(2a)の部分が、式(2a.1)~(2a.4)の部分から選択され、
【化27】
式中、R
5が、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルである、態様8の化合物。
【0396】
態様3A.A1が、-(CH2)n-であり、nが、1~4の整数であり、A2が、-(CH2)5-n-であり、Xが、Oである、態様78の化合物。
【0397】
態様4A.式(2d)の部分が、式(2d.1)又は式(2d.2)の構造を有し得、
【化28】
式中、R
5が、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルである、態様78の化合物。
【0398】
態様5A.A1が、-(CH2)n-であり、nが、1又は2であり、A2が、-(CH2)3-n-であり、Xが、-N(-C(=O)-R6)-であり、R6が、から選択される、態様78の化合物。
【0399】
態様6A.式(2d)の部分が、式(2d.3)及び式(2d.4)の部分から選択され、
【化29】
式中、
R
5が、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルであり、
R
6が、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される、態様78の化合物。
【0400】
態様7A.A1が、-(CH2)n-であり、nが、1又は2であり、A2が、-(CH2)3-n-であり、Xが、Oであり、かつ1つ又は2つの-CH3置換基を含む、態様78の化合物。
【0401】
態様8A.式(2d)の部分が、式(2d.5)の構造を有し得る、態様78の化合物。
【化30】
【0402】
態様9A.式(1)の構造を有する化合物、
【化31】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイルから選択され、
R
2が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換又は非置換部分から選択され、
【化32】
式中、
R
5が、水素(非置換)、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルであり、
R
6が、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0403】
態様10A.R1が、メタン-ジイル、エタン-ジイル、及びn-プロパン-ジイルから選択される、態様9Aの化合物。
【0404】
態様11A.R1が、メタン-ジイルである、態様9Aの化合物。
【0405】
態様12A.R2が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの非置換部分から選択される、態様9A~11Aのいずれか1つの化合物。
【0406】
態様13A.R2が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換部分から選択される、態様9A~11Aのいずれか1つの化合物。
【0407】
態様14A.置換部分が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの構造を有し得、
【化33】
式中、
R
5が、-OH、-NH
2、-NR
2から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3アルキル、-NO
2、=O、C
1-3アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3アルキルであり、
R
6が、C
1-6アルキル及びC
1-6アルコキシから選択される、態様9A~11Aのいずれか1つの化合物。
【0408】
態様15A.態様1A~14Aのいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【0409】
態様16A.薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、態様15Aの薬学的組成物。
【0410】
態様17A.疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、態様16Aの薬学的組成物。
【0411】
態様18A.疾患が、がんである、態様16Aの薬学的組成物。
【0412】
態様19A.疾患が、炎症性疾患である、態様16Aの薬学的組成物。
【0413】
態様20A.疾患が、自己免疫疾患である、態様16Aの薬学的組成物。
【0414】
態様21A.疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症、及び嚢胞性線維症から選択される、態様16Aの薬学的組成物。
【0415】
態様22A.疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、態様16Aの薬学的組成物。
【0416】
態様23A.疾患が、ウイルス性疾患である、態様16Aの薬学的組成物。
【0417】
態様24A.ウイルス性疾患が、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、又はSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症、コロナウイルス感染症に関連する肺炎、及びヒト呼吸器症候群感染症から選択される、態様16Aの薬学的組成物。
【0418】
態様25A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、方法。
【0419】
態様26A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、がんである、方法。
【0420】
態様27A.がんが、乳がん及び黒色腫から選択される、態様26Aの方法。
【0421】
態様28A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、炎症性疾患である、方法。
【0422】
態様29A.炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択される、態様28Aの方法。
【0423】
態様30A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、自己免疫疾患である、方法。
【0424】
態様31A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、加齢関連疾患である、方法。
【0425】
態様32A.加齢関連疾患が、難聴、筋変性症、ヴェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病から選択される、態様31Aの方法。
【0426】
態様33A.患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1A~14Aのいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症から選択される、方法。
【0427】
態様34A.p38α MAPK受容体を阻害する方法であって、p38α MAPK受容体を、態様1A~14Aのいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
【0428】
態様35A.患者においてp38α MAPK受容体を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の、態様A1A~14Aのいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0429】
態様36A.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α MAPK受容体を選択的に阻害することを含む、態様35Aの方法。
【0430】
態様37A.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α依存性逆調節応答の喪失をもたらさない、態様36Aの方法。
【0431】
態様38A.p38α依存性逆調節応答が、マイトジェン活性化及びストレス活性化プロテインキナーゼ-1(MSK1)又はMSK2に関する、態様37Aの方法。
【0432】
態様39A.p38α MAPK受容体を阻害することが、内皮又は上皮バリア機能を安定化する、態様34A~38Aのいずれか1つの方法。
【0433】
態様40A.p38α MAPK受容体を阻害することが、炎症を低減する、態様34A~39Aのいずれか1つの方法。
【0434】
態様41A.p38α MAPK受容体を阻害することが、KPS誘発性肺損傷を軽減する、態様34A~40Aのいずれか1つの方法。
【0435】
態様42A.p38α MAPK受容体を阻害することが、白血球トラフィキングを調節する、態様34A~41Aのいずれか1つの方法。
【0436】
態様43A.p38α MAPK受容体を阻害することが、サイトカイン発現を調節する、態様34A~42Aのいずれか1つの方法。
【0437】
態様44A.疾患が、ウイルス性疾患である、態様103~104のいずれか1つの薬学的組成物。
【0438】
態様45A.ウイルス性疾患が、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、又はSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症から選択される、態様44Aの薬学的組成物。
【0439】
態様46A.疾患が、ウイルス性疾患である、態様111の方法。
【0440】
態様47A.ウイルス性疾患が、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症、又はSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症から選択される、態様46Aの方法。
【実施例】
【0441】
以下の例は、式(1)の化合物の合成、式(1)の化合物の特徴分析、及び式(1)の化合物の使用を詳細に説明する。材料と方法の両方に対する多くの修正が、本開示の範囲から逸脱することなく実施され得ることは、当業者には明白であろう。
【0442】
実施例A
4-クロロ-N-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(A)の合成
【化34】
塩化4-クロロベンゾイル(15.63g、89.32mmol)を、THF(100mL)中の(4-アミノフェニル)メタノール(10g、81.2mmol)及び酢酸ナトリウム(10g、121.8mmol)の撹拌溶液に室温でゆっくりと加えた。添加の完了後、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(100mL×2)及び飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。得られた残渣をシリカゲルカラム(DCM:MeOH=50:1、v/v)によって精製し、4-クロロ-N-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(A)(19.53g、収率91.9%)を白色の固体として得た。LCMS(Agilent):R
t=1.47分、[M+H]
+のm/z計算262.1、実測262.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.27(s、1H)、7.99-7.96(m、2H)、7.70(d、J=8.4Hz、2H)、7.62-7.58(m、2H)、7.29(dd、J=6.4、2.0Hz、2H)、5.12(t、J=5.2Hz、1H)、4.46(d、J=5.2Hz、2H)。
【0443】
実施例B
4-クロロ-N-(4-(クロロメチル)フェニル)ベンズアミド(B)の合成
【化35】
塩化メタンスルホニル(1.75g、15.28mmol)を、DCM(25mL)中の4-クロロ-N-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(A)(2.00g、7.64mmol)及びトリエチルアミン(1.53g、15.28mmol)の撹拌溶液に室温で滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、DCM(20mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をH
2O(30mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固して、表題化合物(B)(627mg、収率29.3%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.4(シリカゲル、PE/EtOAc=3/1、v/v)。LCMS(Agilent):Rt=2.30分、[M+H]
+のm/z計算280.0、実測280.0/282.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.39(s、1H)、7.98(dd、J=6.4、2.0Hz、2H)、7.77(dd、J=6.4、2.0Hz、2H)、7.61(dd、J=6.8、2.0Hz、2H)、7.42(dd、J=6.8、2.0Hz、2H)、4.75(s、2H)。
【0444】
実施例1
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(1)の合成
【化36】
無水炭酸カリウム(99mg、0.71mmol)を1ロットでDMF(2mL)中の化合物(B)(100mg、0.36mmol)及び1,4-オキサゼパン(44mg、0.45mmol)の撹拌溶液に50℃で添加した。添加の完了後、反応混合物を50℃で1時間撹拌した。反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた固体濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物をその後0.5MのHCl(水性)で酸性化し、濃縮乾固して、表題化合物(1)(100mg、収率81.1%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.6(シリカゲル、DCM/MeOH=20/1、v/v)。LCMS(Agilent):Rt=0.86分、[M+H]+のm/z計算345.1、実測345.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.95(s、1H)、10.51(s、1H)、8.1(d、J=8.4Hz、2H)、7.86(d、J=8.4Hz、2H)、7.63-7.60(m、4H)、4.33(d、J=5.2Hz、2H)、3.81-3.86(m、2H)、3.64-3.75(m、2H)、3.41-3.46(m、1H)、3.29-3.45(m、1H)、3.08-3.21(m、2H)、2.29-3.32(m、1H)、1.96-2.03(m、1H)。
【0445】
実施例2
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)の合成
【化37】
無水炭酸カリウム(197.39mg、1.428mmol)を、1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(200mg、0.714mmol)及び2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン(84.95mg、0.857mmol)の撹拌混合物に室温で加え、50℃に加熱した。50℃で2時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。収集された固体を分取C18逆相HPLC(10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製して、表題化合物(2)(109mg、収率44.5%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.2(シリカゲル、MeOH:DCM=1:10)。LCMS(Agilent):Rt=0.81分、[M+H]
+のm/z計算343.1、実測343.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.40(s、1H)、8.01-7.97(m、2H)、7.77(d、J=8.4Hz、2H)、7.63-7.59(m、2H)、7.35(d、J=8Hz、2H)、4.63(s、4H)、3.85(d、J=42.4Hz、4H)、3.33(s、2H)。
【0446】
実施例3
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(3)の合成
【化38】
EEDQ(257mg、1.0mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の4-(モルホリノメチル)アニリン(200mg、1.0mmol)及び2-クロロピリミジン-5-カルボン酸(164mg、1.0mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。添加の完了後、反応混合物を室温で40時間撹拌し、H
2O(10mL)で希釈した。得られたスラリーをEtOAc(30mL×3)で抽出し、減圧下で濃縮乾固した。得られた残渣を分取C18逆相HPLCによって精製して、表題化合物(3)(130mg、収率37.6%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.3(シリカゲル、MeOH/DCM=1/15、v/v)。LCMS(Agilent):Rt=0.49分、[M+Na]
+のm/z計算333.1、実測333.0。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.06(s、1H)、10.92(s、1H)、9.27(s、2H)、7.88-7.81(m、2H)、7.61(d、J=8.3Hz、2H)、4.30(d、J=5.1Hz、2H)、3.94(dd、J=13.0、3.3Hz、2H)、3.78(t、J=12.0Hz、2H)、3.22(d、J=12.4Hz、2H)、3.07(d、J=11.5Hz、2H)。
【0447】
実施例4
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)の合成
【化39】
無水炭酸カリウム(621mg、4.49mmol)を、DMF(5mL)中の化合物(A)(430mg、1.5mmol)及び7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン(191mg、1.5mmol)の撹拌溶液に室温で添加した。室温で6時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた固体を2NのHCl(2mL)及びDMSO(2mL)で溶解し、その後逆相Biotage(登録商標)カラムクロマトグラフィー(C18カラム、0.1%塩酸を含有する10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製して、表題化合物(4)(80mg、収率14.4%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.40(シリカゲル、PE:EtOAc=1:1、v/v)。LCMS(Agilent):Rt=2.00分、[M+H]
+のm/z計算371.2、実測371.2。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.43(s、1H)、7.99(d、J=8.6Hz、2H)、7.80(d、J=8.5Hz、2H)、7.62(d、J=8.6Hz、2H)、7.50(s、2H)、4.19(s、2H)、3.69(s、4H)、3.48(s、4H)、1.77(s、4H)。
【0448】
実施例5
N-(4-((8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(5)の合成
【化40】
無水炭酸カリウム(230mg、1.66mmol)を1ロットでDMF(6mL)中の化合物(B)(280mg、0.83mmol)及び8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン(142mg、1.0mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で6時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させた。その後、残渣をシリカゲルカラム(DCM/MeOH=50/1、v/v)によって精製した。主要画分を減圧下で濃縮し、得られた固体を0.5NのHCl(水性)で処理し、減圧下で蒸発乾固して、表題化合物(5)(144.2mg、収率45.1%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.4シリカゲル、DCM:MeOH=20:1。LCMS(Agilent):Rt=1.96分、[M+H]
+のm/z計算385.1、実測385.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.37(s、1H)、10.51(s、1H)、8.01(d、J=8.4Hz、2H)、7.84(d、J=8.8Hz、2H)、7.63-7.60(m、4H)、4.35-4.25(m、2H)、3.58-3.47(m、4H)、4.45-3.37(m、1H)、3.25-3.14(m、2H)、2.95-2.89(m、1H)、2.01-1.95(m、1H)、1.91-1.84(m、1H)、1.67-1.80(m、3H)、1.55-1.50(m、1H)。
【0449】
実施例6
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)の合成
【化41】
無水炭酸カリウム(444mg、3.21mmol)を、1ロットでDMF(5.6mL)中の化合物(B)(300mg、1.07mmol)及び1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン(210mg、1.28mmol)の溶液に50℃で添加した。50℃で1時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=50/1、v/v)によって精製し、所望の画分を減圧下で蒸発させた。得られた残渣を0.5MのHCl(水性)で酸性化し、減圧下で濃縮して、表題化合物(6)(100mg、収率25.2%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。LCMS(Agilent):Rt=1.93分、m/z計算[M+H]
+=371.1、実測[M+H]
+=371.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.55(d、J=13.6Hz、1H)、8.01-8.04(m、2H)、7.87-7.83(m、2H)、7.62-7.57(m、4H)、4.34-4.26(m、2H)、3.80-3.68(m、2H)、3.47-3.08(m、4H)、2.02-1.86(m、6H)。
【0450】
実施例7及び8
4-クロロ-N-(4-(((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(7)の合成
【化42】
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)の合成
【化43】
無水炭酸カリウム(296mg、2.14mmol)を1ロットでDMF(5mL)中の化合物(B)(300mg、1.07mmol)及び2,6-ジメチルモルホリン(147mg、1.28mmol)の撹拌溶液に50℃で添加した。50℃で1時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、EtOAc(30mL×4)で抽出した。合わせた抽出物を濃縮乾固した。残渣をC18逆相分取HPLC(10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製した。主要画分を減圧下で濃縮し、得られた固体を0.5NのHCl(水性)で処理し、減圧下で蒸発乾固して、シス異性体(7)(105mg、27.3%)及びトランス異性体(8)(40mg、10.4%)を得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。
【0451】
シス異性体(7).TLC:Rf=0.4シリカゲル、ニートなEtOAc。LCMS(Agilent):Rt=1.92分、m/z計算[M+H]+=359.1、実測[M+H]+=359.1。1H-NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 10.50(s、1H)、8.02-7.99(m、2H)、7.87-7.85(m、2H)、7.63-7.58(m、4H)、4.26-4.25(m、2H)、4.02-3.98(m、2H)、3.23-3.20(m、2H)、2.66-2.58(m、2H)、1.11(d、J=6.0Hz、6H)。
【0452】
トランス異性体(8).TLC:Rf=0.5シリカゲル、ニートなEtOAc。LCMS(Agilent):Rt=1.92分、m/z計算[M+H]+=359.1、実測[M+H]+=359.1。1H-NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 10.95(s、1H)、10.52(s、1H)、8.01-7.99(m、2H)、7.87-7.85(m、2H)、7.64-7.61(m、4H)、4.34-4.12(m、4H)、3.28-3.25(m、1H)、3.08-2.93(m、2H)、2.67-2.59(m、1H)、1.40(d、J=6.8Hz、3H)、1.09(d、J=6.0Hz、3H)。
【0453】
実施例9
N-(4-(((1R,5S)-3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(9)の合成
【化44】
無水炭酸カリウム(625mg、4.52mmol)を1ロットでDMF(6mL)中の化合物(B)(512mg、1.81mmol)及び3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン(230mg、1.81mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で7時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(30mL)で処理し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させた。残渣を0.5NのHCl(水性)で酸性化し、濃縮乾固して、表題化合物(9)(437mg、収率78.2%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.4シリカゲル、PE:EtOAc=1:1。LCMS(Shimadzu):Rt=2.32分、m/z計算[M+H]
+=371.2、実測[M+H]
+=371.2。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.58(s、1H)、8.65(s、1H)、8.04-8.00(m、2H)、7.92-7.88(m、2H)、7.64-7.57(m、4H)、4.22(d、J=5.3Hz、2H)、3.97(d、J=11.3Hz、2H)、3.69-3.64(m、2H)、3.48-3.42(m、2H)、3.27(t、J=11.2Hz、2H)、2.01(s、2H)、1.94-1.78(m、2H)。
【0454】
実施例10
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)の合成
【化45】
無水炭酸カリウム(531mg、3.84mmol)を、1ロットでDMF(6.5mL)中の化合物(B)(435mg、1.28mmol)及び(3aR,6aS)-ヘキサヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール(230mg、1.54mmol)の撹拌溶液に室温で添加した。反応混合物を室温で7時間撹拌した。反応混合物をH
2O(60mL)で処理し、濾過し、得られた固体を石油エーテル/酢酸エチル=3/1で洗浄し、C18逆相分取HPLC(10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製した。主要画分を減圧下で濃縮し、得られた固体を0.5NのHCl(水性)で処理し、減圧下で蒸発乾固して、表題化合物(10)(194.5mg、収率42.6%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.30(シリカゲル、DCM/MeOH=20/1、v/v)。LCMS(Shimadzu):Rt=2.25分、m/z計算[M+H]
+=357.2、実測[M+H]
+=357.2。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.95(d、J=78.2Hz、1H)、10.51(d、J=6.3Hz、1H)、8.04-7.98(m、2H)、7.85(dd、J=8.5、6.2Hz、2H)、7.65-7.52(m、4H)、4.28(dd、J=21.3、5.6Hz、2H)、3.75(t、J=9.5Hz、2H)、3.67-3.55(m、2H)、3.37(ddd、J=38.9、11.0、5.8Hz、2H)、3.20-2.91(m、3H)、2.73-2.67(m、1H)。
【0455】
実施例11
4-クロロ-N-(4-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(11)の合成
【化46】
無水炭酸カリウム(50.2mg、0.363mmol)を1ロットでDMF(2mL)中の化合物(B)(100.0mg、0.29mmol)及びピペリジン-4-オール(35.4mg、0.35mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物を0.5MのHClによって酸性化し、その後減圧下で濃縮して、表題化合物(11)(90mg、収率90.0%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.1シリカゲル、DCM:MeOH=10:1。LCMS(Agilent):Rt=1.72分、m/z計算[M+H]
+=345.1、実測[M+H]
+=345.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.76(s、1H)、10.54(s、1H)、8.02(d、J=8.4Hz、2H)、7.84(d、
1H-NMR=8.8Hz、2H)、7.60(m、J=4.5Hz、4H)、4.22(m、J=5.2Hz、2H)、3.92(s、1H)、3.61(m、J=5.6Hz、1H)、3.26(d、J=12.4Hz、1H)、3.08(m、J=6.8Hz、2H)、2.89(m、J=8.2Hz、1H)、1.95(m、J=14.0Hz、2H)、1.73(m、J=14.0Hz、2H)。
【0456】
実施例12
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)の合成
【化47】
無水炭酸カリウム(160.4mg、1.16mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(200mg、0.58mmol)及びピペリジン-3-オール(70.8mg、0.70mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物を0.5MのHCl(水性)によって酸性化し、減圧下で濃縮乾固して、表題化合物(12)(122.5mg、収率61.25%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.2シリカゲル、DCM:MeOH=10:1。LCMS(Agilent):Rt=1.77分、m/z計算[M+H]
+=345.1、実測[M+H]
+=345.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.99(s、0.57H)、10.55(d、J=11.6Hz、1H)、9.59(s、0.35H)、8.04-8.00(m、2H)、7.88-7.85(m、2H)、7.64-7.52(m、4H)、4.30-4.12(m、2H)、4.01(s、0.39H)、3.86(s、0.59H)、3.34-3.16(m、2H)、3.00 2.87(m、1H)、2.72(s、0.69H)、2.08-2.01(m、0.47H)、1.92-1.81(m、2H)、1.69-1.51(m、1H)、1.28-1.18(m、1H)。
【0457】
実施例13
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)の合成
【化48】
無水炭酸カリウム(197.4mg、1.428mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(200mg、0.72mmol)及びピロリジン-3-オール(74.6mg、0.86mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。50℃で6時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物を0.5MのHCl(水性)によって酸性化し、減圧下で濃縮乾固して、表題化合物(13)(230mg、収率87.71%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.25シリカゲル、DCM:MeOH=10:1。LCMS(Agilent):Rt=1.82分、m/z計算[M+H]
+=333.1、実測[M+H]
+=333.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.79(s、0.45H)、10.78(s、0.40H)、10.51(d、J=7.6Hz、1H)、8.02-7.99(m、2H)、7.86-7.93(m、2H)、7.63-7.55(m、4H)、4.45-4.24(m、3H)、3.50-3.44(m、1H)、3.40-3.33(m、0.52H)、3.27-3.09(m、2H)、2.98-2.93(m、0.50H)、2.33-2.23(m、0.44H)、2.07-1.81(m、1.61H)。
【0458】
実施例14
N-(4-((4-アセチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(14)の合成
【化49】
無水炭酸カリウム(414mg、2.99mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(340mg、1.0mmol)及び1-(ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(128mg、1.0mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で6時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、濾過した。得られた固体を2NのHCl(2mL)及びDMSO(2mL)によって溶解し、逆相Biotage(登録商標)クロマトグラフィー(C18カラム、0.1%塩酸を含有する10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製して、表題化合物(14)(130mg、収率35.0%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.4シリカゲル、DCM:MeOH=10:1。LCMS(Agilent):Rt=0.87分、m/z計算[M+H]
+=372.0、実測[M+H]
+=372.0。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.58(s、1H)、10.55(s、1H)、8.05-7.98(m、2H)、7.87(d、J=8.5Hz、2H)、7.60(t、J=8.8Hz、4H)、4.41(d、J=14.1Hz、1H)、4.27(d、J=4.3Hz、2H)、3.98(d、J=14.4Hz、1H)、3.59(t、J=13.3Hz、1H)、3.28(d、J=12.1Hz、2H)、3.06(dt、J=20.9、12.0Hz、2H)、2.87(d、J=11.6Hz、1H)、2.03(s、3H)。
【0459】
実施例15
4-クロロ-N-(4-((3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(15)の合成
【化50】
無水炭酸カリウム(414mg、2.88mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(280mg、1.0mmol)及びピペラジン-2-オン(100mg、1.0mmol)の撹拌溶液に室温で添加した。室温で6時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、濾過した。得られた固体を2NのHCl(2mL)及びDMSO(2mL)を用いて溶解し、その後Biotage(登録商標)逆相カラムクロマトグラフィー(C18カラム、0.1%塩酸を含有する10%~95%のMeCN/H
2Oで溶出する)によって精製して、表題化合物(15)(108mg、収率31.5%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.3シリカゲル、PE:EtOAc=1:1。LCMS(Agilent):Rt=0.85分、m/z計算[M+H]
+=344.1、実測[M+H]
+=344.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.93(s、1H)、10.55(s、1H)、8.39(s、1H)、8.06-7.98(m、2H)、7.92-7.83(m、2H)、7.61(dd、J=8.4、6.0Hz、4H)、4.34(s、2H)、3.78-3.40(m、5H)、3.19(d、J=21.8Hz、1H)。
【0460】
実施例16
4-クロロ-N-(4-((4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(16)の合成
【化51】
無水カリウム(296mg、2.14mmol)を、1ロットでDMF(5mL)中の化合物(B)(300mg、1.07mmol)及び1-メチルピペラジン-2-オン(146mg、1.28mmol)の撹拌溶液に50℃で添加した。50℃で1時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキを小体積のDCMで洗浄し、減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物を0.5MのHClによって酸性化し、減圧下で濃縮乾固して、表題化合物(16)(121mg、収率31.6%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.4シリカゲル、DCM:MeOH=20:1。LCMS(Agilent):Rt=1.81分、m/z計算[M+H]
+=358.1、実測[M+H]
+=358.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.36(s、1H)、8.01-7.99(m、2H)、7.75(d、J=8.0Hz、2H)、7.62-7.59(m、2H)、7.30-7.28(m、2H)、3.50(s、1H)、3.25(t、J=5.6Hz、2H)、2.94(s、2H)、2.81(s、3H)、2.83-2.62(m、2H)。
【0461】
実施例17
4-クロロ-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(17)の合成
【化52】
無水炭酸カリウム(290mg、2.1mmol)を1ロットでDMF(4mL)中の化合物(B)(200mg、0.7mmol)及び1-メチルピペラジン(74mg、0.7mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物をH
2O(10mL)で希釈し、濾過した。得られた濾過ケーキをC18逆相分取HPLC(0.1%塩酸を含有する10%~95%MeCN/H
2Oで溶出する)によって精製して、表題化合物(17)(110mg、収率43.4%)を白色の固体として得た。構造は、LCMS及び
1H-NMRによって確認した。TLC:R
f=0.3シリカゲル、MeOH:DCM=1:15。LCMS(Agilent):Rt=0.83分、m/z計算[M+H]
+=344.1、実測[M+H]
+=344.1。
1H-NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 10.39(s、1H)、8.03-7.95(m、2H)、7.80(d、J=8.5Hz、2H)、7.66-7.56(m、2H)、7.38(d、J=8.3Hz、2H)、5.75(s、2H)、3.91(s、2H)、3.29(d、J=97.6Hz、6H)、2.80(s、3H)。
【0462】
実施例18
p38 MAPKタンパク質の発現及び精製
ヒトp38α及びβ MAPキナーゼアイソフォームは、E.coliにおいて発現され、Shah et al.,Journal of Immunology,2017,198,3296-3306に記載されるプロトコルを使用して精製されるであろう。
【0463】
マウス抗ヒトp38α及びウサギ抗ホスホ-MK2(T222)及びホスホ-STAT-1(S727)は、Cell Signaling Technologies(Danvers,MA)から入手される。ヒトp38αバリアント2及びp38β(N末端ヘマグルチニンタグを有する)のコード配列は、PCRによって増幅し、pRSetA(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)にクローニングする。変異は、Quikchange(登録商標)(Stratagene)を使用してp38αに導入し、双方向配列決定によって確認する。インビトロキナーゼアッセイのための活性化二重リン酸化p38αを生成するために、p38αバリアント2は、PCRによって増幅し、N末端Hisタグ配列を有するpETDuet(商標)(EMD-Millipore)インフレームの第1のマルチクローニング部位にクローニングする。構成的に活性なヒトMKK6S207G/T211G変異体の最適化された配列を含有する遺伝子ブロックを合成し(Genscript、Piscataway,NJ)、pETDuet(商標)-p38αの第2のマルチクローニング部位にクローニングする。プラスミドは、Escherichia coli BL21において形質転換され、タンパク質は、コバルトカラム(TALON、Clontech Laboratories、Mountain View,CA)を使用して精製され、SDS-PAGE及びイムノブロッティングによって確認される。pETDuet(商標)プラスミドから発現されるp38αタンパク質は、MALDIによって決定されるように、約80%二重リン酸化されることが確認される。
【0464】
実施例19
示差走査蛍光測定(DSF)アッセイ
式(1)の特定の化合物のp38α MAPK及びp38β MAPKアイソフォームへの結合を、試験化合物との相互作用に起因する標的タンパク質融解温度(ΔTm)の変化を評価する、示差走査蛍光測定(DSF)を使用して評価した。10mMのHEPES、150mMのNaCl(pH7.5)、及び1μMの非リン酸化組換えヒトp38α中で1:1000に希釈したSYPROオレンジ(Thermo Fischer Scientific)を、96ウェルPCRプレートに添加した。100%DMSO(2%最終DMSO濃度)に溶解した試験化合物(50nm~200nM)を添加し、プレートを混合し、封止し、1,000rpmで1分間遠心分離し、Applied Biosystems StepOne(商標)リアルタイムPCR機器を使用して融解曲線を決定した。融点は、第1の誘導曲線から決定される。
【0465】
全ての化合物を、最初はp38α又はp38βとの相互作用についてDSFによって100μMで試験した。対照ATP競合p38阻害剤を10μMで試験した。p38αについて選択性を示した化合物を、次いで用量応答(1、3、10、30、100μM)について再試験した。各化合物を実験当たり3つの技術的複製で試験し、各実験を3回繰り返した。
【0466】
化合物1、6、8、及び14は、100μMの濃度で0.1を超えるΔTmを示した。SB203580は、10μMの濃度で10を超えるΔTmを示した。
【0467】
実施例20
表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ
DSFアッセイにおいてp38αについて選択性を示した化合物を、Biacore T200機器を使用してSPRによって結合親和性について試験した。p38α又はp38βに対する結合親和性(KD)を、様々な用量の試験化合物(例えば、1、3、10、30、100μM)で生成された会合及び解離曲線から決定した。対照を使用して、ATP競合性p38阻害剤の結合を確認した。各実験を3回繰り返す。
【0468】
化合物(1)、(6)、(8)、及び(14)は、pH4でp38βに結合するために1E-8M未満のKDを示した。
【0469】
実施例21
血漿安定性アッセイ
ヒト、マウス、ラット、及びサル血漿(デフォルトではK2 EDTA)をBioreclamationから得た。10μMの各試験化合物を、血漿の存在下で37℃でインキュベートした。0、30、60、及び240分で、試料を有機溶媒でクエンチし、ボルテックスし、遠心分離した。上清を、Shimadzu LC-20AD LCポンプシステムに結合された、AB Sciex API 4000(商標)機器を使用して、LC/MS/MS分析のために新鮮なプレートに移した。分析試料を、Waters Atlantis T3 C18逆相HPLCカラム(20mm×2.1mm)を0.5mL/分の流量で使用して分離した。移動相は、水中0.1%ギ酸(溶媒A)及び100%アセトニトリル中0.1%ギ酸(溶媒B)を含んだ。
【0470】
代謝の程度を、0分対照反応インキュベーションと比較して、試験化合物の消失として計算した。プロパンテリンを陽性対照として含め、アッセイ性能を検証した。
【0471】
化合物1、6、8、10、及び14は、ヒト、サル、及びラット血漿中で少なくとも4時間安定していた。
【0472】
実施例22
SARS-CoVID-19抗ウイルス有効性
A549-ACE2細胞を、10%FBSで補足されたDMEM中で培養し、37℃、5%CO2で維持した。HEK293T-ACE2細胞(ATCC、CRL-3216)を、10%FB(ピーク血清)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning)で補足されたDMEM(Corning)中、37℃、及び5%CO2で維持した。hACE2異所的発現細胞を、ヒトACE2を発現するレンチウイルスベクターで形質導入することによって生成した。hACE2表面発現を有するピューロマイシン耐性細胞を、Alexa Fluor(登録商標)647コンジュゲートヤギ抗hACE2抗体で染色した後に選別した。次いで、細胞を単一細胞クローニングし、SARS-CoV-2複製を支持するそれらの能力についてスクリーニングした。この試験で使用される全ての細胞株を、Universal Detection Kit(ATCC、30-1012K)を使用してマイコプラズマ汚染について定期的にスクリーニングした。
【0473】
SARS-CoV-2分離株BetaCoV/France/IDF0372/2020(SARS-CoV-2 Paris)は、パスツール研究所(パリ、フランス)によって主催されるNational Reference Centre for Respiratory Virusesによって供給された。分離株は、European Virus Archive goes Global(EVAg)プラットフォームを通して供給された。ウイルスストックは、2%のFBSで補足されたDMEM中でのVero E6細胞における増殖によって調製した。ウイルス力価は、2%(v/v)のFBS(Invitrogen)及び0.05%のアガロースで補足された最小必須培地(MEM)中でのプラークアッセイによって決定した。生体SARS-CoV-2を伴う全ての実験は、パスツール研究所パリのバイオセーフティーレベル3(BSL-3)封じ込め手順のガイドラインに準拠して承認された実験室で実施した。
【0474】
BetaCoV/France/IDF0372/2020分離株と99.983%の配列同一性を共有する、SARS-CoV-2、分離株USA-WA1/2020(NR-52281)(SARS-CoV-2 New York)は、疾病予防管理センターによって預託され、BEI Resources、NIAID、NIHを通して入手された。SARS-CoV-2は、2%のFBS、4.5g/LのD-グルコース、4mMのL-グルタミン、10mMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び10mMのHEPESで補足されたDMEM中のVero E6細胞において増殖させた。生体SARS-CoV-2に関わる全ての作業は、シナイ山のIcahn School of MedicineのGlobal Health and Emerging Pathogens InstituteのCDC/USDA承認BSL-3施設において機関のバイオセーフティー要件に従って実施した。
【0475】
感染の2時間前に、培地を、DMSO対照を含む、示されたものよりも50%高い濃度で目的の化合物を含有するDMEM(2%FBS)で置き換えた。次いで、プレートをBSL-3施設に移し、同じ体積のSARS-CoV-2をDMEM(2%FBS)中に添加し、最終化合物濃度を示されるものにした。次いで、プレートを37℃で48時間インキュベートした。全てのアッセイは、生物学的に独立した3通りで実施した。
【0476】
ウイルスゲノムの検出を、不活性化した上清から直接、RT-qPCRによって行った。N遺伝子領域を標的とするSARS-CoV-2特異的プライマー:5′-TAATCAGACAAGGAACTGATTA-3′(配列番号1)(フォワード)及び5′-CGAAGGTGTGACTTCCATG-3′(配列番号2)(リバース)を、Luna(登録商標)ユニバーサルワンステップRT-qPCRキット(NEB)とともにApplied Biosystems QuantStudio(商標)7サーモサイクラーにおいて、以下のサイクル条件:55℃で10分間、95℃で1分間、及び95℃で10秒間の40サイクル、続いて60℃で1分間で使用した。ウイルスゲノムの数は、PFU当量/mLとして表され、既知のウイルス力価を有するウイルスストックに由来するRNAで標準曲線を行うことによって計算した。
【0477】
パリにおけるプラークアッセイを介したウイルス定量化。細胞を7.5×104細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレートに播種した。翌日、無血清MEM培地中で連続希釈を行った。1時間後、37℃での吸収、2×オーバーレイ培地を接種原に添加し、2%(v/v)のFBS/MEM培地及び0.05%(w/v)のアガロース(全てThermo Fisher Scientific)の最終濃度を得て、半固体オーバーレイを達成した。プラークアッセイを37℃で3日間インキュベートした。試料を、4%ホルマリン(Sigma Aldrich)を使用して固定し、プラークを、クリスタルバイオレット溶液(Sigma Aldrich)を使用して可視化した。
【0478】
細胞生存率パリ。細胞生存率を製造業者の指示に従ってCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して測定し、発光をTecan Infinite(登録商標)2000プレートリーダーで測定した。細胞傷害性は、同じ化合物希釈での未感染細胞で、ウイルス複製アッセイと同時に行った。生存率パーセントを、未処理細胞(100%生存率)及び20%エタノールで溶解した細胞(0%生存率)に対して計算した。
【0479】
ニューヨークにおけるNタンパク質染色を介したウイルス定量化。感染後、上清を除去し、細胞をBSL-3施設から除去される前に4%ホルムアルデヒドで24時間固定した。次いで、細胞を、DAPI対比染色でウイルスNPタンパク質(1:10,000)について免疫染色した。感染細胞(488nM)及び総細胞(DAPI)を、Celigo(Nexcelcom)イメージングサイトメーターを使用して定量化した。感染性は、細胞の核におけるウイルスNPタンパク質の蓄積(蛍光蓄積)によって測定した。感染パーセントを((感染細胞/総細胞)-バックグラウンド)×100として定量化し、次いでDMSO対照を分析のために100%感染に設定した。
【0480】
細胞生存率ニューヨーク。細胞傷害性はまた、製造業者の指示に従って、MTTアッセイ(Roche)を使用して行った。細胞傷害性は、同じ化合物希釈での未感染細胞で、ウイルス複製アッセイと同時に行った。生存率パーセントは、未処理細胞(生存率100%)と比較して計算した。
【0481】
データ分析及びIC50計算。Hill関数は、MATLAB(登録商標)におけるlsqcurvefit関数を使用して、各用量反応曲線に適合させた(R2018a)。IC50(ウイルス)値は、パーセント測定(ウイルス又は細胞生存率定量化)が50%マークを超えた濃度として定義した。用量反応全体を通して適合曲線が50%を超えて開始せず、50%未満に交差しなかった場合、IC50値は、試験した最大濃度よりも大きいとしてマークされた。
【0482】
化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、(8)、(1)、(11)、(13)、及び(17)は、1E~5M未満の抗SARS-CoVID-19活性についてIC50を示した。結果を表1に示す。
【表1】
【0483】
最後に、本明細書に開示される実施形態を実施する代替的な方法が存在することに留意されたい。したがって、本実施形態は例示的なものであり、限定的なものではなく、特許請求の範囲は、本明細書に与えられる詳細に限定されるものではなく、その範囲及び均等物内で修正され得る。
また、本発明には以下の好ましい実施形態が含まれる。
[1]式(1)の構造を有する化合物、
【化53】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1
が、C
1-4
アルカンジイル、C
1-4
ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4
アルカンジイル、及び置換C
1-4
ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2
が、式(2a)の部分、式(2b)の部分、式(2c)の部分、C
8-16
ヘテロビシクロアルキル、及び置換C
8-16
ヘテロビシクロアルキルから選択され、
【化54】
式中、
B
1
、B
2
、B
3
、及びB
4
の各々が、独立して、-(CH(-R
4
))
n
-から選択され、式中、
各nが、独立して、0、1、2、3、及び4から選択され、
B
1
及びB
2
の両方が、0ではなく、
B
3
及びB
4
の両方が、0ではなく、
各R
4
が、独立して、水素、-OH、-NH
2
、-NO
2
、C
1-3
アルキル、C
1-3
ヘテロアルキル、置換C
1-3
アルキル、及び置換C
1-3
ヘテロアルキルから選択され、
Dが、メタン-ジイル及びエタン-ジイルから選択され、
Xが、-O-、-CH(-OH)-、-NR
3
-、及び-SO
2
-から選択され、R
3
が、水素、C
1-6
アルキル、C
1-6
シクロアルキル、C
6
アリール、C
1-6
ヘテロアルキル、C
1-6
ヘテロシクロアルキル、C
5-6
ヘテロアリール、置換C
1-6
アルキル、置換C
1-6
シクロアルキル、置換C
6
アリール、置換C
1-6
ヘテロアルキル、置換C
1-6
ヘテロシクロアルキル、及び置換C
5-6
ヘテロアリールから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[2]R
1
が、C
1-4
アルカンジイルであり、
R
2
が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換又は非置換部分から選択され、
【化55】
式中、
R
5
が、水素(非置換)、-OH、-NH
2
、-NR
2
から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3
アルキル、-NO
2
、=O、C
1-3
アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3
アルキルであり、
R
6
が、C
1-6
アルキル及びC
1-6
アルコキシから選択される、[1]に記載の化合物。
[3]R
1
が、メタン-ジイル、エタン-ジイル、及びn-プロパン-ジイルから選択される、[2]に記載の化合物。
[4][2]に記載の化合物であり、R
1
が、メタン-ジイルである、[2]に記載の化合物。
[5]R
2
が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの非置換部分から選択される、[2]に記載の化合物。
[6]R
2
が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの置換部分から選択される、[2]に記載の化合物。
[7]前記置換部分が、式(2a.1)~(2a.4)及び(2d.1)~(2d.5)のいずれか1つの構造を有し得、
【化56】
式中、
R
5
が、-OH、-NH
2
、-NR
2
から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3
アルキル、-NO
2
、=O、C
1-3
アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3
アルキルであり、
R
6
が、C
1-6
アルキル及びC
1-6
アルコキシから選択される、[2]に記載の化合物。
[8]B
1
が、-(CH
2
)
2
-であり、B
2
が、-CH
2
-であり、B
3
が、-(CH
2
)
n
-であり、nが、0、1、2、及び3から選択され、B
3
が、-(CH
2
)
3n
-であり、Xが、Oである、[2]に記載の化合物。
[9]式(2a)の前記部分が、式(2a.1)~(2a.4)の部分から選択され、
【化57】
式中、R
5
が、水素(非置換)、-OH、-NH
2
、-NR
2
から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3
アルキル、-NO
2
、=O、C
1-3
アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3
アルキルである、[2]に記載の化合物。
[10]A
1
が、-(CH
2
)
n
-であり、nが、1~4の整数であり、A
2
が、-(CH
2
)
5-n
-であり、Xが、Oである、[2]に記載の化合物。
[11]式(2d)の前記部分が、式(2d.1)又は式(2d.2)の構造を有し、
【化58】
式中、R
5
が、水素(非置換)、-OH、-NH
2
、-NR
2
から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3
アルキル、-NO
2
、=O、C
1-3
アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3
アルキルである、[2]に記載の化合物。
[12]A
1
が、-(CH
2
)
n
-であり、nが、1又は2であり、A
2
が、-(CH
2
)
3-n
-であり、Xが、-N(-C(=O)-R
6
)-であり、R
6
が、C
1-4
アルキル及びC
1-4
アルコキシから選択される、[2]に記載の化合物。
[13]式(2d)の前記部分が、式(2d.3)及び式(2d.4)の部分から選択され、
【化59】
式中、
R
5
が、水素(非置換)、-OH、-NH
2
、-NR
2
から選択され、各Rが、独立して、水素及びC
1-3
アルキル、-NO
2
、=O、C
1-3
アルコキシ、及びC(=O)-Rから選択され、式中、Rが、C
1-3
アルキルであり、
R
6
が、C
1-6
アルキル及びC
1-6
アルコキシから選択される、[2]に記載の化合物。
[14]A
1
が、-(CH
2
)
n
-であり、nが、1又は2であり、A
2
が、-(CH
2
)
3-n
-であり、Xが、Oであり、かつ1つ又は2つの-CH
3
置換基を含む、[2]に記載の化合物。
[15]式(2d)の前記部分が、式(2d.5)の構造を有し得る、[2]に記載の化合物。
【化60】
[16]前記化合物が、
N-(4-((2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(3)、
N-(4-((7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(4)、
N-(4-((8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(5)、
N-(4-((1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(6)、
N-(4-(((1R,5S)-3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(9)、及び
4-クロロ-N-(4-(((3aR,6aS)-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール-5(3H)-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、[2]に記載の化合物。
[17]
前記化合物が、
2-クロロ-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリミジン-5-カルボキサミド(1)、
N-(4-((1,4-オキサゼパン-4-イル)メチル)フェニル)-4-クロロベンズアミド(2)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(7)、
4-クロロ-N-(4-(((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミド(8)、
4-クロロ-N-(4-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(10)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(11)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシシクロペンチル)メチル)フェニル)ベンズアミド(12)、
4-クロロ-N-(4-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(13)、
4-クロロ-N-(4-((3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(14)、
4-クロロ-N-(4-((4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(15)、及び
4-クロロ-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ベンズアミド(16)、
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、[2]に記載の化合物。
[18]前記化合物が、前記p38α MAPK受容体を阻害する、[1]~[17]のいずれかに記載の化合物。
[19]前記化合物が、前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害する、[1]~[17]のいずれかに記載の化合物。
[20]前記化合物が、前記p38β MAPKサブユニットに対してよりも前記p38α MAPKサブユニットに対してより高い結合親和性を有する、[1]~[17]のいずれかに記載の化合物。
[21]前記化合物が、p38α MAPKの選択的結合部位に結合し、前記結合ポケットが、ポケットによって定義され、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義される、[1]~[17]のいずれかに記載の化合物。
[22][1]~[21]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
[23]前記薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の[1]~[22]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、[22]に記載の薬学的組成物。
[24]前記疾患が、がん、炎症性疾患、及び自己免疫疾患、並びにウイルス性疾患から選択される、[23]に記載の薬学的組成物。
[25]前記疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症、及び嚢胞性線維症から選択される、[23]に記載の薬学的組成物。
[26]患者において疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、治療有効量の[1]~[21]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[22]及び[23]のいずれかに記載の薬学的組成物を投与することを含み、前記疾患が、がん、炎症性疾患、及び自己免疫疾患、並びにウイルス性疾患から選択される、方法。
【配列表】