(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】チューブヘッド構造の加工方法とその製品
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20240528BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20240528BHJP
B29C 33/14 20060101ALI20240528BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240528BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B29C45/14
B65D35/10 Z
B29C33/14
B29C45/26
B29C33/42
(21)【出願番号】P 2023018357
(22)【出願日】2023-02-09
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202211363026.3
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519463813
【氏名又は名称】廈門鵬茂機械設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【氏名又は名称】千種 美也子
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】江志榮
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-71986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B65D 35/10
B29C 33/14
B29C 45/26
B29C 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブヘッド構造の加工方法であって、
チューブボディをマンドレルにはめるステップ1と、
上型をマンドレルへ押し付け、前記上型の押下げ時に前記チューブボディの上端部を押圧して内側方向に折り曲げ、型締め後に、前記上型、チューブボディ、マンドレルの間にチューブヘッドキャビティが囲まれ、かつ前記チューブボディの端部位置が前記上型、マンドレルの対向面のいずれにも接触しないステップ2と、
前記チューブヘッドキャビティ内にチューブヘッドの射出材料を注入し、射出材料が冷却固化した後、型開きし、射出が完成するステップ3と、を含み、
前記ステップ2では、前記上型の肩部に凹んで一周の第1円弧面と第2円弧面を形成し、前記第1円弧面の下縁が前記第2円弧面の上縁に接続し、前記上型の押し下げの過程で、前記チューブボディの上端部が前記第2円弧面に密着し、前記第2円弧面に沿って移動して内側方向に曲げ変形し、前記第1円弧面との間に隙間が生じ、前記チューブヘッドの射出材料が前記チューブボディと前記第1円弧面との隙間に注入されるチューブヘッド構造の加工方法。
【請求項2】
前記ステップ1では、前記マンドレルの肩部に凹んで一周の溝を形成し、前記溝の断面は、前記マンドレルの周面に成形された段差と、前記マンドレルの肩部に成形された破断面と、前記段差と前記破断面との間に接続された円弧形辺とを含む、請求項1に記載のチューブヘッド構造の加工方法。
【請求項3】
前記ステップ1では、前記マンドレルの上面に、前記チューブヘッドキャビティの中心線位置にある、前記チューブヘッドの材料穴を成形するための棒材が嵌設される、請求項1に記載のチューブヘッド構造の加工方法。
【請求項4】
前記棒材の上下両端は、型締め後にそれぞれ前記上型、マンドレルにはめ込まれる、請求項3に記載のチューブヘッド構造の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブ加工の技術分野に関し、特にチューブヘッド構造の加工方法及びその製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブヘッドの加工方法では、通常、予めチューブボディ1’とチューブヘッド2’とをそれぞれ成形しておき、次いで、チューブボディ1’を成形機のマンドレルにはめて、チューブヘッド2’をマンドレルの肩部にセットしチューブボディ1’の上端内側に位置し、成形機の溶接機構とマンドレルとの協働作用により、チューブヘッド2’の肩部とチューブボディ1’の上端内側面とを加熱して接着を図り、その後、冷却、脱型して、
図1に示すチューブ製品を得る高周波溶接工程が採用される。
【0003】
上記のチューブヘッドの加工方法では、チューブヘッド、チューブボディは、共に物性の近い材料(例えばプラスチック)を用いて作られているため、溶接中に両者の嵌合箇所を比較的強固に接着することができる。しかし、業界技術の発展と製品需要の変化に伴い、現在、チューブボディを作るための材料はますます多くなっており、例えば環境保護の要求を満たすために、一部のメーカーはエコペーパーを用いてチューブボディを作っている。エコペーパーチューブボディのチューブを化粧品、歯磨き粉などの強い匂いや浸透性、腐食性のある内容物に使用するためには、チューブボディの防食性、浸透性を高めるために、エコペーパーの表面にプラスチックフィルムやアルミ箔を貼り付ける必要がある。しかし、エコペーパー自体も、その表面に貼り付けられたフィルム材やアルミ箔も、チューブボディ成形時には直筒状であるため、チューブヘッドの肩部に溶接した後、若干のしわが発生することが避けられず、また、チューブヘッドとチューブボディの物性差が大きく、溶接後の接続強度が低いため、チューブの外観が悪いだけでなく、使用中にチューブを圧迫したときにチューブヘッドとチューブボディの接着箇所が外れて漏れや滲みが発生するリスクがあり、ユーザーの経験が悪く、チューブの寿命も比較的短い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、チューブヘッドとチューブボディの両者をより強固に結合させ、特に特殊な材料で作られたチューブボディに適したチューブヘッド構造の加工方法とその製品を提供し、本発明のプロセスフローがより簡単で、生産コストがより低い。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の解決案の1は、
チューブヘッド構造の加工方法であって、
チューブボディーをマンドレルにはめるステップ1と、
上型をマンドレルへ押し付け、前記上型の押下げ時に前記チューブボディーの上端部を押圧して内側方向に折り曲げ、型締め後に前記上型、チューブボディー、マンドレルの間にチューブヘッドキャビティが囲まれ、かつ前記チューブボディーの端部位置が前記上型、マンドレルの対向面のいずれにも接触しないステップ2と。
前記チューブヘッドキャビティ内にチューブヘッドの射出材料を注入し、射出材料が冷却固化した後、型開きし、射出を完成するステップ3と、を含むチューブヘッド構造の加工方法。
【0006】
前記ステップ1では、前記マンドレルの肩部に凹んで一周の溝を形成し、前記溝の断面は、前記マンドレルの周面に成形された段差と、前記マンドレルの肩部に成形された破断面と、前記段差と前記破断面との間に接続された円弧形辺とを含む。
【0007】
前記ステップ2では、前記上型の肩部に凹んで一周の第1円弧面と第2円弧面を形成し、前記第1円弧面の下縁が前記第2円弧面の上縁に接続し、前記上型の押し下げの過程で、前記チューブボディの上端部が前記第2円弧面に密着し、前記第2円弧面に沿って移動して内側方向に曲げ変形し、前記第1円弧面との間に隙間が生じ、前記チューブボディの射出材料が前記チューブボディと前記第1円弧面との隙間に注入される。
【0008】
前記ステップ1では、前記マンドレルの上面に、前記チューブヘッドキャビティの中心線位置にある、前記チューブヘッドの材料穴を成形するための棒材が嵌設される。
【0009】
前記棒材の上下両端は、型締め後にそれぞれ前記上型、マンドレルにはめ込まれる。
【0010】
本発明の解決案の2は、
チューブボディと、前記チューブボディの端部に二次射出成形により成形されるチューブヘッドとを含むチューブヘッド構造であって、
【0011】
前記チューブヘッドの肩部には、上下に隙間をもって嵌合する外包辺、内包辺が突出して形成されていて、前記チューブボディの上端部は内側方向に折り曲げ、前記外包辺、内包辺は、前記チューブボディの端部の内外面に二次射出工程により接着される。
【0012】
前記チューブヘッドの肩部の内側面には、一周の膨出部が設けられており、前記内包辺は、前記膨出部の下縁に成形されている。
【0013】
前記チューブボディは、エコペーパーからなるチューブ体と、前記チューブ体の内外面にそれぞれ貼り付けられた内保護層、外保護層とを含む。
【0014】
前記内保護層は、少なくとも1層のプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔を含み、前記外保護層は、少なくとも1層のプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔を含む。
【0015】
前記チューブヘッドのヘッド部外周に雄ねじ、凸紋または直紋が設けられている。
【0016】
前記チューブヘッドのヘッド部上面には、材料穴が設けられている。
【0017】
上記構成による、本発明は、以下のような技術的効果を有する:
1 二次射出成形の成形工程により、直接にチューブボディの端部にチューブヘッドを成形し、既存の成形工程としてのチューブヘッドを個別に成形してからチューブボディに溶接する必要があることと比較して、工程全体の流れがより簡単で、ステップがより少なくなるとともに、上型、マンドレルの1セットの金型だけで済み、生産コストがより低い。
2 型締めの過程で、上型はチューブボディの上端部を押圧して内側方向に曲げて、チューブボディの端部位置が上型、マンドレルの対向面と接触しないようにして、チューブヘッドの射出材料を注入するスペースを確保して、射出完了後にチューブヘッドの肩部がチューブボディの端部の内外面に包まれて、射出材料がチューブボディの曲げによるしわに十分に充填されて、チューブヘッドとチューブボディとの接触面積がより大きくて、より強固に結合されて、この成形プロセスは特に、特殊な材料からなるチューブボディに適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は従来技術におけるチューブヘッドとチューブボディとの接続構造の概略図である。
【
図2】
図2は本発明の具体的な実施例の加工方法におけるマンドレルにチューブボディを被せる構造模式図である。
【
図3】
図3は本発明の具体的な実施例の加工方法における型締めの過程模式図である。
【
図4】
図4は本発明の具体的な実施例の加工方法における型締め後の構造模式図である。
【
図6】
図6は本発明の具体的な実施例の加工方法における二次射出の過程模式図である。
【
図7】
図7は本発明の具体的な実施例のチューブヘッド構造の斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の具体的な実施例のチューブヘッド構造の分解図である。
【
図9】
図9は本発明の具体的な実施例のチューブヘッド構造の組み合わせ状態の断面図である。
【
図11】
図11は本発明の具体的な実施例のチューブヘッド構造の分解状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2~
図6に示すように、本発明は、以下の工程を含むチューブヘッド構造の加工方法を開示する。
【0020】
図2を参照して、チューブボディー1をマンドレル10にはめるステップ1と、
図3~
図5を参照して、上型20をマンドレル10へ押し付け、上型20の押下げ時に、チューブボディー1の上端部を押圧して内側方向に折り曲げ、型締め後に、上型20とチューブボディー1とマンドレル10との間にチューブヘッドキャビティ30が囲まれ、且つチューブボディー1の端部位置が上型20とマンドレル10の対向面のいずれにも接触しないステップ2と、
ステップ3、
図6を参照して、チューブヘッドキャビティ30内にチューブヘッド2の射出材料を注入し、射出材料が冷却固化した後に、型開きし(つまり、上型20が上昇してチューブヘッド2から離脱させ)、射出が完了する。
【符号の説明】
【0021】
1 チューブボディー
1’ チューブボディー
10 マンドレル
101 溝
1011 段差
1012 破断面
1013 円弧形辺
11 チューブ体
12 内保護層
13 外保護層
2 チューブヘッド
2’ チューブヘッド
20 上型
201 第1円弧面
202 第2円弧面
203 スロット
21 外包辺
22 内包辺
23 膨出部
24 雄ねじ
25 材料穴
30 チューブヘッドキャビティ
40 棒材
【0022】
以下に本発明の加工方法の具体的な実施例を示す。
【0023】
上記ステップ1では、マンドレル10の肩部に凹んで一周の溝101を形成し、溝101の断面は、マンドレル10の周面に成形された段差1011と、マンドレル10の肩部に成形された破断面1012と、段差1011と破断面1012との間に接続された円弧形辺1013とを含む。溝101は、チューブボディー1の上端部が折り曲げる後にマンドレル10の肩部に接触しないように、チューブボディー1の上端部の相対位置に対応する設けられ、チューブヘッド2の射出材料が注入できるように十分なスペースが確保されている。
【0024】
上記ステップ2では、上型20の肩部に凹んで一周の第1円弧面201と第2円弧面202を形成し、第1円弧面201の下縁が第2円弧面202の上縁に接続し、上型20の押し下げの過程で、チューブボディ1の上端部が第2円弧面202に密着し、第2円弧面202に沿って移動して内側方向に曲げ変形し、第1円弧面201との間に隙間が生じ、チューブボディ1の射出材料がチューブボディ1と第1円弧面201との隙間に注入される。第1円弧面201は、チューブボディ1の上端部が曲げられた後に上型20の肩部に接触しないように、上型20とチューブボディ1の上端部との間隔を大きくするために、その凹形状によって形成されており、チューブヘッド2の射出材料が注入できるように十分なスペースが確保されている。
【0025】
上記ステップ1では、マンドレル10の上面に、チューブヘッドキャビティ30の中心線位置にある、チューブヘッド2の材料穴を成形するための棒材40が嵌設される。
【0026】
さらに、型締め後の棒材40の上下両端にそれぞれ上型20、マンドレル10を嵌め込むことで密閉接続を実現し、射出時にチューブヘッド2の射出材料が上型20と棒材40との隙間に流れ込みにくくなり、バリの発生が低減され、製品の離型品質が向上するとともに、マンドレル10と上型20との同軸度を補正する役割も果たす。ここで、上型20の中心線位置には、棒材40が嵌設されたスロット203が設けられている。
【0027】
図7~
図11に示すように、本発明は、チューブボディー1と、チューブボディー1の上端部に二次射出成形により形成されるチューブヘッド2とを備えたチューブヘッド構造も開示した。
【0028】
チューブヘッド2の肩部には、上下に隙間をもって嵌合する外包辺21、内包辺22が突出して形成されていて、チューブボディー1の上端部は内側方向に折り曲げられ、外包辺21、内包辺22は、チューブボディー1の上端部の内外面に二次射出工程により接着される。
【0029】
以下に本発明のチューブヘッド構造の具体的な実施例を示す。
【0030】
上記チューブヘッド2の肩部の内側面には、(上記方法における溝101に対応する)一周の膨出部23が設けられており、膨出部23の下縁には内包辺22が成形する。突出部23を設けることにより、チューブヘッド2の肩部の厚みを大きくすることができ、チューブボディー1の上端部内側面に内包される内包辺22及びその接続箇所に十分な厚みと強度を持ち、内包辺22とチューブボディー1との接着強度を向上させることができる。
【0031】
図10を参照して、上記チューブボディー1は、エコペーパーからなるチューブ体11と、チューブ体11の内外面にそれぞれ貼り付けられた内保護層12、外保護層13とを備えている。
【0032】
さらに、上記内保護層12、外保護層13は、いずれも少なくとも1層のプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔を含む。
【0033】
上記のチューブヘッド2のヘッド部外周には、雄ねじ24、凸紋または直紋などの構造が設けられており、チューブをねじまたは圧入式に嵌合するヘッド体を実現するために用いられている。
【0034】
上記チューブヘッド2のヘッド部上面には、チューブの内容物を押し出すための材料穴25が設けられており、使用ニーズに応じて材料穴25の数は1つまたは複数設けられていてもよく、材料穴25は異なる大きさに設けられていてもよい。
【0035】
以上の構成により、本発明は、二次射出成形の成形工程により、チューブボディ1の端部に直接チューブヘッド2を成形するが、既存の成形工程としてのチューブヘッドを個別に成形してからューブボディに溶接するがあることと比較して、工程全体の流れがより簡単で、ステップがより少なくなるとともに、上型20、マンドレル10の1セットの金型で済み、生産コストがより低くなる。型締めの過程で、上型20はチューブボディ1の上端部を押圧して内側方向に曲げて、チューブボディ1の端部位置が上型20、マンドレル10の対向面と接触しないようにして、チューブヘッド2の射出材料を注入するスペースを確保し、射出完了後にチューブヘッド2の肩部がチューブボディ1の端部の内外面に包まれ、射出材料がチューブボディの曲げによるしわに十分に充填されて、チューブヘッド2とチューブボディ1との接触面積がより大きくて、より強固に結合されて、この成形プロセスは特に、特殊な材料(例えばエコペーパー)からなるチューブボディに適している。