(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20240529BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240529BHJP
F25B 41/24 20210101ALI20240529BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240529BHJP
F24F 11/526 20180101ALI20240529BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240529BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240529BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240529BHJP
F24F 110/65 20180101ALN20240529BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
F25B41/24
F25B47/02 Z
F24F11/526
F24F11/77
F24F7/007 B
F24F11/89
F24F110:65
(21)【出願番号】P 2020017925
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194187(JP,A)
【文献】特開2013-019621(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174767(WO,A1)
【文献】特開2013-019620(JP,A)
【文献】特開2000-035267(JP,A)
【文献】特開平07-159010(JP,A)
【文献】実開昭62-077769(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 49/02
F25B 41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する冷媒回路(10a)と
第1制御部(33)とを有し、室内空間(A)の空気調和を行う空気調和装置(10)と、
前記室内空間(A)における前記冷媒の漏洩の対策のための対策装置(60,65)と、
前記室内空間(A)における前記冷媒の濃度を検出する検出部(70)と、
前記
第1制御部(33)と前記対策装置(60,65)とに接続される第1リレー(811,812)とを備え、
前記
第1制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)を閉状態にし、
前記対策装置(60,65)は、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると動作し、
前記空気調和装置(10)の
第1制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)を閉状態にするという動作を実現するためのプログラムを有し、
前記対策装置(60,65)の
第2制御部(63,67)は、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると前記対策装置(60,65)を起動させるという動作を実現するためのプログラムを有する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷媒回路(10a)は、前記室内空間(A)に設けられる室内熱交換器(31)を含む室内回路(30a)と、前記室内回路(30a)のガス端部が接続される第1冷媒流路(13)と、前記室内回路(30a)の液端部が接続される第2冷媒流路(17)とを有し、
前記対策装置(60,65)は、前記第1冷媒流路(13)および前記第2冷媒流路(17)の少なくとも一方に設けられる遮断弁(V)を有し、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると前記遮断弁(V)を閉状態にする
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記対策装置(60,65)は、前記室内空間(A)を換気する換気ファン(66)を有し、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると前記換気ファン(66)を駆動させる
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つにおいて、
前記第1リレー(811,812)は、前記空気調和装置(10)内に設けられる
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1つにおいて、
前記第1リレー(811,812)は、前記対策装置(60,65)内に設けられる
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
警報を発する警報装置(55)と、
前記
第1制御部(33)と前記警報装置(55)とに接続される第2リレー(82)とを備え、
前記
第1制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)および前記第2リレー(82)を閉状態にし、
前記警報装置(55)は、前記第2リレー(82)が閉状態になると警報を発する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つにおいて、
前記空気調和装置(10)は、室外機(20)と、室内機(30)とを有し、
前記
第1制御部(33)は、前記室内機(30)に設けられる
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1つにおいて、
前記空気調和装置(10)は、室外機(20)と、複数の室内空間(A)の空気調和を行う複数の室内機(30)とを有し、
前記室外機(20)は、室外制御部(27)を有し、
前記
第1制御部(33)は、前記複数の室内機(30)のそれぞれに設けられ、
前記対策装置(60,65)は、前記複数の室内空間(A)の少なくとも1つに対応して設けられ、
前記検出部(70)は、前記複数の室内空間(A)のそれぞれに設けられ、
前記
第1制御部(33)は、該
第1制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回る場合に、前記室外制御部(27)に第1信号を送信し、
前記室外制御部(27)は、前記第1信号を受信した場合に、前記対策装置(60,65)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された前記
第1制御部(33)に第2信号を送信し、
前記
第1制御部(33)は、前記第2信号を受信した場合に、前記第1リレー(811,812)を閉状態にする
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項9】
冷媒が循環する冷媒回路(10a)と制御部(33)とを有し、室内空間(A)の空気調和を行う空気調和装置(10)と、
前記室内空間(A)における前記冷媒の漏洩の対策のための対策装置(60,65)と、
前記室内空間(A)における前記冷媒の濃度を検出する検出部(70)と、
前記制御部(33)と前記対策装置(60,65)とに接続される第1リレー(811,812)とを備え、
前記制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)を閉状態にし、
前記対策装置(60,65)は、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると動作し、
前記空気調和装置(10)は、室外機(20)と、複数の室内空間(A)の空気調和を行う複数の室内機(30)とを有し、
前記室外機(20)は、室外制御部(27)を有し、
前記制御部(33)は、前記複数の室内機(30)のそれぞれに設けられ、
前記対策装置(60,65)は、前記複数の室内空間(A)の少なくとも1つに対応して設けられ、
前記検出部(70)は、前記複数の室内空間(A)のそれぞれに設けられ、
前記制御部(33)は、
該制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回り且つ該制御部(33)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された対策装置(60,65)がある場合に、前記第1リレー(811,812)を閉状態にするとともに、前記室外制御部(27)
に第1信号を送信し、
該制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回り且つ前記制御部(33)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された対策装置(60,65)がない場合に、前記室外制御部(27)に前記第1信号を送信し、
前記室外制御部(27)は、前記第1信号を受信した場合に、前記対策装置(60,65)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された前記制御部(33)に第2信号を送信し、
前記制御部(33)は、前記第2信号を受信した場合に、前記第1リレー(811,812)を閉状態にし、
ことを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調装置と換気装置とを含む空調換気システムが開示されている。この空調換気システムでは、空調装置の構成機器を制御する空調制御装置は、空調装置と換気装置とが通信接続された状態において冷媒の漏洩が検知された際に、換気装置の構成機器を制御する換気制御装置に対して換気装置の運転を行うことを指令する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような空気調和システムでは、空調制御装置が空調装置の構成機器の制御だけでなく換気装置の制御を行う必要があるので、空調制御装置の処理負荷を軽減することが困難である。
【0005】
そこで、本開示は、空気調和装置の制御部の処理負荷を軽減することが可能な空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、冷媒が循環する冷媒回路(10a)と制御部(33)とを有し、室内空間(A)の空気調和を行う空気調和装置(10)と、前記室内空間(A)における前記冷媒の漏洩の対策のための対策装置(60,65)と、前記室内空間(A)における前記冷媒の濃度を検出する検出部(70)と、前記制御部(33)と前記対策装置(60,65)とに接続される第1リレー(811,812)とを備え、前記制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)を閉状態にし、前記対策装置(60,65)は、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると動作することを特徴とする空気調和システムである。
【0007】
第1の態様では、空気調和装置(10)の制御部(33)が第1リレー(811,812)を閉状態にすることにより、対策装置(60,65)を動作させることができる。これにより、空気調和装置(10)の制御部(33)が対策装置(60,65)を直接的に制御する場合よりも、空気調和装置(10)の制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記冷媒回路(10a)は、前記室内空間(A)に設けられる室内熱交換器(31)を含む室内回路(30a)と、前記室内回路(30a)の液端部が接続される第1冷媒流路(13)と、前記室内回路(30a)のガス端部が接続される第2冷媒流路(17)とを有し、前記対策装置(60,65)は、前記第1冷媒流路(13)および前記第2冷媒流路(17)の少なくとも一方に設けられる遮断弁(V)を有し、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると前記遮断弁(V)を閉状態にすることを特徴とする空気調和システムである。
【0009】
第2の態様では、遮断弁(V)を閉状態にすることにより、冷媒回路(10a)から室内空間(A)への冷媒の漏洩を抑制することができる。これにより、室内空間(A)における冷媒の漏洩に起因する室内空間(A)の冷媒濃度の上昇を抑制することができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記対策装置(60,65)は、前記室内空間(A)を換気する換気ファン(66)を有し、前記第1リレー(811,812)が閉状態になると前記換気ファン(66)を駆動させることを特徴とする空気調和システムである。
【0011】
第3の態様では、換気ファン(66)を駆動させることにより、室内空間(A)に漏洩した冷媒を室内空間(A)から排出することができる。
【0012】
第3の態様では、換気ファン(66)を駆動させることにより、室内空間(A)に漏洩した冷媒を室内空間(A)から排出することができる。これにより、室内空間(A)における冷媒の漏洩に起因する室内空間(A)の冷媒濃度の上昇を抑制することができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記第1リレー(811,812)は、前記空気調和装置(10)内に設けられることを特徴とする空気調和システムである。
【0014】
第4の態様では、第1リレー(811,812)を空気調和装置(10)内に設けることにより、第1リレー(811,812)を空気調和装置(10)外に設ける場合よりも、第1リレー(811,812)と制御部(33)とを互いに近づけることができる。これにより、第1リレー(811,812)と制御部(33)との接続誤りの発生を抑制することができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記第1リレー(811,812)は、前記対策装置(60,65)内に設けられることを特徴とする空気調和システムである。
【0016】
第5の態様では、第1リレー(811,812)を対策装置(60,65)内に設けることにより、第1リレー(811,812)を対策装置(60,65)外に設ける場合よりも、第1リレー(811,812)と対策装置(60,65)の制御部とを互いに近づけることができる。これにより、第1リレー(811,812)と対策装置(60,65)の制御部との接続誤りの発生を抑制することができる。
【0017】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、警報を発する警報装置(55)と、前記制御部(33)と前記警報装置(55)とに接続される第2リレー(82)とを備え、前記制御部(33)は、前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回ると前記第1リレー(811,812)および前記第2リレー(82)を閉状態にし、前記警報装置(55)は、前記第2リレー(82)が閉状態になると警報を発することを特徴とする空気調和システムである。
【0018】
第6の態様では、空気調和装置(10)の制御部(33)が第2リレー(82)を閉状態にすることにより、警報装置(55)を動作させることができる。これにより、空気調和装置(10)の制御部(33)が警報装置(55)を直接的に制御する場合よりも、空気調和装置(10)の制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。
【0019】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、前記空気調和装置(10)は、室外機(20)と、室内機(30)とを有し、前記制御部(33)は、前記室内機(30)に設けられることを特徴とする空気調和システムである。
【0020】
第7の態様では、第1リレー(811,812)を介して対策装置(60,65)に接続される制御部(33)を室内機(30)に設けることにより、制御部(33)を室外機(20)に設ける場合よりも、制御部(33)と第1リレー(811,812)と対策装置(60,65)とを近づけることができる。これにより、制御部(33)と第1リレー(811,812)と対策装置(60,65)との接続誤りの発生を抑制することができる。
【0021】
本開示の第8の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、前記空気調和装置(10)は、室外機(20)と、複数の室内空間(A)の空気調和を行う複数の室内機(30)とを有し、前記室外機(20)は、室外制御部(27)を有し、前記制御部(33)は、前記複数の室内機(30)のそれぞれに設けられ、前記対策装置(60,65)は、前記複数の室内空間(A)の少なくとも1つに対応して設けられ、前記検出部(70)は、前記複数の室内空間(A)のそれぞれに設けられ、前記制御部(33)は、該制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回る場合に、前記室外制御部(27)に第1信号を送信し、前記室外制御部(27)は、前記第1信号を受信した場合に、前記対策装置(60,65)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された前記制御部(33)に第2信号を送信し、前記制御部(33)は、前記第2信号を受信した場合に、前記第1リレー(811,812)を閉状態にすることを特徴とする空気調和システムである。
【0022】
第8の態様では、複数の室内空間(A)のいずれかにおいて検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、複数の室内空間(A)に設けられた対策装置(60,65)を動作させることができる。これにより、空気調和システム(1)において制御部(33)と対策装置(60,65)との接続に誤りがあった場合であっても、複数の室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策を行うことができる。
【0023】
本開示の第9の態様は、第8の態様において、前記制御部(33)は、該制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回り且つ該制御部(33)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された対策装置(60,65)がある場合に、前記第1リレー(811,812)を閉状態にするとともに、前記室外制御部(27)に前記第1信号を送信し、該制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた前記検出部(70)により検出された前記冷媒の濃度が前記許容濃度を上回り且つ前記制御部(33)と前記第1リレー(811,812)を介して接続された対策装置(60,65)がない場合に、前記室外制御部(27)に前記第1信号を送信することを特徴とする空気調和システムである。
【0024】
第9の態様では、複数の室内空間(A)のいずれかにおいて検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、第1リレー(811,812)を介して制御部(33)に接続された対策装置(60,65)を動作させることができる。これにより、複数の室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態による空気調和システムの構成を例示する配管系統図である。
【
図2】
図2は、実施形態による空気調和システムの構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態による空気調和システムの冷媒漏洩時における室内制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態による空気調和システムの冷媒漏洩時における弁リレーおよび弁制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態による空気調和システムの冷媒漏洩時における警報リレーおよび警報制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態による空気調和システムの冷媒漏洩時における室外制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態による空気調和システムの冷媒漏洩時における室内制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例1による空気調和システムの構成を例示する配管系統図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例1による空気調和システムの構成を例示するブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例1による空気調和システムの冷媒漏洩時における室内制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例1による空気調和システムの冷媒漏洩時における換気リレーおよび換気制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例2による空気調和システムの冷媒漏洩時における室内制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、空気調和装置の冷媒回路に使用される冷媒に関する表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0027】
(空気調和システム)
図1および
図2は、実施形態の空気調和システム(1)の構成を例示する。この空気調和システム(1)は、空気調和装置(10)と、複数の遮断ユニット(60)と、複数の警報装置(55)と、複数の検出部(70)と、複数の弁リレー(811)と、複数の警報リレー(82)とを備える。複数の第1リレー(811,812)は、複数の遮断ユニット(60)に一対一で対応する。複数の第2リレー(82)は、複数の警報装置(55)に一対一で対応する。弁リレー(811)は、第1リレーの一例である。警報リレー(82)は、第2リレーの一例である。
【0028】
〔空気調和装置〕
空気調和装置(10)は、複数の室内空間(A)の空気調和を行う。この例では、空気調和装置(10)は、室外機(20)と、複数の室内機(30)とを有するマルチ式に構成される。空気調和装置(10)は、室内空間(A)の冷房と暖房とを切り換えて行う。室内機(30)の台数は、2台以上であってもよい。複数の室内機(30)は、複数の室内空間(A)に一対一で設けられ、複数の室内空間(A)の空気調和を行う。複数の室内機(30)は、互いに同様の構成を有する。
【0029】
室外機(20)は、室外に設置される。室内機(30)は、室内に設置される。空気調和装置(10)では、室外機(20)と複数の室内機(30)とが液連絡配管(11)とガス連絡配管(15)を介して互いに接続される。
【0030】
空気調和装置(10)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10a)を備える。冷媒回路(10a)は、室外機(20)に設けられた室外回路(20a)と、複数の室内機(30)にそれぞれ設けられた複数の室内回路(30a)とを含む。室外回路(20a)は、液閉鎖弁(25)と、ガス閉鎖弁(26)とを有する。冷媒回路(10a)では、複数の室内回路(30a)が互いに並列に接続される。室外回路(20a)と複数の室内回路(30a)とは、液連絡配管(11)とガス連絡配管(15)を介して接続される。
【0031】
液連絡配管(11)は、主液管(12)と、複数の液分岐管(13)とを含む。液連絡配管(11)の主液管(12)の一端は、室外回路(20a)の液閉鎖弁(25)に接続される。液分岐管(13)の一端は、主液管(12)に接続される。液分岐管(13)の他端は、室内回路(30a)の液端(液側継手)に接続される。なお、液分岐管(13)は、室内回路(30a)の液端部が接続される第1冷媒流路の一例である。
【0032】
ガス連絡配管(15)は、主ガス管(16)と、複数のガス分岐管(17)とを含む。ガス連絡配管(15)の主ガス管(16)の一端は、室外回路(20a)のガス閉鎖弁(26)に接続される。ガス分岐管(17)の一端は、主ガス管(16)に接続される。ガス分岐管(17)の他端は、室内回路(30a)のガス端(ガス側継手)に接続される。なお、ガス分岐管(17)は、室内回路(30a)のガス端部が接続される第2冷媒流路の一例である。
【0033】
〔室外機〕
室外機(20)は、室外回路(20a)を収容するケーシング(図示省略)を備える。室外回路(20a)は、圧縮機(21)と、室外熱交換器(22)と、四方切換弁(23)と、室外膨張弁(24)と、ガス閉鎖弁(26)と、液閉鎖弁(25)とを有する。
【0034】
圧縮機(21)は、吸入された冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる。室外熱交換器(22)の近傍には、室外ファン(22a)が設けられる。室外ファン(22a)は、室外熱交換器(22)を通過する室外空気を搬送する。
【0035】
四方切換弁(23)は、
図1の実線で示す第1状態と、
図1の破線で示す第2状態とに切り換えられる。第1状態の四方切換弁(23)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス端とを連通させ、且つ、圧縮機(21)の吸入側とガス閉鎖弁(26)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(23)は、圧縮機(21)の吐出側とガス閉鎖弁(26)とを連通させ、且つ、圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス端とを連通させる。
【0036】
室外膨張弁(24)は、室外回路(20a)における室外熱交換器(22)と液閉鎖弁(25)との間に接続される。室外膨張弁(24)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0037】
室外機(20)には、室外制御部(27)が設けられる。室外制御部(27)は、室外機(20)の構成機器を制御する。具体的には、室外制御部(27)は、圧縮機(21)、室外膨張弁(24)、室外ファン(22a)などを制御する。例えば、室外制御部(27)は、制御基板上に搭載されたプロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラム(ソフトウエア)および情報を記憶するメモリとを含む。室外制御部(27)の動作については、後で詳しく説明する。
【0038】
〔室内機〕
室内機(30)は、天井設置式の室内機である。この天井設置式は、天井埋込式および天井吊り下げ式を含む。室内機(30)は、室内回路(30a)を収容するケーシング(図示省略)を備える。室内回路(30a)は、室内熱交換器(31)と、室内膨張弁(32)とを有する。室内熱交換器(31)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる。室内熱交換器(31)の近傍には、室内ファン(31a)が設けられる。室内ファン(31a)は、室内熱交換器(31)を通過する室内空気を搬送する。
【0039】
室内膨張弁(32)は、室内回路(30a)における液側継手と室内熱交換器(31)との間に接続される。室内膨張弁(32)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0040】
室内機(30)には、室内制御部(33)が設けられる。室内制御部(33)は、室内機(30)の構成機器を制御する。具体的には、室内制御部(33)は、室内膨張弁(32)、室内ファン(31a)などを制御する。また、室内制御部(33)は、室外制御部(27)と通信線により接続され、室外制御部(27)と通信可能である。例えば、室内制御部(33)は、制御基板上に搭載されたプロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラム(ソフトウエア)および情報を記憶するメモリとを含む。室内制御部(33)の動作については、後で詳しく説明する。室内制御部(33)は、空気調和装置(10)の制御部の一例である。
【0041】
〔遮断ユニット〕
複数の遮断ユニット(60)は、複数の室内空間(A)に一対一で対応する。複数の遮断ユニット(60)は、互いに同様の構成を有する。遮断ユニット(60)は、遮断弁(V)を有する。遮断弁(V)は、液分岐管(13)およびガス分岐管(17)の少なくとも一方に設けられる。そして、遮断ユニット(60)は、その遮断ユニット(60)に対応する弁リレー(811)が閉状態になると、遮断弁(V)を閉状態にする。例えば、遮断ユニット(60)の遮断弁(V)は、室内空間(A)に隣接する天井裏に設けられる。
【0042】
この例では、遮断ユニット(60)は、第1遮断弁(61)と、第2遮断弁(62)と、弁制御部(63)とを有する。
【0043】
第1遮断弁(61)は、液分岐管(13)に設けられる遮断弁(V)である。第2遮断弁(62)は、ガス分岐管(17)に設けられる遮断弁(V)である。例えば、遮断弁(V)は、開度を調節可能な電動弁により構成される。
【0044】
弁制御部(63)は、遮断弁(V)を制御する。具体的には、弁制御部(63)は、遮断弁(V)を制御するための専用プログラムを有する。そして、弁制御部(63)は、その専用プログラムを実行することで、遮断弁(V)の開度を制御する。例えば、弁制御部(63)は、制御基板上に設けられたプロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラムおよび情報を記憶するメモリとを含む。
【0045】
なお、遮断ユニット(60)は、室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策のための対策装置の一例である。複数の対策装置は、複数の室内空間(A)に一対一で対応する。対策装置は、その対策装置に対応する第1リレーが閉状態になると動作する。
【0046】
〔警報装置〕
複数の警報装置(55)は、複数の室内空間(A)に一対一で対応する。複数の警報装置(55)は、互いに同様の構成を有する。警報装置(55)は、その警報装置(55)に対応する警報リレー(82)が閉状態になると警報を発する。
【0047】
この例では、警報装置(55)は、室内機(30)のリモコン(図示省略)に設けられる。警報装置(55)は、警報器(56)と、警報制御部(57)とを有する。
【0048】
警報器(56)は、音および/または光により警報を発する。例えば、警報器(56)は、警報音を発する音出力部であってもよいし、警報光を発する発光部であってもよい。警報制御部(57)は、警報器(56)を制御する。具体的には、警報制御部(57)は、警報器(56)を制御するための専用プログラムを有する。そして、警報制御部(57)は、その専用プログラムを実行することで、警報器(56)を作動させる。例えば、警報制御部(57)は、制御基板上に設けられたプロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラムおよび情報を記憶するメモリとを含む。
【0049】
〔検出部〕
複数の検出部(70)は、複数の室内空間(A)に一対一で設けられる。複数の検出部(70)は、互いに同様の構成を有する。検出部(70)は、その検出部(70)が設けられた室内空間(A)における冷媒の濃度を検出する。
【0050】
この例では、検出部(70)は、計測部を有する。計測部は、室内空間(A)における冷媒の濃度を計測する。例えば、計測部は、冷媒の濃度に応じた電圧値を有する電圧を出力する冷媒濃度センサにより構成される。
【0051】
また、この例では、検出部(70)は、その検出部(70)に対応する室内制御部(33)と信号線により接続される。検出部(70)の出力は、室内制御部(33)に送信される。また、この例では、検出部(70)は、室内機(30)に設けられる。なお、検出部(70)は、室内機(30)の外部に設けられてもよい。
【0052】
〔弁リレー〕
複数の弁リレー(811)は、互いに同様の構成を有する。弁リレー(811)は、その弁リレー(811)に対応する遮断ユニット(60)の弁制御部(63)と室内制御部(33)とに接続される。また、弁リレー(811)は、開状態と閉状態とに切り換え可能である。この例では、弁リレー(811)は、閉状態になると第1出力信号を送信する。
【0053】
また、弁リレー(811)は、空気調和装置(10)に設けられる。この例では、弁リレー(811)は、その弁リレー(811)に対応する室内制御部(33)が設けられた室内機(30)に設けられる。例えば、弁リレー(811)は、室内制御部(33)の制御基板上に設けられてもよい。なお、弁リレー(811)の例としては、有接点リレーまたは無接点リレーとして一般に用いられる種々のリレーが挙げられる。
【0054】
〔警報リレー〕
複数の警報リレー(82)は、互いに同様の構成を有する。警報リレー(82)は、その警報リレー(82)に対応する警報装置(55)の警報制御部(57)と室内制御部(33)とに接続される。また、警報リレー(82)は、開状態と閉状態とに切り換え可能である。この例では、警報リレー(82)は、閉状態になると第2出力信号を送信する。
【0055】
また、警報リレー(82)は、空気調和装置(10)に設けられる。この例では、警報リレー(82)は、その警報リレー(82)に対応する室内制御部(33)が設けられた室内機(30)に設けられる。例えば、警報リレー(82)は、室内制御部(33)の制御基板上に設けられてもよい。なお、警報リレー(82)の例としては、有接点リレーまたは無接点リレーとして一般に用いられる種々のリレーが挙げられる。
【0056】
〔室内制御部および室外制御部〕
室内制御部(33)は、その室内制御部(33)に対応する検出部(70)により検出された冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回ると、その室内制御部(33)に対応する弁リレー(811)および警報リレー(82)を閉状態にする。
【0057】
また、複数の室内制御部(33)の各々は、その室内制御部(33)に対応する検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、その室内制御部(33)に対応する弁リレー(811)および警報リレー(82)を閉状態にし、且つ、室外制御部(27)に第1信号を送信する。室外制御部(27)は、複数の室内制御部(33)のいずれかの室内制御部(33)から送信された第1信号を受信すると、複数の室内制御部(33)の各々に第2信号を送信する。また、複数の室内制御部(33)の各々は、室外制御部(27)から送信された第2信号を受信すると、その室内制御部(33)に対応する弁リレー(811)を閉状態にする。
【0058】
〔空気調和システムの通常動作〕
次に、実施形態の空気調和システム(1)の通常動作について説明する。通常動作は、室内空間(A)において検出部(70)により検出される冷媒の濃度が許容濃度を上回らない場合に行われる。空気調和システム(1)では、冷房運転と暖房運転とが切り換えて行われる。通常動作では、第1遮断弁(61)および第2遮断弁(62)は、開状態に維持される。
【0059】
〈冷房運転〉
冷房運転では、四方切換弁(23)が第1状態となり、室外膨張弁(24)が開放される。室内膨張弁(32)の開度は、その室内膨張弁(32)に対応する室内熱交換器(31)の過熱度に基づいて制御される。室外ファン(22a)および室内ファン(31a)が作動する。冷房運転では、室外熱交換器(22)において冷媒が凝縮し、室内熱交換器(31)において冷媒が蒸発する冷房サイクルが行われる。
【0060】
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(22)において放熱して凝縮し、室外膨張弁(24)を通過する。この冷媒は、主液管(12)から液分岐管(13)に分流し、第1遮断弁(61)を流れ、室内回路(30a)に流入する。室内回路(30a)では、冷媒は、室内膨張弁(32)において減圧された後、室内熱交換器(31)において吸熱して蒸発する。室内熱交換器(31)では、冷媒によって空気が冷却される。冷却された空気は、室内空間(A)へ供給される。各室内熱交換器(31)でから流出した冷媒は、ガス分岐管(17)を流れ、第2遮断弁(62)を流れる。この冷媒は、主ガス管(16)を流れ、圧縮機(21)に吸入される。
【0061】
〈暖房運転〉
暖房運転では、四方切換弁(23)が第2状態となる。室外膨張弁(24)の開度は、室外熱交換器(22)を流出する冷媒の過熱度に基づいて制御される。室内膨張弁(32)の開度は、その室内膨張弁(32)に対応する室内熱交換器(31)を流出する過冷却度に基づいて制御される。室外ファン(22a)および室内ファン(31a)が作動する。暖房運転では、室内熱交換器(31)において冷媒が凝縮し、室内熱交換器(31)において冷媒が蒸発する暖房サイクルが行われる。
【0062】
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、主ガス管(16)からガス分岐管(17)に流入し、第2遮断弁(62)を流れ、室内回路(30a)に流入する。室内回路(30a)では、冷媒は、室内熱交換器(31)において放熱して凝縮する。室内熱交換器(31)では、冷媒によって空気が加熱される。加熱された空気は、室内空間(A)へ供給される。室内熱交換器(31)から流出した冷媒は、液分岐管(13)を流れ、第1遮断弁(61)を流れる。この冷媒は、主液管(12)を流れ、室外膨張弁(24)において減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(22)から流出した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
【0063】
〔空気調和システムの冷媒漏洩時の動作〕
次に、
図3~
図7を参照して、実施形態の空気調和システム(1)の冷媒漏洩時の動作について説明する。
【0064】
以下の説明において、冷媒が漏洩する室内空間(A)に設けられる室内機(30)の室内制御部(33)を「室内制御部(33A)」と記載し、室内制御部(33A)に対応する検出部(70)、弁リレー(811)、遮断ユニット(60)、弁制御部(63)、遮断弁(V)、警報リレー(82)、警報装置(55)、警報器(56)、警報制御部(57)を、「検出部(70A)」、「弁リレー(811A)」、「遮断ユニット(60A)」、「弁制御部(63A)」、「遮断弁(VA)」、「警報リレー(82A)」、「警報装置(55A)」、「警報器(56A)」、「警報制御部(57A)」と記載する。
【0065】
また、冷媒が漏洩していない室内空間(A)に設けられる室内機(30)の室内制御部(33)を「室内制御部(33B)」と記載し、室内制御部(33B)に対応する弁リレー(811)、遮断ユニット(60)、弁制御部(63)、遮断弁(V)、警報リレー(82)、警報装置(55)、警報器(56)、警報制御部(57)を、「弁リレー(811B)」、「遮断ユニット(60B)」、「弁制御部(63B)」、「警報リレー(82B)」、「警報装置(55B)」、「警報器(56B)」、「警報制御部(57B)」と記載する。
【0066】
〔室内制御部(33A)の動作〕
まず、
図3を参照して、室内制御部(33A)の動作について説明する。
【0067】
〈ステップ(ST10)〉
室内制御部(33A)は、検出部(70A)により検出された冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回るか否かを判定する。検出部(70A)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、室内制御部(33A)は、ステップ(ST11~ST13)の処理を行う。
【0068】
〈ステップ(ST11)〉
室内制御部(33A)は、弁リレー(811A)を閉状態にする第1制御信号を弁リレー(811A)に送信する。次に、ステップ(ST12)の処理が行われる。
【0069】
〈ステップ(ST12)〉
室内制御部(33A)は、警報リレー(82A)を閉状態にする第2制御信号を警報リレー(82A)に送信する。次に、ステップ(ST13)の処理が行われる。
【0070】
〈ステップ(ST13)〉
室内制御部(33A)は、室外制御部(27)に第1信号を送信する。
【0071】
なお、ステップ(ST11~ST13)の処理は、同時に行われてもよいし、
図3に示した順番とは異なる順番で行われてもよい。
【0072】
〔弁リレー(811A)および弁制御部(63A)の動作〕
次に、
図4を参照して、弁リレー(811A)および弁制御部(63A)の動作について説明する。
【0073】
〈ステップ(ST20)〉
弁リレー(811A)は、室内制御部(33A)から送信された第1制御信号を受信すると閉状態になる。弁リレー(811A)が閉状態になると、弁リレー(811A)から遮断ユニット(60A)の弁制御部(63A)へ向けて第1出力信号が送信される。
【0074】
〈ステップ(ST21)〉
弁制御部(63A)は、弁リレー(811A)から送信された第1出力信号を受信する。
【0075】
〈ステップ(ST23)〉
弁制御部(63A)は、第1出力信号を受信すると、遮断弁(VA)を閉状態にする。
【0076】
〔警報リレー(82A)および警報制御部(57A)の動作〕
次に、
図5を参照して、警報リレー(82A)および警報制御部(57A)の動作について説明する。
【0077】
〈ステップ(ST30)〉
警報リレー(82A)は、室内制御部(33A)から送信された第2制御信号を受信すると閉状態になる。警報リレー(82A)が閉状態になると、警報リレー(82A)から警報装置(55A)の警報制御部(57A)へ向けて第2出力信号が送信される。
【0078】
〈ステップ(ST31)〉
警報制御部(57A)は、警報リレー(82A)から送信された第2出力信号を受信する。
【0079】
〈ステップ(ST32)〉
警報制御部(57A)は、警報リレー(82A)から送信された第2出力信号を受信すると、警報器(56A)を作動させる。これにより、警報器(56A)から警報が発せられる。
【0080】
〔室外制御部の動作〕
次に、
図6を参照して、室外制御部(27)の動作について説明する。
【0081】
〈ステップ(ST51)〉
室外制御部(27)は、室内制御部(33A)から送信された第1信号を受信する。
【0082】
〈ステップ(ST52)〉
室外制御部(27)は、第1信号を受信すると、室内制御部(33B)に第2信号を送信する。
【0083】
〔室内制御部(33B)の動作〕
次に、
図7を参照して、室内制御部(33B)の動作について説明する。
【0084】
〈ステップ(ST53)〉
室内制御部(33B)は、室外制御部(27)から送信された第2信号を受信する。室内制御部(33B)は、第2信号を受信すると、ステップ(ST54,ST55)の処理を行う。
【0085】
〈ステップ(ST54)〉
室内制御部(33B)は、弁リレー(811B)を閉状態にする第1制御信号を弁リレー(811B)に送信する。なお、弁リレー(811B)と遮断ユニット(60B)の弁制御部(63B)および遮断弁(VB)の動作は、
図4に示した弁リレー(811A)と遮断ユニット(60A)の弁制御部(63A)および遮断弁(VA)の動作と同様である。
【0086】
〈ステップ(ST55)〉
室内制御部(33B)は、警報リレー(82B)を閉状態にする第2制御信号を警報リレー(82B)に送信する。なお、警報リレー(82B)と警報装置(55B)の警報器(56B)および警報制御部(57B)の動作は、
図5に示した警報リレー(82A)と警報装置(55A)の警報器(56A)および警報制御部(57A)の動作と同様である。
【0087】
〔実施形態の効果〕
以上のように、実施形態の空気調和システム(1)では、室内制御部(33)は、検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、弁リレー(811)を閉状態にする。遮断ユニット(60)は、弁リレー(811)が閉状態になると動作する。
【0088】
上記の構成では、空気調和装置(10)の室内制御部(33)が弁リレー(811)を閉状態にすることにより、遮断ユニット(60)を動作させることができる。これにより、空気調和装置(10)の室内制御部(33)が遮断ユニット(60)を直接的に制御する場合よりも、室内制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。例えば、遮断ユニット(60)を制御するための専用プログラムを室内制御部(33)に準備する場合よりも、室内制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。
【0089】
なお、室内制御部(33)が対策装置(この例では遮断ユニット(60))を制御するための専用プログラムを有し、室内制御部(33)がその専用プログラムを実行することで対策装置を直接的に制御する場合、室内制御部(33)に対応する対策装置が変更されると、室内制御部(33)が有する専用プログラムを書き換えることが必要となる。
【0090】
一方、実施形態の空気調和システム(1)では、空気調和装置(10)の室内制御部(33)は、第1リレー(この例では弁リレー(811))の制御に関するプログラムを有する。具体的には、室内制御部(33)は、検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると第1リレーを閉状態にするという動作を実現するためのプログラムを有する。そして、室内制御部(33)は、そのプログラムを実行することで上記の動作を行う。対策装置の制御部(この例では弁制御部(63))は、対策装置の制御に関する専用プログラムを有する。具体的には、対策装置の制御部は、第1リレーが閉状態になると対策装置を起動させるという動作を実現するためのプログラムを有する。そして、対策装置の制御部は、その専用プログラムを実行することにより上記の動作を行う。このような構成により、実施形態の空気調和システム(1)において室内制御部(33)に対応する対策装置が変更された場合であっても、室内制御部(33)が有するプログラムを書き換えなくてもよい。特に、第1リレーの制御に関するプログラムを書き換えなくてもよい。このように、室内制御部(33)に対応する対策装置の変更を容易に行うことができる。
【0091】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、遮断ユニット(60)は、液分岐管(13)およびガス分岐管(17)の少なくとも一方に設けられる遮断弁(V)を有し、弁リレー(811)が閉状態になると遮断弁(V)を閉状態にする。
【0092】
上記の構成では、遮断弁(V)を閉状態にすることにより、冷媒回路(10a)から室内空間(A)への冷媒の漏洩を抑制することができる。これにより、室内空間(A)における冷媒の漏洩に起因する室内空間(A)の冷媒濃度の上昇を抑制することができる。
【0093】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、弁リレー(811)は、空気調和装置(10)内に設けられる。
【0094】
上記の構成では、弁リレー(811)を空気調和装置(10)内に設けることにより、弁リレー(811)を空気調和装置(10)外に設ける場合よりも、弁リレー(811)と室内制御部(33)とを互いに近づけることができる。これにより、弁リレー(811)と室内制御部(33)との接続誤りの発生を抑制することができる。例えば、弁リレー(811)がその弁リレー(811)に対応する室内制御部(33)ではない別の部品と接続されるという事態の発生を抑制することができる。なお、別の部品の例としては、弁リレー(811)に対応していない別の室内制御部(33)が挙げられる。
【0095】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、室内制御部(33)は、検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、弁リレー(811)および警報リレー(82)を閉状態にする。警報装置(55)は、警報リレー(82)が閉状態になると警報を発する。
【0096】
上記の構成では、空気調和装置(10)の室内制御部(33)が警報リレー(82)を閉状態にすることにより、警報装置(55)を動作させることができる。これにより、空気調和装置(10)の室内制御部(33)が警報装置(55)を直接的に制御する場合よりも、室内制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。例えば、警報装置(55)を制御するための専用プログラムを室内制御部(33)に準備する場合よりも、室内制御部(33)の処理負荷を軽減することができる。
【0097】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、室内制御部(33)は、室内機(30)に設けられる。
【0098】
上記の構成では、弁リレー(811)を介して遮断ユニット(60)に接続される室内制御部(33)を室内機(30)に設けることにより、室内制御部(33)を室外機(20)に設ける場合よりも、室内制御部(33)と弁リレー(811)と遮断ユニット(60)を近づけることができる。これにより、室内制御部(33)と弁リレー(811)と遮断ユニット(60)の接続誤りの発生を抑制することができる。例えば、弁リレー(811)がその弁リレー(811)に対応する室内制御部(33)ではない別の部品と接続されるという事態の発生を抑制することができる。なお、別の部品の例としては、弁リレー(811)に対応していない別の室内制御部(33)が挙げられる。
【0099】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、警報リレー(82)は、空気調和装置(10)内に設けられる。
【0100】
上記の構成では、警報リレー(82)を空気調和装置(10)内に設けることにより、警報リレー(82)を空気調和装置(10)外に設ける場合よりも、警報リレー(82)と室内制御部(33)とを互いに近づけることができる。これにより、警報リレー(82)と室内制御部(33)との接続誤りの発生を抑制することができる。例えば、警報リレー(82)がその警報リレー(82)に対応する室内制御部(33)ではない別の部品と接続されるという事態の発生を抑制することができる。なお、別の部品の例としては、警報リレー(82)に対応していない別の室内制御部(33)が挙げられる。
【0101】
また、実施形態の空気調和システム(1)では、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、室外制御部(27)に第1信号を送信する。室外制御部(27)は、第1信号を受信した場合に、遮断ユニット(60)と弁リレー(811)を介して接続された室内制御部(33)に第2信号を送信する。例えば、室外制御部(27)は、複数の室内制御部(33)のうち第1信号を送信した室内制御部(33)を除く残りの室内制御部(33)に第2信号を送信する。室内制御部(33)は、第2信号を受信した場合に、弁リレー(811)を閉状態にする。
【0102】
上記の構成では、複数の室内空間(A)のいずれかにおいて検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、複数の室内空間(A)に設けられた遮断ユニット(60)を動作させることができる。これにより、空気調和システム(1)において室内制御部(33)と遮断ユニット(60)との接続に誤りがあった場合であっても、複数の室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策を行うことができる。例えば、2つの室内空間(A)の一方を「第1室内空間(A)」とし他方を「第2室内空間(A)」とし、第1室内空間(A)に対応する室内制御部(33)および遮断ユニット(60)を「第1室内制御部(33)」および「第1遮断ユニット(60)」とし、第2室内空間(A)に対応する室内制御部(33)および遮断ユニット(60)を「第2室内制御部(33)」および「第2遮断ユニット(60)」とする。この場合、第1室内制御部(33)が弁リレー(811)を介して第2遮断ユニット(60)に誤って接続され、第2室内制御部(33)が弁リレー(811)を介して第1遮断ユニット(60)に誤って接続されていたとしても、第1室内空間(A)および/または第2室内空間(A)において検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、第1遮断ユニット(60)および第2遮断ユニット(60)を動作させることができる。
【0103】
なお、以上の説明では、室外制御部(27)が複数の室内制御部(33)のうち第1信号を送信した室内制御部(33)を除く残りの室内制御部(33)に第2信号を送信する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、室外制御部(27)は、第1信号を受信した場合に、遮断ユニット(60)と弁リレー(811)を介して接続された室内制御部(33)の全部に第2信号を送信してもよい。
【0104】
(実施形態の変形例1)
図8および
図9は、実施形態の変形例1の空気調和システム(1)の構成を例示する。実施形態の変形例1の空気調和システム(1)は、
図1および
図2に示した空気調和システム(1)の構成に加えて、複数の換気装置(65)と、複数の換気装置(65)に一対一で対応する複数の換気リレー(812)とを備える。換気装置(65)は、対策装置の一例である。換気リレー(812)は、第1リレーの一例である。
【0105】
〔換気装置〕
複数の換気装置(65)は、複数の室内空間(A)に一対一で対応する。複数の換気装置(65)は、互いに同様の構成を有する。換気装置(65)は、換気ファン(66)を有する。換気ファン(66)は、室内空間(A)を換気する。そして、換気装置(65)は、その換気装置(65)に対応する換気リレー(812)が閉状態になると、換気ファン(66)を駆動させる。
【0106】
この例では、複数の換気装置(65)は、複数の室内空間(A)に一対一で設けられる。換気装置(65)は、換気ファン(66)と、換気制御部(67)とを有する。
【0107】
換気ファン(66)は、例えば、シロッコファンにより構成される。換気制御部(67)は、換気ファン(66)を制御する。具体的には、換気制御部(67)は、換気ファン(66)を制御するための専用プログラムを有する。そして、換気制御部(67)は、その専用プログラムを実行することで、換気ファン(66)を作動させる。例えば、換気制御部(67)は、制御基板上に設けられたプロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラムおよび情報を記憶するメモリとを含む。
【0108】
〔換気リレー〕
複数の換気リレー(812)は、互いに同様の構成を有する。換気リレー(812)は、その換気リレー(812)に対応する換気装置(65)の換気制御部(67)と室内制御部(33)とに接続される。また、換気リレー(812)は、開状態と閉状態とに切り換え可能である。この例では、換気リレー(812)は、閉状態になると第3出力信号を送信する。
【0109】
また、換気リレー(812)は、空気調和装置(10)に設けられる。この例では、換気リレー(812)は、その換気リレー(812)に対応する室内制御部(33)が設けられた室内機(30)に設けられる。例えば、換気リレー(812)は、室内制御部(33)の制御基板上に設けられてもよい。なお、換気リレー(812)の例としては、有接点リレーまたは無接点リレーとして一般に用いられる種々のリレーが挙げられる。
【0110】
〔空気調和システムの冷媒漏洩時の動作〕
次に、
図10および
図11を参照して、実施形態の変形例1の空気調和システム(1)の冷媒漏洩時の動作について説明する。
【0111】
以下の説明において、室内制御部(33A)に対応する換気リレー(812)、換気装置(65)、換気ファン(66)、換気制御部(67)を、「換気リレー(812A)」、「換気装置(65A)」、「換気ファン(66A)」、「換気制御部(67A)」と記載する。また、室内制御部(33B)に対応する換気リレー(812)、換気装置(65)、換気ファン(66)、換気制御部(67)を、「換気リレー(812B)」、「換気装置(65B)」、「換気ファン(66B)」、「換気制御部(67B)」と記載する。
【0112】
〔室内制御部(33A)の動作〕
まず、
図10を参照して、室内制御部(33A)の動作について説明する。実施形態の変形例1では、室内制御部(33A)は、
図3に示したステップ(ST10~ST13)の処理に加えて、
図10に示すステップ(ST15)の処理を行う。
【0113】
〈ステップ(ST15)〉
室内制御部(33A)は、検出部(70)により検出された冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回ると、換気リレー(812A)を閉状態にする第3制御信号を換気リレー(812A)に送信する。
【0114】
なお、ステップ(ST11~ST13,ST15)の処理は、同時に行われてもよいし、
図10に示した順番とは異なる順番で行われてもよい。
【0115】
〔換気リレー(812A)および換気制御部(67A)の動作〕
次に、
図11を参照して、換気リレー(812A)および換気制御部(67A)の動作について説明する。
【0116】
〈ステップ(ST25)〉
換気リレー(812A)は、室内制御部(33A)から送信された第3制御信号を受信すると閉状態になる。換気リレー(812A)が閉状態になると、換気リレー(812A)から換気装置(65A)の換気制御部(67A)へ向けて第3出力信号が送信される。
【0117】
〈ステップ(ST26)〉
換気制御部(67A)は、換気リレー(812A)から送信された第3出力信号を受信する。
【0118】
〈ステップ(ST27)〉
換気制御部(67A)は、第3出力信号を受信すると、換気ファン(66A)を作動させる。
【0119】
〔室内制御部(33B)の動作〕
実施形態の変形例1において、室内制御部(33B)は、室外制御部(27)から送信された第2信号を受信すると、弁リレー(811B)に第1制御信号に送信し、警報リレー(82B)に第2制御信号に送信し、換気リレー(812B)に第3制御信号を送信する。なお、換気リレー(812B)と換気装置(65B)の換気ファン(66B)および換気制御部(67B)の動作は、
図11に示した換気リレー(812A)と換気装置(65A)の換気ファン(66A)および換気制御部(67A)の動作と同様である。
【0120】
〔実施形態の変形例1の効果〕
以上のとおり、実施形態の変形例1の空気調和システム(1)では、換気装置(65)は、室内空間(A)を換気する換気ファン(66)を有し、換気リレー(812)が閉状態になると換気ファン(66)を駆動させる。
【0121】
上記の構成では、換気ファン(66)を駆動させることにより、室内空間(A)に漏洩した冷媒を室内空間(A)から排出することができる。これにより、室内空間(A)における冷媒の漏洩に起因する室内空間(A)の冷媒濃度の上昇を抑制することができる。
【0122】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2による空気調和システム(1)は、室内空間(A)と遮断ユニット(60)との対応関係と室内制御部(33)の動作が、
図1および
図2に示した実施形態による空気調和システム(1)と異なる。なお、実施形態の変形例2による空気調和システム(1)のその他の構成は、
図1および
図2に示した空気調和システム(1)の構成と同様である。複数の室内機(30)は、複数の室内空間(A)に一対一で設けられる。複数の室内機(30)の各々には、室内制御部(33)が設けられる。検出部(70)は、複数の室内空間(A)の各々に設けられる。
【0123】
〔室内空間と遮断ユニットとの対応関係〕
図1および
図2に示した空気調和システム(1)では、複数の室内空間(A)の全てに遮断ユニット(60)が対応しているが、実施形態の変形例2による空気調和システム(1)では、複数の室内空間(A)には、遮断ユニット(60)が対応している室内空間(A)と、遮断ユニット(60)が対応していない室内空間(A)とが混在する。遮断ユニット(60)は、複数の室内空間(A)の少なくとも1つに対応する。弁リレー(811)は、遮断ユニット(60)に対応して1つずつ設けられる。
【0124】
〔室内制御部〕
また、実施形態の変形例2では、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)の有無に応じて動作を切り換える。具体的には、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)がある場合に第1動作を行い、その室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)がない場合に第2動作を行う。第1動作では、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)に対応する検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、その室内制御部(33)に対応する弁リレー(811)を閉状態にし、且つ、室外制御部(27)に第1信号を送信する。第2動作では、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)に対応する検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、室外制御部(27)に第1信号を送信する。
【0125】
なお、上記の「室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)」は、室内制御部(33)を含む室内機(30)に対応する室内空間(A)に対応する遮断ユニット(60)のことである。言い換えると、室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)は、室内制御部(33)と弁リレー(811)を介して接続された遮断ユニット(60)のことである。また、上記の「室内制御部(33)に対応する検出部(70)」は、室内制御部(33)を含む室内機(30)に対応する室内空間(A)に設けられた検出部(70)のことである。言い換えると、室内制御部(33)に対応する検出部(70)は、室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)のことである。
【0126】
また、実施形態の変形例2では、複数の室内制御部(33)の各々は、その室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、室外制御部(27)に第1信号を送信する。室外制御部(27)は、複数の室内制御部(33)のいずれかの室内制御部(33)から送信された第1信号を受信すると、複数の室内制御部(33)のうち遮断ユニット(60)に対応する室内制御部(33)(言い換えると対応する遮断ユニット(60)がある室内制御部(33))に第2信号を送信する。遮断ユニット(60)に対応する室内制御部(33)は、室外制御部(27)から送信された第2信号を受信すると、その室内制御部(33)に対応する弁リレー(811)を閉状態にする。
【0127】
〔空気調和システムの冷媒漏洩時の室内制御部の動作〕
次に、
図12を参照して、実施形態の変形例2の空気調和システム(1)の冷媒漏洩時における室内制御部(33A)の動作について説明する。なお、以下のステップ(ST11~ST13)は、上記の第1動作に対応し、ステップ(ST81)は、上記の第2動作に対応する。
【0128】
〈ステップ(ST10)〉
まず、ステップ(ST10)の処理が行われる。室内制御部(33A)は、検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回るか否かを判定する。検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回ると、ステップ(ST80)の処理が行われる。
【0129】
〈ステップ(ST80)〉
室内制御部(33A)は、その室内制御部(33A)に対応する遮断ユニット(60A)があるか否かを判定する。具体的には、室内制御部(33A)は、その室内制御部(33A)に対応する遮断ユニット(60A)の存在の有無を示す有無情報を予め記憶しており、その有無情報に基づいて遮断ユニット(60A)があるか否かを判定する。
【0130】
例えば、遮断ユニット(60)の存在の有無は、室内制御部(33)と遮断ユニット(60)の弁制御部(63)との間の通信が確立されているか否かに基づいて決定されてもよい。具体的には、室内制御部(33)と弁制御部(63)との通信が確立されている場合に、室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)があることを示す有無情報が室内制御部(33)に記憶される。一方、室内制御部(33)と弁制御部(63)との通信が確立されていない場合に、室内制御部(33)に対応する遮断ユニット(60)がないことを示す有無情報が室内制御部(33)に記憶される。
【0131】
室内制御部(33A)に対応する遮断ユニット(60A)がある場合には、ステップ(ST11~ST13)の処理が行われ、そうでない場合には、ステップ(ST81)の処理が行われる。
【0132】
〈ステップ(ST11~ST13)〉
室内制御部(33A)に対応する遮断ユニット(60A)がある場合、室内制御部(33A)は、弁リレー(811A)に第1制御信号を送信し、警報リレー(82A)に第2制御信号を送信し、室外制御部(27)に第1信号を送信する。
【0133】
〈ステップ(ST81)〉
一方、室内制御部(33A)に対応する遮断ユニット(60A)がない場合、室内制御部(33A)は、室外制御部(27)に第1信号を送信する。
【0134】
〔空気調和システムの冷媒漏洩時の室外制御部の動作〕
なお、実施形態の変形例2のように、複数の室内空間(A)の中に遮断ユニット(60)が対応している室内空間(A)と遮断ユニット(60)が対応していない室内空間(A)とが混在する場合、室外制御部(27)は、複数の室内空間(A)のうち遮断ユニット(60)が対応している室内空間(A)の室内制御部(33B)に第2信号を送信するように構成されてもよい。
【0135】
〔実施形態の変形例2の効果〕
以上のように、実施形態の変形例2の空気調和システム(1)では、検出部(70)は、複数の室内空間(A)のそれぞれに設けられる。室内制御部(33)は、その室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、室外制御部(27)に第1信号を送信する。室外制御部(27)は、第1信号を受信した場合に、遮断ユニット(60)と弁リレー(811)を介して接続された室内制御部(33)に第2信号を送信する。室内制御部(33)は、第2信号を受信した場合に、弁リレー(811)を閉状態にする。
【0136】
上記の構成では、複数の室内空間(A)のいずれかにおいて検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、複数の室内空間(A)に設けられた遮断ユニット(60)を動作させることができる。これにより、空気調和システム(1)において室内制御部(33)と遮断ユニット(60)との接続に誤りがあった場合であっても、複数の室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策を行うことができる。
【0137】
また、実施形態の変形例2の空気調和システム(1)では、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回り且つその室内制御部(33)と弁リレー(811)を介して接続された遮断ユニット(60)がある場合に、弁リレー(811)を閉状態にするとともに、室外制御部(27)に第1信号を送信する。また、室内制御部(33)は、その室内制御部(33)と同じ室内空間(A)に設けられた検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回り且つ室内制御部(33)と弁リレー(811)を介して接続された遮断ユニット(60)がない場合に、室外制御部(27)に第1信号を送信する。
【0138】
上記の構成では、複数の室内空間(A)のいずれかにおいて検出部(70)により検出された冷媒の濃度が許容濃度を上回る場合に、弁リレー(811)を介して室内制御部(33)に接続された遮断ユニット(60)を動作させることができる。これにより、複数の室内空間(A)における冷媒の漏洩の対策を行うことができる。
【0139】
なお、実施形態の変形例2による空気調和システム(1)は、遮断ユニット(60)の代わりに換気装置(65)を備えていてもよいし、遮断ユニット(60)とともに換気装置(65)を備えていてもよい。また、実施形態の変形例2による空気調和システム(1)は、弁リレー(811)の代わりに換気リレー(812)を備えていてもよいし、弁リレー(811)とともに換気リレー(812)を備えていてもよい。
【0140】
(冷媒について)
上記の実施形態および変形例による空気調和装置(10)の冷媒回路(10a)に使用される冷媒は、可燃性の冷媒である。なお、ここでは、可燃性の冷媒には、米国のASHRAE34 Designation and safety classification of refrigerantの規格またはISO817 Refrigerants- Designation and safety classificationの規格でClass3(強燃性)、Class2(弱燃性)、Subclass2L(微燃性)に該当する冷媒を含む。上記の実施形態および変形例で使用される冷媒の具体例を
図13に示す。
図13中の"ASHRAE Number"はISO817で定められた冷媒のアシュレイ番号を示し、"成分"は冷媒に含まれる物質のアシュレイ番号を示し、"質量%"は冷媒に含まれる各物質の質量パーセント濃度を示し、"Alternative"は、その冷媒によって代替されることの多い冷媒の物質の名称を示す。実施形態では、使用される冷媒はR32とする。なお、
図13に例示した冷媒は、空気より密度が大きいという特徴を有する。
【0141】
(その他の実施形態)
以上の説明において、弁リレー(811)は、遮断ユニット(60)内に設けられてもよい。例えば、弁リレー(811)は、遮断ユニット(60)の弁制御部(63)の制御基板上に設けられてもよい。これと同様に、換気リレー(812)は、換気装置(65)内に設けられてもよい。例えば、換気リレー(812)は、換気装置(65)の換気制御部(67)の制御基板上に設けられてもよい。
【0142】
以上のように、弁リレー(811)を遮断ユニット(60)内に設けることにより、弁リレー(811)を遮断ユニット(60)外に設ける場合よりも、弁リレー(811)と遮断ユニット(60)の弁制御部(63)とを互いに近づけることができる。これにより、弁リレー(811)と遮断ユニット(60)の弁制御部(63)との接続誤りの発生を抑制することができる。なお、換気リレー(812)についても同様のことがいえる。
【0143】
また、以上の説明において、警報リレー(82)は、警報装置(55)内に設けられてもよい。例えば、警報リレー(82)は、警報装置(55)の警報制御部(57)の制御基板上に設けられてもよい。
【0144】
また、以上の説明において、室内機(30)は、天井設置式の室内機であってもよいし、壁掛け式の室内機であってもよいし、床置き式の室内機であってもよいし、その他のタイプの室内機であってもよい。
【0145】
また、以上の説明では、検出部(70)の計測部が室内空間(A)における冷媒の濃度を計測し、室内制御部(33)が検出部(70)の計測部により計測された冷媒の濃度が予め定められた許容濃度を上回るか否かを判定する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、検出部(70)は、計測部と、演算部とを有してもよい。演算部は、計測部により計測された冷媒の濃度が許容濃度を上回るか否かを判定し、その判定結果を示す判定結果信号を室内制御部(33)に出力する。例えば、演算部は、プロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラムおよび情報を記憶するメモリとを含む。室内制御部(33)は、検出部(70)の演算部から出力された判定結果信号に基づいて、検出部(70)の計測部により計測された冷媒の濃度が許容濃度を上回るか否かを判定してもよい。
【0146】
また、以上の説明では、1つの室内空間(A)に1つの室内機(30)が設けられる場合を例に挙げたが、1つの室内空間(A)に複数の室内機(30)が設けられてもよい。これと同様に、1つの室内空間(A)に対して、1つの検出部(70)が設けられてもよいし、複数の検出部(70)が設けられてもよい。遮断ユニット(60)および警報装置(55)についても同様である。
【0147】
また、以上の説明では、空気調和システム(1)が複数の遮断ユニット(60)と複数の弁リレー(811)とを備える場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、空気調和システム(1)は、単一の遮断ユニット(60)と単一の弁リレー(811)とを備えるものであってもよいし、単一の換気装置(65)と単一の換気リレー(812)とを備えるものであってもよい。これと同様に、空気調和システム(1)は、単一の警報装置(55)と単一の警報リレー(82)とを備えるものであってもよい。
【0148】
また、以上の説明では、空気調和システム(1)が警報装置(55)と警報リレー(82)とを備える場合を例に挙げたが、空気調和システム(1)は、警報装置(55)と警報リレー(82)とを備えていなくてもよい。
【0149】
また、実施形態の変形例1では、空気調和システム(1)が遮断ユニット(60)と換気装置(65)の両方を備える場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、空気調和システム(1)は、遮断ユニット(60)を備えずに、1つまたは複数の換気装置(65)を備えるものであってもよい。
【0150】
また、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上説明したように、本開示は、空気調和システムとして有用である。
【符号の説明】
【0152】
1 空気調和システム
10 空気調和装置
10a 冷媒回路
13 液分岐管(第1冷媒流路)
17 ガス分岐管(第2冷媒流路)
20 室外機
27 室外制御部
30 室内機
33 室内制御部
55 警報装置
60 遮断ユニット(対策装置)
61 第1遮断弁
62 第2遮断弁
63 弁制御部
65 換気装置(対策装置)
66 換気ファン
67 換気制御部
70 検出部
811 弁リレー(第1リレー)
812 換気リレー(第1リレー)
82 第2リレー
V 遮断弁