(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】サービス提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20240529BHJP
【FI】
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2020023647
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】田中 真
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-105966(JP,A)
【文献】特開2010-008072(JP,A)
【文献】国際公開第2012/131835(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107215330(CN,A)
【文献】特開2010-178076(JP,A)
【文献】特開2020-009075(JP,A)
【文献】特開2005-233972(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179282(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数のシートにそれぞれ設けられ、着座状態または非着座状態を検出する複数の着座センサと、
前記複数の着座センサによる検出結果に基づいて、前記車両の乗車人数を含む乗車情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、前記車両のユーザに提供するサービスを決定するサービス決定部と、を備え、
前記サービス決定部は、
前記情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、前記車両のユーザに提案するアプリケーションプログラムおよび提案時期を決定し、前記情報生成部により生成されて記憶部に蓄積された乗車情報に基づいて、前記車両のユーザが前記車両から降車してから所定時間後
の前記提案時期に、前記車両のユーザに
前記アプリケーションプログラムを提案することを決定することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサービス提供装置において、
前記車両の車内で、前記車両のユーザが携帯する携帯端末と通信する通信部をさらに備え、
前記サービス決定部は、前記通信部を介して入力された前記携帯端末からの情報と前記情報生成部により生成された乗車情報とに基づいて、前記車両のユーザに提供するサービスを決定することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載のサービス提供装置において、
前記車両のユーザにユーザ情報の入力を要求する情報要求部と、
前記車両のユーザにより入力された前記ユーザ情報を取得する情報取得部と、をさらに備え、
前記情報要求部は、前記情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、前記車両のユーザが前記車両に乗車している乗車時以外の非乗車時に、前記ユーザ情報の入力を要求し、
前記サービス決定部は、前記情報取得部により取得された前記ユーザ情報にさらに基づいて、前記車両のユーザに提供するサービスを決定することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項4】
請求項3に記載のサービス提供装置において、
前記サービス決定部は、入力層と、複数の中間層と、出力層と、を有する予め学習されたニューラルネットワークを介して前記車両のユーザに提供するサービスを決定するように構成され、
前記入力層は、前記情報生成部により生成された乗車情報と、前記情報取得部により取得された前記ユーザ情報と、を取得し、
前記出力層は、前記車両のユーザに提供するサービスを出力することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載のサービス提供装置において、
前記情報生成部により生成された乗車情報と、前記情報取得部により取得された前記ユーザ情報と、を記憶する記憶部と、
前記車両の車内で、前記サービス決定部により決定されたサービスを前記車両のユーザに提案するサービス提案部と、をさらに備え、
前記ユーザ情報は、前記サービス提案部により提案されたサービスが前記車両のユーザに受け入れられたか否かに関する受入情報を含み、
前記ニューラルネットワークは、前記記憶部に記憶された前記乗車情報および前記ユーザ情報に基づいて追加的に学習されることを特徴とするサービス提供装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のサービス提供装置において、
前記車両の車内で、前記サービス決定部により決定されたサービスを前記車両のユーザに提案するサービス提案部をさらに備え、
前記サービス提案部は、前記情報生成部により生成された乗車情報に含まれる乗車人数が1人のときは音声のみにより前記サービス決定部により決定されたサービスを提案することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のサービス提供装置において、
前記車両の車内に設けられたコントローラと、
前記車両の車外に設けられたサーバと、をさらに備え、
前記コントローラは、前記情報生成部を有し、
前記サーバは、前記サービス決定部を有することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載のサービス提供装置において、
前記コントローラは、前記複数のシートのいずれかと一体的に設けられることを特徴とするサービス提供装置。
【請求項9】
車両に搭載された複数のシートにそれぞれ設けられ、着座状態または非着座状態を検出する複数の着座センサと、
前記複数の着座センサによる検出結果に基づいて、前記車両の乗車人数を含む乗車情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、前記車両のユーザに提供するサービスを決定するサービス決定部と、を備え、
前記サービス決定部は、前記情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、
前記車両のユーザに提案するアプリケーションプログラムおよび提案時期を決定し、前記車両のユーザが前記車両に乗車してから所定時間後
の前記提案時期に、前記車両を駐車可能な場所を検索する
前記アプリケーションプログラムを提案することを決定することを特徴とするサービス提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの着座情報に基づいてサービスを提供するサービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、車両用シートに設けられた着座センサの検出結果に基づいて乗員のシートベルトの未着用警報を発するようにした装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、着座センサとシートベルト着用センサとの検出結果に基づいて、乗員が着座しているシートに対応するシートベルトが着用されていないと判定されると、シートベルトの未着用警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の装置では、着座センサの情報が単にシートベルトの未着用警報にのみ用いるが、他のサービスにも用いるようにすることがセンサ情報を有効利用する上では好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様であるサービス提供装置は、車両に搭載された複数のシートにそれぞれ設けられ、着座状態または非着座状態を検出する複数の着座センサと、複数の着座センサによる検出結果に基づいて、車両の乗車人数を含む乗車情報を生成する情報生成部と、情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、車両のユーザに提供するサービスを決定するサービス決定部とを備える。サービス決定部は、情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、車両のユーザに提案するアプリケーションプログラムおよび提案時期を決定し、情報生成部により生成されて記憶部に蓄積された乗車情報に基づいて、車両のユーザが車両から降車してから所定時間後の提案時期に、車両のユーザにアプリケーションプログラムを提案することを決定する。
本発明の他の態様であるサービス提供装置は、車両に搭載された複数のシートにそれぞれ設けられ、着座状態または非着座状態を検出する複数の着座センサと、複数の着座センサによる検出結果に基づいて、車両の乗車人数を含む乗車情報を生成する情報生成部と、情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、車両のユーザに提供するサービスを決定するサービス決定部と、を備える。サービス決定部は、情報生成部により生成された乗車情報に基づいて、車両のユーザに提案するアプリケーションプログラムおよび提案時期を決定し、車両のユーザが車両に乗車してから所定時間後の提案時期に、車両を駐車可能な場所を検索するアプリケーションプログラムを提案することを決定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、着座センサの情報を種々のサービスに有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】車両に搭載されるシートベルトリマインダの構成を概略的に示す図。
【
図2】着座センサにより検出される着座情報について説明するための図。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るサービス提供装置の全体構成を概略的に示す図。
【
図4A】
図3の車両の各座席に搭載されるシートの一例を示す斜視図。
【
図5A】
図3の車両の車内における座席配置の一例を示す平面図。
【
図6A】本発明の第1実施形態に係るサービス提供装置の全体構成を示すブロック図。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るコンシェルジュアプリを起動中の携帯端末の画面表示の一例を示す図。
【
図8】
図6Aのサービス決定部により決定されるサービスについて説明するための図。
【
図9】複数名乗車の場合に、
図6Aのサービス決定部により決定されるサービスについて説明するための図。
【
図10A】ユーザが非運転者であることを確認するときの、
図7と同様の図。
【
図10B】ユーザが非運転者であることを確認した後の、
図7と同様の図。
【
図10C】非運転者のユーザにサービスを提案するときの、
図7と同様の図。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るサービス提供装置の全体構成を示すブロック図。
【
図12】
図11の情報要求部によるユーザ情報の入力の要求について説明するための図。
【
図13】
図11のサービス決定部により決定されるサービスについて説明するための図。
【
図15】本発明の第3実施形態に係るユーザ情報について説明するための図。
【
図16】本発明の第4実施形態に係るコンシェルジュアプリを非起動中の携帯端末の画面表示の一例を示す図。
【
図17】本発明の第5実施形態に係る車両の運転席に搭載されるシートの一例を示す斜視図。
【
図18】本発明の第6実施形態に係るサービス提供装置の全体構成を示すブロック図。
【
図20】本発明の第7実施形態に係るサービス提供装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
-第1実施形態-
以下、
図1~
図10Cを参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態に係るサービス提供装置は、複数の座席を有する乗用車(以下、車両)の運転者を含む乗員(以下、ユーザ)に対し、ユーザの携帯端末上で動作するアプリケーションプログラム(以下、アプリ)を提案するサービスを提供する。
【0009】
図1は、車両に搭載されるシートベルトリマインダ200の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、車両には、一般に、運転者を含む乗員がシートベルトを装着していないことを運転者に報知する警報装置(シートベルトリマインダ)200が搭載される。シートベルトリマインダ200は、車両用コントローラ201により主に構成され、各座席のシートに設けられた着座センサ202およびシートベルトセンサ203からの信号に基づいてインストルメントパネルに設けられた警告灯204などを介して警報を行う。
【0010】
今後のシートベルトリマインダの保安基準では後部座席を含むすべての座席がシートベルトリマインダによる警報の対象となるため、今後、すべての車両のすべての座席のシートに着座センサを搭載することが推奨される。
【0011】
図2は、着座センサにより検出される着座情報について説明するための図であり、2シータ車両における着座情報の時間変化の一例を示す。
図2の例では、車両の始動から停止までの2回のドライビングサイクルt1~t2,t3~t4が示される。
図2に示すように、着座センサは、ドライビングサイクル中は所定の周期で各座席の着座状態または非着座状態を検出して検出結果を示す信号を出力する(時刻t1~t2、時刻t3~t4)。一方、ドライビングサイクル以外は検出を行わず、信号を出力しない(時刻t1以前、時刻t2~t3、時刻t4以降)。
【0012】
図2に示すように、車両に搭載された複数の着座センサからの信号は、乗車人数の時間変化を含むその車両の乗車状態を示している。すなわち、
図2の例では、時刻t1以前、時刻t2~t3および時刻t4以降が非乗車状態、時刻t1~t2および時刻t3~t4が単独乗車状態を示している。このような車両全体の乗車状態に関する時系列の情報を、以下では「乗車情報」と称する。
【0013】
このような乗車情報は、車両の利用状況を示す車両情報としてだけでなく、その車両を利用するユーザのライフスタイルを示すユーザ情報としても活用することができる。特に、ユーザごとに長期にわたって蓄積された乗車情報は、ユーザが車両を利用する時間帯や曜日、自宅などの拠点から出発するときの人数などの、車両の利用パターンを示す有用なユーザ情報として扱うことができる。
【0014】
そこで、第1実施形態では、このような乗車情報を車両のユーザに対応付け、ユーザの携帯端末上で動作する様々なアプリの中から適当なものを選択してユーザに提案することで乗車情報を有効利用するよう、以下のようにサービス提供装置を構成する。
【0015】
図3は、第1実施形態に係るサービス提供装置100の全体構成を概略的に示す図である。
図3に示すように、サービス提供装置100は、車両1に搭載された複数のシート2,3にそれぞれ設けられた着座センサ4,5と、車内に設けられたコントローラ10と、車両1を利用するユーザの携帯端末20と、サーバ30とを有する。
【0016】
図4Aおよび
図4Bは、車両1の各座席に搭載されるシートの一例を示す斜視図であり、右ハンドルの車両1の運転席に搭載されるシート2の一例を示す。
図4Aおよび
図4Bでは、シート2に着席した乗員(運転者)を基準にして、図示のように、前側および後側、車外側および車内側、上側および下側を定義する。シート2は、内部にシートフレームを有し、シートフレームを覆うようにウレタン樹脂製のパッドとパッドの表面の表皮とを有する。
【0017】
図4Aに示すように、乗員が着座するシート2の着座面の表皮の下側には、圧力センサなどにより構成されて乗員の着座状態または非着座状態を検出する着座センサ4と、電子制御装置(ECU)により構成されるコントローラ10とが設けられる。
図4Bに示すように、シート2の背もたれ部にも着座センサ4を設けてもよい。この場合、乗員の着座状態または非着座状態の検出精度を向上することができる。
【0018】
なお、着座センサ4として圧力に応じて連続的に抵抗値が変化するセンサを用いる場合は、着座状態、非着座状態の検出に加え、乗員の体重を推定することができる。この場合、例えば、複数の乗員のそれぞれを体重の推定値に基づいて特定し、各乗員に応じたサービスを提供することもできる。例えば、ユーザ情報に基づいて体重50kgの乗員Aと体重45kgの乗員Bが乗車した場合、圧力センサにより推定される体重が50kgの乗員は乗員Aであり、圧力センサにより推定される体重が45kgの乗員は乗員Bであると判定することができる。これにより、乗車人数や乗車位置に加えて各座席に着座している乗員個人を特定することができ、各乗員に応じたサービスを提供することができる。
【0019】
着座センサ4は、有線または無線によりコントローラ10に接続され、乗員の着座状態または非着座状態の検出結果を示す信号(着座情報)を所定時間(例えば、5分間)ごとに送信する。なお、着座センサ4からの信号に代えてシートベルトセンサからの信号を着座情報として用いてもよい。
【0020】
図5A~
図5Cは、車両1の車内における座席配置の一例を示す平面図であり、運転席を含む複数の座席の配置例を示す。
図5A~
図5Cでは、図示のように車両1の前後方向および左右方向を定義する。前後方向は車両1の長さ方向に相当し、左右方向は車幅方向に相当する。
図5A~
図5Cに示すように、車両1には運転席のシート2と非運転席のシート3とを含む複数(
図5A~
図5Cでは5つ)のシート2,3が搭載される。
図5A~
図5Cの例では、前部座席として運転席のシート2の他に助手席のシート3aが設けられるとともに、後部座席として左右のシート3b,3cと、シート3b,3cの間に配置されるシート3dとが設けられる。
【0021】
図5A~
図5Cに示すように、非運転席のシート3a~3dには、運転席のシート2(
図4A、
図4B)と同様に、圧力センサなどにより構成されて乗員の着座状態または非着座状態を検出する着座センサ5a~5dがそれぞれ設けられる。着座センサ5a~5dは、それぞれ有線または無線により運転席のシート2に設けられたコントローラ10に接続され、乗員の着座状態または非着座状態の検出結果を示す信号(着座情報)を所定時間(例えば、5分間)ごとに送信する。なお、着座センサ5(5a~5d)からの信号に代えてシートベルトセンサからの信号を着座情報として用いてもよい。
【0022】
図5Aの例では、着座センサ4,5(5a~5d)は、無線によりコントローラ10に接続される。一方、
図5Bの例では、着座センサ4,(5a~5d)は、物理信号線101を介して、SRS(Supplemental Restraint System)の動作を制御するとともにシートベルトリマインダとして機能する車両用コントローラ102に接続される。車両用コントローラ102は、さらにCAN(Controller Area Network)通信線103を介してコントローラ10に接続される。CAN通信線に代えてLIN(Local Interconnect Network)通信線などを用いてもよい。また、
図5Cに示すように、CAN通信線103を介してコントローラ10に接続されるカーナビゲーションユニット104と、コントローラ10とを、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信により接続してもよい。
【0023】
図6Aは、第1実施形態に係るサービス提供装置100の全体構成を示すブロック図である。
図6Aに示すように、サービス提供装置100は、着座センサ4,5(5a~5d)と、コントローラ10と、車両1を利用するユーザの携帯端末20と、サーバ30とを有する。コントローラ10と携帯端末20とは、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信により互いに接続可能に構成される。コントローラ10と携帯端末20とは、USBケーブルなどにより有線接続されてもよい。携帯端末20とサーバ30とは、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網を含むネットワーク6に接続され、ネットワーク6を介して互いに通信可能に構成される。
【0024】
コントローラ10と携帯端末20とを有線接続する場合は、
図6Bに例示するように、シート2にUSBポート105を設けてもよい。
図6Bは、USBポート105の配置の一例を示す図である。
図6Bに示すように、USBポート105は、例えばシート2の車内側の台座部分に設けられる。USBポート105と市販のUSBケーブルを介してコントローラ10と携帯端末20とを接続することにより、コントローラ10と携帯端末20との間におけるデータの送受信やコントローラ10から携帯端末20への給電(携帯端末20の充電)が可能になる。
【0025】
図3および
図6Aには、便宜上、コントローラ10と携帯端末20とがそれぞれ1つずつ示されるが、複数の車両1のそれぞれの車内に設けられたコントローラ10と複数のユーザのそれぞれの携帯端末20とを含んでサービス提供装置100が構成されてもよい。また、
図3および
図6Aでは、単一のサーバ30が示されるが、
図6Aのサーバ30に示す機能を、複数のサーバに分散させてもよい。
【0026】
図6Aに示すように、コントローラ10は、通信部11と、動作回路としてのCPUなどの演算部12と、ROM,RAMなどの記憶部13と、その他の周辺回路(インターフェース回路等)とを含んで構成される。
【0027】
通信部11は、車両1の車内での近距離無線接続または有線接続により携帯端末20との通信接続が確立されると、携帯端末20との間でデータ通信可能に構成される。例えば、ユーザが自身の携帯端末20を操作して接続設定を行う、あるいは携帯端末20とコントローラ10とをケーブルにより接続すると、携帯端末20とコントローラ10との間の通信接続が確立される。
【0028】
演算部12は、機能的構成として、情報取得部14と、情報生成部15と、情報出力部16とを有する。記憶部13には、演算部12で実行される制御プログラムなどが記憶されるとともに、車両1の車種や最大乗車定員の情報を含む車両情報が記憶される。
【0029】
情報取得部14は、着座センサ4,5から入力される信号を読み込むことで、車両1の各座席の着座情報を取得する。情報生成部15は、情報取得部14により取得された各座席の着座情報に基づいて、車両1の乗車人数を含む乗車情報を生成する。情報出力部16は、情報生成部15により生成された乗車情報を、記憶部13に記憶された車両情報とともに、通信部11を介して所定時間(例えば、5分間)ごとに携帯端末20に送信する。
【0030】
なお、情報生成部15は、所定時間(例えば、5分間)以内の非着座状態を無視して乗車情報を生成してもよい。すなわち、情報取得部14により着座状態が取得されていた座席について非着座状態が取得された場合、所定時間以内に再び着座状態が取得されたときは、着座状態が継続していたものとして乗車情報を生成する。一方、情報取得部14により着座状態が取得されていた座席について非着座状態が取得された後、所定時間以内に着座状態が取得されないときは、非着座状態が取得された時刻に非着座状態に変化したものとして乗車情報を生成する。これにより、自動販売機での買物や電話、トイレなどの目的で乗員が一時的に降車した場合でも乗車を継続しているものとして乗車情報を生成することができ、乗車情報を安定して生成することができる。
【0031】
携帯端末20は、車両1のユーザにより携帯して使用されるスマートフォンやタブレット端末、携帯電話、ウェアラブル端末など、出力部としてのディスプレイやスピーカを有する各種携帯端末により構成される。携帯端末20は、通信部21と、入力部22と、出力部23と、動作回路としてのCPUなどの演算部24と、ROM,RAMなどの記憶部25と、その他の周辺回路(インターフェース回路等)とを含んで構成される。
【0032】
通信部21は、車両1の車内での近距離無線接続または有線接続によりコントローラ10との通信接続が確立されると、コントローラ10との間でデータ通信可能に構成される。また、ネットワーク6を介してサーバ30を含む各種の外部機器と無線通信可能に構成される。
【0033】
入力部22は、ユーザの入力操作を受け付けるタッチパネルやテンキーなど、あるいはユーザの音声入力を受け付けるマイクにより構成される。出力部23は、画面表示を行うディスプレイや音声出力を行うスピーカにより構成される。
【0034】
演算部24は、通信部21を介して携帯端末20の外部から受信した信号、入力部22を介して入力された信号、および記憶部25に記憶された各種のデータに基づいて所定の処理を実行し、出力部23および記憶部25に制御信号を出力する。
【0035】
記憶部25には、演算部24が実行するアプリのデータや他のデータが記憶される。例えば、通信部21を介してコントローラ10から受信した車両1の車両情報および乗車情報のデータが一時的に記憶される。記憶された車両1の車両情報および乗車情報は、後述するユーザIDとともに、演算部24での処理により、通信部21を介して所定時間(例えば、5分間)ごとにサーバ30に送信される。
【0036】
ユーザは、ネットワーク6を介して各種の事業者のサーバなどを含む外部機器にアクセスし、事業者により提供される様々なアプリの中から好みのものを選択して、自身の携帯端末20にインストールすることができる。例えば、飲食店を検索するグルメアプリやユーザ同士の出会いを仲介するマッチングアプリなどをインストールすることができる。携帯端末20にインストールされたアプリのデータは、記憶部25に記憶される。
【0037】
第1実施形態では、携帯端末20上で動作する様々なアプリの中から適当なものを選択して起動やインストールを提案するコンシェルジュサービスを提供するコンシェルジュアプリが、携帯端末20にインストールされる。携帯端末20にコンシェルジュアプリがインストールされると、携帯端末20のユーザに対してコンシェルジュサービスのユーザIDが発行され、ユーザがコンシェルジュサービスに会員登録される。これにより、以後、ユーザに対し、携帯端末20にインストールされたコンシェルジュアプリを介してコンシェルジュサービスが提供される。コンシェルジュサービスのユーザIDは、コンシェルジュアプリのデータとともに携帯端末20の記憶部25に記憶される。
【0038】
コンシェルジュアプリのデータは、携帯端末20の記憶部25だけでなくサーバ30の記憶部33にも記憶され、コンシェルジュアプリの機能は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)により、携帯端末20側とサーバ30側とで提供される。例えば、画面表示や音声出力、入力の受け付けなどの機能が携帯端末20側で提供され、画面表示や音声出力される情報の決定、入力された情報の処理などの機能がサーバ30側で提供される。
【0039】
図7は、コンシェルジュアプリを起動中の携帯端末20の画面表示の一例を示す図であり、コンシェルジュサービスのコンシェルジュキャラクタ(以下、コンシェルジュ)26の表示態様の一例を示す。コンシェルジュ26は、コンシェルジュアプリの起動中に携帯端末20のディスプレイ(出力部)23に表示され、ユーザ情報に基づいて選択したアプリを画面表示または音声出力により提案する。コンシェルジュ26によるアプリの提案には、新たなアプリのインストールの提案、インストール済みのアプリの起動および起動の提案が含まれる。
【0040】
図7に示すようなコンシェルジュ26の表示態様(例えば、性別、服装)や提案時の言葉遣い(例えば、言語、方言)などは、予め定められたパターンの中からユーザ設定によって選択され、サーバ30側で制御される。これにより、ユーザがコンシェルジュ26に対して親しみを感じやすくすることができる。
【0041】
サーバ30は、通信部31と、動作回路としてのCPUなどの演算部32と、ROM,RAMなどの記憶部33と、その他の周辺回路(インターフェース回路等)とを含んで構成される。通信部31は、ネットワーク6を介して携帯端末20と無線通信可能に構成される。演算部32は、機能的構成として、情報取得部34と、サービス決定部35とを有する。記憶部33には、コンシェルジュアプリのデータが記憶されるとともに、ユーザごとのユーザ情報がユーザIDに対応付けて記憶される。
【0042】
情報取得部34は、携帯端末20からユーザIDとともに送信される車両1の車両情報および時系列の乗車情報を、ユーザIDに対応するユーザ情報として取得する。情報取得部34により取得されたユーザ情報は、ユーザIDに対応付けて記憶部33に記憶される。すなわち、
図3に示すように、ユーザが車両1に乗車中は車内でコントローラ10と携帯端末20との通信接続が確立され、コントローラ10から送信される車両1の車両情報および乗車情報が、携帯端末20を介して、ユーザIDとともにサーバ30に送信される。これにより、車両1の乗車情報を、車両1を利用するユーザのユーザ情報として活用することができる。
【0043】
サービス決定部35は、情報取得部34により取得された時系列の乗車情報を含むユーザ情報に基づいて、車両1のユーザに提供するサービスを決定する。具体的には、ユーザに起動やインストールを提案するアプリを選択するとともに、提案するタイミングを決定する。
【0044】
図8、
図9は、サービス決定部35により決定されるサービスについて説明するための図である。
図8の例では、時刻t11において、ユーザが運転者として単独で2シータの車両1に乗車する。このような乗車情報が取得されると、サービス決定部35は、乗車時刻t11から所定時間(例えば、1時間)後の時刻t12に、音声出力により飲食店を検索するグルメアプリの起動を提案することを決定する。この場合、時刻t12において、携帯端末20のスピーカ(出力部)23を介して、例えば「そろそろカフェで休憩されてはどうでしょう?」などの音声出力がコンシェルジュ26からユーザへの提案として行われる。
【0045】
コンシェルジュ26から音声出力による提案が行われると、音声出力後の所定時間(例えば、10秒間)、ユーザは携帯端末20のマイク(入力部)22を介して提案を受け入れる、あるいは断る旨を音声入力することができる。「はい」、「お願い」、「よろしく」などの肯定的なフレーズが音声入力されると提案が受け入れられたものと認識され、「いいえ」、「結構です」、「また今度」などの否定的なフレーズが音声入力されると提案が断られたものと認識される。所定時間内に音声入力が認識されない場合は、再度の提案が行われる、あるいは、提案が断られたものと認識される。
【0046】
コンシェルジュ26による提案が受け入れられると、サービス決定部35により決定されたグルメアプリが起動され、乗車人数や位置情報などのユーザ情報に応じて、付近にある駐車場付きの飲食店が検索される。検索結果は、音声出力によりユーザに通知される。さらに、ユーザからの音声入力に応じて飲食店の予約が行われてもよい。なお、コンシェルジュ26からの提案が断られると、例えば「それでは、また改めまして」などの音声出力がなされる。
【0047】
図9の例では、時刻t21において、ユーザが複数名(図では、4名)で5シータの車両1に乗車する。この場合、ユーザは非運転者(同乗者)であることも、運転者であることも考えられる。このような乗車情報が取得されると、サービス決定部35は、乗車時刻t21から所定時間(例えば、2時間)後の時刻t22に、単独乗車の場合と同様に、音声出力により飲食店を検索するグルメアプリの起動を提案することを決定する。この場合、時刻t22において、例えば「そろそろ皆様で休憩されてはどうでしょう?」などの音声出力が行われる。
【0048】
さらに、サービス決定部35は、乗車時刻t21から所定時間(例えば、3時間)後の時刻t23に、音声出力により観光スポットを検索する旅行アプリの起動を提案することを決定する。この場合、時刻t23において、例えば「近くの観光スポットをご案内しましょうか?」などの音声出力がコンシェルジュ26からユーザへの提案として行われる。
【0049】
コンシェルジュ26からの提案は、ユーザ自身が車両1の運転者である可能性がある場合には音声出力により行われるため、ユーザは携帯端末20のディスプレイ(出力部)23を見る必要がなく、ユーザによる車両1の安全運転を妨げることがない。また、通知音による抽象的な報知ではなく、具体的な提案内容が音声情報として提供されるため、ユーザの運転に対する集中力を低下させることがない。また、運転中の適当なタイミングで休憩が提案されるため、ユーザによる車両1の安全運転を促進することができる。
【0050】
ユーザが車両1に乗車中にコンシェルジュ26が提案するアプリは、駐車場を検索する駐車場アプリであってもよい。例えば、グルメアプリや旅行アプリと併せて駐車場アプリを起動し、駐車場を併設していない飲食店や観光スポットとともに最寄りの駐車場を検索、予約するようにしてもよい。この場合、特に単独乗車のユーザによる車両1の安全運転を支援することができる。
【0051】
ユーザが車両1に乗車中にコンシェルジュ26が提案するアプリは、オンラインゲーム用のゲームアプリであってもよい。特定のエリア(携帯端末20の位置情報が所定の緯度経度の範囲内)で特別なアイテムが入手できるようなゲームアプリを利用するユーザによっては、ゲームのことが気になって安全運転を怠るおそれがある。例えば、特定のエリアでユーザが車両1に乗車中に、コンシェルジュ26が代わりにゲームアプリを起動することを提案するようにしてもよい。この場合、ゲーム好きのユーザが単独乗車している場合であっても、安心して安全運転を継続することができる。
【0052】
図10A~
図10Cは、コンシェルジュアプリを起動中の携帯端末20の画面表示の一例を示す図であり、ユーザが車両1に乗車し、車内でコントローラ10と携帯端末20との通信接続が確立された直後の画面表示の一例を示す。ユーザが複数名で車両1に乗車し、
図9の例に示すような乗車情報が取得されると、
図10Aに示すように、携帯端末20のディスプレイ(出力部)23にコンシェルジュ26が表示され、画面表示によりユーザが非運転者であるか否かを確認する。このときの画面表示には、非運転者であるか否かの回答を入力するための確認ボタン27aも含まれる。
図10Aの確認画面は、コントローラ10と携帯端末20との通信接続の確立後の所定時間(例えば、10秒間)のみ表示される。
【0053】
図10Aの確認画面が表示され、ユーザが携帯端末20のタッチパネル(入力部)22を介して非運転者であることを確認する「はい」の確認ボタン27aをタッチすると、ユーザが非運転者であると認識される(
図10B)。一方、
図10Aの確認画面が表示され、ユーザが非運転者ではないことを示す「いいえ」の確認ボタン27aをタッチする、あるいは確認画面の表示中に確認ボタン27aをタッチしない場合は、ユーザが運転者であると認識される。
【0054】
ユーザが非運転者であることが確認されると、以後のドライビングサイクル中のコンシェルジュサービスが画面表示により提供される。すなわち、
図9の時刻t22,t23において音声出力に代えて、
図10Cのような画面表示がコンシェルジュ26からユーザへの提案として行われる。このように、ユーザ自身が車両1の運転者ではなく同乗者(非運転者)であることが確認されると画面出力により提案が行われるため、ユーザは、例えば旅行アプリの起動後に検索される観光スポットなどの詳細情報を画面表示により確認することができる。
【0055】
本発明の第1実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)サービス提供装置100は、車両1に搭載された複数のシート2,3(3a~3d)にそれぞれ設けられ、着座状態または非着座状態を検出する複数の着座センサ4,5(5a~5d)と、複数の着座センサ4,5による検出結果に基づいて、車両1の乗車人数を含む乗車情報を生成する情報生成部15と、情報生成部15により生成された乗車情報に基づいて、車両1のユーザに提供するサービスを決定するサービス決定部35とを備える(
図3、
図5A~
図5C、
図6A)。これにより、着座センサ4,5の情報を種々のサービスに有効利用することができる。
【0056】
(2)サービス提供装置100は、車両1の車内で、車両1のユーザが携帯する携帯端末20と通信する通信部11をさらに備える(
図6A)。サービス決定部35は、通信部11を介して入力された携帯端末20からの情報と情報生成部15により生成された乗車情報とに基づいて、車両1のユーザに提供するサービスを決定する。これにより、車両1の乗車情報を、車両1を利用するユーザのユーザ情報として活用することができる。
【0057】
(3)サービス提供装置100は、車両1の車内で、サービス決定部35により決定されたサービスを車両1のユーザに提案する出力部23をさらに備える(
図6A)。出力部23は、情報生成部15により生成された乗車情報に含まれる乗車人数が1人のときは音声のみによりサービス決定部35により決定されたサービスを提案する。すなわち、ユーザが車両1の運転者である場合には音声出力によりサービスが提案されるため、ユーザによる車両1の安全運転を妨げることがない。
【0058】
(4)サービス提供装置100は、車両1の車内に設けられたコントローラ10と、車両1の車外に設けられたサーバ30とをさらに備える(
図6A)。コントローラ10は、情報生成部15を有する(
図6A)。サーバ30は、サービス決定部35を有する(
図6A)。これにより、コントローラ10側で生成された時系列の乗車情報を含むユーザ情報がサーバ30側でユーザIDに対応付けて蓄積されるため、コントローラ10の構成を簡易にすることができる。
【0059】
(5)コントローラ10は、複数のシート2,3のいずれかと一体的に設けられる(
図3~
図5C)。これにより、シート2,3に設けられたコントローラ10と、シート2,3を利用するユーザの携帯端末20との間の通信接続が確立されると、ユーザが車両1に乗車したことを認識することができる。
【0060】
(6)サービス決定部35は、情報生成部15により生成された乗車情報に基づいて、車両1のユーザに提案するアプリおよびタイミングを決定する。これにより、ユーザによる車両1の乗車時間に応じた適当なアプリを選択し、適当なタイミングで提案するサービスを提供することができる。
【0061】
(7)サービス決定部35は、情報生成部15により生成された乗車情報に基づいて、車両1のユーザが車両1に乗車してから所定時間後に、車両1を駐車可能な場所を検索するアプリを提案することを決定する。これにより、ユーザによる車両1の乗車時間に応じた適当なタイミングで休憩を提案することができ、車両1の安全運転を促進することができる。
【0062】
-第2実施形態-
図11~
図13を参照して本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、乗車情報に加えてさらに、ユーザの属性や嗜好などの情報がユーザ情報として用いられる。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0063】
図11は、第2実施形態に係るサービス提供装置100Aの全体構成を示すブロック図である。
図11に示すように、サーバ30Aの演算部32Aは、機能的構成として、さらに情報要求部36を有する。情報要求部36は、コンシェルジュ26(携帯端末20の出力部23)を介してユーザにユーザ情報の入力を要求する。
【0064】
図12は、情報要求部36によるユーザ情報の入力の要求について説明するための図であり、コンシェルジュアプリの起動中にユーザ情報の入力を要求するコンシェルジュ26の一例を示す。
図12に示すように、情報要求部36は、日常会話としてコンシェルジュ26からユーザに年齢や性別、居住エリア、趣味などを尋ねる形式により、様々なユーザ情報の入力を要求する。コンシェルジュ26からユーザ情報の入力が要求されると、その後の所定時間(例えば、1分間)、ユーザは携帯端末20の入力部22を介してユーザ情報を入力することができる。
【0065】
図12の例では、コンシェルジュ26からユーザに対し、飲食店のジャンルについてのユーザ情報の入力が要求される。このときの画面表示には、ユーザ情報を入力するための入力欄27cも含まれる。この場合、ユーザは、携帯端末20のタッチパネル(入力部)22を操作して入力欄27cから飲食店のジャンルを選択することで、コンシェルジュ26との日常会話としてユーザ情報を入力することができる。
【0066】
コンシェルジュ26(携帯端末20の入力部22)を介して入力されたユーザ情報は、携帯端末20の通信部21を介してユーザIDとともにサーバ30に送信され、サーバ30の情報取得部34により取得され、ユーザIDに対応付けて記憶部33に記憶される。
【0067】
図13は、サービス決定部35により決定されるサービスについて説明するための図である。サービス決定部35は、ユーザ情報に基づいて、車両1のユーザのライフスタイル全般を支援するようなアプリを提案する。このような提案は、乗車情報に加えてユーザの年齢などを含むユーザ情報に基づいて、予め定められた提案モデルに当てはめることで行われる。例えば、20代男性が所定期間(例えば、4週間)、休日の度に単独で車両1を利用している場合は婚活用のマッチングアプリを提案するなどの提案モデルが予め定められる。
【0068】
図13の例では、20代男性のユーザについて、
図8のようなドライビングサイクルごとの乗車情報が蓄積され、4週間、休日の度に単独で車両1に乗車している乗車情報が蓄積されている。このような乗車情報が蓄積された状態で最新のドライビングサイクルt31~t32の乗車情報が取得されると、サービス決定部35は、降車時刻t32から所定時間(例えば、2時間)後の時刻t33に婚活用のマッチングアプリの起動を提案することを決定する。
【0069】
この場合、時刻t33において、コンシェルジュ26(携帯端末20の出力部23)を介して、例えば「一緒にドライブに行く方を探してみませんか?」などの提案が行われる。コンシェルジュ26による提案が受け入れられると、サービス決定部35により決定された婚活用のマッチングアプリが起動される。
【0070】
コンシェルジュ26を介して提案するアプリがユーザ自身による複雑な入力操作などを必要とする場合、サービス決定部35は、ユーザが車両1に乗車していない非乗車時、例えば、降車時刻t32から所定時間後の時刻t33にアプリを提案することを決定する。したがって、ユーザが車両1に乗車しているときに携帯端末20に対する入力操作を要求することがなく、ユーザによる車両1の安全運転を妨げることがない。
【0071】
さらに、サービス決定部35は、ユーザがマッチングアプリに登録する情報に、ユーザによる車両1の乗車情報に基づくコンシェルジュ26からの保証コメントを付けることを提案してもよい。例えば、ユーザによる車両1の利用頻度が高い場合は、ユーザがドライブ好きであることを保証するコメントを付ける。車両1の車種についてのコメントを付けてもよい。これにより、趣味の合うユーザとマッチングされる可能性が高まるとともに、コンシェルジュアプリによる保証を付すことでユーザ自身の信用度を向上することができる。
【0072】
例えば、婚活用のマッチングアプリの場合には、単独乗車での車両1の利用頻度が高い旨のコメントを付すことで、ユーザが単身であることを保証することができる。また、宅配バイト用のマッチングアプリの場合には、ユーザが利用する車両1の車種や利用頻度の情報を付すことで、ユーザ自身の運転経験についての信用度を向上することができる。
【0073】
図14Aおよび
図14Bは、サービス決定部35について説明するための図であり、
図14Aは、予め定められた提案モデルとしてのニューラルネットワーク350の階層を示す。また、
図14Bは、予め定められた提案モデルとしてXgboost(eXtreme Gradient Boosting)を用いる場合の
図14Aの変形例である。
【0074】
図14Aに示すように、サービス決定部35は、入力層361と、複数の中間層362と、出力層363とを有するニューラルネットワーク360を介して提案内容を決定するように構成される。入力層361は、情報生成部15により生成された乗車情報と、情報取得部34により取得されたユーザ情報とを取得し、出力層363は、車両1のユーザに提供するサービスを出力する。
【0075】
入力層361により取得される情報には、例えば、現在または直近のドライビングサイクルにおける情報として、乗車時間、乗車人数、車種、乗車時刻(時間帯)、乗車中の位置(地域)、季節、曜日、気温、湿度、天候などが含まれる。また、現在の情報として、乗車中であるか非乗車中であるか、現在の位置(地域)、季節、曜日、気温、湿度、天候、および性別、年齢、職業などのユーザ情報などが含まれる。これらの情報は、定量化された値(入力値)として入力層361により取得される。出力層363により出力される情報には、決定されたサービス(アプリ)の情報と提案時刻の情報とが含まれる。これらの情報は、定性化される前の数値(出力値)として出力層363により出力される。提案モデルとしてユーザによる車両1の利用パターン、ユーザの年齢や性別、居住エリア、趣味などの様々なパラメータに応じて提案するアプリおよびタイミングを予め定めておくことで、広範なユーザ情報に基づいて適当なサービスを提供することができる。
【0076】
図14Bに示すように、XGBoostを用いる場合は、並列した条件分岐による複数(
図14Bでは2個)の決定木106a,106bを用いて複数のスコア値が算出され、各決定木106a,106bのスコア値の合計値として出力値が算出される。例えば、毎週末に単独で車両1を利用している男性についての出力値は、決定木106aによるスコア1と、決定木106bによるスコア4との合計値(スコア4+スコア5)として算出される。
図14BのようにXGBoostを用いる場合は、複数の決定木106a,106bで条件分岐を行うことで、
図14Aのようにニューラルネットワークを用いる場合に比して、演算量を抑制することができる。
【0077】
第2実施形態は、第1実施形態で述べた作用効果に加え、以下のような作用効果を奏する。すなわち、サービス提供装置100は、車両1のユーザにユーザ情報の入力を要求する情報要求部36と、車両1のユーザにより入力されたユーザ情報を取得する情報取得部34とをさらに備える(
図6A)。情報要求部36は、情報生成部15により生成された乗車情報に基づいて、車両1のユーザが車両1に乗車している乗車時以外の非乗車時に、ユーザ情報の入力を要求する。サービス決定部35は、情報取得部34により取得されたユーザ情報にさらに基づいて、車両1のユーザに提供するサービスを決定する。
【0078】
例えば、ユーザ自身による複雑な入力操作などを必要とするアプリを提案する場合は、ユーザが車両1に乗車していない非乗車時に提案する。したがって、ユーザが車両1に乗車しているときに携帯端末20に対する入力操作を要求することがなく、ユーザによる車両1の安全運転を妨げることがない。
【0079】
サービス決定部35は、入力層361と、複数の中間層362と、出力層363とを有する予め学習されたニューラルネットワーク360を介して車両1のユーザに提供するサービスを決定するように構成される(
図14A、
図14B)。入力層361は、情報生成部15により生成された乗車情報と、情報取得部34により取得されたユーザ情報とを取得する。出力層363は、車両1のユーザに提供するサービスを出力する。これにより、広範なユーザ情報に基づいて適当なサービスを提供することができる。
【0080】
サービス決定部35は、情報生成部15により生成されて記憶部33に蓄積された乗車情報に基づいて、車両1のユーザが車両1から降車してから所定時間後に、車両1のユーザにアプリを提案することを決定する。広範なユーザ情報に基づいて適当なアプリを提案することで、ユーザのライフスタイル全般を支援することができる。
【0081】
-第3実施形態-
図15を参照して本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第2実施形態のサービス決定部35(
図11)を構成するニューラルネットワーク360(
図14A、
図14B)が、追加的に取得される教師データに基づいて学習され、提案モデルが更新される。すなわち、ニューラルネットワーク360における重み変数が更新される。以下では、第2実施形態との相違点を主に説明する。
【0082】
コンシェルジュ26から画面表示や音声出力による提案が行われると、ユーザは携帯端末20のタッチパネルやマイク(入力部)22を介して提案を受け入れる、あるいは断る旨を入力することができる。例えば、
図10Cのように、コンシェルジュ26からの提案の画面表示に回答ボタン27bが含まれる場合は、ユーザが携帯端末20のタッチパネル(入力部)22を介して「見てみる」の回答ボタン27bをタッチすると、提案が受け入れられたと認識される。また、ユーザが「断る」の回答ボタン27bをタッチする、あるいは所定時間内に入力を行わずに提案を無視すると、提案が断られたと認識される。
【0083】
このような、ユーザが提案を受け入れたか否かに関する受入情報は、ユーザIDとともに、ユーザ情報として、携帯端末20の通信部21を介してサーバ30Aに送信される(
図11)。携帯端末20からサーバ30Aに送信された受入情報は、情報取得部34により取得され、ユーザIDに対応付けてユーザ情報として記憶部33に記憶、蓄積される(
図11)。
【0084】
このようにサーバ30Aの記憶部33に蓄積された受入情報は、ニューラルネットワーク360(
図14A、
図14B)の追加的な教師データとして用いられ、これによりニューラルネットワーク360が追加的に学習されて提案モデルが更新される。これにより、ユーザの好みに合った、より受け入れやすいサービスを提案することができる。なお、このような提案モデルの学習は、ユーザごとに行ってもよく、ユーザグループごとに行ってもよい。例えば、コンシェルジュサービスの複数のユーザを世代や地域ごとに複数のグループに分類し、グループごとに提案モデルの学習を行ってもよい。
【0085】
図15は、情報取得部34が取得するユーザ情報について説明するための図であり、追加的な教師データの別の例を示す。追加的な教師データとして用いられるユーザ情報には、受入情報に加え、コンシェルジュサービスからの提案によらずにユーザが利用したアプリの情報が含まれてもよい。この場合、携帯端末20において起動されたアプリの情報が乗車情報との関連で取得される。
【0086】
図15の例では、時刻t41においてユーザが運転者として単独で5シータの車両1に乗車した後、時刻t42において追加的に3名の同乗者が車両1に乗車して乗員が4名に増加する。また、時刻t45において車両1から1名の同乗者が降車して乗員が3名に減少し、時刻t46において車両1からさらに2名の同乗者が降車してユーザの単独乗車に戻る。さらに、時刻t47においてユーザが車両1から降車した後、時刻t48においてユーザがコンシェルジュサービスからの提案によらずに特定のアプリ(例えば、婚活用のマッチングアプリ)を起動する。
【0087】
このように、ユーザがコンシェルジュサービスからの提案によらずに特定のアプリを起動すると、一連の情報が追加的な教師データとして抽出される。具体的には、ユーザが起動したアプリの情報と、アプリを起動した時刻t48の直前のドライビングサイクルt44~t47の乗車情報とが、追加的な教師データとして抽出され、提案モデルの追加的な学習に用いられる。これにより、例えば、学習前の提案モデルでは車両1を単独利用した場合のみ提案される婚活用のマッチングアプリを、学習後の提案モデルではドライビングサイクル中に乗員数が減少した場合にも提案することができる。
【0088】
第3実施形態は、第2実施形態で述べた作用効果に加え、以下のような作用効果を奏する。すなわち、サービス提供装置100は、情報生成部15により生成された乗車情報と、情報取得部34により取得されたユーザ情報とを記憶する記憶部33と、車両1の車内で、サービス決定部35により決定されたサービスを車両1のユーザに提案する出力部23とをさらに備える(
図11)。ユーザ情報は、出力部23を介して提案されたサービスが車両1のユーザに受け入れられたか否かに関する受入情報を含む。ニューラルネットワーク360は、記憶部33に記憶された乗車情報およびユーザ情報に基づいて追加的に学習される。これにより、ユーザがより受け入れやすい適当なアプリを提案することができる。
【0089】
-第4実施形態-
図16を参照して本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、コンシェルジュアプリの非起動中にもコンシェルジュサービスからの提案が行われる。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0090】
図16は、コンシェルジュアプリを非起動中の携帯端末20の画面表示の一例を示す図であり、携帯端末20のロック画面に表示されるコンシェルジュサービスからの通知の一例を示す。サービス決定部35(
図6A)により決定されたアプリの提案時刻(例えば、
図9の時刻t22)にユーザの携帯端末20でコンシェルジュアプリが起動されていない場合、コンシェルジュ26からの提案内容がロック画面に表示される。例えば、
図16に示すように、携帯端末20のロック画面にコンシェルジュアプリからのプッシュ通知28として表示される。
【0091】
図16に示すように、プッシュ通知28の表示内容には提案時刻と提案内容とが含まれるため、ユーザはコンシェルジュアプリからの提案内容を確認するか否かを容易に判断することができる。例えば、提案時刻から時間が経過していて車両1の現在の走行エリアが提案時刻の走行エリアから離れている場合には、そのまま提案を無視することができる。また、走行エリアが離れていない場合や提案内容が魅力的な場合には、より詳細な提案内容を確認することができる。
【0092】
-第5実施形態-
図17を参照して本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、車両1のユーザに対し、車両1に装備されたシートヒータなどの遠隔操作が提案される。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0093】
図17は、車両1の運転席に搭載されるシート2の一例を示す斜視図であり、シートヒータ7が装備されたシート2の一例を示す。
図17に示すように、乗員が着座するシート2の着座面などには、表皮と内部のパッドとの間に、電熱線などにより構成されて着座面を加温するシートヒータ7が設けられる。シートヒータ7は、電熱線に通電することでシート2の着座面を加温するが、気温が著しく低い場合などは温まるまでに時間を要する。
【0094】
サービス決定部35(
図6A)は、情報生成部15により生成されて記憶部33に蓄積された乗車情報に基づいて、ユーザが車両1に乗車する前に遠隔操作でシートヒータ7による加温を開始することを提案する。このような提案は、例えば出勤などで毎日決まった時刻に、自宅に駐車した車両1に乗車するユーザに対し、ユーザの現在地周辺の気温が所定温度(例えば、3℃)以下のときに行う。ユーザの現在地周辺の気温は、気象情報および携帯端末20の位置情報に基づいて決定することができる。
【0095】
この場合、乗車予定時刻の所定時間前(例えば、30分前)になると、例えば、コンシェルジュアプリからのプッシュ通知28として「今朝は寒いですね。車のエアコンやシートヒータを付けましょうか?」などの提案を行う。ユーザが提案を受け入れると、車両1のリモコンエンジンスタータを遠隔操作するアプリを起動して、乗車予定時刻の所定時間前(例えば、5分前)に遠隔操作で車両1を始動し、車両1のシートヒータ7やエアコンを起動する。これにより、ユーザが車両1に乗車するときの快適性を向上することができる。車両1のリアシートに駆動機構を設け、シートアレンジを遠隔操作するようにしてもよい。
【0096】
-第6実施形態-
図18~
図19Bを参照して本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態では、シート2に、携帯端末20の入力部22を遠隔操作するためのタッチセンサ8が設けられる。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0097】
図18は、第6実施形態に係るサービス提供装置100Bの全体構成を示すブロック図である。
図18に示すように、タッチセンサ8は、有線または無線により携帯端末20に接続され、携帯端末20の入力部22を遠隔操作する。タッチセンサ8は、静電容量センサなどにより構成され、タッチ操作やフリック操作などのユーザによる入力操作を受け付ける。
【0098】
図19A、
図19Bは、タッチセンサ8の配置の一例を示す図である。
図19Aに示すように、タッチセンサ8は、例えばシート2の車内側の台座部分に設けられる。
図19Bに示すように、シート2がアームレストを有する場合は、アームレストの先端部にタッチセンサ8が設けられてもよい。ユーザは、コンシェルジュ26からの提案を受け入れる、あるいは断る旨を入力するとき、携帯端末20のマイク(入力部)22による音声入力に代えて、タッチセンサ8による入力操作を行うことができる。例えば、所定時間(例えば、1秒)以内に1回のタッチ操作で提案を受け入れ、2回のタッチ操作で提案を断る旨を入力することができる。
【0099】
図19Aおよび
図19Bに示すように、シート2にはさらに、乗員(運転者)の頭部付近の背もたれ部の上部にケース2aが設けられ、携帯端末20を収容可能に構成される。これにより、携帯端末20のスピーカ(出力部)23からの音声出力をユーザにとって聴き取りやすくすることができる。また、運転中のユーザが携帯端末20の画面を見ることを確実に防止することができる。
【0100】
また、ケース2aの前面にQRコード(登録商標)などを貼り付け、携帯端末20の撮影部によりQRコード(登録商標)を撮影することで携帯端末20とコントローラ10との通信接続を確立するようにしてもよい。これにより、車両1に乗車する複数のユーザがそれぞれ携帯端末20を携帯している場合など、車内に複数の携帯端末20が存在する場合でも、ユーザが希望する携帯端末20を接続することができる。また、ユーザが運転者であることを容易に把握することができる。
【0101】
-第7実施形態-
図20および
図21を参照して本発明の第7実施形態について説明する。
図20は、第7実施形態に係るサービス提供装置100Cの全体構成を示すブロック図である。
図20に示すように、第7実施形態では、車両1の車両用コントローラ10Cの一部が第1~第6実施形態のコントローラ10として機能する。この場合、車両用コントローラ10Cに接続され、車両1のインストルメントパネルに設けられたディスプレイやスピーカなどが出力部23Cとして機能する。
【0102】
図21は、出力部23Cの一例を示す図である。
図21に示すように、コンシェルジュ26からの提案は、車両1のディスプレイ(出力部)23Cを介して画面表示により行われる、あるいは、車両1のスピーカ(出力部)23Cを介して音声出力により行われる。この場合、車両1に乗車する複数のユーザがコンシェルジュ26からの提案を共通の画面表示や音声出力を介して共有することができる。
【0103】
なお、車両1は、ユーザが所有する車両に限らず、シェアリングサービスやレンタカーサービスの貸出車両などであってもよい。
【0104】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 車両、2,3(3a~3d) シート、4,5(5a~5d) 着座センサ、10 コントローラ、11 通信部、12 演算部、13 記憶部、14 情報取得部、15 情報生成部、16 情報出力部、20 携帯端末、21 通信部、22 入力部、23 出力部、24 演算部、25 記憶部、26 コンシェルジュキャラクタ(コンシェルジュ)、30 サーバ、31 通信部、32 演算部、33 記憶部、34 情報取得部、35 サービス決定部、36 情報要求部、100 サービス提供装置、360 ニューラルネットワーク、361 入力層、362 中間層、363 出力層