(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】支持アーム及び被支持部材の支持方法
(51)【国際特許分類】
F16M 13/00 20060101AFI20240529BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240529BHJP
B29C 51/12 20060101ALI20240529BHJP
B29C 51/26 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16M13/00 S
B25J15/06 M
B29C51/12
B29C51/26
(21)【出願番号】P 2020032621
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】船戸 隆文
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-206211(JP,A)
【文献】実開昭58-171343(JP,U)
【文献】特開2016-124108(JP,A)
【文献】特開2000-263483(JP,A)
【文献】特開平06-336392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 13/00
B25J 15/06
B29C 51/12
B29C 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片持ち状の支持梁と、
前記支持梁の自由端とされる先端側において枠部材により補強された基板部材を備え、前記基板部材の先端側である前方側部分に対して第1支持体を固定的又は弾発移動可能に有すると共に、
前記支持梁の基端側となる前記基板部材の後方側部分において前記基板部材に対して移動可能に設けられ、前記第1支持体と合わせて被支持部材を支持する第2支持体を前記基板部材に対して弾発可能に有し、
前記第1支持体が弾発移動する際の弾発力が前記第2支持体の弾発力よりも強いことを特徴とする支持アーム。
【請求項2】
支持梁と、
前記支持梁の先端側において、被支持部材を
吸着する複数の吸着部を有し、前記支持梁に対し固定的又は弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第1支持体と、
前記支持梁の
前記第1支持体よりも基端側において
、前記被支持部材を
吸着する複数の吸着部を有し、弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第2支持体と、
を備え
、前記第1支持体に設ける前記弾発部材の弾発力は前記第2支持体に設ける前記弾発部材の弾発力よりも強いことを特徴とする支持アーム。
【請求項3】
前記第1支持体及び前記第2支持体は、各々
長矩形平板状に形成され、各支持体の四隅において前記弾発部材により前記支持梁に対して弾発可能に形成されることを特徴とする
請求項2に記載の支持アーム。
【請求項4】
前記第1支持体
及び前記第2支持体
は、前記支持梁
の自由端側に接続される基板部材に対して前記弾発部材により接続されることを特徴とする
請求項3に記載の支持アーム。
【請求項5】
前記第1支持体及び前記第2支持体は、それぞれ負圧によって前記被支持部材を支持する第1吸着面及び第2吸着面を有し、
前記弾発部材としてのコイルばねによって前記支持梁側から離間方向へ付勢されている、ことを特徴とする請求項2
乃至請求項4の何れかに記載の支持アーム。
【請求項6】
樹脂成形装置における被支持部材の支持方法であって、
前記樹脂成形装置は、
支持梁と、前記支持梁の先端側において、被支持部材を
吸着する複数の吸着部を有し、前記支持梁に対し固定的又は弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第1支持体と、
前記支持梁の
前記第1支持体よりも基端側において
、前記被支持部材を
吸着する複数の吸着部を有し、弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第2支持体と、を有
し、前記第1支持体に設ける前記弾発部材の弾発力は前記第2支持体に設ける前記弾発部材の弾発力よりも強い支持アームと、
溶融樹脂シートを吸着させた金型と、
を備え、
前記第1支持体及び前記第2支持体により支持された前記被支持部材を前記金型の前記溶融樹脂シートに当接させるように前記支持アームを移動させる工程を含む、
ことを特徴とする被支持部材の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持アーム及び被支持部材の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金型に賦形させた溶融樹脂シートに、予め作成した成形体を支持アームで移動させて当該溶融樹脂シートに溶着させる技術が開示されている。例えば、特許文献1には、2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在される熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルの成形方法が開示される。このサンドイッチパネルの成形方法では、分割金型のキャビティに沿った形状に賦形された連続シート状の熱可塑性樹脂製シートの間に、マニピュレータ(支持アーム)の吸着盤により保持した芯材を挿入し、該マニピュレータを分割金型に向かって水平移動させてキャビティに吸着した熱可塑性樹脂製シートに芯材を溶着させている。マニピュレータは芯材の支持を解除して分割金型間から退避される。その後、分割金型を型締めして芯材の両側から熱可塑性樹脂製シートを溶着させる。成形されたサンドイッチパネルは、分割金型を型開きして取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持アームの支持梁は、芯材を金型側に押し付ける際に自由端側において撓んで、芯材を十分に押圧できない場合がある。芯材と熱可塑性樹脂シートとの溶着が弱いと、芯材が熱可塑性樹脂シートから脱落したり位置ずれすることが想定される。また、支持アームの位置や角度の調整を都度行う方法もあるが、作業が煩雑となったり段取り替えに伴い再現性が低下することも想定される。
【0005】
本発明は、被支持部材を安定供給可能な支持アーム及び被支持部材の支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の支持アームは、片持ち状の支持梁と、前記支持梁の自由端とされる先端側において枠部材により補強された基板部材を備え、前記基板部材の先端側である前方側部分に対して第1支持体を固定的又は弾発移動可能に有すると共に、前記支持梁の基端側となる前記基板部材の後方側部分において前記基板部材に対して移動可能に設けられ、前記第1支持体と合わせて被支持部材を支持する第2支持体を前記基板部材に対して弾発可能に有し、前記第1支持体が弾発移動する際の弾発力が前記第2支持体の弾発力よりも強いことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の支持アームは、支持梁と、前記支持梁の先端側において、被支持部材を吸着する複数の吸着部を有し、前記支持梁に対し固定的又は弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第1支持体と、前記支持梁の前記第1支持体よりも基端側において、前記被支持部材を吸着する複数の吸着部を有し、弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第2支持体と、を備え、前記第1支持体に設ける前記弾発部材の弾発力は前記第2支持体に設ける前記弾発部材の弾発力よりも強いことを特徴とすることもある。
【0008】
本発明の被支持部材の支持方法は、樹脂成形装置における被支持部材の支持方法であって、前記樹脂成形装置は、支持梁と、前記支持梁の先端側において、被支持部材を吸着する複数の吸着部を有し、前記支持梁に対し固定的又は弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第1支持体と、前記支持梁の前記第1支持体よりも基端側において、前記被支持部材を吸着する複数の吸着部を有し、弾発部材により前記支持梁に対して近接移動可能に接続支持される第2支持体と、を有し、前記第1支持体に設ける前記弾発部材の弾発力は前記第2支持体に設ける前記弾発部材の弾発力よりも強い支持アームと、溶融樹脂シートを吸着させた金型と、を備え、前記第1支持体及び前記第2支持体により支持された前記被支持部材を前記金型の前記溶融樹脂シートに当接させるように前記支持アームを移動させる工程を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被支持部材を安定供給可能な支持アーム及び被支持部材の支持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るサンドイッチ部材の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る樹脂成形装置の側面から見た模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る支持アームの正面側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る支持アームの裏面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る支持アームの平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る弾発部材の平面側から見た断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る成形体の製造方法を示す図であり、(a)は型枠を溶融樹脂シートに当接させた状態を示し、(b)は溶融樹脂シートを金型内に賦形させた状態を示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る成形体の製造方法を示す図であり、(a)は溶融樹脂シートの間に芯材を配置する様子を示し、(b)は第1金型及び第2金型を型締めした状態を示す。
【
図9】本発明の実施形態に係る成形体の製造方法における
図8(a)の状態の平面模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すサンドイッチ部材1は、全体が略長矩形平板状に形成される。サンドイッチ部材1は、内部に芯材2(被支持部材)を有し、芯材2の外周面を表皮材3により覆われて形成された成形体である。サンドイッチ部材1は、例えば、ベッドパネルや自動車の荷室用ボード等の構造部材として使用される。
【0012】
図1に示す芯材2は、長矩形平板状に形成され、発泡剤を添加した樹脂により形成することができる。芯材2を形成する材料としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体或いは共重合体であるポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-プロピレン-ジエン類等のターポリマー、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、及びフェノール樹脂、メラニン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0013】
また、発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びそれらの混合物のいずれを用いてもよい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、及び、それらの超臨界流体を用いることができる。
【0014】
表皮材3は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エンジニアリングプラスチックなどから形成される。
【0015】
図2は、樹脂成形装置60の構成を示す図である。本実施形態のサンドイッチ部材1は、
図2に示す樹脂成形装置60により形成される。樹脂成形装置60は、対向して配置された2台の樹脂供給装置61(第1樹脂供給装置61A、第2樹脂供給装置61B)により、それぞれ第1溶融樹脂シート11、及び第2溶融樹脂シート12を成形する。樹脂供給装置61の下方には、金型80(第1金型81、第2金型82)が配置される。
【0016】
樹脂供給装置61は、樹脂材料の供給口とされるホッパー65と、油圧モータ68に接続されて内部に配置されるスクリューによりホッパー65から供給された材料を溶融、混錬する押出機66と、を有する。押出機66は、プランジャ72を備えるアキュムレータ70と接続される。溶融、混錬された樹脂材料は、押出機66によりアキュムレータ70に送られる。樹脂材料は、アキュムレータ70で高圧とされてTダイ71に送られる。そして、適宜のタイミングでTダイ71のダイスリットが開かれて、ローラ79により送り出された第1溶融樹脂シート11及び第2溶融樹脂シート12が形成される。第1溶融樹脂シート11及び第2溶融樹脂シート12は、それぞれ第1金型81及び第2金型82に供給される。
【0017】
第1金型81及び第2金型82は、対向して配置される。第1金型81及び第2金型82の外周には、型枠83,84が設けられる。第1金型81には、第1金型81のキャビティ81a内に囲われた空間を減圧する真空ポンプ(不図示)が設けられる。同様に、第2金型82にも、第2金型82のキャビティ82a内に囲われた空間を減圧する真空ポンプ(不図示)が設けられる。
【0018】
図3及び
図4は、それぞれ支持アーム4の正面側及び裏面側から見た斜視図である。支持アーム4は、片持ち状の支持梁41と、支持梁41の自由端側における前方に接続される基板部材42と、基板部材42に対して弾発部材5を介して前方側に接続される複数の支持体44とを備える。本実施形態では、複数の支持体44により一つの芯材2を支持して、芯材2を金型80に供給する。
【0019】
支持梁41は、基端側において図示しないロボット等の駆動部によって片持ち支持されている。基板部材42は、支持梁41の上方側及び下方側の各々に延設されるように、2枚設けられる。上方側の基板部材42A及び下方側の基板部材42Bは、前面側において(
図5も参照)四角枠状の枠部材43と接続される。枠部材43によって、基板部材42A,42Bの全体の剛性を高めることができる。
【0020】
本実施形態の支持体44は、上下左右方向に2行2列の合計4枚設けられており、支持梁41の延設方向(換言すれば、基端側及び自由端側方向)に並設される支持体44A,44B(第1支持体)及び支持体44C,44D(第2支持体)を有する。支持体44C,44Dは、支持体44A,44Bよりも支持梁41の基端側に設けられる。また、支持体44A,44Cは、支持体44B,44Dの上方側に設けられる。
【0021】
各支持体44は、長矩形平板状に形成され、四隅において弾発部材5と接続されて支持される。各支持体44は、弾発部材5により支持梁41から離間する方向に付勢されており、
図3に示す支持面443側から押圧されると弾発部材5の弾発力に抗して支持体44毎に独立して支持梁41側へ移動させることができる。また支持体44には、開口部441及び吸着部442が形成される。吸着部442は、前面側に吸引口を含む吸着面を有しており、支持体44の支持面443側に配置される芯材2を負圧によって支持することができる。吸着部442には、図示しないエアホースを介して真空ポンプ等の負圧源と接続される。吸着部442は、支持する芯材2の形状や重量等に応じて複数設けることができる。また、本実施形態における複数の吸着部442は、支持体44A,44B(第1支持体)の吸着面(第1吸着面)及び支持体44C,44D(第2支持体)の吸着面(第2吸着面)が同一面上となるように形成される。
【0022】
図6(a)は、
図5の平面方向から見た弾発部材5の断面図である。弾発部材5は、支持体44に固定されるシャフトホルダ51と、シャフトホルダ51に対して固定される軸部材52と、軸部材52を摺動可能に挿通させるガイドブッシュ53と、支持体44を基板部材42から離間する方向に弾発するコイルばね54とを有する。シャフトホルダ51は、軸部材52の一端を収容する筒状部511と、筒状部511の他端側において径方向外側に膨出するフランジ部512とを有する。シャフトホルダ51は、支持体44に対して、フランジ部512に設けられた開口部を介して螺子部材により螺止締結して固定される。また、シャフトホルダ51は筒状部511を介して軸線方向に貫通する開口部511aを有する。軸部材52は、一端側に設けられた雌螺子部521に開口部511aを介して挿通された螺子部材55によりシャフトホルダ51に対して固定される。
【0023】
ガイドブッシュ53は、略円筒状に形成されて、一端側に設けられたフランジ部531の開口部を介して挿通された螺子部材により、基板部材42に対して螺止締結して固定される。ガイドブッシュ53の筒状部532は、基板部材42に形成された開口部421に挿通されて支持体44とは反対側に突設される。
【0024】
ガイドブッシュ53の内部には軸部材52の外周径に対応した軸受部533が形成される。軸部材52は、雌螺子部521が設けられた反対側である他端側にも、雌螺子部522を有する。この雌螺子部522には、ワッシャー56,57を共締めさせた螺子部材58が挿通される。ワッシャー56,57は軸受部533よりも大径に形成される。従って、ワッシャー56,57は、軸部材52のガイドブッシュ53からの抜けを防止する規制部として機能する。なお、軸部材52側に設けられるワッシャー56は、ワッシャー57よりも大径に形成される。また、軸受部533の内周面には、直動式のボールベアリング533aが設けられるため、軸部材52は軸受部533に対する摺動による摩耗を低減することができる。
【0025】
フランジ部531の支持体44側であって、軸部材52の外周周りにはワッシャー59が設けられる。また、軸部材52の外周径は、筒状部511の外周径よりも小径に形成される。コイルばね54の一端側はシャフトホルダ51の筒状部511の端部511bと当接し、他端側はワッシャー59と当接する。
図6に示すように、支持体44の支持面443側への移動がワッシャー56,57により規制されている状態において、コイルばね54は圧縮状態で収容されている。
【0026】
図6(b)は、支持体44が、基板部材42側へ押圧されて、軸部材52が軸受部533内を摺動した様子を示している。支持体44は、軸部材52と共に基板部材42に対してコイルばね54の弾発力に抗して相対的に移動することができる。支持体44の基板部材42側への押圧力が解除されると、支持体44は軸部材52と共に基板部材42側から離間方向へ移動し、ワッシャー56が筒状部532の端部532aと当接すると支持体44の移動が規制される。本実施形態のワッシャー56はウレタン製により形成され、緩衝材として機能することができる。
【0027】
図3及び
図4に示す各弾発部材5は、複数配置された支持体44A~44Dによって異なる弾発力に設定することができる。例えば、支持梁41の先端側(自由端側)に設けられた支持体44A,44B(第1支持体)の弾発部材5の弾発力は、支持梁41の基端側に設けられた支持体44C,44D(第2支持体)の弾発部材5の弾発力よりも強く設定される。なお、弾発部材5の弾発力は、各支持体44A~44D内においても支持梁41の基端側から先端側にかけて次第に強くするように設定してもよい。また、弾発部材5の弾発力はいずれも略同じ力に設定してもよいし、一部の箇所について強弱を設けてもよい。
【0028】
次に、サンドイッチ部材1の製造方法について説明する。まず、材料供給工程において、
図1の樹脂供給装置61は、第1溶融樹脂シート11及び第2溶融樹脂シート12を、第1金型81及び第2金型82の間に垂下して配置させる。
【0029】
賦形工程では、型枠83を第1溶融樹脂シート11に向けて移動させて第1溶融樹脂シート11のシート面に当接させる(
図7(a)参照)。そして、型枠83と第1金型81とを相対的に近づけるとともに、第1溶融樹脂シート11、キャビティ81a、及び型枠83とで形成される空間内を減圧して、第1溶融樹脂シート11をキャビティ81aに賦形させる(
図7(b)参照)。
【0030】
第1金型81と対向する第2金型82側も同様に、型枠84を第2溶融樹脂シート12に向けて移動させて第2溶融樹脂シート12のシート面に当接させる(
図7(a)参照)。そして、型枠84と第2金型82とを相対的に近づけるとともに、第2溶融樹脂シート12、キャビティ82a、及び型枠83とで形成される空間内を減圧して、第2溶融樹脂シート12をキャビティ82aに賦形させる(
図7(b)参照)。
【0031】
芯材の移動工程では、材料供給工程から賦形工程の間に、支持アーム4により支持した芯材2を、第1溶融樹脂シート11及び第2溶融樹脂シート12を賦形させた第1金型81及び第2金型82間に配置させる(
図8(a)参照)。芯材2は、支持体44の各支持面443側から受ける負圧によって支持される。そして、一方の金型である第1金型81のキャビティ81aに、支持アーム4を移動させて芯材2を挿入する(
図8(a)の2点鎖線参照)。
【0032】
具体的な動作例として、支持アーム4は、支持梁41の基端側から先端側(
図9の上方から下方)に移動して第1金型81及び第2金型82の間に移動し、その後、キャビティ81aに賦形された第1溶融樹脂シート11のシート面に対して略垂直方向に移動する。このとき、支持アーム4に支持された芯材2の第1溶融樹脂シート11との対向面21は、第1溶融樹脂シート11或いはキャビティ81aに対して傾いている場合であっても、被支持部材である芯材2は、弾発部材5による支持体44の可動範囲で補正され、第1溶融樹脂シート11と芯材2の対向面21を確実に面当接させることができる。
【0033】
第1溶融樹脂シートと当接した芯材2の対向面21は、温度の高い状態の第1溶融樹脂シート11と接触する部分が溶けて、芯材2と第1溶融樹脂シート11とが溶着して接続される。本実施形態では、支持梁41の先端側(自由端側)に設けられた支持体44A,44B(第1支持体)の支持梁41及び基板部材42に対する弾発力を、支持梁41の基端側に設けられた支持体44C,44D(第2支持体)の支持梁41及び基板部材42に対する弾発力よりも、強く設定される。これにより、支持梁41が撓んだ場合であっても、支持梁41の先端側における芯材2の押圧力が相対的に弱くなることを防止し、芯材2の溶着不良を低減することができる。
【0034】
芯材2を第1溶融樹脂シート11に溶着させた後、各支持体44の負圧は減圧され、支持アーム4は芯材2の支持を解除する。そして、芯材2の移動を終えた支持アーム4は、第1金型81及び第2金型82の間から退避移動する。
【0035】
型締工程では、第1溶融樹脂シート11を第1金型81のキャビティ81a内に賦形した状態で芯材2が挿入された第1金型81と、第2金型82とを相対的に接近させて、環状のピンチオフ部81b,82b同士が当接するまで型締めする(
図8(b)参照)。第1溶融樹脂シート11と第2溶融樹脂シート12は、芯材2を挟み込むようにして外周縁のピンチオフ部81b,82bに沿って互いに溶着されて表皮材3として形成される。芯材2と、第2溶融樹脂シート12とが接する部分は、芯材2が溶けて溶着される。これにより、芯材2が第1溶融樹脂シート11及び第2溶融樹脂シート12により覆われたサンドイッチ部材1が形成される。
【0036】
そして、取出工程にて、第1金型81及び第2金型82を型開きさせて、第1金型81及び第2金型82内から成形されたサンドイッチ部材1が取り出される。
【0037】
なお、本実施形態では、支持体44が支持梁41に対して弾発部材5により弾発可能に支持される構成について説明したが、弾発部材5の代わりに支持体44を支持梁41に対してスライド等により移動可能に支持するその他の移動部材を備えてもよい。移動部材は、支持体44が基板部材42側へ押圧されると支持体44を基板部材42に対して近接する方向に相対的に移動させ、支持体44の基板部材42側への押圧力が解除又は低減されると支持体44を基板部材42側から離間する方向へ移動させることができる。移動部材は、支持体44を支持梁41側から離間する方向に弾発付勢する構成に限らず、押圧力が所定以上高い支持体44A~44Dの一部又は全部を、能動的又は受動的に支持梁41側へ移動させる構成とすることができる。各支持体44A~44Dの移動量は押圧力のバランスに応じて設定され、移動部材による支持体44A~44Dの可動範囲で芯材2の姿勢を補正することができる。この場合においても、支持梁41の先端側の支持体44の芯材2側への押圧力(抗力)は、支持梁41の基端側の支持体44の芯材2側への押圧力(抗力)よりも強く設定することができる。
【0038】
また、支持梁41の先端側(自由端側)に設けられた支持体44A,44B(第1支持体)を支持梁41に対して固定して移動しない構成とし、支持梁41の基端側に設けられた支持体44C,44D(第2支持体)を支持梁41に対して移動可能に構成してもよい。
【0039】
以上、本実施形態では、支持梁41の先端側において、被支持体を支持する支持体44A,44B(第1支持体)と、支持梁41の基端側において支持梁41に対して移動可能に設けられ、被支持体を支持する支持体44C,44D(第2支持体)と、を含む支持アーム4及び被支持体の支持方法について説明した。これにより、溶融樹脂シートから受ける抗力の強い被支持体の部位については対応する支持体44が溶融樹脂シート側から離間する方向に柔軟に移動し、一方で抗力が比較的弱い被支持体の部位については対応する支持体44が移動しない又は移動量が小さいため、溶融樹脂シートと被支持体との面圧が均一に近づくように補正される。従って、被支持体と溶融樹脂シートとの溶着性が向上し、被支持部材を安定して供給することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は各実施形態により限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態では、支持体44を支持梁41の延設方向及び該延設方向に対して垂直な方向に2行2列に配置したが、支持梁41の延設方向にのみ複数配置してもよい。または、支持体44は、支持梁41の延設方向に3カ所以上配置してもよいし、該延設方向に対して垂直な方向に3カ所以上配置してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 サンドイッチ部材 2 芯材
3 表皮材 4 支持アーム
5 弾発部材 11 第1溶融樹脂シート
12 第2溶融樹脂シート 21 対向面
41 支持梁 42 基板部材
42A 基板部材 42B 基板部材
43 枠部材 44 支持体
44A~44D 支持体 51 シャフトホルダ
52 軸部材 53 ガイドブッシュ
54 コイルばね 55 螺子部材
56 ワッシャー 57 ワッシャー
58 螺子部材 59 ワッシャー
60 樹脂成形装置 61 樹脂供給装置
61A 第1樹脂供給装置 61B 第2樹脂供給装置
65 ホッパー 66 押出機
68 油圧モータ 70 アキュムレータ
71 Tダイ 72 プランジャ
79 ローラ 80 金型
81 第1金型 81a キャビティ
81b ピンチオフ部 82 第2金型
82a キャビティ 82b ピンチオフ部
83 型枠 84 型枠
421 開口部 441 開口部
442 吸着部 443 支持面
511 筒状部 511a 開口部
511b 端部 512 フランジ部
521 雌螺子部 522 雌螺子部
531 フランジ部 532 筒状部
532a 端部 533 軸受部
533a ボールベアリング