(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】キャッピング装置
(51)【国際特許分類】
B65B 59/02 20060101AFI20240529BHJP
B67B 3/20 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B65B59/02
B67B3/20
(21)【出願番号】P 2020082861
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】西出 泰土
(72)【発明者】
【氏名】辻田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】桝本 悟志
(72)【発明者】
【氏名】加森 慎也
(72)【発明者】
【氏名】東崎 隆司
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19727942(DE,A1)
【文献】特開昭55-163125(JP,A)
【文献】特開2007-106478(JP,A)
【文献】特開2010-247868(JP,A)
【文献】特開2015-085964(JP,A)
【文献】特開平02-152632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0006550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/00
B67B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の内容物が充填された容器を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される容器と同期して移動するとともに、当該容器の上方でキャップを保持するキャッピングヘッドとを備えたキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドは、キャップの内側が下方側の容器と対向した状態でキャップを保持して移動するようになっており、
上記搬送手段による容器の移動軌跡上であって、上記キャッピングヘッドによるキャップの装着位置よりも上流側に、上記キャッピングヘッドに保持されたキャップ
の下方から当該キャップの内側に洗浄液を噴射するキャップ洗浄ノズルを備え、
上記キャップ洗浄ノズルが上記キャップの内側に洗浄液を噴射してから、上記キャッピングヘッドが容器にキャップを装着することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
上記キャップ洗浄ノズルと上記搬送手段によって搬送される容器との間に、仕切り板を設けたことを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項3】
上記搬送手段は、容器の首部を把持するグリッパを複数備えた回転体を有し、
上記キャップ洗浄
ノズルを、上記回転体のグリッパに対して上記容器が供給される受渡し位置か、当該受渡し位置よりも
上記キャッピングヘッドの移動軌跡の上流側もしくは下流側に隣接した位置に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のキャッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャッピング装置に関し、詳しくは内容物が充填された容器を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される容器と同期して移動するとともに、当該容器の上方でキャップを保持するキャッピングヘッドとを備えたキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルなどの容器に液状の内容物を充填する飲料充填ラインには、上記内容物の充填された容器にキャップを装着するキャッピング装置が設けられている。
このようなキャッピング装置としては、上記容器を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される容器と同期して移動するとともに、当該容器の上方でキャップを保持するキャッピングヘッドとを備えたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるキャッピング装置において、大量の容器を短時間で処理するためには、容器を高速で搬送しなければならないが、容器を搬送中、振動によって容器に充填された内容物が液跳ねしてしまい、キャップの内側や容器の首部の外側に付着してしまう恐れがある。
キャップの内側や首部の外側に内容物が付着したまま、キャップを容器に装着してしまうと、キャップの内側と容器の首部の外側との間に内容物が残留してしまい、この残留した内容物によってキャップの開栓が困難になったり、内容物が空気に触れて品質の低下を招くといった問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は搬送中の液跳ねによってキャップの内側や容器の首部の外側に付着してしまった内容物を可及的に除去することが可能なキャッピング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるキャッピング装置は、液状の内容物が充填された容器を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される容器と同期して移動するとともに、当該容器の上方でキャップを保持するキャッピングヘッドとを備えたキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドは、キャップの内側が下方側の容器と対向した状態でキャップを保持して移動するようになっており、
上記搬送手段による容器の移動軌跡上であって、上記キャッピングヘッドによるキャップの装着位置よりも上流側に、上記キャッピングヘッドに保持されたキャップの下方から当該キャップの内側に洗浄液を噴射するキャップ洗浄ノズルを備え、
上記キャップ洗浄ノズルが上記キャップの内側に洗浄液を噴射してから、上記キャッピングヘッドが容器にキャップを装着することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記キャップ洗浄ノズルよりキャップの内側に下方から洗浄液を噴射することで、容器で液跳ねした内容物がキャップの内側に付着しても、当該内容物をキャップから除去することができ、また内容物が容器の首部に付着しても、キャップに付着した洗浄液が当該内容物を希釈するため、上述したような問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】中間ホイールとキャッピング装置との受渡し位置近傍の側面図
【
図3】中間ホイールとキャッピング装置との受渡し位置近傍の拡大平面図
【
図4】受渡し位置や首部洗浄区間におけるキャップと容器との位置関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、
図1は飲料充填ライン1の平面図を示し、上流側から順に、容器2に液状の内容物を充填する充填装置3と、容器2を受け渡すための供給手段としての中間ホイール4と、容器2にキャップ5を装着するキャッピング装置6と、キャップ5の装着された容器2を排出する排出ホイール7および排出コンベヤ8とを備えている。
このうち上記充填装置3、中間ホイール4、キャッピング装置6、排出ホイール7は、搬送手段として、それぞれ外周に容器2を保持するグリッパGが等間隔に設けられた回転体Rによって容器2の搬送を行っており、隣接する回転体Rと回転体Rとが隣接する受渡し位置Pにおいて、容器2の受け渡しを行うようになっている。
図2に示すように、上記容器2は、飲料が充填される本体部2aと、当該本体部2aの上部に設けられた首部2bとを備え、上記首部2bの外側には、図示しないらせん状のねじ部が形成され、このねじ部の形成された首部2bに、内側にねじ部が形成された上記キャップ5が螺着されるようになっている。
また、上記首部2bの下端部には外周に向けて突出する2つのフランジ部2cが形成されており、上記容器2を搬送する際には、上記回転体Rに設けられた上記グリッパGが上記2枚のフランジ部2cのうちいずれか一方のフランジ部2cの下方を把持するようになっている。
【0009】
上記充填装置3については従来公知であるため、詳細な説明については省略するが、外周にグリッパGが設けられた回転体Rと、各グリッパGの上方に設けられて上記容器2に内容物を充填する充填ノズルとを備えている。
上記充填装置3の回転体RのグリッパGに把持された容器2は、上記充填ノズルによって内容物が充填されると、上記中間ホイール4との受渡し位置Pにおいて、当該容器2を中間ホイール4の第1グリッパG1へと受け渡すようになっている。
【0010】
図3は、上記中間ホイール4と上記キャッピング装置6とにおける上記受渡し位置Pの拡大平面図を示し、
図2はこの受渡し位置Pおよびその近傍を説明する側面図となっている。
図2において、上記中間ホイール4は図示左方に位置し、上記キャッピング装置6は図示右方に位置している。
図3において、中間ホイール4を構成する第1回転体R1は反時計回りに回転し、上記キャッピング装置6を構成する第2回転体R2は時計回りに回転するようになっている。そして上記第1回転体R1と第2回転体R2とが最も接近した位置が上記受渡し位置Pとなっている。
まず、上記中間ホイール4は、図示しない駆動手段によって回転する上記第1回転体R1と、当該第1回転体R1の外周に等間隔に設けられた第1グリッパG1と、当該第1グリッパG1を開閉させる図示しない開閉機構とを備えている。
上記第1グリッパG1は、2つの開閉可能な把持部材を備え、上記開閉機構は上記受渡し位置Pに合わせて上記把持部材を開閉させる機構を有している。この開閉機構としては例えばカムおよびカムフォロアを用いた従来公知の手段を用いることが可能であり、詳細な説明については省略するものとする。
そして上記第1グリッパG1は、閉鎖状態のときに上記容器2の首部2bを把持するようになっており、本実施例では上方のフランジ部2cの下部を把持するようになっている。
上記中間ホイール4は、上記受渡し位置Pに到達するまでは閉鎖状態を維持して容器2を把持しており、上記受渡し位置Pにおいてキャッピング装置6を構成する第2回転体R2の第2グリッパG2に容器2が把持されると、その後徐々に開放状態となって容器2を離脱させるようになっている。
【0011】
上記キャッピング装置6は、上記中間ホイール4の第1回転体R1と同期して回転する第2回転体R2と、当該第2回転体R2の外周に等間隔に設けられた第2グリッパG2と、各第2グリッパG2の上方に設けられたキャッピングヘッド11と、当該キャッピングヘッド11を昇降させる昇降手段12とを備えている。
また本実施例のキャッピング装置6は、上記キャッピングヘッド11に保持されたキャップ5に洗浄液を噴射するキャップ洗浄手段13と、上記第2グリッパG2によって保持された容器2の首部2bに洗浄液を噴射する首部洗浄手段14とを備えている。
本実施例のキャッピング装置6では、後に詳述する理由によって搬送中の容器2から内容物が液跳ねし、首部2bの外側に付着したり、キャッピングヘッド11に保持されたキャップ5に付着する恐れがあることから、上記キャップ洗浄手段13や首部洗浄手段14によって、この内容物を除去するものとなっている。
【0012】
上記第2回転体R2は上記中間ホイール4の第1回転体R1と同期して回転するように設けられ、また第2回転体R2に設けられた第2グリッパG2は、容器2の首部2bを把持する2つの把持部材と、当該把持部材が閉鎖状態を維持するように付勢するばね等の付勢手段とを備えている。
上記第2グリッパG2は上記容器2の首部2bにおける下方のフランジ部2cの下方を把持するようになっており、上記受渡し位置Pで上記中間ホイール4から容器2を受け取る際には、上記第1グリッパG1が保持した容器2を第2グリッパG2の把持部材と把持部材との間に挿入するようになっている。
すると、第2グリッパG2の把持部材が付勢手段の付勢力に抗して強制的に開放状態となり、その後付勢手段が把持部材を閉鎖させることにより、容器2が把持されて受渡しが完了するようになっている。
【0013】
上記キャッピングヘッド11は、上記第2回転体R2の上部に設けられた図示しない回転体の外周部に等間隔に設けられており、上記第2グリッパG2に保持された容器2の上方で当該容器2と同期して移動するようになっている。
上記キャッピングヘッド11は、上記昇降手段12によって昇降可能に設けられた外筒21と、上記回転体に固定されたサーボモータ22と、上記外筒21の下方に設けられて上記キャップ5を保持するチャック23とを備えている。
上記外筒21は上記回転体Rに対して上下動可能に設けられた筒状の部材となっており、また外筒21の内部には図示しない軸受け等を介して内筒24が回転可能に設けられている。
上記内筒24の上部には上記サーボモータ22の駆動軸22aが摺動可能に挿入され、また内筒24の下部には上記チャック23に設けたスピンドル23aが摺動可能に挿入されている。
そして、上記内筒24の内周面には軸方向にスプラインが形成され、上記サーボモータ22の駆動軸22aおよび上記チャック23のスピンドル23aの外周面にはこれに嵌合するスプラインが形成されている。
このような構成により、サーボモータ22に対して上記外筒21およびチャック23が上下動可能となり、またサーボモータ22の駆動力を内筒24を介してチャック23へと伝達することが可能となっている。
【0014】
上記チャック23はその下方でキャップ5を保持可能な構成を有しており、上部に設けられたスピンドル23aには、上記外筒21の下端部を覆うようにキャップ25が固定されている。
そして上記キャップ25の内部には、上記外筒21の下端部との間にバネ26が弾装されており、これにより上記チャック23は上記外筒21に対して常時下方に向けて付勢されるようになっている。
このような構成により、キャッピングヘッド11を下降させてキャップ5を容器2の首部2bに上方から当接させると、上記バネ26の付勢力によりキャップ5が首部2bに押し付けられ、またキャップ5と首部2bとに形成されたねじ部が螺合するまでの間、外筒21に対するチャック23の上下動が許容されるようになっている。
なお、上記キャッピングヘッド11は従来公知であり、本実施例に記載した構成の他、従来公知の構成を採用することが可能である。例えば、上記チャック23を駆動する駆動手段として、上述したサーボモータ22以外のモータを使用することが可能である。
【0015】
上記昇降手段12は、上記キャッピングヘッド11の外筒21に設けられたカムフォロア27と、上記第2回転体R2を囲繞するように設けられたカム28とによって構成され、上記カムフォロア27がカム28に従って上下動することにより、キャッピングヘッド11を昇降させるようになっている。
図4は
図3に示す中間ホイール4とキャッピング装置6との受渡し位置P近傍におけるカム曲線と、キャッピングヘッド11に保持されたキャップ5と容器2との位置関係とを示したものとなっている。
図4に示すように、受渡し位置Pでは、キャッピングヘッド11が容器2の上方に設定された上昇位置でキャップ5を保持しており、その後、後述する首部洗浄区間Bの下流端となる位置まではキャップ5を上昇位置に保持するようになっている。
そして、キャッピングヘッド11が上記首部洗浄区間Bを通過すると、カム28に沿ってキャッピングヘッド11が上昇位置から下降位置へと下降し、キャップ5が所要の装着位置において容器2の首部2bに装着されるようになっている。
【0016】
上記キャップ洗浄手段13は、キャッピング装置6の第2回転体R2の外側に隣接して設けられたキャップ洗浄ノズル31と、上記キャップ洗浄ノズル31の下方に設けられた仕切り板32とから構成されている。
上記キャップ洗浄ノズル31は、
図3に示すように上記中間ホイール4とキャッピング装置6との受渡し位置Pよりも下流側に隣接したキャップ洗浄位置Aに設けられ、清浄水などからなる洗浄液を供給する図示しない洗浄液供給手段に接続されている。
また
図2に示すように、キャップ洗浄ノズル31は先端が上方を向くように湾曲しており、洗浄液が上記キャッピングヘッド11のチャック23に保持されたキャップ5の下方から、当該キャップ5の内側に向けて噴射されるようになっている。
そして、上記キャップ洗浄ノズル31からは常時洗浄液を噴射するようにしてもよく、もしくは上記キャップ洗浄位置Aを上記キャップ5が通過するときだけ洗浄液を噴射するようにしてもよい。
【0017】
上記仕切り板32は、
図2に示すように上記キャップ洗浄ノズル31と上記第2グリッパG2によって搬送される容器2の間に設けられており、また仕切り板32は断面山形に形成され、その傾斜面の向きが容器2の移動軌跡に対して交差する方向に設けられている。
また
図3に示すように、仕切り板32は上記第2グリッパG2によって搬送される容器2の移動軌跡に沿って設けられており、上記受渡し位置Pから後述する首部洗浄手段14の首部洗浄区間Bにかけて設けられている。
なお、上記仕切り板32としては、例えば第2回転体R2の内周側から外周側に向けて斜め下方に向けて形成した一つの傾斜面によって構成されたものであってもよく、仕切り板32に落下した洗浄液が容器2にかからず、また洗浄液を排水できる構成であれば形状を問わない。
【0018】
上記首部洗浄手段14は、キャッピング装置6の第2回転体R2によって搬送される容器2の移動軌跡に沿って設けられた複数の首部洗浄ノズル33と、上記首部洗浄ノズル33の上方に設けられた上記仕切り板32とから構成されている。
図2に示すように、上記首部洗浄ノズル33は搬送される容器2を挟んで内周側および外周側に設けられており、また首部2bに対して斜め上方から洗浄液を噴射するようになっている。
また首部洗浄ノズル33も清浄水などからなる洗浄液を噴射するようになっており、本実施例では上記キャップ洗浄手段13のキャップ洗浄ノズル31に洗浄液を供給する洗浄液供給手段に接続されている。
さらに
図3に示すように、上記首部洗浄ノズル33は上記キャップ洗浄手段13よりも下流側に隣接した位置に複数本設けられており、この複数の首部洗浄ノズル33が容器2に対して洗浄液を噴射する区間を首部洗浄区間Bとする。
また上記首部洗浄ノズル33の向きは、搬送されて通過する容器2の首部2bの全周に洗浄液が噴射されるよう、様々な方向を向くように配置されている。
【0019】
本実施例において、上記首部洗浄手段14の仕切り板32は、上記キャップ洗浄手段13の仕切り板32と一体に形成され、仕切り板32は上記受渡し位置Pから連続して設けられており、仕切り板32の下流側の端部は、上記首部洗浄区間Bの下流側端部に合わせて設けられている。
上述したように、上記仕切り板32は断面山形に形成され、その傾斜面の傾斜方向が容器の移動軌跡と交差するようになっていることから、首部洗浄ノズル33より噴射されて容器2の首部2bで跳ねた洗浄液は、仕切り板32の下面に付着した後、傾斜面を伝って内周側もしくは外周側に流れるため、洗浄液が容器2の内部に入り込むことが可及的に防止されるようになっている。
そして、このように仕切り板32を首部洗浄区間Bに渡って設けたことに伴い、
図4に示すように、上記キャッピングヘッド11を昇降させる昇降手段12は、上記仕切り板32の下流側の端部、すなわち上記首部洗浄区間Bの下流端となる位置から、キャッピングヘッド11を上昇位置から下降位置へと下降させるように設けられている。
【0020】
以下、上記構成を有する飲料充填ライン1における液体の充填からキャッピングまでの動作について説明する。ここでは主に内容物の充填が終了した容器2を上記中間ホイール4からキャッピング装置6に受け渡す際の動作について説明する。
ここで、本実施例の飲料充填ライン1はいわゆる高速充填が可能で、例えば毎分1000本程度の容器2を処理可能となっており、上記中間ホイール4やキャッピング装置6の第1、第2回転体R1、R2は高速で回転しながら容器2の搬送を行うものとなっている。
上記中間ホイール4には、上記充填装置3によって内容部の充填された容器2が供給され、当該中間ホイール4の第1グリッパG1は容器2の首部2bを把持しながら搬送する。
このとき容器2には、第1回転体R1の回転による遠心力が作用することとなり、第1グリッパG1が容器2の首部2bを把持していることから、容器2は首部2bを支点として容器2の底部が外周側に移動した傾いた状態となる。
この状態で容器2が中間ホイール4によって搬送されると、その後上記キャッピング装置6との受渡し位置Pにおいて第1グリッパG1から第2グリッパG2へと容器2が受け渡される。
この受渡し位置Pに達するまで、容器2には第1回転体R1の外周側を向いた遠心力が作用しているが、受渡し位置Pにおいて第2回転体R2に受け渡されると、その後容器2には第2回転体R2の外周側を向いた遠心力が作用することとなる。
その結果、受渡し位置Pにおいて容器2の傾きが逆方向に変化することとなり、また第1、第2回転体R1、R2が高速で回転していることから、その姿勢の変化は急激なものとなる。
【0021】
このような容器2の急激な姿勢変化があると、容器2の内部で内容物の液面が跳ねてしまい、この液跳ねした内容物が首部2bの外側に付着してしまったり、容器2の上方に飛び出してしまう場合がある。
そして飛び出した内容物がキャップ5の内側や容器2の首部2bの外側に付着してしまった場合、そのままキャップ5を容器2に装着してしまうと、当該内容物がキャップ5の内側と容器2の首部2bの外側との間に残留することとなる。
例えば上記内容物が糖分を含んでいる場合、この糖分によってキャップ5が容器2の首部2bに固着し、キャップ5の開栓が困難になったり、内容物が空気に触れて品質の低下を招くといった問題があった。
【0022】
そこで本実施例では、上記キャッピング装置6の受渡し位置Pに、上記キャップ洗浄手段13および首部洗浄手段14を設けて、上述した容器2からの液跳ねによる問題を解消するようになっている。
まず、上記中間ホイール4と上記キャッピング装置6との受渡し位置Pにおいて容器2が受け渡されると、キャッピング装置6の第2グリッパG2の上方には、上記キャッピングヘッド11がキャップ5を保持した状態で待機しており、
図4に示すように上記キャップ5が上方に保持された上昇位置に位置している。
その後容器2は上記第2グリッパG2に把持された状態で第2回転体R2に沿って移動し、これに伴ってキャッピングヘッド11に保持されたキャップ5が同期して移動することとなる。
上記受渡し位置Pの下流側に隣接した位置には、上記キャップ洗浄手段13が設けられ、上記キャップ洗浄手段13は上記キャップ洗浄ノズル31から洗浄液をキャップ5の内側に向けて噴射し、これによりキャップ5の内側を洗浄液によって濡れた状態とすることができる。
このようにキャップ5の内側を洗浄液によって濡らすことで、仮に容器2の内容物が首部2bの外側に付着してしまった場合であっても、キャップ5を容器2に装着した際に、当該内容物の濃度をキャップ5の内側に付着した洗浄液によって希釈することができる。これにより上述したような問題を可及的に防止することが可能となっている。
また、キャップ5に噴射された洗浄液はキャップ5から下方に落下するが、この洗浄液はキャップ洗浄ノズル31の下方に設けた仕切り板32に落下するため、容器2の内部に入り込むことが防止されるようになっている。
また上記仕切り板32は断面山形を有し、傾斜面の向きが容器2の移動軌跡に対して交差していることから、落下した洗浄液はこの仕切り板32によって容器2の移動軌跡の内周側および外周側へと落下するようになっている。
【0023】
このようにして容器2およびキャップ5がキャップ洗浄手段13を通過すると、その後容器2は上記首部洗浄手段14によって首部2bが洗浄液によって洗浄されるようになっている。
容器2が首部洗浄区間Bに進入すると、首部洗浄手段14を構成する複数の首部洗浄ノズル33から洗浄液が噴射され、これにより第2グリッパG2に把持された容器2の首部2bの外側が洗浄液によって洗浄されることとなる。
このとき、首部洗浄ノズル33は斜め上方から首部2bに向けて洗浄液を噴射するため、洗浄液が容器2に入り込むのが可及的に防止され、また複数の首部洗浄ノズル33は様々な角度で設けられていることから、上記首部2bの外側全体を洗浄することが可能となっている。
このように首部2bの外側を洗浄液によって洗浄することで、仮に容器2の内容物が液跳ねによって首部2bの外側に付着しても、当該洗浄液を除去することができ、当該内容物による上述したような問題を可及的に防止することが可能となっている。
また洗浄液は上記容器2の首部2bに衝突すると、当該首部2bで飛散してしまうが、このうち上方に飛散した洗浄液は上記仕切り板32によって遮られるため、当該洗浄液が上方に位置するキャップに付着することはない。
その結果、洗浄液によって首部2bに付着した内容部を除去した場合に、当該洗浄液に内容物が含まれていたとしても、当該内容物の成分がキャップ5に付着するのが防止され、上述したような問題が防止されるものとなっている。
【0024】
そして上記キャッピングヘッド11に保持されたキャップ5は、
図4に示すように、上記首部洗浄区間Bでは上記キャッピングヘッド11は上昇位置に待機しており、これによりキャップ5が上記仕切り板32に干渉しないようになっている。
そしてキャップ5が首部洗浄区間Bを通過すると、昇降手段12がキャッピングヘッド11を下降させ、上記装着位置においてキャップ5が容器2の首部2bに当接すると、当該キャップ5が首部2bに装着されるようになっている。
そしてキャップ5が装着された容器2は、その後キャッピング装置6から排出ホイール7へと受け渡され、さらに上記排出コンベヤ8を介して後工程へと排出されるようになっている。
【0025】
上記説明では、キャップ洗浄手段13によってキャップ5の内側を濡らすこと、並びに首部洗浄手段14によって容器2の首部2bの外側を洗浄する理由および効果を述べたが、その他の理由として容器2の形状変更がある。
すなわち、上記容器2の首部2bには、付着した内容物の排出性を考慮してねじ部に縦スリットが形成されていたが、コストカット等を理由にこれを省略したものが採用されるようになっている。
この縦スリットを省略したことにより、ねじ部に付着した内容物が排出されにくくなってしまい、従来に比べてキャップ5と首部2bとの間に内容物が残りやすくなっているという問題が生じていた。
本実施例の構成によれば、首部の外側のねじ部に留まった内容物についても、上記キャップ洗浄手段13がキャップ5の内側に付着させた洗浄液によって十分に希釈することが可能であり、また首部洗浄手段14によって首部2bの外側に付着した内容物を除去することが可能となっている。
【0026】
なお、上記実施例のキャッピング装置6は、上記キャップ5に洗浄液を噴射するキャップ洗浄手段13と、容器2の首部2bに洗浄液を噴射する首部洗浄手段14とを備えているが、これらのうちいずれか一方を省略することも可能である。
仮に上記キャップ洗浄手段13のみを設けた場合、上述したようにキャップ5を洗浄液によって濡らすことで、キャップ5と首部2bとの間の内容物を希釈することができ、上述したような問題を解消することができる。
またこのような構成とした場合、上記キャップ洗浄手段13のキャップ洗浄ノズル31を設けた位置にのみ上記仕切り板32を設ければよい。
またキャップ洗浄手段13については、上記キャップ洗浄ノズル31および仕切り板32を設ける位置を、上記受渡し位置Pや、当該受け渡し位置Pよりも第2回転体の回転方向上流側に設けてもよい。
【0027】
逆に、上記首部洗浄手段14のみを設けた場合、上記首部洗浄区間Bが受渡し位置Pよりも下流側に設けられており、容器2の姿勢が安定してこれ以上の内容物の液跳ねが生じないのであれば、首部洗浄手段14によって内容物を除去することが可能であり、上記問題が生じることはない。
またこのような構成とした場合、上記首部洗浄区間Bにのみ上記仕切り板32を設ければよい。
【0028】
さらに、上記実施例では容器2を複数の回転体Rを用いて搬送する構成を説明したが、例えばコンベヤ上を直線状に搬送する搬送手段であっても、容器の振動等による液跳ねの発生が考えられる場合には、上記キャップ洗浄手段13や上記首部洗浄手段14を設けることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 飲料充填ライン 2 容器
2b 首部 4 中間ホイール
5 キャップ 6 キャッピング装置
11 キャッピングヘッド 12 昇降手段
13 キャップ洗浄手段 31 キャップ洗浄ノズル
32 仕切り板 A キャップ洗浄位置