(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】もち麦含有レトルトパウチ成形食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240529BHJP
【FI】
A23L7/10 H
(21)【出願番号】P 2020181294
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】北中 進介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潔
(72)【発明者】
【氏名】長田 健二
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-060996(JP,A)
【文献】特開2016-052251(JP,A)
【文献】特開2016-165258(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136875(WO,A1)
【文献】特開平09-084535(JP,A)
【文献】そのまま使えるもち麦,はくばく[online],2014年03月01日,[検索日 2023.12.15],インターネット:<URL:https://www.hakubaku.co.jp/products/barley/206/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
もち麦粒を固形重量として10~40重量%、
グルコマンナンを0.1~3重量%、
水を50~70重量%含有し、かつ
成形物である、レトルトパウチ成形食品。
【請求項2】
前記成形物が崩壊荷重1~10kgの硬さを有する、請求項1に記載のレトルトパウチ成形食品。
【請求項3】
さらにアルカリ剤を0.01~1重量%含有する、請求項1又は2に記載のレトルトパウチ成形食品。
【請求項4】
もち麦粒、グルコマンナン及び水を50℃以下で混合し、得られる混合物をレトルトパウチに封入した後、加圧加熱する工程を特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のレトルトパウチ成形食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もち麦を主原料としたレトルトパウチ成形食品及びその製造方法に関する。より詳細には、もち麦粒を主原料とし、常温でそのまま食べられる成形されたレトルトパウチ成形食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
もち麦は、コシが強く、弾力性のある、もち性品種の大麦を指し、βグルカン等の食物繊維が豊富で注目を浴びている健康素材である。もち麦は腹持ちもよく、栄養価も高いことから、好きな時にすぐ食べられるもち麦入りおにぎり等は人気である。食物繊維摂取の観点から考えると、白米よりももち麦の含有量は高い方がよく、さらには白米と混ぜずにもち麦だけを手軽においしく食べられるものが求められる。しかしながら、炊いたもち麦には粘着性はあるものの、白米に比べて簡単にばらけてしまうため、おにぎりのように食器を使わずに手軽に摂取することは困難であった。
【0003】
一方、これまでに大麦を使ったレトルト食品は各種提案されている(特許文献1~4)。しかし、これらのレトルト食品は、食す直前に加熱調理することを前提にしたものであり、調理器具が必要で、いつでもどこでも手軽に摂取できるものではない。また、もち麦の食感に対しての言及や示唆はされておらず、もち麦をそのままおいしく食べられる要求を満たしたものではなかった。
以上のように、もち麦は栄養面で注目されている素材であるが、その特性を生かしたいつでもどこでも手軽に摂取できる食品が十分には提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5875172号公報
【文献】特許第6503168号公報
【文献】特許第6605209号公報
【文献】特許第6645827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、栄養価の高いもち麦をそのまますぐに食べられるように成形されたレトルトパウチ成形食品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、もち麦粒及び水にグルコマンナンを配合してレトルト加工することによって、一塊になって成形が可能となること、さらには、得られた成形物では、もち麦粒の軟化(粒の形状が崩れて粥状化すること)を抑制でき、もち麦粒に由来するもちもち・つぶつぶした食感を長期間維持することができることを見出して、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)もち麦粒を固形重量として10~40重量%、
グルコマンナンを0.1~3重量%、
水を50~70重量%含有し、かつ
成形物である、レトルトパウチ成形食品、
(2)前記成形物が崩壊荷重1~10kgの硬さを有する、前記(1)に記載のレトルトパウチ成形食品、
(3)さらにアルカリ剤を0.01~1重量%含有する、前記(1)又は(2)に記載のレトルトパウチ成形食品、
(4)もち麦粒、グルコマンナン及び水を50℃以下で混合し、得られる混合物をレトルトパウチに封入した後、加圧加熱する工程を特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のレトルトパウチ成形食品の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレトルトパウチ成形食品は、もち麦粒を主成分とし、さらにグルコマンナン及び水を含有する、レトルト加工により成形された食品であり、もち麦の粒に由来するもちもち・つぶつぶした食感を長期間維持し、常温でそのまま食べられる、携帯性・利便性に優れた栄養価の高い食品である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1で得られたレトルトパウチ成形食品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のレトルトパウチ成形食品について詳述する。
【0011】
本発明のレトルトパウチ成形食品は、「レトルトパウチ食品品質表示基準(消費者庁告示)」にてレトルトパウチ食品として定義される「プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したもの」を指す。
【0012】
本発明のレトルトパウチ成形食品は、前記のようにレトルト加工により成形された成形物である。本発明において「成形物」とは、具体的にはもち麦粒どうしが結着して所定の形状を有する一塊になっている状態のものを指す。
【0013】
本発明のレトルトパウチ成形食品は、(a)もち麦粒、(b)グルコマンナン、(c)水を必須成分として含有する。
【0014】
(a)もち麦粒
もち麦粒とは、イネ科の植物「大麦」(学名:Hordeum vulgare)のうち、もち性の品種の種子のことである。本発明では当該種子を精白し、粒状の状態で使用する。
【0015】
本発明で使用するもち麦粒の品種については、特に制限はないが、例えば、ダイシモチ、キラリモチ、はねうまもち、あぐりもち、ワキシーファイバー、ホワイトファイバー、くすもち二条、弥冨モチ、紫早生裸麦等が挙げられる。これらのもち麦粒は、1種類を単独で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本発明におけるもち麦粒は、乾燥したもの、水に浸漬させて膨潤させたもの、焼成したもの、水煮したもの等を使用すればよいが、乾燥したものを用いるのが好ましい。また、もち麦粒は、必要に応じて焙煎処理やα化処理に供したものでもよい。
本発明のレトルトパウチパウチ成形食品において、もち麦粒の含有量は、固形重量として10~40重量%である。好ましくは20~40重量%である。10重量%未満ではもち麦による食感が十分に得られず、40重量%を超えるともち麦が多くて硬すぎる食感となる傾向がある。
【0017】
(b)グルコマンナン
グルコマンナンは、グルコースとマンノースからなる多糖類である。コンニャクマンナンとも呼ばれ、こんにゃく芋から得られるこんにゃく粉の主成分である。
本発明のレトルトパウチ成形食品に使用するグルコマンナンの原料としては、こんにゃく粉、こんにゃく芋、こんにゃく芋抽出物等、グルコマンナンを含むものであれば特に制限はない。グルコマンナンはアルカリ性下でゲル化するため、通常はアルカリ剤を使用する必要があるが、中性でもゲル化するように改質されたグルコマンナンを使用すれば、味も良く、簡便でもあるため、好ましい。改質されたグルコマンナンは、製品としては、「ウルトラマンナン」(商品名、伊那食品工業株式会社製)等が挙げられる。「ウルトラマンナン」は、こんにゃく粒の膨潤を抑制した状態で、こんにゃく粉がアルカリ溶液とともに加熱処理されて改質された改質こんにゃく粉であって、水に分散して分散液とした後に加熱処理するとゲル化するように調製されている。
本発明のレトルトパウチパウチ成形食品において、グルコマンナンの含有量は、0.1~3重量%であり、好ましくは0.5~2重量%である。0.1重量%未満ではもちもちした食感が十分に得られず、3重量%を超えると食感や製造時の物性が好ましくなくなる傾向がある。
【0018】
(c)水
本発明のレトルトパウチ成形食品は、水を50~70重量%含有する。水の含有量について、50重量%未満では、レトルトパウチ成形食品が硬く脆い食感となり、もちもちした食感とならず、また、70重量%以上では、レトルトパウチ成形食品がつぶつぶした食感とならず、ふやけたような食感となってしまう。水の含有量は、好ましくは55~65重量%である。
水の含有量とは、添加する水の量だけでなく、もち麦及びその他任意成分由来の水も合わせた合計の水分量を指す。
前記水分量を調べる手段としては、各原料の水分量から計算する計算法や、減圧乾燥法、カールフィッシャー法、赤外線吸収法等を用いればよい。
【0019】
(d)アルカリ剤
本発明のレトルトパウチ成形食品は、更に、アルカリ剤を0.01~1重量%含有してもよい。
本発明のレトルトパウチ成形食品が前記所定量のアルカリ剤を含有すると、もち麦粒に由来するつぶつぶ・もちもちした食感の向上および風味の向上にも寄与するため、好ましい。
前記アルカリ剤としては、食品に使用でき、pHを上げるものであれば特に限定はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、卵殻カルシウム、卵殻焼成カルシウム、貝殻カルシウム、貝殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム等が挙げられる。
【0020】
(e)その他任意成分
本発明のレトルトパウチ成形食品には、(a)~(d)の他に、穀物類、豆類、種実類、イモ類、肉類、魚介類、野菜類、乳製品、植物又は動物由来のエキス類、糖質、食物繊維、油脂、食塩、スパイス、ハーブ、調味料、酸味料、香料、着色料、甘味料、増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤等の任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択して物性や風味を調整することで、前記レトルトパウチ成形食品に幅広い嗜好性を付与することができる。
なお、前記任意成分は、嗜好性や物理化学的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよく、含有量については特に限定はない。
【0021】
前記任意成分の中でも、本発明のレトルトパウチ成形食品には、油脂を0.1~5重量%含有することが好ましい。
本発明のレトルトパウチ成形食品が前記所定量の油脂を含有するとレトルトパウチからの剥がれが良くなり、また、もち麦粒に由来するつぶつぶ・もちもちした食感の向上にも寄与するため、好ましい。
前記油脂としては、食品に使用できるものであれば特に限定はないが、例えば、菜種油等の植物性油脂、ラード等の動物性油脂、加工油脂、中鎖脂肪酸油等が挙げられる。
【0022】
本発明のレトルトパウチ成形食品は、レトルトパウチに封入されて、加圧加熱されることで、成形物となっている。
前記成形物は、もち麦粒どうしが結着されて全体として一塊になっている状態であればよい。成形物の形状については、特に限定はなく、レトルトパウチの内部形状に合わせて、四面以上の立方体状、略球状、略楕円球状、略円柱状、略三角錐状、略角柱状、板状、略角柱状、棒状、略楕円球状等が挙げられる。
【0023】
なお、前記成形物でのもち麦粒どうしの結着の強さは、レトルトパウチから所定の形状を有する成形物を取り出して、手で持った場合に、前記形状が崩壊しない程度であればよい。
中でも、前記成形物が、崩壊荷重1~10kgの硬さを有することで、形状が維持されやすく、携帯性・利便性に優れるため好ましい。
崩壊荷重とは、前記成形物を金網に乗せて上方から荷重をかけた際に前記成形物が金網を通過してばらばらに割れる時の負荷荷重を指す。具体的には、後述の試験例2に記載のように、目開き19mm四方、線径1mmのステンレス製金網に乗せた前記成形物の上方から、テクスチャー・アナライザーを用い、25mm径の円柱プローブで荷重を負荷することで崩壊荷重を測定することができる。
本発明のレトルトパウチ成形食品が好適な食感を維持する観点から、前記崩壊荷重が1~10kg、好ましくは1~5kgであることが望ましい。なお、「1g」は「0.01N」(SI単位)を意味する。
また、25mm径の円柱プローブは、テクスチャー・アナライザーに設置可能なものであればよく、材質等について特に限定はない。
【0024】
本発明のレトルトパウチ成形食品の製造方法としては、もち麦粒、グルコマンナン及び水を50℃以下で混合し、得られる混合物をレトルトパウチに封入し、その後加圧加熱する方法が挙げられる。
【0025】
レトルトパウチとしては、プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器であればよく、例えば、平袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。
【0026】
もち麦粒、グルコマンナン及び水を混合する際の温度は、50℃以下であり、かつ、混合するのに支障のない温度であればよい。
前記混合物は、流動状態となっており、これを前記レトルトパウチに公知の方法で充填して封入する。
レトルトパウチの封入方法としては、レトルト食品における公知の手法で行えばよく、特に限定はない。
【0027】
前記加圧加熱方法としては、レトルトパウチ成形食品の製造で公知の方法であればよく、例えば、加圧加熱釜に入れて100℃以上の蒸気や加圧熱水により加熱する方法が挙げられる。また、加熱温度としては、例えば、110~130℃で10~60分加熱することが挙げられる。
【0028】
以上のようにして得られたレトルトパウチ成形食品は、一塊の状態でレトルトパウチから取り出して常温でそのまま食べられる、携帯性・利便性に優れた栄養価の高い食品であり、もち麦粒に由来するもちもち・つぶつぶした食感を維持した食品である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0030】
(実施例1)
表1に示す配合の通り、もち麦(株式会社はくばく製、水分値10重量%、以下同じ)、こんにゃく粉(商品名:「ウルトラマンナン」、伊那食品工業株式会社製、以下同じ)、水、菜種油、食塩を室温で混合し、100mm×130mmのサイズの平袋のレトルトパウチに65g充填し、封入した後、120℃20分間加圧加熱してレトルトパウチ成形食品を得た。なお、得られたレトルトパウチ成形食品の水の含有量は減圧乾燥法によって測定し、63重量%であった。これはもち麦中の水分値と投入した水の量から計算した計算値とも一致した。
【0031】
[試験例1]官能評価
得られたレトルトパウチ成形食品を喫食し、下記の評価基準に基づいて食感・風味に関して官能評価をした。官能評価方法としては、3名のパネリストによる合議制とした。
「食感」
良い:口の中で噛んだ際につぶつぶ感及びもちもち感があるものを「良い」とした。
なお、「つぶつぶ感」は、噛んだ際に噛み心地に違いがあり、もち麦の粒感を感じられるものとした。
「もちもち感」は、噛んだ際に心地よい弾力や粘り、凝集性のあるものとした。
悪い:つぶつぶ感又はもちもち感がないものを「悪い」とした。
また、もち麦粒がバラバラにばらけてしまうものを「結着性が悪い」、糸引きやべたつきのあるものを「べたつく」とした。
「風味」
悪い:レトルト加熱により原料由来の不快臭が生じたものを「風味が悪い」とし、それ以外は「風味が良い」とした。
得られた結果を表1に示す。
【0032】
[試験例2]結着性の評価
レトルトパウチから取り出した成形物のもち麦粒どうしの結着の度合いを測定した。具体的には、もち麦粒の数粒の塊が通過できる大きさである目開き19mm四方、線径1mmのステンレス製金網の上に、レトルトパウチから取り出して40mm×40mm×厚さ10mmに切り出した成形物片を乗せ、上方から荷重を加えて、下記に記載した条件で測定を行った。得られた結果を表1に示す。
機器:テクスチャー・アナライザー(「Texture Analyzer TA.XT.plus」、Stable Micro Systems社製)
測定プローブ:P/25P (25mm径の円柱プローブ)
測定:プローブが金網に到達するまで降下させる。
プローブスピード:1mm/s
測定温度:20℃
崩壊荷重:プローブが金網に到達するまで成形物を押し込んだ際の最大圧力(kg)
【0033】
【0034】
表1の結果より、実施例1で得られたレトルトパウチ成形食品は、栄養価の高いもち麦をそのまますぐに食べられるように成形された食品であり、レトルトパウチで包装された状態であるため、携帯性・利便性に優れたものであった。また、レトルトパウチを破ったところ、
図1に示すように、レトルトパウチ成形食品1は、平袋の内容形状に基づいた成形物となっており、もち麦粒2どうしが結着されて一塊になった状態でレトルトパウチ3から取り出すことができた。また、前記レトルトパウチ成形食品は、常温でそのまま食べることができ、喫食したところ、もち麦粒に由来するもちもち・つぶつぶした好ましい食感を有していた。
【0035】
<組成の検討>
(実施例2~7)
表1に示すように、もち麦、グルコマンナン、油脂、水分値等の組成を変えてレトルトパウチ成形食品を得た。得られたレトルトパウチ成形食品は、喫食したところ、いずれの場合も実施例1と同様に、食感及び風味が良いものであった。
【0036】
(実施例8)
油脂(菜種油)を用いない以外は、実施例1と同様にしてレトルトパウチ成形食品を得た。なお、油脂の含有量のかわりにもち麦の含有量を増加させた。
得られたレトルトパウチ成形食品は、実施例1~7と同様に食感及び風味が良いものであった。ただし、実施例1~7のレトルトパウチ成形食品は、いずれも、実施例8のものに比べ、レトルトパウチから剥がれ易く、また、喫食した場合に、つぶつぶ感が感じ易いという利点があった。
【0037】
(実施例9、10)
アルカリ剤(炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム)を用いない以外は、実施例1、5と同様にして実施例9、10のレトルトパウチ成形食品を得た。なお、アルカリ剤の含有量のかわりにもち麦の含有量を増加させた。
実施例9、10のレトルトパウチ成形食品は、実施例1~8にはやや劣るものの、食感及び風味良く、加熱もせずそのまま手軽に食べられるものとなった。
【0038】
<穀類の検討>
(比較例1~3)
実施例1のもち麦を大麦、もち米又はうるち米に置き換え、実施例1と同様にレトルトパウチ成形食品を得た。得られたレトルトパウチ成形食品は、喫食したところ、表1に示す通り、いずれも風味や食感の嗜好性に乏しいものであった。
【0039】
<多糖類の検討>
(比較例4~10)
実施例1のこんにゃく粉を抜くかもしくは他の多糖類に置き換え、実施例1と同様にレトルトパウチ成形食品を得た。得られたレトルトパウチ成形食品は、喫食したところ、表1に示す通り、いずれも食感に問題のあるものとなった。
【符号の説明】
【0040】
1 レトルトパウチ成形食品
2 もち麦粒
3 レトルトパウチ