(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240529BHJP
F25B 29/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F25B1/00 381D
F25B1/00 304P
F25B29/00 391Z
(21)【出願番号】P 2021174437
(22)【出願日】2021-10-26
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】守谷 聡乃
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 裕記
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243307(JP,A)
【文献】特開2019-032150(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056704(WO,A1)
【文献】特開2019-132347(JP,A)
【文献】実公昭55-46909(JP,Y2)
【文献】特公平06-033897(JP,B2)
【文献】特開2008-175430(JP,A)
【文献】特開2010-083223(JP,A)
【文献】特開2002-333186(JP,A)
【文献】特開2009-250479(JP,A)
【文献】特開2020-034140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F25B 1/00
F25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)、第1熱交換器(24)、及び、前記第1熱交換器に空気を供給するファン(26)を有する第1ユニット(2)と、
第2熱交換器(311)、膨張弁(32)及び第3熱交換器(312)を有する第2ユニット(3)と、
前記圧縮機、前記第1熱交換器、前記第2熱交換器、前記膨張弁及び前記第3熱交換器が環状に接続され、冷媒が循環する冷媒回路(100)と、
前記冷媒回路を制御して、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器を凝縮器として機能させ、かつ、前記第3熱交換器を蒸発器として機能させる第1運転を実行する制御部(6)と、
を備え、
前記制御部は、前記第2熱交換器の出口における前記冷媒の過冷却度が所定値以上である場合、前記ファンの回転数を下げる第1制御、及び、前記膨張弁の開度を上げる第2制御を行
い、
前記制御部は、前記ファンの回転数を所定値まで下げる前記第1制御を行った後、前記第2制御を行う、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記第1熱交換器の温度を検出する第1温度センサ(28)と、
前記膨張弁と前記第2熱交換器とを接続する配管の温度を検出する第2温度センサ(37)と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサが検出した温度に基づいて、前記第2熱交換器の出口における前記冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する、
請求項
1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第2ユニットが設置される空間の温度を検出する第3温度センサ(34)をさらに備え、
前記制御部は、前記第3温度センサが検出した温度に基づいて、前記第2熱交換器の出口における前記冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する、
請求項
1又は2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第2ユニットが設置される空間の温度を検出する第3温度センサ(34)をさらに備え、
前記制御部は、前記第1制御を行っている場合において、前記第3温度センサが検出した温度が所定値まで上昇すると、前記ファンの回転数を上げる、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第2ユニットが設置される空間の温度を検出する第3温度センサ(34)と、
前記第1ユニットが設置される空間の温度を検出する第4温度センサ(29)と、
前記第2ユニットが設置される空間の湿度を検出する湿度センサ(38)と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第2制御を行っている場合において、前記第3温度センサが検出した温度が所定値まで上昇し、かつ、前記湿度センサが検出した湿度が所定値まで下降し、かつ、前記第3温度センサが検出した温度と前記第4温度センサが検出した温度との差が所定値以下になると、前記膨張弁の開度を下げる、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記第2ユニットが設置される空間の温度を検出する第3温度センサ(34)と、
前記第1ユニットが設置される空間の温度を検出する第4温度センサ(29)と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第3温度センサ及び前記第4温度センサが検出した温度に基づいて、前記第1運転の開始時における前記膨張弁の開度を決定する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記膨張弁は、前記膨張弁の開度調整を行う第1部材(322)及び第2部材(323)を有し、
前記第2部材は、前記膨張弁を通過する前記冷媒の流量が第1範囲にある時の前記開度調整を行い、
前記第1部材は、前記膨張弁を通過する前記冷媒の流量が前記第1範囲よりも大きい時の前記開度調整を行う、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内ユニット内に設けられる2つの熱交換器の一方を凝縮器として機能させ、他方を蒸発器として機能させることで、除湿した空気を加熱する再熱除湿運転を実行する空気調和装置が知られている。
【0003】
特許文献1(特開2020-34140号公報)には、室内ユニット内の2つの熱交換器の間に設けられる電子膨張弁の開度を変更することで、再熱除湿運転を実行可能な空気調和装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再熱除湿運転の実行時に、室内ユニット内に設けられる2つの熱交換器のうち、凝縮器として機能する熱交換器における冷媒の過冷却度が大きくなり凝縮温度が過度に低くなると、除湿した空気を加熱する再熱効果が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の空気調和装置は、第1ユニットと、第2ユニットと、冷媒回路と、制御部とを備える。第1ユニットは、圧縮機、第1熱交換器、及び、第1熱交換器に空気を供給するファンを有する。第2ユニットは、第2熱交換器、膨張弁及び第3熱交換器を有する。冷媒回路では、圧縮機、第1熱交換器、第2熱交換器、膨張弁及び第3熱交換器が環状に接続され、冷媒が循環する。制御部は、冷媒回路を制御して、第1熱交換器及び第2熱交換器を凝縮器として機能させ、かつ、第3熱交換器を蒸発器として機能させる第1運転を実行する。制御部は、第2熱交換器の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上である場合、ファンの回転数を下げる第1制御、及び、膨張弁の開度を上げる第2制御を行う。
【0006】
この空気調和装置では、第3熱交換器で除湿した空気を第2熱交換器で加熱する再熱除湿運転の実行時に、第2熱交換器の出口における冷媒の過冷却度が大きくなることによる凝縮温度の過度の低下を抑制する制御が行われる。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、第2熱交換器における空気の再熱効果を向上させることができる。
【0007】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の空気調和装置であって、制御部は、ファンの回転数を所定値まで下げる第1制御を行った後、第2制御を行う。
【0008】
この空気調和装置では、再熱除湿運転の実行時に、再熱効果を向上させるために、膨張弁の開度を上げる制御より、ファンの回転数を下げる制御が優先的に行われる。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、膨張弁の開度を上げることにより冷媒回路を循環する冷媒の流量が増加することが抑制されるので、省エネルギー運転を実行できる。
【0009】
第3観点の空気調和装置は、第1観点又は第2観点の空気調和装置であって、第1温度センサと、第2温度センサと、をさらに備える。第1温度センサは、第1熱交換器の温度を検出する。第2温度センサは、膨張弁と第2熱交換器とを接続する配管の温度を検出する。制御部は、第1温度センサ及び第2温度センサが検出した温度に基づいて、第2熱交換器の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する。
【0010】
この空気調和装置では、例えば、再熱除湿運転の実行時に、冷媒の凝縮温度、及び、膨張弁前の冷媒の温度に基づいて、冷媒の過冷却度が算出される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、算出された過冷却度に基づいて、再熱効果を適切に向上させることができる。
【0011】
第4観点の空気調和装置は、第1乃至第3観点のいずれか1つの空気調和装置であって、第3温度センサをさらに備える。第3温度センサは、第2ユニットが設置される空間の温度を検出する。制御部は、第3温度センサが検出した温度に基づいて、第2熱交換器の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する。
【0012】
この空気調和装置では、例えば、再熱除湿運転の実行時に、室内の温度が所定の目標温度より低い場合に、冷媒の過冷却度が過度に大きいと判定される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、室内の温度に基づいて、再熱効果を適切に向上させることができる。
【0013】
第5観点の空気調和装置は、第1乃至第4観点のいずれか1つの空気調和装置であって、第3温度センサをさらに備える。第3温度センサは、第2ユニットが設置される空間の温度を検出する。制御部は、第1制御を行っている場合において、第3温度センサが検出した温度が所定値まで上昇すると、ファンの回転数を上げる。
【0014】
この空気調和装置では、再熱除湿運転の実行時に、室内の温度が所定の温度まで上昇した場合に、ファンの回転数を上げることで、冷媒の過冷却度が過度に低下することが抑制される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、過剰な再熱効果を抑制することができる。
【0015】
第6観点の空気調和装置は、第1乃至第5観点のいずれか1つの空気調和装置であって、第3温度センサと、第4温度センサと、湿度センサとをさらに備える。第3温度センサは、第2ユニットが設置される空間の温度を検出する。第4温度センサは、第1ユニットが設置される空間の温度を検出する。湿度センサは、第2ユニットが設置される空間の湿度を検出する。制御部は、第2制御を行っている場合において、第3温度センサが検出した温度が所定値まで上昇し、かつ、湿度センサが検出した湿度が所定値まで下降し、かつ、第3温度センサが検出した温度と第4温度センサが検出した温度との差が所定値以下になると、膨張弁の開度を下げる。
【0016】
この空気調和装置では、再熱除湿運転の実行時に、室内の温度及び湿度が所定値に達した場合に、膨張弁の開度を下げることで、冷媒の過冷却度が過度に低下することが抑制される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、過剰な再熱効果を抑制することができる。
【0017】
第7観点の空気調和装置は、第1乃至第6観点のいずれか1つの空気調和装置であって、第3温度センサと、第4温度センサとをさらに備える。第3温度センサは、第2ユニットが設置される空間の温度を検出する。第4温度センサは、第1ユニットが設置される空間の温度を検出する。制御部は、第3温度センサ及び第4温度センサが検出した温度に基づいて、第1運転の開始時における膨張弁の開度を決定する。
【0018】
この空気調和装置では、再熱除湿運転の開始時に、室温及び外気温に基づいて冷媒の過冷却度が過度に大きいか否かを判定して、膨張弁の開度が制御される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、室温及び外気温に基づいて、適切な再熱効果を実現することができる。
【0019】
第8観点の空気調和装置は、第1乃至第7観点のいずれか1つの空気調和装置であって、膨張弁は、膨張弁の開度調整を行う第1部材及び第2部材を有する。第2部材は、膨張弁を通過する冷媒の流量が第1範囲にある時の開度調整を行う。第1部材は、膨張弁を通過する冷媒の流量が第1範囲よりも大きい時の開度調整を行う。
【0020】
この空気調和装置では、二段階膨張弁を用いることで、小流量制御域において膨張弁の開度が細かく制御される。これにより、この空気調和装置は、再熱除湿運転の実行時に、再熱効果を細かく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和装置1の概略構成図である。
【
図3】変形例Bにおける、再熱除湿運転時に制御部6が実行する制御の一例のフローチャートである。
【
図4】変形例Eにおける、室内膨張弁32の概略断面図である。
【
図5】変形例Eにおける、室内膨張弁32の流量特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の一実施形態に係る空気調和装置1について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(1)全体構成
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷媒サイクルによって、対象空間である建物等の室内の空調を行う。
図1に示されるように、空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、液冷媒連絡管4と、ガス冷媒連絡管5と、制御部6と、リモコン7とを有する。液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5は、室外ユニット2と室内ユニット3とを接続する。室外ユニット2と、室内ユニット3と、液冷媒連絡管4と、ガス冷媒連絡管5とは、冷媒配管により環状に接続されて、冷媒回路100を構成する。冷媒回路100は、内部に冷媒が封入されている。制御部6は、冷媒回路100を制御して冷凍サイクルを実現することにより、暖房運転、冷房運転、及び、再熱除湿運転等の空調運転を実行する。
【0024】
(2)詳細構成
(2-1)室外ユニット
室外ユニット2は、建物の屋上、及び、建物の外壁面近傍等の室外に設置される。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁23と、室外熱交換器24と、室外膨張弁25と、室外ファン26とを有する。
図1に示されるように、室外ユニット2は、必要に応じて、室外熱交換器温度センサ28、及び、室外温度センサ29の少なくとも1つをさらに有してもよい。
【0025】
(2-1-1)圧縮機
圧縮機21は、冷媒回路100において、低圧の冷媒を吸入側21aから吸入して、高圧になるまで圧縮した後、吐出側21bから吐出する。圧縮機21の吐出側21bには、圧縮機21によって圧縮された冷媒が流れる吐出管21cが接続されている。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素がモータ22によって回転駆動される、密閉式構造の圧縮機である。モータ22の回転数は、インバータ等を介して、制御部6により制御される。
【0026】
(2-1-2)四路切換弁
四路切換弁23は、冷媒回路100において、冷媒の流れの方向を切り換える。四路切換弁23は、第1ポートP1と、第2ポートP2と、第3ポートP3と、第4ポートP4とを有する。四路切換弁23は、制御部6により、第1状態(
図1の破線で示される状態)と第2状態(
図1の実線で示される状態)との間で切り換えられる。第1状態では、第1ポートP1と第4ポートP4とが互いに連通し、かつ、第2ポートP2と第3ポートP3とが互いに連通する。第2状態では、第1ポートP1と第2ポートP2とが互いに連通し、かつ、第3ポートP3と第4ポートP4とが互いに連通する。
【0027】
第1ポートP1は、圧縮機21の吐出側21bに接続される。第2ポートP2は、室外熱交換器24のガス側24bに接続される。第3ポートP3は、圧縮機21の吸入側21aに接続される。第4ポートP4は、ガス冷媒連絡管5に接続される。吐出管21cは、圧縮機21の吐出側21bと、四路切換弁23の第1ポートP1とを接続する。
【0028】
(2-1-3)室外熱交換器
室外熱交換器24は、冷媒回路100において、室外熱交換器24内の冷媒と、室外の空気との熱交換を行う。室外熱交換器24の液側24aは、室外膨張弁25に接続されている。室外熱交換器24のガス側24bは、四路切換弁23の第2ポートP2に接続されている。
【0029】
(2-1-4)室外膨張弁
室外膨張弁25は、冷媒回路100において、冷媒を減圧する膨張機構である。室外膨張弁25は、液冷媒連絡管4と、室外熱交換器24の液側24aとの間に設けられる。室外膨張弁25は、開度調整が可能な電動膨張弁である。室外膨張弁25の開度は、制御部6により制御される。
【0030】
(2-1-5)室外ファン
室外ファン26は、気流を生成し、室外の空気を室外熱交換器24に供給する。室外ファン26によって室外の空気が室外熱交換器24を通過することにより、室外熱交換器24内の冷媒と、室外の空気との熱交換が促される。室外ファン26は、室外ファンモータ26aによって回転駆動される。室外ファン26の風量は、制御部6が室外ファンモータ26aの回転数を変えることにより制御される。
【0031】
(2-1-6)室外熱交換器温度センサ
室外熱交換器温度センサ28は、室外熱交換器24に設けられる。室外熱交換器温度センサ28は、四路切換弁23が第2状態である時の冷凍サイクルにおける、冷媒回路100内の冷媒の温度(凝縮温度)を検出する。
【0032】
(2-1-7)室外温度センサ
室外温度センサ29は、室外ユニット2のケーシング(図示省略)の空気の吸入口に設けられる。室外温度センサ29は、室外ユニット2のケーシングに流入する室外の空気の温度(室外温度)を検出する。
【0033】
(2-2)室内ユニット
室内ユニット3は、対象空間である室内に設置される。室内ユニット3は、主として、第1室内熱交換器311と、第2室内熱交換器312と、室内膨張弁32と、室内ファン33とを有する。
図1に示されるように、室内ユニット3は、必要に応じて、室内温度センサ34、膨張弁前温度センサ37、及び、室内湿度センサ38の少なくとも1つをさらに有してもよい。
【0034】
(2-2-1)第1室内熱交換器及び第2室内熱交換器
第1室内熱交換器311は、冷媒回路100において、第1室内熱交換器311内の冷媒と、室内の空気との熱交換を行う。第1室内熱交換器311の一端は、液冷媒連絡管4に接続されている。第1室内熱交換器311の他端は、第1室内配管32aを介して室内膨張弁32に接続されている。
【0035】
第2室内熱交換器312は、冷媒回路100において、第2室内熱交換器312内の冷媒と、室内の空気との熱交換を行う。第2室内熱交換器312の一端は、第2室内配管32bを介して室内膨張弁32に接続されている。第2室内熱交換器312の他端は、ガス冷媒連絡管5に接続されている。
【0036】
第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312は、室内ファン33が生成する気流の流路に配置される。室内ファン33が生成する気流の流れの方向において、第1室内熱交換器311は、第2室内熱交換器312よりも下流側に配置される。言い換えると、室内ファン33が生成する気流によって、室内の空気は、最初に第2室内熱交換器312内の冷媒と熱交換され、次に第1室内熱交換器311内の冷媒と熱交換される。
【0037】
(2-2-2)室内膨張弁
室内膨張弁32は、冷媒回路100において、冷媒を減圧する膨張機構である。室内膨張弁32は、冷媒回路100において、第1室内熱交換器311と第2室内熱交換器312との間に設けられる。室内膨張弁32は、開度調整が可能な電動膨張弁である。室内膨張弁32の開度は、制御部6により制御される。
【0038】
(2-2-3)室内ファン
室内ファン33は、気流を生成し、室内の空気を第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312に供給する。室内ファン33によって室内の空気が第2室内熱交換器312及び第1室内熱交換器311を順に通過することにより、第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312内の冷媒と、室内の空気との熱交換が促される。室内ファン33は、室内ファンモータ33aによって回転駆動される。室内ファン33の風量は、制御部6が室内ファンモータ33aの回転数を変えることにより制御される。
【0039】
(2-2-4)室内温度センサ
室内温度センサ34は、室内ユニット3のケーシング(図示省略)の空気の吸入口に設けられる。室内温度センサ34は、室内ユニット3のケーシングに流入する室内の空気の温度(室内温度)を検出する。
【0040】
(2-2-5)膨張弁前温度センサ
膨張弁前温度センサ37は、室内膨張弁32と第1室内熱交換器311とを接続する第1室内配管32aに設けられる。膨張弁前温度センサ37は、四路切換弁23が第2状態である時の冷凍サイクルにおける、室内膨張弁32に流入する直前の冷媒の温度(膨張弁前温度)を検出する。
【0041】
(2-2-6)室内湿度センサ
室内湿度センサ38は、室内ユニット3のケーシング(図示省略)の空気の吸入口に設けられる。室内湿度センサ38は、室内ユニット3のケーシングに流入する室内の空気の湿度(室内湿度)を検出する。
【0042】
(2-3)制御部
図2に示されるように、制御部6は、圧縮機21と、四路切換弁23と、室外膨張弁25と、室外ファン26と、室内膨張弁32と、室内ファン33と、リモコン7とのそれぞれと、制御信号を送受信可能に接続されている。制御部6は、必要に応じて、室外熱交換器温度センサ28と、室外温度センサ29と、室内温度センサ34と、膨張弁前温度センサ37と、室内湿度センサ38とのそれぞれから、検出信号を受信可能に接続されている。
【0043】
制御部6は、圧縮機21と、四路切換弁23と、室外膨張弁25と、室外ファン26と、室内膨張弁32と、室内ファン33とをそれぞれ運転制御することで冷媒回路100を制御する。
【0044】
制御部6は、典型的には、主として制御演算装置と記憶装置とを備えるコンピュータである。制御演算装置は、CPU又はGPU等のプロセッサである。制御演算装置は、記憶装置に記憶されている制御プログラムを読み出し、この制御プログラムに従って運転制御を行う。制御演算装置は、制御プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0045】
制御部6は、互いに制御信号を送受信可能な通信線で接続された、室外ユニット2の内部に設けられた室外制御部と、室内ユニット3の内部に設けられた室内制御部とから構成されてもよい。
【0046】
(2-4)リモコン
リモコン7は、ユーザーから、暖房運転、冷房運転、及び、再熱除湿運転のいずれかの実行指示、室内の目標温度、室内の目標湿度等を受け付け、受け付けたデータを制御信号として制御部6に送信する。制御部6は、制御信号を受信すると記憶装置に記録する。
【0047】
リモコン7は、表示部71を有する。表示部71は、実行中の空調運転モード、室内の目標温度、室内の目標湿度、室内温度、及び、室内湿度等の情報を表示する。
【0048】
(3)動作
(3-1)空調運転
制御部6が実行する空気調和装置1の空調運転である、暖房運転、冷房運転、及び、再熱除湿運転について説明する。
図1に示されるように、空気調和装置1の冷媒回路100では、圧縮機21、室外熱交換器24、室外膨張弁25、第1室内熱交換器311、室内膨張弁32、第2室内熱交換器312が環状に接続される。
【0049】
(3-1-1)暖房運転
制御部6は、暖房運転の開始についての制御信号をリモコン7から受信すると、空気調和装置1の暖房運転を開始する。暖房運転に際して、制御部6は、四路切換弁23を第1状態へ切り換える(
図1の破線で示される状態)。さらに、制御部6は、室外膨張弁25を、リモコン7から受信した目標温度に対応する開度とし、室内膨張弁32を全開、又は、全開に近い開度として、圧縮機21を運転する。これにより、室外熱交換器24が冷媒の蒸発器(吸熱器)として機能し、かつ、第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312が冷媒の凝縮器(放熱器)として機能する。
【0050】
暖房運転の間、冷媒回路100は、次のように機能する。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、第2室内熱交換器312及び第1室内熱交換器311で、室内ファン33によって供給される室内の空気と熱交換して凝縮する。これにより、室内の空気は加熱され、調和空気として室内に排出される。凝縮した冷媒は、室外膨張弁25を通過して減圧された後、室外熱交換器24で、室外ファン26によって供給される室外の空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器24を通過した冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮される。
【0051】
(3-1-2)冷房運転
制御部6は、冷房運転(第2運転)の開始についての制御信号をリモコン7から受信すると、空気調和装置1の冷房運転を開始する。冷房運転に際して、制御部6は、四路切換弁23を第2状態へ切り換える(
図1の実線で示される状態)。さらに、制御部6は、室外膨張弁25を、リモコン7から受信した目標温度に対応する開度とし、室内膨張弁32を全開、又は、全開に近い開度として、圧縮機21を運転する。これにより、室外熱交換器24が冷媒の凝縮器(放熱器)として機能し、かつ、第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312が冷媒の蒸発器(吸熱器)として機能する。
【0052】
冷房運転の間、冷媒回路100は、次のように機能する。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、室外熱交換器24で、室外ファン26によって供給される室外の空気と熱交換して凝縮する。凝縮した冷媒は、室外膨張弁25を通過して減圧された後、第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312で、室内ファン33によって供給される室内の空気と熱交換して蒸発する。これにより、室内の空気は冷却され、調和空気として室内に排出される。第1室内熱交換器311及び第2室内熱交換器312を通過した冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮される。
【0053】
(3-1-3)再熱除湿運転
制御部6は、再熱除湿運転(第1運転)の開始についての制御信号をリモコン7から受信すると、空気調和装置1の再熱除湿運転を開始する。再熱除湿運転とは、第2室内熱交換器312で室内の空気の除湿を行い、除湿した空気を第1室内熱交換器311で加熱する空調運転である。再熱除湿運転に際して、制御部6は、四路切換弁23を第2状態へ切り換える(
図1の実線で示される状態)。さらに、制御部6は、室外膨張弁25を全開、又は、全開に近い開度とし、室内膨張弁32を、リモコン7から受信した目標湿度に基づく除湿負荷に対応する開度として、圧縮機21を運転する。これにより、室外熱交換器24及び第1室内熱交換器311が冷媒の凝縮器(放熱器)として機能し、かつ、第2室内熱交換器312が冷媒の蒸発器(吸熱器)として機能する。
【0054】
再熱除湿運転の間、冷媒回路100は、次のように機能する。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、室外熱交換器24で、室外ファン26によって供給される室外の空気と熱交換して凝縮する。室外熱交換器24で凝縮した冷媒は、室外膨張弁25を通過した後、第1室内熱交換器311でも、室内ファン33によって供給される室内の空気と熱交換して凝縮する。第1室内熱交換器311で凝縮した冷媒は、室内膨張弁32を通過して減圧された後、第2室内熱交換器312で、室内ファン33によって供給される室内の空気と熱交換して蒸発する。これにより、室内の空気は、第2室内熱交換器312で除湿された後、第1室内熱交換器311で加熱され、除湿されながらも温度低下の抑制された空気が調和空気として室内に排出される。第2室内熱交換器312を通過した冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮される。
【0055】
(3-2)再熱除湿運転時の第1制御及び第2制御
制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になると、室外ファン26の回転数を下げる第1制御、及び、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行う。
【0056】
制御部6が第1制御を行って室外ファン26の回転数が低下すると、室外ファン26によって室外熱交換器24に供給される空気の流量が低下する。これにより、室外熱交換器24内において空気と熱交換される冷媒の温度が上昇して、冷媒回路100を循環する冷媒の凝縮温度が上昇する。そのため、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になって冷媒の凝縮温度が過度に低下した場合に、室外ファン26の回転数を低下させる第1制御を行うことで、冷媒の凝縮温度の低下を抑制することができる。
【0057】
制御部6が第2制御を行って室内膨張弁32の開度が上がると、冷媒回路100の冷媒循環量が増加して、第1室内熱交換器311に流入する冷媒量が増加する。これにより、冷媒の過冷却度が低下して、冷媒回路100を循環する冷媒の凝縮温度が上昇する。そのため、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になって冷媒の凝縮温度が過度に低下した場合に、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行うことで、冷媒の凝縮温度の過度の低下を抑制することができる。
【0058】
(3-2-1)第1制御及び第2制御の開始条件
制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったと判定した場合に、第1制御及び第2制御を開始する。具体的には、制御部6は、室内温度センサ34が検出した室内温度を取得して、室内温度が所定温度よりも低い場合、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったと判定して、第1制御及び第2制御を開始する。
【0059】
(3-2-2)第1制御の終了条件
制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室外ファン26の回転数を下げる第1制御を行っている場合、第1条件が満たされると第1制御を終了する。第1条件は、室内温度が所定の範囲内になることで満たされる。制御部6は、第1条件が満たされるまで、第1制御を定期的に行う。
【0060】
具体的には、制御部6は、第1制御を行っている間、室内温度センサ34が検出した室内温度を定期的に取得して、室内温度が所定値まで上昇したと判定すると、室外ファン26の回転数を下げる第1制御を終了する。
【0061】
制御部6は、第1制御を終了した後、室外ファン26の回転数を上げる制御を行う。室外ファン26の回転数が上がると、室外ファン26によって室外熱交換器24に供給される空気の流量が上昇する。これにより、室外熱交換器24内において空気と熱交換される冷媒の温度が下降して、冷媒回路100を循環する冷媒の凝縮温度が下降する。そのため、制御部6は、第1制御の終了後に室外ファン26の回転数を上げる制御を行うことで、第1制御の実行による凝縮温度の上昇を停止して、凝縮温度の過度の上昇を抑制することができる。また、制御部6は、第1制御の終了後に室外ファン26の回転数を所定値まで上げた後、室外ファン26の回転数を調整することで、凝縮温度を所定の範囲内に維持することができる。
【0062】
(3-2-3)第2制御の終了条件
制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行っている場合、第2条件が満たされると第2制御を終了する。第2条件は、室内温度、室内湿度、及び、内外温度差がそれぞれ所定の範囲内になることで満たされる。内外温度差は、室内温度と室外温度との差である。制御部6は、第2条件が満たされるまで、第2制御を定期的に行う。
【0063】
具体的には、制御部6は、第2制御を行っている間、室内温度センサ34が検出した室内温度、室内湿度センサ38が検出した室内湿度、及び、室外温度センサ29が検出した室外温度を定期的に取得する。制御部6は、室内温度が所定値まで上昇し、かつ、室内湿度が所定値まで下降し、かつ、内外温度差が所定値以下になったと判定すると、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を終了する。
【0064】
制御部6は、第2制御を終了した後、室内膨張弁32の開度を下げる制御を行う。室内膨張弁32の開度が下がると、冷媒回路100の冷媒循環量が減少して、第1室内熱交換器311に流入する冷媒量が減少する。これにより、冷媒の過冷却度が増加して、冷媒回路100を循環する冷媒の凝縮温度が下降する。そのため、制御部6は、第2制御の終了後に室内膨張弁32の開度を下げる制御を行うことで、第2制御の実行による凝縮温度の上昇を停止して、凝縮温度の過度の上昇を抑制することができる。また、制御部6は、第2制御の終了後に室内膨張弁32の開度を所定値まで下げた後、室内膨張弁32の開度を調整することで、凝縮温度を所定の範囲内に維持することができる。
【0065】
(4)特徴
(4-1)
空気調和装置1では、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上である場合、室外ファン26の回転数を下げる第1制御、及び、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行う。
【0066】
再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が過剰になり冷媒の凝縮温度が低くなると、第2室内熱交換器312で除湿された空気が第1室内熱交換器311で加熱される再熱効果が低下するおそれがある。制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、冷媒の凝縮温度が過度に低下した場合に、第1制御及び第2制御を行うことで、冷媒の凝縮温度が過度に低下することを抑制する。これにより、空気調和装置1は、第1室内熱交換器311の温度の低下を抑制して、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果を向上させることができる。
【0067】
(4-2)
空気調和装置1では、制御部6は、室内温度センサ34が検出した室内温度に基づいて、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったか否かを判定して、第1制御及び第2制御を開始する。具体的には、制御部6は、室内温度が所定温度よりも低い場合に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったと判定する。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転時に、冷媒回路100に設けられる温度センサの検出値に基づいて第1制御及び第2制御を開始することで、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果を適切に向上させることができる。
【0068】
(4-3)
空気調和装置1では、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室外ファン26の回転数を下げる第1制御を行っている場合、室内温度が所定温度まで上昇すると、第1制御を終了する。その後、制御部6は、室外ファン26の回転数を上げて、冷媒の凝縮温度が過度に上昇することを抑制する。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311における空気の過剰な再熱効果を抑制することができる。
【0069】
また、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に第1制御を行っている場合、室内温度センサ34が検出した室内温度に基づいて第1制御を終了して、室外ファン26の回転数を上げる。これにより、空気調和装置1は、冷媒回路100に設けられる温度センサの検出値に基づいて、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果を適切に調整することができる。
【0070】
(4-4)
空気調和装置1では、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行っている場合、室内温度が所定値まで上昇し、かつ、室内湿度が所定値まで下降し、かつ、内外温度差が所定値以下になると、第2制御を終了する。その後、制御部6は、室内膨張弁32の開度を下げて、冷媒の凝縮温度が過度に上昇することを抑制する。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311における空気の過剰な再熱効果を抑制することができる。
【0071】
また、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に第2制御を行っている場合、室内温度センサ34が検出した室内温度、室内湿度センサ38が検出した室内湿度、及び、室外温度センサ29が検出した室外温度に基づいて第2制御を終了して、室内膨張弁32の開度を下げる。これにより、空気調和装置1は、冷媒回路100に設けられる温度センサの検出値に基づいて、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果を適切に調整することができる。
【0072】
(4-5)
空気調和装置1では、制御部6は、室外膨張弁25及び室内膨張弁32の開度調整を適切に行うことで、再熱除湿運転と冷房運転との間を容易に切り替えることができる。具体的には、制御部6は、室外膨張弁25を全開、又は、全開に近い開度とし、室内膨張弁32を所定の開度とすることで、再熱除湿運転を実行できる。また、制御部6は、室外膨張弁25を所定の開度とし、室内膨張弁32を全開、又は、全開に近い開度とすることで、冷房運転を実行できる。
【0073】
(5)変形例
(5-1)変形例A
実施形態では、制御部6は、室内温度センサ34が検出した室内温度を取得し、室内温度が所定温度よりも低い場合、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったと判定する。しかし、制御部6が、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったか否かを判定する方法は、特に限定されない。
【0074】
例えば、制御部6は、室外熱交換器温度センサ28が検出した凝縮温度と、膨張弁前温度センサ37が検出した膨張弁前温度とを取得し、凝縮温度と膨張弁前温度との差が所定値以上である場合、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になったと判定してもよい。凝縮温度と膨張弁前温度との差は、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度に相当する。
【0075】
(5-2)変形例B
実施形態では、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になると、室外ファン26の回転数を下げる第1制御、及び、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行う。しかし、制御部6は、第1制御及び第2制御の一方のみを行ってもよい。
【0076】
また、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上になり、第1制御を行って室外ファン26の回転数が所定値まで下がった後に、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行ってもよい。この場合、制御部6は、第2制御よりも第1制御を優先的に行い、室外ファン26の回転数が所定値まで低下する前に第2制御を行わない。そのため、制御部6は、第1制御を行っている間に第1制御の終了条件が満たされた場合に、第2制御を開始することなく第1制御を終了する。
【0077】
第2制御よりも第1制御を優先的に行う制御は、
図3に示されるフローチャートに沿って行われる。最初に、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。制御部6は、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上であると判定した場合、第1制御を開始する(ステップS12)。制御部6は、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上でないと判定した場合、所定時間の経過後に、再び、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0078】
制御部6は、第1制御の開始後に、室外ファン26の回転数を下げる(ステップS13)。制御部6は、室外ファン26の回転数を下げて所定時間が経過した後に、第1制御を終了するための第1条件が満たされているか否かを判定する(ステップS14)。制御部6は、第1条件が満たされていると判定した場合、第1制御を終了する(ステップS15)。この場合、制御部6は、第2制御を行わない。制御部6は、第1条件が満たされていないと判定した場合、室外ファン26の回転数が所定値まで下がったか否かを判定する(ステップS16)。制御部6は、室外ファン26の回転数が所定値まで下がっていないと判定した場合、再び室外ファン26の回転数を下げる(ステップS13)。制御部6は、室外ファン26の回転数が所定値まで下がったと判定した場合、第2制御を開始する(ステップS17)。
【0079】
制御部6は、第2制御の開始後に、室内膨張弁32の開度を上げる(ステップS18)。制御部6は、室内膨張弁32の開度を上げて所定時間が経過した後に、第2制御を終了するための第2条件が満たされているか否かを判定する(ステップS19)。制御部6は、第2条件が満たされていると判定した場合、第1制御及び第2制御を終了する(ステップS20)。制御部6は、第2条件が満たされていないと判定した場合、再び室内膨張弁32の開度を上げる(ステップS18)。
【0080】
図3に示される制御では、再熱除湿運転の実行時に、再熱効果を向上させるために、第2制御よりも第1制御が優先的に行われる。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転の実行時に、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御が行われることにより冷媒回路100を循環する冷媒の流量が増加することが抑制されるので、省エネルギー運転を実行できる。
【0081】
(5-3)変形例C
制御部6は、第1制御を終了するための第1条件が満たされるまで、室外ファン26の回転数を下げる第1制御を行う際に、室外ファン26の回転数が所定値まで低下した場合、室外ファン26の回転数をさらに下げる制御を行わなくてもよい。また、制御部6は、第1条件が満たされて第1制御を終了した後、室外ファン26の回転数を上げる制御を行う際に、室外ファン26の回転数が所定値まで上昇した場合、室外ファン26の回転数をさらに上げる制御を行わなくてもよい。言い換えると、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室外ファン26の回転数を変更する際に、変更後の回転数の下限値及び上限値を設定してもよい。
【0082】
同様に、制御部6は、第2制御を終了するための第2条件が満たされるまで、室内膨張弁32の開度を上げる第2制御を行う際に、室内膨張弁32の開度が所定値まで上昇した場合、室内膨張弁32の開度をさらに上げる制御を行わなくてもよい。また、制御部6は、第2条件が満たされて第2制御を終了した後、室内膨張弁32の開度を下げる制御を行う際に、室内膨張弁32の開度が所定値まで低下した場合、室内膨張弁32の開度をさらに下げる制御を行わなくてもよい。言い換えると、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室内膨張弁32の開度を変更する際に、変更後の開度の下限値及び上限値を設定してもよい。
【0083】
(5-4)変形例D
制御部6は、再熱除湿運転の開始時に、室内温度センサ34が検出した室内温度、及び、室外温度センサ29が検出した室外温度に基づいて、室内膨張弁32の開度調整を行ってもよい。この場合、空気調和装置1は、再熱除湿運転の開始時に、室内温度及び室外温度に基づいて、室内膨張弁32の開度制御を行う。例えば、制御部6は、室内温度が所定値以上であり、かつ、室外温度が所定値以下である場合に、室内膨張弁32の開度を所定値以上にした状態で再熱除湿運転を開始させてもよい。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転時に、冷媒回路100に設けられる温度センサの検出値に基づいて、適切な再熱効果を実現することができる。
【0084】
(5-5)変形例E
室内膨張弁32は、二段階膨張弁であってもよい。この場合、
図4に示されるように、室内膨張弁32は、主として、弁室321と、主弁体322と、副弁体323と、駆動部324とを有する。
【0085】
弁室321は、内部に主弁体322を収容する、円筒状の部材である。弁室321は、側面に流体の入口である主連通孔321aが形成され、一端に流体の出口である主弁ポート321bが形成されている。
【0086】
主弁体322は、弁室321の内部に収容され、主弁ポート321bの開度を変更する円筒状の部材である。主弁体322は、一端に流体の出口である副弁ポート322aが形成されている。主弁体322は、他端にリング状のリテーナ322bが取り付けられている。主弁体322は、側面に流体の入口である副連通孔322cが形成されている。
【0087】
副弁体323は、副弁ポート322aの開度を変更するとともに、主弁体322を持ち上げるニードル状の部材である。副弁体323の一部は、リテーナ322bの開口から主弁体322の内部に挿入されている。副弁体323は、主弁体322に挿入される側の端部にテーパ部323aが形成され、テーパ部323aとは反対側の端部が駆動部324に固定されている。副弁体323は、主弁体322に挿入された状態で、リテーナ322bよりもテーパ部323a側にある部分の側面に、鍔状の突起323bが形成されている。
【0088】
駆動部324は、主弁体322及び副弁体323を軸方向に駆動する。駆動部324は、制御部6が出力する制御信号である出力パルスにより駆動量が制御される。言い換えると、室内膨張弁32の開度は、制御部6によって制御される。室内膨張弁32に対する単位操作量は1パルスであり、制御部6が出力する駆動パルスの増加とともに室内膨張弁32の開度が増加する。
【0089】
図5に示されるグラフは、室内膨張弁32の開度(駆動パルス)と、室内膨張弁32を通過する冷媒の流量との関係である流量特性を示す。
図5に示されるように、室内膨張弁32の流量特性は、単位操作量(単位駆動パルス)に対する流量の変化が小さい小流量制御域と、単位操作量に対する流量の変化が小流量制御域より大きい大流量制御域とからなる2つの流量制御域を有する。大流量制御域における冷媒の流量は、小流量制御域における冷媒の流量よりも大きい。室内膨張弁32の開度(%)とは、室内膨張弁32を全開にするために制御部6が出力する駆動パルスに対する、駆動パルスの百分率である。空気調和装置1では、室内膨張弁32を全開にするための駆動パルスは、500パルスである。
【0090】
制御部6が出力する駆動パルスが0パルスの状態において、主弁体322は弁室321に着座して主弁ポート321bを閉じ、かつ、副弁体323は主弁体322に着座して副弁ポート322aを閉じている。この時、室内膨張弁32の開度は0%(=(0パルス/500パルス)×100)である。また、この時、主弁ポート321bにおいて、弁室321と主弁体322との間にはわずかな隙間(図示省略)が形成されている。そのため、室内膨張弁32の開度が0%であっても、室内膨張弁32を通過する冷媒の流量はゼロではなく、室内膨張弁32内には微小量の冷媒の流れが生じている。
【0091】
制御部6が駆動パルスを0パルスから増加させると、駆動部324は、副弁体323を軸方向に沿って副弁ポート322aから遠ざかるように移動させる。駆動パルスが150パルスに達するまで、主弁体322は弁室321に着座し続け、副弁体323のみが移動して副弁ポート322aの開度を変更する。副弁ポート322aが開くと、冷媒は、弁室321の主連通孔321a、主弁体322の副連通孔322c、主弁体322の副弁ポート322a、及び、弁室321の主弁ポート321bにより形成される流路を通って流出する。駆動パルスが150パルスに達した時の、室内膨張弁32の開度は30%(=(150パルス/500パルス)×100)である。駆動パルスが150パルスに達すると、副弁ポート322aは、全開の状態となる。室内膨張弁32では、駆動パルスが0パルスから150パルスに変化して、副弁体323により副弁ポート322aの開度が変更される範囲が小流量制御域となる。言い換えると、室内膨張弁32の開度が0%以上30%以下の範囲(第1範囲)が小流量制御域である。
【0092】
制御部6が駆動パルスを150パルスからさらに増加させると、副弁体323の突起323bが主弁体322のリテーナ322bに接触して、副弁体323は、主弁体322を持ち上げる。言い換えると、駆動部324が、副弁体323を軸方向に沿って主弁ポート321bから遠ざかるように移動させることで、主弁体322は、主弁ポート321bから遠ざかるように移動する。この結果、駆動パルスが150パルスを超えると、副弁ポート322aが全開の状態において、主弁体322が移動して主弁ポート321bの開度を変更する。主弁ポート321bが開くと、冷媒は、主連通孔321a、副連通孔322c、副弁ポート322a、及び主弁ポート321bにより形成される上述の流路に加えて、主連通孔321aから直接、主弁ポート321bに向かって流れる流路を通って流出する。
【0093】
制御部6は、駆動パルスを500パルスまで増加させることができる。駆動パルスが500パルスに達した時の、室内膨張弁32の開度は100%(=(500パルス/500パルス)×100)である。この時、主弁ポート321b及び副弁ポート322aは、どちらも全開の状態となる。室内膨張弁32では、駆動パルスが150パルスから500パルスに変化して、主弁体322により主弁ポート321bの開度が変更される範囲が大流量制御域となる。言い換えると、室内膨張弁32の開度が30%より大きく100%以下の範囲が大流量制御域である。
【0094】
本変形例では、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、室内膨張弁32の単位操作量に対する流量の変化が小さい小流量制御域において、副弁体323を移動させることで室内膨張弁32の開度調整を行ってもよい。これにより、制御部6は、第2室内熱交換器312へ流入する冷媒の流量を細かく調整することで、第1室内熱交換器311の出口における冷媒の過冷却度を細かく制御することができる。その結果、制御部6は、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果をきめ細かく制御することができる。これにより、空気調和装置1は、再熱除湿運転時において、室内膨張弁32の流量特性全体にわたって開度制御を行う場合と比べて、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果をより適切に向上させることができる。
【0095】
また、制御部6は、除湿能力が互いに異なる運転モードである第1モードと第2モードとを切り換えて、再熱除湿運転を実行してもよい。第1モードの除湿能力は、第2モードの除湿能力よりも低い。第1モードにおける室内膨張弁32の開度(以下、第1開度という)は、第2モードにおける室内膨張弁32の開度(以下、第2開度という)よりも小さい。具体的には、第1開度は、室内膨張弁32を通過して第2室内熱交換器312に流入した冷媒の多くが、第2室内熱交換器312内の室内膨張弁32近傍で蒸発する流量となる開度に設定される。これに対して、第2開度は、室内膨張弁32を通過して第2室内熱交換器312に流入した冷媒が、第2室内熱交換器312の全体で蒸発する流量となる開度に設定される。これにより、室内膨張弁32が第1開度にある場合と比べて、第2開度にある場合の再熱除湿運転の方が、室内膨張弁32を通過して第2室内熱交換器312に流入する冷媒の流量が多いため、第2室内熱交換器312が蒸発器として機能する領域が広くなり、高い除湿能力を発揮する。空気調和装置1では、例えば、
図5に示されるように、室内膨張弁32の第1開度は5%(=(25パルス/500パルス)×100)に設定され、室内膨張弁32の第2開度は30%(=(150パルス/500パルス)×100)に設定される。第1開度及び第2開度の値は、
図5に示される値に限定されない。
【0096】
制御部6は、第1モード又は第2モードで再熱除湿運転を開始し、再熱除湿運転の実行時に、ユーザーからの指示に基づいて第1モードと第2モードとを切り換える。具体的には、制御部6は、再熱除湿運転の実行時に、第1モードと第2モードとの間の切り換えについての制御信号をリモコン7から受信すると、受信した制御信号を制御部6に送信する。第1モードと第2モードとの間の切り換えについての制御信号を受信した制御部6は、受信した制御信号に基づいて第1モードと第2モードとの間を切り換える。制御部6は、リモコン7から再熱除湿運転以外の空調運転(例えば、冷房運転)の実行指示、又は、空気調和装置1の運転停止指示を受信すると、再熱除湿運転を終了する。
【0097】
(5-6)変形例F
制御部6が再熱除湿運転を実行している時、室内膨張弁32の開度が大きいほど、室内膨張弁32を冷媒が通過する際に生じる冷媒通過音が大きくなる。冷媒通過音が大きくなるほど、又は、室内ファン33の回転数が低いほど、室内ファン33から発生する音によって冷媒通過音がマスキングされにくくなり、ユーザーは室内ユニット3から発生する冷媒通過音を感知しやすくなる。そのため、室内膨張弁32の冷媒通過音は小さいほど好ましいので、制御部6は、再熱除湿運転時に、室内膨張弁32の開度を変更する際に、室内膨張弁32の開度に上限を設けることが好ましい。また、室内膨張弁32の開度が大きいほど、冷媒の過冷却度が低下して、第1室内熱交換器311における空気の再熱効果が過剰になるおそれがある。そのため、制御部6は、再熱除湿運転時に、室内膨張弁32の開度に上限を設けることで、過冷却度を確保しつつ、冷媒通過音を抑える制御を行うことができる。
【0098】
(5-7)変形例G
制御部6は、冷房運転又は暖房運転の実行時に、吐出管21cの温度に基づいて、室外膨張弁25の開度調整を行ってもよい。この場合、制御部6は、吐出管21cに設けられる温度センサから、吐出管21cの温度を取得する。
【0099】
(5-8)変形例H
リモコン7は、制御部6が実行している運転の種類(冷房運転、暖房運転、及び、再熱除湿運転)、及び、再熱除湿運転時に実行中の制御モード(第1制御及び第2制御)を、表示部71に表示してもよい。
【0100】
(5-9)変形例I
制御部6は、例えば、室内の湿度に基づいて、再熱除湿運転と冷房運転とを自動的に切り換えて実行してもよい。この場合、制御部6は、室内湿度センサ38から、室内の湿度を取得する。
【0101】
―むすび―
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0102】
1 :空気調和装置
2 :室外ユニット(第1ユニット)
3 :室内ユニット(第2ユニット)
6 :制御部
21 :圧縮機
24 :室外熱交換器(第1熱交換器)
26 :室外ファン(ファン)
28 :室外熱交換器温度センサ(第1温度センサ)
29 :室外温度センサ(第4温度センサ)
311 :第1室内熱交換器(第2熱交換器)
312 :第2室内熱交換器(第3熱交換器)
32 :室内膨張弁(膨張弁)
322 :主弁体(第1部材)
323 :副弁体(第2部材)
34 :室内温度センサ(第3温度センサ)
37 :膨張弁前温度センサ(第2温度センサ)
38 :室内湿度センサ(湿度センサ)
100 :冷媒回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】