(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】業務用加圧式炊飯装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20240529BHJP
A47J 36/38 20060101ALI20240529BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20240529BHJP
A47J 27/08 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A47J27/14 N
A47J27/14 E
A47J36/38
A47J27/00 103E
A47J27/08 Z
(21)【出願番号】P 2020115118
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】双和 祥二
(72)【発明者】
【氏名】西 清孝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063957(JP,A)
【文献】特開2005-334624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A47J 36/38
A47J 27/00
A47J 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に釜収納部を有する本体と、該本体に出し入れ自在であって、被調理物を入れる炊飯釜と、該炊飯釜の開口部を被覆し、炊飯時に炊飯釜内の蒸気を排出する1つ又は複数の蒸気抜け孔が設けられた釜蓋と、炊飯時に前記蒸気抜け孔の周囲に密接する排気フードとを備え、
該排気フードの内側には、予備加圧室、圧力規制管及び接続管が設けられており、
該予備加圧室は、前記蒸気抜け孔から炊飯釜の外へ排出された蒸気を一時的に滞留させるものであり、
前記圧力規制管は、最も小さい内径が前記蒸気抜け孔の開口総面積より小さい面積となるものであり、
前記接続管は、内径が前記圧力規制管の内径よりも大きくなるように形成し、
前記予備加圧室、前記圧力規制管及び前記接続管は、順に連通させて管路を構成し、該管路内に、少なくとも一つの温度検出手段が取り付けられ
、
前記圧力規制管は、前記予備加圧室と連通する開口を下向きに設け、前記接続管と連通する開口を上向きに設け、
前記温度検出手段が、前記接続管と連通する開口の直上の位置に取り付けられていることを特徴とする業務用炊飯装置。
【請求項2】
前記釜蓋は、前記排気フードが密接する押し付け面を上面に有し、該押し付け面の中心部に前記蒸気抜け孔を配置したことを特徴とする請求項1に記載の業務用炊飯装置。
【請求項3】
前記温度検出手段は、前記接続管の管内であって、前記圧力規制管との連通部分の近傍に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の業務用炊飯装置。
【請求項4】
前記予備加圧室は、前記釜蓋と連通する開口が広く、前記圧力規制管と連通する開口が狭い形状となっており、前記釜蓋と連通する開口から前記圧力規制管と連通する開口に向かってテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の業務用炊飯装置。
【請求項5】
前記温度検出手段は、検出部の形状が棒状に形成され、該検出部の長手方向が前記接続管の長手方向と平行に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の業務用炊飯装置。
【請求項6】
前記温度検出手段は、前記排気フードから着脱自在であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の業務用炊飯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯工場、学校、病院等で用いられている業務用炊飯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用の炊飯装置は、米飯の品質を一定に保つためや火力制御を行うために、釜内温度を検出している。特許文献1では、釜内温度を、釜蓋の蒸気抜け孔から排出された蒸気の温度を測定することで間接的に検出している。
【0003】
特許文献1に記載の炊飯装置は、炊飯釜から排出された蒸気を建屋外に排出するための排気ダクトを設けている。該排気ダクトは、前記蒸気を集めるために、炊飯釜の釜蓋に設けられた蒸気抜け孔の上方の排気フードと連通されている。該排気フードは設置位置と退避位置とに回動可能に設けられている。そして、前記蒸気の温度を前記排気フード内に取り付けた温度センサで測定している。
【0004】
前記炊飯装置では、前記釜蓋と前記排気フードとの間に隙間があるので、この隙間から炊飯装置の周囲の雰囲気が排気フード内に流入してくるおそれがある。前記温度センサでは、前記雰囲気が混入した前記蒸気の温度を測定することになる。
つまり、前記雰囲気の温度は、炊飯工場などの建屋内温度と見做せるから、季節又は昼・夜の温度差の影響で変化する。このため、前記温度センサは、建屋内雰囲気が混入した釜内蒸気温度を測定することになる。したがって、前記炊飯装置では、釜蓋から排出される釜内蒸気温度を正確に測定することが困難であった。
【0005】
このため、前記雰囲気の影響を受けない釜内蒸気温度の検出方法が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、業務用炊飯装置において、釜蓋から排出される釜内蒸気の温度を正確に測定可能とすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は業務用炊飯装置において、上面に釜収納部を有する本体と、該本体に出し入れ自在であって、被調理物を入れる炊飯釜と、該炊飯釜の開口部を被覆し、炊飯時に炊飯釜内の蒸気を排出する1つ又は複数の蒸気抜け孔が設けられた釜蓋と、炊飯時に前記蒸気抜け孔の周囲に密接する排気フードとを備え、該排気フードの内側には、予備加圧室、圧力規制管及び接続管が設けられており、前記予備加圧室は、前記蒸気抜け孔から炊飯釜の外へ排出された蒸気を一時的に滞留させるものであり、前記圧力規制管は、最も小さい内径が前記蒸気抜け孔の開口総面積より小さい面積となるものであり、該接続管は、内径が前記圧力規制管の内径よりも大きくなるように形成し、前記予備加圧室、前記圧力規制管及び前記接続管は、順に連通させて管路を構成し、該管路内に、少なくとも一つの温度検出手段を取り付け、
前記圧力規制管は、前記予備加圧室と連通する開口を下向きに設け、前記接続管と連通する開口を上向きに設け、前記温度検出手段を、前記接続管と連通する開口の直上の位置に取り付ける、という技術的手段を講じた。
【0009】
また、前記釜蓋は、前記排気フードを密接させる押し付け面を上面に有し、該押し付け面の中心部に前記蒸気抜け孔を配置する、という技術的手段を講じた。
【0010】
前記温度検出手段は、前記接続管の管路内であって、前記圧力規制管との連通部分の近傍に取り付ける、という技術的手段を講じた。
【0012】
前記予備加圧室は、前記釜蓋と連通する開口が広く、前記圧力規制管と連通する開口が狭い形状となっており、前記釜蓋と連通する開口から前記圧力規制管と連通する開口に向かってテーパー状に形成する、という技術的手段を講じた。
【0013】
前記温度検出手段は、検出部の形状が棒状に形成され、該検出部の長手方向を前記接続管の長手方向と平行に取り付ける、という技術的手段を講じた。
【0014】
そして、前記温度検出手段は、前記排気フードから着脱自在に取り付ける、という技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0015】
本発明の業務用炊飯装置によれば、炊飯時に炊飯釜から排出される蒸気を回収するために設ける排気フードを、前記炊飯釜の釜蓋の上面に密接させる。この際、前記釜蓋に設けられた蒸気抜け孔の周囲に密接させて取り付けてあるので、前記炊飯装置の周辺の雰囲気が前記排気フード内に流入することはない。このため、前記炊飯釜から排出された直後の釜内蒸気温度を温度検出手段により正確に測定することが可能となる。
加えて、前記圧力規制管の上側開口(前記接続管と連通する開口)の直上に前記温度検出手段を取り付けたので、前記圧力規制管を通過した直後の蒸気の温度を測定することができる。このため、前記炊飯釜内の釜内蒸気温度を正確に検出することが可能となる。
また、前記炊飯釜内の炊飯水が沸騰しているときには、前記炊飯釜内の圧力が上昇し、前記蒸気抜け孔、前記予備加圧室を通って前記圧力規制管から勢いよく蒸気が排出される。前記温度検出手段は、この勢いよく排出される蒸気に直接さらされる。このため、表面に汚れが付着しにくい。仮に付着したとしても、前記蒸気の流れに洗浄効果があるので、汚れを除去することが可能である。
【0016】
請求項2の発明によれば、前記炊飯装置の周辺の雰囲気が前記排気フード内に流入するのを防止することを目的に、前記釜蓋に前記排気フードを密接させるための押し付け面を設け、該押し付け面に前記排気フードを押し付けて密接させるので、前記蒸気が排気フードに流入することを確実に防止することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、前記温度検出手段を、前記接続管の管内であって、前記圧力規制管との連通部分の近傍に設けたので、前記圧力規制管を通過した直後の蒸気の温度を測定することができる。このため、前記炊飯釜内の釜内蒸気温度を正確に検出することが可能となる。
【0019】
請求項4の発明によれば、前記予備加圧室は、前記釜蓋と連通する開口が広く、前記圧力規制管と連通する開口が狭い形状となっており、前記釜蓋と連通する開口から前記圧力規制管とする開口に向かってテーパー状に形成されている。このため、前記蒸気抜け孔から排出された蒸気は前記圧力規制管と連通する開口に向けて滞ることなくスムーズに流れることができる。また、蒸気の流れによって汚れ等が付着しにくい構造となっている。
【0020】
請求項5の発明によれば、前記温度検出手段は、検出部の形状が棒状に形成され、該検出部の長手方向が前記接続管の長手方向と平行に前記接続管内に取り付けられている。このため、前記蒸気が前記接続管内を流れる方向とも平行となるので、前記蒸気の流れを妨げることがない。加えて、汚れが付着しにくい取り付け方となる。
【0021】
請求項6の発明によれば、前記温度検出手段は、前記排気フードから着脱自在である。交換などのメンテナンスを考慮すると、脱着自在に取り付けることは非常に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態における炊飯装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態における炊飯装置の平面図である。
【
図3】炊飯装置で使用する炊飯釜及び釜蓋の斜視図である。
【
図4】炊飯装置で使用する炊飯釜及び釜蓋の側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態における炊飯装置の概略部分断面図である。
【
図7】回動アームが待避位置に回動していることを示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態における炊飯パターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の炊飯装置1を示す斜視図であり、
図2は炊飯装置1の平面図である。
図3及び4は、炊飯装置1で用いる炊飯釜3と、該炊飯釜3の開口部を被覆するための釜蓋4を示した図である。
【0024】
炊飯装置1は、単独で一台の炊飯装置として使用することが可能である。また、例えば、特許文献1の
図1に記載されているような業務用炊飯装置における炊飯装置群を構成する複数の炊飯装置のうちの一つとして使用することも可能である。
【0025】
炊飯装置1は、炊飯釜3を加熱するための加熱手段及び炊飯釜3を収納する収納部を有する本体2から構成される。前記加熱手段は、種々のものを採用できるが、本発明では周知の表面燃焼バーナを用いており、燃焼部には、燃料ガスと空気との混合ガスを供給するためのガス供給管が接続されている(図示せず)。
なお、
図1及び2は、釜蓋4によって開口部が被覆された炊飯釜3が本体2の収納部に収納された状態を示している。
【0026】
本体2には、炊飯時に炊飯釜3と釜蓋4とを密閉させるための複数の密閉装置5が配設されている。また、本体2には、釜蓋4の蒸気抜け孔21から排出される蒸気を回収する排気フード28と、該排気フード28を昇降させるためのエアシリンダ7と、エアシリンダ7を水平方向に回動させるための回動アーム8とを備えた蒸気回収部50が設けられている。そして、前記排気フード28の内部には、蒸気を貯留するための予備加圧室6が設けられている。
【0027】
図5は、密閉装置5の斜視図である。密閉装置5は、炊飯時に炊飯釜3の開口部を釜蓋4によって密閉するために設けられている。符号9は、シリンダ取付台であって、本体2にネジ等で固定される。シリンダ取付台9の側壁10内方にはエアシリンダ11が取り付けられ、該エアシリンダ11の伸縮ロッド18の先端に支持台14が取り付けられる。そして、支持台14には、コ字状のブロック本体22がスペーサ15を挟んで取り付けられている。
なお、シリンダ取付台9には、炊飯釜3を本体に収納する際の位置決め手段となる回転自在な位置決めローラ23が設けられている。
また、エアシリンダ11は、スピードコントローラ47を有しており、エアーコンプレッサとエア配管や電磁弁を介して接続されている(図示せず)。
【0028】
コ字状のブロック本体22の前面の上下部には、炊飯釜3のフランジ25と釜蓋4のフランジ24とを挟持するための上クランプアーム12及び下クランプアーム13が形成されている。さらに、上クランプアーム12及び下クランプアーム13の先端部には、それぞれ回転自在な転動ローラ16,17が水平方向に平行に取り付けられている。また、コ字状のブロック本体22は、エアシリンダ11の伸縮ロッド18により進退自在である。符号19は、コ字状のブロック本体22の進退時における回転を防止するための回転防止杆である。
【0029】
釜蓋4のフランジ24及び炊飯釜3のフランジ25を挟持する際は、エアシリンダ11の伸縮ロッド18の伸長により、ブロック本体22が前方に進出し(
図5の矢印a)、上クランプアーム12及び下クランプアーム13の転動ローラ16,17がフランジ24及び25を挟み込んで圧接する。この圧接により炊飯釜3の立ち上がり上端部27(
図3、
図4参照)が、釜蓋4のフランジ24の内側のパッキン26に圧接して炊飯釜が密閉される構造となっている。
【0030】
本発明では、
図1や
図2に示すように4つの密閉装置5を炊飯釜4の外周に均等な間隔で配設しているが、4つに限定されるわけではなく、炊飯時の加圧条件により設置個数を増減すればよい。例えば、炊飯釜内を高圧力にする必要がある場合は密閉装置5の設置個数を増やすとよい。反対に、炊飯釜内の圧力をさほど高める必要がない場合は密閉装置5の設置個数を減らせばよい。
【0031】
本実施形態の炊飯釜3は丸釜であって、炊飯釜3と釜蓋4とはほぼ同径である。釜蓋4の中央に設けられた押し付け面20は、フラットな面(平面)を形成している。この押し付け面20には、蒸気回収部50の排気フード28が着脱自在に配設される(
図3の点線(符号E)で示す位置)。符号Eで示した点線の内側には1つ又は2個以上の貫通した蒸気抜け孔21が設けられている。
【0032】
図6は、加圧炊飯時の炊飯装置1の部分断面図であって、押し付け面20に蒸気回収部50の排気フード28がエアシリンダ7によって押し付けられている状態を示している。排気フード28の内部には、炊飯釜3内の圧力を調節するために予備加圧室6が設けられている。予備加圧室6は円柱状の排気フード28内に形成されている。排気フード28は、エアシリンダ7によって昇降する。
エアシリンダ7は、回動自在な回動アーム8に取り付けられている。エアシリンダ7はスピードコントローラ48を有しており、エアーコンプレッサとエア配管や電磁弁を介して接続されている。また、排気フード28は、伸縮ロッド29先端の支持台30に取り付けられている。
なお、符号31は回転防止杆であり、排気フード28が昇降する際に回転するのを防止するために設けられている。
【0033】
炊飯時、排気フード28はエアシリンダ7により釜蓋4の押し付け面20に押しつけられる。その際、排気フード28の底面に取り付けられている環状のOリング32は、平面状の押し付け面20に圧接される。
【0034】
炊飯時には、蒸気抜け孔21から排気フード28の予備加圧室6内に蒸気が流入し、流入した蒸気は、予備加圧室6の上方に設けられた圧力規制管33から装置外へ排出される。
ところで、圧力規制管33の開口面積は、蒸気抜け孔21の開口総面積のよりも小さくなるように設計されている。このため、炊飯時の沸騰維持工程中には予備加圧室6内に流入した蒸気の一部しか装置外へ排出されない。排出されない蒸気は予備加圧室6内に圧縮されて貯留することになる。このため、予備加圧室6内の圧力は、徐々に上昇する。それに伴って炊飯釜3内の圧力も上昇することになる。
【0035】
本発明の実施の形態では、圧力規制管33の径は3mm程度、長さが4mm程度の管状部材である。予備加圧室6は、押し付け面20と接する側(入口)の開口を圧力規制管33と連通される側(出口)の開口よりも広くなるように形成している。本実施例では、押し付け面20と接する側(入口)の開口を下方に、圧力規制管33と連通される側の開口を上方に向けて設けている。そして、下方から上方に向けてテーパー状に形成している。予備加圧室6の形状は錐体がよく、円錐体が望ましい。
【0036】
なお、蒸気抜け孔21の開口総面積とは、蒸気抜け孔が1つだけ設けられている場合は、1つの蒸気抜け孔21の面積が開口総面積となる。また、複数個の蒸気抜け孔21が設けられている場合は、複数個の蒸気抜け孔21の面積の総和が開口総面積となる。
このため、蒸気抜け孔21の径が圧力規制管33の径よりも小さい場合でも、複数個の前記蒸気抜け孔21を設けることで、前記蒸気抜け孔21の開口総面積が前記圧力規制管33の開口面積よりも大きくなる。
【0037】
符号34は、圧力規制管33の出口側と連通する接続管である。接続管34からは、排出管49により蒸気を装置外の所定箇所へ排出させる構造としている。排出管49は、排出弁35を備えてもよい
なお、接続管34の径は、スムーズに蒸気を排出させるために圧力規制管33の径よりも大きい。
また、予備加圧室6内の圧力が異常に高くなった場合に備え、安全弁(図示せず)を設けている。
【0038】
前記接続管34内には、温度検出手段51の検出部52が取り付けられる。温度検出手段51は、排気フード28の外側から検出部52を差し込んで取り付けられている。取付方法として、温度検出手段51にネジ部を設け、排気フード28の側面に設けたネジ穴にねじ込む方法、温度検出手段51を排気フード28に差し込んだ状態でネジ止めする方法などがある。メンテナンスを考慮すると、温度検出手段51は排気フード28から脱着可能とすることが好ましい。
【0039】
前記検出部52は、棒状であって、接続管34内では、検出部52の長手方向が接続管34の長手方向と平行となるように取り付けられている。また、取り付け箇所としては、圧力規制管33と接続管34とが接合する部分の近傍に取り付けるとよい。好ましくは、
図6に示すように、圧力規制管33の出口側開口の直上に位置するように取り付けるとよい。
【0040】
温度検出手段51には、検出部52で検出した温度に関する信号を制御装置60(図示せず)に送るための信号線が接続されている(図示せず)。該信号線は回動アーム8に沿わせて配線すればよい。
【0041】
温度検出手段51の取り付け位置は、接続管34内に限定されるわけでなく、予備加圧室6内や圧力規制管33内でもよい。
【0042】
本実施例では、予備加圧室6の下側の開口の径を50mm、上側の開口の径を5mm、高さを19mmとしている。前記上側の開口は、連通する圧力規制管33の径と同じにすることが好ましい。
また、蒸気抜け孔21の直径は5mm程度である。予備加圧室6の直径は、設けられている複数の蒸気抜け孔21の全てを覆える程度にする必要がある。
【0043】
圧力規制管33の径は、5mmに限定されるわけではなく、炊飯条件に合わせ、適宜試験的に求めるようにすればよい。また、圧力規制管33の長さは、短い方が好ましく、10mm以下、より望ましくは6mm以下であり、本発明の実施の形態では4mmとしている。圧力規制管33の長さが短い方が好ましいのは、炊飯釜3内から発生する蒸気に、おねばや調味料等の不純物が混ざっているためであり、これら不純物により圧力規制管33が詰まるおそれがあるからである。
【0044】
排気フード28が取り付けられている回動アーム8は、後述する回動手段37によって水平に旋回できる構成になっている。炊飯時には、排気フード28が釜蓋4の中央に設けられている蒸気抜け孔21の真上にくる位置に回動アーム8が回動する。炊飯釜3の出し入れの際には、
図7に示すように待避位置に回動アーム8が回動する。
【0045】
前記回動手段37は、本体2の上面40に立設するシャフトカバー38(
図1参照)と、該シャフトカバー38内にベアリングを介して回転自在に配設されたシャフト39と、該シャフト39の下端と本体2内側で接続されるエアシリンダ41(
図8参照)とから構成される。
【0046】
図8は、回動手段37を説明するための図であって、回動手段37を炊飯装置1の下方から示した図である。シャフトカバー38及びシャフト39は、本体2内に延設されている。シャフトカバー38は、本体2の内側に設けられた固定プレート42に固定されている。エアシリンダ41は、一方の端を固定軸43に回転自在に軸着され、他端となるロッド44の先端は、ピン45を介して屈曲アーム46と接続している。該屈曲アーム46の他端はシャフト39の下端に固定している。
回動手段37はこのように構成されているため、エアシリンダ41のロッド44を進退させると、ピン45が支点軸となって、シャフト39が回転し、回動アーム8が水平に回転する。
なお、回動手段37にはモータ等の回転手段を用いてもよい。
【0047】
次に、上記構成における炊飯装置1の作用を述べる。
【0048】
まず、炊飯釜3内に適量の米及び炊飯水をそれぞれ投入し、該炊飯釜3の開口部を釜蓋4で被覆して浸漬処理を行う。浸漬処理後、炊飯釜3を炊飯装置1の釜収納部に搬送する。
なお、炊飯装置1の釜収納部に炊飯釜3を収納した状態で浸漬処理を行ってもよいし、空の炊飯釜を炊飯装置1に搬送して、搬送後の炊飯釜3内に米及び炊飯水を投入するようにしてもよい。
また、浸漬後には炊飯釜3内を撹拌する撹拌工程を設けるのが望ましく、炊飯する米飯の種類によっては、調味料や具材を投入することもある。
【0049】
炊飯装置1に炊飯釜3が搬送されると、複数の密閉装置5が作動し、転動ローラ16,17によって炊飯釜3が釜蓋4で密閉される。炊飯釜3の密閉は、図示しない制御装置60からの信号により、エアシリンダ11の伸縮ロッド18が伸び、伸縮ロッド18の先端に設けられた転動ローラ16及び17で、炊飯釜3のフランジ25と該フランジ25の上に重ねた釜蓋4のフランジ24とを挟持して行う。
【0050】
次に、退避位置の回動アーム8が回動手段37によって水平に旋回し、回動アーム8の先端部に取り付けられた排気フード28が、釜蓋4の押し付け面20の真上に移動する。移動後、エアシリンダ7の伸縮ロッド29が下に向かって伸び、排気フード28の底面が押し付け面20に押しつけられる。
【0051】
そして、排気フード28が押し付け面20に押しつけられた状態のままで加熱手段による炊飯釜3の加熱が開始される。該加熱は、あらかじめ設定された炊飯パターンに沿って行われる。
【0052】
図9は、本実施例における炊飯装置1の炊飯パターンを示した図であって、横軸に時間、縦軸に温度検出手段51で検出する蒸気温度(℃)及び加熱手段の加熱出力(%)をとっており、炊飯時の炊飯釜3から排出される蒸気温度と加熱パターンを示している。
【0053】
本発明の実施の形態では、7kgの白米を、70分間浸漬してから炊飯している。
図9に示しているように、炊飯開始後、最初の10分40秒までが炊き上げ工程(炊飯釜内温度が100℃になるまでの時間)、10分40秒から12分40秒までが沸騰維持工程、そして、12分40秒から15分までが炊き上げ工程となる。
【0054】
炊飯開始後の炊き上げ工程では、炊飯釜3から排出される蒸気の温度は100℃まで連続して上昇する。この間は未だ沸点に達していないため、炊飯釜内に蒸気はほとんど発生しない。このため、釜内圧力に変化はない。前記温度が100度に達し、炊飯釜3内の炊飯水が沸騰すると、蒸気が大量に発生し、蒸気の一部が釜蓋4の押し付け面20に設けられた蒸気抜け孔21から予備加圧室6に流入する。
【0055】
予備加圧室6に流入した蒸気は、圧力規制管33を経由して装置外へ排出される。本発明では、蒸気抜け孔21の開口総面積に比べ、圧力規制管33の開口面積は狭い構造としている。
このため、予備加圧室6に流入する蒸気の量に比べ、予備加圧室6から排出される蒸気の量が小量となるので、炊飯釜3から予備加圧室6に流入した蒸気が予備加圧室6内に滞留する。
沸騰維持工程の間は、炊飯釜3内で蒸気が発生し続ける。それに伴って予備加圧室6内に流入して滞留する蒸気の量が増加する。その結果、予備加圧室6内の圧力は大気圧を超えて徐々に上昇する。
それに伴い、炊飯釜3内の圧力も上昇する。沸騰維持工程中は、釜内圧力が上昇し続け、本発明の実施の形態では最終的に1.24atmまで上昇する。
【0056】
沸騰維持工程の終了時、炊飯釜3内の炊飯水は白米に吸収された分と、蒸発して蒸気となった分がある。次工程の炊き上げ工程では、もはや炊飯水はごくわずかである。炊飯釜3内の釜内圧力は徐々に降下していく。
【0057】
複数の炊飯装置を配置して大量の米飯を製造する場合、各炊飯装置で炊き上げる米飯の品質を同じにすることが求められる。該品質にバラツキが生じないようにするためには、炊飯水が沸騰し釜内温度が100℃になった時点からの加熱パターンを各炊飯装置で同一にする必要がある。このため、釜内温度が100℃になるタイミングを正確に検出しなければならない。
本発明ではこの検出を温度検出手段51で行っている。温度検出手段51で測定した蒸気の温度から釜内温度を求めている。
【0058】
本発明では、炊飯時に予備加圧室6内が大気圧を超えるまで加圧される。炊飯釜3内から排出された蒸気は、予備加圧室6内の圧力により、圧力規制管33、接続管34、排出弁35及び排出管49を経由して装置外へ排出される。このため、前記蒸気を屋外等の所定箇所に排出するために吸引装置を別途設ける必要がない。
【0059】
また、加熱手段の加熱パターン(ヒートサイクル)について説明すると、炊飯開始から10分40秒までは、加熱手段の表面燃焼バーナによる出力を75%とし、10分40秒から12分40秒までは同出力を40%とし、12分40から15分までの同出力を30%としている。
【0060】
なお、排気フード28は押し付け面20に押しつけられており、かつ、底面に環状のOリング32が設けられているので、排気フード28と押し付け面20との接触面から蒸気が洩れることはない。また、蒸気漏れが起こらない程度に排気フード20を押しつける押圧力が必要である。よって、エアシリンダ7には、前記押圧力を考慮したものを使用する必要がある。
【0061】
炊き上げ工程後、蒸らし等の炊飯後工程が行われる。蒸らしは、炊飯装置1に収納された状態で行ってもよいが、一般的に、炊飯装置から搬送されて別の場所で行われる。炊飯装置1から炊飯釜3を取り出す際は、まず、排気フード28をエアシリンダ7により上昇させてから、回動手段37により回動アーム8を待避位置まで移動させる。そして、釜蓋4の蒸気抜け孔21から炊飯釜3内に残存する蒸気を圧力規制管33による規制なしに釜外へ排出させ、炊飯釜3内の圧力が十分に低下してから、固定手段5による炊飯釜3の密閉を解除するようにする。
なお、排気フード28を上昇させてから前記解除を行うまでの時間は、30秒程度である。
【0062】
本発明によれば、炊飯釜3内で発生した蒸気は、排気フード28に設けられた予備加圧室6の圧力規制管33を経由しなければ装置外へ排出されない。すなわち、該圧力規制管33によって炊飯釜3内の圧力が調節されることになる。また、炊飯釜内を加圧する場合、目標とする米飯の品質にあわせて釜内圧力の値を、圧力規制管33の径で調節すればよく、1.1~1.4気圧の範囲で調節するようにすればよい。この調節は、圧力規制管33の径を変更するだけで行える。
【符号の説明】
【0063】
1 炊飯装置
2 本体
3 炊飯釜
4 釜蓋
5 密閉装置
6 予備加圧室
7 エアシリンダ
8 回動アーム
9 シリンダ取付台
10 側壁
11 エアシリンダ
12 上クランプアーム
13 下クランプアーム
14 ブロック本体
15 スペーサ
16 転動ローラ
17 転動ローラ
18 伸縮ロッド
19 回転防止杆
20 押し付け面
21 蒸気抜け孔
22 ブロック本体
23 位置決めロール
24 フランジ
25 フランジ
26 パッキン
27 上端部
28 排気フード
29 伸縮ロッド
30 支持台
31 回転防止杆
32 Oリング
33 圧力規制管
34 接続管
35 排出弁
36 安全弁
37 回動手段
38 シャフトカバー
39 シャフト
41 エアシリンダ
42 固定プレート
43 固定軸
44 ロッド
45 ピン
46 屈曲アーム
47 スピードコントローラ
48 スピードコントローラ
49 排出管