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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】紙材、及び包装体
(51)【国際特許分類】
   D21H 13/16 20060101AFI20240529BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20240529BHJP
   D21H 13/24 20060101ALI20240529BHJP
   D21H 27/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
D21H13/16
B65D65/46
D21H13/24
D21H27/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089736
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183744
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591108248
【氏名又は名称】カミ商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503405036
【氏名又は名称】株式会社四国クリエート
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】大山 浩
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 一茂
(72)【発明者】
【氏名】国武 哲則
(72)【発明者】
【氏名】進藤 正樹
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/013920(WO,A1)
【文献】特開2003-292026(JP,A)
【文献】特開2006-016733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 13/16
B65D 65/46
D21H 13/24
D21H 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水解性を有する紙材であって、
パルプ繊維と、
熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、
前記生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度であり、当該水中溶解温度が70℃から80℃である水中溶解温度を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱溶解によって前記パルプ繊維と前記生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなり、
前記パルプ繊維と、前記生分解性樹脂繊維と、前記ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下とした、
紙材。
【請求項2】
当該紙材の坪量を、14g/m ~40g/m とした、
請求項1に記載の紙材。
【請求項3】
当該紙材の伸び率を、3%から5%とした、
請求項1又は2に記載の紙材。
【請求項4】
当該紙材の平滑度を、10秒から20秒とした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の紙材。
【請求項5】
前記生分解性樹脂繊維は、ポリ乳酸繊維である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の紙材。
【請求項6】
当該紙材は、包装体用紙材である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の紙材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の紙材からなる包装体。
【請求項8】
当該包装体は、ティッシュペーパー用包装体である、
請求項7に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙材、及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ティッシュペーパーを包装する包装体であって、トイレに流すことが可能な包装体の一つとして、ポリエステル繊維と、パルプ繊維と、ポリエステル繊維とパルプ繊維とを相互に付着させるための水解性バインダーとを配合してなる包装体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-292026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、包装体をトイレに流した際の環境への負荷を低減したいというニーズが高まっている。しかしながら、上記従来の包装体を構成する水解性バインダーは水解性を有するものに過ぎないので、例えば、水解性バインダーが微生物等によって分解されないおそれがあることから、環境負荷を低減する観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、環境負荷を低減することが可能となる、紙材、及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の紙材は、水解性を有する紙材であって、パルプ繊維と、熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、前記生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度であり、当該水中溶解温度が70℃から80℃である水中溶解温度を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱溶解によって前記パルプ繊維と前記生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなり、前記パルプ繊維と、前記生分解性樹脂繊維と、前記ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下とした。
【0007】
請求項2に記載の紙材は、請求項1に記載の紙材において、当該紙材の坪量を、14g/m ~40g/m とした。
【0008】
請求項3に記載の紙材は、請求項1又は2に記載の紙材において、当該紙材の伸び率を、3%から5%とした。
【0009】
請求項4に記載の紙材は、請求項1から3のいずれか一項に記載の紙材において、当該紙材の平滑度を、10秒から20秒とした。
【0010】
請求項5に記載の紙材は、請求項1から4のいずれか一項に記載の紙材において、前記生分解性樹脂繊維は、ポリ乳酸繊維である。
【0011】
請求項6に記載の紙材は、請求項1から5のいずれか一項に記載の紙材において、当該紙材は、包装体用紙材である。
【0012】
請求項7に記載の包装体は、請求項1から6のいずれか一項に記載の紙材からなる包装体である。
【0013】
請求項8に記載の包装体は、請求項7に記載の包装体において、当該包装体は、ティッシュペーパー用包装体である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の紙材によれば、パルプ繊維と、熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱溶解によってパルプ繊維と生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなるので、紙材の水解性及び生分解性を有しながら耐久性も高めることができ、紙材の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。また、紙材の製造時におけるビニロン繊維の取り扱いが比較的容易であるため、紙材の製造性を高めることができる。
また、パルプ繊維と、生分解性樹脂繊維と、ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下としたので、他の配合比率に比べて、紙材の水解性、生分解性、及び耐久性を高めることができ、紙材の使用性を高めやすく、且つ環境負荷を低減しやすくなる。
【0016】
請求項2に記載の紙材によれば、当該紙材の坪量を、14g/m ~40g/m としたので、他の坪量に比べて、紙材の水解性及び耐久性を高めることができ、紙材の使用性を高めやすくなる。
【0017】
請求項3に記載の紙材によれば、当該紙材の伸び率を、3%から5%としたので、他の伸び率に比べて、紙材の印刷適性を高めることができ、装飾性の高い紙材を製造できる。
【0018】
請求項4に記載の紙材によれば、当該紙材の平滑度を、10秒から20秒としたので、他の平滑度に比べて、平滑性を高めながら紙材の伸び量を抑制でき、紙材の印刷適性を高めやすくなる。
【0019】
請求項5に記載の紙材によれば、生分解性樹脂繊維が、ポリ乳酸繊維であるので、比較的高い水解性及び生分解性を有するため、紙材の水解性及び生分解性を高めることが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の紙材によれば、当該紙材が、包装体用紙材であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体用紙材を構成でき、包装体用紙材の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0021】
請求項7に記載の包装体によれば、請求項1から6のいずれか一項に記載の紙材からなる包装体であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体を構成でき、包装体の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0022】
請求項8に記載の包装体によれば、当該包装体が、ティッシュペーパー用包装体であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有するティッシュペーパー用包装体を構成でき、ティッシュペーパー用包装体の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る包装体を概念的に示す斜視図である。
図2】第1配合比率確認試験の試験結果を示す図である。
図3】第2配合比率確認試験の試験結果を示す図である。
図4】坪量確認試験の試験結果を示す図であり、(a)は試験結果の表を示す図、(b)は試験結果のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る紙材、及び包装体の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、水解性を有する紙材、及び包装体に関するものである。
【0027】
ここで、「紙材」とは、植物繊維と非植物繊維とを膠着させて製造した材料を意味し、例えば、包装体用紙材、印刷用紙材、緩衝材用紙材、紙容器用紙材等を含む概念であるが、実施の形態では、包装体用紙材として説明する。また、「包装体」とは、上記紙材からなるものであって、包装対象を包装するものである。また、「包装対象」とは、包装体に包装される対象を意味し、例えば、ティシューペーパー、トイレットロール、苗の如き植物等を含む概念であるが、実施の形態では、ティシューペーパーとして説明する。
【0028】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0029】
(構成)
最初に、実施の形態に係る包装体の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る包装体を概念的に示す斜視図である。以下の説明では、図1のX方向を包装体の左右方向(-X方向を包装体の左方向、+X方向を包装体の右方向)、図1のY方向を包装体の前後方向(+Y方向を包装体の前方向、-Y方向を包装体の後方向)、図1のZ方向を包装体の上下方向(+Z方向を包装体の上方向、-Z方向を包装体の下方向)と称する。
【0030】
包装体1は、包装対象P(具体的には、ティシューペーパー)を包装するためのティッシュペーパー用包装体であり、図1に示すように、包装体本体10、接続部20、及び開封部30を備えている。
【0031】
ここで、包装体1による包装対象Pの包装方法については任意であるが、実施の形態では、複数の包装対象Pをそれぞれ折り畳まれた状態(例えば、横方向Z折り縦方向二つ折りで折り畳まれた状態)で上下方向に積層しており、且つ連続して包装体1(具体的には、包装体本体10)から取り出せるように包装している(いわゆるポップアップ式となるよう包装されている)。
【0032】
(構成-包装体本体)
包装体本体10は、包装体1の基本構造体であり、図1に示すように、中空状体(具体的には、略直方状体)にて形成されている。
【0033】
ここで、以下では、説明の都合上、図1に示す包装体本体10を6つの領域に区分して説明する。すなわち、この包装体本体10を、包装対象Pの前側を覆う包装体前面部11と、包装対象Pの後側を覆う包装体後面部12と、包装対象Pの左側を覆う包装体左面部13と、包装対象Pの右側を覆う包装体右面部14と、包装対象Pの上側を覆う包装体上面部15と、包装対象Pの下側を覆う包装体下面部16とに区分する。
【0034】
また、包装体本体10の具体的な形状及び大きさについては、所定数の包装対象Pを包装体本体10内に包装することができる限り任意であるが、実施の形態では、以下の通りに設定している。
【0035】
すなわち、図1に示すように、包装体本体10の平面形状については、略長方形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、長方形状以外の多角形状(一例として、六角形状等)、円形状、楕円形状等に設定してもよい。
【0036】
また、包装体本体10の左右方向の長さについては、包装対象Pの左右方向の長さよりも長く設定している。また、包装体本体10の前後方向の長さについては、包装対象Pの前後方向の長さよりも長く設定している。また、包装体本体10の上下方向の長さについては、所定数の包装対象Pの高さの合計値よりも長く設定している。なお、包装体本体10の構成の詳細については、後述する。
【0037】
(構成-接続部)
接続部20は、包装体本体10の一部と他の一部とを接続するための接続手段である。この接続部20は、例えば熱を用いた公知の接続手段(一例として、ヒートシール)等を用いて構成されており、包装体本体10において少なくとも1つ以上設けられている。具体的には、包装体本体10のいずれかの面部の一部と他の一部との境界部に設けられており、一例として、図1に示すように、包装体左面部13の上側部分と下側部分との境界部、包装体右面部14の上側部分と下側部分との境界部、及び包装体下面部16の前側部分と後側部分との境界部に設けられてもよい。
【0038】
(構成-開封部)
開封部30は、包装体本体10を開封するための開封手段である。この開封部30は、例えば公知の開封手段(一例として、ミシン目等)を用いて構成されており、包装体本体10の面部の少なくとも1つに設けられている。具体的には、図1に示すように、直線状の開封部30が、包装体上面部15において当該包装体上面部15の左右方向の略全長にわたって設けられている。ただし、これに限らず、例えば、包装体上面部15の左右方向の略全長の一部のみにわたって設けられてもよく、あるいは、当該包装体上面部15の前後方向の略全長にわたって設けられてもよい。
【0039】
(構成-包装体本体の構成の詳細)
次に、包装体本体10の構成の詳細について説明する。ただし、この包装体本体10は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0040】
実施の形態では、図1に示すように、包装体本体10は、水解性を有する紙材50からなる。また、この紙材50は、包装体用紙材であり、実施の形態では以下に示す特徴を有する。
【0041】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第1の特徴)
まず、紙材50の第1の特徴については、パルプ繊維と、生分解性樹脂繊維と、ビニロン繊維とからなる(いずれも図示省略)。
【0042】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第1の特徴-パルプ繊維)
パルプ繊維は、紙材50の基本構造体の一部である。このパルプ繊維は、例えば公知のパルプ繊維(一例として、叩解パルプ又は未叩解パルプからなるパルプ繊維)等を用いて構成されている。
【0043】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第1の特徴-生分解性樹脂繊維)
生分解性樹脂繊維は、紙材50の基本構造体の他の一部であり、当該生分解性樹脂繊維の熱融着によって接続部20の形成を可能にするためのものである。この生分解性樹脂繊維は、例えば熱融着性及び生分解性を有する公知の生分解性樹脂からなる繊維を用いて構成されている。
【0044】
ここで、生分解性樹脂の具体的な種類については任意であり、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、編成ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉、又はこれらの組み合わせもの等からなるもの等が該当する。実施の形態では、比較的高い水解性及び生分解性を有し、且つ比較的高い融点(具体的には、160℃程度)を有するポリ乳酸からなる繊維(以下、「ポリ乳酸繊維」と称する)が、生分解性樹脂繊維として用いられている。これにより、紙材50の水解性及び生分解性を高めることができる。
【0045】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第1の特徴-ビニロン繊維)
ビニロン繊維は、紙材50の基本構造体の他の一部であり、当該ビニロン繊維の熱溶解によってパルプ繊維と生分解性樹脂繊維とを結合させるものである。
【0046】
ここで、「ビニロン繊維」とは、ポリビニルアルコールをアセタール化することで形成される合成繊維であり、比較的高い水解性及び生分解性を有すると共に、生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度(具体的には、70℃から80℃程度)を有する。
【0047】
また、生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度のビニロン繊維を用いる理由については、紙材50の製造時において、ビニロン繊維だけを熱溶解させることで、パルプ繊維及び生分解性樹脂繊維を結合させることにより、紙材50の強度を高めるためである。
【0048】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第1の特徴-その他の構成)
また、パルプ繊維、生分解性樹脂繊維、及びビニロン繊維の配合方法については任意であるが、実施の形態では、後述する試験結果に基づいて、これら3つの配合比率(以下、「繊維配合比率」と称する)=パルプ繊維:生分解性樹脂繊維:ビニロン繊維=30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下に設定している。一例として、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量に設定してもよい。なお、例えば、紙材50の生分解性の観点からは、パルプ繊維の配合比率を高めに設定してもよい。また、生分解性樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)の臭気を低減するために、生分解性樹脂繊維の配合比率を低めに設定してもよい。
【0049】
このような設定により、他の配合比率に比べて、紙材50の水解性、生分解性、及び耐久性を高めることができ、紙材50の使用性を高めやすく、且つ環境負荷を低減しやすくなる。
【0050】
以上のような第1の特徴により、紙材50の水解性及び生分解性を有しながら耐久性も高めることができ、紙材50の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。また、紙材50の製造時におけるビニロン繊維の取り扱いが比較的容易であるため、紙材50の製造性を高めることができる。また、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体用紙材及び包装体1(具体的には、ティッシュペーパー用包装体)を構成でき、包装体用紙材及び包装体1の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0051】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第2の特徴)
次に、紙材50の第2の特徴については、以下に示す通りとなる。
【0052】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第2の特徴-坪量について)
すなわち、まず、後述する試験結果に基づいて、紙材50の坪量(単位面積あたりの重量)を、14g/m~40g/mに設定している。これにより、他の坪量に比べて、紙材50の水解性及び耐久性を高めることができ、紙材50の使用性を高めやすくなる。
【0053】
ただし、これに限らず、例えば、紙材50の水解性及び耐久性を確保できる場合には、紙材50の坪量を、14g/m未満に設定してもよく、あるいは、40g/mを上回るように設定してもよい。
【0054】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第2の特徴-伸び率について)
また、紙材50の伸び率(紙材50の元の長さと紙材50の伸び量との比率)を、3%から5%に設定している。これにより、他の伸び率に比べて、紙材50の印刷適性を高めることができ、装飾性の高い紙材50を製造できる。
【0055】
ただし、これに限らず、例えば、紙材50の印刷適性を確保できる場合には、紙材50の伸び率を、3%未満に設定してもよく、あるいは、5%を上回るように設定してもよい。
【0056】
(構成-包装体本体の構成の詳細-紙材-第2の特徴-平滑度について)
また、紙材50の平滑度(平らさの度合い)を、10秒から20秒に設定している。これにより、他の平滑度に比べて、平滑性を高めながら紙材50の伸び量を抑制でき、紙材50の印刷適性を高めやすくなる。
【0057】
ただし、これに限らず、例えば、紙材50の印刷適性を確保できる場合には、紙材50の平滑度を、10秒未満に設定してもよく、あるいは、20秒を上回るように設定してもよい。
【0058】
なお、この紙材50の伸び率及び平滑度の設定方法については任意であるが、例えば、紙材50の種類等に応じて、当該紙材50に対して施すカレンダー加工に関する加工の度合いを調整することにより、設定してもよい。
【0059】
以上のような第2の特徴により、紙材50の水解性、耐久性、及び印刷適性を高めることができ、紙材50の使用性を高めることが可能となる。
【0060】
(包装体の製造方法)
次に、包装体1の製造方法について説明する。実施の形態に係る製造方法は、第1形成工程、第2形成工程、及び包装工程を含んでいる。
【0061】
(包装体の製造方法-第1形成工程)
最初に、第1形成工程について説明する。第1形成工程は、紙材50を形成する工程である。
【0062】
具体的には、まず、公知の抄紙装置(図示省略)を用いて、繊維配合比率でパルプ繊維、生分解性樹脂繊維、及びビニロン繊維を混ぜ合わせたものにさらに水を加えたものをシート状体に形成し、その後抄紙装置のプレスロールを用いて、シート状体の水分を搾り取る。次に、抄紙装置の乾燥部を用いて、ビニロン繊維の熱融着性が発現する温度(約80~110℃程度)で、上記シート状体を加熱して乾燥する。次いで、公知のカレンダー装置(図示省略)を用いて、所望の伸び率及び平滑度になるように、上記シート状体の表面を平滑する(すなわち、カレンダー加工を行う)。その後、公知の印刷装置(図示省略)を用いて、シート状体の表面に所定の模様を印刷し、当該印刷したシート状体をロール状に巻き取る。
【0063】
(包装体の製造方法-第2形成工程)
次に、第2形成工程について説明する。第2形成工程は、第1形成工程の後に、包装体本体10及び開封部30を形成する工程である。
【0064】
具体的には、公知の切断装置(図示省略)を用いて、第1形成工程にて形成された紙材50を所定のサイ及び形状に切断することにより、包装体本体10を形成する。次に、公知の加工装置(図示省略)を用いて、包装体本体10における包装体上面部15に対応する部分にミシン目加工を施すことにより、開封部30を形成する。
【0065】
(包装体の製造方法-包装工程)
続いて、包装工程について説明する。包装工程は、第2形成工程の後に、第2形成工程にて形成された包装体本体10内に包装対象Pを包装する工程である。
【0066】
具体的には、まず、上記包装体本体10が開放端を有する略直方状体に形成されるように、公知の包装装置(図示省略)の溶着部を用いて、上記包装体本体10の一部と他の一部とを熱溶着加工することで、複数の接続部20の一部を形成する。次に、包装装置を用いて、包装体本体10の開放端を介して積層された複数の包装対象Pを包装体本体10に挿入する。その後、包装体本体10が密封されるように、上記包装体本体10の一部と他の一部とを熱溶着加工することで、複数の接続部20の他の一部のすべてを形成する。
【0067】
このような製造方法により、従来の包装体の製造方法と略同一の方法で、包装体1を製造することができ、包装体1の製造性を維持できる。
【0068】
(試験結果)
続いて、本件出願人が行った各種の試験結果について説明する。以下では、本発明に係る紙材50の水解性及び耐久性を確認するために行われた第1配合比率確認試験、第2配合比率確認試験、及び坪量確認試験について説明する。
【0069】
(試験結果-第1配合比率確認試験の概要)
最初に、第1配合比率確認試験の概要について説明する。ここで、「第1配合比率確認試験」とは、パルプ繊維及び生分解性樹脂繊維の配合比率を確認するための試験である。
【0070】
この第1配合比率確認試験の試験対象については、実施の形態に係る紙材50からなる試験体は、パルプ繊維の種類が叩解パルプからなる繊維である試験体A11からA17と、パルプ繊維の種類が未叩解パルプからなる繊維である試験体A21からA27とに分けられる。
【0071】
このうち、試験体A11は、繊維配合比率=20%重量:68%重量:12%重量、坪量=28.6g/mである試験体である。また、試験体A12は、繊維配合比率=30%重量:58%重量:12%重量、坪量=29.6g/mである試験体である。また、試験体A13は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=29.2g/mである試験体である。また、試験体A14は、繊維配合比率=50%重量:38%重量:12%重量、坪量=30.2g/mである試験体である。また、試験体A15は、繊維配合比率=60%重量:28%重量:12%重量、坪量=30.4g/mである試験体である。また、試験体A16は、繊維配合比率=70%重量:18%重量:12%重量、坪量=32.6g/mである試験体である。また、試験体A17は、繊維配合比率=80%重量:8%重量:12%重量、坪量=32.2g/mである試験体である。
【0072】
また、試験体A21は、繊維配合比率=20%重量:68%重量:12%重量、坪量=27.8g/mである試験体である。また、試験体A22は、繊維配合比率=30%重量:58%重量:12%重量、坪量=28.2g/mである試験体である。また、試験体A23は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=29.1g/mである試験体である。また、試験体A24は、繊維配合比率=50%重量:38%重量:12%重量、坪量=29.6g/mである試験体である。また、試験体A25は、繊維配合比率=60%重量:28%重量:12%重量、坪量=30.4g/mである試験体である。また、試験体A26は、繊維配合比率=70%重量:18%重量:12%重量、坪量=30.9g/mである試験体である。また、試験体A27は、繊維配合比率=80%重量:8%重量:12%重量、坪量=31.2g/mである試験体である。
【0073】
また、第1配合比率確認試験の試験方法については、各試験体に対して引張強度試験、ほぐれやすさ試験、及び熱シール強度試験をそれぞれ行う。
【0074】
このうち、引張強度試験については、公知の引張試験装置を用いて、各試験体を引張ることにより、当該試験体が破断したときの引張強度を測定する。
【0075】
また、ほぐれやすさ試験については、毎分600回転で攪拌している水中に各試験体の紙片を投入してから、紙片の抵抗により回転数が一時的に約500回転に下降して、紙片がほぐれるとともに回転数が540回転に回復するまでに要する時間を測定する。
【0076】
また、熱シール強度試験については、各試験体からなる2枚の紙片を熱シールを介して結合した後に、公知の引張試験装置を用いて、T字引張試験を行うことにより、当該熱シールが破断したときの熱シール強度を測定する。
【0077】
(試験結果-第1配合比率確認試験の試験結果の詳細)
次いで、第1配合比率確認試験の試験結果の詳細について説明する。図2は、第1配合比率確認試験の試験結果を示す図である。
【0078】
図2に示すように、試験体A11からA17及び試験体A21からA27については、パルプ繊維の配合比率が多くなり、且つ生分解性樹脂繊維が少なくなるにつれて、引張強度が増加する傾向を示し、ほぐれやすさが低減する傾向を示した。一方で、熱シール強度については、パルプ繊維の配合比率が20%重量から50%重量の範囲では増加する傾向を示したものの、50%重量から80%重量の範囲では低減する傾向を示した。
【0079】
また、試験体A11からA17の引張強度及び熱シール強度については、試験体A21からA27の引張強度及び熱シール強度に比べてほぼ高かったが、試験体A11からA17のほぐれやすさについては、試験体A21からA27のほぐれやすさに比べて低かった。
【0080】
さらに、基準値との対比において、ほぐれやすさについては、試験体A11からA14、及び試験体A21からA24は基準値(100sec以内)を満たすものの、それ以外の試験体は基準値を満たさなかった。また、熱シール強度については、試験体A12からA14、及び試験体A22、A23は基準値(4N以上)を満たすものの、それ以外の試験体は基準値を満たさなかった。
【0081】
この図2に示す試験結果より、試験体A12からA14、及び試験体A22、A23が水解性及び耐久性を有することがわかり、パルプ繊維の配合比率を30%重量~50%重量に設定し、且つ生分解性樹脂繊維の配合比率を38%重量~58%重量に設定することの有効性が確認できた。
【0082】
(試験結果-第2配合比率確認試験の概要)
次に、第2配合比率確認試験の概要について説明する。ここで、「第2配合比率確認試験」とは、生分解性樹脂繊維及びビニロン繊維の配合比率を確認するための試験である。
【0083】
この第2配合比率確認試験の試験対象については、実施の形態に係る紙材50からなる試験体は、繊維配合比率が異なる11つの種類に分けられる(以下、「試験体B1」から「試験体B11」と称する)。
【0084】
このうち、試験体B1は、繊維配合比率=20%重量:68%重量:12%重量、坪量=28.6g/mである試験体である。また、試験体B2は、繊維配合比率=30%重量:58%重量:12%重量、坪量=29.6g/mである試験体である。また、試験体B3は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=29.2g/mである試験体である。また、試験体B4は、繊維配合比率=40%重量:54%重量:6%重量、坪量=30.8g/mである試験体である。また、試験体B5は、繊維配合比率=40%重量:60%重量:0%重量、坪量=30.4g/mである試験体である。また、試験体B6は、繊維配合比率=50%重量:38%重量:12%重量、坪量=30.2g/mである試験体である。また、試験体B7は、繊維配合比率=50%重量:44%重量:6%重量、坪量=30.6g/mである試験体である。また、試験体B8は、繊維配合比率=50%重量:50%重量:0%重量、坪量=29.8g/mである試験体である。また、試験体B9、繊維配合比率=60%重量:28%重量:12%重量、坪量=30.4g/mである試験体である。また、試験体B10は、繊維配合比率=70%重量:18%重量:12%重量、坪量=32.6g/mである試験体である。また、試験体B11は、繊維配合比率=80%重量:8%重量:12%重量、坪量=32.2g/mである試験体である。
【0085】
また、第2配合比率確認試験の試験方法については、第1配合比率確認試験の試験方法と同様に行う。
【0086】
(試験結果-第2配合比率確認試験の試験結果の詳細)
次いで、第2配合比率確認試験の試験結果の詳細について説明する。図3は、第2配合比率確認試験の試験結果を示す図である。
【0087】
図3に示すように、試験体B1からB11については、生分解性樹脂繊維の配合比率が多くなるにつれて、引張強度が低下する傾向を示し、ほぐれやすさが低減する傾向を示した。また、ビニロン繊維の配合比率が少なくなるにつれて、引張強度が低下する傾向を示し、ほぐれやすさが低減する傾向を示した。
【0088】
さらに、基準値との対比において、ほぐれやすさについては、試験体B1からB5、B8は基準値(100sec以内)を満たすものの、それ以外の試験体は基準値を満たさなかった。また、熱シール強度については、試験体B2からB7は基準値(4N以上)を満たすものの、それ以外の試験体は基準値を満たさなかった。
【0089】
この図3に示す試験結果より、試験体B2からB5が水解性及び耐久性を有することがわかり、生分解性樹脂繊維の配合比率を38%重量~60%重量に設定し、且つビニロン繊維の配合比率を0%重量~12%重量に設定することの有効性が確認できた。
【0090】
(試験結果-坪量確認試験の概要)
次に、坪量確認試験の概要について説明する。ここで、「坪量確認試験」とは、紙材50の坪量を確認するための試験である。
【0091】
この坪量確認試験の試験対象については、実施の形態に係る紙材50からなる試験体は、紙材50の坪量が異なる6つの種類に分けられる(以下、「試験体C1」から「試験体C6」と称する)。
【0092】
このうち、試験体C1は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=20g/mである試験体である。また、試験体C2は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=30g/mである試験体である。また、試験体C3は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=40g/mである試験体である。また、試験体C4は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=50g/mである試験体である。また、試験体C5は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=60g/mである試験体である。また、試験体C6は、繊維配合比率=40%重量:48%重量:12%重量、坪量=70g/mである試験体である。
【0093】
また、坪量確認試験の試験方法については、第1配合比率確認試験の試験方法と同様に行う。
【0094】
(試験結果-坪量確認試験の試験結果の詳細)
次いで、坪量確認試験の試験結果の詳細について説明する。図4は、坪量確認試験の試験結果を示す図であり、(a)は試験結果の表を示す図、(b)は試験結果のグラフを示す図である。
【0095】
図4に示すように、試験体C1からC6については、坪量が多くなるにつれて、引張強度及び熱シール強度が増加する傾向を示し、ほぐれやすさが低減する傾向を示した。
【0096】
さらに、基準値との対比において、ほぐれやすさについては、試験体C1からC3は基準値(100sec以内)を満たすものの、それ以外の試験体は基準値を満たさなかった。また、熱シール強度については、試験体C1からC6は基準値(4N以上)を満たした。
【0097】
この図4に示す試験結果より、試験体C1からC3が水解性及び耐久性を有することがわかった。また、図4(b)に示すように、試験体C1からC3の熱シール強度の試験結果から導き出される近似式から、実在する紙材50の下限の坪量=14g/mであっても基準値を満たす水解性及び耐久性を有することがわかった。以上のことから、坪量=14g/mから40g/mに設定することの有効性が確認できた。
【0098】
(効果)
このように実施の形態によれば、パルプ繊維と、熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、生分解性樹脂繊維の融点よりも低い水中溶解温度を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱溶解によってパルプ繊維と生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなるので、紙材50の水解性及び生分解性を有しながら耐久性も高めることができ、紙材50の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。また、紙材50の製造時におけるビニロン繊維の取り扱いが比較的容易であるため、紙材50の製造性を高めることができる。
【0099】
また、パルプ繊維と、生分解性樹脂繊維と、ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下としたので、他の配合比率に比べて、紙材50の水解性、生分解性、及び耐久性を高めることができ、紙材50の使用性を高めやすく、且つ環境負荷を低減しやすくなる。
【0100】
また、紙材50の坪量を、14g/m~40g/mとしたので、他の坪量に比べて、紙材50の水解性及び耐久性を高めることができ、紙材50の使用性を高めやすくなる。
【0101】
また、紙材50の伸び率を、3%から5%としたので、他の伸び率に比べて、紙材50の印刷適性を高めることができ、装飾性の高い紙材50を製造できる。
【0102】
また、紙材50の平滑度を、10秒から20秒としたので、他の平滑度に比べて、平滑性を高めながら紙材50の伸び量を抑制でき、紙材50の印刷適性を高めやすくなる。
【0103】
また、生分解性樹脂繊維が、ポリ乳酸繊維であるので、比較的高い水解性及び生分解性を有するため、紙材50の水解性及び生分解性を高めることが可能となる。
【0104】
また、紙材50が、包装体用紙材であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体用紙材を構成でき、包装体用紙材の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0105】
また、紙材50からなる包装体1であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体1を構成でき、包装体1の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0106】
また、包装体1が、ティッシュペーパー用包装体であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有するティッシュペーパー用包装体を構成でき、ティッシュペーパー用包装体の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0107】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0108】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0109】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0110】
(包装対象について)
上記実施の形態では、包装対象Pの包装方法として、複数の包装対象Pの各々を互いに重なりあって折り畳まれた状態で上下方向に積層しており、且つ連続して包装体1から取り出せるように包装していると説明したが、これに限らない。例えば、1つの包装対象Pのみを折り畳むことなく包装してもよい。
【0111】
(包装体について)
上記実施の形態では、包装体1が、ティッシュペーパー用包装体であると説明したが、これに限らず、例えば、トイレットロール用包装体、植物用包装体等であってもよい。
【0112】
(包装体本体について)
上記実施の形態では、包装体本体10が略直方状体にて形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、略直方状体以外の形状(例えば、円柱状体、球状体、錘状体(一例として、円錐状体))にて形成されてもよい。
【0113】
(開封部について)
上記実施の形態では、開封部30の設置数が1つであると説明したが、これに限らず、例えは、2つ以上であってもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、包装体1が開封部30を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、開封部30を省略してもよい。この場合には、第2形成工程において、開封部30を形成することを省略できる。
【0115】
(包装体の製造方法について)
上記実施の形態では、第1形成工程において、カレンダー加工を行ったり、シート状体に対する印刷を行うと説明したが、これに限らず、例えば、上記カレンダー加工又は上記印刷を省略してもよい。
【0116】
(付記)
付記1の紙材は、水解性を有する紙材であって、パルプ繊維と、熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、前記パルプ繊維の融点及び前記生分解性樹脂繊維の融点よりも低い融点を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱融解によって前記パルプ繊維と前記生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなる。
【0117】
付記2の紙材は、付記1に記載の紙材において、前記パルプ繊維と、前記生分解性樹脂繊維と、前記ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下とした。
【0118】
付記3の紙材は、付記1又は2に記載の紙材において、当該紙材の坪量を、14g/m~40g/mとした。
【0119】
付記4の紙材は、付記1から3のいずれか一項に記載の紙材において、当該紙材の伸び率を、3%から5%とした。
【0120】
付記5の紙材は、付記1から4のいずれか一項に記載の紙材において、当該紙材の平滑度を、10秒から20秒とした。
【0121】
付記6の紙材は、付記1から5のいずれか一項に記載の紙材において、前記生分解性樹脂繊維は、ポリ乳酸繊維である。
【0122】
付記7の紙材は、付記1から6のいずれか一項に記載の紙材において、当該紙材は、包装体用紙材である。
【0123】
付記8の包装体は、付記1から7のいずれか一項に記載の紙材からなる包装体である。
【0124】
付記9の包装体は、付記8に記載の包装体において、当該包装体は、ティッシュペーパー用包装体である。
【0125】
(付記の効果)
付記1に記載の紙材によれば、パルプ繊維と、熱融着性及び生分解性を有する生分解性樹脂繊維と、パルプ繊維の融点及び生分解性樹脂繊維の融点よりも低い融点を有するビニロン繊維であって、当該ビニロン繊維の熱融解によってパルプ繊維と生分解性樹脂繊維とを結合させるビニロン繊維と、からなるので、紙材の水解性及び生分解性を有しながら耐久性も高めることができ、紙材の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。また、紙材の製造時におけるビニロン繊維の取り扱いが比較的容易であるため、紙材の製造性を高めることができる。
【0126】
付記2に記載の紙材によれば、パルプ繊維と、生分解性樹脂繊維と、ビニロン繊維との配合比率を、30%重量~50%重量:38%重量~60%重量:12%重量以下としたので、他の配合比率に比べて、紙材の水解性、生分解性、及び耐久性を高めることができ、紙材の使用性を高めやすく、且つ環境負荷を低減しやすくなる。
【0127】
付記3に記載の紙材によれば、当該紙材の坪量を、14g/m~40g/mとしたので、他の坪量に比べて、紙材の水解性及び耐久性を高めることができ、紙材の使用性を高めやすくなる。
【0128】
付記4に記載の紙材によれば、当該紙材の伸び率を、3%から5%としたので、他の伸び率に比べて、紙材の印刷適性を高めることができ、装飾性の高い紙材を製造できる。
【0129】
付記5に記載の紙材によれば、当該紙材の平滑度を、10秒から20秒としたので、他の平滑度に比べて、平滑性を高めながら紙材の伸び量を抑制でき、紙材の印刷適性を高めやすくなる。
【0130】
付記6に記載の紙材によれば、生分解性樹脂繊維が、ポリ乳酸繊維であるので、比較的高い水解性及び生分解性を有するため、紙材の水解性及び生分解性を高めることが可能となる。
【0131】
付記7に記載の紙材によれば、当該紙材が、包装体用紙材であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体用紙材を構成でき、包装体用紙材の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0132】
付記8に記載の紙材によれば、付記1から7のいずれか一項に記載の紙材からなる包装体であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有する包装体を構成でき、包装体の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【0133】
付記9に記載の包装体によれば、当該包装体が、ティッシュペーパー用包装体であるので、水解性、生分解性、及び耐久性を有するティッシュペーパー用包装体を構成でき、ティッシュペーパー用包装体の使用性を高めながら、環境負荷を低減できる。
【符号の説明】
【0134】
1 包装体
10 包装体本体
11 包装体前面部
12 包装体後面部
13 包装体左面部
14 包装体右面部
15 包装体上面部
16 包装体下面部
20 接続部
30 開封部
50 紙材
P 包装対象
図1
図2
図3
図4