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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】めっき部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20240529BHJP
   C25D 5/48 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
C23C28/00 A
C25D5/48
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021021219
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123721
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000157049
【氏名又は名称】関東化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋之
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊克
(72)【発明者】
【氏名】吉野 雄二
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061850(JP,A)
【文献】特開2010-047803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00-30/00
C25D 5/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面を覆うクロムめっきと、前記クロムめっきの表面を覆う塗膜と、を有するめっき部品の製造方法であって、
前記基材の表面に前記クロムめっきを形成するめっき工程と、
前記基材に形成された前記クロムめっきの表面を洗浄液により洗浄する洗浄工程と、
洗浄された前記クロムめっきの表面にシランカップリング剤を用いて表面処理することでシランカップリング層を形成するシランカップリング層形成工程と、
前記シランカップリング層の表面に塗装することにより、前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、を備え
前記洗浄工程と前記シランカップリング層形成工程との間において、前記クロムめっきの表面を加熱しない、
めっき部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製の基材と、基材の表面に形成されたクロムめっきと、クロムめっきの表面に形成された塗膜と、塗膜の表面に形成されたトップコート層とを有する車両用のめっき部品が開示されている。塗膜は、着色された塗料により形成されている。トップコート層は透明な塗料により形成されている。
【0003】
特許文献1に記載のめっき部品においては、トップコート層の形成に先立ち、塗膜にレーザ光が照射されることにより、その一部が除去される。これにより、めっき部品には、クロムめっきの金属光沢を有する模様が現出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-146174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうしためっき部品において、クロムめっきと塗膜との密着力が不十分である場合には、めっき部品から塗膜が剥離することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのめっき部品の製造方法は、基材と、前記基材の表面を覆うクロムめっきと、前記クロムめっきの表面を覆う塗膜と、を有するめっき部品の製造方法であって、前記基材の表面に前記クロムめっきを形成するめっき工程と、前記基材に形成された前記クロムめっきの表面を洗浄液により洗浄する洗浄工程と、洗浄された前記クロムめっきの表面にシランカップリング剤を用いて表面処理することでシランカップリング層を形成するシランカップリング層形成工程と、前記シランカップリング層の表面に塗装することにより、前記塗膜を形成する塗膜形成工程と、を備える。
【0007】
本願発明者は、基材の表面へのクロムめっきの形成後、クロムめっきの最表面にはクロム水酸化物が点在すること、及び同最表面におけるクロム水酸化物同士の間には金属クロムが露出する部分が存在することを見出した。
【0008】
上記方法によれば、クロム水酸化物が点在するクロムめっきの表面にシランカップリング層が形成される。このため、シランカップリング剤の水酸基と、クロム水酸化物の水酸基とが化学的に結合される。そして、シランカップリング層の表面に塗膜が形成されることで、シランカップリング剤の有機官能基と塗膜とが化学的に結合される。このように、クロムめっきと塗膜とがシランカップリング層を介して結合されるため、クロムめっきに対して塗膜が剥離しにくくなる。したがって、めっき部品における塗膜の剥離を抑制できる。
【0009】
上記めっき部品の製造方法において、前記洗浄工程と前記シランカップリング層形成工程との間において、前記クロムめっきの表面を加熱しないことが好ましい。
洗浄工程の後に、クロムめっきの表面に残存する洗浄液を乾燥させるために同表面を加熱することが考えられる。
【0010】
本願発明者は、上記洗浄工程と上記シランカップリング層形成工程との間において、洗浄されたクロムめっきの表面を加熱するか否かによって、クロムめっきの表面における金属クロムに対するクロム水酸化物の割合が変化することを見出した。すなわち、洗浄されたクロムめっきの表面を加熱しない場合には、加熱する場合に比べて、クロムめっきの表面における金属クロムに対するクロム水酸化物の割合が増加する。
【0011】
上記方法によれば、クロムめっきの表面を加熱しないことによってクロムめっきの表面におけるクロム水酸化物の数が増加することで、シランカップリング剤の水酸基に対して化学的に結合するクロム水酸化物の水酸基の数を増やすことができる。したがって、クロムめっきとシランカップリング層とが化学的に一層結合されやすくなることから、めっき部品における塗膜の剥離を一層抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、めっき部品における塗膜の剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態におけるエンブレムの断面図。
図2】めっき工程を示す基材の断面図。
図3】洗浄工程を示す基材の断面図。
図4】シランカップリング層形成工程を示す図であって、シランカップリング剤に浸漬された基材の断面図。
図5】シランカップリング層形成工程を示す図であって、シランカップリング層が形成された基材の断面図。
図6】塗膜形成工程を示す基材の断面図。
図7】実施例及び比較例におけるクロムめっき層の表面の断面図。
図8】実施例及び比較例におけるクロムめっき層の表面の組成を示すグラフ。
図9】実施例及び比較例における塗膜の密着強度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図9を参照して、めっき部品の製造方法を車両用のエンブレムの製造方法として具体化した一実施形態について説明する。
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については実際と異なる場合がある。
【0015】
図1に示すように、エンブレム10は、基材20と、基材20の表面を覆うクロムめっき30と、クロムめっき30の表面を覆うシランカップリング層40と、シランカップリング層40の表面を覆う塗膜50とを有している。
【0016】
基材20としては、例えば、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
図示は省略するが、クロムめっき30は、例えば、基材20の表面に形成される下地層と、下地層の表面に形成されるクロムめっき層とを有している。下地層は、例えば、基材20の表面に形成される銅めっき層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層、及びマイクロポーラスニッケルめっき層をこの順で含んでいる。すなわち、クロムめっき層は、マイクロポーラスニッケルめっき層の表面に形成されている。
【0017】
シランカップリング層40は、例えば、アミノ基及びメトキシ基を有する3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤41を含んで構成されている。
塗膜50は、例えば、ウレタン系の塗料51を含んで構成されている。
【0018】
次に、エンブレム10の製造方法について説明する。
図2に示すように、まず、基材20に導電性を付与すべく、基材20の表面に無電解めっきを行うことで、基材20の表面に銅めっき層を形成する。続いて、銅めっき層の表面に電解めっきを行うことで、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層、及びマイクロポーラスニッケルめっき層をこの順で形成する。これにより、基材20の表面に下地層が形成される。続いて、下地層の表面に電解めっきを行うことで、クロムめっき層を形成する。これにより、基材20の表面にクロムめっき30を形成する(めっき工程)。
【0019】
図3に示すように、次に、洗浄装置100を用いて、クロムめっき30が形成された基材20の表面を洗浄液により洗浄する(洗浄工程)。
ここで、洗浄装置100は、例えば、第1洗浄槽101、第2洗浄槽102、及び第3洗浄槽103を備えている。第1洗浄槽101、第2洗浄槽102、及び第3洗浄槽103に貯留された洗浄液の液面の高さは、この順で低くなるように設定されている。洗浄装置100では、第1洗浄槽101の洗浄液が第2洗浄槽102にオーバーフローするとともに、第2洗浄槽102の洗浄液が第3洗浄槽103にオーバーフローするように構成されている。洗浄液としては、例えば、純水や超純水を用いることができる。
【0020】
洗浄工程では、クロムめっき30が形成された基材20を、第1洗浄槽101、第2洗浄槽102、及び第3洗浄槽103の順に浸漬させることで、クロムめっき30の表面を洗浄液により洗浄する。
【0021】
図4及び図5に示すように、次に、シランカップリング剤41を含む溶液111が貯留された処理槽110に基材20を浸漬させる。これにより、クロムめっき30の表面にシランカップリング剤41を用いて表面処理することでシランカップリング層40を形成する(シランカップリング層形成工程)。
【0022】
溶液111には、例えば、水や有機溶剤などが含まれている。シランカップリング剤41が溶液111中で加水分解することで、シランカップリング剤41の加水分解基であるメトキシ基が水酸基に変化する。これにより、シランカップリング剤41の水酸基が、クロムめっき30のクロムめっき層に存在する水酸基と化学的に結合される。
【0023】
シランカップリング層形成工程は、洗浄工程の完了から所定の時間が経過する前に行われる。本実施形態では、洗浄工程の完了後、すなわち第3洗浄槽103を用いた洗浄の完了後から1分以内にシランカップリング層形成工程が開始される。
【0024】
ところで、周知のめっき部品の製造方法においては、洗浄工程の後に、めっき部品を加熱して乾燥させる乾燥工程が含まれる場合がある。本実施形態では、洗浄工程とシランカップリング層形成工程との間には乾燥工程が含まれていない。このため、本実施形態では、洗浄工程とシランカップリング層形成工程との間において、クロムめっき30の表面を加熱しない。換言すると、シランカップリング層形成工程は、洗浄工程の後に、クロムめっき30の表面を加熱することなく行われる。
【0025】
なお、洗浄工程の後にクロムめっき30の表面から洗浄液が蒸発することは、上記乾燥工程には含まれない。したがって、洗浄されたクロムめっき30を常温常圧下において所定の時間放置することは、上記乾燥工程には含まれない。しかしながら、洗浄工程の後にクロムめっき30を放置することで、クロムめっき30の表面に酸化物が形成されるおそれがある。こうした酸化物は、シランカップリング層40と化学的に強固に結合されるものではないため、クロムめっき30とシランカップリング層40との結合に寄与するものではない。このため、洗浄工程の後には、所定の時間が経過する前、すなわち上記酸化物が形成される前にシランカップリング層形成工程を行うことが好ましい。上記所定の時間としては、例えば、4時間であることが好ましい。
【0026】
次に、図示は省略するが、基材20を処理槽110から取り出して、基材20を洗浄及び乾燥させる。こうした基材20の洗浄及び乾燥の手法については特に限定されないが、例えば、上述した洗浄工程及び乾燥工程に準じた工程を行うことができる。
【0027】
図6に示すように、次に、シランカップリング層40の表面に塗装する。本実施形態では、塗料51を噴射するスプレーガン120を用いて塗装する。その後、塗料51を所定の時間乾燥させることにより、シランカップリング層40の表面に塗膜50を形成する(塗膜形成工程)。これにより、シランカップリング剤41の有機官能基であるアミノ基が、塗料51と化学的に結合される。
【0028】
次に、図7図9を参照して、実施例及び比較例について説明する。
(実施例)
実施例は、本実施形態のめっき部品の製造方法により製造しためっき部品である。
【0029】
(比較例)
比較例は、本実施形態のめっき部品の製造方法において、洗浄工程とシランカップリング層形成工程との間に乾燥工程を加えて製造しためっき部品である。なお、乾燥工程は、クロムめっき30が形成された基材20を加熱して乾燥させる工程である。比較例の乾燥工程における加熱温度は70℃であり、加熱時間は30分である。
【0030】
本願発明者は、周知のX線光電子分光法(XPS)により、実施例及び比較例におけるクロムめっき30の表面分析を行った。その結果、図7に示すように、洗浄工程の直後におけるクロムめっき30の最表面には、クロム水酸化物を含む被膜30aが点在すること、及び同最表面における被膜30a同士の間には金属クロムが露出する露出部30bが存在することが判明した。なお、クロム水酸化物は、シランカップリング剤41と化学的に強固に結合するCr(OH)を含んでいる。
【0031】
また、図8に示すように、実施例及び比較例では、クロムめっき30の最表面におけるCrに対するSiの比率(以下、単に組成比と称する)が異なることが判明した。より詳しくは、実施例の組成比は、比較例の組成比よりも約3.4倍大きいことが判明した。このことから、実施例におけるクロムめっき30の最表面には、Siを主成分とするシランカップリング層40が化学的に結合された部分が比較例よりも多く存在すると考えられる。すなわち、実施例におけるクロムめっき30の最表面には、比較例におけるクロムめっき30の最表面よりも、クロム水酸化物が多く存在すると考えられる。
【0032】
以上のことから、洗浄工程とシランカップリング層形成工程との間において、洗浄されたクロムめっき30の表面を加熱するか否かによって、クロムめっき30の表面における金属クロムに対するクロム水酸化物の割合が変化することが判明した。すなわち、洗浄されたクロムめっき30の表面を加熱しない場合には、加熱する場合に比べて、クロムめっき30の表面における金属クロムに対するクロム水酸化物の割合が増加する。
【0033】
次に、実施例及び比較例に対してプルオフ試験を行った結果について説明する。
プルオフ試験では、まず、試験円筒をめっき部品の塗膜50の表面に接着剤により接着する。そして、試験円筒を引張試験機により所定の引張速度で引っ張り、塗膜50が剥離した際の強度を密着強度として測定する。
【0034】
また、めっき部品の耐水性について評価すべく、耐水試験の前後における実施例及び比較例の密着強度を求めた。なお、耐水試験では、めっき部品を40℃の水に360時間浸漬させた。
【0035】
図9に示すように、プルオフ試験によって、実施例における密着強度は、比較例における密着強度と比較して、耐水試験前では約1.05倍高く、耐水試験後では約2.42倍高いという結果を得た。
【0036】
以上のことから、上記乾燥工程を行うことなく、洗浄工程の直後にシランカップリング層形成工程を行うことによって、クロムめっき30とシランカップリング層40とが結合する割合が増加する。結果として、クロムめっき30に対するシランカップリング層40の密着強度、ひいては、クロムめっき30に対する塗膜50の密着強度が向上すると考えられる。
【0037】
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のめっき部品の製造方法によれば、クロム水酸化物が点在するクロムめっき30の表面にシランカップリング層40が形成される。このため、シランカップリング剤41の水酸基と、上記クロム水酸化物の水酸基とが化学的に結合される。ここで、クロムめっき30の表面を加熱しないことによってクロムめっき30の表面におけるクロム水酸化物の数が増加することで、シランカップリング剤41の水酸基に対して化学的に結合するクロム水酸化物の水酸基の数を増やすことができる。したがって、クロムめっき30とシランカップリング層40とが化学的に結合されやすくなる。そして、シランカップリング層40の表面に塗膜50が形成されることで、シランカップリング剤41の有機官能基と塗膜50とが化学的に結合される。このように、クロムめっき30と塗膜50とがシランカップリング層40を介して結合されるため、クロムめっき30に対して塗膜50が剥離しにくくなる。
【0038】
本実施形態の効果について説明する。
めっき工程では、基材20の表面にクロムめっき30を形成する。洗浄工程では、基材20に形成されたクロムめっき30の表面を洗浄液により洗浄する。シランカップリング層形成工程では、洗浄されたクロムめっき30の表面にシランカップリング剤41を用いて表面処理することでシランカップリング層40を形成する。塗膜形成工程では、シランカップリング層40の表面に塗装することにより、塗膜50を形成する。洗浄工程とシランカップリング層形成工程との間において、クロムめっき30の表面を加熱しない。
【0039】
こうした方法によれば、上述した作用を奏することから、エンブレム10における塗膜50の剥離を抑制できる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0040】
・基材20は、ABS樹脂に限定されない。他に例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などの種々の樹脂材料を用いることができる。また、基材20として、金属材料を用いることもできる。
【0041】
・洗浄装置100における洗浄槽の数は、適宜変更できる。洗浄槽の数は、例えば、1つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
・洗浄装置100は、オーバーフロー形式のものに限定されず、他に例えば、アンダーフロー形式のものであってもよい。
【0042】
・洗浄工程の後に、クロムめっき30を加熱して乾燥させる乾燥工程を行うようにしてもよい。この場合、めっき工程、洗浄工程、乾燥工程、及びシランカップリング層形成工程、及び塗膜形成工程がこの順で行われる。乾燥工程としては、例えば、クロムめっき30の表面を40℃以下の温風によって4時間以上乾燥させることが好ましい。こうした方法であっても、本実施形態におけるめっき部品の製造方法の効果に準じた効果を奏することができる。
【0043】
・シランカップリング剤41は、3-アミノプロピルトリメトキシシランに限定されない。クロムめっき30に含まれるクロム水酸化物に結合する加水分解基と、塗料51に結合する有機官能基とを有するものであれば、種々のシランカップリング剤を用いることができる。
【0044】
・シランカップリング層形成工程では、基材20の溶液111への浸漬に代えて、スプレーガンやコータなどを用いて、溶液111をクロムめっき30の表面に塗布するようにしてもよい。
【0045】
・本実施形態では、めっき部品の製造方法の一例として車両用のエンブレム10の製造方法を例示したが、同様の方法を、例えば、車両用のラジエータグリルなどの種々のめっき部品に対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10…エンブレム
20…基材
30…クロムめっき
30a…被膜
30b…露出部
40…シランカップリング層
41…シランカップリング剤
50…塗膜
51…塗料
100…洗浄装置
101…第1洗浄槽
102…第2洗浄槽
103…第3洗浄槽
110…処理槽
111…溶液
120…スプレーガン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9