(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】クリーニング機構を有するバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 51/00 20060101AFI20240529BHJP
F16T 1/22 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16K51/00 A
F16T1/22 E
(21)【出願番号】P 2019228739
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096488(JP,A)
【文献】実開平04-032394(JP,U)
【文献】特開2015-215027(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051704(WO,A1)
【文献】特開2019-211050(JP,A)
【文献】国際公開第2020/021794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/18
F16K 51/00
F16T 1/00 - 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入するバルブ本体、
バルブ本体に設けられた開閉可能な流路であって、バルブ本体に流入した流体を一次側から二次側に通過させるための流路、
流路に対し進入可能な進入部を有するクリーニング手段であって、所定の進退動作を行うことによって、進入部が流路に進入した状態のクリーニング位置、及び進入部が流路から退避した状態の待機位置の間を移動可能なクリーニング手段、
を備えたクリーニング機構を有するバルブにおいて、
クリーニング手段の進入部は、流路に向けて漸次外径が大きくなる先端テーパー面手段、当該先端テーパー面手段の最大外径
の外縁に連続する円部手段、当該円部手段
の外縁に連続し、流路に向けて漸次外径が小さくなり、頂点が流路に向かって位置する円錐形状をもって突出する突出部を有しており、
クリーニング位置にあるとき、進入部が有する円部手段が、流路から一次側に向けて貫通して位置する、
ことを特徴とするクリーニング機構を有するバルブ。
【請求項2】
請求項1に係るクリーニング機構を有するバルブにおいて、
突出部が有する円錐形状は、クリーニング手段の中心軸上に頂点が位置するよう形成されている、
ことを特徴とするクリーニング機構を有するバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係るクリーニング機構を有するバルブは、バルブの流路をクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブの流路をクリーニングする技術の適用先としては、たとえばスチームトラップがある。産業プラントには、ボイラーで生成された蒸気等を供給先に向けて高温・高圧で移送する配管系統が設置されていることがある。そして、この配管内で蒸気が液化しドレン(蒸気の凝縮水)が発生した場合、蒸気等の移送の障害になるため、適宜、ドレンを配管外に排出する必要がある。
【0003】
このために、配管系統の随所に設けられているのがスチームトラップである。フロート式スチームトラップは内部に中空のフロートを備えており、スチームトラップにドレンが流入した場合、このフロートが浮上し、スチームトラップに設けられているドレン排出口を開放する。ドレン排出口が開放されると配管内の高圧の勢いに従い、ドレンは自動的に配管外に排出される。ドレン排出後はフロートが下降してドレン排出口を閉塞するため、蒸気漏れは生じない。
【0004】
ところで、このドレン排出口には、ゴミやスケール等の異物が付着堆積して詰まりが生じることがある。詰まりが生じた場合、フロートが浮上しても適正にドレンが排出されない。
【0005】
このような事態に対処するために、後記特許文献1に開示されているスチームトラップがある。このスチームトラップには、排出通路16にドレン排出口である小径部16aが形成されている。そして、この小径部16aに向けて進退可能に清掃部材30を設け、この清掃部材30にはバイメタル22が取り付けられている。バイメタル22は螺旋形状を有しており、温度変化に応じて軸方向に伸縮する変位部材である(特許文献1、段落番号[0014]、[0015])。なお、清掃部材30の先端には、先端面が平坦な小径部(先端部)34が形成されている(特許文献1、段落番号[0019]、
図1ないし
図4)。
【0006】
ドレン排出口である小径部16aに詰まりが生じた場合、排出通路16に向けてドレンが排出されなくなり、バイメタル22が高温のドレンに曝されなくなる。これによってバイメタル22が伸長し、清掃部材30を前進させて小径部(先端部)34をドレン排出口である小径部16aに進入させる。これによって、小径部(先端部)34の平坦な先端面で異物を押し出して小径部16aから異物を除去しクリーニングを行う(特許文献1、段落番号[0022]、[0023])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述の特許文献1に開示された技術においては、ゴミやスケール等の異物の特性によっては、清掃部材30が適正に異物を除去できない場合があり、確実なクリーニング動作を行うことができない虞がある。
【0009】
すなわち、前述のように清掃部材30の小径部(先端部)34はその先端面が平坦であり、この平坦な先端面で異物を押し出して除去する。しかし、ドレン排出口である小径部16aへの付着状況によっては、異物が比較的固くなっていることがあり、このような場合、平坦な先端面で異物を十分に押し出すことができない虞がある。
【0010】
小径部16aへの付着状況としては、たとえば固形物が異物としてスチームトラップに流入し、ドレン排出口である小径部16aに付着堆積することがある。また、たとえば配管系統上に位置する他のバルブであって、スチームトラップの一次側に位置する他のバルブにも詰まりが生じ、スチームトラップにドレンが流入しなくなった場合、ドレン排出口である小径部16aに付着堆積した異物が乾燥する結果、固くなることがある。
【0011】
そこで本願に係るクリーニング機構を有するバルブの目的は、比較的固い異物も除去することが可能であり、確実にクリーニングを行うことができるクリーニング機構を有するバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願に係るクリーニング機構を有するバルブは、
流体が流入するバルブ本体、
バルブ本体に設けられた開閉可能な流路であって、バルブ本体に流入した流体を一次側から二次側に通過させるための流路、
流路に対し進入可能な進入部を有するクリーニング手段であって、所定の進退動作を行うことによって、進入部が流路に進入した状態のクリーニング位置、及び進入部が流路から退避した状態の待機位置の間を移動可能なクリーニング手段、
を備えたクリーニング機構を有するバルブにおいて、
クリーニング手段の進入部は、流路に向けて突出する突出部を有している、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願に係るクリーニング機構を有するバルブにおいては、クリーニング手段の進入部が、流路に向けて突出する突出部を有している。このため、クリーニング手段の進入部の進入による押圧力を突出部に集中させることができる。したがって、比較的固い異物も除去することが可能であり、確実にクリーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第1の実施形態を示すスチームトラップ90の一部断面図である。
【
図2】
図1に示す弁座50及びクリーニングバー2の先端近傍の拡大図であって、待機状態を示す拡大図である。
【
図3】
図1に示すクリーニングバー2の先端の拡大図である。
【
図4】
図1に示す弁座50及びクリーニングバー2の先端近傍の拡大図であって、クリーニング状態を示す拡大図である。
【
図5】本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第2の実施形態を示すクリーニングバー200の先端の拡大図である。
【
図6】本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第3の実施形態を示すクリーニングバー300の先端の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係るクリーニング機構を有するバルブの下記の要素に対応している。
【0016】
クリーニングバー2、200、300・・・クリーニング手段
小径バー25、225、325、先端テーパー面27、227、327、円部28、228、328、円錐部29、229、小径突出バー340・・進入部
円錐部29、229、小径突出バー340・・・突出部
頂部29a、229a・・・頂点
オリフィス51・・・流路
スチームトラップ90・・・バルブ
上部本体91及び下部本体92・・・バルブ本体
軸中心線L10・・・中心軸
ドレン・・・流体
クリーニング状態における位置・・・クリーニング位置
待機状態における位置・・・待機位置
なお、本実施形態において、「突出」とは先端に向けて高く突き出ていることを意味する。また、「円錐形状」とは、完全な円錐形状のほか、頂点に相当する先端部分が微小な平坦面であるもの、曲面が湾曲しているもの等、略円錐形状も含む意味である。
【0017】
[第1の実施形態]
本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第1の実施形態を説明する。本実施形態では、本願に係るクリーニング機構を有するバルブをスチームトラップに適用した例を掲げる。
【0018】
(スチームトラップの構成及び動作の説明)
産業プラントには、ボイラーで生成された蒸気を供給先に向けて高温・高圧で移送する配管系統が設置されていることがある。この配管内で蒸気が液化するとドレン(蒸気の凝縮水)が滞留し、蒸気の移送の障害になる。
【0019】
このような事態を回避するために、配管には随所に多数のスチームトラップが設けられている。
図1は本実施形態におけるスチームトラップ90の断面図である。上部本体91及び下部本体92が、スチームトラップ90の本体を構成している。上部本体91と下部本体92とはボルト94によって固定され、内部に気密性を保った弁室95を形成する。
【0020】
配管の主管(図示せず)には支管81が連通して設けられており、この支管81に、上部本体91に形成された流入口97が接続される。そして、流入口97 から弁室95内に蒸気やドレンが矢印101方向に流入する。なお、弁室95の上部には、網状のストレーナ80が設けられており、蒸気やドレンはこのストレーナ80を透過して弁室95に流入する。ストレーナ80を透過することによって、蒸気やドレンに混入しているゴミやスケール等の異物がストレーナ80によって捕捉される。
【0021】
弁室95の下方には、内部に弁座空間50sを備えた弁座50が固定されており、この弁座50には弁室95と弁座空間50sとを連通させるオリフィス51が形成されている。そして、弁座50の後方には中間筒58が位置しており、弁座空間50sはこの中間筒58内に形成された中間室53に通じている。なお、弁座空間50sは、上部本体91及び下部本体92に連続的に形成されている流出路98にも連通している。
【0022】
そして、流出路98は、上部本体91の流出口99に接続されたドレン回収管82に連通している。これによって、弁室95内に滞留したドレン9を、オリフィス51を通じてドレン回収管82に向けて矢印102方向に排出することができる。なお、本実施形態において、オリフィス51を基点とした弁室95側が一次側、弁座空間50s以後の経路が二次側である。
【0023】
弁室95内には、中空の球状体として構成されたフロート70が浮動可能に配置されている。弁室95内に滞留したドレン9の水位が基準レベルL1にあるとき、フロート70は
図1に示す状態に位置し、オリフィス51を閉塞する。
【0024】
弁室95にドレンが流入してドレン9の水位が上昇した場合、フロート70はこれに従って矢印103に浮上し、ドレン9の水位が開放レベルL2に達したときオリフィス51を完全に開放する(図示せず)。これによって、弁室95内に滞留したドレン9は、配管内の高圧に基づく勢いに従い、オリフィス51から弁座空間50s及び流出路98を通して矢印102方向に抜け、ドレン回収管82に排出される。
【0025】
排出後は、弁室95内のドレン9の水位が下降するため、これに従ってフロート70も下降し、ドレン9の水位が基準レベルL1に戻ったとき、フロート70は
図1に示す状態に復位してオリフィス51を閉塞する。こうして、フロート70の上昇、下降によってオリフィ51が開閉を繰り返すが、オリフィス51は常時、ドレン9に水没した状態にあるため、オリフィス51から蒸気漏れが生じることはない。
【0026】
中間筒58に形成された中間室53内には、クリーニングバー2が設けられている。このクリーニングバー2の軸中心線は、オリフィス51、弁座空間50s及び中間室53の軸中心線L10に一致するように配置されている。クリーニングバー2は、いずれの個所においても軸中心線に直行する断面が円であるバー形状を備えている。クリーニングバー2の後端側には、螺旋形状を有するバイメタル4が取り付けられている。なお、図において、クリーニングバー2及びバイメタル4は断面図ではなく側面図として表されている。
【0027】
バイメタル4は、熱膨張係数の異なる二種類の金属又は合金を強固に接着した感温部材である。すなわち、バイメタル4は、周辺温度が所定の基準温度よりも高温になると螺旋半径が大きくなって軸方向における全体の長さが収縮し、逆に基準温度よりも低温になると螺旋半径が小さくなって軸方向における全体の長さが伸長する。
【0028】
バイメタル4の後端は、中間筒58の後端キャップ54に固定されており、バイメタル4の先端は、クリーニングバー2に固着している受け部20に固定されている。すなわち、バイメタル4が低温に曝され伸長した場合、これに従ってクリーニングバー2は
図1に示す状態から矢印106方向に前進し、逆にバイメタル4が高温に曝され収縮した場合、これに従ってクリーニングバー2は矢印105方向に後退する。
【0029】
なお、通常時においては、頻繁にフロート70が浮上してオリフィス51を開放し、オリフィス51から高温のドレンが排出され、中間筒58の先端面58aに形成された空間からドレンが中間室53に流入するため、バイメタル4は高温のドレンに曝された状態にある。したがって、通常時、バイメタル4は収縮しており、これに従ってクリーニングバー2は
図1に示す位置にある。
【0030】
図2(待機状態)は、
図1に示す弁座50及びクリーニングバー2の先端近傍の拡大図であり、さらに
図3はクリーニングバー2の先端の拡大図である。
図3に示すように、クリーニングバー2のバー本体21の先端側には、先端に向けて漸次径が小さくなる本体テーパー面23が形成されており、この本体テーパー面23に連続して、バー本体21の径よりも小さな径を備えた小径バー25が形成されている。
【0031】
そして、さらに小径バー25に連続して先端に向けて漸次径が大きくなる先端テーパー面27が形成されている。先端テーパー面27の先端部分には円部28を介して円錐部29が形成されている。この円錐部29の頂部29aは、軸中心線L10上に位置するように配置されている(
図2参照)。
【0032】
なお、円錐部29と先端テーパー面27との境界に位置する円部28の直径は、オリフィス51の内径よりもやや小さく構成され、円部28はオリフィス51の内径とほぼ同様の大きさを有している。また、クリーニングバー2のバー本体21には、軸中心線L10に直行する方向に向けて貫通バー6が貫通している。この貫通バー6の両端は、弁座空間50sの内周面に近接して配置されている(
図2参照)。
【0033】
(クリーニング動作の説明)
スチームトラップ90に流入する蒸気やドレンに混入しているゴミやスケール等の異物は、前述のようにストレーナ80によって捕捉されるが、細かい異物はストレーナ80を透過して弁室95に侵入する。そして、
図2に示すように、オリフィス51部分に異物75が付着堆積した場合、オリフィス51を塞ぎ、ドレンを適正に排出することができないといった詰まり状態が作動不良として発生することがある。特に、オリフィス51は、フロート70の球面で確実に閉塞することができるよう、一般に小径に形成されているため、詰まり状態が発生しやすい。なお、本実施形態における異物75は、比較的固い固形物である。
【0034】
詰まり状態が発生した場合、オリフィス51から中間室53に向けて高温のドレンが排出されなくなる。そして、その結果バイメタル4は高温に曝されなくなって周辺温度が低下し、基準温度を下回った時点で自動的に伸長を開始する。これに従って、クリーニングバー2は矢印106方向に押圧されて前進し、クリーニングバー2の先端部分が異物75に達する。
【0035】
ここで、前述のようにクリーニングバー2の先端には円錐部29が位置しており、円錐部29の頂部29aが異物75に突き刺さる。円錐部29の頂部29aには、クリーニングバー2の矢印106方向への押圧力が集中する。また、円錐部29の頂部29aは、軸中心線L10上に位置するように配置されているため、バイメタル4による螺旋方向の押圧力が偏ってクリーニングバー2に加わっても、効率よく押圧力を頂部29aに集中させることができる。このため、円錐部29の頂部29aによって比較的固い異物75に破壊箇所を確実に生じさせることができる。
【0036】
この後、クリーニングバー2は矢印106方向にさらに前進し、クリーニングバー2の円錐部29が有するテーパー面が異物75に向けて進入し、異物75の破壊箇所を押し広げて拡大させ異物75を完全に破壊する。
【0037】
そして、引き続きクリーニングバー2が矢印106方向に前進し、オリフィス51にクリーニングバー2の先端テーパー面27が位置したとき、オリフィス51との間に僅かな隙間が生じ、この隙間から剥ぎ落された異物75が高圧の作用によって高速で排出される。この隙間は、クリーニングバー2の矢印106方向への前進により、先端テーパー面27の斜面に沿って徐々に大きくなり、オリフィス51周囲に残存した異物75がこの隙間から確実に排出される。
【0038】
その後、クリーニングバー2はさらに矢印106方向に前進し、オリフィス51に小径バー25が達する。小径バー25の径はオリフィス51よりも十分に小さいため、ドレンの流通抵抗を低く抑えることができ、十分な流量のドレンがオリフィス51から排出される。
【0039】
クリーニングバー2の矢印106方向への前進が限界に達した状態が
図4(クリーニング状態)である。クリーニングバー2に固着した受け部20が、中間筒58の先端面58aに当接することによってクリーニングバー2の矢印106方向への前進は停止し(
図1参照)、限界位置になる。
【0040】
なお、ドレンの詰まり状態が生じている場合、弁室95内のドレンの充満によってフロート70は浮上してオリフィス51から離れて位置しているため、オリフィス51から突出した円錐部29がフロート70を損傷させることはない。
【0041】
オリフィス51に付着堆積した異物75が除去され、オリフィス51からドレンが排出されたことによって中間筒58の中間室53にもドレンが流入し、バイメタル4は高温のドレンに曝されることになる(
図1)。これによってバイメタル4は収縮を開始し、クリーニングバー2はバイメタル4の収縮によって矢印105方向に引き下げられて後退し、
図2に示す待機位置に復位する。
【0042】
なお、前述のように、クリーニングバー2のバー本体21には、両端が弁座空間50sの内周面に近接して配置されている貫通バー6が設けられているため、貫通バー6の両端によってクリーニングバー2の進退が補助され、軸中心線l10からの頂部29aのぶれが抑えられる。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第2の実施形態を
図5に基づいて説明する。
図5は、本実施形態におけるクリーニングバー200の先端部分の拡大図である。
【0044】
本実施形態において、クリーニングバー200が、バー本体221、先端に向けて漸次径が小さくなる本体テーパー面223、バー本体221の径よりも小さな径を備えた小径バー225、先端に向けて漸次径が大きくなる先端テーパー面227、円部228、及び頂部229aが形成された円錐部229を備えている点は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
ここで、本実施形態における円錐部229は、その底面に当たる部分の直径が円部228の直径よりも小さく、円部228の周囲に先端に向けて形成される周平坦部230が設けられている。そして、円部228の直径がオリフィス51(
図4参照)の内径とほぼ同様であることから、クリーニングバー200が前進し、円錐部229の頂部229aで異物75(
図2参照)を破壊した後、引き続きクリーニングバー200が前進した際、オリフィス51部分に残存する異物75を周平坦部230が押し出すことができる。なお、本実施形態におけるスチームトラップのその他の構成、動作は前述の第1の実施形態と同様である。
【0046】
[第3の実施形態]
次に、本願に係るクリーニング機構を有するバルブの第3の実施形態を
図6に基づいて説明する。
図6は、本実施形態におけるクリーニングバー300の先端の拡大図である。
【0047】
本実施形態において、クリーニングバー300が、バー本体321、先端に向けて漸次径が小さくなる本体テーパー面323、バー本体321の径よりも小さな径を備えた小径バー325、先端に向けて漸次径が大きくなる先端テーパー面327、及び円部328を備えている点は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
ここで、本実施形態における円部328には、小径突出バー340が突出して設けられており、この小径突出バー340の先端面340aは平坦面として形成されている。小径突出バー340はバー本体321に比較して極端に細く形成されており、その先端面340aも狭小である。このため、クリーニングバー300が前進して異物75(
図2参照)を押圧した場合、第1の実施形態における頂部29aと同様、小径突出バー340の先端面340aによって異物75を破壊することが可能である。
【0049】
そして、クリーニングバー300が前進して異物75を破壊した後、引き続きクリーニングバー300が前進した際、オリフィス51部分に残存する異物75を、円部328の平坦部330が押し出す。なお、本実施形態におけるスチームトラップのその他の構成、動作は前述の第1の実施形態と同様である。
【0050】
[その他の実施形態]
前述の各実施形態において示した構成及び動作は、本願に係るクリーニング機構を有するバルブの一例であり、クリーニング手段の進入部が、流路に向けて突出する突出部を有しているものである限り他の構成を採用することができる。たとえば、各実施形態において示した突出部とは異なる形状、構成を採用してもよい。また、第3の実施形態において示した小径突出バー340の平坦な先端面を尖った形状に構成することができる。
【符号の説明】
【0051】
2、200、300:クリーニングバー 25、225、325:小径バー
27、227、327:先端テーパー面 28、228、328:円部 29、229:円錐部
29a、229a:頂部 51:オリフィス 90:スチームトラップ 91:上部本体
92:下部本体 340:小径突出バー L10:軸中心線