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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/22 20060101AFI20240529BHJP
   B67C 3/02 20060101ALI20240529BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B67C3/22
B67C3/02 A
B65B39/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021155381
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046665
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591158003
【氏名又は名称】株式会社中部機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】横山 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】舩木 満浩
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-327676(JP,A)
【文献】特開2011-173648(JP,A)
【文献】特開昭47-019981(JP,A)
【文献】実開平05-068899(JP,U)
【文献】特公平05-014150(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3144450(JP,U)
【文献】特開平05-305997(JP,A)
【文献】特開2020-147336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/22
B67C 3/02
B65B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、
ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24)とを備え、
前記ノズルバルブ部(40)から下流側の離隔した位置に、内周面(51B)との間に容積が可変する可容積空間(53)を形成する可撓性チューブ(52)を備えた可変チャンバ部(50)が設けられ、
前記可変チャンバ部(50)には吸引機構(60)が接続され、前記吸引機構(60)は前記ピストン(11)のタイミングを基準に動作するように構成されている
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項2】
請求項1に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記可変チャンバ部(50)の前記内周面(51B)は径方向外側に凹んでおり、前記可撓性チューブ(52)は前記吸引機構(60)が動作するときに径方向外側に変形する
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項3】
請求項1又は2項に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、先端にスリット部(24a)を有し、液体が流れるときの液体の圧力によって前記スリット部(24a)が開口し、液体の圧力が大気圧より低い圧力になるときに閉じるような可撓性を有する可撓性ノズル(24)から成る
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項4】
請求項1又は2項に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、多孔部材から成る
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項5】
ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24)とを備えた充填装置(100)であって、
前記ノズルバルブ部(40)から下流側の離隔した位置に、内周面(51B)との間に容積が可変する可容積空間(53)を形成する可撓性チューブ(52)を備えた可変チャンバ部(50)が設けられ、
前記可変チャンバ部(50)には吸引機構(60)が接続され、前記吸引機構(60)は前記ピストン(11)のタイミングを基準に動作するように構成されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項6】
請求項5に記載の充填装置(100)において、
前記可変チャンバ部(50)の前記内周面(51B)は径方向外側に凹んでおり、前記可撓性チューブ(52)は前記吸引機構(60)が動作するときに径方向外側に変形する
ことを特徴とする充填装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の充填装置(100)において、
前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、先端にスリット部(24a)を有し、液体が流れるときの液体の圧力によって前記スリット部(24a)が開口し、液体の圧力が大気圧より低い圧力になるときに閉じるような可撓性を有する可撓性ノズル(24)から成る
ことを特徴とする充填装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の充填装置(100)において、
前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、多孔部材から成る
ことを特徴とする充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に関し、より詳細には充填シリンダ内部を充填ピストンが往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置において充填ノズルからの液垂れを好適に防止することが可能な充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生クリーム、乳飲料やジュース等を充填する容器として、ゲーブルトップと呼ばれる上部が三角屋根状に成形された紙製角筒容器(以下「紙パック容器」という。)が広く利用されている。この紙パック容器の成形から内容物充填及びシールまでの一連の工程を実施する充填シール装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、これら充填シール装置において内容物(液体)を紙パック容器に充填するための充填装置として、シリンダ内部をピストンが摺動し、ピストンが下降することにより液体貯蔵タンクからシリンダ内部に液体が吸い込まれると共に、ピストンが上昇することにより吸い込まれた液体が充填ノズルから紙パック容器に吐出されるように構成された充填装置が知られている(例えば、特許文献2を参照。)
【0004】
上記充填装置は、バネによって常時閉方向に付勢された、液体の吸込みに係る吸入バルブと、液体の吐出に係るノズルバルブが別個独立に備わる。吸入バルブは、ピストンが上死点から下死点に移動する過程でシリンダ内部が負圧になることによって開状態になる。これにより液体がシリンダ内部に吸い込まれ始め、液体の吸込みはピストンが下死点に達するまで続くことになる。一方、ピストンが下死点から上死点に移動する過程で、液体が圧縮されることにより吸入バルブは閉状態になる。
【0005】
他方、ノズルバルブは、ピストンが下死点から上死点に移動する過程で液体が圧縮されることによって開状態になる。これにより液体がノズルから紙パック容器に充填される。一方、ピストンが上死点から下死点に移動する過程でシリンダ内部が負圧になることによってノズルバルブは閉状態になる。この場合、シリンダからの液の供給は停止するとともに、ノズルバルブ下流からノズル出口に到る内部流路の液体は、ノズル出口に設けられたバルブによりノズル内に保持される。
【0006】
また、ノズルバルブ下流からノズル出口に至る内部流路の流体をノズル出口に設けられたワイヤースクリーンや、可撓性のノズルによって保持されるものがある(特許文献5を参照。)。このような技術では、ワイヤースクリーンや可撓性ノズルの液体保持力が小さいと、その内部流路内の液体はノズルから垂れて紙パック容器に付着することが起こり得る。
【0007】
特許文献5の可撓性のノズルは、ノズルの下端に複数の折り目を有するラグが形成されており、ラグは、可撓性のため液体がノズルを通過するとき半径方向に開き、液体の圧力が無いときに材料の可撓性により閉じるようになされている。特許文献5の弁装置では、充填終了後の戻り運動時に、弁体が通路を閉じた後、更に閉位置に向けて移動することにより、作動室の容積が増加して、負圧が発生する。この負圧は閉じたラグを吸い付け(押し付け)、液体の事後滴下を防止する。特許文献5の弁装置において、液だれを十分に防止することができるように、ラグの閉じる力を大きくすると、充填する液体の圧力によっては、開放しない場合があり、確実性に欠けるという問題がある(特許文献4段落
【0008】
参照)。
【0009】
このようなノズルバルブが閉状態になった後のノズルからの液垂れを好適に防止する機構として、ノズルバルブが外筺14とその内側に配置された可撓性の閉鎖膜18とからなり、外筺14と閉鎖膜18との隙間にエアを供給することによって閉鎖膜18が流路を閉じる一方、エアを逃気することにより閉鎖膜18が流路を開くように構成されている送出弁を採用した ノズルバルブが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0010】
このノズルバルブでは、送出弁を閉じた後閉鎖膜18が閉状態を維持できる範囲内で、外筺14と閉鎖膜18との隙間からエアを逃気する(減圧する)ことにより、閉鎖膜18の内径を拡径させている。その結果、送出弁とノズル開口部との間の内容積が増大し、これにより送出弁とノズル開口部との間 の内圧が大気圧より負圧になる。この負圧によって、ノズル先端から液を吸い上げてノズルからの液垂れを防止するようにしている。
【0011】
また、液体を吐出するための吐出口と、開状態となったときに吐出口へ向けて液体を流す吐出バルブと、その吐出バルブと吐出口との間に形成される液体室の中に突出する液体吸引部材とを有する充填ノズルが知られている(例えば、特許文献6を参照。)。
【0012】
上記液体吸引部材は、液体室内への突出量が大きい張出位置と、その液体室内への突出量が小さい引込位置との間で移動するようになっている。吐出バルブが閉状態となった後、液体吸引部材が張出位置から引込位置へ移動することにより、液体室内が負圧状態となり、吐出口から垂れようとしている液体が液体室内に戻されることとしている。
【0013】
また、ノズル開口部に、 複数箇所において径方向内側に突出したくせを有する弾性チューブと、径方向に沿って往復移動する複数の押圧部材とを有する充填バルブであって、押圧部材が弾性チューブを径方向内側に押すことによって閉状態になる一方、押圧部材が径方向外側に移動することによって開状態になる充填バルブが知られている(例えば、特許文献4を参照。)。なお、充填バルブが開状態になる場合、弾性チューブの径方向内側に突出したくせは、真空手段によって逆方向に引っ張ることにより解消することとしている(特許文献4の[0023]を参照。)。また、上記充填バルブをノズルの先端に設けることにより、ノズルからの液垂れを防止することが可能になることとしている(特許文献4の[0022]を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特許第4334115号
【文献】特許第4779229号
【文献】特開昭47-19981号公報
【文献】特開2006-327676号公報
【文献】特公平5-14150号公報
【文献】実公平3-126899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献3及び特許文献4に記載のノズル装置では、いずれも液体を充填する際に開閉するバルブの駆動装置が必要になる。すなわち、特許文献3に記載のノズルでは、閉鎖膜18と外筺14との間に調整された圧力の空気を供給する手段が必要であり、特許文献5に記載されたノズル装置では、弾性チューブを径方向内側に移動させる押圧装置の駆動装置や、弾性チューブを開放させるための真空手段が必要となる。
【0016】
なお、上記特許文献3に記載のノズル装置では、 閉鎖膜18を閉じた後約0.2~2秒後にその隙間の空気圧を5気圧から2気圧に減圧することとしている。そのため、外筺14と閉鎖膜18との隙間の圧力を正確に制御するための圧力調整機構が必要となる。
【0017】
また、上記特許文献5に記載の弁装置について、弁体が閉位置に移動する際に作動室の容積が増加し、これにより作動室の圧力が大気圧より低い負圧になることとしている。負圧の程度は、弁体が開位置から閉位置に移動したときの作動室の増加容積(ΔV)と、弁体が開状態であるときの作動室の容積(V)との比(ΔV/V)に依存する 。
【0018】
作動室の増加容積(ΔV)は弁体の移動量によって決まるが、弁体の移動量が小さいと、十分な負圧が得られないという問題がある。
【0019】
上記特許文献6に記載の充填ノズルは、液体吸引部材(液体吸引ロッド)が吐出バルブを貫通しており、液密な摺動部分を必要とするので、精密な加工が必要となり、製造コストがかかるという問題点がある。
【0020】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、充填シリンダ内部を充填ピストンが往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置において、簡易な構成で、充填ノズルからの液垂れを好適に防止することが可能な充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するための本発明に係る紙容器成形充填機は、供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24)とを備え、前記ノズルバルブ部(40)から下流側の離隔した位置に、内周面(51B)との間に容積が可変する可容積空間(53)を形成する可撓性チューブ(52)を備えた可変チャンバ部(50)が設けられ、前記可変チャンバ部(50)には吸引機構(60)が接続され、前記吸引機構(60)は前記ピストン(11)のタイミングを基準に動作するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
上記構成では、ノズルバルブ部(30)の開閉動作とは別に、吸引機構(60)によりノズル内の容量を別個独立に変化させることが可能となる。そのため、ノズル内に生ずる負圧を十分に大きくすることができ、充填ノズル部(30)から液体が垂れ落ちることを好適に防止することが可能となる。
【0023】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記可変チャンバ部(50)の前記内周面(51B)は径方向外側に凹んでおり、前記可撓性チューブ(52)は前記吸引機構(60)が動作するときに径方向外側に変形することである。
【0024】
上記構成では、吸引機構(60)の真空圧(負圧)については、例えば可撓性チューブ(52)が可変チャンバ部(50)の内周面(51B)に押し付けられる程度以下の真空圧であれば良いことになる。そのため、真空圧についての複雑な圧力制御が不要となる。
【0025】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、先端にスリット部(24a)を有し、液体が流れるときの液体の圧力によって前記スリット部(24a)が開口し、液体の圧力が大気圧より低い圧力になるときに閉じるような可撓性を有する可撓性ノズル(24)から成ることである。
【0026】
上記構成では、果物片ナッツなどを含む非均質物体を含む液体の充填が可能になる。
【0027】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は 多孔部材から成ることである。
【0028】
上記構成では、ノズルから吐出する液体の流れを整流することができ、液体の跳ね飛びを防止することができる。
【0029】
また、上記目的を達成するための本発明に係る充填装置は、ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24)とを備えた充填装置(100)であって、前記ノズルバルブ部(40)から下流側の離隔した位置に、内周面(51B)との間に容積が可変する可容積空間(53)を形成する可撓性チューブ(52)を備えた可変チャンバ部(50)が設けられ、前記可変チャンバ部(50)には吸引機構(60)が接続され、前記吸引機構(60)は前記ピストン(11)のタイミングを基準に動作するように構成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記可変チャンバ部(50)の前記内周面(51B)は径方向外側に凹んでおり、前記可撓性チューブ(52)は前記吸引機構(60)が動作するときに径方向外側に変形することである。
【0031】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、先端にスリット部(24a)を有し、液体が流れるときの液体の圧力によって前記スリット部(24a)が開口し、液体の圧力が大気圧より低い圧力になるときに閉じるような可撓性を有する可撓性ノズル(24)から成ることである。
【0032】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記充填ノズル部(20)の内部の液体を保持する前記保持部材は、多孔部材から成ることである。
【発明の効果】
【0033】
本発明の紙容器成形充填機(1)及び充填装置(100)によれば、充填シリンダ(10)内部を充填ピストン(11)が往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置(100)において充填ノズル(20)からの液垂れを好適に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の動作を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の液体充填部の要部断面を示す説明図である。
図4】液体充填部におけるノズルバルブの下流側を示す説明図である。
図5】液体充填部の動作タイミングを示す説明図である。
図6】真空発生器が作動したときのフレキシブルノズルの変化を示す説明図である。
図7】紙パック容器用カートン上部の展開図を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0036】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填機1を示す説明図である。図1はこの紙パック容器成形充填機1の外観図である。図2はこの紙パック容器成形充填機1の動作を示すブロック図である。
【0037】
図1に示されるように、この紙パック容器成形充填機1は、カートンを有底カートンに成形するカートン底部成形部2と、内容物(充填液)の注出口となる口栓(スパウト)を装着する口栓装着部3と、カートン上部の折り目をほぐすと共にカートン上部開口を一時的に拡げるカートン上部一次折曲げ部4と、有底カートンに内容物(充填液)を充填する液体充填部100と、カートン上部開口をカートン上部加熱装置6のノズル部に嵌るように一時的に成形するカートン上部二次折曲げ部5と、カートン上部内周面及び外周面を加熱するカートン上部加熱装置6と、カートン上部をプレスしてシール(封止)するカートン上部プレス部7と、内容物が充填された紙パック容器を外部に取り出す容器搬出部8と、紙パック容器に充填される内容物を貯蔵する内容物貯蔵部9とを具備して構成される。以下、各構成について説明する。
【0038】
図2に示されるように、カートン底部成形部2は、扁平形状の複数のカートンが積層されたカートン束からバキューム装置(図示せず)によって1個ずつカートンを引き出す。カートンが引き出される過程で、点対称に配置された一対のL字片にカートンが嵌合することによって、扁平形状から両端開口の四角柱枠形状に成形される。
【0039】
両端開口の四角柱枠形状に成形されたカートンは、昇降装置(図示せず)によって引き上げられマンドレルに挿入される。なお、マンドレルは、長手方向を鉛直方向に配向されて回転円盤の周方向に沿って等間隔に複数個(例えば8個)設けられている。従って、マンドレルは45°回転→休止→45°回転→休止→・・・という工程を繰り返し、その休止の間に以降のボトム加熱、カートン下部の折り曲げ、ボトムプレス、及びカートン引降ろしが順に行われることになる。
【0040】
カートンは90°回転した後に、ボトムヒータ(図示せず)によって下部を加熱される。その後更に45°回転した後に、ボトムブレーカ(図示せず)によってカートン下部を折り目に沿って折り曲げられる。その後更に45°回転した後に、ボトムプレス(図示せず)によってカートン下部を鉛直方向(長手方向)上向きに押圧される。これにより、有底カートンが成形される。
【0041】
その後更に90°回転した後に、カートンは昇降装置(図示せず)によってマンドレルから引き下ろされて、一対の内部コンベア70によって搬送される。
【0042】
口栓装着部3は、カートン上部の口栓用開口(図7(b)のT9)に、予熱した口栓(スパウト)を押し付けてカートン内面に溶着させる。なお、口栓無しカートンを成形・充填する場合は、口栓装着部3は休止している。
【0043】
カートン上部一次折曲げ部4は、カートン上部の折り目(図7(b)の点線部T1,T5,T3,T7)の交点(図7(b)の×印近傍)を、互いに内側に向かって押してカートン上部の折り目に(押された部位が内側に凹むような)クセを付ける。その後、カートン上部を搬送方向に沿って外側に押してカートン上部開口を拡げる。なお、カートンは、一対の内部コンベア70によって挟まれた搬送路(図1)に沿って、内部コンベアのセパレート片によって姿勢を安定に保持された状態で図上右側へ搬送される。
【0044】
液体充填部100は、所定量の内容物(充填液)を有底カートン(紙パック容器)に充填する。内容物(充填液)は内容物貯蔵部9から自然落下又はポンプによって所定のラインを経由して液体充填部100に供給される。紙パック容器への充填は、充填ピストン11(図3)が所定のストローク量(図3)を移動することによって、所定量の充填液が充填ノズル部20(図3)から紙パック容器に充填される。なお、詳細については図3から図6を参照しながら後述するが、充填後に充填液が充填ノズル部20から垂れ落ちることがないように構成されている。
【0045】
カートン上部二次折曲げ部5は、再度カートン上部の折り目(図7(b)の点線部T2,T6,T4,T8)を、搬送方向に対し直交する方向に沿って内側に押してカートン上部の折り目に(押された部位が内側に凹むような)クセを付ける。その後、カートン上部二次折曲げ部5は、カートン上部開口を少しだけ押し拡げる。これは次のカートン上部加熱装置6において熱風を吹き付けるノズル部にカートン上部が好適に嵌るようにするためである。
【0046】
カートン上部加熱装置6は、カートン上部内周面及び外周面を加熱する。
【0047】
カートン上部プレス部7は、カートン上部を搬送方向に直交する方向にプレスしてカートン上部をシールする。なお、本実施形態においてプレスは2段階に分けて行われる。
【0048】
容器搬出部8は、シール済みの紙パック容器を排出コンベアによって外部に搬出する。搬送路(図1)と排出コンベアとの継ぎ目には緩やかなスロープ(図1)が設けられている。そのため、シール済みの紙パック容器は、内部コンベア70の送り力と自重によってスムーズに搬出コンベアに移送される。以下、本発明の特徴である液体充填部100について説明する。
【0049】
図3は、本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填機1の液体充填部100の要部断面を示す説明図である。図4は、液体充填部100におけるノズルバルブ40の下流側の要部断面を示す説明図である。なお、図3においてハッチングは省略されている。図4においても弁体42及び軸43についてのハッチングは省略されている。また、説明の都合上、真空発生器60は吸引していない状態としている。
【0050】
この実施形態においては、 液体充填部100は、単体では使用されずに紙パック容器成形充填機1(図1)に組み込まれて使用される。所定量の充填液を紙パック容器に吐出した後に充填ノズル部20から充填液が垂れ落ちることがないように構成されている。そのための構成として、内部を所定のストローク量で充填ピストン11が往復運動する充填シリンダ部10と、充填液を紙パック容器に吐出する充填ノズル部20と、閉じる方向にスプリング31によって常時付勢され充填シリンダ部10に対する充填液の供給を開放/停止するサクションバルブ30と、閉じる方向にスプリング41によって常時付勢され充填ノズル部20に対する充填液の供給を開放/停止するノズルバルブ40と、伸縮可能なフレキシブルチューブ52を内側壁とし金属性のチャンバ本体51を外側壁とした二重壁構造を有するバキュームチャンバ50と、フレキシブルチューブ52とチャンバ本体51との間に形成される可容積空間53を吸引する真空発生器60と、充填ノズル部20の先端に設けられ充填ピストン11の動作と連動して閉動作するフレキシブルノズル24とを具備して構成される。以下各構成について説明する。
【0051】
充填シリンダ部10は、内容物貯蔵部9から充填液を吸い込むと共に、吸い込んだ充填液を圧送する充填ピストン11と、充填ピストン11が内部を摺動すると共に、充填ピストン11が吸い込んだ充填液を一時的に蓄える円筒形状のシリンダ本体12と、サクションバルブ30が取り付けられる円盤状のシリンダヘッド13と、充填ピストン11の軸11aを軸受けするシリンダボトム14とによって構成されている。
【0052】
充填ピストン11はサーボモータ(図示せず)によって駆動される。サーボモータはモータドライバー(図示せず)によって駆動される。モータドライバーは、カートン成形部2、口栓装着部3、カートン上部二次折り曲げ部5カートン上部プレス部7及び容器搬送装置など紙パック容器成形充填機1を構成する各装置を同期して作動させるコントローラ (図示せず)からの指令によって駆動される。なお、この同期は基準エンコーダ(図示せず)の出力値(信号)から取られている。充填ピストン11を含む各アクチュエータに対するコントローラからの指令のタイミングについては、図5を参照しながら後述する。
【0053】
また、サーボモータには回転角度を計測する角度センサ、例えばエンコーダ(図示せず)が接続されている。なお、従って、充填ピストン11のストローク位置については、その角度センサの計測信号を基に上記コントローラ(図示せず)によって算出されるように構成されている。なお、詳細については図5を参照しながら後述するが、充填液の吸込についての充填ピストン11のストローク量と、充填液の吐出についての充填ピストン11のストローク量は異なるように設定されている。
【0054】
充填ピストン11が下方に移動するときに、シリンダ本体12の内部の圧力が低下する。これにより、弁体32の上下方向に圧力差が生じ、この圧力差による荷重が弁体32を押し下げようとする。その荷重がスプリング31の弾性力を上回るときに弁体32が開き始め、充填液がシリンダ本体12に吸い込まれる。他方、充填ピストン11が上方に移動するときに、吸い込んだ充填液を圧縮し、シリンダ本体12の内部の圧力が増加する。これにより、弁体42の上下方向に圧力差が生じ、この圧力差による荷重が弁体42を押し下げようとする。その荷重がスプリング41の弾性力を上回るときに弁体42は開き始め、充填液が充填ノズル部20を通って紙パック容器に吐出される。
【0055】
シリンダ本体12には配管接続ポート15が形成されている。その配管接続ポート15にはT字管16が接続されている。T字管16の一方の端部にはノズルバルブ40が接続され、他方の端部にリニアアクチュエータ80が接続されている。このリニアアクチュエータ80は、充填ラインに洗浄液を流す際に、ノズルバルブ40を強制的に開放するためのものである。なお、サクションバルブ30の上流側に設けられているリニアアクチュエータ90も同様に充填ラインに洗浄液を流す際に、サクションバルブ30を強制的に開放するためのものである。
【0056】
サクションバルブ30は、有底球面形状の弁体32と、ストレート形状の軸33と、C形状のクリップ34とからなる。弁体32は、閉状態において弁座35に当接している。軸33は軸受部材36によって支持されている。クリップ34は軸33の縮径部に係合している。従って、クリップ34の内径については軸33の縮径部の最大外径より小さくなるように設定されている。
【0057】
図4に示されるように、充填ノズル部20は、直管形状のノズルケーシング21の内部に、第1流路22-1から第7流路22-7の7個の分割流路が直列に接続されている。流路は全体が中央部近傍(第3流路22-3)を境に、中央部近傍から上流側が先細ノズルを形成し、中央部近傍から下流側が末広ノズルを形成している。このように、内部流路を分割構造とすることにより、充填液の種類(生クリーム、牛乳、ジュース等)に応じて最適な流量を有するように内部流路の形状を最適化することができる。
【0058】
分割流路と分割流路との間には、充填時における充填液の流速を下げて流れを安定(整流)させるための圧力損失部材23が設けられている。この圧力損失部材23としては、円形板に複数の貫通孔が形成された多孔板(パンチングプレート)、又は金属線が平面状に縦横に織られたメッシュ材を使用することができる。なお、多孔板の貫通孔の孔径またはメッシュ材の網目の大きさについては、充填液の種類(生クリーム、牛乳、ジュース等)に応じて適宜変更する。
【0059】
また、ノズルケーシング21の出口部には、径方向内側に伸縮可能なフレキシブルノズル24が形成されている。このフレキシブルノズル24は、先端に十字スリット部24a(図6(a))が形成されている。外力が加わらないときは、フレキシブルノズル24の十時スリット部24aは閉じている。ノズルバルブ40が開状態になるとき、充填ピストン11によって圧縮された充填液が充填ノズル部20の内部に流入して十字スリット部24aを拡口状態(図6(b))にする。なお、詳細については図5を参照しながら後述するが、フレキシブルノズル24からの液垂れを防止するために、充填ピストン11が充填液を吐出する所定のタイミングで真空発生器60が動作し、充填ノズル部20の内部を負圧にし、十字スリット部24aを大気圧によって開かない状態にする。
【0060】
図4に戻ってノズルバルブ40もサクションバルブ30と同様に、円盤形状の弁体42と、ストレート形状の軸43と、C形状のクリップ44とからなる。弁体42は、閉状態において弁座45に係止している。クリップ44は軸43の縮径部に係合している。従って、クリップ44の内径については軸43の縮径部の最大外径より小さくなるように設定されている。また、弁座45はチャンバ本体51によって支持されている。固定部材46はフレキシブルチューブ52の上端を押圧して固定している。
【0061】
バキュームチャンバ50は、伸縮可能なフレキシブルチューブ52と、金属製のチャンバ本体51とからなる。チャンバ本体51は、内部が段差によって2つの領域に分かれている。内径が大きい上部内周面51Aには弁座45及び固定部材46が取り付けられている。内径が小さい下部内周面51Bにはフレキシブルチューブ52が取り付けられている。フレキシブルチューブ52は、溝51C,51Dに係止し固定部材46及びノズルケーシング21によって固定されている。
【0062】
チャンバ本体51とフレキシブルチューブ52との間には内容積が可変する可容積空間53が形成されている。可容積空間53はノズルバルブ40の下流側の離隔した位置に形成され、充填液とは非接触となり完全に遮断されている。従って、その可容積空間53を真空発生器60によって吸引することによって、フレキシブルチューブ52が径方向外側に伸縮する。その結果、充填ノズル部20の流路の内容積が増大して、流路内の圧力が負圧になる。この負圧によって出口部から垂れようとしている充填液が充填ノズル部20の内部に戻され、フレキシブルノズル24の十字スリット部24aが閉じる 。
【0063】
真空発生器60は共通ライン61、三方弁62、及び真空ライン63を介してチャンバ本体51に接続されている。三方弁62の他方の出口には大気ライン64が接続されている。従って、充填ノズル部20の内部を負圧にする場合は、三方弁62を真空ライン63に切り換える必要がある。他方、充填ノズル部20内部の負圧を解除する場合は、三方弁62を大気ライン64に切り換える必要がある。このラインの切り換えについては、充填ピストン11が充填液を吐出する所定のタイミングを基に上記コントローラ(図示せず)によって行われる。従って、三方弁62は電磁的に駆動されることが望ましい。以下、液体充填部100の動作タイミングについて説明する。
【0064】
図5は、液体充填部100の動作タイミングを示す説明図である。横軸はタイミング(角度換算)Tを表し、縦軸は各アクチュエータ(内部コンベア70、充填ピストン11、サクションバルブ30、ノズルバルブ40、真空発生器60)の各ステータスを表している。また、タイミングTについては、1回の充填工程に要する角度を360°とし、有底カートンが一つ前の工程(図2のカートン上部一次折曲げ部4の拡口)から移動開始するときの角度を0°としている。また、角度360°は有底カートンが一つ次の工程に移動開始するときの角度に相当する。また、上記360°は、紙パック容器成形充填機1を構成する各構成要素2,3,4,100,5,6,7,8,9のタイミングを規定する前記基準エンコーダ(図示せず)の1回転分の出力値に相当する。従って、コントローラ(図示せず)は前記基準エンコーダの出力値を基に上記アクチュエータに対する駆動指令を出力する。以下、液体充填部100の動作タイミングについて詳細に説明する。
【0065】
T=0°から120°において、内部コンベア70(図2)は有底カートンを一つ前の工程から充填ノズル部20の真下に移動させる。この場合、充填ピストン11は有底カートンよりも80°早く充填液の吸込み動作を開始する。そして、T=90°(充填液の吸込み動作を開始してから170°)に達する時に充填ピストン11は充填液の吸込み動作を完了する。
【0066】
充填ピストン11は、T=150°(充填液の吸込み動作を完了した時から60°経過した時)に充填液の吐出動作を開始する。そして、充填ピストン11は、T=280°(充填液の吐出動作を開始した時から130°経過した時)に充填液の吐出動作を完了する。充填ピストン11は吐出動作の完了後(T=280°)直ちに充填液の吸込み動作を開始する。以後、上記動作を繰り返す。
【0067】
T=150°からT=280°の充填液の吐出動作において、充填ピストン11が上昇移動するにつれて、ノズルバルブ40は閉状態から開き始め最終的には全開状態になる。その結果、所定量の充填液がノズルバルブ40から有底カートンに吐出される。また、充填液の吐出動作に要する時間は130°に相当する。
【0068】
一方、T=280°から90°の充填液の吸込み動作において、充填ピストン11が下降移動するにつれて、サクションバルブ30は閉状態から開き始め最終的には全開状態になる。その結果、充填液がサクションバルブ30からシリンダ本体12に充填される。なお、この充填液の吸込み動作ではノズルバルブ40は閉状態である。また、充填液の吸込み動作に要する時間は170°に相当する。このように、充填ピストン11は、充填液の吐出動作よりも吸込み動作の方がより長くストロークする。
【0069】
真空発生器60については、T=170°(充填ピストン11が充填液の吐出動作を開始した時から20°経過した時)に、フレキシブルチューブ52とチャンバ本体51とに囲まれた可容積空間53をバキュームブレイク(真空ブレイク)する。これは、図4において三方弁62を真空ライン63から大気ライン64に切り換えることに対応している。これにより、フレキシブルチューブ52とチャンバ本体51とに囲まれた可容積空間53に大気が流入する。これにより、フレキシブルチューブ52が径方向内側に伸縮して充填ノズル部20の内部の容積は、小さくなる。
【0070】
可変容積空間53についてのバキュームブレイクを実行した時(充填ピストン11が充填液の吐出動作を開始した時から20°経過した時)から90°経過したT=260°に、上記可容積空間53を真空状態にする。これは、図4において三方弁62を大気ライン64から真空ライン63に切り換えることに対応している。これにより、フレキシブルチューブ52とチャンバ本体51とに囲まれた可容積空間53から大気が吸引され真空状態になる。これにより、フレキシブルチューブ52が径方向外側に伸縮して充填ノズル部20の内部の圧力が負圧になる。
【0071】
以上の通り、上記紙パック容器成形充填機1によれば、充填シリンダ10内部を充填ピストン11が往復摺動し、充填ピストン11の吸込み動作により内容物貯蔵部9から液体を吸い込み、充填ピストン11の吐出動作により吸い込んだ液体を所定の充填速度で紙パック容器に充填する液体充填部100において、充填ノズル部20からの液垂れを好適に防止することが可能となる。
【0072】
特に、ノズルバルブ40から下流側の離隔した位置に、内容積が可変するバキュームチャンバ50が設けられている。バキュームチャンバ50には真空発生器60が接続され、真空発生器60は充填ピストン11と同期して 動作するように構成されている。これにより、ノズルバルブ40の開閉動作とは別に吸引機構60によりノズル内の容量を別個独立に変化させることが可能となる。そのため、ノズル内に生ずる負圧を十分に大きくすることができ、充填ノズル部20から液体が垂れ落ちることを好適に防止することが可能となる。
【0073】
また、バキュームチャンバ50は、伸縮可能なフレキシブルチューブ52と変形しないチャンバ本体51とからなる二重壁構造を有する。これにより、フレキシブルチューブ52とチャンバ本体51との間に内容積が可変する可容積空間53が形成される。そのため、その可容積空間53を真空発生器60によって潰すことで、簡易な構成で充填ノズル部20の内部に負圧を生じさせることが可能となる。
【0074】
また、チャンバ本体51の下部内周面51Bは径方向外側に凹んでおり、フレキシブルチューブ52は真空発生器60が動作するときに径方向外側に変形する。これにより、真空発生器60の真空圧(負圧)については、例えばフレキシブルチューブ52がチャンバ本体51の下部内周面51Bに押し付けられる程度以下の真空圧であれば良いことになる。そのため、真空圧についての複雑な圧力制御が不要となる。
【0075】
以上、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填機1について説明してきたが、本発明の実施形態は上記だけに限定されることはない。すなわち、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内において種々の修正・変形を追加することができる。例えば、三方弁62を使用して真空ライン63と大気ライン64を切り換えることに代えて、真空ライン63と大気ライン64に対し別個の電磁弁をそれぞれ与えて、真空ライン63と大気ライン64を切り換えるようにしても良い。
【0076】
特許文献6に記載されたメッシュ部材19,20,21(明細書第7頁19行目-第8頁5行目参照)並びに特許文献5に記載されたワイヤースクリーン(第2頁左欄6-10行目参照)及び可撓性のノズル5は、大気圧によってノズル内の液体を保持するものである。ここでは、このような部材を「ノズル内の液体を大気圧によって保持する部材」と称することにする。
上記実施形態においては、ノズル内の液体を大気圧によって保持する部材としてフレキシブルノズル24を用いたが、これに代えて、メッシュ部材を用いても良い。メッシュ部材としては、金属線が平面状に縦横に織られたメッシュ材を1又は複数枚積層して用いると良い。
【0077】
また、上記実施形態では充填ピストン11を含む各アクチュエータを駆動するタイミングについては、基準エンコーダ(図示せず)の1回転分の出力値から取られている。しかし、他のタイミング信号発生器、例えば充填ピストン11を駆動する上記サーボモータに接続されているエンコーダ(図示せず)の出力値を基準タイミングとし、そのエンコーダの出力値から各アクチュエータを駆動するタイミングを取るようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 紙パック容器成形充填機(紙容器成形充填機)
2 カートン底部成形部(紙容器組立装置)
3 口栓装着部
4 カートン上部一次折曲げ部(くせ折り機)
100 液体充填部(充填装置)
5 カートン上部二次折曲げ部(くせ折り機)
6 カートン上部加熱装置
7 カートン上部プレス部(加圧装置)
8 容器搬出部
9 内容物貯蔵部(液体貯蔵部)
10 充填シリンダ部
11 充填ピストン
12 シリンダ本体
13 シリンダヘッド
14 シリンダボトム
15 配管接続ポート
16 T字管
20 充填ノズル部
21 ノズルケーシング
22-1 第1流路(分割流路)
22-2 第2流路(分割流路)
22-3 第3流路(分割流路)
22-4 第4流路(分割流路)
22-5 第5流路(分割流路)
22-6 第6流路(分割流路)
22-7 第7流路(分割流路)
23 圧力損失部材(抵抗部材)
24 フレキシブルノズル(可撓性ノズル、保持部材)
24a 十字スリット部(スリット部)
24b 谷部
30 サクションバルブ(吸入バルブ部)
31、41 スプリング
32、42 弁体
33、43 軸
34、44 クリップ
35、45 弁座
36 軸受部材
40 ノズルバルブ(ノズルバルブ部)
46 固定部材
50 バキュームチャンバ(可変チャンバ部)
51 チャンバ本体
51B 下部内周面(内周面)
52 フレキシブルチューブ(可撓性チューブ)
53 可容積空間
60 真空発生器(吸引機構)
61 共通ライン
62 三方弁
63 真空ライン
64 大気ライン
70 内部コンベア
80、90 リニアアクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7