(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 326B
A63F7/02 326C
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2022045191
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】菊地 努
(72)【発明者】
【氏名】辻 昭二
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
(72)【発明者】
【氏名】石黒 隆行
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-000262(JP,A)
【文献】特開2019-076418(JP,A)
【文献】特開2013-017776(JP,A)
【文献】特開2020-120947(JP,A)
【文献】特開2019-037334(JP,A)
【文献】特開2014-158573(JP,A)
【文献】特開2006-255031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的及び電気的に結合される複数の構成部品を備えると共に、少なくとも一部の前記構成部品が交換され得る遊技機であって、
前記複数の構成部品には、識別情報を含んだ識別回路を有する第1構成部品と、
前記第1構成部品において
遊技機の前方から視認可能な位置に配置され、前記識別情報に対応する視認態様を有する視認確認部と、
結合された前記第1構成部品の前記識別回路に基づいてその第1構成部品が自身に適合するものか否かを判別する適合判別手段を有する第2構成部品と、が含まれ、
前記第2構成部品が前記第1構成部品に対して不適合な場合に、異常を報知する異常報知手段を備える遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、互いに結合される複数の構成部品を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、複数の構成部品の一部を別の構成部品と交換して新規の遊技機に変更可能としたものや、複数の構成部品のそれぞれにつき複数種類を用意し、それらを任意に組み合わせて遊技機のラインナップを容易に増やせるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-024535号公報(段落[0034])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の遊技機では、不適合な構成部品同士が結合されて正常に動作しない不具合が発生することが考えられる。しかしながら、その不具合の原因が構成部品同士の不適合にあることに気付かずに、原因調査に時間を要することが懸念され、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた特徴1の発明は、機械的及び電気的に結合される複数の構成部品を備えると共に、少なくとも一部の前記構成部品が交換され得る遊技機であって、前記複数の構成部品には、識別情報を含んだ識別回路を有する第1構成部品と、前記第1構成部品において遊技機の前方から視認可能な位置に配置され、前記識別情報に対応する視認態様を有する視認確認部と、結合された前記第1構成部品の前記識別回路に基づいてその第1構成部品が自身に適合するものか否かを判別する適合判別手段を有する第2構成部品と、が含まれ、前記第2構成部品が前記第1構成部品に対して不適合な場合に、異常を報知する異常報知手段を備える遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
上記発明の遊技機の構成よれば、複数の構成部品に含まれる第1構成部品又は第2構成部品の一方又は両方の交換により、第1構成部品と第2構成部品との組み合わせが不適合になった場合に異常の報知が行われるので、原因調査に時間を要さずに不具合の原因を即座に知ることができ、迅速な対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】(A)判別情報をパラレル伝送する場合の回路図(B)判別情報をシリアル伝送する場合の回路図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図7を参照して、本開示の一実施形態に係るパチンコ遊技機10(特許請求の範囲中の「遊技機」に相当する。以下、単に「遊技機10」という)について説明する。以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0009】
遊技機10は、
図1に示された遊技枠90の背面に、
図2に示された遊技機本体30Aを着脱可能に組み付けてなる。また、遊技機本体30Aは、遊技盤40の背面に背面アッシ50を着脱可能に組み付けてなる。
【0010】
遊技枠90は、遊技盤40を前方から覆う前面枠91を有し、その前面枠91には遊技盤40を視認可能とするためのガラス窓91Wが備えられている。また、遊技枠90には、スピーカ90S、電飾基板91D、演出操作ボタン91B、遊技球を発射するための発射装置94S、遊技球を賞球として前面枠91の前面の上皿91Jに払い出す払出装置91H等の複数の電気部品が備えられている。そして、遊技枠90の後面には、それら複数の電気部品から延びる図示しない複数のハーネスが設けられ、それらハーネスの末端に複数のコネクタが備えられている。
【0011】
なお、本実施形態の遊技枠90は、任意の遊技機本体30Aと組み合わせることが可能な汎用的な遊技枠90になっているが、遊技枠90は、一部限定の遊技機本体30Aのみに対応していて、遊技機本体30Aの演出に登場するキャラクターが遊技枠90に付されていてもよい。
【0012】
図2に示すように、遊技盤40は、透明な樹脂板であるベース板41に複数の部品を組み付けてなり、前面に遊技球が流下する遊技領域R1を備える。遊技領域R1には、ベース板41を前後に貫通する演出窓11Wと、その周りに遊技球が入球する複数の入賞口13とアウト口16とが備えられている(一部の入賞口は前面カバー31Aにて覆われて
図2には現れていない)。また、遊技盤40の前面には、遊技のキャラクターを含んだ装飾図柄11Zが施されている。
【0013】
複数の入賞口13には、電動で開閉する開閉部材を有するもの(図示せず)が含まれ、それらの駆動源であるソレノイドが遊技盤40に組み付けられている。また、各入賞口13に入賞した遊技球が通過する流下経路には、遊技球を検出するために検出スイッチが備えられている。さらに、ベース板41には、不正行為を監視するための磁気センサや振動センサ、光装飾を行うための電極基板等が取り付けられている。そして、これら電気部品に接続されたケーブルを纏めてなるハーネスが遊技盤40から後方に延び、そのハーネスの末端には複数のコネクタ40Cが備えられている。
【0014】
背面アッシ50は、前面が開放した箱形の支持ベース51に複数の部品を組み付けてなる。また、遊技盤40と背面アッシ50とを組み付けた状態に保持する結合機構は、以下のようになっている。即ち、遊技盤40の後面両サイドには、図示しない複数ずつのフックが縦に並べて設けられ、背面アッシ50の両側部には、図示しない複数ずつの長孔が縦に並べて設けられている。そして、複数のフックを複数の長孔に挿入して遊技盤40と背面アッシ50とを相対的に上下方向にスライドさせてから、遊技盤40と背面アッシ50とに図示しない1対のピンを前後方向で貫通させてスライドしないようにロックすることで、遊技盤40と背面アッシ50とが合体状態に固定されるようになっている。
【0015】
支持ベース51の後部壁には表示装置52が固定されて、その表示装置52の表示画面52Gが遊技盤40の演出窓11Wを通して前方から視認可能になっている。また、支持ベース51内には、表示装置52の前方に可動役物59が収容されている。可動役物59は、ステッピングモータ等を駆動源として有している。
【0016】
背面アッシ50の後面には、制御基板600(
図6参照)が組み付けられている。制御基板600は、例えば、図示しないメイン制御基板、サブ制御基板、駆動回路基板、中継基板等の複数の基板からなり、複数の基板コネクタを有する。そして、制御基板600の基板コネクタに、可動役物59、表示装置52等から延びるハーネスの複数のコネクタが結合される。また、制御基板600の基板コネクタ又は基板コネクタに接続された中継ハーネスの先端のコネクタ(以下、これらコネクタを纏めて背面アッシ50のコネクタ50Cという)に、遊技盤40から延びるハーネスの複数のコネクタ40Cと、遊技枠90から延びるハーネスのコネクタとが結合されて、遊技機10全体が制御基板600によって以下のように制御される。
【0017】
即ち、制御基板600は、遊技盤40の各入賞口13への入賞が検出スイッチにて検出されると、それに応じて払出装置91Hを作動させて賞球を払い出させると共に、所定の入賞口13への入賞に起因して当否判定を行う。そして、制御基板600は、表示装置52を制御して、表示画面52Gに当否判定結果を表示させると共に、遊技のキャラクターを含んだ演出画像を表示画面52Gに表示して判定結果の報知を演出する。また、制御基板600は、可動役物59に関しては、通常は、例えば、演出窓11Wの開口縁の後方に退避させておき、遊技の進行状況に応じて演出窓11Wを通して視認可能な位置に出現するように制御する。
【0018】
さて、本実施形態の遊技機本体30Aには、例えば、猫をメインキャラクターとする猫シリーズとして4機種のラインナップと、犬をメインキャラクターとする犬シリーズとして4機種のラインナップとが備えられ、全体で2シリーズ、計8機種が用意されている。また、各シリーズ内で、部品の共通化を図りながら機種を増やすために、各シリーズには、2種類の遊技盤40と2種類の背面アッシ50とが揃えられ、それらの組み合わせの相違により上述の4機種が設けられている。
【0019】
ここで、猫シリーズの2種類の遊技盤40を区別する場合には、それら遊技盤40を遊技盤CF1,CF2とすると共に、猫シリーズの2種類の背面アッシ50を区別する場合には、それら背面アッシ50を背面アッシCR1,CR2とする。また、犬シリーズの2種類の遊技盤40を区別する場合には、それら遊技盤40を遊技盤DF1,DF2とすると共に、犬シリーズの2種類の背面アッシ50を区別する場合には、それら背面アッシ50を、背面アッシDR1,DR2とする。さらに、猫シリーズの4機種の遊技機本体30Aを区別する場合には、それら遊技機本体30Aを遊技機本体C1~C4とし、犬シリーズの4機種の遊技機本体30Aを区別する場合には、それら遊技機本体30Aを遊技機本体D1~D4とする。すると、猫シリーズと犬シリーズとを合わせた8機種の構成は以下のようになっている。
【0020】
遊技機本体C1:遊技盤CF1+背面アッシCR1
遊技機本体C2:遊技盤CF2+背面アッシCR1
遊技機本体C3:遊技盤CF1+背面アッシCR2
遊技機本体C4:遊技盤CF2+背面アッシCR2
遊技機本体D1:遊技盤DF1+背面アッシDR1
遊技機本体D2:遊技盤DF2+背面アッシDR1
遊技機本体D3:遊技盤DF1+背面アッシDR2
遊技機本体D4:遊技盤DF2+背面アッシDR2
【0021】
猫シリーズの遊技盤CF1,CF2の間では、例えば、装飾図柄の内容は相違するが、装飾図柄に含まれるキャラクターが猫である点で共通し、複数の入賞口13の配置は異なるが、複数の入賞口13の数や可動部材で開閉される等の基本構造は共通している。また、猫シリーズの背面アッシCR1,CR2の間では、例えば、可動役物59の機構や動作や装飾は異なるが、可動役物59に含まれるキャラクターが猫である点で共通し、かつ駆動源の数及び電飾基板の回路の構成は共通している。さらには、表示画面52Gに表示させる演出画像は互いに相違するがキャラクターが猫である点で共通している。犬シリーズの遊技盤DF1,DF2の間及び背面アッシDR1,DR2の間に関しても同様になっている。
【0022】
猫シリーズと犬シリーズの遊技盤CF1,CF2,DF1,DF2の間でも、また、背面アッシCR1,CR2,DR1,DR2の間でも、キャラクターや構成部品の配置の相違はあるが、それら以外は共通している。そして、8機種全ておいて、遊技盤40と背面アッシ50との間で結合されるコネクタが共通すると共に、遊技盤40と背面アッシ50の結合機構が共通している。
【0023】
このように本実施形態の遊技機10では、遊技機本体30Aの複数の機種間で、部品の共通化が図られて各部品の単価が抑えられると共に部品のリユースも容易になる。また、部品の共通化により、遊技盤40及び背面アッシ50のそれぞれの組み付け作業の共通化が進み、作業効率が向上して製造コストが抑えられるという効果も奏する。さらには、複数の機種の間で、遊技盤40と背面アッシ50とを機械的に結合する結合機構と、電気的に結合するコネクタとが共通しているので、遊技盤40と背面アッシ50との組付作業が容易になる。これにより、遊技ホールで、遊技盤40と背面アッシ50との組み合わせを変更して遊技者に新規な遊技機10を提供することもできる。
【0024】
ところで、遊技盤40と背面アッシ50とを機械的に結合する結合機構と、電気的に結合するコネクタとが共通しているので、猫シリーズと犬シリーズとを混合して遊技盤40と背面アッシ50とを結合することができる。しかしながら、遊技機10の演出内容の統一性の観点や、混合結合の遊技機本体30Aの認証試験の未実施等の理由により、猫シリーズと犬シリーズとを混合結合した場合、つまり、遊技盤40と背面アッシ50とが不適合な組み合わせである場合には、遊技が実行できないようになっている。そのために、遊技機10には、遊技盤40と背面アッシ50とが不適合な組み合わせであるか否かを判別する「適合判別手段」と、不適合な組み合わせがなされた場合にそれを報知する報知手段と、不適合な組み合わせのままで遊技が実行されないようにする「実行規制手段」とが備えられている。
【0025】
なお、本実施形態の遊技機10では、不適合な遊技盤40と背面アッシ50とを混合結合しても、遊技機本体30Aとして遊技を実行させることができるところを、前述の通り、諸事情により不適合な混合結合で遊技を実行させないようにしているが、不適合な混合結合の遊技機本体30Aでは、電気的、ソフト的又は機械的に動作させることができないので、不適合な組み合わせであることを報知して、遊技の実行が規制されるようにしてもよい。
【0026】
本実施形態の遊技機10には、上記した「適合判別手段」として、背面アッシ50の制御基板600に含まれるマイコン601(
図6参照)とが備えられ、識別を行うためのDIPスイッチ70が遊技盤40に備えられている。
【0027】
具体的には、DIPスイッチ70は、遊技盤40の構成部品である
図3に示された入賞役物装置60に組み込まれている。この入賞役物装置60は、ベース板41(
図2参照)の左下部の後面に取り付けられ、入賞口13への入賞を検出する検出スイッチや磁気センサや振動センサとを備えると共に、DIPスイッチ70を実装した回路基板70Aを有する。また、DIPスイッチ70は、入賞役物装置60の操作窓61を通して入賞役物装置60の前面に露出している。これにより、遊技機10の製造メーカでは、入賞役物装置60をベース板41から取り外して、
図4に示すようにDIPスイッチ70の前面に備えた複数(例えば、6つ)のスイッチ操作部71を容易に操作することができる。一方、遊技機10が出荷された遊技ホール等の現場では、入賞役物装置60の前面がベース板41に覆われた状態になっているので、DIPスイッチ70のスイッチ操作部71を操作することはできないが、透明なベース板41を通して複数のスイッチ操作部71をオンオフパターンを容易に確認することができる。
【0028】
図5(A)には、回路基板70A上のDIPスイッチ70を含んだ識別回路73の一例が示されている。識別回路73は、DIPスイッチ70に含まれる複数のスイッチ72の一方の端末に共通接続されるGNDライン100と、複数のスイッチの他方の端末から延びる複数の信号ライン101とを有する。そして、それらGNDライン100と複数の信号ライン101の端末が遊技盤40のコネクタ40Cの図示しない複数の端子金具に接続されている。
【0029】
また、背面アッシ50には、直流電源の正電極Vccに共通接続された複数の信号ライン102が設けられ、それら信号ライン102には抵抗Rがそれぞれ備えられている。さらに、それら複数の信号ライン102における抵抗Rと正電極Vccとの間にマイコン601から延びる検出ライン103が接続されている。また、複数の信号ライン102の末端と、直流電源の負電極に接続されたGNDライン104の末端とが、背面アッシ50のコネクタ50Cの図示しない複数の端子金具に接続されている。そして、遊技盤40と背面アッシ50のコネクタ40C,50Cの結合によりGNDライン100,104が接続されると共に,複数の信号ライン101と複数の信号ライン102とが接続される。これにより、DIPスイッチ70のオンのスイッチ72に接続される検出ライン103の電位と、DIPスイッチ70のオフのスイッチ72に接続される検出ライン103の電位とがHIとLOWとに分かれ、それらが6ビットの識別情報としてマイコン601に取り込まれる。その6ビットの識別情報は、例えば上位3ビットが猫シリーズの遊技盤40か犬シリーズの遊技盤40かを識別するシリーズ識別情報として使用され、下位3ビットが各シリーズの2機種の遊技盤40のうち何れの機種であるかを識別する機種識別情報として使用されている。
【0030】
マイコン601は、ROM602(
図6参照)に記憶されている初期検査プログラムPG1を実行することで「適合判別手段」として機能する。具体的には、
図7に示すように、遊技機10の電源の投入直後に、マイコン601は、初期検査プログラムPG1を1回だけ実行し、制御基板600に遊技盤40からの識別情報から取り込まれているか否かを判別する(S1)。そして識別情報が取り込まれていない場合には(S1のNO)、遊技盤40のコネクタ40Cが接続されていない旨のメッセージを表示画面52Gに表示すると共に、スピーカ91Sに異常を知らせる警告音を出力させて(S2)、初期検査プログラムPG1を終了する。
【0031】
制御基板600に遊技盤40からの識別情報から取り込まれている場合には(S1でYES)、その遊技盤40の識別情報に含まれるシリーズ識別情報と背面アッシ50が有するシリーズ識別情報とを比較し、遊技盤40と背面アッシ50が不適合な結合であるか否かをチェックする(S3)。なお、背面アッシ50のシリーズ識別情報は、ROM602に記憶されている。そして、遊技盤40と背面アッシ50のシリーズ識別情報が一致しない場合には(S3でNO)は、遊技盤40と背面アッシ50とが不適合であることを報知するメッセージを表示画面52Gに表示すると共に、スピーカ91Sに異常を知らせる警告音を出力させて(S4)、初期検査プログラムPG1を終了する。
【0032】
遊技盤40と背面アッシ50のシリーズ識別情報が一致する場合には(S3でYES)には、コネクタの未結合やケーブルの断線を含むケーブルの導通不良をチェックし(S5)、導通不良がある場合には(S5でNO)、その旨を報知するメッセージを表示画面52Gに表示すると共に、スピーカ91Sに異常を知らせる警告音を出力させて(S6)、初期検査プログラムPG1を終了する。
【0033】
全てのチェック(S1、S3,S5でYES)で異常が無い場合には、接続異常を有無を判別するための異常判別フラグF1を「1」にして(S7)、この初期検査プログラムPG1を抜け、異常がある場合には、異常判別フラグF1が「0」のまま、上述の如く初期検査プログラムPG1が終了する。また、遊技機10の遊技を実行するためのプログラムは異常判別フラグF1が「1」であることを条件にして実行されるようになっている。よって、初期検査プログラムPG1を実行して、異常判別フラグF1を「1」か「0」かに決定するマイコン601は、前述の「実行規制手段」にも相当する。
【0034】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。上述したように本実施形態の遊技機10では、遊技枠90と遊技盤40と背面アッシ50とのそれぞれが、後述する特徴1の「機械的及び電気的に結合される複数の構成部品」に相当し、それら複数の構成部品のうち遊技盤40が、特徴1の「識別情報を含んだ識別回路を有する第1構成部品」に相当し、背面アッシ50が、特徴1の「結合された前記第1構成部品の前記識別回路に基づいてその第1構成部品が自身に適合するものか否かを判別する適合判別手段を有する第2構成部品」に相当する。また、識別回路73のDIPスイッチ70の複数のスイッチ72のオンオフの組み合わせパターンが「識別情報」に相当する。さらには、上記した初期検査プログラムPG1のステップS3を実行するときのマイコン601が「適合判別手段」に相当し、ステップS4を実行するときのマイコン601と表示装置52及びスピーカ91Sとが、「前記第2構成部品が前記第1構成部品に対して不適合な場合に、異常を報知する異常報知手段」に相当する。
【0035】
なお、遊技盤40と背面アッシ50とを組み合わせてなる遊技機本体30Aは、遊技枠90に対して互いに「機械的及び電気的に結合される複数の構成部品」であり、これらの遊技機本体30Aと遊技枠90との間で、不適合な組み合わせを検出して報知するために、同様の構成を採用してもよい。具体的には、遊技枠90と遊技機本体30Aとの間で、遊技枠90を上記「第1構成部品」とする一方、遊技機本体30Aを「第2構成部品」とするために遊技枠90にDIPスイッチ70を備え、遊技機本体30Aのマイコン601にて遊技機本体30Aと遊技枠90との適合・不適合を判別してもよい。また、可動役物59と表示装置52等の背面アッシ50の複数の構成部品も、互いに「機械的及び電気的に結合される複数の構成部品」であるので、それら構成部品の間で、不適合な組み合わせを検出して報知する構成としてもよい。
【0036】
次に、本実施形態の遊技機10の作用効果を、遊技ホールにおける新台入替の作業を例に挙げて説明する。この一例の遊技ホールでは、下記構成の猫シリーズの遊技機本体C1,C2と犬シリーズの遊技機本体D1,D2が、それぞれ3台つづ遊技島に固定された同一構造の計12個の遊技枠90に取り付けられた状態で、4機種3台ずつの計12台の遊技機10として使用されてきたものとする。
【0037】
遊技機本体C1:遊技盤CF1+背面アッシCR1
遊技機本体C2:遊技盤CF2+背面アッシCR1
遊技機本体D1:遊技盤DF1+背面アッシDR1
遊技機本体D2:遊技盤DF2+背面アッシDR1
【0038】
そして、既設の2機種6台の猫シリーズの背面アッシCR1の全てを、猫シリーズの新規の背面アッシCR2に入れ替え、既設の2機種6台の犬シリーズの背面アッシDR1の全てを、犬シリーズの新規の背面アッシDR2に入れ替えて、下記構成の4機種3台ずつの新規の計12台の遊技機10として使用可能な状態に変更するものとする。
【0039】
遊技機本体C3:遊技盤CF1+背面アッシCR2
遊技機本体C4:遊技盤CF2+背面アッシCR2
遊技機本体D3:遊技盤DF1+背面アッシDR2
遊技機本体D4:遊技盤DF2+背面アッシDR2
【0040】
新台入替を短時間で効率良く行うために、準備として、例えば、先ずは、既設の遊技機本体30Aを遊技枠90から全て外し、全ての遊技機本体30Aから背面アッシ50を外して撤去しておく。そして、段ボール箱等で梱包された状態で遊技ホールに納品される背面アッシ50の梱包を解き、複数の作業者により各背面アッシ50を対応する各遊技盤40に組み付ける。その際、遊技盤40及び背面アッシ50の外面に付されているラベル等や、遊技盤40及び背面アッシ50に付されているキャラクターに基づいて同じシリーズ同士の遊技盤40と背面アッシ50であることを確認して複数人が同時進行で遊技盤40と背面アッシ50とを組み付ける。
【0041】
具体的には、遊技盤40と背面アッシ50とを結合機構にて機械的に結合しかつコネクタ40C,50C同士を結合して遊技機本体30Aにする。そして、各遊技機本体30Aを遊技枠90に機械的に結合しかつコネクタ同士を結合して新規の遊技機10にする。このようにして、12台の背面アッシ50だけの納入で、既設の12台の遊技機10が新規の12台の遊技機10に変更される。そして、最終的に新規の遊技機10の電源を投入して、正常に遊技が実行されることを確認して新台入替が完了する。
【0042】
ここで、新台入替の12台の遊技機10には、猫シリーズと犬シリーズという異なるラインナップが混在しているが、シリーズの相違とは無関係に、遊技盤40と背面アッシ50とを機械的に結合する結合機構と、電気的に結合するコネクタとが共通し、さらには、遊技機本体30Aと遊技枠90との間の結合機構とコネクタも共通しているので組付作業に直ぐに慣れて、効率よく新台入替作業を行うことができる。
【0043】
ところで、上記した組付作業は、猫シリーズ及び犬シリーズの遊技盤40と背面アッシ50とが混合して組み付けられる混合結合の組付ミスが起こり得る。また、それとは別に、複数のコネクタのうちの一部のコネクタを結合し忘れるコネクタ未結合の組付ミスも起こり得る。そして、これら何れかの組付ミスがあると、遊技機10に電源が投入されても遊技機10は正常に動作しない。
【0044】
このとき、コネクタ未結合の組付ミスは、従来の遊技機10の新台入替でも起きる組付ミスであるので、従来であれば、遊技機10が正常に動作しない場合には、コネクタの未結合箇所を調査する作業に時間を割くことになる。そして、遊技機10が正常に動作しない原因が、コネクタ未結合の組付ミスに依るものではなく、混合結合の組付ミスに依るものである場合には、原因を知らずにコネクタの未結合箇所を調査する作業が行われると、原因調査に多大な無駄な時間が使われることになり得る。
【0045】
これに対し、本実施形態の遊技機10では、混合結合の組付ミスがある場合には、遊技機10の電源投入時に混合結合の組付ミスがある旨が報知される。また、コネクタ未結合の組付ミスと混合結合の組付ミスとの両方が含まれている場合であっても混合結合の組付ミスがある旨が報知される。さらには、混合結合の組付ミスはなく、コネクタ未結合の組付ミスがある場合には、その旨が報知される。これらにより、無駄な調査が防がれ、組付ミスを解消して迅速に正常な組付状態にすることができる。
【0046】
このように、本実施形態の遊技機10によれば、遊技盤40が識別情報を含んだ識別回路73を有すると共に、背面アッシ50が、遊技盤40の識別回路73に基づいてその遊技盤40が自身に適合するものか否かを判別する適合判別手段を有する。そして、遊技盤40及び背面アッシ50の一方又は両方の交換により、遊技盤40と背面アッシ50との組み合わせが不適合になった場合に異常の報知が行われるので、原因調査に時間を要さずに不具合の原因を即座に知ることができ、迅速な対応が可能になる。また、遊技盤40の識別回路73に含まれる識別情報は、メモリに記憶されるデータであってよいが、識別回路73同士の回路構成を相違させて、それら回路構成の相違が識別情報になっているので、安価に識別情報を含んだ識別回路73を設けることができる。
【0047】
しかも、識別回路73にDIPスイッチ70が備えられ、そのDIPスイッチ70の操作により、識別回路73の回路構成を容易に変更することができる。また、DIPスイッチ70における複数のスイッチ操作部71の配置から識別情報を容易に確認することもできる。さらには、複数の遊技盤40の間で共通のDIPスイッチ70を使用することで、遊技盤40同士の間で識別回路73を共通にすることもできる。また、DIPスイッチ70は、ベース板41に覆われて操作不能になっているので、遊技機10の製造メーカでは、DIPスイッチ70のスイッチ操作部71の操作により、容易に識別情報を変更できるが、遊技機10の購入者が誤って操作して識別情報を変更してしまうような不具合が防がれる。それでいて、DIPスイッチ70は透明なベース板41を通して視認可能であるので、識別情報をDIPスイッチ70の複数のスイッチ操作部71の配置から容易に確認することができる。
【0048】
なお、
図5(A)に示した本実施形態の識別回路73の構成に変えて、
図5(B)に示すように識別回路73にマイコン75を備えて、DIPスイッチ70のオンオフパターンからなる識別情報を、遊技盤40のマイコン75から背面アッシ50のマイコンに付与する構成としてもよい。また、スイッチは、DIPスイッチ70に限定されるものではなく、例えば、操作部を回転させて複数のスイッチのうち何れのスイッチをオンにし、他をオフにするかを選択する回転式のスイッチであってもよいし、複数対のピンを起立状態に備え、導通部材を有したキャップを任意の対のピンに装着してオンオフパターンを変更する差込式のスイッチであってもよい。
【0049】
また、本実施形態の遊技盤40と背面アッシ50との電気的接続は、全てコネクタ40C,50Cの結合で行われていたが、コネクタを使用せずに又は一部のみにコネクタを使用して、他は端子台を使用して遊技盤40と背面アッシ50とを電気的に結合してもよい。
【0050】
また、マイコン600は、ROM602に記憶させた背面アッシ50の識別情報を利用して不適合を判別する構成になっているが、DIPスイッチ70に記憶させた背面アッシ50の識別情報を利用する構成になっていてもよい。これによれば、背面アッシ50に適合可能な遊技盤40の種類を容易に変更することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ROM602に記憶されている識別情報と、DIPスイッチ70の識別情報が一致した場合に遊技盤40と背面アッシ50とが適合となったが、ROM602に予め複数種類の識別情報を記憶させておき、複数の遊技盤40と適合可能なように制御してもよい。
【0052】
また、当初認証試験の未実施などにより不適合とされていた遊技盤40と背面アッシ50であっても、諸般の事情が解決した後にDIPスイッチ70を操作して適合な組み合わせに変更してもよい。
【0053】
本実施形態の異常報知では、表示画面52Gにメッセージが表示され、スピーカ91Sから警告音が鳴る構成になっているが、その他の音声によるメッセージや、バイブレーション、光装飾を点灯させて報知する構成になっていてもよい。また、これらを組み合わせた報知になっていてもよい。
<付記>
以下、前述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、前記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0054】
[特徴1]
機械的及び電気的に結合される複数の構成部品を備えると共に、少なくとも一部の前記構成部品が交換され得る遊技機であって、前記複数の構成部品には、識別情報を含んだ識別回路を有する第1構成部品と、結合された前記第1構成部品の前記識別回路に基づいてその第1構成部品が自身に適合するものか否かを判別する適合判別手段を有する第2構成部品と、が含まれ、前記第2構成部品が前記第1構成部品に対して不適合な場合に、異常を報知する異常報知手段を備える遊技機である。
【0055】
特徴1の遊技機の構成によれば、複数の構成部品に含まれる第1構成部品又は第2構成部品の一方又は両方の交換により、第1構成部品と第2構成部品との組み合わせが不適合になった場合に異常の報知が行われるので、原因調査に時間を要さずに不具合の原因を即座に知ることができ、迅速な対応が可能になる。
【0056】
[特徴2]
前記識別回路には、前記識別情報が前記識別回路同士の回路構成の相違として含まれている特徴1に記載の遊技機である。
【0057】
第1構成部品の識別回路に含まれる識別情報は、メモリに記憶されるデータであってよいし、特徴2の構成のように、識別回路同士の回路構成を相違させて、それら回路構成の相違が識別情報になっていてもよい。特徴2の構成とすれば、安価に各第1構成部品に識別情報を含んだ識別回路を設けることができる。
【0058】
[特徴3]
前記識別回路には、その回路構成を任意に変更するための操作部を有したスイッチ部品が含まれる特徴2に記載の遊技機である。
【0059】
特徴3によれば、識別回路に含まれるスイッチ部品の操作により、識別回路の回路構成を容易に変更することができると共に、識別情報を操作部の配置から容易に確認することができる。また、第1構成部品同士の間で識別回路を共通にすることもできる。
【0060】
[特徴4]
前記スイッチ部品は、前記操作部を複数有するDIPスイッチである特徴3に記載の遊技機である。
【0061】
特徴4によれば、複数の操作部のオンとオフの組み合わせの相違によって、識別情報の相違を容易に目視確認することができる。
【0062】
[特徴5]
前記スイッチ部品は、透光部材に覆われて操作不能かつ視認可能になっている特徴3又は4に記載の遊技機である。
【0063】
特徴5の構成によれば、スイッチ部品は、透光部材に覆われて操作不能になっているので、遊技機の製造メーカでは、スイッチ部品の操作部の操作により、容易に識別情報を変更できるが、遊技機の購入者が誤って操作して識別情報を変更してしまうような不具合が防がれる。それでいて、スイッチ部品は透光部材を通して視認可能であるので、識別情報を操作部の配置から容易に確認することができる。
【0064】
[特徴6]
前記構成部品同士を電気的に結合するコネクタを有する特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0065】
特徴6の構成によれば、構成部品同士をコネクタによって容易に電気的に結合することができる。
【0066】
[特徴7]
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤と、前記遊技盤の後面に重ねられ、前記遊技球の流下に応じて遊技を制御する制御基板を後面に備える背面アッシと、を備え、前記遊技盤及び前記背面アッシの一方が、前記第1構成部品であり、他方が前記第2構成部品である特徴1から6の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0067】
特徴7の構成によれば、遊技盤又は背面アッシの何れか一方又は両方を交換して、遊技機を別の遊技機に容易に変更することができる。
【0068】
[特徴8]
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤と、前記遊技盤の後面に重ねられ、前記遊技球の流下に応じて遊技を制御する制御基板を後面に備える背面アッシと、前記遊技盤と前記背面アッシとを支持する支持枠体と、を備え、前記支持枠体は、前記第1構成部品であり、前記遊技盤又は前記背面アッシの一方が前記第2構成部品である特徴1から7の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0069】
特徴8の構成によれば、遊技盤及び背面アッシのセットと支持枠体との一方又は両方を交換して、遊技機を別の遊技機に容易に変更することができる。
【0070】
[特徴9]
互いに結合される複数の構成部品を備えると共に、一部の前記構成部品が交換され得る遊技機であって、前記構成部品同士の不適合の有無を判別する適合判別手段と、前記不適合がある場合に、異常を報知する異常報知手段を備える遊技機である。
【0071】
特徴9の遊技機の構成によれば、複数の構成部品の一部の交換により構成部品同士の組み合わせが不適合になり、それが原因で正常に動作しない不具合が発生した場合に異常の報知が行われるので、原因調査に時間を要さず、不具合の原因を即座に知ることができ、迅速な対応が可能になる。
【0072】
[上記特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
識別回路:識別回路73,DIPスイッチ70、第1構成部品:遊技盤40、第2構成部品:背面アッシ50、適合判別手段:初期検査プログラムPG1のステップS3を実行するときのマイコン601、異常報知手段:ステップS4を実行するときのマイコン601,スピーカ91S、表示装置52、スイッチ部品:DIPスイッチ70、操作部:スイッチ操作部71、透光部材:ベース板41、コネクタ:コネクタ40C,50C、遊技領域:遊技領域R1、遊技盤:遊技盤40、背面アッシ:背面アッシ50、制御基板:制御基板600、支持枠体:遊技枠90
【0073】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0074】
10 遊技機
30A 遊技機本体
40 遊技盤
40C,50C コネクタ
41 ベース板
50 背面アッシ
52G 表示画面
70 DIPスイッチ
73 識別回路
90 遊技枠
600 制御基板
601 マイコン
PG1 初期検査プログラム