(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
B67C 3/00 20060101AFI20240529BHJP
B65B 39/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B67C3/00 A
B65B39/00 B
(21)【出願番号】P 2022154146
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2021170355
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022012314
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591158003
【氏名又は名称】株式会社中部機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】横山 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】舩木 満浩
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-145201(JP,A)
【文献】特開昭58-171392(JP,A)
【文献】特開平11-091877(JP,A)
【文献】特開昭54-108467(JP,A)
【文献】特開2001-063709(JP,A)
【文献】特開2007-331801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00
B65B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、
ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備え、
前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記保持部材(24-1)に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部(201)が設けられ、
前記洗浄水噴射部(201)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに回転可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成され
、
前記洗浄水噴射部(201)の噴射口(201a4)は前記保持部材(24-1)の縁部に沿って前記充填ノズル部(20)の仮想中心線(CL’)に関して対称に配置され、そして
前記噴射口(201a4)は、断面が四角形状である中空円筒部(201a1)の内周面(201a2)において、前記内周面(201a2)より外側に傾斜し且つ法線ベクトルが前記保持部材(24-1)を指向する部分傾斜面(201a3)上に形成されている
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項2】
請求項
1に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記噴射口(201a4)は横長のスリット形状を成している
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記アーム(202b)を支持するアーム支持部(202c)は、使用済み洗浄水を移送する配管流路(202d)が前記アーム(202b)に直交する形態で前記アーム支持部(202c)の下面に接続されている
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項4】
供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、
ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備え、
前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するための洗浄水貯蔵部(202)が設けられ、
前記洗浄水貯蔵部(202)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに揺動可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成され
、
前記洗浄水貯蔵部(202)は前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するとき、前記アーム(202b)を前記軸(202e)の回りの両方向に繰り返し揺動可能に構成されている
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項5】
請求項
4に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記洗浄水貯蔵部(202)は、洗浄水を加振する振動発生装置(205)を備える
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項6】
請求項
5に記載の紙容器成形充填機(1)において、
前記洗浄水貯蔵部(202)は、前記振動発生装置(205)と併用して或いは別個独立に超音波発生装置又は気泡発生装置を備える
ことを特徴とする紙容器成形充填機。
【請求項7】
ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備えた充填装置(100)であって、
前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記保持部材(24-1)に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部(201)が設けられ、
前記洗浄水噴射部(201)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに回転可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の充填装置(100)において、
前記洗浄水噴射部(201)の噴射口(201a4)は前記保持部材(24-1)の縁部に沿って前記充填ノズル部(20)の仮想中心線(CL’)に関して対称に配置されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の充填装置(100)において、
前記噴射口(201a4)は、断面が四角形状である中空円筒部(201a1)の内周面(201a2)において、前記内周面(201a2)より外側に傾斜し且つ法線ベクトルが前記保持部材(24-1)を指向する部分傾斜面(201a3)上に形成されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項10】
請求項
8に記載の充填装置(100)において、
前記噴射口(201a4)は横長のスリット形状を成している
ことを特徴とする充填装置。
【請求項11】
請求項
7から10の何れか1項に記載の充填装置(100)において、
前記アーム(202b)を支持するアーム支持部(202c)は、使用済み洗浄水を移送する配管流路(202d)が前記アーム(202b)に直交する形態で前記アーム支持部(202c)の下面に接続されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項12】
ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、
前記充填シリンダ部(10)に連通し紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、
閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、
前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備えた充填装置(100)であって、
前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するための洗浄水貯蔵部(202)が設けられ、
前記洗浄水貯蔵部(202)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに揺動可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されている
ことを特徴とする充填装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の充填装置(100)において、
前記洗浄水貯蔵部(202)は、洗浄水を加振する振動発生装置(205)を備える
ことを特徴とする充填装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の充填装置(100)において、
前記洗浄水貯蔵部(202)は、前記振動発生装置(205)と併用して或いは別個独立に超音波発生装置又は気泡発生装置を備える
ことを特徴とする充填装置。
【請求項15】
請求項
12から14の何れか1項に記載の充填装置(100)において、
前記洗浄水貯蔵部(202)は前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するとき、前記アーム(202b)を前記軸(202e)の回りの両方向に繰り返し揺動可能に構成されている
ことを特徴とする充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に関し、より詳細には充填シリンダ内部を充填ピストンが往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置において充填液に含まれる固形成分(例えばバター粒)によるノズル吐出面の目詰まりを従来の充填装置よりも短時間に除去することが可能な充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生クリーム、乳飲料やジュース等を充填する容器として、ゲーブルトップと呼ばれる上部が三角屋根状に成形された紙製角筒容器(以下「紙パック容器」という。)が広く利用されている。この紙パック容器の成形から内容物充填及びシールまでの一連の工程を実施する充填シール装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、これら充填シール装置において内容物(液体)を紙パック容器に充填するための充填装置として、シリンダ内部をピストンが摺動し、ピストンが下降することにより液体貯蔵タンクからシリンダ内部に液体が吸い込まれると共に、ピストンが上昇することにより吸い込まれた液体が充填ノズルから紙パック容器に吐出されるように構成された充填装置が知られている(例えば、特許文献2を参照。)
【0004】
上記充填装置は、バネによって常時閉方向に付勢された、液体の吸込みに係る吸入バルブと、液体の吐出に係るノズルバルブが別個独立に備わる。吸入バルブは、ピストンが上死点から下死点に移動する過程でシリンダ内部が負圧になることによって開状態になる。これにより液体がシリンダ内部に吸い込まれ始め、液体の吸込みはピストンが下死点に達するまで続くことになる。一方、ピストンが下死点から上死点に移動する過程で、液体が圧縮されることにより吸入バルブは閉状態になる。
【0005】
他方、ノズルバルブは、ピストンが下死点から上死点に移動する過程で液体が圧縮されることによって開状態になる。これにより液体がノズルから紙パック容器に充填される。一方、ピストンが上死点から下死点に移動する過程でシリンダ内部が負圧になることによってノズルバルブは閉状態になる。この場合、シリンダからの液の供給は停止するとともに、ノズルバルブ下流からノズル出口に到る内部流路の液体は、ノズル出口に設けられたバルブによりノズル内に保持される。
【0006】
また、ノズルバルブ下流からノズル先端に至る内部流路に残留した流体を、ノズル先端(ノズル吐出面)に設けられたワイヤースクリーン(金網板)の積層体(メッシュユニット)によって保持されるものがある(特許文献3又は4を参照。)。このワイヤースクリーンは、液体の表面張力と大気圧によって液体を多孔板積層体に保持して、液体がノズル出口から垂れ落ちないようにしている。
【0007】
特に、紙パック容器に充填される内容物が生クリームの場合、チャーニング現象によってバター粒が生成される。このバター粒がワイヤースクリーンに付着すると、最悪の場合、ノズル吐出面の目詰まりを引き起こすことになる。
【0008】
従って、ノズル吐出面にワイヤースクリーンが設けられた充填装置においては、一定量の内容物を充填した後はノズル吐出面を洗浄水によって洗浄する必要がある。一般にノズル吐出面に付着したバター粒の除去については、お湯の入ったトレイにノズル吐出面を含むノズル先端部を浸し、バター粒を融かすことにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4334115号
【文献】特許第4779229号
【文献】特開2002-12206号公報
【文献】特開2012-232754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したノズル吐出面に付着したバター粒の除去は、オペレータによって行われている。すなわち、オペレータは充填機の扉を開放して、お湯の入ったトレイをノズル吐出面の真下に持ってきて所定の高さ位置に保持しながら、ノズル先端部を所定の深さだけ浸す必要がある。
【0011】
さらに、洗浄作業の間は充填機の扉が開放された状態になるため、オペレータはノズル吐出面からバター粒を除去した後に充填機内のクリーン度(清浄度)を元のレベルに戻す作業が別途必要となる。
【0012】
このように、ノズル吐出面にワイヤースクリーンが設けられた充填装置では、ノズル吐出面におけるバター粒の除去(ノズル吐出面の洗浄)に多くの作業時間を要するという問題がある。
【0013】
また、上記特許文献3及び特許文献4に記載のノズル装置では、メッシュユニットの洗浄に際し、メッシュユニットが取り付けられたノズルをノズル装置の計量供給管から一旦取り外す必要がある。そして、洗浄されたメッシュは、ノズルの内部に再び取り付けられ、そのメッシュが取り付けられたノズルは計量供給管に再度組み付けられることになる。
【0014】
つまり、メッシュユニットを洗浄するには、ノズル装置の分解・再組立作業が必要となる。なお、ノズル装置の分解・再組立作業は充填機の扉が開放された状態で行われるため、再組立後は充填機内のクリーン度(清浄度)を元のレベルに戻す作業が別途必要となる。その結果、上記従来の充填装置と同様に、メッシュユニットの洗浄に多くの作業時間を要するという問題がある。
【0015】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、充填シリンダ内部を充填ピストンが往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置において充填液に含まれる固形成分(例えばバター粒)によるノズル吐出面の目詰まりを従来の充填装置よりも短時間に除去することが可能な充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る紙容器成形充填機は、供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備え、前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記保持部材(24-1)に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部(201)が設けられ、前記洗浄水噴射部(201)は中空構造のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに回転可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成では、洗浄水噴射部(201)がアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに回転可能かつ上下方向に移動可能に構成されている。そのため、充填ノズル部(20)が紙容器に液体を充填している間は、洗浄水噴射部(201)を充填ノズル部(20)から離れた場所に待避させる一方、ノズル吐出面(26)の保持部材(ノズルスクリーン)がバター粒による目詰まりを生じる場合は、洗浄水噴射部(201)を軸(202e)の回りに回転させ充填ノズル部(20)の真下の所定高さに自動的に位置させ、目詰まりを生じている保持部材(ノズルスクリーン)に向けて洗浄水を噴射することになる。
【0018】
これに加えて、アーム(202b)は中空構造を有している。そのため、ノズル吐出面を洗浄した、バター粒等を含む洗浄廃液についてはアーム(202b)を介して外部に廃棄することが可能となる。これらにより、充填機の扉を開放することなく且つ人手によることなく、ノズル吐出面(26)の保持部材(ノズルスクリーン)に付着したバター粒を除去することが可能となる。その結果、ノズル吐出面の洗浄に係る作業時間を大幅に削減することが可能となる。
【0019】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記洗浄水噴射部(201)の噴射口(201a4)は前記保持部材(24-1)の縁部に沿って前記充填ノズル部(20)の仮想中心線(CL’)に関して対称に配置されていることである。
【0020】
上記構成では、ノズル吐出面に設けられた保持部材(ノズルスクリーン)を万遍なく洗浄水によって洗浄することが可能となる。
【0021】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記噴射口(201a4)は、断面が四角形状である中空円筒部(201a1)の内周面(201a2)において、前記内周面(201a2)より外側に傾斜し且つ法線ベクトルが前記保持部材(24-1)を指向する部分傾斜面(201a3)上に形成されていることである。
【0022】
上記構成では、洗浄水を内周面(201a2)の外側から保持部材(ノズルスクリーン)へ向けて噴射しながら、保持部材(ノズルスクリーン)を洗浄した使用済み洗浄水(洗浄廃液)を内周面(201a2)に落水させることが可能となる。
【0023】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記噴射口(201a4)は横長のスリット形状を成していることである。
【0024】
上記構成では、1つの噴射口(201a4)がカバーする保持部材(ノズルスクリーン)の洗浄範囲が大きくなる。これにより、保持部材(ノズルスクリーン)についての固形成分(バター粒)による目詰まりを好適に防止することが可能となる。
【0025】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記アーム(202b)を支持するアーム支持部(202c)は、使用済み洗浄水を移送する配管流路(202d)が前記アーム(202b)に直交する形態で前記アーム支持部(202c)の下面に接続されていることである。
【0026】
上記構成では、配管流路(202d)を固定配管(203a)の内周面に外接させることにより、使用済み洗浄水(洗浄廃液)をアーム(202b)を介して外部タンクへ移送することが可能となると共に、アーム(202b)を回転可能に構成することが可能となる。
【0027】
上記目的を達成するための本発明に係る紙容器成形充填機は、供給された紙シート材を紙容器に形成し、形成された該紙容器に液体を充填し、液体を充填された該紙容器の頂部をシールする紙容器成形充填機(1)であって、ピストン(11)が往復摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し前記紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備え、前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するための洗浄水貯蔵部(202)が設けられ、前記洗浄水貯蔵部(202)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに揺動可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0028】
上記構成では、洗浄水貯蔵部(202)がアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに揺動可能かつ上下方向に移動可能に構成されている。そのため、充填ノズル部(20)が紙容器に液体を充填している間は、洗浄水貯蔵部(202)を充填ノズル部(20)から離れた場所に待避させる一方、ノズル吐出面(26)の保持部材(ノズルスクリーン)がバター粒等の固形成分による目詰まりを生じる場合は、洗浄水貯蔵部(202)を軸(202e)の回りに揺動(回転)させ充填ノズル部(20)の真下に自動的に位置させ、そして所定の距離(Δh)だけ上方に移動させることにより、目詰まりを生じている保持部材(ノズルスクリーン)を洗浄水に浸漬することになる。
【0029】
また、アーム(202b)は中空構造を有している。そのため、ノズル吐出面を洗浄した、バター粒等を含む洗浄廃液についてはアーム(202b)を介して外部に廃棄することが可能となる。これらにより、充填機の扉を開放することなく且つ人手によることなく、ノズル吐出面(26)の保持部材(ノズルスクリーン)に付着したバター粒等の固形成分を除去することが可能となる。その結果、ノズル吐出面の洗浄に係る作業時間を大幅に削減することが可能となる。
【0030】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は、洗浄水を加振する振動発生装置(205)を備えることである。
【0031】
上記構成では、振動発生装置(205)によって発生した振動が洗浄水を介してノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に伝わり、ノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に目詰まりしているバター粒等の固形成分の剥離・洗浄水への溶解を促進させることになる。
【0032】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は、前記振動発生装置(205)と併用して或いは別個独立に超音波発生装置又は気泡発生装置を備えることである。
【0033】
上記構成では、超音波発生装置によるキャビテーション又は気泡発生装置による泡の噴流(フォームジェット)がノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に作用し、ノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に目詰まりしているバター粒等の固形成分の剥離・洗浄水への溶解を促進させることになる。
【0034】
本発明に係る紙容器成形充填機の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するとき、前記アーム(202b)を前記軸(202e)の回りの両方向に繰り返し揺動可能に構成されていることである。
【0035】
上記構成では、バター粒等の固形成分が目詰まりしているノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に対し剪断方向(水面に平行な方向)の振動を加えることが可能となる。剪断方向(水面に平行な方向)の振動によってノズルスクリーン(24-1)又は圧力損失部材(23)に目詰まりしている固形成分(バター粒)の剥離・洗浄水への溶解を促進させることになる。
【0036】
また、上記目的を達成するための本発明に係る充填装置は、ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備えた充填装置(100)であって、前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記保持部材(24-1)に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部(201)が設けられ、前記洗浄水噴射部(201)は中空構造のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに回転可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0037】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記洗浄水噴射部(201)の噴射口(201a4)は前記保持部材(24-1)の縁部に沿って前記充填ノズル部(20)の仮想中心線(CL’)に関して対称に配置されていることである。
【0038】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記噴射口(201a4)は、断面が四角形状である中空円筒部(201a1)の内周面(201a2)において、前記内周面(201a2)より外側に傾斜し且つ法線ベクトルが前記保持部材(24-1)を指向する部分傾斜面(201a3)上に形成されていることである。
【0039】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記噴射口(201a4)は横長のスリット形状を成していることである。
【0040】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記アーム(202b)を支持するアーム支持部(202c)は、使用済み洗浄水を移送する配管流路(202d)が前記アーム(202b)に直交する形態で前記アーム支持部(202c)の下面に接続されていることである。
【0041】
また、上記目的を達成するための本発明に係る充填装置は、ピストン(11)が摺動することにより液体を吸い込み又は吐出する充填シリンダ部(10)と、前記充填シリンダ部(10)に連通し紙容器に液体を吐出する充填ノズル部(20)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填シリンダ部(10)に対する液体貯蔵部(9)からの液体の供給を開放/停止する吸入バルブ部(30)と、閉じる方向に付勢されながら前記充填ノズル部(20)に対する液体の供給を開放/停止するノズルバルブ部(40)と、前記充填ノズル部(20)の先端部のノズル吐出面に設けられ内部の液体を大気圧によって保持する保持部材(24-1)とを備えた充填装置(100)であって、前記保持部材(24-1)から下方の離隔した位置に、前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するための洗浄水貯蔵部(202)が設けられ、前記洗浄水貯蔵部(202)は中空のアーム(202b)を介して所定の軸(202e)の回りに揺動可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0042】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は、洗浄水を加振する振動発生装置(205)を備えることである。
【0043】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は、前記振動発生装置(205)と併用して或いは別個独立に超音波発生装置又は気泡発生装置を備えることである。
【0044】
本発明に係る充填装置の他の特徴は、前記洗浄水貯蔵部(202)は前記充填ノズル部(20)の先端部を洗浄水に浸漬するとき、前記アーム(202b)を前記軸(202e)の回りの両方向に繰り返し揺動可能に構成されていることである。
【発明の効果】
【0045】
本発明の紙容器成形充填機(1)及び充填装置(100)によれば、充填シリンダ(10)内部を充填ピストン(11)が往復摺動しながら充填液を所定の充填速度で紙容器に充填する充填装置(100)において、ノズル吐出面(26)に設けられた保持部材(ノズルスクリーン)がバター粒による目詰まりを生じる場合、充填機(1)の扉を開放することなく且つ人手によることなくノズル吐出面(26)の保持部材(ノズルスクリーン)に付着したバター粒等の固形成分を除去することが可能となる。その結果、ノズル吐出面の洗浄に係る作業時間を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の外観図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の動作を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填装置の液体充填部の要部断面を示す説明図である。
【
図4】液体充填部の充填ノズル部の要部断面を示す説明図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置の要部断面を示す説明図である。
【
図10】洗浄水噴射部が軸の回りに所定の角度だけ回転した状態を示す説明図である。
【
図11】洗浄水噴射部が軸に沿って所定の距離だけ変位した状態を示す説明図である。
【
図13】紙パック容器用カートン上部の展開図を示す説明図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置の要部断面を説明図である。
【
図15】洗浄廃液貯蔵部が軸に沿って所定の距離だけ上方に移動して充填ノズル部の先端部が洗浄水に浸漬された状態を示す説明図である。
【
図16】本発明の第3実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置の要部断面を示す説明図である。
【
図17】ノズル吐出面洗浄装置による充填ノズル部の先端部の洗浄工程の一例を示す説明図である。
【
図18】ノズル吐出面洗浄装置による充填ノズル部の先端部の洗浄後工程の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0048】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填機1を示す説明図である。
図1はこの紙パック容器成形充填機1の外観図である。
図2はこの紙パック容器成形充填機1の動作を示すブロック図である。
【0049】
図1に示されるように、この紙パック容器成形充填機1は、カートンを有底カートンに成形するカートン底部成形部2と、内容物(充填液)の注出口となる口栓(スパウト)を装着する口栓装着部3と、カートン上部の折り目をほぐすと共にカートン上部開口を一時的に拡げるカートン上部一次折曲げ部4と、有底カートンに内容物(充填液)を充填する液体充填部100と、カートン上部開口をカートン上部加熱装置6のノズル部に嵌るように一時的に成形するカートン上部二次折曲げ部5と、カートン上部内周面及び外周面を加熱するカートン上部加熱装置6と、カートン上部をプレスしてシール(封止)するカートン上部プレス部7と、内容物が充填された紙パック容器を外部に取り出す容器搬出部8と、紙パック容器に充填される内容物を貯蔵する内容物貯蔵部9とを具備して構成される。以下、各構成について説明する。
【0050】
図2に示されるように、カートン底部成形部2は、扁平形状の複数のカートンが積層されたカートン束からバキューム装置(図示せず)によって1個ずつカートンを引き出す。カートンが引き出される過程で、点対称に配置された一対のL字片にカートンが嵌合することによって、扁平形状から両端開口の四角柱枠形状に成形される。
【0051】
両端開口の四角柱枠形状に成形されたカートンは、昇降装置(図示せず)によって引き上げられマンドレルに挿入される。なお、マンドレルは、長手方向を鉛直方向に配向されて回転円盤の周方向に沿って等間隔に複数個(例えば8個)設けられている。従って、マンドレルは45°回転→休止→45°回転→休止→・・・という工程を繰り返し、その休止の間に以降のボトム加熱、カートン下部の折り曲げ、ボトムプレス、及びカートン引降ろしが順に行われることになる。
【0052】
カートンは90°回転した後に、ボトムヒータ(図示せず)によって下部を加熱される。その後更に45°回転した後に、ボトムブレーカ(図示せず)によってカートン下部を折り目に沿って折り曲げられる。その後更に45°回転した後に、ボトムプレス(図示せず)によってカートン下部を鉛直方向(長手方向)上向きに押圧される。これにより、有底カートンが成形される。
【0053】
その後更に90°回転した後に、カートンは昇降装置(図示せず)によってマンドレルから引き下ろされて、一対の内部コンベア70によって搬送される。
【0054】
口栓装着部3は、カートン上部の口栓用開口(
図13(b)のT9)に、予熱した口栓(スパウト)を押し付けてカートン内面に溶着させる。なお、口栓無しカートンを成形・充填する場合は、口栓装着部3は休止している。
【0055】
カートン上部一次折曲げ部4は、カートン上部の折り目(
図13(b)の点線部T1,T5,T3,T7)の交点(
図13(b)の×印近傍)を、互いに内側に向かって押してカートン上部の折り目に(押された部位が内側に凹むような)クセを付ける。その後、カートン上部を搬送方向に沿って外側に押してカートン上部開口を拡げる。なお、カートンは、一対の内部コンベア70によって挟まれた搬送路(
図1)に沿って、内部コンベアのセパレート片によって姿勢を安定に保持された状態で図上右側へ搬送される。
【0056】
液体充填部100は、所定量の内容物(充填液)を有底カートン(紙パック容器)に充填する。内容物(充填液)は内容物貯蔵部9から自然落下又はポンプによって所定のラインを経由して液体充填部100に供給される。紙パック容器への充填は、充填ピストン11(
図3)が所定のストローク量(
図3)を移動することによって、所定量の充填液が充填ノズル部20(
図3)から紙パック容器に充填される。なお、詳細については
図4から
図12を参照しながら後述するが、充填液に含まれる固形成分(例えばバター粒)により充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1(
図4)が目詰まりを起こす場合は、紙パック容器成形充填機1の扉を開放することなく且つ人手によることなく、ノズルスクリーン24-1(
図4)に付着したバター粒を除去することができるように構成されている。
【0057】
カートン上部二次折曲げ部5は、再度カートン上部の折り目(
図13(b)の点線部T2,T6,T4,T8)を、搬送方向に対し直交する方向に沿って内側に押してカートン上部の折り目に(押された部位が内側に凹むような)クセを付ける。その後、カートン上部二次折曲げ部5は、カートン上部開口を少しだけ押し拡げる。これは次のカートン上部加熱装置6において熱風を吹き付けるノズル部にカートン上部が好適に嵌るようにするためである。
【0058】
カートン上部加熱装置6は、カートン上部内周面及び外周面を加熱する。
【0059】
カートン上部プレス部7は、カートン上部を搬送方向に直交する方向にプレスしてカートン上部をシールする。なお、本実施形態においてプレスは2段階に分けて行われる。
【0060】
容器搬出部8は、シール済みの紙パック容器を排出コンベアによって外部に搬出する。搬送路(
図1)と排出コンベアとの継ぎ目には緩やかなスロープ(
図1)が設けられている。そのため、シール済みの紙パック容器は、内部コンベア70の送り力と自重によってスムーズに搬出コンベアに移送される。以下、本発明の特徴である液体充填部100について説明する。
【0061】
図3は、本発明の一実施形態に係る紙パック容器成形充填機1の液体充填部100の要部断面を示す説明図である。
図4は、充填ノズル部20の要部断面を示す説明図である。なお、
図3においてハッチングは省略されている。
【0062】
本実施形態においては、液体充填部100は、単体では使用されずに紙パック容器成形充填機1(
図1)に組み込まれて使用される。特に、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1(
図4)が充填液に含まれる固形成分(例えばバター粒)により目詰まりを起こす場合は、紙パック容器成形充填機1の扉を開放することなく且つ人手によることなく、ノズルスクリーン24-1(
図4)に付着したバター粒を除去することができるように液体充填部100は構成されている。そのための構成として、充填ノズル部20の下方の離隔した位置にノズル吐出面(ノズルスクリーン24-1(
図4))を洗浄水で洗浄するノズル吐出面洗浄装置200が設けられている。このノズル吐出面洗浄装置200の詳細については
図7から
図12を参照しながら後述する。
【0063】
従って、液体充填部100は、内部を所定のストローク量で充填ピストン11が往復運動する充填シリンダ部10と、充填液を紙パック容器に吐出する充填ノズル部20と、閉じる方向にスプリング31によって常時付勢され充填シリンダ部10に対する充填液の供給を開放/停止するサクションバルブ30と、閉じる方向にスプリング41によって常時付勢され充填ノズル部20に対する充填液の供給を開放/停止するノズルバルブ40と、ノズル吐出面を洗浄水で洗浄するノズル吐出面洗浄装置200とを具備して構成される。以下各構成について説明する。
【0064】
充填シリンダ部10は、内容物貯蔵部9から充填液を吸い込むと共に、吸い込んだ充填液を圧送する充填ピストン11と、充填ピストン11が内部を摺動すると共に、充填ピストン11が吸い込んだ充填液を一時的に蓄える円筒形状のシリンダ本体12と、サクションバルブ30が取り付けられる円盤状のシリンダヘッド13と、充填ピストン11の軸11aを軸受けするシリンダボトム14とによって構成されている。
【0065】
充填ピストン11はサーボモータ(図示せず)によって駆動される。サーボモータはモータドライバー(図示せず)によって駆動される。モータドライバーは、カートン成形部2、口栓装着部3、カートン上部二次折り曲げ部5カートン上部プレス部7及び容器搬送装置など紙パック容器成形充填機1を構成する各装置を同期して作動させるコントローラ (図示せず)からの指令によって駆動される。なお、この同期は基準エンコーダ(図示せず)の出力値(信号)から取られている。
【0066】
また、サーボモータには回転角度を計測する角度センサ、例えばエンコーダ(図示せず)が接続されている。従って、充填ピストン11のストローク位置については、その角度センサの計測信号を基に上記コントローラ(図示せず)によって算出されるように構成されている。なお、充填液の吸込についての充填ピストン11のストローク量と、充填液の吐出についての充填ピストン11のストローク量は異なるように設定されている。
【0067】
充填ピストン11が下方に移動するときに、シリンダ本体12の内部の圧力が低下する。これにより、弁体32の上下方向に圧力差が生じ、この圧力差による荷重が弁体32を押し下げようとする。その荷重がスプリング31の弾性力を上回るときに弁体32が開き始め、充填液がシリンダ本体12に吸い込まれる。他方、充填ピストン11が上方に移動するときに、吸い込んだ充填液を圧縮し、シリンダ本体12の内部の圧力が増加する。これにより、弁体42の上下方向に圧力差が生じ、この圧力差による荷重が弁体42を押し下げようとする。その荷重がスプリング41の弾性力を上回るときに弁体42は開き始め、充填液が充填ノズル部20を通って紙パック容器に吐出される。
【0068】
シリンダ本体12には配管接続ポート15が形成されている。その配管接続ポート15にはT字管16が接続されている。T字管16の一方の端部にはノズルバルブ40が接続され、他方の端部にリニアアクチュエータ80が接続されている。このリニアアクチュエータ80は、充填ラインに洗浄液を流す際に、ノズルバルブ40を強制的に開放するためのものである。なお、サクションバルブ30の上流側に設けられているリニアアクチュエータ90も同様に充填ラインに洗浄液を流す際に、サクションバルブ30を強制的に開放するためのものである。
【0069】
サクションバルブ30は、有底球面形状の弁体32と、ストレート形状の軸33と、C形状のクリップ34とからなる。弁体32は、閉状態において弁座35に当接している。軸33は軸受部材36によって支持されている。クリップ34は軸33の縮径部に係合している。従って、クリップ34の内径については軸33の縮径部の最大外径より小さくなるように設定されている。
【0070】
ノズルバルブ40もサクションバルブ30と同様に、弁体42と、弁体42を閉じる方向に付勢するスプリング41と、ストレート形状の軸43と、C形状のクリップ44と、弁体42が係止する弁座45と、全体を収容するチャンバ46とからなる。弁体42は、閉状態において弁座45に係止している。クリップ44は軸43の縮径部に係合している。従って、クリップ44の内径については軸43の縮径部の最大外径より小さくなるように設定されている。また、弁座45はチャンバ46とT字管16によって挟まれながら支持されている。
【0071】
図4に示されるように、充填ノズル部20は、長軸中空円筒形状のノズルケーシング21と、ノズルスクリーン組立24をノズルケーシング21に接続するノズルスクリーンアダプタ22と、ノズルケーシング21の先端に取り付けられる圧力損失部材23と、1以上のノズルスクリーンと1以上のスペーサが組み合わされたノズルスクリーン組立24と、圧力損失部材23を支持する圧損部材ホルダ25と、ノズルスクリーン組立24を支持するノズルスクリーンホルダ26とから構成される。
【0072】
ノズルケーシング21の先端外周部には雄ねじ部21aが形成され、ノズルスクリーンアダプタ22の雌ねじ部22aに係合するようになっている。他方、ノズルケーシング21の先端内周部は拡径テーパ構造を成し、その先端には圧力損失部材23が取り付けられている。
【0073】
ノズルスクリーンアダプタ22は外周断面形状が四角形を成し、内周断面形状は円形を成している。ノズルスクリーンアダプタ22の外周先端部には外部平行溝22b,22bが形成されている。外部平行溝22b,22bはノズルスクリーンホルダ26の内部平行溝26b,26bにそれぞれ嵌まるようになっている。
【0074】
圧力損失部材23は、充填時における充填液の流速を下げて流れを安定(整流)させるためのものである。圧力損失部材23としては、円形板に金属線が平面状に縦横に織られた網目板(メッシュプレート)又は、円形板に複数の貫通孔が形成された多孔板(パンチングプレート)を使用することができる。なお、メッシュプレートの網目またはパンチングプレートの貫通孔の大きさについては、充填液の種類(生クリーム、牛乳、ジュース等)に応じて適宜変更される。
【0075】
圧力損失部材23を支持する圧損部材ホルダ25は、外周断面形状が四角形を成している。一方、内周断面形状は吐出面に向かって、直径が一定の第1円形、次に縮径した第2円形、次に第2円形から四角形に拡径し、その四角形のまま出口まで続く形状を成している。その四角形の出口にはノズルスクリーン組立24が取り付けられている。
【0076】
ノズルスクリーン組立24は、「金網を有するノズルスクリーン」と「金網が無い厚さを確保するためのスペーサ」とから構成されている。ノズルスクリーンとスペーサの構成比率ならびに金網のサイズ(メッシュ、線径)は、充填液の種類(生クリーム、牛乳、ジュース等)によって異なってくる。一例を挙げると、充填液が牛乳の場合、吐出面より上流側に向かって、金網が40メッシュ及び線径:0.22mmである厚さt1を有するノズルスクリーン24-1(
図5)が3枚積層され、この3枚のノズルスクリーン24-1に厚さt2を有するスペーサ24-2(
図6(b))が2枚積層され、この2枚のスペーサ24-2に厚さt3を有するスペーサ24-3(
図6(c))が1枚積層されている。従って、牛乳の場合のノズルスクリーン組立24の厚みtは、t=3×t1+2×t2+t3となる。
【0077】
従って、ノズルバルブ40(
図3)から流れ出た充填液は、流路断面形状が円形であるノズルケーシング21を流れ、圧力損失部材23によって流速を低下させられ、圧損部材ホルダ25、流路断面形状が四角形であるノズルスクリーンホルダ26内に順に流入する。圧力損出部材ホルダ25の内部流路の断面形状は円形から四角形に変化するため、充填液は安定してノズルスクリーンホルダ26の内部を流れることになる。
【0078】
なお、本実施形態ではノズルスクリーンの積層枚数は3枚であるが、充填液の種類によっては4枚以上も有り得る。なお、ノズルスクリーン区間の長さとスペーサ区間の長さとの総和は一定になるように設定されている。従って、ノズルスクリーン区間が厚くなる場合、より薄いスペーサに交換するか、或いはスペーサの枚数を減らすか、或いはより薄いスペーサに交換し且つスペーサの枚数を減らすことが行われる。スペーサ区間が厚くなる場合も同様である。以下にノズルスクリーン24-1及びスペーサ24-2,24-3について説明する。
【0079】
図5は、ノズルスクリーン24-1を示す説明図である。
図5(a)は正面図であり、
図5(b)は右側面図である。
図5(a)に示されるように、ノズルスクリーン24-1は、所定の線径(例えば0.22mm)を有する金属線が所定の間隔(例えば40メッシュ)を空けて縦方向および横方向に張り巡らされた四角形の金網24-1aと、所定の幅Wの四角形枠で金網24-1aの外周縁に当接する金枠24-1bとから成り、全体の外形が四角形を成している。
【0080】
図5(b)に示されるように、金網24-1aは金枠24-1bによって両側から挟持(サンドイッチ)された状態で金枠24-1bに溶接(例えば全周スポット溶接)されている。
【0081】
図6は、スペーサ24-2,24-3を示す説明図である。
図6(a)は正面図であり、
図6(b)はスペーサ24-2の右側面図である。
図6(c)はスペーサ24-3の右側面図である。
【0082】
図6(a)に示されるように、スペーサ24-2,24-3は、ノズルスクリーン24-1の金枠24-1bと同じ、所定の幅Wの四角形枠であり、四角形の開口を有している。ノズルスクリーン組立24(
図4)においてスペーサ24-2はノズルスクリーン24-1の金枠24-1bに当接するようになっている。
【0083】
図6(b)(c)に示されるように、スペーサ24-2の厚さt2は、スペーサ24-3の厚さt3より厚くなっている。
【0084】
再び
図4に戻って、ノズルスクリーン組立24を支持するノズルスクリーンホルダ26は、外周断面形状がノズル吐出面(先端)に向かってテーパ状に縮小した四角形を成している。一方、内周断面形状は一定形状の第1四角形と、先端が縮小した第2四角形とから成っている。ノズルスクリーン組立24は、この第2四角形に係る縁部によって支持されている。
【0085】
ノズルスクリーンホルダ26は、吐出面と反対側の端部近傍に内部平行溝26b,26bが形成されている。内部平行溝26b,26bは、ノズルスクリーンアダプタ22の外部平行溝22b,22bに嵌まるようになっている。これにより、ノズルスクリーンホルダ26はノズルスクリーンアダプタ22に係止し、ノズルスクリーン組立24は圧損部材ホルダ25とノズルスクリーンホルダ26によって挟まれて安定に保持されることになる。この場合、ノズルケーシング21が圧損部材ホルダ25に嵌合しているため、ノズルスクリーンホルダ26がノズルスクリーンアダプタ22に対し相対移動することはできない。
【0086】
(第1実施形態)
図7から
図11は、本発明の第1実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置200を示す説明図である。
図7は内部コンベア70の搬送方向から見た要部断面説明図であり、
図8は
図7のA矢視図である。
図9は
図7のB矢視図である。
図10は洗浄水噴射部201が軸202eの回りに所定の角度だけ回転した状態を表している。
図11は洗浄水噴射部201が軸202eに沿って所定の距離だけ変位した状態を表している。なお、説明の都合上、
図7、
図9及び
図11において洗浄対象である充填ノズル部20についても併せて図示されている。
【0087】
図7に示されるように、このノズル吐出面洗浄装置200は、充填ノズル部20のノズル吐出面に向けて洗浄水を噴射する洗浄水噴射部201と、ノズル吐出面を洗浄した使用済み洗浄水(以下「洗浄廃液」という。)を回収する洗浄廃液回収部202と、洗浄廃液を外部のタンク(図示せず)に移送する洗浄廃液移送部203と、洗浄廃液移送部203を固定するベース部204とを具備して構成されている。なお、ここで言う「ノズル吐出面」とはノズルスクリーン24-1(
図5)を意味している。以下、各構成を更に説明する。
【0088】
洗浄水噴水部201は、洗浄水を噴射する噴射口を複数備えるマルチ噴射部201aと、洗浄廃液回収部202に嵌合する嵌合部201bと、マルチ噴射部201aと嵌合部201bとの間からの洗浄廃液の漏洩を防止するシール部201cとから成っている。以下、マルチ噴射部201aについて更に説明する。
【0089】
図8に示されるように、マルチ噴射部201aは、中空円筒部201a1とフランジ部201a6が組み合わされた形状を成している。中空円筒部201a1の内周面は、断面が四角形である四角壁201a2を成している。フランジ部201a6の内周面は、断面が円形である円筒壁を成している。因みに、二点鎖線で表された最外側の円形枠は、フランジ部201a6の最大内周を表している。二点鎖線で表された最内側の四角形枠はノズルスクリーン24-1(
図5)を表し、二点鎖線で表された二番目に内側の四角形枠はノズルスクリーンホルダ26(
図4)の最小外周を表している。
【0090】
四角壁201a2には、凹部傾斜面201a3が形成されている。本実施形態では凹部傾斜面201a3がマルチ噴射部201aの仮想中心線CL’(充填ノズル部20の仮想中心線)を中心にして周方向に沿って、例えば90°間隔毎に4個形成されている。各凹部傾斜面201a3は、傾斜面の法線ベクトル(面に垂直なベクトル)が充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1を指向するように設定されている。
【0091】
各凹部傾斜面201a3には、例えば横スリット状(横線状)に形成された噴射口201a4が形成されている。なお、噴射口201a4の形状については横スリット状(横線状)に限定されない。例えば多孔状であっても良い。また、凹部傾斜面201a3(噴射口201a4)の個数についても4個に限定されることはなく、5個以上または3個以下であっても良い。
【0092】
各凹部傾斜面201a3に対応する中空円筒部201a1の外側壁には、洗浄水を供給するための洗浄水供給管201a5が接続されている。各凹部傾斜面201a3は洗浄水供給管201a5に連通している。洗浄水供給管201a5の先端には雄型の継手が取り付けられ、その雄型の継手が中空円筒部201a1の外側壁の雌ねじ部(図示せず)にねじ込まれている。また、4本の洗浄水供給管201a5の上流側は1つに束ねられてポンプ(図示せず)の吐出口(図示せず)に接続され、そのポンプの吸込口(図示せず)は洗浄水の貯蔵タンク(図示せず)に接続されている。従って、ポンプが駆動される場合、洗浄水供給管201a5を介して洗浄水が各噴射口201a4から一斉にノズルスクリーン24-1に向けて噴射される。そして、ノズルスクリーン24-1を洗浄した洗浄廃液は四角壁201a2に落水して、シール部201cを通ってアーム202bの内部に流入する。
【0093】
再び
図7に戻って、洗浄水噴射部201は嵌合部201bを介して洗浄廃液回収部202の複合円筒部202aに嵌合されている。嵌合部201bの外周面はフランジ部と円筒部が組み合わされた形状を成している。一方、嵌合部201bの内周面は、円形の断面が段付きで縮小した段付き縮小円筒壁を成している。
【0094】
嵌合部201bとマルチ噴射部201aは、間にシール部201cを挟み込みながら、フランジ部同士がボルト201a7(
図8)によって締結されている。なお、嵌合部201bのフランジ部にはボルト201a7(
図8)に係合する雌ねじ部が形成されている。次に、洗浄廃液回収部202について説明する。
【0095】
洗浄廃液回収部202は、洗浄水噴射部201の嵌合部201bが嵌合する複合円筒部202aと、洗浄水噴射部201を軸202eの回りに回転させるアーム202bと、アーム202bを支持するアーム支持部202cと、洗浄廃液移送部203のストレート配管203aの内周面に摺動しながら差し込まれるスリーブ202dと、ドグ部202fが取り付けられる軸202eと、洗浄水噴射部201の回転位置を近接センサ205によって検出させるためのドグ部203fとを具備して構成されている。以下、各構成について更に説明する。
【0096】
複合円筒部202aは、第1半円筒部202a1とそれより短軸の(高さが低い)第2半円筒部202a2が径方向に突き合わされた状態で接合している。第1半円筒部202a1はアーム202bの側面の開口端と下面に接合している一方、第2半円筒部202a2はアーム202bの上面開口(下記の第1切欠き)に嵌合している。
【0097】
アーム202bは、両端が開口した中空四角柱部材であって、図上右側の上面端部に半円形状の第1切欠き(図示せず)と、図上左側の上面端部および下面端部に半円形状の第2切欠き202b1,202b1と、図上右側の下面端部に半円形状の突出部(出っ張り部)とをそれぞれ有している。なお、上記第1切欠きには複合円筒部202aの第2半円筒部202a2が嵌合し、上記出っ張り部には複合円筒部202aの第1半円筒部202a1が接合している。
【0098】
アーム支持部202cは、軸202eの仮想中心線CLに沿って円形流路が形成された円筒部材であって、仮想中心線CLより図上右側半分の流路側壁が削り取られている。なお、仮想中心線CLより図上左側半分の流路壁には、アーム202bの上記第2切欠き202b1,202b1がそれぞれ接合している。また、アーム支持部202cの下面には段差部が形成され、その段差部に後述するスリーブ202dが嵌合しながら溶接されている。
【0099】
また、アーム支持部202cには、スリーブ202dと同軸にフランジブッシュ202gが取り付けられている。このフランジブッシュ202gは、アーム支持部202cと横ベース部204Yとの間の金属摩耗を防止すると共に、横ベース部204Yとスリーブ202dとの間のガタ(遊び)を吸収するための部材である。これにより、アーム支持部202cとスリーブ202dを適度な回転力で軸202e(仮想中心線CL)を中心として滑らかに回転摺動させることが可能となると共に、洗浄噴射部201を軸202e(仮想中心線CL)の回りに適度な回転力で滑らかに回転させることが可能となる。
【0100】
フランジブッシュ202gはフランジ下面を後述する横ベース部204Yによって回動自在(フリー)に支持されている。また、フランジブッシュ202gと後述するストレート配管203aは固定されておらず、互いに相対回転・移動可能である。
【0101】
スリーブ202dは、外径が後述するストレート配管203aの内径より若干小さく成っており、ストレート配管203aの内周面に嵌合して取り付けられている。そのため、スリーブ202dはストレート配管203aの内周面に摺動しながらストレート配管203aに対し相対移動かつ回転可能に構成されている。これにより、洗浄廃液回収部202はノズル吐出面を洗浄した洗浄廃液を回収しながら、洗浄水噴射部201を仮想中心線CLの回りに回転させること、並びに上下方向に移動させることが可能である。
【0102】
軸202eは例えば中実円筒部材であり、アーム支持部202cの上面に例えば溶接によって取り付けられている。また、軸202eは軸受け202e1によって回転可能に支持されている。軸受け202e1は、後述するセンサ取付台205bに取り付けられている。また、軸受け202e1の上部には、ドグ部203fとの間に一定の間隔を確保するスペーサ202e2が取り付けられている。
【0103】
なお、軸202e又はアーム支持部202cには、例えば直線-回転変換機構(図示せず)等が接続されている。そのため、洗浄水噴射部201はエアシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)によって軸202eの回りに自動的に回転駆動されることになる。これにより、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1がバター粒による目詰まりを起こす場合、洗浄噴射部201を充填ノズル部20の真下の所定高さにエアシリンダ等によって位置させることが可能となる。これにより、紙パック成形充填機1の扉を開放することなく且つ人手によることなくノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)に付着したバター粒を除去することが可能となる。その結果、バター粒によるノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)の目詰まりを従来の充填装置よりも短時間に除去することが可能となる。なお、本実施形態では軸202e、アーム支持部202c及びスリーブ202dの各仮想中心線は、ストレート配管203aの仮想中心線CLに一致するように設定されている。
【0104】
図8に示されるように、ドグ部202fは、軸202eをクランプしながら軸202eと一体となって回転する軸クランプ202f1と、軸クランプ202f1に取り付けられ近接センサ205によって検出される被検知板202f2と、軸クランプ202f1及び被検知板202f2を締結するボルト202f3,202f3とから成っている。
【0105】
軸クランプ202f1は、軸202eの外周に沿う円弧状の切欠きを有する一対の四角形状板によって構成されている。図上左側の四角形状板にはボルト202f3が通る貫通穴が軸202eの両側に形成されている。他方、図上右側の四角形状板にはボルト202f3の雄ねじ部と係合する雌ねじ穴が軸202eの両側に形成されている。
【0106】
従って、ボルト202f3を締めることにより、軸クランプ202f1が軸202eを把持するのと同時に、被検知板202f2は、ボルト202f3と軸クランプ202f1によって締結されることになる。これにより、被検知板202f2は姿勢を固定されながら軸202eと一体に回転することになる。
【0107】
被検知板202f2は、L型板によって構成されている。ボルト202f3の取り付け面から90°折り曲がった先端部位が、近接センサ205によって検知されることになる。
【0108】
図9に示されるように、近接センサ205は、L型板によって構成されたセンサブラケット205aに取り付けられている。センサブラケット205aはセンサ取付台205bに取り付けられている。一方、センサ取付台205bは、2本のボルト205cによって横ベース部204Yに固定されている。なお、ボルト205cはスタッドボルト205dの雌ねじ部(図示せず)に係合し、スタッドボルト205dの雄ねじ部(図示せず)が横ベース部204Yの雌ねじ部(図示せず)に係合している。
【0109】
本実施形態で使用される近接センサ205は、例えば磁気式の近接センサを使用することができる。しかし、例えば近接センサからの出射光を被検知板202f2が遮ることにより被検知板202f2の近接を検知する光学式の近接センサであっても良くその形式は問わない。
【0110】
図10は、洗浄水噴射部201が軸202eの回りに所定の角度だけ回転した状態を示す説明図である。アーム支持部202cはフランジブッシュ202g(
図7)を介して軸202eに関して回転自在に横ベース部204Y上に取り付けられている。また、被検知板202f2は軸クランプf1を介して軸202eに固定され、軸202eと一体に回転する。
【0111】
また、センサ取付台205bは横ベース204Yに固定されている。従って、洗浄水噴射部201と洗浄廃液回収部202を除く、横ベース部204Y、近接センサ205、センサブラケット205a、センサ取付台205b及びボルト205c,205cは軸202eに関して回転不能に構成されている。なお、洗浄水噴射部201は、充填ノズル部20が紙パック容器に充填液を充填している間、充填の妨げとならないように位置、例えば横ベース204Yの図上下側に待避させられている。次に、洗浄廃液移送部203について説明する。
【0112】
再び
図7に戻って洗浄廃液移送部203は、洗浄廃液が流れるストレート配管203a及びL型配管203bと、L型配管203bの端部に溶接によって取り付けられる下フランジ継手203dと、ストレート配管203aを把持する配管クランプ203eと、配管クランプ203eを縦ベース部204Tに固定するボルト203fとから構成されている。
【0113】
ストレート配管203a及びL型配管203bは、L型配管203bの外周面がストレート配管203aの内周面に差し込まれる形態で溶接によって取り付けられている。
【0114】
ストレート配管203aの外周部には、配管クランプ203eを係止する環状突起203a1が形成されている。一方、ストレート配管203aの内周部には洗浄水がストレート配管203aと洗浄廃液回収部202のスリーブ202dとの間の隙間から漏れることを防止するOリング203a2と、Oリング203a2を収容するための環状溝203a3が形成されている。
【0115】
ストレート配管203aとフランジブッシュ202gは、通常は接しているが、後述するエアシリンダ204bが駆動する場合はフランジブッシュ202gがストレート配管203aから分離する。
【0116】
下フランジ継手203dは、位相が90°異なり水平方向に配設された固定配管(
図9)に接続されている。
【0117】
図12に示されるように、配管クランプ203eは、ストレート配管203aの外周に沿った、半円弧状の切欠きを有する一対の四角形状板によって構成されている。各四角形状板にはボルト203fを通すための上貫通穴203e1,203e1及び下貫通穴203e2,203e2が軸対称に形成されている。次にベース部204について説明する。
【0118】
図9に示されるように、縦ベース部204Tは、四角形状板を垂直状態でリブ板204T1によって補強されながら紙パック容器成形充填機1(筐体)に固定されている。他方、横ベース部204Yは、四角形状板を水平状態でエアシリンダ204bによって支持されている。エアシリンダ204bは縦ベース部204Tの一部分に固定されている。従って、エアシリンダ204bのピストンロッド204b1が上下に往復運動(ストローク)することにより、横ベース部204Yは上下に変位することになる。一方、横ベース部204Yにはピストンロッドb1が接続されているため、横ベース部204Yは軸202eの回りに回転することは出来ないようになっている。そのため、横ベース部204Yに一体化されたセンサ取付台205bについても、ボルト205c及びスタッドボルト205dによって軸202eの回りに回転することが出来ないようになっている。
【0119】
また、縦ベース部204Tには配管クランプ203eを縦ベース部204Tに固定するボルト203fに係合する雌ねじ部204a(
図7)が形成されている。
【0120】
図11は、洗浄水噴射部201が軸202eに沿って所定の距離Δhだけ移動した状態を示す説明図である。
エアシリンダ204bのピストンロッド204b1が所定の距離Δhだけ上方に伸びる場合、横ベース部204Yが上方に所定の距離Δhだけ移動し、これによりアーム202bも所定の距離Δhだけ上方に移動する。その結果、アーム202bの先端に嵌合している洗浄水噴射部201も所定の距離Δhだけ上方に移動することになる。
【0121】
従って、ピストンロッド204b1の移動量(ストローク量)について、洗浄水噴射部201のシール部201cが充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1(
図7)に当接する移動量に予め設定されている場合、洗浄水噴射部201を充填ノズル部20の仮想中心線CL’に一致する回転位置に移動させ、エアシリンダ204bを駆動することにより、シール部201cが充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1(
図7)に当接することになる。
【0122】
以上の通り、本発明の第1実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置200によれば、充填シリンダ10内部を充填ピストン11が往復摺動し、充填ピストン11の吸込み動作により内容物貯蔵部9から液体を吸い込み、充填ピストン11の吐出動作により吸い込んだ液体を所定の充填速度で紙パック容器に充填する液体充填部100において、ノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)がバター粒による目詰まりを生じる場合、紙パック成形充填機1の扉を開放することなく且つ人手によることなくノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)に付着したバター粒等の固形成分を除去することが可能となる。その結果、充填液に含まれる固形成分(例えばバター粒)によるノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)の目詰まりを従来の充填装置よりも短時間に除去することが可能となる。
【0123】
特に、ノズルスクリーン24-1から下方の離隔した位置に設けられた、ノズルスクリーン24-1に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部201は、中空のアーム202bを介して軸202eの回りに回転可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、充填ノズル部20が紙容器に充填液を充填している間は、洗浄水噴射部201を充填ノズル部20から離れた場所に待避させる一方、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1がバター粒による目詰まりを起こす場合は、充填ノズル部20の真下の所定高さにエアシリンダ等によって自動的に位置させ、ノズルスクリーン24-1を洗浄水によって洗浄することが可能となる。
【0124】
また、洗浄水噴射部201はアーム202bを介して上下方向に沿って移動可能に構成されているため、洗浄水噴射部201をノズルスクリーンホルダ26に密着させることが可能となる。これにより、バター粒を含んだ内容物(充填液)についてはアーム202bを介して外部に廃棄することが可能となる。
【0125】
また、洗浄水噴射部201の噴射口201a4はノズルスクリーン24-1の縁部に沿って充填ノズル部20の仮想中心線CL’に関して対称に配置されている。これにより、ノズル吐出面に設けられたノズルスクリーン24-1を万遍なく洗浄水によって洗浄することが可能となる。
【0126】
また、噴射口201a4は、内周断面形状が四角形状である中空円筒部201a1の四角壁201a2において、その四角壁201a2より外側に傾斜し且つ法線ベクトルがノズルスクリーン24-1を指向する凹部傾斜面201a3上に形成されている。これにより、洗浄水を四角壁201a2の外側からノズルスクリーン24-1へ向けて噴射しながら、ノズルスクリーン24-1を洗浄した洗浄廃液を四角壁201a2に落水させることが可能となる。
【0127】
また、噴射口201a4は横長のスリット形状を成している。これにより、1つの噴射口201a4がカバーするノズルスクリーン24-1の洗浄範囲が大きくなる。これにより、ノズルスクリーン24-1についての固形成分(バター粒)による目詰まりを好適に除去することが可能となる。
【0128】
また、アーム202bを支持するアーム支持部202cは、洗浄廃液を移送するスリーブ202dがアーム202bに直交する形態でアーム支持部202cの下面に接続されていることである。これにより、スリーブ202dをストレート配管203aの内周面に外接させることにより、洗浄廃液をアーム202bを介して外部タンクへ移送することが可能となると共に、アーム202bをストレート配管203aに対し相対回転可能且つ相対移動可能に構成することが可能となる。
【0129】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置220の要部断面を示す説明図である。
このノズル吐出面洗浄装置200は、充填ノズル部20の先端部を洗浄水Wに浸漬することにより、ノズルスクリーン24-1及び圧力損失部材23の金網又はパンチ穴に目詰まりしているバター粒等の固形成分を従来の充填装置よりも短時間に除去するものである。なお、ここで言う「充填ノズル部20の先端部」とは、圧力損失部材23を包絡するノズルスクリーン24-1から上方の部分を意味している。従って、充填ノズル部20の先端部が洗浄水Wに浸漬されている場合、圧力損失部材23も洗浄水Wに浸漬されていることになる。
【0130】
また、洗浄水Wは、洗浄廃液移送部203を介して洗浄廃液貯蔵部202に給水されるようになっている。マルチ噴射部201aは液位計(図示せず)を備え、所定の水位まで洗浄水Wが満たされる場合、給水が自動的に停止されるようになっている。また、所定の浸漬時間が経過した後、バター粒等の固形成分が溶解した洗浄水(以下「洗浄廃液」という。)は洗浄廃液移送部203を介してノズル吐出面洗浄装置200の外部に排水されるようになっている。
【0131】
洗浄廃液貯蔵部202は、通常、洗浄水Wが存在しない空の状態である。そして、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23がバター粒等の固形成分によって目詰まりを起こす場合、洗浄廃液貯蔵部202は軸202eの回りに所定の角度だけ回転駆動されて充填ノズル部20の真下に配置されることになる。そして、洗浄水Wが洗浄廃液移送部203を介して所定の水位まで洗浄廃液貯蔵部202に給水されることになる。そして、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201は所定の距離だけ上方に移動して、充填ノズル部20の先端部が洗浄水Wに浸漬されることになる。
【0132】
ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23を洗浄水Wに浸漬する場合、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分が洗浄水Wに溶解して、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23の目詰まりが解消されることになる。
【0133】
充填ノズル部20の先端部の洗浄水による浸漬は、例えば初めにノズルスクリーン24-1を洗浄水に浸漬してバター粒等の固形成分を除去し、次に圧力損失部材23を洗浄水に浸漬してバター粒等の固形成分を除去するというように段階的に行われることになる。そして、ノズルスクリーン24-1及び圧力損失部材23についてバター粒等の固形成分による目詰まりが解消された後、洗浄廃液貯蔵部202は下方に移動して、ノズルスクリーン24-1は洗浄水噴射部201によって洗浄されることになる。その後、内容物の充填工程が再開されることになる。
【0134】
本実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置220の構成としては、上記第1実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置200と同じである。なお、本実施形態における洗浄水噴射部201は、洗浄水に浸漬された充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1についてフラッシング洗浄するために使用される。ここで言う「フラッシング洗浄」とは、洗浄水Wに溶解せずにノズルスクリーン24-1に残留するバター粒等の固形成分を洗浄水Wでノズルスクリーン24-1から洗い流す又はノズルスクリーン24-1に付着した洗浄水WをガスG(エア、不活性ガス)で吹き飛ばすことを意味している。洗浄水W又はガスGは、マルチ噴射部201aから噴射される。
【0135】
また、マルチ噴射部201aが充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1に洗浄水W又はガスGを噴射する際は、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1との距離を所定の値になるように高さ方向の調整が行われるようになっている。
【0136】
図15は、洗浄廃液貯蔵部202が軸202eに沿って所定の距離Δhだけ上方に移動して充填ノズル部20の先端部が洗浄水Wに浸漬された状態を示す説明図である。
エアシリンダ204b(
図9)のピストンロッド204b1(
図9)が所定の距離Δhだけ上方に伸びる場合、横ベース部204Yが上方に所定の距離Δhだけ移動し、これによりアーム202bも所定の距離Δhだけ上方に移動する。その結果、充填ノズル部20の先端部(ノズルスクリーン24-1及び圧力損失部材23)が、洗浄水噴射部201の内側(四角壁201a2(
図8)、シール部201cおよび嵌合部201b)に位置するようになり、充填ノズル部20の先端部が洗浄水Wに浸漬されることになる。
【0137】
従って、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23がバター粒等の固形成分によって目詰まりを起こす場合、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を軸202eの回りに所定の角度だけ回転させ充填ノズル部20の真下に移動させる。そして、ノズル吐出面洗浄装置200は洗浄水Wを所定の水位まで洗浄廃液貯蔵部202に給水する。そして、ノズル吐出面洗浄装置200はエアシリンダ204bを駆動し、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を所定の距離Δhだけ上方に移動させて、充填ノズル部20の先端部を洗浄水Wに浸漬することになる。これにより、ノズルスクリーン24-1及び圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分は、洗浄水Wに溶解して、ノズルスクリーン24-1及び圧力損失部材23の目詰まりが解消されることになる。
【0138】
(第3の実施形態)
図16は、本発明の第3の実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置300の要部断面を示す説明図である。
このノズル吐出面洗浄装置300は、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしている固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させるために、洗浄水Wを加振する振動発生装置205を備えている。振動発生装置205によって発生した振動が洗浄水Wを介して充填ノズル部20の先端部に伝わり、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23が振動してノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしている固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させることになる。
【0139】
振動発生装置205の取り付け位置については、例えば充填ノズル部20の真下のアーム202bの外側表面に取り付けることが可能である。この場合、振動は先ずアーム202bに伝わり、アーム202bが振動することにより洗浄水Wが振動し、洗浄水Wが振動することによりノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23が振動することになる。
【0140】
なお、振動発生装置205はアーム202bの内側表面に取り付けることも可能である。この場合、振動は直に洗浄水Wに伝わり、洗浄水Wが振動することによりノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23が振動することになる。
【0141】
また、振動発生装置205は充填ノズル部20の外表面に取り付けることも可能である。この場合、振動は直にノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に伝わり、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしている固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させることになる。
【0142】
振動発生装置205としては、例えばエア式バイブレータを使用することが可能である。電磁式バイブレータ又は油圧式バイブレータも使用可能である。
【0143】
また、振動発生装置205に代えて或いは併用して超音波発生装置(図示せず)を使用しても良い。超音波によって洗浄水Wに溶解している無数の気体が一斉に気化・消滅を繰り返すこと(キャリブレーション)によりノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に詰まったバター粒等の固形成分が剥離・分解され、バター粒等の固形成分によるノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23の目詰まりが解消されることになる。超音波発生装置(図示せず)の取り付け位置については、例えばアーム202bの内側表面に取り付けることが可能である。
【0144】
また、超音波発生装置に代えて或いは併用して気泡発生装置(図示せず)を使用しても良い。無数の気泡(例えばエア)が泡噴流形態(例えばフォームジェット)で上昇してノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分に直に圧縮作用する。なお、気泡としては、例えば直径が100μm以上のミリバブル、直径が1μm~100μmのマイクロバブル、直径が数十nm~1μmのウルトラファインバブルを使用することが可能である。
【0145】
特に、気泡がマイクロバブル又はウルトラファインバブルの場合、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分の内部に気泡が侵入して、固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させることになる。気泡発生装置(図示せず)の取り付け位置については、例えばアーム202bの内側表面、或いは下フランジ継手203dの上流側に取り付けることが可能である。
【0146】
更に、上記振動発生装置205、上記超音波発生装置または上記気泡発生装置(以下「上記振動発生装置205等」という。)と併用して或いは上記振動発生装置205等と別個独立に、アーム202bをシール部201c(洗浄水噴射部201)に接触しない範囲内の小さな振れ幅で両方向(時計方向・反時計方向)に繰り返し揺動(スイング)させることも可能である。また、上記振動発生装置205等と併用する場合、洗浄水Wについては常温水を使用することが可能となる。
【0147】
図17は、充填ノズル部20の先端部に対するノズル吐出面洗浄装置300による洗浄工程の一例を示す説明図である。
図18は、充填ノズル部20の先端部に対するノズル吐出面洗浄装置300による洗浄後工程の一例を示す説明図である。
【0148】
先ず
図17(a)に示されるように、エアシリンダ204b(
図9)をピストンロッド204b1(
図9)が伸びる方向に駆動し、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を上方に移動させ充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1を洗浄水Wに浸漬する。
【0149】
次に
図17(b)に示されるように、振動発生装置205を駆動し、洗浄水Wを介して充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1を所定の時間加振する。
【0150】
次に
図17(c)に示されるように、エアシリンダ204b(
図9)をピストンロッド204b1が伸びる方向に駆動し、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を上方に移動させ充填ノズル部20の圧力損失部材23を洗浄水Wに浸漬する。
【0151】
次に
図17(d)に示されるように、振動発生装置205を駆動し、洗浄水Wを介して充填ノズル部20の圧力損失部材23を所定の時間加振する。
【0152】
次に
図18(a)に示されるように、圧力損失部材23を加振後、エアシリンダ204b(
図9)を縮む方向に駆動し、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を下方に移動させ洗浄廃液貯蔵部202を元の位置に戻す。
【0153】
次に
図18(b)に示されるように、洗浄水噴射部201のマルチ噴射部201aによってノズル吐出面を洗浄水Wでフラッシング洗浄する。
【0154】
次に
図18(c)に示されるように、洗浄水供給管201a5をガスラインに切り替えて、洗浄水噴射部201のマルチ噴射部201aによってノズル吐出面をガスGでフラッシング洗浄する。この場合、バター粒等の固形成分が溶解した洗浄廃液については洗浄廃液移送部203(
図9)を介して外部に排水される。
【0155】
以上の通り、本発明に係るノズル吐出面洗浄装置220,300によれば、充填シリンダ10内部を充填ピストン11が往復摺動し、充填ピストン11の吸込み動作により内容物貯蔵部9から液体を吸い込み、充填ピストン11の吐出動作により吸い込んだ液体を所定の充填速度で紙パック容器に充填する液体充填部100において、ノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)又は圧力損失部材23がバター粒等の固形成分によって目詰まりを生じる場合、紙パック成形充填機1の扉を開放することなく且つ人手によることなくノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分を除去することが可能となる。その結果、充填液に含まれるバター粒等の固形成分によるノズルスクリーン24-1(ノズル吐出面)又は圧力損失部材23の目詰まりを従来の充填装置よりも短時間に除去することが可能となる。
【0156】
特に、ノズルスクリーン24-1から下方の離隔した位置に設けられた、充填ノズル部20の先端部を浸漬するための洗浄水を貯蔵する洗浄廃液貯蔵部202とノズルスクリーン24-1に洗浄水を噴射する洗浄水噴射部201は、中空のアーム202bを介して軸202eの回りに揺動可能であると共に上下方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、充填ノズル部20が紙容器に充填液を充填している間は、洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を充填ノズル部20から離れた場所に待避させる一方、充填ノズル部20のノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23がバター粒による目詰まりを起こす場合は、洗浄水噴射部201を充填ノズル部20の真下の所定高さに位置させ、エアシリンダ204b(
図9)によって洗浄廃液貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を上方向に変位することによって、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23を洗浄水Wに浸漬することが可能となる。
【0157】
また、洗浄廃液貯蔵部202が洗浄水Wを加振する振動発生装置205を備える場合、振動発生装置205によって発生した振動が洗浄水を介してノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に伝わり、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分の剥離・洗浄水への溶解を促進させることになる。
【0158】
また、洗浄廃液貯蔵部202が上記振動発生装置205に代えて又は上記振動発生装置205と併用して超音波発生装置(図示せず)を備える場合、超音波によって洗浄水Wに溶解している無数の気体が一斉に気化・消滅を繰り返すこと(キャリブレーション)によりノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に詰まったバター粒等の固形成分が剥離・分解され、バター粒等の固形成分によるノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23の目詰まりが解消されることになる。
【0159】
また、洗浄廃液貯蔵部202が上記振動発生装置205及び上記超音波発生装置に代えて又は上記振動発生装置205及び上記超音波発生装置と併用して気泡発生装置(図示せず)を備える場合、無数の気泡(例えばエア)が泡噴流形態(例えばフォームジェット)で上昇してノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分に直に圧縮作用する。
【0160】
特に、泡径が1μm~100μmのマイクロバブル又は泡径が数十nm~1μmのウルトラファインバブルの場合、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に目詰まりしているバター粒等の固形成分の内部に気泡が侵入して、固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させることになる。
【0161】
更に、上記振動発生装置205、上記超音波発生装置または上記気泡発生装置の一部又は全部と併用して或いは上記振動発生装置205等と別個独立に、アーム202bをシール部201c(洗浄水噴射部201)に接触しない範囲内の小さな振れ幅で両方向(時計方向・反時計方向)に繰り返し揺動(スイング)させる場合、振動がノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23に対し剪断方向に作用して、バター粒等の固形成分の剥離・洗浄水Wへの溶解を促進させることになる。
【0162】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るノズル吐出面洗浄装置200,220,300について説明してきたが、本発明の実施形態は上記だけに限定されることはない。すなわち、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内において種々の修正・変形を追加することができる。例えば、洗浄水噴射部201を軸202eの回りに自動的に回転させる機構として、エアシリンダ或いは電動モータ等のアクチュエータを使用することが可能である。
【0163】
また、充填ノズル部20の先端部を浸漬する洗浄水W(温水)又はノズル吐出面に向けてマルチ噴射部201aから噴射される洗浄水W(温水)の温度については、ノズルスクリーン24-1に付着したバター粒の融点以上の温度であれば良く、望ましくは30°~60°の範囲内であれば良い。
【0164】
また、ノズル吐出面に向けてマルチ噴射部201aから噴射される洗浄水W(温水)の流量については、ノズルスクリーン24-1のメッシュ及び積層枚数等に応じて決定されることになるが、ノズルスクリーン区間(
図4)の最上段に位置するノズルスクリーン24-1に付着したバター粒を除去することができる流量であれば良く、望ましくは圧力損失部材23(
図4)に付着したバター粒を除去することができる流量であれば良い。
【0165】
また、充填ノズル部20の先端部を(1)洗浄水Wに浸漬する場合、(2)充填ノズル部20の先端部を洗浄水Wの対向流中に浸漬するようにしても良い。すなわち、充填ノズル部20の先端部が洗浄水Wの静水中に浸漬した状態で、洗浄水貯蔵部202への給水を所定の時間継続するようにしても良い。この場合、洗浄水Wの流水が充填ノズル部20の軸方向CL’に沿って下から上へノズルスクリーン24-1にほぼ直角に作用することになる。ノズルスクリーン24-1に作用した洗浄水Wの流水は、マルチ噴射部201aと充填ノズル部20との隙間から溢れ出る(オーバーフローする)ことになる。
【0166】
その後、エアシリンダ204b(
図9)を駆動し、洗浄水貯蔵部202及び洗浄水噴射部201を所定の距離Δhだけ下方に移動させて、充填ノズル部20の先端部を洗浄水噴射部201の上方に位置させて、(3)マルチ噴射部201aから洗浄水Wを所定の時間噴射して、洗浄水Wでノズルスクリーン24-1表面に付着したバター粒等の残留物を洗い流し、次に(4)マルチ噴射部201aからガスGを所定の時間噴射して、エア等でノズルスクリーン24-1に付着した水滴を吹き飛ばすことになる。なお、上記(1)から(4)の工程については、選択的に組合せ可能及び繰り返し可能とし、その組合せと繰り返し回数については、ノズルスクリーン24-1又は圧力損失部材23の汚れ状態(バター粒の目詰まり状態)に応じて予め定められている(プログラム化されている)ようにしても良い。
【符号の説明】
【0167】
1 紙パック容器成形充填機(紙容器成形充填機)
2 カートン底部成形部(紙容器組立装置)
3 口栓装着部
4 カートン上部一次折曲げ部(くせ折り機)
100 液体充填部(充填装置)
5 カートン上部二次折曲げ部(くせ折り機)
6 カートン上部加熱装置
7 カートン上部プレス部(加圧装置)
8 容器搬出部
9 内容物貯蔵部(液体貯蔵部)
10 充填シリンダ部
11 充填ピストン
12 シリンダ本体
13 シリンダヘッド
14 シリンダボトム
15 配管接続ポート
16 T字管
20 充填ノズル部
21 ノズルケーシング
21a 雄ねじ部
22 ノズルスクリーンアダプタ
22a 雌ねじ部
23 圧力損失部材
24 ノズルスクリーン組立(保持部材)
24-1 ノズルスクリーン
24-2 スペーサ
24-3 スペーサ
25 圧損部材ホルダ
26 ノズルスクリーンホルダ
30 サクションバルブ(吸入バルブ部)
31、41 スプリング
32、42 弁体
33、43 軸
34、44 クリップ
35、45 弁座
36 軸受部材
40 ノズルバルブ(ノズルバルブ部)
46 チャンバ
70 内部コンベア
80、90 リニアアクチュエータ
100 液体充填部(充填装置)
200 ノズル吐出面洗浄装置
201 洗浄水噴射部
201a マルチ噴射部
201a1 中空円筒部
201a2 四角壁(内周面)
201a3 凹部傾斜面(部分傾斜面)
201a4 噴射口
201a5 洗浄水供給管
201a6 フランジ部
201b 嵌合部
201c シール部
202 洗浄廃液回収部
202a 複合円筒部
202a1 第1半円筒部
202a2 第2半円筒部
202b アーム
202b1 第2切欠き
202c アーム支持部
202d スリーブ(配管流路)
202e 軸
202e1 軸受け
202e2 スペーサ
202f ドグ部
202f1 軸クランプ
202f2 被検知板
202f3 ボルト
202g フランジブッシュ
203 洗浄廃液移送部
203a ストレート配管(固定配管)
203b L型配管
203d 下フランジ継手
203e 配管クランプ
203f ボルト
204 ベース部
204a 雌ねじ部
204b エアシリンダ
204b1 ピストンロッド
204Y 横ベース部
204T 縦ベース部
205 振動発生装置