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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】空気圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
F15B15/14 315
F15B15/14 365
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022533402
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020063175
(87)【国際公開番号】W WO2021113556
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】62/943,898
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/990,371
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509277992
【氏名又は名称】ダドコ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダーウェイド カレン エム.
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-083311(JP,A)
【文献】実開平01-109606(JP,U)
【文献】特開平01-109606(JP,A)
【文献】特許第3978717(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0314584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に端部を有する第1の筒部と、
前記第1の筒部の一方の端部に係合する第1のヘッドであって、前記第1の筒部と連通する第1のポートを有する第1のヘッドと、
前記第1の筒部の他方の端部に係合する中間継手であって、前記第1の筒部と連通する第2のポートを有する中間継手と、
両端に端部を有する第2の筒部であって、一方の端部が前記中間継手に係合して前記中間継手の前記第2のポートと連通する第2の筒部と、
前記第2の筒部の他方の端部に係合する第2のヘッドであって、前記第2の筒部と連通する第3のポートを有する第2のヘッドと、
前記第1の筒部に摺動可能に受容された第1のピストンであって、前記中間継手に隣接し又は当該中間継手に接触する後退位置と、当該中間継手から離隔し前記第1のヘッドに隣接する延出位置と、の間で移動可能な第1のピストンと、
前記第2の筒部に摺動可能に受容された第2のピストンであって、前記第2のヘッドに隣接する完全後退位置と、前記中間継手に隣接する完全延出位置と、の間で移動可能な第2のピストンと、
前記第2のピストンと共に移動するように当該第2のピストンに接続されたピストンロッドであって、前記第2の筒部内と前記中間継手内と前記第1の筒部内と前記第1のピストン内と前記第1のヘッド内とを概ね軸方向に通って前記第1のヘッドの外部まで延在するピストンロッドと、
を備えた空気圧シリンダであって、
前記第1のピストンは、当該第1のピストンと前記ピストンロッドとが互いに相対移動可能であるフローティングピストンとして構成及び配置されており、
前記空気圧シリンダは、前記第2のピストンと連動する圧部をさらに備えており、
前記押圧部は、前記ピストンロッドにおける前記第2のピストンに隣接する箇所によって支持され、又は前記第2のピストンに隣接する箇所及び当該第2のピストンの両方によって支持されたスリーブを備えており、
前記スリーブは、
前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置にある際には前記第1のピストンから離隔し、
前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置と完全延出位置との間にある状態で前記ピストンロッドを別個の中間位置に移動させた際には、前記スリーブにおける前記第2のピストンから離隔する一端は、前記第1のピストンの後退位置にある当該第1のピストンを当該後退位置から移動させることなく当該第1のピストンに接触するように移動し、
前記第2のピストンが当該第2のピストン及び前記ピストンロッドの完全延出位置に当該ピストンロッドを移動させると、前記一端は前記第1のピストンを少なくとも前記後退位置から当該第1のピストンの延出位置に移動させるように構成されていることを特徴とする空気圧シリンダ。
【請求項2】
前記中間継手の少なくとも一部は前記筒部から延出し、
前記空気圧シリンダはさらに、前記筒部の外部にそれぞれ配置された少なくとも2つのタイロッドを備えており、
前記タイロッドは、前記中間継手の外側部分を概ね軸方向に通って延在し、両端部のうち一方の端部は前記第1のヘッドに隣接すると共に、他方の端部は前記第2のヘッドに隣接して取り付けられており、
前記タイロッドは、前記第1の筒部を前記第1のヘッド及び前記中間継手と係合状態に維持すると共に、前記第2の筒部を前記第2のヘッド及び前記中間継手と係合状態に維持する、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項3】
前記ピストンロッドと前記第1のヘッドとの間を封止する第1のシール部と、
前記第1のピストンによって支持され、前記第1の筒部の内側部分と前記第1のピストンとの間を封止する第2のシール部と、
前記第1のピストンによって支持され、前記第1のピストンと前記ピストンロッドとの間を封止する第3のシール部と、
をさらに備えており、
前記シール部は、前記第1のポートと連通する第1の封止されたチャンバであって、前記第1の筒部の内部のうち前記第1ピストンと前記第1のヘッドとの間の一部分を少なくとも含む第1の封止されたチャンバを提供する、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項4】
前記第2のピストンによって支持され、前記第2のピストンと前記第2の筒部の内部との間を封止する少なくとも1つのシール部をさらに備えており、
前記シール部は、前記第3のポートと連通する封止されたチャンバであって、前記第2の筒部の内部のうち前記第2のピストンと前記第2のヘッドとの間の一部分を少なくとも含む封止されたチャンバを提供する、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項5】
前記第2のピストンによって支持されたシール部であって、前記第2のポートと連通し前記第2の筒部の内部のうち前記第2のピストンと前記中間継手との間の一部分を少なくとも含む封止されたチャンバを提供するように前記第2のピストンと前記第2の筒部の内側部分との間を封止するシール部をさらに備えている、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項6】
前記第1のポートを介して前記第1のピストンに第1の圧力の圧縮ガスを供給すると共に、前記押圧部が前記第1のピストンを当該第1のピストンの後退位置から移動させずに前記第2のポートの排気を可能にするために十分に前記第1の圧力より低い第2の圧力の圧縮ガスを、前記第3のポートを介して前記第2のピストンに供給することにより、前記ピストンロッドが当該ピストンロッドの完全後退位置と完全延出位置との間の別個の中間位置に移動可能である、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項7】
前記第1のポートを介して前記第1のピストンに第1の圧力の圧縮ガスを供給すると共に、前記第1のピストンが当該第1のピストンの完全後退位置から移動するのを阻止しつつ前記第3のポートの排気を可能にするために十分に前記第1の圧力より低い第2の圧力の圧縮ガスを、前記第2のポートを介して前記第2のピストンに供給することにより、前記第1のピストンが当該第1のピストンの後退位置に留まりつつ前記ピストンロッドが別個の中間位置から当該ピストンロッドの完全後退位置に移動可能である、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項8】
前記第1のポート及び前記第2のポートの排気を可能にしつつ前記第3のポートを介して前記第2のピストンに圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドが別個の中間位置から当該ピストンロッドの完全延出位置に移動可能であり、これにより前記押圧部が前記第1のピストンの後退位置から当該第1のピストンを移動させる、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項9】
前記第1のポート及び前記第2のポートの排気を可能にしつつ前記第3のポートを介して前記第2のピストンに圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドは当該ピストンロッドの完全後退位置から完全延出位置に移動可能である、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項10】
記第2のピストンが前記ピストンロッドを当該ピストンロッドの完全延出位置に移動させると、前記一端は前記第1のピストンを前記中間継手から当該第1のピストンの延出位置に移動させる、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項11】
前記スリーブは、前記ピストン又は前記ピストンロッドの同質に一体不可分な一部である、
請求項10記載の空気圧シリンダ。
【請求項12】
前記ピストンロッドは中実の円柱状のロッドである、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項13】
前記各ヘッド及び前記中間継手における前記筒部の外部の部分は、周方向に離隔した少なくとも4つのタイロッドを備えており、
前記各タイロッドは前記中間継手内を軸方向に通って延在し、
前記各タイロッドの一方の端部は前記第1のヘッドに隣接して取り付けられ、他方の端部は前記第2のヘッドに隣接して取り付けられ、
前記各タイロッドは、前記筒部と、前記中間継手と、前記ヘッドとを組み立てた関係に維持する、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項14】
前記第3のポートの排気を可能にしつつ前記第2のポートを介して前記第2のピストンに圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドが当該ピストンロッドの別個の中間位置から後退位置に移動可能である、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項15】
前記第1のポートも排気可能にされる、
請求項14記載の空気圧シリンダ。
【請求項16】
前記ピストンロッドは当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は別個の中間位置のいずれからも、当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は別個の中間位置の他のいずれかへ移動可能である、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項17】
前記ピストンロッドを取り囲むと共に前記第1のヘッドにより支持されるシール部を有するクッションアセンブリと、
前記ピストンロッドを取り囲むと共に前記第1のピストンと連動可能なスリーブであって、前記第1のヘッドと前記第1のピストンとの間にチャンバを提供するため、前記シール部と封止するように係合することにより前記第1のピストンの延出位置への当該第1のピストンの移動の少なくとも一部に寄与する周方向に連続した外面部分を有するスリーブと、
前記第1のピストンが当該第1のピストンの延出位置に向かって移動する際に前記チャンバから前記第1のポートへのガスの流量を制御するため、前記チャンバを前記第1のポートに連通させる流量制御弁と、
をさらに備えている、請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項18】
前記ピストンロッドを取り囲みつつ前記ピストンロッドから離隔して前記中間継手により支持されるシール部を有するクッションアセンブリと、
前記ピストンロッドを取り囲むと共に前記第1のピストンと連動可能なスリーブであって、前記第1のピストンが当該第1のピストンの延出位置にある際には前記シール部から軸方向に離隔し、前記第1のピストンの完全後退位置への当該第1のピストンの移動の少なくとも一部の間、前記第1のピストンと前記中間継手との間にチャンバを提供するために前記シール部と封止するように係合する周方向に連続した円柱周面部分を有するスリーブと、
前記第1のピストンが当該第1のピストンの完全後退位置に向かって移動する際に前記チャンバからのガスの流量を制御するため、前記チャンバを前記第2のポートに連通させる流量制御弁と、
をさらに備えている、請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項19】
前記ピストンロッドを取り囲みつつ前記ピストンロッドから離隔して前記中間継手により支持されるシール部を有するクッションアセンブリをさらに備えており、
前記押圧部の外面は、前記ピストンロッドを取り囲むと共に前記第2のピストンと連動可能であり、前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置にある際には前記シール部から軸方向に離隔し、前記第2のピストンの中間位置への当該第2のピストンの移動の少なくとも一部の間、前記第2のピストンと前記中間継手との間にチャンバを提供するために前記シール部と封止するように係合し、
前記空気圧シリンダは、前記第2のピストンが当該第2のピストンの中間位置に向かって移動する際に前記チャンバからのガスの流量を制御するため、前記チャンバを前記第2のポートに連通させる流量制御弁をさらに備えている、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【請求項20】
前記第2のヘッドにより支持される環状シール部を有するクッションアセンブリをさらに備えており
前記リーブ、前記第2のピストンが当該第2のピストンの中間位置又は延出位置のいずれかにある際には前記シール部から軸方向に離隔し、前記第2のピストンの完全後退位置への当該第2のピストンの移動の少なくとも一部の間、前記第2のピストンと前記第2のヘッドとの間にチャンバを提供するために前記シール部と封止するように係合する周方向に連続した円柱周面部分を有
前記空気圧シリンダは、前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置に向かって移動する際に前記チャンバからのガスの流量を制御するため、前記チャンバを前記第3のポートに連通させる流量制御弁さらに備えている、
請求項1記載の空気圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第62/943,898号(出願日:2019年12月5日)及び同第62/990,371号(出願日:2020年3月16日)の利益を主張するものであり、両文献の記載内容は全て、参照により本願の記載内容に含まれるものとする。
【0002】
本発明は一般的に空気圧シリンダに関し、具体的には、ピストンロッドの位置が少なくとも3つである空気圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、ピストンに取り付けられたピストンロッドをそれぞれ有する2つの別個の対向するシリンダの形態の3位置空気圧シリンダアセンブリ又は空気シリンダアセンブリであって、両ピストンロッドが完全に後退する第1の位置と、一方のピストンロッドが完全に後退して他方のピストンロッドが完全に延出する中間位置と、両ピストンロッドが完全に延出する完全延出位置と、を設けた3位置空気圧シリンダアセンブリ又は空気シリンダアセンブリが公知である。また、これらの背向型(back-to-back)シリンダは、各ピストンロッドのストローク長が異なる場合、2つの中間位置を設けることもできる。これらの背向型シリンダでは、シリンダケーシングは、固定された基準点を基準に移動することができる。他に公知となっている一形態の3位置空気圧シリンダは、直列に配置された第1及び第2のシリンダを備えており、各シリンダはそれぞれ、ピストンに取り付けられたピストンロッドを備えており、第1のシリンダの第1のピストンロッドは第2のシリンダのケーシング内と筒状の第2のピストンロッド内とに延在して、第2のピストンに係合可能である。このような直列配置により、第1及び第2の両方のピストンロッドを完全後退の第1の位置に配することができ、第2の筒状のピストンロッドを半延出位置に移動可能として第2の中間ストローク位置を設けることができ、また、第3の完全延出位置において第1のピストン及びロッド並びに第2のピストン及びロッドの両方を完全延出位置に配する。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも一部の形態では、空気圧シリンダは、両端に端部を有する第1の筒部と、前記第1の筒部の一方の端部に係合する第1のヘッドであって、前記第1の筒部と連通する第1のポートを有する第1のヘッドと、前記第1の筒部の他方の端部に係合する中間継手であって、前記第1の筒部と連通する第2のポートを有する中間継手と、両端に端部を有する第2の筒部であって、一方の端部が前記中間継手に係合して前記中間継手の前記第2のポートと連通する第2の筒部と、前記第2の筒部の他方の端部に係合する第2のヘッドであって、前記第2の筒部と連通する第3のポートを有する第2のヘッドと、前記第1の筒部に摺動可能に受容された第1のピストンであって、前記中間継手に隣接する後退位置と、当該中間継手から離隔し前記第1のヘッドに隣接する延出位置と、の間で移動可能な第1のピストンと、前記第2の筒部に摺動可能に受容された第2のピストンであって、前記第2のヘッドに隣接する完全後退位置と、前記中間継手に隣接する完全延出位置と、の間で移動可能な第2のピストンと、前記第2のピストンと共に移動するように当該第2のピストンに接続されたピストンロッドであって、前記第2の筒部内と前記中間継手内と前記第1の筒部内と前記第1のピストン内と前記第1のヘッド内とを概ね軸方向に通って前記第1のヘッドの外部まで延在するピストンロッドと、前記第2のピストンと連動するように前記ピストンロッド又は前記第2のピストンのうち少なくとも1つ又は両方によって支持される押圧部と、を備えており、前記押圧部は、前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置にある際には前記第1のピストンから離隔し、前記第2のピストンが当該第2のピストンの完全後退位置と完全延出位置との間にある状態で前記ピストンロッドを別個の中間位置に移動させた際には、前記第1のピストンの後退位置にある当該第1のピストンまで移動し又は前記第1のピストンに接触し、前記第2のピストンが当該第2のピストン及び前記ピストンロッドの完全延出位置に当該ピストンロッドを移動させると、前記第1のピストンを少なくとも当該第1のピストンの延出位置に移動させるように構成された部分を有する。
【0005】
少なくとも一部の形態では空気圧シリンダは、前記第1のポートと連通する封止されたチャンバと、前記第2のポートと連通する封止されたチャンバと、前記第3のポートと連通する封止されたチャンバと、のうち1つ又は複数を備えることができる。
【0006】
空気圧シリンダの少なくとも一部の形態では、前記ピストンロッドは当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は別個の中間位置のいずれからも、当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は別個の中間位置の他のいずれかへ移動可能である。少なくとも一部の形態では、前記第1のポートを介して第1の圧力の圧縮ガスを供給すると共に前記第2のポートの排気を可能にしつつ十分に前記第1の圧力より低い第2の圧力の圧縮ガスを、前記第3のポートを介して供給することにより、前記ピストンロッドが当該ピストンロッドの別個の中間位置に移動可能である。少なくとも一部の形態では、前記第3のポートの排気を可能にしつつ前記第2のポートに圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドが当該ピストンロッドの中間位置から後退位置に移動可能である。少なくとも一部の形態では、前記第1のポートを介して第1の圧力の圧縮ガスを供給すると共に、前記第3のポートの排気を可能にしつつ十分に前記第1の圧力より低い圧力の圧縮ガスを、前記第2のポートを介して供給することにより、前記ピストンロッドが中間位置から当該ピストンロッドの完全後退位置に移動可能である。少なくとも一部の形態では、前記第1のポート及び前記第2のポートの排気を可能にしつつ前記第3のポートを介して圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドがその別個の中間位置から当該ピストンロッドの完全延出位置に移動可能である。少なくとも一部の形態では、前記第1のポート及び前記第2のポートの排気を可能にしつつ前記第3のポートを介して圧縮ガスを供給することにより、前記ピストンロッドは当該ピストンロッドの完全後退位置から完全延出位置に移動可能である。
【0007】
少なくとも一部の形態では、空気圧シリンダは、前記第1のピストンの延出位置への当該第1のピストンの移動を緩衝するクッションアセンブリ及び/又は当該第1のピストンの完全後退位置への当該第1のピストンの移動を緩衝するクッションアセンブリを備えることができる。少なくとも一部の形態は、前記第2のピストンの中間位置に向かう当該第2のピストンの移動を緩衝するクッションアセンブリ及び/又は前記第2のピストンの完全延出位置に向かう当該第2のピストンの移動を緩衝するクッションアセンブリ及び/又は前記第2のピストンの完全後退位置に向かう当該第2のピストンの移動を緩衝するクッションアセンブリを備えることができる。少なくとも一部の形態では、前記クッションアセンブリは封止されたチャンバと、当該封止されたチャンバからの圧縮ガスの流量を制御する制御弁と、を備えることができる。
【0008】
好適な実施形態及び最良の実施態様の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施する3位置空気圧シリンダの斜視図である。
図2図1のシリンダの前端図である。
図3図2の線3-3にて切断したシリンダの拡大完全断面図である。
図4図2の線4-4にて切断した拡大断面図である。
図5】ピストンロッドが完全後退位置にある状態のシリンダを若干略式化して示す断面図である。
図6】ピストンロッドが別個の中間位置にある状態のシリンダを若干略式化して示す断面図である。
図7】ピストンロッドが完全延出位置にある状態のシリンダを若干略式化して示す断面図である。
図8】ピストン移動のクッションを備えた本発明の実施である3位置空気圧シリンダの側面図である。
図9図8のシリンダの端部図である。
図10図9の線10-10にて切断した断面図である。
図11図8の線11-11にて切断した拡大部分断面図である。
図12図8の線12-12にて切断した拡大部分断面図である。
図13図8の線13-13にて切断した拡大部分断面図である。
図14図8の線14-14にて切断した拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を詳細に参照すると、図1は3位置空気圧シリンダ10を示しており、この3位置空気圧シリンダ10は第1の前方ヘッド12と、第2の後方ヘッド14と、中間継手16と、前方ヘッドと継手との間に入れられてこれらと接触する第1の円筒部18と、継手と後方ヘッド14との間に入れられてこれらに支持される第2の円筒部20と、を備えている。これらの構成要素は全て、少なくとも2つのタイロッド22、望ましくは4つのタイロッド22によって組立状態で保持することができる。図4に示すように、各タイロッドは、中間継手を貫通する孔24を通って延在し、ヘッド12及び14に固定され、ねじ締結部26を各タイロッドの各端部に隣接する相補的なねじ部28に係合させることにより緊張状態に置かれ、対応するヘッドの座ぐり30及び32に入れられて各ヘッドの肩部34に接触する。各締結部は、各対応するタイロッドの相補的なねじ部分との係合及び係合解除のための当該締結部の回転を容易にするための六角穴36を有することができる。
【0011】
図3に示すように、シリンダは、第1の筒部18内に摺動可能に受容された第1のフローティングピストン40と、第2の筒部20に摺動可能に受容された第2のピストン44に一方の端部が隣接して取り付けられたピストンロッド42と、を備えることができ、当該ロッドは中間継手16、第1のピストン40及び前方ヘッド12の孔46を通って延在する。第1のピストン及びピストンロッドは、互いに相対移動可能である。
【0012】
第1の円筒部18と前方ヘッド12との間は、前方ヘッドの溝50に環状の周方向に連続したシール部48を入れて筒部と前方ヘッドの両方に係合させることにより、封止することができる。このシール部は、第1のピストン40における隣接する面に重なる環状の径方向延在部分52を有することができ、これにより、第1のピストンが図7に示された前方ヘッドの隣の延出位置に移動したときの緩衝部が提供される。ピストンロッドと前方ヘッドとの間は、当該ヘッドの一端の座ぐり56に入れられた周方向に連続するシール部54によって封止することができる。望ましくはこのシール部は、ピストンロッドと前方ヘッドとに係合する複数の概ね軸方向に離隔した部分リップ部58及び60を有することができる。前方ヘッドは、第1の筒部内に開口した前方ヘッドの座ぐり64及び65を介して第1の筒部18の内部及び第1のピストン40における隣の面と連通する第1のポート62を有することができる。望ましくは、分割された環状リングの形態の少なくとも1つ、好適には2つのベアリング66がピストンロッド42を取り囲むことができ、また、ベアリング66を前方ヘッドの孔68に入れることができる。
【0013】
後方ヘッド14と第2の筒部20との間の封止部は、溝72に入れられた環状のシールリング70によって提供することができ、この封止部は、筒部の径方向内向きに延在する環状部分74を有することができ、この環状部分74は、第2のピストン44が図3及び図5に示されている完全後退位置に戻る際に当該第2のピストン44に対する緩衝部を提供することができる。
【0014】
第2のピストン44は中心孔76を有することができ、この中心孔76はピストンロッドの縮径部分78に受けられて肩部80に接触し、ピストンロッド42に締結部82を螺合してピストンに接触することにより中心孔76はピストンロッドに固定される。締結部82は、ピストンロッドに当該締結部を取り付けるのを容易にするための六角穴84を有することができる。第2のピストンは2つの周方向に連続するシール部86を備えることができ、各シール部86はピストンの溝88に入れられてピストン及び第2の筒部と係合することによりピストンと第2の筒部とを封止する。各シール部は2つの環状リップ部90を有することができ、両環状リップ部90間には溝が設けられ、一方のリップ部はピストンと係合し、他方のリップ部は第2の筒部と係合することにより、ピストンと第2の筒部とが封止される。上述の2つのシール部86は、概ね軸方向に逆向きとすることにより、ピストンのどちら側が空気等の加圧ガスにさらされるかにかかわらず、両シール部86が合わさってピストンと筒部とを気密封止することができる。第2のピストンにおけるシール部86間の周方向に連続する溝に、環状の分割リングベアリング94を入れることができ、この環状の分割リングベアリング94は第2の筒部の円筒内周面と摺動可能に係合する。後方ヘッドは、第2の筒部の一方の端部に開口した行き止まり通路(blind passage)98と連通する第3のポート96を有することができる。通路98はピストンロッド42と同軸とすることができ、また、第2のピストン44が後方ヘッドに隣接する完全後退位置にあるときに締結部82の周囲にクリアランスを提供するために十分な径とすることができる。
【0015】
ピストンロッド42にはスリーブ100を摺動可能に被せることができ、隣接する一端はピストンロッドの肩部102と第2のピストンの環状凹部104との間に嵌め込まれて固定される。スリーブは、中間継手16の孔46との間にクリアランスを設けつつ当該孔46を通って延在し、スリーブ100の自由端106は、ピストンロッドが図6に示されている中間位置と図7に示されている完全延出位置とにある際に第1のピストン40における隣の面と係合可能な状態となるようにすることができる。必要に応じてスリーブは、ロッドに被せられる別体のスリーブではなく、ピストンまたはピストンロッドの同質に一体不可分な部分とすることができる。
【0016】
中間継手16は、当該中間継手の周方向に連続する溝にOリング108を入れて第1及び第2の各筒部と当該継手とに係合させることにより、第1及び第2の筒部における隣接する部分との間で封止することができる。当該継手は、当該継手の孔46を通して第1及び第2の円筒部18及び20と連通する第2のポート110を有することができる。フローティングの第1のピストンと第1の円筒部との間を封止するため、当該ピストンの環状溝に周方向に連続するシール部112を入れることができ、このシール部112は2つの環状リップ部114を有することができ、一方のリップ部はピストンに支持され、他方のリップ部は第1の筒部の円筒内周面に接触する。必要に応じて、例えばピストンの外周部の周方向に連続する溝にOリング116を入れること等により、第1の筒部と上記のフローティングピストンとの間にもう1つの封止部を設けることもできる。フローティングの第1のピストンとピストンロッドとの間は、当該ピストンの環状溝に周方向に連続するシール部117を入れることにより封止することができ、このシール部117は2つの環状リップ部を有することができ、一方のリップ部はピストンに支持され、他方のリップ部はピストンロッドに接触する。ピストンロッドと当該ピストンとの間も、例えばピストンにおける径方向内向きにピストンロッドに向かって開口した周方向に連続する溝にOリング118を入れること等により、適切に封止することができる。
【0017】
一部の用途では、フローティングのピストンは例えばナイロン等のプラスチック材製とすることができる。他の用途では当該ピストンは、例えば鋼等の金属製とすることができ、また、外径及び内径の溝に入れられる分割したベアリングを有することができる。
【0018】
本シリンダの使用時には、第2のピストン44及びピストンロッド42をその完全延出位置に移動させるために中間継手16のポート110及び前方ヘッド12のポート62の排気を可能にしつつ後方ヘッドのポート96に圧縮ガスを供給することにより、ピストンロッド42を図5に示されている完全後退位置から図7に示されている完全延出位置に移動させることができる。この圧縮ガスは、典型的には圧縮空気である。第2のピストン44及びピストンロッド42がその完全延出位置に向かって移動すると、スリーブ100の自由端106はセンター継手16内を通って前方ピストン40に接触し、当該ピストンをその後退位置から、前方ヘッド12の直ぐ隣の延出位置に移動させ、望ましくはシール部48のクッション部分52に接触させる。中間継手16のポート110の排気を可能にしつつピストンロッド42とスリーブと第2のピストン44とを図6に示す別個の中間位置に移動させるために第1のピストン40を中間継手16と係合状態にしてスリーブ100に接触させるため、上記の第2の筒部内の圧縮ガス(第3のポート96を介して供給される圧縮ガス)の圧力より十分に高い圧力の圧縮ガスを第1のポート62に供給することにより、図7に示された完全延出位置からピストンロッドを、図6に示されている別個の中間位置に移動させることができる。図6に示されている別個の中間位置から第2のピストンがさらに後退せず、ひいてはピストンロッドがこの中間位置からさらに後退しないことを保証するため、第2の筒部内と典型的には後方ヘッドの第3のポート96とにおける圧縮ガスの圧力を維持することができ、この中間位置において押圧スリーブ100は前方ピストン40に接触し続ける。この別個の中間位置から第2のピストン44ひいてはピストンロッド42が図5に示されているその完全後退位置に戻るためには、第3の後方ポート96の排気を可能にしつつ継手の第2のポート110を介して圧縮ガスを第2のピストン44に供給することができる。ピストンロッド及び第2のピストンをその完全後退位置にさらに後退させる間、第1のピストン40が中間継手に接触する後退位置に第1のピストン40を維持するため、第1のポート62への加圧を継続することができる。当業者であれば必要に応じて、第1のポート62にかかる圧力を維持せずにピストンロッド及び第2のピストンを中間位置から完全後退位置に戻すことが可能であり、これにより第1のピストン40はその完全延出位置に移動することになることが明らかである。
【0019】
必要に応じて、まず、フローティング状態の第1のピストン40をその後退位置に維持して中間継手16と係合した状態に維持するために第1のヘッド12の第1のポート62に圧縮ガスを供給してから、その後、第1のピストン40を継手から係合解除することなく中間継手の第2のポート110の排気を可能にしつつ後方ヘッド14の第3のポート96により低圧の圧縮ガスを順番に供給することにより、ピストンロッド42及び第2のピストン44を図5に示されている完全後退位置から、(先に完全延出位置に移動させることなく)図6に示されている別個の中間位置にそのまま直接移動させることができる。この別個の中間位置にある間、第1のポート62を介してより高圧の圧縮ガスを維持して、第1のピストン40を第2の中間継手と係合した状態に維持するように第1のピストン40に作用しながら、第3のポート96からのより低圧の圧縮ガスが第2のピストン44に作用することにより、押圧スリーブ100の自由端106を第1のピストンと係合した状態に維持することとなる。中間継手の第2のポート110の排気が可能な状態を継続しつつ第1のポート62の排気を可能にすることにより、上記の中間位置からピストンロッド42及び第2のピストンをその完全延出位置へ移動させることができる。
【0020】
図8~14は、シリンダ10にピストンの往復移動の緩衝部を付加した空気圧3位置シリンダ10’を示す。よって、シリンダ10の構成要素と同一又は実質的に同一であるシリンダ10’の構成要素は、同一の符号又は同一の符号にプライム(’)を付したものによって示しており、かかる構成要素の説明は再度行わない。
【0021】
必要に応じて、第1のピストン40’の完全延出位置への移動は、クッションアセンブリ120によって緩衝されることができる。図10及び図11に示すように、このクッションアセンブリは、ピストン40’と共に移動するように当該ピストン40’に取り付けられ又はピストン40’と一体化した筒状のスリーブ122と、第1のヘッド12’の凹部64に入れられたシール部124と、少なくともピストン40’がその完全延出位置に接近したときにポート62への空気等の圧縮ガスの流量を制御する調整可能な流量制御弁アセンブリ126と、を備えることができる。スリーブ122はピストンロッド42を摺動可能に受容することができ、また、第1のピストンをその完全延出位置に向かって進めたときにシール部と係合できる連続した円筒外周面128を有することができる。スリーブの自由端130は、ピストン40’がその完全後退位置にあるときにシール部124から軸方向に離隔することができ、また、シール部内へのスリーブの侵入を容易にするためスリーブの自由端130を面取り加工することができる。ピストン40’のその延出位置への移動の少なくとも一部の間、スリーブ表面128はシール部と係合することにより、スリーブ表面128とシール部との間が気密封止され、ピストン40’と前方ヘッド12’との間にチャンバ132が提供され、このチャンバ132から圧縮空気が制御弁アセンブリ126のみを通ってポート62に流れることができ、これによりピストン40’の完全延出位置への移動が緩衝される。この弁アセンブリ126は、上記のチャンバと連通する入口通路134と、ポート62と連通する出口通路136と、第1のヘッド12’内の弁座138と、を備えることができる。この弁アセンブリは、弁ヘッド又は弁先端部142を有する弁ステム140を備えることができ、弁ヘッド又は弁先端部142の隣接する一端は弁座138と係合可能であり、弁アセンブリはヘッド12’の孔144に入れることができ、この孔144は、ステムの相補的なねじ部と係合可能なねじ部分146を有し、これにより、ステムの回転によって弁座に対する弁ヘッドの相対的な進退移動が行われる。ステムの他端には、ステムを手動で回転させるための例えばスクリュードライバ等の工具を入れるスロット148等の非円形の凹部を設けることができる。ステムの溝152にはOリング150等のシール部を入れることができ、またこのシール部は、ステムと第1のヘッド12’との間を気密封止するための座ぐり154と係合することができる。第1のヘッドからのステムの意図しない離脱を阻止するため、第1のヘッド12’の溝158にスナップリング156を入れて、ステムにおける隣の部分に重ねることができる。
【0022】
必要に応じて、フローティングピストン40’の戻りストロークは、クッションアセンブリ160によって緩衝されることができる。図10及び図12に示すように、このクッションアセンブリ160は、ピストン40’と共に移動するようにピストン40’に取り付けられ、又は好適にはピストン40’と一体化したスリーブ162と、中間継手16’の溝166に入れられたシール部164と、流量制御弁アセンブリ168と、を備えることができる。ピストン40’の戻りストロークの少なくとも一部の間、スリーブはシール部164と係合して、スリーブとシール部164との間が気密封止されてピストン40’と中間継手16’との間にチャンバが提供され、このチャンバは、流量制御弁アセンブリ168のみを介してポート110と連通することができる。この弁アセンブリは、上記のチャンバと連通する入口通路172と、孔46を介してポート110と連通する出口通路174と、中間継手内の弁座138と、を備えることができる。弁ステム140及び弁座138の構造、配置及び機能は、第1の流量制御弁アセンブリ126の構造、配置及び機能と同じとすることができるので、その説明は参照により本願開示内容に組み込まれているものとし、再度説明しない。
【0023】
必要に応じて、第2のピストン44がその中間位置に移動する際に、その移動をクッションアセンブリ180によって緩衝することができる。図10及び図13に示すように、このクッションアセンブリは、第2のピストン44に取り付けられたスリーブ100’と、流量制御弁アセンブリ188と、を備えることができ、スリーブ100’の円筒周面部分182は、中間継手16’の溝186に入れられたシール部184と係合可能となっている。シール部と封止係合するようにスリーブ100’の円筒周面182を進めると、シール部と円筒周面182とは、流量制御弁アセンブリ188のみを介して第2のポート110と連通するチャンバを第2のピストン44と中間継手16’との間に提供することができる。この弁アセンブリは、上記のチャンバと連通する入口通路192と、孔46を介して第2のポート110と連通する出口通路194と、中間継手内の弁座138と、を備えることができる。調整可能な流量制御弁アセンブリ188の構造及び配置は、制御弁アセンブリ126の構造及び配置と同じとすることができ、その説明は参照により本願開示内容に組み込まれているものとし、再度説明しない。望ましくは、スリーブは表面部分182の両端を軸方向に越えた箇所に、外径がより小さい部分を有し、これにより両端がシール部184と係合せず、よって、いかなるチャンバも提供しないようにする。
【0024】
必要に応じて、完全延出位置又は中間位置のいずれかから完全後退位置への第2のピストン44の復帰を、クッションアセンブリ200によって緩衝することができる。図10及び図14に示すように、このクッションアセンブリは、ピストンと共に移動するように当該ピストンに取り付けられた筒状のスリーブ202と、後方ヘッド14’の凹部206に入れられたシール部204と、調整可能な流量制御弁アセンブリ208と、を備えることができる。スリーブは、第2のピストンの座ぐり210に入れて、ロッドの相補的なねじ部にナット82を係合させることにより、第2のピストンと共に移動するようにこれにスリーブを取り付けることができる。このスリーブは、テーパを有する自由端と、シール部と封止係合状態にあるときに第2のピストン44と後方ヘッド14’との間にチャンバを提供できる円筒外周面部分212と、を有することができ、このチャンバは、調整可能な流量制御弁アセンブリ208のみを介してポート96と連通することができる。図14に示すように、この弁アセンブリは、上記のチャンバと連通する入口通路214と、ポート96と連通する出口通路216と、後方ヘッド14’内の弁座138と、を備えることができる。この制御弁アセンブリ208の構造及び配置は、弁ステム140及び弁座138を備えた弁アセンブリ126の構造及び配置と同じとすることができ、その説明は参照により本願開示内容に組み込まれているものとし、再度説明しない。
【0025】
3位置空気圧シリンダ10’は、基本的にシリンダ10と同じように、完全後退位置と、完全延出位置と、当該3位置空気圧シリンダ10’のピストンロッド42及び第2のピストン44の別個の中間位置とで動作及び機能することができる。3位置空気圧シリンダ10’のフローティングピストン40’も、基本的にシリンダ10のフローティングピストン40と同じように動作及び機能する。よって、3位置空気圧シリンダ10’の基本的動作の説明は、参照により本願開示内容に組み込まれているものとし、再度説明しない。空気圧シリンダ10’は、上記のクッションアセンブリのうち1つ、複数、又は4つ全てを備える構成とすることができ、各クッションアセンブリがそれぞれ他のクッションアセンブリから独立して動作することができ、各アセンブリの制御弁の流量をそれぞれ独立して調整及び設定することができる。
【0026】
第1の制御アセンブリ120の動作の際には、フローティングピストン40’をその完全延出位置に向かって前進させると、フローティングピストン40’のスリーブ122がシール部124と封止係合してチャンバを提供し、このチャンバから圧縮空気が制御弁アセンブリ126のみを通ってポート62に流れることにより、ピストン40’がその完全延出位置に移動する際にピストン40’を緩衝する。緩衝が開始するまでにフローティングピストン40’を進める程度は、スリーブ122の軸方向長さを変えて、スリーブ122がシール部と封止係合し始めるポイントを変えることによって変化することができる。フローティングピストン40’がその延出位置からその完全後退位置に向かって移動するときの第2のクッションアセンブリ160の動作では、第2のクッションアセンブリ160のスリーブ162はシール部164と封止係合してチャンバを提供し、フローティングピストン40’が中間継手16’に接触する完全後退位置に移動する際に、(このチャンバからの)圧縮空気が制御弁アセンブリ168のみを通ってポート110に流れる。
【0027】
第3のクッションアセンブリ180の動作の際には、第2のピストン44がその後退位置から別個の中間位置に移動すると、第2のピストン44のスリーブ100’がシール部184と封止係合するように移動したときに、スリーブ100’とシール部184とは、調整可能な流量制御弁アセンブリ188のみを介してポート110と連通するチャンバを提供する。第2のピストンがさらにその中間位置から完全延出位置に向かって進むと、スリーブ100’はその際にシール部184と封止係合した状態を継続するので、上記のクッションアセンブリ180は第2のピストンの前進移動を緩衝し続けることができ、シリンダ10’がこの第2のクッションアセンブリと第1のクッションアセンブリ120の両方を備えている場合には、第2のピストンによってフローティングピストン40’をその後退位置から延出位置に移動させると、第1のクッションアセンブリもこの第2のピストン44をさらに緩衝するよう動作することができる。クッションアセンブリ200の動作では、第2のピストン44が(その完全延出位置または中間位置のいずれかから)後退位置に向かって移動すると、第2のピストン44のスリーブ202がシール部204と封止係合した際にスリーブ202とシール部204とが、流量制御弁アセンブリ208のみを介してポート96と連通して第2のピストン44を緩衝するチャンバを提供する。
【0028】
これらのシリンダ10及び10’は、ピストンロッド及び/又は第2のピストンのいかなる位置検知も行う必要なく、圧縮ガスの差圧のみを利用したピストンロッドの3つの別個の又は明確な位置が設けられるという実用上有意義な利点を有し、ピストンロッドは、メインの第2のピストンをその完全後退位置から半延出させ、又はメインの第2のピストンをその完全延出位置から半後退させることにより、別個の中間位置に移動することができ、ピストンロッドは、シリンダの全てのサイクルにおいて、又は必要に応じて、適宜又は必要な際に一部のサイクルにおいてのみ、別個の中間位置に移動することができる。ピストンロッドは、当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は独立した中間位置のいずれからも、当該ピストンロッドの後退位置、延出位置又は独立した中間位置の他のいずれかへ直接移動可能である。第1及び第2の筒部、押圧部並びにピストンロッドの軸方向長さを変えるだけで、上述のシリンダをピストンロッドの全ストロークや別個の中間ストローク位置の幅広い範囲に合わせて容易に調整することができ、ピストンロッドの完全後退位置から完全延出位置までのストローク長や、ピストンロッドの完全後退位置から別個の中間位置までのストローク長あるいは完全延出位置から別個の中間位置までのストローク長を、所望の長さにすることができる。また、上述のシリンダは、シリンダ筒部及びピストンの多くの種々の径やサイズに適合することもできる。
【0029】
本願明細書に開示した発明の形態は現時点で好適な実施形態であるが、他の多くの実施形態も可能である。例えば、ピストンロッドが別個の中間位置にある間、第1のピストンが中間継手と係合する力の方が、第2のピストンの押圧スリーブを第1のピストンに係合させる第2のピストンの力より大きくなるために十分に第1のピストン及び第1の筒部の径が第2のピストン及び第2の筒部の径より大きい場合、両筒部に同一圧力の圧縮ガスを供給して動作するようにシリンダを構成できることが、当業者に明らかである。本明細書は、本発明の可能な均等形態又は派生形態の全てについて言及することを意図したものではなく、本明細書で使用されている用語は限定ではなく、あくまで説明のためのものであり、本発明の思想又は範囲から逸脱することなく種々の変更が可能であると解される。
図1
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図10
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図14