(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】バルブ、及びバルブの異常診断方法
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
F16K37/00 F
(21)【出願番号】P 2023010370
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2019557045の分割
【原出願日】2018-10-05
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2017229482
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】丹野 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】相川 献治
(72)【発明者】
【氏名】原田 章弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】米華 克典
(72)【発明者】
【氏名】落石 将彦
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519488(JP,A)
【文献】米国特許第06321781(US,B1)
【文献】特開2010-144874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作異常を検知可能なバルブであって、
アクチュエータの動作に連動してダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押えと、
前記ダイヤフラムの周縁を押さえる押えアダプタと、
前記押えアダプタに取り付けられ、前記ダイヤフラム押えに配設された磁石との距離変化を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出値から、前記磁石と前記磁気センサとの距離変化が正常時の距離変化と一致するか否かを判別し、異常の有無を判定する異常判定手段と、を有
し、
前記ダイヤフラム押えは、回動規制手段によって周方向の回動が規制され、
前記回動規制手段は、前記ダイヤフラム押えの軸方向に形成された条溝と、当該条溝に摺動可能に嵌合される軸棒と、から構成される、
バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常診断が可能なバルブ及びバルブの異常を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスに用いられるプロセス流体を供給する流体供給ラインには、自動弁などの流体制御機器が用いられる。
近年、ALD(Atomic Layer Deposition)等、半導体製造プロセスが高度化、複雑化し、ガスユニットに搭載される流体制御機器の機器数が増えている。また、流体制御機器の高度化により、電気配線や駆動圧を供給するエアチューブなど、流体制御機器周りの配線も複雑化している。
【0003】
この点、特許文献1では、第1流路および第2流路が形成されたボディと、第1流路と第2流路との間を連通または遮断する弁体とを備えたバルブであって、ボディは弁体側に位置する第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する基部と、第2面と段差部を形成する第3面を有する第1連結部と、第1面と段差部を形成する第4面を有する第2連結部とを有し、第1流路は第1-1流路と第1-2流路とを有し、第1-1流路の第1-1ポートは第3面に開口し、第1-2流路の第1-3ポートは第1-1流路の第1-2ポートに連通し、かつ弁体に向かって開口し、第1-2流路の第1-4ポートは第4面に開口し、第1-3ポートを介して第1流路と前記第2流路とが連通可能であり、第1連結部は別のバルブのボディにおける第2連結部に相当する部分に対し連結され、第1-1流路と別のバルブのボディにおける第1-2流路に相当する流路とが連通するバルブが提案されている。
【0004】
また、バルブの異常を診断する技術として、特許文献2では、コントロール弁とオリフィスとこれらの間の上流側圧力を検出する圧力検出器と流量設定回路からなり、上流側圧力を下流側圧力の約2倍以上に保持して下流側の流量を演算し、この演算流量と設定流量との差信号によりコントロール弁を開閉制御する流量制御装置において、設定流量を100%流量の高設定流量に保持する第1工程と、この高設定流量を0%流量の低設定流量に切り換えて保持し上流側圧力を測定して圧力減衰データを得る第2工程と、同条件でオリフィスに目詰まりがないときに測定された基準圧力減衰データと前記圧力減衰データとを対比する第3工程と、前記低設定流量に切り換えてから所定時間後の圧力減衰データが基準圧力減衰データより所定度以上開離したときに目詰まりを報知する第4工程とからなる圧力式流量制御装置におけるオリフィス目詰検出方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-223533号公報
【文献】特許第3546153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような半導体製造プロセスの高度化、複雑化の影響を受けて、流体供給ラインに搭載されるバルブにかかる負担は過酷になっており、メンテナンス頻度や製品寿命のサイクルも早くなっている。そのため、正確且つ簡便にバルブの動作異常を判定できる方法が求められている。
また、電気配線やエアチューブの複雑化は折れやねじれに起因した動作不良を招くおそれがあるし、配線の接続先が紛らわしくなってメンテナンス等では不便である。さらには、配線をシンプルにすることで電磁性能を担保し、ノイズの低減や応答遅延の防止を実現したいとの要求もあるため、バルブの動作異常を判定するための機能や構造は、このような実情にも配慮して、電気配線やエアチューブの複雑化を招かないものであるほうがよい。
【0007】
そこで本発明は、正確且つ簡便にバルブの動作異常を診断できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るバルブは、動作異常を検知可能なバルブであって、アクチュエータの動作に連動してダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押えと、前記ダイヤフラムの周縁を押さえる押えアダプタと、前記押えアダプタに取り付けられ、前記ダイヤフラム押えに配設された磁石との距離変化を検出する磁気センサと、前記磁気センサによって検出された異常診断時の前記磁石と前記磁気センサとの距離変化と、予め測定された正常時の前記磁石と前記磁気センサとの距離変化とを対比し、異常の有無を判定する異常判定手段と、を有する。
【0009】
また、前記ダイヤフラム押えは、回動規制手段によって周方向の回動が規制されるものとしてもよい。
【0010】
また、前記回動規制手段は、前記ダイヤフラム押えの軸方向に形成された条溝と、当該条溝に摺動可能に嵌合される軸棒と、から構成されるものとしてもよい。
【0014】
また、本発明の別の観点に係るバルブの異常診断方法は、アクチュエータの動作に連動してダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押えと、前記ダイヤフラムの周縁を押さえる押えアダプタと、前記押えアダプタに取り付けられ、前記ダイヤフラム押えに配設された磁石との距離変化を検出する磁気センサと、を備えたバルブの異常診断方法であって、
前記磁気センサによって検出された異常診断時の前記磁石と前記磁気センサとの距離変化と、予め測定された正常時の前記磁石と前記磁気センサとの距離変化とを対比し、異常の有無を判定する工程、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、正確且つ簡便にバルブの動作異常を診断することができる。また、流体供給ラインの複雑化を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るバルブの内部構造を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るバルブを備えた流体供給ラインによって構成されたガスユニットを示した外観斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るバルブを備えた流体供給ラインによって構成されたガスユニットを示した平面図である。
【
図4】本実施形態に係るバルブを備えた流体供給ラインによって構成されたガスユニットを示した側面図である。
【
図5】本実施形態に係るバルブの内部構造を示す断面図であって、(a)全体図、(b)部分拡大図である。
【
図6】本実施形態に係るバルブの機能構成の一例を示した機能図である。
【
図7】本実施形態に係るバルブを備えた流体供給ラインによって構成されたガスユニットにおいて、ケーブルの配線構造を示した模式図である。
【
図8】本実施形態に係るバルブを備えた流体供給ラインによって構成されたガスユニットにおいて、駆動圧供給路の接続構造を示した模式図である。
【
図9】本実施形態の変形例に係る流体供給ラインによって構成されたガスユニットにおいて、駆動圧供給路の接続構造を示した模式図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係る流体供給ラインによって構成されたガスユニットを示した外観斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係る流体供給ラインによって構成されたガスユニットにおいて、ケーブルの配線構造を示した模式図である。
【
図12】本発明の別の実施形態に係る流体供給ラインによって構成されたガスユニットにおいて、駆動圧供給路の接続構造を示した模式図である。
【
図13】本発明の別実施形態に係るバルブを示した(a)外観斜視図、(b)平面図である。
【
図14】本発明の別の実施形態に係るバルブの内部構造を示したA-A断面図であって、(a)弁閉状態、(b)弁開状態を示す。
【
図15】本発明の別の実施形態に係るバルブの内部構造を示したB-B断面図であって、(a)弁閉状態、(b)弁開状態を示す。
【
図16】本発明の別の実施形態に係る流体制御装置を構成する流体制御機器を示した分解斜視図である。
【
図17】本発明の別の実施形態に係る流体制御装置を構成する流体制御機器を示した分解斜視図である。
【
図18】本発明の別の実施形態に係る流体制御装置を構成する流体制御機器を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
●バルブV1
以下、本発明の実施形態に係るバルブ及び当該バルブの異常診断方法について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係るバルブV1は、バルブ本体3とバルブ本体3に連結された駆動圧制御装置4とを備える。
【0019】
バルブ本体3は、例えばダイヤフラムバルブなど、流体制御装置のガスラインで使用されるバルブであって、少なくとも外部から供給される駆動圧を内部に導入するための駆動圧導入口3aを備えている。
【0020】
駆動圧制御装置4は、バルブ本体3の駆動圧導入口3aに連結されており、駆動圧供給源Gから供給される駆動圧をバルブ本体3に供給する。
駆動圧制御装置4には、ライン外の駆動圧供給源Gからバルブ本体3に駆動圧を導入する導入路として、駆動圧導入路431、432、433を備えている。駆動圧導入路431はライン外の駆動圧供給源Gに接続している。駆動圧導入路432は、自動弁411及び自動弁412を介して、駆動圧導入路431と駆動圧導入路433を連結している。駆動圧導入路433は、バルブ本体3の駆動圧導入口3aに連結している。
【0021】
また、駆動圧制御装置4には、駆動圧導入路431を開閉するN.C.(ノーマルクローズ:常時閉)の自動弁411と、自動弁411と連動して駆動圧導入路433を開閉すると共に、駆動圧導入路433から駆動圧を装置外Aへ排気する排気通路44を開閉するN.O.(ノーマルオープン:常時開)の自動弁412とが設けられている。
【0022】
自動弁411、412は夫々、弁駆動部421、422によって開閉させられる。弁駆動部421、422は、電源供給源E及び指示信号発信源Qから配線45を介して電源の供給と共に動作を指示する指示信号を受け、指示信号に基づいた動作を実行する。
なお、自動弁411、412はいずれも、通常の電磁弁やエアー作動型電磁弁、あるいは電気弁など、各種の弁によって構成することができる。
【0023】
この駆動圧制御装置4は、自動弁411、412、弁駆動部421、422、駆動圧導入路431、432、433等が中空のキャップ状のケーシング40で覆われており、バルブ本体3にケーシング40を被せるようにして、バルブ本体3と一体化させられている。
なお、バルブ本体3とケーシング40は適宜、ネジ止めや接着剤による接着等の手段によって一体化させることができる。
【0024】
このような構成からなる駆動圧制御装置4では、自動弁411、412の開閉状態にかかわらず、ライン外の駆動圧供給源Gから供給される駆動圧が常に駆動圧導入路431を介して自動弁411のところまで供給されている。
【0025】
駆動圧制御装置4の開閉動作について説明すると、まず自動弁411が弁駆動部421によって開弁させられると、自動弁411まで供給されていた駆動圧は駆動圧導入路432を介して自動弁412へ導出される。また、自動弁412は自動弁411と連動しており、自動弁411の開弁に伴って閉弁して排気通路44が閉じ、駆動圧導入路433を介してバルブ本体3へ駆動圧が供給される。
【0026】
一方、自動弁411が弁駆動部421によって閉弁させられると、駆動圧供給源Gから供給される駆動圧は自動弁411によって遮られる。また、自動弁411に連動する自動弁412は開弁し、排気通路44が開かれてバルブ本体3内の駆動圧が排気される。
【0027】
本実施形態に係るバルブV1によれば、駆動圧制御装置4とバルブ本体3とが一体的に連結していることから、バルブV1に接続する配線をシンプルにすることができる。
また、常にバルブ本体3と一体的に連結された駆動圧制御装置4の自動弁411のところまで駆動圧が供給されており、バルブ本体3の駆動圧導入口3aに近いところで駆動圧が一定圧力に高められた状態が維持される。その結果、バルブ本体3は開閉の際、駆動圧の圧力変化を受けにくく、開閉速度を一定に保つことができ、ひいては材料ガスの制御の精度を向上させることができる。
【0028】
なお、上述したバルブV1は、バルブ本体3に駆動圧制御装置4を連結させた構造としたが、これに限らず、バルブ本体3内に駆動圧制御装置4を内蔵させるための空間を確保し、当該空間に駆動圧制御装置4を内蔵させることもできる。
【0029】
次に、上述したバルブV1によって構成された流体供給ラインについて説明する。
図2~
図4に示されるように、ガスユニット1は、本実施形態に係る3つの流体供給ラインL1、L2、L3を備えている。
ここで、「流体供給ライン(L1、L2、L3)」とは、ガスユニット(1)の構成単位の一つであって、プロセス流体が流通する経路と、当該経路上に配設された一群の流体制御機器によって構成され、プロセス流体を制御し、独立して被処理体を処理することが可能な最小の構成単位である。ガスユニットは通常、当該流体供給ラインを複数、並設させて構成されている。また、以下の説明において言及する「ライン外」とは、この流体供給ラインを構成しない部分又は機構であって、ライン外の機構には、流体供給ラインの駆動に必要な電力を供給する電力供給減や駆動圧を供給する駆動圧供給源、流体供給ラインと通信可能に構成された装置等が含まれる。
【0030】
流体供給ラインL1、L2、L3は夫々、複数の流体制御機器を流体密に連通させたものであり、流体制御機器は、上述のバルブV1からなるバルブ(V11~V14、V21~V24、V31~V34)や流量制御装置(F1~F3)によって構成される。なお、以下の説明では、バルブ(V11~V14、V21~V24、V31~V34)をバルブV1、流量制御装置(F1~F3)を流量制御装置Fとまとめて称することがある。
【0031】
流量制御装置Fは、各流体供給ラインL1、L2、L3において流体の流量を制御する装置である。
この流量制御装置Fは例えば、流量レンジ可変型流量制御装置によって構成することができる。流量レンジ可変型流量制御装置は、切換弁の操作により自動的に流量制御域を切換選択できる装置である。
この流量レンジ可変型流量制御装置は、流量制御装置の流量検出部への流体通路として例えば、小流量用と大流量用の流体通路を有している。小流量用流体通路を通して小流量域の流体を流量検出部へ流通させると共に、流量制御部の検出レベルを小流量域の検出に適した検出レベルに切換えし、大流量用流体通路を通して大流量域の流体を前記流量検出部へ流通させると共に、流量制御部の検出レベルを大流量域の流量の検出に適した検出レベルに切換えすることにより、大流量域と小流量域の流体を夫々切り換えて流量制御する。
【0032】
また、このような流量レンジ可変型流量制御装置は、オリフィス上流側圧力P1及び又はオリフィス下流側圧力P2を用いて、オリフィスを流通する流体の流量をQc=KP1(Kは比例定数)又はQc=KP2
m(P1-P2)n(Kは比例定数、mとnは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置であって、当該圧力式流量制御装置のコントロール弁の下流側と流体供給用管路との間の流体通路を少なくとも二つ以上の並列状の流体通路とすると共に、各並列状の流体通路へ流体流量特性の異なるオリフィスを夫々介在させたものとすることもできる。この場合、小流量域の流体の流量制御には一方のオリフィスへ小流量域の流体を流通させ、また大流量域の流体の流量制御には少なくとも他方のオリフィスへ大流量域の流体を流通させる。
また、流量のレンジを三段階にすることもできる。この場合、オリフィスを大流量用オリフィスと中流量用オリフィスと小流量用オリフィスの三種類とすると共に、一方の流体通路に第一の切換用バルブと第二の切換用バルブと大流量オリフィスを直列状に介在させ、また他方の流体通路に小流量オリフィスと中流量オリフィスを介在させ、更に、両切換バルブ間を連通する通路と、小流量オリフィスと中流量オリフィス間を連通する通路とを連通させる。
この流量レンジ可変型流量制御装置によれば、流量制御範囲を拡大させつつ、高い制御精度を維持することができる。
【0033】
また、他の例では、流量制御装置Fを差圧制御式流量制御装置によって構成することができる。差圧制御式流量制御装置は、ベルヌーイの定理から導出した流量演算式を基礎として用い、これに各種の補正を加えることにより流体流量を演算し、制御する装置である。
この差圧式流量制御装置は、バルブ駆動部を備えたコントロールバルブ部と、コントロールバルブの下流側に設けられたオリフィスと、オリフィスの上流側の流体圧力P1の検出器と、オリフィスの下流側の流体圧力P2の検出器と、オリフィスの上流側の流体温度Tの検出器とを有している。そして、内蔵する制御演算回路により、各検出器からの検出圧力及び検出温度を用いて流体流量QをQ=C1・P1/√T・((P2/P1)m-(P2/P1)n)1/2(但しC1は比例定数、m及びnは定数)により演算すると共に、演算流量と設定流量との差を演算する。
差圧式流量制御装置によれば、インラインの形態で且つ取付姿勢に制約を受けることもなく使用でき、そのうえ圧力の変動に対しても制御流量がほとんど影響されることなしに、高精度な流量計測又は流量制御をリアルタイムで行うことができる。
【0034】
このような流量制御装置Fは、流量制御装置Fの動作情報を取得する動作情報取得機構や、同一のラインを形成するバルブV1の動作情報を集約してバルブV1を監視すると共に、各バルブV1を制御可能な情報処理モジュールを備えている。
動作情報取得機構は例えば、流量制御装置Fに内蔵される各種のセンサや流量制御を行う演算装置、これらのセンサや演算装置等の情報の処理を実行する情報処理モジュール等によって構成することができる。
特に、同一の流体供給ラインL1、L2、L3を構成するバルブV1について、流量制御装置Fを介してライン外の機構から駆動圧を供給させたり、通信可能にさせたりすることで、各バルブV1の動作情報を流量制御装置Fに集約させることができる。その結果、各バルブV1の動作情報と流量制御装置Fの動作情報と合わせてライン全体の動作情報が構成される。
【0035】
バルブV1は、動作機構として上述の構成を有するほか、自身の動作異常を検知可能な機能ないしは機構として、バルブV1の動作情報を取得する動作情報取得機構と、当該動作情報取得機構によって検出されたデータを処理する情報処理モジュールを内蔵している。
【0036】
図5はそのようなバルブV1の具体的な構成の一例を示したものである。
このバルブV1は、動作情報取得機構として磁気センサM2と磁石M1を有している。磁気センサM2は、ダイヤフラム51の周縁を押さえる押えアダプタ52の内側であって、ステム53に対向する面に取り付けられている。また、磁石M1は、バルブV1の開閉動作に応じて摺動するステム53の押えアダプタ52近傍に取り付けられている。
磁気センサM2は、所定の位置に取り付けられた磁石M1との間の距離変化をセンシングすることにより、バルブV1の開閉状態のみならず、開度を計測することができる。
【0037】
なお、磁気センサM2には、測定されたデータを送受するためのケーブル等が接続される場合がある一方、磁石M1はそのような有線接続を要しない。そのため、上下動するステム53に磁石M1を取り付け、バルブV1内で位置が固定されている押えアダプタ52に磁気センサM2を取り付けることで、バルブV1の動作に伴って磁気センサM2に接続されたケーブルが動き、動作不良を招く事態を防ぐことができる。
【0038】
ここで、磁気センサM2は平面コイル、発振回路、及び積算回路を有しており、対向する位置にある磁石M1との距離変化に応じて発振周波数が変化する。そして、この周波数を積算回路で変換して積算値を求めることにより、バルブV1の開閉状態のみならず、開弁時の開度を計測することができる。
さらに、
図6に示されるように、バルブV1に内蔵されている情報処理モジュールは、磁気センサM2によって取得されたデータに基づき、バルブV1の異常の有無の判定を行う機能部として異常判定部を有する。この異常判定部は、磁気センサM2によって検出された磁石M1と磁気センサM2の距離変化と、予め測定された正常時の磁石M1と磁気センサM2の距離変化とを対比し、異常の有無を判定する。
【0039】
●異常判定部
ここで、異常判定部によって実行可能な処理について説明する。
まず、異常判定部は、異常診断時のステム53の上面又は下面の位置が正常時の上面又は下面の位置にあるか否かによって異常の有無を判定することができる。即ち、磁気センサM2と磁石M1の距離変化に基づき、ステム53の作動時の上面位置と下面位置が計測される。この上面位置と下面位置が、予め測定された正常時の上面位置と下面位置と一致するか否かを判別し、一致すれば異常なしと判定でき、一致しなければ異常ありと判定できる。
【0040】
また、異常判定部は、異常診断時のステム53のストロークが正常時のストロークと一致するか否かによって異常の有無を判定することができる。即ち、磁気センサM2と磁石M1の距離変化に基づき、ステム53の作動時の上面位置から下面位置までの移動距離(ストローク)が計測される。このストロークが、予め測定された正常時のストロークと一致するか否かを判別し、一致すれば異常なしと判定でき、一致しなければ異常ありと判定できる。
【0041】
また、異常判定部は、異常診断時のステム53の作動速度が正常時の作動速度と一致するか否かによって異常の有無を判定することができる。即ち、磁気センサM2と磁石M1の距離変化に基づき、ステム53の作動時の作動速度が計測される。この作動速度が、予め測定された正常時の作動速度と一致するか否かを判別し、一致すれば異常なしと判定でき、一致しなければ異常ありと判定できる。
【0042】
このようなバルブV1の構成及びその異常診断方法によれば、正確且つ簡便にバルブV1の動作異常を診断することができる。また、異常診断の機構がバルブV1内に集約されているため、ガスユニット1の複雑化を招くこともない。その結果、電気配線やエアチューブが複雑化して折れやねじれに起因した動作不良を招くこともないし、電磁性能の担保、ノイズの低減や応答遅延の防止といった要求も満たす。
【0043】
なお、上述の例では、バルブV1が異常判定部を構成する情報処理モジュールを備えるものとしたが、これに限らず、バルブV1外あるいは流体供給ラインL1、L2、L3外に設けたサーバ等に当該情報処理モジュールが備えた機能をもたせるものとしてもよい。この場合には、流体供給ラインL1、L2、L3を構成する複数のバルブV1を一元的に監視しながら、各バルブV1の動作異常を確認することができる。
【0044】
また、動作情報取得機構として、上述の磁気センサM2のほかに適宜、圧力センサ、温度センサ、リミットスイッチなどを所定の箇所に取り付けてもよい。圧力センサは例えば、所定の空間内の圧力変化を検出する感圧素子や、感圧素子によって検出された圧力の検出値を電気信号に変換する圧電素子等によって構成され、密閉された内部空間の圧力変化を検出する。
また、温度センサは例えば、流体の温度を測定するセンサであり、流路の近傍に設置して当該箇所の温度を測定することで、当該設置個所の温度を、流路内を流通する流体の温度とみなすことができる。
また、リミットスイッチは例えば、ピストンの近傍に固定され、ピストンの上下動に応じてスイッチが切り替えられる。これにより、バルブV1の開閉回数や開閉頻度、開閉速度等を検知することができる。
【0045】
このようなバルブV1内の動作情報取得機構によって取得された情報や情報処理モジュールによって処理された情報は、同一の流体供給ラインL1、L2、L3を構成する流量制御装置Fに集約することもできる。
【0046】
ガスユニット1は、駆動圧を供給する駆動圧供給源、電力を供給する電力供給源、通信を行う通信装置等によって構成されるライン外の機構と接続されている。
ここで、ガスユニット1を構成する流体制御機器は、ライン外の機構と所定の流体制御機器とを直接、接続する第一の接続手段と、当該第一の接続手段から分岐して、あるいは当該第一の接続手段が接続する流体制御機器を介して、ライン外の機構と他の流体制御機器とを接続する第二の接続手段によって接続されている。具体的には、流体供給ラインL1であれば、後に詳述する
図7において、ライン外からの電力供給及びライン外との通信では、メインケーブル10と延長ケーブル11が第一の接続手段を構成し、サブケーブル111、112、113、114が第二の接続手段を構成する。また、後に詳述する
図8において、ライン外からの駆動圧の供給では、メインチューブ20、延長チューブ21、及びサブチューブ214が第一の接続手段を構成し、延長チューブ211、212、213、サブチューブ215、216、217、218が第二の接続手段を構成する。
【0047】
電力の供給及びライン外との通信は、
図7に示されるように、ライン外の機構とガスユニット1とを接続するメインケーブル10によって可能となっている。
メインケーブル10は、ガスユニット近傍に設けられた分岐コネクタC1によって延長ケーブル11と分岐ケーブル101に分岐し、分岐ケーブル101は分岐コネクタC2によって延長ケーブル12と分岐ケーブル102に分岐し、分岐ケーブル102は分岐コネクタC3を介して延長ケーブル13に接続する。
【0048】
各流体供給ラインL1、L2、L3についてみると、流体供給ラインL1では、延長ケーブル11は流量制御装置F1に接続している。延長ケーブル11が接続している流量制御装置F1からは、サブケーブル111、112が導出され、サブケーブル111はバルブV11に接続し、サブケーブル112はバルブV12に接続する。
また、サブケーブル112が接続しているバルブV12からはサブケーブル113が導出され、サブケーブル113はバルブV13に接続する。さらに、サブケーブル113が接続しているバルブV13からはサブケーブル114が導出され、サブケーブル114はバルブV14に接続する。
【0049】
流体供給ラインL2も流体供給ラインL1と同様の構成によってライン外の機構と接続する。
即ち、延長ケーブル12は流量制御装置F2に接続している。延長ケーブル12が接続している流量制御装置F2からは、サブケーブル121、122が導出され、サブケーブル121はバルブV21に接続し、サブケーブル122はバルブV22に接続する。
また、サブケーブル122が接続しているバルブV22からはサブケーブル123が導出され、サブケーブル123はバルブV23に接続する。さらに、サブケーブル123が接続しているバルブV23からはサブケーブル124が導出され、サブケーブル124はバルブV24に接続する。
【0050】
流体供給ラインL3も流体供給ラインL1と同様の構成によってライン外の機構と接続する。
即ち、延長ケーブル13は流量制御装置F3に接続している。延長ケーブル13が接続している流量制御装置F3からは、サブケーブル131、132が導出され、サブケーブル131はバルブV31に接続し、サブケーブル132はバルブV32に接続する。
また、サブケーブル132が接続しているバルブV32からはサブケーブル133が導出され、サブケーブル133はバルブV33に接続する。さらに、サブケーブル133が接続しているバルブV33からはサブケーブル134が導出され、サブケーブル134はバルブV34に接続する。
【0051】
ここで、流体供給ラインL1について、延長ケーブル11は流量制御装置F1に接続し、流量制御装置F1からはサブケーブル111、112が導出されているが、流量制御装置F1内において延長ケーブルと11サブケーブル111、112は接続している。接続は、流量制御装置F1内に設けられた除法処理モジュールを介したものであってもよいし、延長ケーブル11を分岐させるものであってもよい。
また、バルブV12、V13においても、サブケーブル112はサブケーブル113と接続し、サブケーブル113はサブケーブル114と接続している。このサブケーブル112、113、114の接続についても、バルブV12、V13内に設けられた情報処理モジュールを介したものであってもよいし、サブケーブル112、113を分岐させるものであってもよい。
いずれの接続についても、ライン外の機構とバルブV11、V12、V13、V14が流量制御装置F1を介して通信可能に接続されると共に、電力が供給されるようになっていればよい。
【0052】
なお、他の流体供給ラインL2、L3における接続についても同様であって、バルブV21、V22、V23、V24は、メインケーブル10、延長ケーブル12、及びサブケーブル121、122、123、124により、流量制御装置F2を介してライン外の機構と接続している。また、バルブV31、V32、V33、V34は、メインケーブル10、延長ケーブル13、及びサブケーブル131、132、133、134により、流量制御装置F3を介してライン外の機構と接続している。
【0053】
駆動圧は、
図8に示されるように、ライン外の機構からガスユニットへメインチューブ20によって供給される。
メインチューブ20は、ガスユニット近傍に設けられた分岐継手J1により、流体供給ラインL1、L2、L3毎に駆動圧を供給するための延長チューブ21、22、23に分岐する。
【0054】
各流体供給ラインL1、L2、L3についてみると、流体供給ラインL1では、延長チューブ21は継手J11によって延長チューブ211とサブチューブ214に分岐する。サブチューブ214は流量制御装置F1に接続しており、これにより流量制御装置F1に駆動圧が供給される。
延長チューブ211はさらに、継手J111によって延長チューブ212とサブチューブ215に分岐する。サブチューブ215はバルブV11に接続しており、これによりバルブV11に駆動圧が供給される。
同様に、延長チューブ212はさらに、継手J112によって延長チューブ213とサブチューブ216に分岐する。サブチューブ216はバルブV12に接続しており、これによりバルブV12に駆動圧が供給される。
また、延長チューブ213はさらに、継手J113によってサブチューブ217とサブチューブ218に分岐する。サブチューブ217はバルブV13に接続しており、これによりバルブV13に駆動圧が供給される。また、サブチューブ218はバルブV14に接続しており、これによりバルブV14に駆動圧が供給される。
【0055】
流体供給ラインL2にも流体供給ラインL1と同様の構成によって駆動圧が供給される。
即ち、延長チューブ22は継手J12によって延長チューブ221とサブチューブ224に分岐する。サブチューブ224は流量制御装置F2に接続しており、これにより流量制御装置F2に駆動圧が供給される。
延長チューブ221はさらに、継手J121によって延長チューブ222とサブチューブ225に分岐する。サブチューブ225はバルブV21に接続しており、これによりバルブV21に駆動圧が供給される。
同様に、延長チューブ222はさらに、継手J122によって延長チューブ223とサブチューブ226に分岐する。サブチューブ226はバルブV22に接続しており、これによりバルブV22に駆動圧が供給される。
また、延長チューブ223はさらに、継手J123によってサブチューブ227とサブチューブ228に分岐する。サブチューブ227はバルブV23に接続しており、これによりバルブV23に駆動圧が供給される。また、サブチューブ228はバルブV24に接続しており、これによりバルブV24に駆動圧が供給される。
【0056】
流体供給ラインL3にも流体供給ラインL1と同様の構成によって駆動圧が供給される。
即ち、延長チューブ23は継手J13によって延長チューブ231とサブチューブ234に分岐する。サブチューブ234は流量制御装置F3に接続しており、これにより流量制御装置F3に駆動圧が供給される。
【0057】
延長チューブ231はさらに、継手J131によって延長チューブ232とサブチューブ235に分岐する。サブチューブ235はバルブV31に接続しており、これによりバルブV31に駆動圧が供給される。
同様に、延長チューブ232はさらに、継手J132によって延長チューブ233とサブチューブ236に分岐する。サブチューブ236はバルブV32に接続しており、これによりバルブV32に駆動圧が供給される。
また、延長チューブ233はさらに、継手J133によってサブチューブ237とサブチューブ238に分岐する。サブチューブ237はバルブV33に接続しており、これによりバルブV33に駆動圧が供給される。また、サブチューブ238はバルブV34に接続しており、これによりバルブV34に駆動圧が供給される。
【0058】
ここで、流体供給ラインL1について、流量制御装置F1とバルブV11、V12、V13、V14はいずれも、継手J11、J111、J112、J113、延長チューブ211、212、213、及びサブチューブ214、215、216、217、218を介して延長チューブ21やその先のメインチューブ20と接続しているが、これに限らず、
図9に示されるように、延長チューブ21と流量制御装置F1とを接続した上、流量制御装置F1から駆動圧を各バルブV11、V12、V13、V14に供給することもできる。この場合、流量制御装置F1内に、メインチューブ20から供給された駆動圧を各バルブV11、V12、V13、V14に分配するための機構を設けてもよいし、流量制御装置F1内に引き込んだメインチューブを流量制御装置F1内で分岐させるようにしてもよい。
なお、流体供給ラインL2、L3についてもこれと同様にすることができる。
【0059】
このような流体供給ラインL1、L2、L3の構成によれば、電力供給や通信を行うためのケーブルがシンプルなものとなり、ノイズを低減できると共に、指示信号の伝送速度の遅延を抑制することができる。また、駆動圧を供給するチューブの内容積を小さくできるため、バルブV1や流量制御装置Fといった各流体制御機器の開閉速度を維持すると共に、各流体制御機器の開閉速度に誤差を生じさせないようにすることができる。その結果、流体制御機器ごとの動作のばらつきを抑えて流体供給ラインL1、L2、L3の制御精度を向上させることができる。
【0060】
また、この場合、各バルブV1が流量制御装置Fと通信可能に接続されており、流量制御装置Fが各バルブV1を識別して制御可能とすれば、同一のラインを構成する各バルブV1を個別に識別して異常の有無を診断したり、ライン全体からみた各バルブV1の動作を解析したりすることができる。
なお、流量制御装置F1、F2、F3に集約された各流体供給ラインL1、L2、L3の動作情報を、メインケーブル10を介して外部の情報処理装置に対して送信し、当該情報処理装置において異常の有無を診断させたり、動作を解析させたりすることもできる。なお、外部の情報処理装置は、ライン外の機構の一部を構成するものであってもよいし、ライン外の機構と通信可能に接続された装置であってもよい。また、当該外部の情報処理装置は所謂サーバコンピュータ等によって構成することができる。
【0061】
なお、上述した流体供給ラインL1、L2、L3は、
図10~
図12に示すガスユニット2を構成することもできる。
ガスユニット1と異なり、ガスユニット2を構成する流体供給ラインL1、L2、L3は夫々、別個にライン外の機構と接続されている。
【0062】
即ち、ガスユニット2と電力の供給及びライン外との通信は、
図11に示されるように、ライン外の機構と流体供給ラインL1とを接続するメインケーブル10a、ライン外の機構と流体供給ラインL2とを接続するメインケーブル10b、ライン外の機構と流体供給ラインL3とを接続するメインケーブル10cによって可能となっている。
なお、各流体供給ラインL1、L2、L3において、流量制御装置FからバルブV1への接続はガスユニット1と同様である。
【0063】
また、駆動圧は
図12に示されるように、ライン外の機構からガスユニット2へ、各流体供給ラインL1、L2、L3毎にメインチューブ20a、20b、20cによって供給される。
なお、各流体供給ラインL1、L2、L3において、継手J11、J12、J13から流量制御装置FやバルブV1への接続はガスユニット1と同様である。
【0064】
なお、上述の本実施形態について、ガスユニット1、2はいずれも、3つの流体供給ラインL1、L2、L3によって構成されるものとしたが、本発明の適用がラインの数によって制限されることはない。
また、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されることはなく、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、構成、手段、あるいは機能の変更や追加等が種々、可能である。
【0065】
また、本実施形態では磁気センサM2を用いたが、これに限らず、ステム53と押えアダプタ52の位置関係、あるいはこれらの部材の所定の箇所同士の距離を測定することができる位置センサであれば、光学式の位置センサ等、他の種類のセンサを用いることもできる。
また、いずれの位置センサを用いる場合でも、位置検出精度は±0.01mmから±0.001mmに収まるものを選定することが望ましい。当該半導体製造プロセス向けのバルブとしては微細な流体制御を実現するために±0.01mm程度の微細な開度制御が必要になる半面、±0.001mmを超える検出精度を用いるとバルブV1近傍の真空ポンプ等が発生させる振動を検出しノイズを生じてしまうためである。
【0066】
●バルブV2
以上の本実施形態において、バルブV1とは構造を異にした他の実施形態に係るバルブV2について、
図13~
図18を参照して説明する。
図13に示されるバルブV2は、エア作動式のダイレクトダイヤフラムバルブであり、
図14~
図16に示されるように、バルブボディ6、ボンネット部7、カバー部8、アクチュエータ部9を備える。
【0067】
バルブボディ6は
図14~
図16に示されるように、流路が形成された基台部61と、基台部61上に設けられた略円筒形状の円筒部62とからなる。
基台部61は平面視矩形状からなり、複数のバルブV2によって上述したガスユニット1(2)を構成する場合には、基板あるいはマニホールドブロック上に設置される部分となる。
【0068】
円筒部62は、ボンネット部7が配設される側の端面が開口した中空形状からなり、中空の内部はボンネット部7が収容される凹部62aを構成する。
この円筒部62には、軸心方向に長さを有し、ボンネット部7が配設される側であって基台部61とは反対側の一端が開口すると共に、外側から凹部62a側へ貫通したスリット62bが設けられている。このスリット62bを介して、ボンネットウォール75から延び出したフレキシブルケーブル76が内側から外側へ導出される。
【0069】
凹部62aの下方及び基台部61内には、流体が流入する流入路611と流体が流出する流出路613、及び当該流入路611と流出路613に連通する弁室712が形成されている。流入路611、流出路613、及び弁室712は、流体が流通する流路を一体的に構成している。
【0070】
ボンネット部7は
図14~
図17に示されるように、バルブボディ6の凹部62a内に収容した状態に配設される。このボンネット部7は、シート71、ダイヤフラム72、ダイヤフラム押え73、ボンネット74、ボンネットウォール75を備える。
なお、本例におけるボンネット74は、ボンネット74内に配設されたボンネットウォール75と共に、ダイヤフラム72の周縁を上面側から押さえる部材であり、上述したバルブV1における押えアダプタ52に相当する部材である。また、本例でダイヤフラム押え73と称しているものは、バルブV1におけるステム53と同様に、ダイヤフラム72を押圧する機能を果たすものである。
【0071】
環状のシート71は、弁室712における流入路611の開口部周縁に設けられている。シート71にダイヤフラム72を当接離反させることによって流入路611から流出路613へ流体を流通させたり、流通を遮断させたりすることができる。
【0072】
ダイヤフラム72は、ステンレス、Ni-Co系合金等の金属からなると共に、中心部が凸状に膨出した球殻状の部材であり、流路とアクチュエータ部9が動作する空間とを隔離している。このダイヤフラム72は、ダイヤフラム押え73により押圧されていない状態では、
図14(b)及び
図15(b)に示されるように、シート71から離反しており、流入路611と流出路613とが連通した状態となる。一方、ダイヤフラム押え73により押圧された状態では、
図14(a)及び
図15(a)に示されるように、ダイヤフラム72の中央部が変形してシート71に当接しており、流入路611と流出路613が遮断された状態となる。
【0073】
ダイヤフラム押え73は、ダイヤフラム72の上側に設けられ、ピストン93の上下動に連動してダイヤフラム72の中央部を押圧する。
このダイヤフラム押え73は、略円柱状の基体部731と、ダイヤフラム72に当接する側の一端側において拡径した拡径部732からなる。
【0074】
基体部731には、軸心方向に長さを有し、拡径部732とは反対側の一端が開口した有底の条溝731aが形成されている。この条溝731aには、ボンネットウォール75のネジ孔75cにねじ込まれたネジ75dの軸棒部分が摺動可能に嵌合する。条溝731aとネジ75dは、ダイヤフラム押え73の周方向の回動を規制する回動規制手段を構成し、これによりダイヤフラム押え73は、ピストン93に連動して上下動しつつも、周方向の回動を規制される。
【0075】
また、基体部731には、磁石M3が取り付けられている。この磁石M3は、本実施例では、基体部731の条溝731aの反対側に取り付けられているが、磁気センサM4が磁石M3の磁力を検出するのに支障がなく、また、バルブV2の動作に支障がない限り、基体部731上の他の位置に取り付けることもできる。
【0076】
ボンネット74は、略円筒状からなり、バルブボディ6の凹部62a内に収容される。
ダイヤフラム72はボンネット74の下端部とバルブボディ6との間に挟持されており、この部分でダイヤフラム72とバルブボディ6との間のシールが形成される。
ボンネット74の内部には、ダイヤフラム押え73が貫挿される貫挿孔741aが中心部に形成された略円盤状の仕切部741が設けられている。
仕切部741の上方ないしは、アクチュエータ部9が配設される側に形成される凹部74aには、ボンネットウォール75が収容される。仕切部741とボンネットウォール75には夫々、互いに対応する位置にネジ穴741bと貫通孔75eが設けられており、ボンネット74にボンネットウォール75がボルト75fによって螺設される。
【0077】
ボンネット74の仕切部741は、一定の厚みを有しており、仕切部741に形成されている貫挿孔741aの内周面とダイヤフラム押え73の間にはOリングO7が介装されている。これにより、仕切部741、ダイヤフラム72、及びダイヤフラム押え73によって画定される閉空間S2の気密性が確保されている。
また、ボンネット74の仕切部741には、ボンネットウォール75に取り付けられている圧力センサPに連通する連通孔741dが設けられている。連通孔741dを介して圧力センサPが設けられていることにより、仕切部741、ダイヤフラム72、及びダイヤフラム押えによって画定された閉空間S2内の圧力を測定することができる。
【0078】
また、ボンネット74の側面には、内側に収容したボンネットウォール75から導出されたフレキシブルケーブル76を外側へ導出させるための貫通孔741cが設けられている。
【0079】
ボンネットウォール75は、ボンネット74内に配設される部材である。このボンネットウォール75は肉厚の略円盤状の部材を平面視略C字状に刳り貫いた形状からなる。このボンネットウォール75の中心には、ダイヤフラム押え73の基体部731を貫挿させる貫挿孔75aが設けられている。また、貫挿孔75aをボンネットウォール75の半径方向外側に向かって開口させる開口部75bが設けられている。
【0080】
ボンネットウォール75の厚み部分の所定の箇所には、貫挿孔75aから半径方向外側に向かってねじ切られたネジ孔75cが形成されている。このネジ孔75cには外側からネジ75dが螺合し、螺合したネジ75dの軸心部分は、貫挿孔75a側へ抜け出して、貫挿孔75aに貫挿されたダイヤフラム押え73の条溝731aに摺動可能に嵌合する。
【0081】
ボンネットウォール75には、ボンネット74のネジ穴741bに対応する位置に貫通孔75eが設けられている。ネジ穴741bと貫通孔75eには、ボンネット74の仕切部741上にボンネットウォール75が配設された状態でボルト75fが螺合し、これによりボンネット74にボンネットウォール75が固定される。
【0082】
ボンネットウォール75の外周面のうち、開口部75b近傍には、開口部75bを塞ぐように掛け渡して固定された平板状の磁気センサM4が取り付けられている。この磁気センサM4は、ダイヤフラム押え73に取り付けられた磁石M3との間の距離変化をセンシングすることにより、バルブV2の開閉状態のみならず、開度を計測することができる。なお、ボンネットウォール75に取り付けられた磁気センサM4は、バルブV2の開閉操作に伴うピストン93やダイヤフラム押え73の上下動にかからず、所定の位置に固定されている。
【0083】
カバー部8は
図13及び
図18に示されるように、アクチュエータボディ91とバルブボディ6を挟圧して一体的に保持すると共に、回路基板77及び回路基板77に設けられたコネクタ78をバルブV2に固定する固定手段を構成する。
このカバー部8は、カバー81と平板状のプレート82、83を備える。
【0084】
カバー81は、略U字状からなり、その内側にはアクチュエータボディ91とバルブボディ6の端部が嵌め込まれる。
カバー81の両側面には、アクチュエータボディ91が嵌め込まれる位置に対応してネジ孔31aが設けられている。これにより、バルブボディ6が内側にはめ込まれた状態でネジ孔31aにネジ81bを螺入させ、ネジ81bの先端をバルブボディ6に圧接させると、バルブボディ6をカバー81の内側に挟持することができる。
【0085】
また、カバー81の厚み部分には、ネジ穴81cが設けられている。このネジ穴81cに、ネジ81dがプレート82、83の貫通孔82b、83bを介して螺合することで、カバー81にプレート82、83が取り付けられる。
【0086】
プレート82、83は、カバー81の内側にアクチュエータボディ91とバルブボディ6の端部を嵌めた状態でカバー81とネジ止め固定され、固定された状態においては、カバー81との間にアクチュエータボディ91とバルブボディ6を挟圧保持する。
このプレート82の下方には、舌片状に切り欠いた切欠部82aが形成されており、フレキシブルケーブル76はこの切欠部82aを介して、コネクタ78が設けられた回路基板77へ導出される。
【0087】
プレート83は、プレート82との間に回路基板77を介装させた状態でプレート82及びカバー81にネジ止め固定され、プレート82との間に回路基板77を挟圧保持する。
このプレート83には、中央部に略矩形状の貫通孔83aが設けられており、回路基板77に設けられたコネクタ78はこの貫通孔83aから外側へ抜け出る。
【0088】
ここで、基台部61が平面視矩形状からなるところ、カバー部8は
図13(b)に示されるように、コネクタ78を矩形状の基台部61の対角線方向に向けてバルブV2に固定している。このような向きにコネクタ78を固定するのは以下の理由による。即ち、複数のバルブV2によってガスユニット1(2)を構成する場合には、集積化の要請から、隣り合う矩形状の基台部61の向きを揃えてできる限り隙間をなくし、基盤あるいはマニホールドブロック上にバルブV2を配設するのが好適である。他方、このように配設して集積させた場合には、コネクタ78に端子等を接続しにくくなる。そのため、コネクタ78を基台部61の対角線方向に向けることで、真横に配設されているバルブV2の方に向ける場合と比べ、接続するスペースを広く取ることができる。その結果、コネクタ78に端子等を接続するのが容易であるし、端子等の折れや撚れによる断線等の不具合を防いだり、端子等がバルブV2に当たってバルブV2の動作に異常をもたらすといった不具合を防ぐこともできる。
【0089】
アクチュエータ部9は、ボンネット部7上に配設される。
このアクチュエータ部9は
図14及び
図15に示されるように、アクチュエータボディ91、アクチュエータキャップ92、ピストン93、バネ94を備える。なお、
図16においては、アクチュエータ部9の内部構造を省略しているが、内部構造は
図14及び
図15に示されるとおりである。
【0090】
アクチュエータボディ91は、ピストン93とボンネット74の間に介装される。
このアクチュエータボディ91は
図16に示されるように略円柱形状からなり、中心部には、ピストン93とダイヤフラム押え73が貫挿される貫挿孔91aが長さ方向に沿って設けられている。
図13及び
図14に示されるように、貫挿孔91a内ではピストン93とダイヤフラム押え73が当接しており、ダイヤフラム押え73はピストン93の上下動に連動して上下動する。
【0091】
ピストン93が配設される側の上端面には、環状の突条からなる周壁911が形成されており、周壁911の内側の平坦な水平面とピストン93の拡径部931の下端面との間には、駆動圧が導入される駆動圧導入室S1が形成される。
【0092】
また、アクチュエータボディ91のピストン93が配設される側の外周面上には、雄ネジが切られており、アクチュエータキャップ92の内周面に切られた雌ネジと螺合することにより、アクチュエータボディ91はアクチュエータキャップ92の一端に取り付けられる。
【0093】
アクチュエータボディ91の長さ方向の中心部は、断面視略六角形状に形成されており、当該断面視六角形状の部分とバルブボディ6の上端部分は、カバー81によって一体的に挟圧される。
【0094】
アクチュエータキャップ92は、下端部が開口したキャップ状の部材であり、内部にピストン93とバネ94を収容している。
アクチュエータキャップ92の上端面には、ピストン93の駆動圧導入路932に連通する開口部92aが設けられている。
アクチュエータキャップ92の下端部は、アクチュエータボディ91の上部が螺合して閉止されている。
【0095】
ピストン93は、駆動圧の供給と停止に応じて上下動し、ダイヤフラム押え73を介してダイヤフラム72をシート71に当接離反させる。
このピストン93の軸心方向略中央は円盤状に拡径しており、当該箇所は拡径部931を構成している。ピストン93は、拡径部931の上面側においてバネ94の付勢力を受ける。また、拡径部931の下端側には、駆動圧が供給される駆動圧導入室S1が形成される。
【0096】
また、ピストン93の内部には、上端面に形成された開口部93aと、拡径部931の下端側に形成される駆動圧導入室S1とを連通させるための駆動圧導入路932が設けられている。ピストン93の開口部93aはアクチュエータキャップ92の開口部92aまで連通しており、外部から駆動圧を導入するための導入管が開口部92aに接続され、これにより駆動圧導入室S1に駆動圧が供給される。
【0097】
ピストン93の拡径部931の外周面上には、OリングO91が取り付けられており、このOリングO91はピストン93の拡径部931の外周面とアクチュエータボディ91の周壁911の間をシールしている。また、ピストン93の下端側にもOリングO92が取り付けられており、このOリングO92はピストン93の外周面とアクチュエータボディ91の貫挿孔91aの内周面の間をシールしている。これらのOリングO91、O92により、ピストン93内の駆動圧導入路932に連通する駆動圧導入室S1が形成されると共に、この駆動圧導入室S1の気密性が確保されている。
【0098】
バネ94は、ピストン93の外周面上に巻回されており、ピストン93の拡径部931の上面に当接してピストン93を下方、即ちダイヤフラム72を押下する方向に付勢している。
【0099】
ここで、駆動圧の供給と停止に伴う弁の開閉動作について言及する。開口部92aに接続された導入管(図示省略)からエアが供給されると、エアはピストン93内の駆動圧導入路932を介して駆動圧導入室S1に導入される。これに応じて、ピストン93はバネ94の付勢力に抗して上方に押し上げられる。これにより、ダイヤフラム72がシート71から離反して開弁した状態となり、流体が流通する。
一方、駆動圧導入室S1にエアが導入されなくなると、ピストン93がバネ94の付勢力に従って下方に押し下げられる。これにより、ダイヤフラム72がシート71に当接して閉弁した状態となって、流体の流通が遮断される。
【0100】
バルブV2は、機器内の動作情報を取得する動作情報取得機構として、圧力センサPと、磁気センサM4を備えている。
圧力センサPは
図15に示されるように、ボンネットウォール75の下面、ないしは流路側に取り付けられており、連通孔741dを介して、ダイヤフラム72、ボンネット74の仕切部741、及びダイヤフラム押え73によって画定された閉空間S2に連通している。この圧力センサPは、圧力変化を検出する感圧素子や、感圧素子によって検出された圧力の検出値を電気信号に変換する変換素子等によって構成される。これにより圧力センサPは、ダイヤフラム72、ボンネット74の仕切部741、及びダイヤフラム押え73によって画定された閉空間S2内の圧力を検出することができる。
なお、圧力センサPが連通孔741dに通じる箇所にはパッキン26が介装されており、気密状態が担保されている。
なお、圧力センサPは、ゲージ圧あるいは大気圧のいずれを検出するものでもよい。
【0101】
磁気センサM4は、ダイヤフラム押え73に取り付けられた磁石M3との間の距離変化をセンシングすることにより、バルブV2の開閉状態のみならず、開度を計測することができる。
この磁気センサM4によって以下の通り、弁の開閉動作検知することができる。即ち、磁石M3がダイヤフラム押え73の上下動に応じて上下動するのに対し、磁気センサM4はボンネットウォール75及びボンネット74と共にバルブボディ6内に固定されている。この結果、ダイヤフラム押え73の上下動に従って上下動する磁石M3と、位置が固定されている磁気センサM4との間に発生する磁界の変化に基づき、ダイヤフラム押え73の動作、ひいては弁の開閉動作を検知することができる。
【0102】
なお、磁気センサM4には各種のものを用いることができるが、その一例に係る磁気センサM4は平面コイル、発振回路、及び積算回路を有しており、対向する位置にある磁石M3との距離変化に応じて発振周波数が変化する。そして、この周波数を積算回路で変換して積算値を求めることにより、バルブV2の開閉状態のみならず、開弁時の開度を計測することができる。
【0103】
なお、本実施形態では磁気センサM4を用いたが、これに限らず、上述した磁気センサM2と同様、ダイヤフラム押え73とボンネット74の位置関係、あるいはこれらの部材の所定の箇所同士の距離を測定することができる位置センサであれば、光学式の位置センサ等、他の種類のセンサを用いることもできる。
また、本実施形態に係るバルブV2においても、磁気センサM4を含む位置センサには、位置検出精度が±0.01mmから±0.001mmに収まるものを選定することが望ましい。当該半導体製造プロセス向けのバルブとしては微細な流体制御を実現するために±0.01mm程度の微細な開度制御が必要になる半面、±0.001mmを超える検出精度を用いるとバルブ近傍の真空ポンプ等が発生させる振動を検出しノイズを生じてしまうためである。
【0104】
圧力センサPと磁気センサM4には夫々、可撓性を有する通信用のフレキシブルケーブル76の一端が接続しており、フレキシブルケーブル76の他端は、バルブV2の外側に設けられた回路基板77に接続している。本例において、回路基板77には、情報の送受信を実行する処理モジュールが構成されており、これにより、コネクタ78に接続された外部端末6に対し、圧力センサPや磁気センサM4から取得した動作情報を送信することができる。
【0105】
なお、バルブV2において、フレキシブルケーブル76と回路基板77にはフレキシブル基板(FPC)が用いられ、フレキシブルケーブル76、回路基板77、及びコネクタ78は一体的に構成されている。フレキシブルケーブル76と回路基板77にフレキシブル基板を用いることにより、配線経路として部材間の隙間を利用することが可能になり、その結果、被覆線を用いる場合に比べてバルブV2自体を小型化することができる。
また、処理モジュールは回路基板77とは別に、バルブV2内に格納されていてもよいし、圧力センサP又は磁気センサM4の一部として構成されていてもよい。
また、コネクタ78の種類や形状は、各種の規格に応じて適宜に設計し得る。
【0106】
また、上述した圧力センサPや磁気センサM4によって実現される動作情報取得機構としては他に、駆動圧を検出する駆動圧センサ、流路内の温度を測定する温度センサ、ピストン93あるいはダイヤフラム押え73の挙動を検知するリミットスイッチなどを用いて実現することもできる。
【0107】
以上のバルブV2では、ピストン93とダイヤフラム押え73が別体で構成されているが、磁石M3はダイヤフラム押え73に取り付けられている。これにより、ダイヤフラム押え73の動作不良を判別することができる。即ち、通常であれば、弁開操作によってダイヤフラム押え73はピストン93に追随して上昇するが、弁閉時に弁室712が真空付近まで減圧されることでダイヤフラム72がシート71に吸着されることで、ピストン93が上昇したにもかかわらず、ダイヤフラム押え73がピストン93に追随せずにダイヤフラム72に当接したままとなる場合がある。この結果、ダイヤフラム72が流路を遮断したままになってしまう場合がある。しかし、このような場合でも、バルブV2では磁石M3がダイヤフラム押え73と連動しているため、磁気センサM4による検出値から、ダイヤフラム押え73の動作を判別し、動作不良を判別することができる。
なお、このようなダイヤフラム押え73の動作不良の判別は、磁気センサM4が、バルブV2の開閉動作に応じてピストン93やダイヤフラム押え73のように上下動しないダイヤフラム押え73に取り付けられていることで、ダイヤフラム押え73の相対的な動作を識別できるために可能となっている。したがって、ダイヤフラム押え73の動作を識別し、動作不良を判別可能とする点において、磁気センサM4が取り付けられるべき部材は、バルブV2の開閉動作にかかわらず所定の位置に固定されているものであればよい。
【0108】
具体的な異常判定の方法として、異常判定部は磁気センサM4の検出値から、弁開操作に対応した磁石M3と磁気センサM4の距離変化が正常時の距離変化と一致するか否かを判別し、一致すれば異常なしと判別し、一致しなければ異常ありと判別する。特に、距離変化が全くなかった場合には、ダイヤフラム押え73がダイヤフラム72を押圧したままになっていることが把握される。
このように、バルブV2では、ピストン93とダイヤフラム押え73が別体で構成されていても、ダイヤフラム押え73の動作不良を判別することができる。
【符号の説明】
【0109】
1、2 ガスユニット
10、10a、10b、10c メインケーブル
101、102 分岐ケーブル
11、12、13 延長ケーブル
111、112、113、114 サブケーブル
121、122、123、124 サブケーブル
131、132、133、134 サブケーブル
20、20a、20b、20c メインチューブ
21、22、23 延長チューブ
211、212、213 延長チューブ
214、215、216、217、218 サブチューブ
221、222、223 延長チューブ
224、225、226、227、228 サブチューブ
231、232、233 延長チューブ
234、235、236、327、238 サブチューブ
3 バルブ本体
3a 駆動圧導入口
4 駆動圧制御装置
40 ケーシング
411、412 自動弁
421、422 弁駆動部
431、432、433 駆動圧導入路
44 排気通路
45 配線
51 ダイヤフラム
52 押えアダプタ
53 ステム
6 バルブボディ
61 基台部
62 円筒部
7 ボンネット部
71 シート
72 ダイヤフラム
73 ダイヤフラム押え
74 ボンネット
75 ボンネットウォール
76 フレキシブルケーブル
77 回路基板
78 コネクタ
8 カバー部
81 カバー
82 プレート
83 プレート
9 アクチュエータ部
91 アクチュエータボディ
92 アクチュエータキャップ
93 ピストン
94 バネ
L1、L2、L3 流体供給ライン
C1、C2、C3 分岐コネクタ
F(F1、F2、F3) 流量制御装置
J1 分岐継手
J11、J111、J112、J113 継手
J12、J121、J122、J123 継手
J13、J131、J132、J133 継手
M1、M3 磁石
M2、M4 磁気センサ
V1(V11~V14、V21~24、V31~34)、V2 バルブ
P 圧力センサ
S1 駆動圧導入室
S2 閉空間