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特許7495769高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
G01V3/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023205123
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】202310927255.1
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520328464
【氏名又は名称】中国科学院地質與地球物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF GEOLOGY AND GEOPHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.19 Beitucheng West Road,Chaoyang District,Beijing 100000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】程遠志
(72)【発明者】
【氏名】孔彦龍
(72)【発明者】
【氏名】厖忠和
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037422(JP,A)
【文献】特表2020-522689(JP,A)
【文献】特開平11-326538(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113775330(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109709626(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112198559(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法であって、前記方法は、
目標ブロック内の過去地質資料を収集し、目標ブロック内の過去地質資料及び現場地質調査により、地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴を獲得し、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得するステップS100と、
地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するステップS200と、
全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法により目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率が設定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するステップS300と、
前記ステップS300として、具体的には、
3次元可聴周波数大地電磁探査を展開し、各地球物理測点位置で「+」字型電極配置方式を採用し、2つの直交する電場成分と2つの直交する磁場成分を採取し、(E,E)及び(H,H)と記し、xとyは、直交する2つの方向を表すステップS310と、
全ての地球物理測点位置にて採取された前記電場成分及び磁場成分からなる一連の観測データに対して高速フーリエ変換と加重最小二乗法により前記全ての地球物理測点位置の見掛け抵抗率と位相曲線を獲得するステップS320と、
得られた前記地球物理測点位置の見掛け抵抗と位相曲線に応じて、非線形共役勾配反転方法を利用し、地熱貯留層抵抗率分布を取得し、抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低い区域を地熱流体濃集領域として画定し、地熱貯留層の広がり特徴を獲得し、貯留層抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低く、深度がプリセット深度閾値よりも低い地熱流体濃集領域を選択して探査井位置を配設するステップS330と、を含み、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行い、岩心データパラメータを獲得し、
岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、
オールコアボーリング検層を展開し、地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、
探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するステップS400と、
実験室内において、現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るステップS500と、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するステップS600と、を含み、
前記した、人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルは、その訓練方法として、具体的には、
標準ラベル付きの地熱貯留層の地質パラメータ集を取得して訓練集データと検証集データに分けるステップA100と、
前記訓練集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより訓練集の貯留層孔隙度分布画像を生成し、前記検証集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより検証集の貯留層孔隙度分布画像を生成するステップA200と、
前記訓練集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて訓練誤差値を計算し、検証集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて検証データ誤差を計算し、Levenberg-Marquardtアルゴリズムによりモデル重み及びモデル偏差値を更新し、訓練誤差値がプリセットの誤差閾値よりも低くなり且つ検証データ誤差が上がり始まるまでステップA200を繰り返し、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを得るステップA300と、を含み、
前記した、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得することは、具体的には、
下記数式に応じて地熱田全体の地熱流体総量を計算することを含み、
【数1】
そのうちΔx、Δy、Δzは、それぞれ研究領域分割セルのx、y、z方向の間隔であり、m、n、lは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットの総数であり、k、j、iは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットであり、φは、対応メッシュの地熱貯留層の孔隙度を表し、Vは、地熱流体総量を表す、
ことを特徴とする高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項2】
前記ステップS100として、具体的には、
前記断裂の空間分布特徴には現場露頭断裂の位置、傾角、傾向、走向及び充填状況が含まれることと、
前記現場地質調査には現場露頭断面調査、地球物理検層、岩心観測及び工事検証が含まれることと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項3】
前記ステップS200として、具体的には、
設定された貯留層の埋没深度条件として貯留層の埋没深度が浅いことを満たし、地熱流体条件として地表に地熱流体が露出していることを満たし、断裂発達条件として断裂発達が豊富であることを満たしている地区を地球物理測点位置として決定し、該地球物理測点位置の貯留層の野外地質露頭に対して抵抗率及び孔隙度の測定を行い、異なる種類の岩石抵抗率と孔隙度のデータ集を作成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項4】
前記地球物理観測データは、具体的には、
見掛け抵抗率と位相曲線を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項5】
前記岩心データパラメータは、その獲得方法として、
岩心観測により岩心の岩質、岩相特徴、水化学及び天然断裂の亀裂分布特徴を獲得し、探査井位置の地層に対して地層の区間化を行い、地層産状、地層接触関係並びに亀裂及び断層の発達状況を観測して獲得することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項6】
前記方法は、さらに、
地熱開発井を配設し、地熱田高効率開発井ネットワークを形成することに用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法。
【請求項7】
高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けのシステムであって、前記システムは、
目標ブロック内の過去地質資料を収集し、目標ブロック内の過去地質資料及び現場地質調査により、地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴を獲得し、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得し、地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するように構成される地球物理測点位置決定モジュールと、
全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法により目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率が設定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するが、具体的には、3次元可聴周波数大地電磁探査を展開し、各地球物理測点位置で「+」字型電極配置方式を採用し、2つの直交する電場成分と2つの直交する磁場成分を採取し(E,E)及び(H,H)と記し、xとyは、直交する2つの方向を表すことと、
全ての地球物理測点位置にて採取された前記電場成分及び磁場成分からなる一連の観測データに対して高速フーリエ変換と加重最小二乗法により前記全ての地球物理測点位置の見掛け抵抗率と位相曲線を獲得することと、
得られた前記地球物理測点位置の見掛け抵抗率と位相曲線に応じて、非線形共役勾配反転方法を利用し、地熱貯留層抵抗率分布を取得し、抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低い区域を地熱流体濃集領域として画定し、地熱貯留層の広がり特徴を獲得し、貯留層抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低く、深度がプリセット深度閾値よりも低い、地熱流体濃集領域を選択して探査井位置を配設することと、を含むように構成される探査井位置配設モジュールと、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行って獲得された岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、オールコアボーリング検層を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するように構成される地熱貯留層の地質パラメータ集構築モジュールと、
現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るように構成される流体抵抗率獲得モジュールと、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するが、具体的には、
標準ラベル付きの地熱貯留層の地質パラメータ集を取得して訓練集データと検証集データに分けるステップA100と、
前記訓練集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより訓練集の貯留層孔隙度分布画像を生成し、前記検証集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより検証集の貯留層孔隙度分布画像を生成するステップA200と、
前記訓練集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて訓練誤差値を計算し、検証集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて検証データ誤差を計算し、Levenberg-Marquardtアルゴリズムによりモデル重み及びモデル偏差値を更新し、訓練誤差値がプリセットの誤差閾値よりも低くなり且つ検証データ誤差が上がり始まるまでステップA200を繰り返し、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを得るステップA300と、を含むように構成される高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けモジュールと、を備え、
前記した、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得することは、具体的には、
下記数式に応じて地熱田全体の地熱流体総量を計算することを含み、
【数2】
そのうちΔx、Δy、Δzは、それぞれ研究領域分割セルのx、y、z方向の間隔であり、m、n、lは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットの総数であり、k、j、iは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットであり、φは、対応メッシュの地熱貯留層の孔隙度を表し、Vは、地熱流体総量を表す、
ことを特徴とする高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱資源開発の技術分野に属し、具体的には高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地熱エネルギは、非炭素系で、クリーンエネルギとして、安定して連続的に産出する利点により、地熱エネルギの探査と開発利用を加速させ、「カーボンピークアウト」及び「カーボンニュートラル」の発展目標の実現に重要な価値を有する。地熱資源の開発利用は、発電と直接利用の2つの側面に分けることができ、高温地熱資源は、主に発電に用いられるのに対し、中低温地熱資源は、直接利用が主となっている。地熱貯留層構造を定量的に特徴付ける孔隙度は、地熱資源の開発利用のキーである。地熱貯留層構造は、地質構造と堆積地層に支配されて、様々な岩質組合せが有り、その結果、貯留層の非均質性が強くなり、多期的構造の作用下で、節理、亀裂、断層等の弱構造面が発達する。地熱貯留層における非均質性岩体は、高温地熱流体の濃集を支配するキーとなる要因であり、地熱貯留層孔隙度の分布法則及びその地熱貯留層の地質パラメータ集は、地熱開放井を布設する主となる支配的な要因であり、そのため、如何に地熱貯留層の孔隙度を精密化して定量的に特徴付け、地熱貯留層の地質パラメータ集のバックグラウンド条件を正確的に把握するかは、作業効率及び開発効益の保障にとって極めて重要である。
【発明の概要】
【0003】
従来技術における上記課題、即ち如何に地熱貯留層の孔隙度を精密化して定量的に特徴付け、地熱貯留層の地質パラメータ集のバックグラウンド条件を正確的に把握する課題を解決するために、本発明は、高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法を提案し、前記方法は、
目標ブロック内の過去地質資料を収集し、目標ブロック内の過去地質資料及び現場地質の調査により、地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴を獲得し、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得するステップS100と、
地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するステップS200と、
全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法に応じて目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層抵抗率分布を取得し抵抗率が所定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するステップS300と、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行い、岩心データパラメータを獲得し、
岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、
オールコアボーリング検層(logging)を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、
探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するステップS400と、
実験室内において、現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るステップS500と、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するステップS600と、を含む。
【0004】
いくつかの好ましい実施形態において、前記ステップS100として、具体的には、
前記断裂の空間分布特徴には現場露頭断裂の位置、傾角、傾向、走向及び充填状況が含まれることと、前記現場地質調査には現場露頭断面調査、地球物理検層、岩心観測及び工事検証が含まれることと、を含む。
【0005】
いくつかの好ましい実施形態において、前記ステップS200として、具体的には、貯留層の野外地質露頭に対して抵抗率及び孔隙度の測定を行い、異なる種類の岩石抵抗率と孔隙度のデータ集を作成することを含む。
【0006】
いくつかの好ましい実施形態において、前記地球物理観測データは、具体的には、見掛け抵抗率と位相曲線を含む。
【0007】
いくつかの好ましい実施形態において、前記ステップS300として、具体的には、
3次元可聴周波数(audio frequency)大地電磁探査を展開し、地球物理測点位置で「+」字型電極配置方式を採用し、2つの直交する電場成分と2つの直交する磁場成分を採取し、(E,E)及び(H,H)と記し、xとyは、直交する2つの方向を表すステップS310と、
前記電場成分及び磁場成分に対して高速フーリエ変換と加重最小二乗法により前記地球物理測点位置の見掛け抵抗率(apparent resistivity)と位相曲線を獲得するステップS320と、
得られた前記地球物理測点の見掛け抵抗と位相曲線に応じて、非線形共役勾配反転方法を利用し、地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低い区域を地熱流体濃集領域として画定し、地熱貯留層の広がり特徴(distributional characteristic)を獲得し、貯留層抵抗率がプリセット抵抗率閾値よりも低く、深度がプリセット深度閾値よりも低い地熱流体濃集領域を選択して探査井位置を配設するステップS330と、を含む。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態において、前記岩心データパラメータは、その獲得方法として、
岩心観測により岩心の岩質、岩相特徴、水化学及び天然断裂の亀裂分布特徴を獲得し、探査井位置の地層に対して地層の区間化を行い、地層産状、地層接触関係並びに亀裂及び断層の発達状況を観測して獲得することを含み、
いくつかの好ましい実施形態において、前記人工ニューラルネットワークの関係学習モデルは、その訓練方法として、具体的には、
標準ラベル付きの地熱貯留層の地質パラメータ集を取得して訓練集データと検証集データに分けるステップA100と、
前記訓練集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測により訓練集の貯留層孔隙度分布画像を生成し、前記検証集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより検証集の貯留層孔隙度分布画像を生成するステップA200と、
前記訓練過程における貯留層孔隙度分布画像に基づいて訓練誤差値を計算し、検証集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて検証データ誤差を計算し、Levenberg-Marquardtアルゴリズムによりモデル重み及びモデル偏差値を更新し、訓練誤差値がプリセットの誤差閾値よりも低くなり且つ検証データ誤差が上がり始まるまでステップA200を繰り返し、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを得るステップA300と、を含む。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、前記した、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得することは、具体的には、
下記数式に応じて地熱田全体の地熱流体総量を計算することを含む。
【0010】
【数1】
【0011】
上記式のうちΔx、Δy、Δzは、それぞれ研究領域分割セルのx、y、z方向の間隔であり、m、n、lは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットの総数であり、k、j、iは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットであり、φは、対応メッシュの地熱貯留層の孔隙度を表し、Vは、地熱流体総量を表す。
【0012】
いくつかの好ましい実施形態において、前記高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法は、前記方法として、さらに、
地熱開発井を配設し、地熱田高効率開放井ネットワークを形成することに用いられる。
【0013】
本発明の他の側面は、高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けのシステムを提出し、
地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するように構成される地球物理測点位置決定モジュールと、
全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法により目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し抵抗率が設定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するように構成される探査井位置配設モジュールと、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリング(Core drilling)によるコア採取を行って獲得された岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、オールコアボーリング検層を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するように構成される地熱貯留層の地質パラメータ集構築モジュールと、
現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るように構成される流体抵抗率獲得モジュールと、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するように構成される高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けモジュールと、を備える。
【0014】
本発明の有益な効果は、
(1)本発明では、高温地熱田の貯留層構造孔隙度に対する定量的特徴付けにより開発方策を最適化し、開発の効率が高められることと、
(2)本発明では、高温地熱田の貯留層構造孔隙度に対する定量的特徴付けにより資源評価の正確性を高め、開発のためにより信頼できる根拠が提供されることと、である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付け方法のフロー図である。
図2】野外可聴周波数大地電磁「十」字データ採取システム模式図である。
図3】非線形共役勾配反転により取得された地熱貯留層抵抗率分布図である。
図4】人工ニューラルネットワークの関係学習モデルで採用された三層ニューラルネットワークである。
図5】作成された地熱貯留層孔隙度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照した非制限的な実施例に対する詳しい記述を閲読することにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明白になる。
【0017】
以下、図面及び実施例と結びつけて本願をさらに詳しく説明する。ここで記述される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、該発明を限定するものではないことを理解できる。なお、記述を容易にするために、図面には関連発明に関する部分のみが示されている。
【0018】
なお、矛盾がない場合、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して実施例と結びつけて本願を詳しく説明する。
【0019】
本発明の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法は、
目標ブロック内の過去地質資料を収集し、目標ブロック内の過去地質資料及び現場地質調査により、地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴を獲得し、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得するステップS100と、
地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するステップS200と、
全ての前記地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法に応じて目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、低抵抗率区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するステップS300と、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行い、岩心データパラメータを獲得し、
岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、
オールコアボーリング検層を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、
探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するステップS400と、
実験室内において、現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るステップS500と、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するステップS600と、を含む。
【0020】
本発明の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法をより明晰に説明するために、以下、図1と結びつけて本発明の実施例における各ステップを押し広げて詳しく説明する。
【0021】
本発明の第1実施例は、以下のことを含む高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法を提出する。
【0022】
ステップS100において、目標ブロック内の過去地質資料を収集し、目標ブロック内の過去地質資料及び現場地質調査により、地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴を獲得し、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得する。
地熱貯留層の埋没深度が比較的に浅く、多期的構造隆起及び低層侵食を経て、ブロック内の地層が露出していることが多く、同時に工事建設、地質探査開発等の以前の地質作業では大量の過去地質資料が蓄積されている。目標ブロック内の過去地質資料を全面的に収集し、目標ブロック内の過去地質資料に対する総合的な研究により、野外現場露頭断面調査、地球物理検層、岩心観測及び必要な工事検証と結びつけて、地熱田区域範囲内の地層岩質分布と地熱貯留層範囲を究明し、野外現場露頭断裂と結びつけて、断裂の空間分布特徴(位置、傾角、傾向、走向及び充填状況等)を取得し、目標ブロック内の構造及び進化特徴を明らかにする。
【0023】
ステップS200において、地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達(growth)条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定する。
設定された貯留層の埋没深度条件を満たすとは、貯留層の埋没深度が浅く、地熱流体条件を満たすとは、地表に地熱流体が露出し、断裂発達条件を満たすとは、断裂発達が豊富である、ことであり、貯留層の野外地質露頭に対して抵抗率及び孔隙度の測定を行い、異なる種類の岩石抵抗率と孔隙度のデータ集を作成する。
【0024】
ステップS300において、全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法に応じて目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率が設定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定する。
そのうち、前記地球物理観測データは、見掛け抵抗率と位相曲線である。
本実施例において、前記ステップS300として、具体的には、
図2に示すように、3次元可聴周波数大地電磁探査を展開し、地球物理測点位置で電極間距離60mの「+」字型電極配置方式を採用し、2つの直交する電場成分と2つの直交する磁場成分を採取し、(E,E)及び(H,H)と記し、xとyは、直交する2つの方向を表し、観測時間は、3時間であるステップS310と、
前記電場成分及び磁場成分に対して高速フーリエ変換と加重最小二乗法により前記地球物理測点位置の見掛け抵抗率と位相曲線を獲得し、周波数範囲は、10000~0.1HzであるステップS320と、
図3に示すように、得られた前記地球物理測点の見掛け抵抗率と位相曲線に応じて、非線形共役勾配反転方法を利用し、地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率が10Ωmよりも低い区域を地熱流体濃集領域として画定し、地熱貯留層の広がり特徴を獲得し、貯留層抵抗率が10Ωmよりも低く、埋蔵深度が500メートルよりも小さく、地熱流体濃集領域を選択して探査井位置を配設するステップS330と、を含む。
【0025】
ステップS400において、前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行い、岩心データパラメータを獲得し、
岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、
オールコアボーリング検層を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、
探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成する。
コアボーリング岩心は、最も直観的で、最も信頼できる第一次の地質資料であり、全井区間のコアボーリングによるコア採取を行い、岩心観測して岩質、岩相特徴、水化学及びその天然断裂の亀裂分布特徴を記述し地層の区間化を行い、地層産状、地層接触関係、亀裂及び断層の発達状況を観測し、ボーリングコアに対して温度、抵抗率及び孔隙度検層を展開し、温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度等のパラメータを取得し、地熱貯留層の地質パラメータ集を作成する。
【0026】
地熱貯留層の地質パラメータ集では、様々な影響要因、例えば岩石種類、鉱物組成、応力場、及びどこからより正確的な孔隙度分布情報を取得するかが提供されている。
【0027】
ステップS500において、実験室内において、野外現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るが、岩心の現場測定及びオールコアボーリング検層では、大量の地熱貯留層の抵抗率及び孔隙度の資料が取得され、同時に実験室内では異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、流体抵抗率が得られる。
【0028】
ステップS600において、前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現する。
【0029】
本実施例において、前記した、人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルは、その訓練方法として、具体的には、以下のことを含む。
【0030】
ステップA100において、標準ラベル付きの地熱貯留層の地質パラメータ集を取得して訓練集データと検証集データに分けるが、本実施例において地熱貯留層の地質パラメータ集、即ち訓練パラメータ集を入力データとし、70%は訓練に用いられ、15%はテストに用いられ、残りは検証に用いられる。
【0031】
ステップA200において、前記訓練集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより訓練集の貯留層孔隙度分布画像を生成し、前記検証集に基づいて、訓練未済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルにより検証集の貯留層孔隙度分布画像を生成する。
ステップA300において、前記訓練過程における貯留層孔隙度分布画像に基づいて訓練誤差値を計算し、検証集の貯留層孔隙度分布画像に基づいて検証データ誤差を計算し、Levenberg-Marquardtアルゴリズムによりモデル重み及びモデル偏差値を更新し、訓練誤差値がプリセットの誤差閾値よりも低くなり且つ検証データ誤差が上がり始まるまでステップA200を繰り返し、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを得る。
【0032】
ネットワーク検証とネットワーク訓練を同時に行い、検証データ誤差が上がり始まると、訓練を停止し、
訓練データの平均二乗誤差(MSE)は、10回の反復を経た後に、ネットワークが最適に到達したことを示している。訓練段階と検証段階の孔隙度の相関係数(R)は0.97よりも大きい。結果から分かるように、人工ニューラルネットワークは孔隙度推定で効率が非常に高い。
【0033】
得られた抵抗率と孔隙度との間の関係を地熱田全体に応用し、地熱田全体地熱貯留層の孔隙度分布を取得する。
【0034】
下記数式を利用し地熱田全体の地熱流体総量を計算する。
【0035】
【数2】
【0036】
式中Δx、Δy、Δzは、それぞれ研究領域分割セルのx、y、z方向の間隔であり、m、n、lは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットの総数であり、k、j、iは、それぞれx、y、z方向の分割メッシュユニットであり、φは、対応メッシュの地熱貯留層の孔隙度を表し、Vは、地熱流体総量を表す。
【0037】
本発明の第2実施例は、高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法を地熱エネルギの開発過程に応用することを提出し、具体的には以下になる。
【0038】
貯留層孔隙度の分布情報に応じて高い孔隙度及び浸透率を有する区域を選出して掘削を行い、貯留層孔隙度の空間変動特徴に応じて、例えば注水量を調整し、区間化開発を採用するなど適切な開発方策を指定し、地熱エネルギの開発過程において、例えば検層、地球物理探測方法により、貯留層孔隙度の変化を継続的に監視する。監視結果を地熱貯留層の地質パラメータ集に反映する。
【0039】
本実施例は、本発明の定量的特徴付け方法を地熱エネルギの開発分野に応用することにより、地熱エネルギの開発効率を高め、開発コスト及び環境影響を低減させることができ、加えて自らに高温地熱田構造孔隙度の定量的特徴付けの方法を最適化し続け、さらに、地熱エネルギの持続可能な発展のための支援が提供されている。
【0040】
上記実施例において個々のステップを上記前後順番の方式に従って記述したが、当業者として理解できるように、本実施例の効果を実現するために、異なるステップの間は必ずしもこのような順番に従って実行されるとは限らず、同時(並行)に実行されても又は逆の順番で実行されてもよく、これらの簡単な変化はいずれも本発明の保護範囲内にある。
【0041】
本発明の第3実施例の高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けのシステムは、
地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、設定された貯留層の埋没深度条件、地熱流体条件及び断裂発達条件を満たす地区を、地球物理測点位置として決定するように構成される地球物理測点位置決定モジュールと、
全ての地球物理測点位置の地球物理観測データを取得し、非線形共役勾配反転方法により目標ブロック内の地熱田の地熱貯留層の抵抗率分布を取得し、抵抗率が設定閾値よりも低い区域を地熱流体高含有の貯留層として選定し、目標ブロック内の探査井位置を決定するように構成される探査井位置配設モジュールと、
前記探査井位置で全井区間のコアボーリングによるコア採取を行って獲得された岩心データパラメータに応じて、岩質柱状図を作成し、オールコアボーリング検層を展開し、探査井位置の地熱貯留層の温度、温度勾配、抵抗率及び孔隙度パラメータを取得し、探査井位置の岩心データパラメータ、岩質柱状図、地熱貯留層の温度、地熱貯留層の温度勾配、地熱貯留層の抵抗率及び地熱貯留層の孔隙度パラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成するように構成される地熱貯留層の地質パラメータ集構築モジュールと、
現場条件を模擬し異なる温度及び圧力の地熱流体に対して抵抗率測定を行い、異なる状態での流体抵抗率データ集を得るように構成される流体抵抗率獲得モジュールと、
前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、地熱貯留層の抵抗率及び流体抵抗率と貯留層孔隙度との間の定量関係を学習して、地熱貯留層全体の孔隙度分布及び地熱流体の総量を獲得し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現するように構成される高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けモジュールと、を備える。
【0042】
当業者として明確に理解できるように、記述の便宜及び簡素化のために、上記で記述されたシステムの具体的な作業過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0043】
なお、上記実施例に係る高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けのシステムは、上記各機能モジュールの振り分けで例示的に説明しているだけであり、実際の応用において、必要に応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて完成させる、即ち本発明の実施例におけるモジュール又はステップを再分解するか又は組み合わせることができ、例えば、上記実施例のモジュールは、以上に記述された全部又は一部の機能を完成させるように、1つのモジュールとして合併されてもよいし、さらに複数のサブモジュールに分割されてもよい。本発明の実施例に関わるモジュール、ステップの名称については、個々のモジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明を不適切に限定するものとしては見なされない。
【0044】
用語「第1」、「第2」等は、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順序や前後順番を記述する又は表すためのものではない。
【0045】
用語「含む」又は任意の他の類似用語は、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器/装置がそれらの要素を含むだけでなく、明確に挙げられていない他の要素をさらに含むか、これらの過程、方法、物品又は機器/装置にとって固有の要素をさらに含むように、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。
【0046】
これまで、図面に示す好ましい実施形態と結びつけて本発明の技術案を記述しているが、当業者として容易に理解されるように、本発明の保護範囲は、明らかにこれらの具体的な実施形態に限られるものではない。本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者であれば、関連技術特徴に対して同等の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換の後の技術案は、いずれも本発明の保護範囲内に収まる。
【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、地熱資源開発の技術分野に属し、具体的には高温地熱田の貯留層構造孔隙度の定量的特徴付けの方法及びシステムに関する。
【解決手段】本発明は、前記地熱貯留層範囲及び断裂の空間分布特徴に基づいて目標ブロック内の構造及び進化特徴を獲得することと、地熱貯留層範囲、断裂の空間分布特徴並びに目標ブロック内の構造及び進化特徴に応じて、地球物理測点位置を決定することと、目標ブロック内の地熱貯留層の抵抗率分布に応じて、目標ブロック内の探査井位置を決定することと、探査井位置のパラメータに応じて地熱貯留層の地質パラメータ集を作成することと、前記地熱貯留層の地質パラメータ集に基づいて、訓練済みで人工ニューラルネットワークに基づいた貯留層孔隙度予測モデルを利用し、高温地熱田の貯留層構造の孔隙度に対する定量的特徴付けを実現することと、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5