(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】治具を追跡するロボットテーブルを用いた連続加工
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20240529BHJP
B23Q 7/02 20060101ALI20240529BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20240529BHJP
B23Q 41/08 20060101ALI20240529BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B23Q7/02 Z
B23Q7/00 A
B23Q41/08 Z
B25J13/00 A
B25J13/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019208430
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514079114
【氏名又は名称】ファナック アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ポール スクルナ
(72)【発明者】
【氏名】ミン-レン ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ローソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カイル ソーンリー
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-514714(JP,A)
【文献】特開2005-186212(JP,A)
【文献】特開平09-108982(JP,A)
【文献】特開2018-039083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00- 7/18
B25J 1/00-21/02
B23Q37/00-41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な加工処理を実行するための方法であって、
ロボットと、工作機械と、未加工部品供給部と、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルと
を、筐体の内部に配置するステップと、
前記ロボットが、前記未加工部品供給部から第1未加工部品を取り出し、前記工作機械が前記第1バイス内の第2未加工部品を加工している間に前記第1未加工部品を前記第2バイス内に配置し、次に前記第2バイスから退避するように、前記ロボットを操作するステップと、
前記第2未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、前記ロボットを操作して前記第1バイスから前記加工済部品を取り出すステップと、
を含
み、
前記テーブルは、固定された鉛直方向のピボット軸を介して前記筐体の内部に取り付けられ、前記第1バイスが前記工作機械に近接しかつ前記第2バイスが前記ロボットに近接する第1位置と、前記第1バイスが前記ロボットに近接しかつ前記第2バイスが前記工作機械に近接する第2位置との間の前記ピボット軸回りに回転可能である、方法。
【請求項2】
前記第1バイスから取り出した前記加工済部品を出口コンベヤ上に配置するように前記ロボットを操作し、前記加工済部品を前記筐体から排出するように前記出口コンベヤを操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工作機械が前記第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了した後に、前記ロボットが第1未加工部品を前記第2バイス内に配置するように前記ロボットを操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットが、前記第1未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、前記第1未加工部品を前記第2バイス内に配置する前に、前記工作機械が前記第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで前記退避位置で待機するように、前記ロボットを操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の未加工部品の取り出し及び配置、前記未加工部品の加工、並びに加工済部品の取り出しを反復して、前記連続的な加工処理を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
連続的な加工処理を実行するための方法であって、
ロボットと、工作機械と、未加工部品供給部と、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルとを、筐体の内部に配置するステップと、
前記第1バイスにおいて、ある未加工部品を加工するように前記工作機械を操作するステップと、
前記未加工部品供給部から他の未加工部品を取り出すように前記ロボットを操作するステップと、
前記ロボットが、前記工作機械が前記ある未加工部品を加工している間に前記他の未加工部品を前記第2バイス内に配置し、次に前記第2バイスから退避するように、前記ロボットを操作するステップと、
前記ある未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、前記ロボットを操作して前記第1バイスから前記加工済部品を取り出すステップと、
を含
み、
前記テーブルは、固定された鉛直方向のピボット軸を介して前記筐体の内部に取り付けられ、前記第1バイスが前記工作機械に近接しかつ前記第2バイスが前記ロボットに近接する第1位置と、前記第1バイスが前記ロボットに近接しかつ前記第2バイスが前記工作機械に近接する第2位置との間の前記ピボット軸回りに回転可能である、方法。
【請求項7】
前記テーブルは、第1位置にあり、前記ある未加工部品の加工が完了したら第2位置に回転移動する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1バイスから取り出した前記加工済部品を出口コンベヤ上に配置するように前記ロボットを操作し、前記加工済部品を前記筐体から排出するように前記出口コンベヤを操作することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボットが、前記他の未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、前記他の未加工部品を前記第2バイス内に配置する前に、前記工作機械が前記ある未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで前記退避位置で待機するように、前記ロボットを操作することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記ロボットが前記第1バイスから前記加工済部品を取り出している間、前記第2バイスにおいて前記他の未加工部品を加工するように前記工作機械を操作することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
前記連続的な加工処理の制御に続いて、複数の未加工部品に対して前記ステップを実行することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
連続的な加工処理を制御する装置であって、
工作機械が配置された筐体と、
前記筐体内に配置されるとともに、前記工作機械によって加工済部品
へと加工されるべき部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルと、
前記筐体内に配置される未加工部品供給部と、
前記筐体内に配置されるとともに、前記未加工部品供給部から未加工部品を取り出して、前記未加工部品を、前記第1バイス及び前記第2バイスの選択された一方に配置するように配置されたロボットと、
を含
み、
前記テーブルは、固定された鉛直方向のピボット軸を介して前記筐体の内部に取り付けられ、前記第1バイスが前記工作機械に近接しかつ前記第2バイスが前記ロボットに近接する第1位置と、前記第1バイスが前記ロボットに近接しかつ前記第2バイスが前記工作機械に近接する第2位置との間の前記ピボット軸回りに回転可能である、装置。
【請求項13】
前記筐体内に延びるとともに、前記ロボットによって前記第1バイス及び前記第2バイスの一方から取り出された加工済部品を受け取る出口コンベヤを含む、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記工作機械、前記テーブル及び前記ロボットに接続され、前記工作機械、前記テーブル及び前記ロボットの動作を制御する制御装置を含む、請求項
12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロード/アンロード、及び/又は同期を要する他の処理のための機械加工治具を追跡するロボットテーブルを用いた連続加工処理に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景技術情報を提供する。
【0003】
典型的に、部品加工セルは、工作機械及び部品保持治具が搭載された筐体を有する。治具に保持された未加工の部品が機械加工部内で加工されると、筐体のドアが開き、加工済部品を取り出して別の未加工部品を治具に搭載することができる。この部品交換は、筐体外部のロボット、複数の未加工部品を保持するイケール(tombstone)の交換、及び複数の未加工部品を保持するパレットチェンジャを含むいかなる構成によっても実行可能である。これらの構成の各々では、部品交換のために機械加工処理を中断しなければならないという短所がある。
【0004】
従来技術に係る構成のさらなる短所は、交換に要する時間に加え、筐体のドアが開閉しなければならないことである。これらの短所は、工作機械が部品交換中に運転を中断している間の生産ロスにつながる。
【0005】
米国特許第4359815号が開示するマシニングセンタは、該マシニングセンタの主軸に接近可能な操作ハンドを有するロボットと、機械本体に搭載された工具格納マガジンと、機械本体の近傍の床に配置されたワーク供給テーブルと、ワークテーブルとを有し、切削工具の交換は、操作ハンドによって工具格納マガジンと主軸との間で行われ、さらにワークの交換も、操作ハンドによって工具格納マガジンとワークテーブルとの間で行われる。
【0006】
米国特許第4612697号が開示する自動工作機械は、該工作機械が加工中にワークを自動でロード、アンロードできるようにするためのワーク搬送装置を有する。この自動工作機械は、積載された未加工材料からワークを選択し、そのワークを機械加工ステーションに搬送し、さらに積載された未加工材料から新たなワークを、人間の介入なしに選択する能力を備える。
【0007】
米国特許第5640756号が開示する自動連続製造システムは、操作中にワークを保持する複数のワーク支持体を備えた回転可能なワークテーブルと、ワーク支持体に保持されたワークの洗浄、前処理、処理又は組立の作業を行う複数のワークステーションとを有する。ワークテーブルで行われる各作業は、それぞれのワークステーションで実行される。いくつかのワークステーションは、特定の作業を行うための、取り外し可能なステーションサブアセンブリを含む。取り外し可能なステーションサブアセンブリは、回転ワークテーブルに着脱可能に係合し、他の所望の作業を行うための他のステーションサブアセンブリと交換可能である。ワークステーションの1つは、個々のワーク支持体からワークを受け取るために、回転ワークテーブルに係合するアセンブリステーションである。またアセンブリステーションは、さらなる組立てのためにワークをワーク支持体から取り外すための取り外しアセンブリを有する。オリエンテーションサブアセンブリもアセンブリステーションを備えるとともに、クイックチェンジリリース部材によって取り外しサブアセンブリに近接配置され、容易に取り外され又は他のオリエンテーションサブアセンブリと交換可能である。オリエンテーションサブアセンブリは、ワークの整列部材の位置を検出する位置検出器を含む。
【0008】
米国特許第7726004号は、工程数の変更や設計が容易でかつ設置コストを低減するように構成された、自動機械加工システムの加工セルを開示する。加工セルの制御装置は、自動機械加工システムの加工部に配置された加工セルの各位置における操作に必要な全ての位置データを記憶する操作データ記憶手段と、設置後の位置を指定する位置指定手段とを有する。制御装置は、位置指定手段によって指定された位置に従い、操作データ記憶手段から操作に必要なデータを読み出す。よって各セルの操作は位置によって切り替え可能であり、加工セルは容易に位置変更や量的調整が可能である。
【0009】
米国特許出願公開第2012/0195718号は、機械加工目的の工作機械の加工チャンバに対して、1つ以上のワークを供給し又は取り出すためのフィード・ロード装置を開示する。フィード・ロード装置は、案内経路上を移動可能な少なくとも2つのワークキャリアを有する。ワークキャリアは、少なくとも1つのワークを取り出すように機能する。案内経路には、該案内経路上のワークの搬送方向に対して有角の又は傾斜した、駆動部によって可動の案内経路部がもうけられる。案内経路部は、少なくとも1つのワークキャリアを取り出すことができる。案内経路部は、加工チャンバの方向にロード及びアンロードする目的で変位する。
【0010】
中国特許出願公開第103921158号は、機械部及び制御部を備えた、ロボットをベースとした自動供給・排出システムを開示する。機械部は、搬送装置、柱梁装置、旋盤装置、ロボット装置、誘導装置及び排出装置を含む。搬送装置は、搬送作業台及び搬送サーボモータを有し、搬送作業台は搬送サーボモータを備え、搬送サーボモータの出力軸は、搬送ベルトによって搬送同期ベルトホイールに連結される。旋盤装置は、ワーク加工における第1加工処理及び第2加工処理を行うために使用される第1旋盤及び第2旋盤を有する。このシステムは、予め設定された方法に従って、ワークを並べて正確に位置決めでき、種々の処理ができるようにワークを数値制御工作機械に対して把持でき、処理の完了後はワークを取り出して完成品箱内に配置することができる。
【0011】
中国特許出願公開第104723115号が開示する全自動のロボット支援加工製造ラインは、複数の数値制御工作機械、ロボット支援装置及ロボット制御ボックスを有する。数値制御工作機械は2列に分けられ、2列の数値制御工作機械は互いに対向し、ロボット支援装置は2列の数値制御工作機械の間に配置され、ロボット支援装置の2つの端部には供給テーブル及び排出テーブルがそれぞれ配置される。全自動ロボット支援加工製造ラインの長所は、2列の連続配置された数値制御工作機械に対して、ロボット支援装置によって材料が自動で供給・排出されること、複数の製造ラインの制御を1人で行えること、製造ラインを大幅に短くできること、生産や機械加工の効率が向上すること、労働集約度及び労働コストが低減できること、そしてヒューマンファクタに起因する種々の問題が効率的に解消され得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示では、筐体のドアを開けたり加工を中断したりすることなく部品交換を行える、連続的な加工プロセスのための装置及び方法が驚くほどに明らかになる。
【0013】
本発明は、機械加工部品の生産率を上昇させる方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
機械加工セルの筐体内にロボットを配置することは、部品交換のために筐体のドアを開ける必要性を排除する。本開示の方法は、部品の位置を監視するために、特別なトラッキングソフトウェアを使用する。2つのロード/アンロードバイス(load/unload vises)により、一方のバイスで部品が加工されている間に、ロボットが他方のバイスに対して作業を行うことが可能になる。従って、一方のバイスで部品交換を行っている間、他方のバイスで加工が続行される。この操作方法は、部品交換を待つ間、工作機械が稼働しない時間を削減する。
【0015】
本発明に係る、連続加工処理を行うための方法は、工作機械と、第1位置と第2位置との間を回転可能であるとともに、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルと、未加工部品供給部とを備えた筐体の内部にロボットを配置するステップと、ロボットが、未加工部品供給部から第1未加工部品を取り出し、テーブルが第1位置にありかつ工作機械が第1バイス内の第2未加工部品を加工している間に第1未加工部品を第2バイス内に配置し、次に第2バイスから退避するように、ロボットを操作するステップと、第2未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、テーブルを第2位置に向けて180°回転させるステップと、工作機械が第1未加工部品を加工している間、ロボットを操作して第1バイスから加工済部品を取り出すステップと、を含む。
【0016】
上記方法は、第1バイスから取り出した加工済部品を出口コンベヤ上に配置するようにロボットを操作し、加工済部品を筐体から排出するように出口コンベヤを操作することを含み得る。上記方法は、工作機械が第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了した後に、ロボットが第1未加工部品を第2バイス内に配置するようにロボットを操作することをさらに含み得る。また上記方法は、ロボットが、第1未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、第1未加工部品を第2バイス内に配置する前に、工作機械が第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで退避位置で待機するように、ロボットを操作することを含み得る。
【0017】
本方法では、未加工部品を取り出して配置するステップ、未加工部品を加工するステップ、及びテーブルを回転させて加工済部品の取り出すステップを、複数の未加工部品について反復して、連続的な加工処理を実行し得る。
【0018】
本発明に係る、連続加工処理を行うための方法は、ロボットと、工作機械と、第1位置と第2位置との間を回転可能であるとともに、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルと、未加工部品供給部とを、筐体の内部に配置するステップと、第1バイスが工作機械に近接しかつ第2バイスがロボットに近接する第1位置にテーブルを回転させるステップと、第1バイスにおいて、ある未加工部品を加工するように工作機械を操作するステップと、未加工部品供給部から他の未加工部品を取り出すようにロボットを操作するステップと、ロボットが、工作機械がある未加工部品を加工している間に他の未加工部品を第2バイス内に配置し、次に第2バイスから退避するように、ロボットを操作するステップと、ある未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、第1バイスがロボットに近接しかつ第2バイスが工作機械に近接する第2位置にテーブルを回転させるステップと、ロボットを操作して第1バイスから加工済部品を取り出すステップと、を含む。
【0019】
上記方法は、第1位置と第2位置との間でテーブルを180°回転させることを含み得る。上記方法はさらに、第1バイスから取り出した加工済部品を出口コンベヤ上に配置するようにロボットを操作し、加工済部品を筐体から排出するように出口コンベヤを操作することを含み得る。また上記方法は、ロボットが、他の未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、他の未加工部品を第2バイス内に配置する前に、工作機械がある未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで退避位置で待機するように、ロボットを操作することを含み得る。上記方法は、ロボットが第1バイスから加工済部品を取り出している間、第2バイスにおいて他の未加工部品を加工するように工作機械を操作することを含み得る。上記方法は、連続的な加工処理の制御に続いて、複数の未加工部品に対してステップを実行することを含み得る。
【0020】
本発明に係る、連続的な加工処理を制御する装置は、工作機械が配置された筐体と、筐体内に配置され、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有し、第1バイスが工作機械に近接する第1位置と第2バイスが工作機械に近接する第2位置との間で回転可能なテーブルと、筐体内に配置される未加工部品供給部と、筐体内に配置されるとともに、未加工部品供給部から未加工部品を取り出して、未加工部品を、テーブルが第1位置にあるときは第2バイス内に配置し、テーブルが第2位置にあるときは第1バイス内に配置するように配置されたロボットと、を含む。
【0021】
上記装置では、テーブルは、第1位置と第2位置との間で180°回転可能である。また上記装置は、筐体内に延びるとともに、ロボットによって第1バイス及び第2バイスの一方から取り出された加工済部品を受け取る出口コンベヤを含み得る。上記装置はさらに、工作機械、テーブル及びロボットに接続され、工作機械、テーブル及びロボットの動作を制御する制御装置を含み得る。
【0022】
他の実施形態では、テーブルが筐体内に固定可能であり、工作機械及びロボットの各々が第1バイスと第2バイスとの間を移動する。
【0023】
上記内容は、本発明の他の利点とともに、以下の好適な実施形態の詳細な説明及び添付図面から、当業者に直ちに明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る、機械筐体内に配置された部品搬送ロボットを備えた部品加工セルの概略平面図である。
【
図2】
図1に示すロボットの操作方法のフロー図である。
【
図3】本発明に係る、機械筐体内に配置された部品搬送ロボットを備えた部品加工セルの他の実施形態の概略平面図である。
【
図4】
図3に示すロボットの操作方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明及び添付図面は、本発明の種々の実施形態を記載し図示する。詳細な説明及び図面は、当業者が本発明を実施できるようにするものであって、本発明の範囲をいかなる態様にも限定するものではない。開示された方法に関し、示されたステップは例示であって、故にステップの順序は必須でも重要でもない。
【0026】
図1は、本発明に係る、機械部品のための機械加工セル10を示す。加工セル10は、工作機械12、回転テーブル13及び部品搬送ロボット14が配置された筐体11を有する。回転テーブル13は、工作機械12に近接する一端に第1バイス(first vise)15を有する。第2バイス(second vise)16は、ロボット14に近接するテーブル13の他端に配置される。テーブル13は、ピボット点17について180°回転できるように筐体11内に配置される。従ってテーブル13は、
図1に示す第1位置から、第1バイス15がロボット14に近接しかつ第2バイス16が工作機械12に近接する第2位置まで回転可能である。
【0027】
また筐体11内には、複数の未加工部品RPを保持する部品供給部18が配置される。ロボット14は、供給部18から未加工部品RPを取り出し、該未加工部品を、テーブル13が
図1に示す位置にあるときは第1バイス15内に配置し、テーブル13が180°回転しているときは第2バイス16内に配置する。ロボット14の操作中、工作機械12は、未加工部品RPを加工済部品MPに加工するように操作される。加工操作が完了したら、テーブル13は、加工済部品MPがロボット14に近接し、かつ直近に配置された未加工部品RPが工作機械12に近接するように回転する。ここでロボット14は、加工済部品MPを近接するバイスから取り出して、筐体11の外部に移動する出口コンベヤ19上に加工済部品を配置することができる。
【0028】
制御装置10Aが、ネットワーク10Bによって加工セル10の複数の被制御要素に、制御及び同期動作のための電気信号交換のために接続される。これらの被制御要素は、工作機械12、テーブル13、ロボット14及び出口コンベヤ19を含む。ネットワーク10Bは、有線、無線又はそれらの組み合わせであり得る。制御装置10Aは、単一の制御装置、各要素のための別個の制御装置、又はそれらの組み合わせであり得る。制御装置10Aが実行するソフトウェアは、未加工部品を加工するように工作機械12を操作し、テーブル13を回転させ、未加工部品及び加工済部品を取り出すようにロボット14を操作し、加工済部品を筐体11から排出するようにコンベヤ19を操作する。
【0029】
図2は、制御装置10Aによって筐体11のアクセスドアを開けずに実行される、本発明に係る方法ステップのフロー図を表す。
図2は、連続機械加工プロセスにおける2つの部品加工サイクルを含む方法の全サイクルを示し、該プロセスでは、第1バイス15内の未加工部品が加工され、次に第2バイス16内の未加工部品が加工される。ステップ20では、テーブル13は
図1に示す第1位置に配置される。未加工部品RPは第1バイス15に保持され、完了した加工サイクルからの加工済部品MPは第2バイス16に保持される。ステップ21では、工作機械12が第1バイス15内の未加工部品RPを加工する。ステップ21の間、ステップ22において、ロボット14が第2バイス16から加工済部品MPを取り出す。ステップ23では、ロボット14が加工済部品MPを出口コンベヤ19上に載置する。
【0030】
ステップ24では、ロボット14は、供給部18から未加工部品RPを取り出し、テーブル13上の2つのバイスの前の退避位置に移動し、近接するバイスに載置するための制御装置10Aからの許可信号を待つ。許可信号の生成のタイミングは、加工済部品MPを形成するために必要とされる、機械加工処理の所定部分を工作機械12が完了したことに基づくようにすることができる。載置のための許可信号を受信したら、ステップ25においてロボット14が未加工部品RPを、
図1の位置にある第2バイス16内に配置し、バイスから退避する。ロボット14の移動は、制御装置10Aにおいて実行される追跡プログラムによって制御され、追跡プログラムは、工作機械12から取得するグループ入力を介してテーブル13のXY位置を補正(オフセット)し、未加工部品のためのロード/アンロード位置を変更する。同時に、工作機械12は、ステップ21において第1バイス15内の未加工部品の加工を行う。
【0031】
ステップ21が完了して第1バイス15内の未加工部品RPが加工済部品MPに加工されたら、ステップ26においてテーブル13が第2位置へ180°回転する。ステップ27において工作機械12が第2バイス16内の未加工部品を加工している間、ステップ28においてロボット14は、第1バイス15から加工済部品を取り出す。ステップ29では、ロボット14は、加工済部品を出口コンベヤ19上に配置する。次にステップ30において、ロボット14は部品供給部18に戻り、部品供給部内の別の未加工部品RPを取り出す。ロボット14は退避位置に移動し、第1バイス15にロードするための許可信号を待つ。ステップ27の機械加工プロセスがそのサイクルの適切な時間に達したら、第1バイス15にロードするための許可信号がロボット14に送られる。第2バイス16内で部品を加工するステップ27を工作機械12が続行している間、ロボット14はステップ31において、追跡プログラムを呼び出し、第1バイス15に未加工部品RPを配置(ロード)する。ステップ20の反復においてテーブル13が回転した後、ロボット14はテーブル13から離れ、第2バイス16内から加工済部品MPを取り出す(アンロードする)許可を待つ。ロボットによる部品のロード及びアンロードと、未加工部品の加工は、機械加工セル10の操作が停止するまで繰り返される。工作機械12は、供給される未加工部品RPがある限り、連続的に動作する。この連続的な動作中に、筐体11へのアクセスドアを開ける理由はない。
【0032】
本発明に係る、機械加工セル10の他の実施形態が
図3に示される。
図1に示す機械加工セル10との違いは、テーブル13が回転可能ではなく、筐体11の適所に固定されることである。
図1に示す機械加工セル10との他の違いは、工作機械12及びロボット14が、固定されたテーブル13上の第1バイス15及び第2バイス16の双方にアクセスできることのみである。
【0033】
図4を参照すると、
図3に示す機械加工セル10を操作するための、本発明に係る方法ステップのフロー図が示される。
図4の方法は、ステップ20及び26を除き、
図2の方法と類似している。ステップ20において、
図2のようにテーブル13を工作機械に回転させるのではなく、工作機械12は第1バイス15に移動する。ステップ26において、
図2のようにテーブル13を工作機械に回転させるのではなく、工作機械12は第2バイス16に移動する。
図4に示す方法ステップは、アクセスドアを筐体11に開けることなく、制御装置10Aの制御下で実行される。
【0034】
図1及び
図3に示すテーブル13は2つのバイス15及び16を有するが、2つより多いバイスを使用してもよいし、1つより多いテーブルを使用してもよい。
【0035】
特許法に従い、好適な実施形態を表すものとして本発明が記載された。しかし本発明は、その精神及び範囲から逸脱することなく、特に図示され記載されたもの以外のものとしても実施可能である。
[構成1]
連続的な加工処理を実行するための方法であって、
工作機械と、未加工部品供給部と、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルとを備えた筐体の内部にロボットを配置するステップと、
前記ロボットが、前記未加工部品供給部から第1未加工部品を取り出し、前記工作機械が前記第1バイス内の第2未加工部品を加工している間に前記第1未加工部品を前記第2バイス内に配置し、次に前記第2バイスから退避するように、前記ロボットを操作するステップと、
前記第2未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、前記ロボットを操作して前記第1バイスから前記加工済部品を取り出すステップと、
を含む方法。
[構成2]
前記第1バイスから取り出した前記加工済部品を出口コンベヤ上に配置するように前記ロボットを操作し、前記加工済部品を前記筐体から排出するように前記出口コンベヤを操作することを含む、構成1に記載の方法。
[構成3]
前記工作機械が前記第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了した後に、前記ロボットが第1未加工部品を前記第2バイス内に配置するように前記ロボットを操作することを含む、構成1に記載の方法。
[構成4]
前記ロボットが、前記第1未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、前記第1未加工部品を前記第2バイス内に配置する前に、前記工作機械が前記第2未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで前記退避位置で待機するように、前記ロボットを操作することを含む、構成1に記載の方法。
[構成5]
複数の未加工部品の取り出し及び配置、前記未加工部品の加工、並びに加工済部品の取り出しを反復して、前記連続的な加工処理を実行することを含む、構成1に記載の方法。
[構成6]
前記テーブルは、前記第1バイスが前記工作機械に近接しかつ前記第2バイスが前記ロボットに近接する第1位置と、前記第1バイスが前記ロボットに近接しかつ前記第2バイスが前記工作機械に近接する第2位置との間で回転可能である、構成1に記載の方法。
[構成7]
連続的な加工処理を実行するための方法であって、
ロボットと、工作機械と、未加工部品供給部と、部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルとを、筐体の内部に配置するステップと、
前記第1バイスにおいて、ある未加工部品を加工するように前記工作機械を操作するステップと、
前記未加工部品供給部から他の未加工部品を取り出すように前記ロボットを操作するステップと、
前記ロボットが、前記工作機械が前記ある未加工部品を加工している間に前記他の未加工部品を前記第2バイス内に配置し、次に前記第2バイスから退避するように、前記ロボットを操作するステップと、
前記ある未加工部品の加工が完了して加工済部品が形成されたときに、前記ロボットを操作して前記第1バイスから前記加工済部品を取り出すステップと、
を含む方法。
[構成8]
前記テーブルは、第1位置にあり、前記ある未加工部品の加工が完了したら第2位置に回転移動する、構成7に記載の方法。
[構成9]
前記第1バイスから取り出した前記加工済部品を出口コンベヤ上に配置するように前記ロボットを操作し、前記加工済部品を前記筐体から排出するように前記出口コンベヤを操作することを含む、構成7に記載の方法。
[構成10]
前記ロボットが、前記他の未加工部品を取り出した後に退避位置に移動し、前記他の未加工部品を前記第2バイス内に配置する前に、前記工作機械が前記ある未加工部品における加工処理の所定部分を完了するまで前記退避位置で待機するように、前記ロボットを操作することを含む、構成7に記載の方法。
[構成11]
前記ロボットが前記第1バイスから前記加工済部品を取り出している間、前記第2バイスにおいて前記他の未加工部品を加工するように前記工作機械を操作することを含む、構成7に記載の方法。
[構成12]
前記連続的な加工処理の制御に続いて、複数の未加工部品に対して前記ステップを実行することを含む、構成11に記載の方法。
[構成13]
連続的な加工処理を制御する装置であって、
工作機械が配置された筐体と、
前記筐体内に配置されるとともに、前記工作機械によって加工済部品に加工すべき部品を保持する第1バイス及び第2バイスを有するテーブルと、
前記筐体内に配置される未加工部品供給部と、
前記筐体内に配置されるとともに、前記未加工部品供給部から未加工部品を取り出して、前記未加工部品を、前記第1バイス及び前記第2バイスの選択された一方に配置するように配置されたロボットと、
を含む装置。
[構成14]
前記テーブルは、前記第1バイスが前記工作機械に近接しかつ前記第2バイスが前記ロボットに近接する第1位置と、前記第1バイスが前記ロボットに近接しかつ前記第2バイスが前記工作機械に近接する第2位置との間で回転可能である、構成13に記載の装置。
[構成15]
前記筐体内に延びるとともに、前記ロボットによって前記第1バイス及び前記第2バイスの一方から取り出された加工済部品を受け取る出口コンベヤを含む、構成13に記載の装置。
[構成16]
前記工作機械、前記テーブル及び前記ロボットに接続され、前記工作機械、前記テーブル及び前記ロボットの動作を制御する制御装置を含む、構成13に記載の装置。