(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】生産システム、生産負荷算出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020025480
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-170330(JP,A)
【文献】特開平07-200901(JP,A)
【文献】特開平07-072921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品の第1加工に用いられる第1機械設備と、
前記第1機械設備によって1個の前記第1部品に前記第1加工するためにかかった第1実加工時間を取得する取得部と、
前記第1実加工時間と、前記第1機械設備によって前記第1加工される前記第1部品の第1予定加工数とを記憶する記憶部と、
前記第1実加工時間と前記第1予定加工数とに基づいて、前記第1機械設備によって前記第1予定加工数の前記第1部品全てに前記第1加工するために必要となる第1所要時間を算出する所要時間算出部と、
前記第1部品の前記第1加工とは異なる第3加工に用いられる第3機械設備と、
を備え、
前記取得部は、前記第3機械設備によって1個の前記第1部品に前記第3加工するためにかかった第3実加工時間を取得し、
前記記憶部は、前記第3実加工時間と、前記第3機械設備によって前記第3加工される前記第1部品の第3予定加工数とを記憶し、
前記所要時間算出部は、前記第3実加工時間と前記第3予定加工数とに基づいて、前記第3機械設備によって前記第3予定加工数の前記第1部品全てに前記第3加工するために必要となる第3所要時間を算出する、
生産負荷算出システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記第1実加工時間に基づき、前記第1機械設備によって1個の前記第1部品に前記第1加工するためにかかると予想される第1予定加工時間を取得し、
前記所要時間算出部は、前記第1予定加工時間と前記第1予定加工数とに基づいて、前記第1所要時間を算出する、
請求項1に記載の生産負荷算出システム。
【請求項3】
前記第1機械設備は、前記第1部品とは異なる第2部品の第2加工に用いられ、
前記取得部は、前記第1機械設備によって1個の前記第2部品を前記第2加工するためにかかった第2実加工時間を取得し、
前記記憶部は、前記第2実加工時間と、前記第1機械設備によって前記第2加工される前記第2部品の第2予定加工数とを記憶し、
前記所要時間算出部は、前記第2実加工時間と前記第2予定加工数とに基づいて、前記第1機械設備によって前記第2予定加工数の前記第2部品全てに前記第2加工するために必要となる第2所要時間を算出する、
請求項1に記載の生産負荷算出システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記第2実加工時間に基づき、前記第1機械設備によって1個の前記第2部品に前記第2加工するためにかかると予想される第2予定加工時間を取得し、
前記所要時間算出部は、前記第2予定加工時間と前記第2予定加工数とに基づいて、前記第2所要時間を算出する、
請求項3に記載の生産負荷算出システム。
【請求項5】
前記第1部品に対して前記第1機械設備と同じ加工を実施可能な第2機械設備と、
今回の単位期間において前記第1機械設備及び前記第2機械設備それぞれによって加工された前記第1部品の実加工数の比率と、次回の単位期間において前記第1機械設備及び前記第2機械設備それぞれによって加工される前記第1部品の総予定加工数とに基づいて、前記第1予定加工数を算出する予定加工数算出部と、
を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の生産負荷算出システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記第3実加工時間に基づき、前記第3機械設備によって1個の前記第1部品に前記第3加工するためにかかると予想される第3予定加工時間を取得し、
前記所要時間算出部は、前記第3予定加工時間と前記第3予定加工数とに基づいて、前記第3所要時間を算出する、
請求項1に記載の生産負荷算出システム。
【請求項7】
生産システムにおける生産負荷算出方法であって、
第1機械設備によって1個の第1部品に第1加工するためにかかった第1実加工時間
と、第3機械設備によって1個の前記第1部品に前記第1加工とは異なる第3加工をするためにかかった第3実加工時間とを
取得することと、
前記第1実加工時間と、前記第1機械設備によって前記第1加工される前記第1部品の第1予定加工数とを記憶
し、かつ、前記第3実加工時間と、前記第3機械設備によって前記第3加工される前記第1部品の第3予定加工数とを記憶することと、
前記第1実加工時間と前記第1予定加工数とに基づいて、前記第1機械設備によって前記第1予定加工数の前記第1部品
全てに前記第1加工するために必要となる第1所要時間を算出
し、かつ、前記第3実加工時間と前記第3予定加工数とに基づいて、前記第3機械設備によって前記第3予定加工数の前記第1部品全てに前記第3加工するために必要となる第3所要時間を算出することと、
を備える生産負荷算出方法。
【請求項8】
第1機械設備によって
1個の第1部品
に第1加工するためにかかった第1実加工時間
と、第3機械設備によって1個の前記第1部品に前記第1加工とは異なる第3加工をするためにかかった第3実加工時間とを取得する工程と、
前記第1実加工時間と、前記第1機械設備によって
前記第1加工される前記第1部品の第1予定加工数とを記憶
し、かつ、前記第3実加工時間と、前記第3機械設備によって前記第3加工される前記第1部品の第3予定加工数とを記憶する工程と、
前記第1実加工時間と前記第1予定加工数とに基づいて、前記第1機械設備によって前記第1予定加工数の前記第1部品
全てに前記第1加工するために必要となる第1所要時間を算出
し、かつ、前記第3実加工時間と前記第3予定加工数とに基づいて、前記第3機械設備によって前記第3予定加工数の前記第1部品全てに前記第3加工するために必要となる第3所要時間を算出する工程と、
を生産システムにおける生産負荷を算出するコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産システム、生産負荷算出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品の生産が行われる生産システムでは、部品の加工に用いられる機械設備の処理能力を超える過剰な負荷が当該機械設備にかかると、部品を計画通りに生産することができない。
【0003】
しかしながら、実際の生産システムでは、部品の生産実績に基づいて当該部品の生産可能個数が経験的に把握されているにすぎないため、機械設備に過剰な負荷がかかりやすい。
【0004】
特に、機械設備が複数種類の部品の加工に用いられる場合には、機械設備に過剰な負荷がかかるかどうかを予測することは困難であるため、機械設備に過剰な負荷が更にかかりやすい。
【0005】
ここで、特許文献1では、機械設備に過剰な負荷がかかるかどうかを特定のアルゴリズムを用いて予測し、その予測に基づいて生産計画を立てる手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、複雑なアルゴリズムを準備する必要があるため煩雑であり、また、複数のアルゴリズムが用いられるため予測精度を高めるにも限界がある。
【0008】
本開示は、簡便かつ精度良く機械設備の生産負荷を把握可能な生産システム、生産負荷算出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る生産システムは、機械設備と、取得部と、記憶部と、所要時間算出部とを備える。機械設備は、第1部品の第1加工に用いられる。取得部は、第1機械設備によって1個の第1部品に第1加工するためにかかった第1実加工時間を取得する。記憶部は、第1実加工時間と、第1機械設備によって第1加工される第1部品の第1予定加工数とを記憶する。所要時間算出部は、第1実加工時間と第1予定加工数とに基づいて、第1機械設備によって第1予定加工数の第1部品全てに第1加工するために必要となる第1所要時間を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡便かつ精度良く機械設備の生産負荷を把握可能な生産システム、生産負荷算出方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る生産システムの構成を示す模式図
【
図2】実施形態に係る生産システムにおける生産負荷算出方法を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(生産システム1の構成)
本実施形態に係る生産システム1の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、生産システム1の構成を示す模式図である。
【0013】
生産システム1は、複数の機械設備10と、管理装置20とを備える。
【0014】
1.機械設備10
複数の機械設備10には、機械設備10A~10Fが含まれる。本実施形態において、機械設備10A~10Cは工場Xに配置され、機械設備10D~10Fは工場Yに配置されている。工場Xと工場Yは、地理的に離れた場所に設けられていてもよい。
【0015】
機械設備10A~10Cは、工場Xにおいて、油圧ショベル用のアームW1の加工に用いられる。アームW1は、本開示に係る「第1部品」の一例である。機械設備10A~10Cは、アームW1に対して互いに異なる加工を実施する。
【0016】
機械設備10D~10Fは、工場Yにおいて、アームW1の加工に用いられる。機械設備10D~10Fは、アームW1に対して互いに異なる加工を実施する。
【0017】
機械設備10Aと機械設備10Dは、アームW1に対して同じ加工を実施可能である。機械設備10Bと機械設備10Eは、アームW1に対して同じ加工を実施可能である。機械設備10Cと機械設備10Fは、アームW1に対して同じ加工を実施可能である。機械設備10Aは、本開示に係る「第1機械設備」の一例である。機械設備10Dは、本開示に係る「第2機械設備」の一例である。機械設備10A及び機械設備10DそれぞれがアームW1に対して実施する加工は、本開示に係る「第1加工」の一例である。機械設備10B又は機械設備10Cは、本開示に係る「第3機械設備」の一例である。機械設備10B又は機械設備10CがアームW1に対して実施する加工は、本開示に係る「第3加工」の一例である。
【0018】
また、機械設備10Aは、工場Xにおいて、ブルドーザ用のブレードW2の加工にも用いられる。ブレードW2は、アームW1(第1部品)とは異なる「第2部品」の一例である。機械設備10AがブレードW2に対して実施する加工は、本開示に係る「第2加工」の一例である。
【0019】
機械設備10Aは、アームW1に対する加工を完了すると、1個のアームW1の加工に実際にかかった実加工時間Ta1を管理装置20に送信する。機械設備10Aは、ブレードW2に対する加工を完了するごとに、1個のブレードW2の加工に実際にかかった実加工時間Ta2を管理装置20に送信する。実加工時間Ta1は、本開示に係る「第1実加工時間」の一例である。実加工時間Ta2は、本開示に係る「第2実加工時間」の一例である。
【0020】
機械設備10Bは、アームW1に対する加工を完了すると、1個のアームW1の加工に実際にかかった実加工時間Tbを管理装置20に送信する。機械設備10Cは、アームW1に対する加工を完了するごとに、1個のアームW1の加工に実際にかかった実加工時間Tcを管理装置20に送信する。実加工時間Tb,Tcそれぞれは、本開示に係る「第3実加工時間」の一例である。機械設備10D~10Fそれぞれは、アームW1に対する加工を完了するごとに、1個のアームW1の加工に実際にかかった実加工時間Td~Tfそれぞれを管理装置20に送信する。
【0021】
なお、機械設備10A~10Fそれぞれによって実施される加工内容は特に限られない。生産システム1は6台の機械設備10A~10Fを備えているが、機械設備10の台数は特に限られない。機械設備10A~10Fのうち機械設備10Aのみが2つの部品の加工に用いられているが、機械設備10Aは3つ以上の部品の加工に用いられてもよいし、機械設備10A以外の機械設備が2つ以上の部品の加工に用いられてもよい。
【0022】
2.管理装置20
管理装置20は、ネットワークを介して、機械設備10A~10Fそれぞれと相互通信可能である。管理装置20の機能は、サーバによって達成することができる。サーバは、クラウドサーバであってよい。
【0023】
管理装置20は、取得部21、記憶部22、予定加工数算出部23及び所要時間算出部24を有する。
【0024】
取得部21は、機械設備10Aによって1個のアームW1を加工するのにかかった実加工時間Ta1を機械設備10Aから受信する。取得部21は、受信した実加工時間Ta1を記憶部22に記憶させる。
【0025】
取得部21は、記憶部22に記憶されている実加工時間Ta1に基づき、機械設備10Aによって1個のアームW1を加工するためにかかると予想される予定加工時間Sa1を取得する。実加工時間Ta1に基づいて予定加工時間Sa1を取得する手法は特に制限されず、例えば、過去に受信した複数の実加工時間Ta1の中央値を予定加工時間Sa1としてもよいし、過去に受信した複数の実加工時間Ta1の平均値を予定加工時間Sa1としてもよいし、或いは、過去に受信した複数の実加工時間Ta1のうち特定の1つを予定加工時間Sa1としてもよい。取得部21は、取得した予定加工時間Sa1を記憶部22に記憶させる。予定加工時間Sa1は、本開示に係る「第1予定加工時間」の一例である。
【0026】
取得部21は、機械設備10Aによって1個のブレードW2を加工するのにかかった実加工時間Ta2を機械設備10Aから受信する。取得部21は、受信した実加工時間Ta2を記憶部22に記憶させる。
【0027】
取得部21は、記憶部22に記憶されている実加工時間Ta2に基づき、機械設備10Aによって1個のブレードW2を加工するためにかかると予想される予定加工時間Sa2を取得する。実加工時間Ta2に基づいて予定加工時間Sa2を取得する手法は特に制限されず、例えば、過去に受信した複数の実加工時間Ta2の中央値を予定加工時間Sa2としてもよいし、過去に受信した複数の実加工時間Ta2の平均値を予定加工時間Sa2としてもよいし、或いは、過去に受信した複数の実加工時間Ta2のうち特定の1つを予定加工時間Sa1としてもよい。取得部21は、取得した予定加工時間Sa2を記憶部22に記憶させる。予定加工時間Sa2は、本開示に係る「第2予定加工時間」の一例である。
【0028】
取得部21は、機械設備10B,10Cそれぞれによって1個のアームW1を加工するのにかかった実加工時間Tb,Tcを機械設備10B,10Cそれぞれから受信する。取得部21は、機械設備10D~10Fそれぞれによって1個のアームW1を加工するのにかかった実加工時間Td~Tfを機械設備10D~10Fそれぞれから受信する。
【0029】
取得部21は、上述した予定加工時間Sa1,Sa2と同様、実加工時間Tb~Tfそれぞれに基づき、機械設備10B~10Fそれぞれによって1個のアームW1を加工するためにかかると予想される予定加工時間Sb~Sfを取得する。取得部21は、取得した予定加工時間Sb~Sfそれぞれを記憶部22に記憶させる。
【0030】
記憶部22は、取得部21によって取得された予定加工時間Sa1,Sa2,Sb~Sfを記憶する。
【0031】
記憶部22は、今回の単位期間において機械設備10A~10Cによって加工されたアームW1の実加工数Mxと、今回の単位期間において機械設備10D~10Fによって加工されたアームW1の実加工数Myと、実加工数Mxと実加工数Myとを足した総実加工数Mallとを記憶している。これらの実加工数Mx、実加工数My及び総実加工数Mallは、図示しない入力装置などを介して、管理装置20の利用者によって入力されてもよい。
【0032】
なお、単位期間は所定長さの期間であればよく特に限られないが、例えば、1年、1月、1週間などに設定することができる。
【0033】
記憶部22は、次回の単位期間において機械設備10A~10Fによって加工されるアームW1の総予定加工数Nallを記憶している。総予定加工数Nallは、次回の単位期間において工場X及び工場Yで生産する必要のあるアームW1の総数である。この総予定加工数Nallは、図示しない入力装置などを介して、管理装置20の利用者によって入力されてもよい。
【0034】
記憶部22は、次回の単位期間において機械設備10Aによって加工されるブレードW2の予定加工数Rxを記憶している。この予定加工数Rxは、図示しない入力装置などを介して、管理装置20の利用者によって入力されてもよい。予定加工数Rxは、本開示に係る「第2予定加工数」の一例である。
【0035】
予定加工数算出部23は、記憶部22を参照して、実加工数Mxと実加工数Myとを取得する。予定加工数算出部23は、実加工数Mxと実加工数Myとの比率を算出する。具体的には、予定加工数算出部23は、総実加工数Mallに対する実加工数Mxの比率Qxと、総実加工数Mallに対する実加工数Myの比率Qyとを算出する。予定加工数算出部23は、算出した比率Qx,Qyを記憶部22に記憶させる。
【0036】
予定加工数算出部23は、記憶部22を参照して、次回の単位期間において機械設備10A~10Fによって加工されるアームW1の総予定加工数Nallを取得する。
【0037】
予定加工数算出部23は、比率Qxと総予定加工数Nallとに基づいて、次回の単位期間において機械設備10A~10Cによって加工されるアームW1の予定加工数Nxを算出する。予定加工数算出部23は、比率Qyと総予定加工数Nallとに基づいて、次回の単位期間において機械設備10D~10Fによって加工されるアームW1の予定加工数Nyを算出する。予定加工数算出部23は、算出した予定加工数Nx,Nyを記憶部22に記憶させる。予定加工数Nxは、本開示に係る「第1予定加工数」の一例である。
【0038】
所要時間算出部24は、実加工時間Ta1と予定加工数Nxとに基づいて、機械設備10Aによって予定加工数NxのアームW1を全て加工するために必要となる所要時間Va1を算出する。具体的には、所要時間算出部24は、記憶部22を参照して、実加工時間Ta1から求められた予定加工時間Sa1と、予定加工数Nxとを取得する。所要時間算出部24は、予定加工時間Sa1と予定加工数Nxとを乗算した値を所要時間Va1とすることができる。所要時間算出部24は、算出した所要時間Va1を記憶部22に記憶させる。所要時間Va1は、本開示に係る「第1所要時間」の一例である。
【0039】
所要時間算出部24は、実加工時間Ta2と予定加工数Rxとに基づいて、機械設備10Aによって予定加工数RxのブレードW2を全て加工するために必要となる所要時間Va2を算出する。具体的には、所要時間算出部24は、記憶部22を参照して、実加工時間Ta2から求められた予定加工時間Sa2と、予定加工数Rxとを取得する。所要時間算出部24は、予定加工時間Sa2と予定加工数Rxとを乗算した値を所要時間Va2とすることができる。所要時間算出部24は、算出した所要時間Va2を記憶部22に記憶させる。所要時間Va2は、本開示に係る「第2所要時間」の一例である。
【0040】
このように、アームW1及びブレードW2の両加工に用いられる機械設備10Aについて、全てのアームW1の加工に要する所要時間Va1と、全てのブレードW2の加工に要する所要時間Va2とが取得される。よって、機械設備10Aの総稼動予定時間と所要時間Va1,Va2の和とを比較することによって、次回の単位期間中において機械設備10Aに過剰な負荷がかかるか否か(すなわち、機械設備10Aの生産負荷)を簡便かつ精度良く把握することができる。
【0041】
所要時間算出部24は、実加工時間Tb,Tcそれぞれと予定加工数Nxとに基づいて、機械設備10B,10Cそれぞれによって予定加工数NxのアームW1を全て加工するために必要となる各所要時間Vb,Vcを算出する。具体的には、所要時間算出部24は、記憶部22を参照して、実加工時間Tb,Tcそれぞれから求められた予定加工時間Sb,Scと、予定加工数Nxとを取得する。所要時間算出部24は、各予定加工時間Sb,Scと予定加工数Nxとを乗算した値を各所要時間Vb,Vcとすることができる。所要時間算出部24は、算出した各所要時間Vb,Vcを記憶部22に記憶させる。各所要時間Vb,Vcは、本開示に係る「第3所要時間」の一例である。
【0042】
所要時間算出部24は、実加工時間Td~Tfそれぞれと予定加工数Nyとに基づいて、機械設備10D~10Fそれぞれによって予定加工数NyのアームW1を全て加工するために必要となる各所要時間Vd~Vfを算出する。具体的には、所要時間算出部24は、記憶部22を参照して、実加工時間Td~Tfそれぞれから求められた予定加工時間Sd~Sfと、予定加工数Nyとを取得する。所要時間算出部24は、各予定加工時間Sd~Sfと予定加工数Nyとを乗算した値を各所要時間Vd~Vfとすることができる。所要時間算出部24は、算出した各所要時間Vd~Vfを記憶部22に記憶させる。
【0043】
このように、アームW1の加工のみに用いられる機械設備10B~10Fについては、全てのアームW1の加工に要する各所要時間Vb~Vfが取得される。よって、機械設備10B~10Fそれぞれの総稼動予定時間と各所要時間Vb~Vfとを比較することによって、次回の単位期間中において機械設備10B~10Fそれぞれに過剰な負荷がかかるか否か(すなわち、機械設備10B~10Fそれぞれの生産負荷)を簡便かつ精度良く把握することができる。
【0044】
(生産システム1における生産負荷算出方法)
生産システム1における生産負荷算出方法について、図面を参照しながら説明する。
図2は、生産システム1における生産負荷算出方法を説明するためのフローチャートである。以下においては、アームW1及びブレードW2の両加工に用いられる機械設備10Aにおける生産負荷について説明する。
【0045】
ステップS10において、取得部21は、機械設備10Aによって1個のアームW1を加工するのにかかった実加工時間Ta1と、機械設備10Aによって1個のブレードW2を加工するのにかかった実加工時間Ta2とを、機械設備10Aから受信する。
【0046】
ステップS20において、取得部21は、実加工時間Ta1に基づいて、機械設備10Aが1個のアームW1を加工するためにかかると予想される予定加工時間Sa1を取得し、実加工時間Ta2に基づいて、機械設備10Aが1個のブレードW2を加工するためにかかると予想される予定加工時間Sa2を取得する。
【0047】
ステップS30において、記憶部22は、取得部21によって取得された予定加工時間Sa1,Sa2と、次回の単位期間において機械設備10Aによって加工されるアームW1の予定加工数Nxと、次回の単位期間において機械設備10Aによって加工されるブレードW2の予定加工数Rxとを記憶する。
【0048】
ステップS40において、所要時間算出部24は、予定加工時間Sa1と予定加工数Nxとに基づいて、機械設備10Aによって予定加工数NxのアームW1を全て加工するために必要となる所要時間Va1を算出する。
【0049】
ステップS50において、所要時間算出部24は、予定加工時間Sa2と予定加工数Rxとに基づいて、機械設備10Aによって予定加工数RxのブレードW2を全て加工するために必要となる所要時間Va2を算出する。
【0050】
(実施形態の変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0051】
(変形例1)
上記実施形態では、第1部品の一例としてアームW1を挙げ、第2部品の一例としてブレードW2を挙げたが、第1及び第2部品は互いに異なる種類の部品であればよく、それぞれの部品の種類は特に限られない。
【0052】
(変形例2)
上記実施形態では、生産システム1における生産負荷算出方法について説明したが、本発明は、電子機器としての管理装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムとして提供されてもよい。当該プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。コンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 生産システム
10A~10F 機械設備
20 管理装置
21 取得部
22 記憶部
23 予定加工数算出部
24 所要時間算出部
W1 アーム
W2 ブレード
Mall 総実加工数
Mx,My 実加工数
Qx,Qy 比率
Nall 総予定加工数
Nx,Ny 予定加工数
Rx 予定加工数
Ta1,Ta2,Tb~Tf 実加工時間
Sa1,Sa2,Sb~Sf 予定加工時間
Va1,Va2,Vb~Vf 所要時間