IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コイル部品 図1
  • 特許-コイル部品 図2
  • 特許-コイル部品 図3
  • 特許-コイル部品 図4
  • 特許-コイル部品 図5
  • 特許-コイル部品 図6
  • 特許-コイル部品 図7
  • 特許-コイル部品 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020040164
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021141286
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】吉野 花子
(72)【発明者】
【氏名】東田 啓吾
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-219088(JP,A)
【文献】特開2018-120885(JP,A)
【文献】特開2018-120887(JP,A)
【文献】特開2016-111348(JP,A)
【文献】特開2005-347407(JP,A)
【文献】特開2017-112156(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109411212(CN,A)
【文献】特開2019-004044(JP,A)
【文献】特開2007-103596(JP,A)
【文献】特開2008-060593(JP,A)
【文献】国際公開第2008/096487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-19/08、27/00、27/28、37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と、前記巻芯部の軸方向における一端に位置する第1の鍔部と、前記巻芯部の前記軸方向における他端に位置する第2の鍔部とを有するコアと、
前記第1の鍔部に設けられた第1の端子電極と、
前記第2の鍔部に設けられた第2の端子電極と、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1の端子電極に接続され、他端が前記第2の端子電極に接続されたワイヤと、を備え、
前記巻芯部は、前記第1の鍔部側に位置する第1の巻回領域と、前記第2の鍔部側に位置する第2の巻回領域と、前記第1の巻回領域と前記第2の巻回領域の間に位置する第3の巻回領域と、前記第1の鍔部と前記第1の巻回領域の間に位置し、前記ワイヤが巻回されない第1のクリアランス領域と、前記第2の鍔部と前記第2の巻回領域の間に位置し、前記ワイヤが巻回されない第2のクリアランス領域とを含み、
前記ワイヤは、複数ターンに亘って前記第1の巻回領域に巻回された第1の区間と、複数ターンに亘って前記第2の巻回領域に巻回された第2の区間と、前記第3の巻回領域に巻回された1ターン未満の第3の区間とを含み、
前記ワイヤの前記軸方向における巻回位置の1ターン当たりの遷移量は、前記第1及び第2の区間よりも前記第3の区間の方が大きく、
前記巻芯部は、前記軸方向と直交する方向から視認できる第1、第2、第3及び第4の巻回面と、前記第1の巻回面と前記第2の巻回面の境界を構成する第1の角部と、前記第2の巻回面と前記第3の巻回面の境界を構成する第2の角部と、前記第3の巻回面と前記第4の巻回面の境界を構成する第3の角部と、前記第4の巻回面と前記第1の巻回面の境界を構成する第4の角部とを有し、
前記第1及び第3の巻回面の前記軸方向と直交する方向における幅は、前記第2及び第4の巻回面の前記軸方向と直交する方向における高さよりも大きく、
前記ワイヤの前記第3の区間の始点は前記第4の角部に位置し、前記ワイヤの前記第3の区間の終点は前記第1の角部に位置し、これにより、前記ワイヤの前記第3の区間は、前記第1の巻回面上にのみ位置し、
前記第1の巻回面上における前記第3の区間の前記軸方向における巻回位置の遷移量は、前記ワイヤの径の5倍以上であり、
前記第3の巻回領域の前記軸方向における幅は、前記第1の巻回領域の前記軸方向における幅よりも大きく、且つ、前記第2の巻回領域の前記軸方向における幅よりも大きく、
前記第1のクリアランス領域は、前記軸方向における幅が前記ワイヤの径よりも小さく、
前記第2のクリアランス領域は、前記軸方向における幅が前記第1のクリアランス領域の前記軸方向における幅よりも大きいことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第1及び第2の区間においては、軸方向に隣接するターン同士が互いに接触していることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記ワイヤの前記第1の区間のターン数と前記ワイヤの前記第2の区間のターン数が同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、ドラム型のコアにワイヤが巻回されてなるコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム型のコアにワイヤが巻回されてなるコイル部品としては、特許文献1に記載されたコイル部品が知られている。特許文献1に記載されたコイル部品は、ワイヤに密巻部分と粗巻部分を設けることによって、インダクタンスの調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-115761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品においては、粗巻部分を構成するワイヤの巻回位置にずれが生じると、特性が変化するという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、ワイヤの巻回密度が高い領域と低い領域を有するコイル部品において、ワイヤの位置ずれに起因する特性の変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコイル部品は、巻芯部、巻芯部の軸方向における一端に位置する第1の鍔部及び巻芯部の軸方向における他端に位置する第2の鍔部とを有するコアと、第1の鍔部に設けられた第1の端子電極と、第2の鍔部に設けられた第2の端子電極と、巻芯部に巻回され、一端が第1の端子電極に接続され、他端が第2の端子電極に接続されたワイヤとを備え、巻芯部は、第1の鍔部側に位置する第1の巻回領域と、第2の鍔部側に位置する第2の巻回領域と、第1の巻回領域と第2の巻回領域の間に位置する第3の巻回領域を含み、ワイヤは、複数ターンに亘って第1の巻回領域に巻回された第1の区間と、複数ターンに亘って第2の巻回領域に巻回された第2の区間と、第3の巻回領域に巻回された1ターン未満の第3の区間とを含み、ワイヤの軸方向における巻回位置の1ターン当たりの遷移量は、第1及び第2の区間よりも第3の区間の方が大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、巻回密度の低い第3の区間が1ターン未満であることから、ワイヤの位置ずれに起因する特性の変化が生じにくくなる。
【0008】
本発明において、第1及び第2の区間においては軸方向に隣接するターン同士が互いに接触していても構わない。これによれば、第1及び第2の区間におけるワイヤの巻回位置を安定させることが可能となる。
【0009】
本発明において、第3の区間は1/2ターン以下であっても構わない。これによれば、第3の区間におけるワイヤの巻回位置をより安定させることが可能となる。
【0010】
本発明において、巻芯部は、第1の鍔部と第1の巻回領域の間に位置し、ワイヤが巻回されない第1のクリアランス領域と、第2の鍔部と第2の巻回領域の間に位置し、ワイヤが巻回されない第2のクリアランス領域とをさらに含み、第1及び第2のクリアランス領域は、軸方向における幅が互いに異なっていても構わない。このような構造は、第1及び第2のクリアランス領域の一方をワイヤの巻き始め側とし、第1及び第2のクリアランス領域の他方をワイヤの巻き終わり側とし、ワイヤの巻き始め側に位置する第1及び第2のクリアランス領域の一方の軸方向における幅を狭くすることによって得られる。この場合、第1及び第2のクリアランス領域の一方は、軸方向における幅がワイヤの径よりも小さくても構わない。これによれば、コイル部品の全体のサイズを抑制することが可能となる。
【0011】
本発明において、巻芯部は軸方向と直交する方向から視認できる所定の巻回面を有し、所定の巻回面上における第3の区間の軸方向における巻回位置の遷移量は、ワイヤの径の5倍以上であっても構わない。これによれば、ワイヤのターン間における容量成分(線間容量)が減少することから、所定値以上のインピーダンスが得られる周波数帯域を拡大することが可能となる。
【0012】
本発明において、第3の巻回領域の軸方向における幅は、第1及び第2の巻回領域の軸方向における幅の少なくとも一方よりも大きくても構わない。この場合も、ワイヤのターン間における容量成分(線間容量)が減少することから、所定値以上のインピーダンスが得られる周波数帯域を拡大することが可能となる。
【0013】
本発明において、巻芯部の軸方向と直交する断面は複数の第1の角部と複数の第2の角部を有し、第1の角部の内角は第2の角部の内角よりも小さく、ワイヤの第3の区間の始点及び終点は、いずれも第1の角部に位置していても構わない。これによれば、ワイヤの位置ずれがより生じにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワイヤの巻回密度が高い領域と低い領域を有するコイル部品において、ワイヤの位置ずれに起因する特性の変化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。
図2図2(a)はコイル部品1のxy平面図であり、図2(b)はコイル部品1のxz平面図である。
図3図3は、ワイヤWの巻回パターンをより詳細に説明するための展開図である。
図4図4は、ワイヤWの第1の変形例による巻回パターンを説明するための展開図である。
図5図5は、ワイヤWの第2の変形例による巻回パターンを説明するための展開図である。
図6図6は、巻芯部13のyz断面が六角形である例を示す略断面図である。
図7図7は、巻芯部13のyz断面が八角形である例を示す略断面図である。
図8図8は、変形例によるコイル部品2の外観を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、ドラム型コア10と、端子電極E1~E4と、ワイヤWとを備えている。ドラム型コア10は、x方向を軸方向とする巻芯部13と、巻芯部13のx方向における一端に設けられた鍔部11と、巻芯部13のx方向における他端に設けられた鍔部12とを含む。ドラム型コア10の材料としては、フェライトなど、透磁率μが10~4000H/mである高透磁率材料を用いることが好ましい。
【0019】
端子電極E1,E3は鍔部11に設けられ、端子電極E2,E4は鍔部12に設けられる。端子電極E1~E4は、端子金具からなるものであっても構わないし、鍔部11,12の表面に塗布された導電性ペーストからなるものであっても構わない。ワイヤWは巻芯部13に巻回され、その一端は端子電極E1に接続され、他端は端子電極E2に接続される。
【0020】
図2(a)はコイル部品1のxy平面図であり、図2(b)はコイル部品1のxz平面図である。
【0021】
図2(a),(b)に示すように、ドラム型コア10の巻芯部13は、鍔部11側に位置する巻回領域A1と、鍔部12側に位置する巻回領域A2と、巻回領域A1,A2間に位置する巻回領域A3と、鍔部11と巻回領域A1の間に位置するクリアランス領域A4と、鍔部12と巻回領域A2の間に位置するクリアランス領域A5とを含む。巻回領域A1~A3はワイヤWが巻回される中央領域であり、クリアランス領域A4,A5はワイヤWが巻回されない端部領域である。
【0022】
ワイヤWは、それぞれ巻回領域A1~A3に巻回された区間S1~S3を含む。このうち、区間S1,S2は、複数ターンに亘ってワイヤWが密に巻回された区間である。区間S1,S2においては、x方向に隣接するターン同士が互いに接触していても構わない。この場合、区間S1,S2のx方向における巻回位置の1ターン当たりの遷移量は、ワイヤWの径とほぼ一致する。これによれば、ワイヤWのターン数を十分に確保することができるとともに、ワイヤWのx方向における位置ずれが生じにくくなる。
【0023】
これに対し、本実施形態においては、区間S3のターン数が約1/4ターンであり、1ターンに満たない。そして、区間S3は、区間S1,S2とは接触せず、x方向に大きく遷移している。言い換えれば、ワイヤWのx方向における巻回位置の1ターン当たり(或いは、単位ワイヤ長当たり)の遷移量は、区間S1,S2よりも区間S3の方が大きい。区間S1のターン数と区間S2のターン数は、同じであっても構わないし、異なっていても構わない。
【0024】
巻回領域A3のx方向における幅は、巻回領域A1,A2のx方向における幅よりも大きくても構わない。巻回領域A3のx方向における幅を十分に確保すれば、ワイヤWのターン間における容量成分(線間容量)が減少することから、所定値以上(例えば1kΩ以上)のインピーダンスが得られる周波数帯域が拡大する。
【0025】
クリアランス領域A4,A5のx方向における幅は、巻回領域A1~A3のx方向における幅よりも小さくても構わない。ここで、ワイヤWの端子電極E1側を巻き始め側とし、ワイヤWの端子電極E2側を巻き終わり側とした場合、クリアランス領域A4はワイヤWの巻き始め側に位置するため、x方向における幅を十分に小さくすることができる。この場合、クリアランス領域A4のx方向における幅は、ワイヤWの径よりも小さく設計することが好ましい。このように、クリアランス領域A4のx方向における幅を十分に小さく設計すれば、全体のサイズを小型化することができるとともに、クリアランス領域A3のx方向における幅をより拡大することができる。これに対し、クリアランス領域A5はワイヤWの巻き終わり側に位置するため、ある程度のマージンを持たせる必要がある。このため、クリアランス領域A5のx方向における幅は、クリアランス領域A4のx方向における幅よりも大きく設定することが好ましい。
【0026】
図3は、ワイヤWの巻回パターンをより詳細に説明するための展開図である。
【0027】
図3に示すように、巻芯部13は4つの巻回面21~24と、4つの角部31~34を有する。巻回面21,23はxy面を構成し、巻回面22,24はxz面を構成する。角部31は巻回面21,22の境界を構成し、角部32は巻回面22,23の境界を構成し、角部33は巻回面23,24の境界を構成し、角部34は巻回面24,21の境界を構成する。図3に示す例では、ワイヤWの区間S3は巻回面21上にのみ位置する。区間S3のx方向における巻回位置の遷移量は、ワイヤWの径の5倍以上であることが好ましい。これによれば、ワイヤWの線間容量が減少するため、所定値以上(例えば1kΩ以上)のインピーダンスが得られる周波数帯域が拡大する。
【0028】
そして、ワイヤWの端子電極E1側を巻き始め側とし、ワイヤWの端子電極E2側を巻き終わり側とした場合、ワイヤWの区間S3の始点sは角部34に位置し、区間S3の終点eは角部31に位置する。区間S3の始点s及び終点eをいずれも角部に配置しているのは、角部にはワイヤWの位置決め効果があるからである。但し、区間S3の始点s及び終点eの位置は、区間S3のターン数が1ターン未満である限りこれに限定されず、図4に示す第1の変形例のように、区間S3の終点eを角部32に位置させても構わないし、図5に示す第2の変形例のように、区間S3の終点eを角部33に位置させても構わない。図4に示す例では、ワイヤWの区間S3が巻回面21,22に位置し、そのターン数は約1/2ターンである。また、図5に示す例では、ワイヤWの区間S3が巻回面21~23に位置し、そのターン数は約3/4ターンである。
【0029】
図5に示す例では、区間S3と区間S2の境界は角部33であるが、境界が曖昧な場合には、隣接ターン間が接触しない区間を区間S3と定義し、接触する区間を区間S2と定義しても構わないし、隣接ターン間に形成されるスペースがワイヤWの径以上である区間を区間S3と定義し、ワイヤWの径未満である区間を区間S2の境界と定義しても構わない。
【0030】
また、図2(a),(b)に示すように、鍔部11,12及び巻芯部13のx方向における長さをそれぞれL11~L13とした場合、長さL11,L12を短くし、その分、長さL13が長くなるよう設計することが好ましい。これによれば、所定値以上(例えば1kΩ以上)のインピーダンスが得られる周波数帯域を拡大することができる。
【0031】
さらに、図2(a),(b)に示すように、鍔部11,12のy方向における幅をD11とし、巻芯部13のy方向における幅をD13とし、鍔部11,12のz方向における高さをH11とし、巻芯部13のz方向における高さをH13とした場合、幅D13及び高さH13を小さくし、これにより巻芯部13のyz断面積が小さくなるよう設計することが好ましい。この場合も、所定値以上(例えば1kΩ以上)のインピーダンスが得られる周波数帯域を拡大することができる。
【0032】
巻芯部13のyz断面については四角形である必要はなく、図6に示すように六角形であっても構わないし、図7に示すように八角形であっても構わない。
【0033】
巻芯部13のyz断面が六角形である場合、図6に示すように、巻芯部13は巻回面41~46と角部51~56を備える。ここで、角部52,53,55,56の内角をθ1とし、角部51,54の内角をθ2とした場合、θ1<θ2である。この場合、図6(a)に示すように、巻回面46と巻回面41の境界である角部56を区間S3の始点sとし、巻回面42と巻回面43の境界である角部52を区間S3の終点eとしても構わない。この場合、区間S3のターン数は約1/3ターンである。区間S3が延在する巻回面41,42は、z方向から見て視認できる面である。また、図6(b)に示すように、巻回面46と巻回面41の境界である角部56を区間S3の始点sとし、巻回面43と巻回面44の境界である角部53を区間S3の終点eとしても構わない。この場合、区間S3のターン数は約1/2ターンである。このように、角部51~56間において内角に差がある場合、より内角の小さい角部52,53,55,56を始点s及び終点eとすることが好ましい。これは、内角の小さい角部ほど、ワイヤWを位置決めする効果が大きいからである。
【0034】
巻芯部13のyz断面が八角形である場合、図7に示すように、巻芯部13は巻回面61~68と角部71~78を備える。ここで、角部73,74,77,78の内角をθ3とし、角部71,72,75,76の内角をθ4とした場合、θ3<θ4である。この場合、図7(a)に示すように、巻回面68と巻回面61の境界である角部78を区間S3の始点sとし、巻回面63と巻回面64の境界である角部73を区間S3の終点eとしても構わない。この場合、区間S3のターン数は約3/8ターンである。区間S3が延在する巻回面61~63は、z方向から見て視認できる面である。また、図7(b)に示すように、巻回面68と巻回面61の境界である角部78を区間S3の始点sとし、巻回面64と巻回面65の境界である角部74を区間S3の終点eとしても構わない。この場合、区間S3のターン数は約1/2ターンである。本例においても、より内角の小さい角部73,74,77,78を始点s及び終点eとすることが好ましい。
【0035】
図8は、変形例によるコイル部品2の外観を示す略斜視図である。
【0036】
図8に示す変形例によるコイル部品2は、板状コア14が追加されている点において、上記実施形態によるコイル部品1と相違している。その他の基本的な構成は、実施形態によるコイル部品1と同じであることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0037】
板状コア14は、鍔部11,12に固定されており、鍔部11と鍔部12を繋ぐ磁路として機能する。板状コア14の材料としては、ドラム型コア10と同様の高透磁率材料を用いることが好ましい。このように、板状コア14を付加すれば、ドラム型コア10と板状コア14によって閉磁路が形成されることから、インダクタンスを高めることが可能となる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1,2 コイル部品
10 ドラム型コア
11,12 鍔部
13 巻芯部
14 板状コア
21~24,41~46,61~68 巻回面
31~34,51~56,71~78 角部
A1~A3 巻回領域
A4,A5 クリアランス領域
E1~E4 端子電極
S1~S3 区間
W ワイヤ
s 始点
e 終点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8