(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】インプリント装置および物品製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240529BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
(21)【出願番号】P 2020095695
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-047944(JP,A)
【文献】特開2013-168504(JP,A)
【文献】特開2008-244441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のショット領域の上のインプリント材と型のパターン領域とが接触した接触状態において前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント動作を行い、その後に前記インプリント材を硬化させる硬化動作を行うインプリント装置であって、
前記アライメント動作において
、前記インプリント材の粘度を高める粘度調整部と、
前記ショット領域および前記パターン領域の少なくとも一方の形状を補正する形状補正部と、
前記接触状態における前記アライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて前記粘度調整部を制御するパラメータ値を変更する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記形状補正部による形状の補正を行わずに前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高める動作、および前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高めることなしに前記形状補正部によって形状の補正を行う動作、を交互に繰り返すように制御を行う、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント誤差を計測するための計測器を更に備え、
前記制御情報は、前記アライメント誤差を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記粘度調整部は、前記インプリント材に露光光を照射し、
前記パラメータ値は、前記粘度調整部による前記インプリント材への露光光の照射を制御す
るための値を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記制御部は、時間の経過に伴って変化する前記制御情報に応じて前記露光光の強度が変化するように前記パラメータ値を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインプリント装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記粘度調整部が前記露光光を連続的に前記インプリント材に照射するように前記パラメータ値を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記露光光が複数のパルス光として前記インプリント材に照射されるように前記パラメータ値を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数のパルス光の各々の強度、照射時間幅、照射間隔の少なくとも1つを制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記制御情報の変化の他、前記基板と前記型とを相対的に移動させるために要する力に基づいて前記パラメータ値を決定する、
ことを請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記制御情報の変化に応じて前記粘度調整部による粘度の調整後に前記インプリント材を硬化させるタイミングを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項10】
基板のショット領域の上のインプリント材と型のパターン領域とが接触した接触状態において前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント動作を行い、その後に前記インプリント材を硬化させる硬化動作を行うインプリント装置であって、
前記アライメント動作において
、前記インプリント材の粘度を高める粘度調整部と、
前記ショット領域および前記パターン領域の少なくとも一方の形状を補正する形状補正部と、
前記アライメント動作の開始からの所定期間における前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント誤差に基づいて、前記粘度調整部を制御するパラメータ値の時間的な変化を示すプロファイルを生成する制御部と、を備え、
前記粘度調整部は、前記プロファイルに従って動作
し、
前記制御部は、前記形状補正部による形状の補正を行わずに前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高める動作、および前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高めることなしに前記形状補正部によって形状の補正を行う動作、を交互に繰り返すように制御を行う、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記所定期間における前記アライメント誤差に基づいて前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメントを制御するためのアライメント制御情報を生成し、かつ、前記アライメント制御情報に基づいて前記プロファイルを生成する、
ことを特徴とする請求項10に記載のインプリント装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記所定期間における前記アライメント誤差に基づいて、前記プロファイルの他、前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメントを制御するためのアライメント制御情報を生成する、
ことを特徴とする請求項10に記載のインプリント装置。
【請求項13】
基板のショット領域の上のインプリント材と型のパターン領域とが接触した接触状態において前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント動作を行い、その後に前記インプリント材を硬化させる硬化動作を行うインプリント装置であって、
前記インプリント材を硬化させる硬化部と、前記ショット領域および前記パターン領域の少なくとも一方の形状を補正する形状補正部と、前記インプリント材の粘度を高める粘度調整部と、
前記接触状態における前記アライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて前記硬化部、前記形状補正部および前記粘度調整部の少なくとも一つを制御するパラメータ値を変更する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記形状補正部による形状の補正を行わずに前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高める動作、および前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高めることなしに前記形状補正部によって形状の補正を行う動作、を交互に繰り返すように制御を行う、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプリント装置を用いて基板の上にパターンを形成する工程と、
前記工程において前記パターンが形成された基板の加工を行う工程と、
を含み、前記加工が行われた前記基板から物品を得ることを特徴とする物品製造方法。
【請求項15】
前記形状補正部は、前記基板の形状を補正する形状補正光を前記基板に照射する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記粘度調整部による前記インプリント材に照射される露光光と、前記形状補正部による前記基板に照射される前記形状補正光と、が交互に前記基板に照射されるように制御を行う、
ことを特徴とする請求項15に記載のインプリント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置および物品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インプリント装置は、基板のショット領域の上とインプリント材と型のパターン領域とを接触させ、該ショット領域と該パターン領域とのアライメント動作を行い、その後、該インプリント材を硬化させる硬化動作を行う。これによって、該インプリント材の硬化物からなるパターンが形成される。アライメント動作において基板と型との間の相対振動が収まらないと、ショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を許容範囲に収めることができない。特許文献1には、アライメント動作中に予備露光を行うことによって樹脂(インプリント材)の粘弾性(粘度)を高め、これによってアライメント精度を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のインプリント装置では、予め全てのショット領域に対して共通に設定された条件で予備露光が行われるに過ぎない。したがって、従来のインプリント装置では、複数のショット領域間でアライメント動作の進行にばらつきがあっても、それは予備露光の制御に反映されず、予備露光が不適正に実施されうる。例えば、予備露光が過剰になされると、あるいは、予備露光が適正タイミングより早くなされると、ショット領域とパターン領域とを高い精度でアライメントすることができなくなりうる。
【0005】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、基板のショットと型のパターン領域とのアライメントに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、基板のショット領域の上のインプリント材と型のパターン領域とが接触した接触状態において前記ショット領域と前記パターン領域とのアライメント動作を行い、その後に前記インプリント材を硬化させる硬化動作を行うインプリント装置に係り、前記インプリント装置は、前記アライメント動作において、前記インプリント材の粘度を高める粘度調整部と、前記ショット領域および前記パターン領域の少なくとも一方の形状を補正する形状補正部と、前記接触状態における前記アライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて前記粘度調整部を制御するパラメータ値を変更する制御部と、を備え、前記制御部は、前記形状補正部による形状の補正を行わずに前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高める動作、および前記粘度調整部によって前記インプリント材の粘度を高めることなしに前記形状補正部によって形状の補正を行う動作、を交互に繰り返すように制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板のショットと型のパターン領域とのアライメントに有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】第1実施形態のインプリント処理の手順を例示する図。
【
図8】第2実施形態のインプリント処理の手順を例示する図。
【
図10】第3実施形態のインプリント処理の手順を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下、第1実施形態のインプリント装置IMPについて説明する。
図1(a)には、インプリント装置IMPの一つの構成例が示され、
図1(b)には、インプリント装置IMPの他の構成例が示されている。インプリント装置IMPは、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触した接触状態においてショット領域とパターン領域とのアライメント動作を行い、その後にインプリント材を硬化させる硬化動作を行うように構成されうる。基板1は、少なくとも1つ、典型的には複数のショット領域を有しうる。ショット領域は、型2のパターン領域が有するパターンが転写される領域である。型2のパターン領域のパターンは、凹部を有しうる。
【0011】
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられうる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、例えば、赤外線、可視光線、紫外線などでありうる。硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物でありうる。これらのうち、光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材は、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に配置されうる。また、インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターによって基板上に膜状に供給されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下でありうる。基板の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、半導体(Si、GaN、SiC等)、樹脂等が用いられうる。必要に応じて、基板の表面に、基板とは別の材料からなる部材が設けられてもよい。基板は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスである。
【0012】
インプリント装置1は、基板1を保持し駆動する基板駆動機構11、および、型2を保持し駆動する型駆動機構3を備えうる。基板駆動機構11および型駆動機構3は、基板1と型2との相対位置が調整されるように基板1および型2の少なくとも一方を駆動する相対駆動機構を構成する。該相対駆動機構による相対位置の調整は、基板1の上のインプリント材に対する型2のパターン領域の接触、および、硬化したインプリント材(硬化物のパターン)からの型2の分離のための駆動を含みうる。また、該相対駆動機構による相対位置の調整は、基板1のショット領域と型2のパターン領域とのアライメントを含みうる。基板駆動機構11は、基板1を複数の軸(例えば、X軸、Y軸、θZ軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。型駆動機構3は、型2を変形させる型変形機構12を含みうる。型変形機構12は、例えば、型2の側面に力を加えることによって型2を変形させうる。型駆動機構3は、型2を複数の軸(例えば、Z軸、θX軸、θY軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。
【0013】
インプリント装置IMPは、基板1のショット領域と型2のパターン領域とのアライメント誤差を計測するための1又は複数の計測器6を備えうる。計測器6は、基板1のショット領域に設けられたマーク5と型4に設けられたマーク4との相対位置を検出するために使用されうる。インプリント装置IMPは、制御部30を備えうる。制御部30は、複数のマーク対(各マーク対は、マーク5とマーク4とで構成される)の各々について検出される相対位置に基づいてショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を検出しうる。計測器6と型2との間には、結像光学系8が配置されてもよい。
【0014】
インプリント装置IMPは、エネルギー照射部20を備えうる。エネルギー照射部20は、基板1のショット領域の上のインプリント材に硬化用のエネルギーを照射する。本実施形態では、硬化用のエネルギーは、露光光7である。ただし、硬化用のエネルギーは、他のエネルギーであってもよい。エネルギー照射部20は、アライメント動作において、基板1と型2との間の相対振動が低減されるようにインプリント材の粘度を高める粘度調整部21と、アライメント動作の後にインプリント材を硬化させる硬化部22と備えうる。粘度調整部21は、インプリント材の粘度を高めるようにインプリント材に露光光7を照射しうる。硬化部22は、アライメント動作の後にインプリント材を硬化させるようにインプリント材に露光光7を照射しうる。粘度調整部21がインプリント材に照射する露光光7の波長と硬化部22がインプリント材に照射する露光光7の波長とは互いに異なってもよいし、互いに同じであってもよいし、部分的に共通の波長帯域を有してもよい。粘度調整部21および硬化部22は、構成要素の全部または一部が共通化されてもよい。
【0015】
インプリント装置IMPは、基板1の形状を補正する形状補正光9を基板1に照射する形状補正部25を備えてもよい。インプリント装置IMPは、基板1のショット領域にインプリント材を供給あるいは配置するディスペンサ(不図示)を備えてもよい。
【0016】
制御部30は、基板駆動機構11、型駆動機構3、計測器6、エネルギー照射部20、形状補正部25、ディスペンサ等を制御しうる。制御部30は、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触した接触状態におけるアライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて、粘度調整部21を制御するパラメータ値を変更しうる。制御部30は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用又は専用のコンピュータ、又は、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。
【0017】
図2(a)には、型2のパターン領域PRに設けられたマーク4a~4hが例示的に示されている。
図2(b)には、基板1のショット領域SRに設けられたマーク5a~5hが例示的に示されている。
図2(a)、(b)に示された例では、パターン領域PRおよびショット領域SRは、6つのチップ領域を含む。マーク4a~4hの各々は、パターン領域PRの4つの角部のいずれかに配置されている。マーク5a~5hの各々は、ショット領域SRの4つの角部のいずれかに配置されている。マーク4a、4b、4e、4f、5a、5b、5e、5fは、X方向に関する位置の計測のためのマークである。マーク4c、4d、4g、4h、5c、5d、5g、5hは、Y方向に関する位置の計測のためのマークである。
【0018】
基板1のショット領域SRの上のインプリント材に型2のパターン領域PRを接触させる際には、マーク4a~4hがマーク5a~5hにそれぞれ近接するように基板1と型2との相対位置が調整されうる。したがって、計測器6によってマーク4a~4hの各々とマーク5a~5hのうち対応するマークとの相対位置を検出することによって、ショット領域SRとパターン領域PRとの相対位置および形状差、即ちアライメント誤差を計測することができる。ここで、より多くのマークを配置することによって、ショット領域SRとパターン領域PRとの形状差をより高次の成分まで計測することができる。
図2(a)、(b)に示された例では、X方向の計測に関して4つのマークが使用され、Y方向の計測に関して4つのマークが使用される。これらのマークによって、
図3に例示されるように、アライメント誤差として、位置ずれ、回転、倍率、台形、ねじれの5つの成分を計測することができる。
【0019】
図3(a)には、Xおよび/またはY方向に関するショット領域SPとパターン領域PRとの間の位置ずれ(シフト)に関するアライメント誤差が例示されている。
図3(b)には、ショット領域SPとパターン領域PRとの間の回転に関するアラメント誤差が例示されている。
図3(c)には、ショット領域SPとパターン領域PRとの間の倍率に関するアライメント誤差が例示されている。
図3(d)には、ショット領域SPとパターン領域PRとの間の台形に関するアライメント誤差が例示されている。
図3(e)には、ショット領域SPとパターン領域PRとの間のねじれに関するアライメント誤差が例示されている。
図3には示されていないが、ショット領域SPとパターン領域PRとの間には、他の成分(弓なり型、樽型、糸巻き型)のアライメント誤差も存在しうる。
【0020】
制御部30は、基板1のショット領域SRと型2のパターン領域PRとの形状差が低減されるように、形状補正部25によって基板1のショット領域SRの形状を変形させうる。形状補正部25は、例えば、基板1に形状補正光9を照射することによって基板1に温度分布を形成し、これによって基板1のショット領域SRを変形させうる。制御部30は、計測器6を使って計測したアライメント誤差(形状差)に基づいて、ショット領域SRの形状をパターン領域PRの形状に近づけるために必要となる形状補正光9の照度分布を決定しうる。
【0021】
制御部30は、基板1のショット領域SRと型2のパターン領域PRとの形状差が低減されるように、型変形機構12によって型2のパターン領域PRの形状を変形させうる。型変形機構12は、例えば、型2の側面に力を加えることによって型2を変形させうる。制御部30は、型変形機構12の駆動量(型変形機構12が型2の側面に与える力)とパターン領域PRの変形量との関係を示すデータを予め取得してメモリなどに格納しうる。制御部30は、計測器6を使って計測したアライメント誤差(形状差)に基づいて、パターン領域PRの形状をショット領域SRの形状に近づけるために必要となるパターン領域PRの変形量を決定しうる。そして、制御部30は、決定したパターン領域PRの変形量に対応する型変形機構12の駆動量をメモリに格納したデータに基づいて決定しうる。
【0022】
以上のように、インプリント装置IMPは、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触した接触状態においてアライメント動作を行い、このアライメント動作においてショット領域SRおよびパターン領域PRの形状を補正しうる。
【0023】
図4を参照しながらアライメント動作について説明する。符号401は、基板1のショット領域に対するインプリント処理におけるアライメント誤差の変化が例示されている。基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触した接触状態においてアライメント動作が行われ、その後、硬化動作が行われ、その後、硬化したインプリント材から型2が分離される。符号402は、符号401における矩形で囲まれた部分を拡大したものである。矩形で囲まれた部分を巨視的に見るとアライメント誤差が十分に小さいが、数nm程度のレンジで見ると、基板1と型2との間に相対振動が存在することが分かる。これは、基板1および/または型2が微小振動していることに起因する。基板1と型2との間に相対振動が存在する状態でインプリント材を硬化させると、ショット領域とパターン領域との間に該振動による位置ずれが存在する状態が固定されうる。そこで、符号403で示されるように、粘度調整部21によって、アライメント動作において基板1と型2との間の相対振動が低減されるようにインプリント材の粘度が高められうる。
【0024】
しかし、複数のショット領域間では、アライメント動作の進行にばらつきが存在しうる。そのため、複数のショット領域間では、粘度調整部21による露光光7の照射量(露光量)の適正値、あるいは、粘度調整部21による露光光7の照射の適正タイミングが異なりうる。例えば、粘度調整部21による露光光7の照射量が適正値よりも過剰な場合、あるいは、粘度調整部21による露光光7の照射が適正タイミングより早い場合、ショット領域とパターン領域とを高い精度でアライメントすることができなくなりうる。あるいは、アライメント動作の開始の直後に十分にアライメント誤差が小さくなった場合にも粘度調整部21による露光光7の照射を待つことは、スループットの向上の観点で不利である。
【0025】
そこで、制御部30は、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触した接触状態におけるアライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて、粘度調整部21を制御するパラメータ値を変更するように構成されうる。ここで、該制御情報は、例えば、計測器6を使って計測されるアライメント誤差でありうる。該パラメータ値は、粘度調整部21を制御するための値(例えば、粘度調整部21に対する指令値)でありうる。該制御情報は、例えば、時間の経過に伴って変化し、制御部30は、時間の経過に伴って変化する制御情報に応じて露光光7の強度が変化するように該パラメータ値を変更しうる。制御部30は、例えば、粘度調整部21が露光光7を連続的にインプリント材に照射するように該パラメータ値を変更しうる。
【0026】
他の例において、制御部30は、露光光7が複数のパルス光としてインプリント材に照射されるように該パラメータ値を変更しうる。制御部30は、該複数のパルス光の各々の強度、照射時間幅、照射間隔の少なくとも1つを制御しうる。
【0027】
図5には、本実施形態におけるアライメント動作が例示されている。ここで、
図5(a)には、基板1のショット領域に対するインプリント処理におけるアライメント誤差の変化が例示されている。
図5(a)における矢印は、アライメント動作中に粘度調整部21によってインプリント材に照射される露光光の照射のタイミングを示している。
図5(b)には、インプリント材に照射される露光光7の光量の積算値(積算露光量)の変化が例示されている。
図5(c)には、インプリント材に対する露光光7の照射のタイミングおよび露光光7の強度が例示されている。
図5(d)には、基板1に対する形状補正光9の照射のタイミングが例示されている。
図5の例では、インプリント材に露光光7が照射されるときは、基板1には形状補正光9を照射されず、基板1には形状補正光9を照射されるときは、インプリント材に露光光7が照射されない。しかしながら、インプリント材に対する露光光7の照射と基板1に対する形状補正光9の照射は、同時になされてもよい。
【0028】
図6には、本実施形態における各ショット領域に対するインプリント処理の手順が例示されている。工程S601では、制御部30は、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触するように基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動する。工程S602では、制御部30は、計測器6を使ってショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を計測する。工程S603では、工程S602で計測したアライメント誤差(制御情報)に基づいて、粘度調整部21を制御するパラメータ値としての露光パラメータ値を決定し粘度調整部21に送る。この露光パラメータ値は、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射するタイミングを示す値、および、粘度調整部21がインプリント材に照射する露光光7の強度を示す値の少なくとも1つを含みうる。粘度調整部21は、制御部30から送られてくる露光パラメータ値に従って露光光7をインプリント材に照射しうる。
【0029】
工程S604では、制御部30は、工程S602で計測したアライメント誤差に基づいて、該アライメント誤差が低減されるように、基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動する。工程S605では、制御部30は、計測器6を使ってショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を計測する。工程S606では、制御部30は、アライメント動作を収容するかどうか、具体的には、工程S605で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっているかどうかを判断する。そして、制御部30は、工程S605で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっている場合、アライメント動作を終了し、工程S607において、硬化部22がインプリント材に露光光7を照射しインプリント材が硬化するように硬化部22を制御する。ここで、制御部30は、制御情報(例えば、アライメント誤差)の変化に応じて、粘度調整部21による粘度の調整後に、インプリント材を硬化させるタイミングを制御するように構成されうる。
【0030】
一方、制御部30は、工程S605で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっていない場合、工程S603~S606を再度実行する。
図5(a)における矢印は、工程S603において、制御部30が粘度調整部21を制御するパラメータ値としての露光パラメータ値を決定し粘度調整部21に送り、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射する動作に相当する。
【0031】
工程S603では、制御部30は、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射しないように露光パラメータ値を決定する場合があってもよい。例えば、アライメント誤差が予め設定された基準値より大きい場合、インプリント材の粘度を高くしてしまうと、アライメント誤差を低減するように基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動することが困難になりうる。よって、アライメント誤差が予め設定された基準値より大きい場合には、制御部30は、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射しないように露光パラメータ値を決定しうる。このような場合、アライメント誤差が予め設定された基準値を下回るまで、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射することはない。
【0032】
また、アライメント誤差が予め設定された基準値を下回るまでは、硬化部22による硬化動作も行われないように制御することもできる。この場合、結果として充分にアライメント誤差が小さくなってから硬化動作が行われ、これによりアライメント精度が保証されうる。これに伴い、各種の補正機能(ショット領域の形状補正など)についても、その実施タイミングをずらすことで、その補正機構の効果を低下させないことができる。例えば、アライメント誤差が基準値を下回ることや粘度調整部21による露光をトリガーとし、それらが事前の想定より前後した場合、それに応じて各補正機構の実施タイミングをずらす方法が挙げられる。そのようなインプリント装置は、インプリント材を硬化させる硬化部と、ショット領域およびパターン領域の少なくとも一方の形状を補正する形状補正部と、インプリント材の粘度を高める粘度調整部とを備えうる。また、そのようなインプリント装置は、接触状態におけるアライメント動作を制御するための制御情報の変化に応じて硬化部、形状補正部および粘度調整部の少なくとも一つを制御するパラメータ値を変更する制御部を備えうる。
【0033】
上記の形状補正部の例として、ショット領域の形状を補正する構成を挙げることができる。該構成は、例えば、不図示の光源から発した光の強度分布を調整し、基板に対して照射する。光の強度分布の調整には、絞りを使ってもよいし、透過率の異なる複数のフィルター、および/または、DMD(Digital Micromirror Device)のようなデバイスを用いてもよい。基板は光を吸収し、熱膨張を起こす。この際、強い光を照射した領域は大きく膨張し、弱い光を照射した領域の膨張は小さい。これを利用し、基板のショット形状を制御することが出来る。別の例として、型の側面から加圧することにより型の形状を変形させる形状補正機構も挙げられる。型の側面を加圧する点を各辺複数設置することで、単純な倍率だけではなく、skewやtrapezoidといった形状への変形も可能である。これらの補正は、型と基板のショット形状差を計測した結果に基づいて補正してもよい。また、形状差が安定しているなら、事前に計測した形状差をもとに補正を実施してもよい。これらをアライメント動作と並行して実施することで、相対位置合わせとともにショット形状補正を行うことが出来る。
【0034】
1つのショット領域についてアライメント動作が開始された直後に計測されるアライメント誤差が十分に小さい場合、インプリント材には速やかに粘度調整部21によって露光光7が照射され、これによってインプリント材の粘度が高められうる。この場合、速やかにアライメント誤差を許容範囲に収め、それに続く硬化部22による硬化動作を行うことができるので、スループットが向上しうる。この場合も、硬化部22による硬化動作を早める時間に応じて、各種補正機能の実施タイミングを早めることで、硬化動作を早めつつ、重ね合わせ精度の低下を防ぐことができる。
【0035】
以下、第2実施形態を説明する。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。
図7には、基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方によって基板1と型2とが相対移動するように基板1と型2との間に加えられる力(横軸)とその力による基板1と型2との間の相対移動量(縦軸)との関係が例示されている。以下では、この関係を駆動特性と呼ぶ。基板1と型2との間に作用するせん断力を直接計測するのは難しいが、横軸に記載された力を、せん断力と比較的強い相関を有する指標として使用することができる。通常は、力とその力による相対移動量との関係は線形であり、インプリント材の特性、基板1と型2との距離などに依存しうる。A点を含む線は、基板1と型2との間に作用するせん断力が小さいこと、つまり、板1と型2との間に加えられる力が小さくても基板1と型2との間の相対移動が起こることを示している。B点を含む線は、基板1と型2との間に作用するせん断力が大きいこと、つまり、板1と型2との間に加えられる力が大きくなければ基板1と型2との間の相対移動が起こることを示している。
【0036】
図8には、第2実施形態における各ショット領域に対するインプリント処理の手順が例示されている。工程S801では、制御部30は、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触するように基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動する。工程S802では、制御部30は、計測器6を使ってショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を計測する。工程S803では、工程S802で計測したアライメント誤差(制御情報)に基づいて、粘度調整部21を制御するパラメータ値としての露光パラメータ値を決定し粘度調整部21に送る。この露光パラメータ値は、粘度調整部21が露光光7をインプリント材に照射するタイミングを示す値、および、粘度調整部21がインプリント材に照射する露光光7の強度を示す値の少なくとも1つを含みうる。粘度調整部21は、制御部30から送られてくる露光パラメータ値に従って露光光7をインプリント材に照射しうる。
【0037】
工程S804では、制御部30は、工程S802で計測したアライメント誤差に基づいて、該アライメント誤差が低減されるように、基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動する。また、工程S804では、制御部30は、基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方によって駆動特性(基板1と型2との間に加えられる力と、その力による基板1と型2との相対的な移動量)をモニタする。
【0038】
工程S805では、制御部30は、計測器6を使ってショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を計測する。工程S806では、制御部30は、アライメント動作を収容するかどうか、具体的には、工程S805で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっているかどうかを判断する。そして、制御部30は、工程S805で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっている場合、アライメント動作を終了し、工程S807において、硬化部22がインプリント材に露光光7を照射しインプリント材が硬化するように硬化部22を制御する。ここで、制御部30は、制御情報(例えば、アライメント誤差)の変化に応じて、粘度調整部21による粘度の調整後に、インプリント材を硬化させるタイミングを制御するように構成されうる。一方、制御部30は、工程S805で計測したアライメント誤差が許容範囲に収まっていない場合、工程S803~S806を再度実行する。
【0039】
工程S806を経て実行される工程S803では、制御部30は、工程S804でモニタした結果に基づいて、露光パラメータ値を決定する。具体的には、制御部30は、工程S804でモニタした結果、すなわち、駆動特性(力と移動量とで決まる特性(
図7の線))に基づいて、露光パラメータ値を決定する。より具体的には、制御部30は、工程S804でモニタした結果がAを含む線に近いほど、露光量が多くなるように露光パラメータ値を決定しうる。逆に、制御部30は、工程S804でモニタした結果がBを含む線に近いほど、露光量が少なくなるように露光パラメータ値を決定しうる。つまり、制御部30は、制御情報(例えば、アライメント誤差)の変化の他、基板1と型2とを相対的に移動させるために要する力に基づいてパラメータ値を決定しうる。
【0040】
以下、第3実施形態を説明する。第3実施形態として言及しない事項は、第1又は第2実施形態に従いうる。
図9には、第3実施形態におけるアライメント動作が例示されている。第3実施形態では、制御部30は、アライメント動作の開始からの所定期間におけるショット領域とパターン領域とのアライメント誤差(以下、初期のアライメント誤差という。)に基づいて、粘度調整部21を制御するパラメータ値の時間的な変化を示すプロファイルを生成するように構成されうる。粘度調整部21は、該プロファイルに従って動作しうる。
【0041】
制御部30は、初期のアライメント誤差に基づいてショット領域とパターン領域とのアライメントを制御するためのアライメント制御情報を生成し、かつ、該アライメント制御情報に基づいて該プロファイルを生成するように構成されてもよい。あるいは、制御部30は、初期アライメント誤差に基づいて、該プロファイルの他、ショット領域とパターン領域とのアライメントを制御するためのアライメント制御情報を生成するように構成されてもよい。
図9において、「予測されるアライメント誤差の推移」は、アライメント制御情報に従ってアライメントが実施された場合において予測されるアライメント誤差の推移である。
【0042】
図10には、第3実施形態における各ショット領域に対するインプリント処理の手順が例示されている。工程S1001では、制御部30は、基板1のショット領域の上のインプリント材と型2のパターン領域とが接触するように基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動する。工程S1002では、制御部30は、計測器6を使ってショット領域とパターン領域とのアライメント誤差を計測する。このアライメント誤差は、アライメント動作の開始からの所定期間において計測される初期のアライメント誤差である。
【0043】
工程S1003では、制御部30は、工程S1002で計測した初期アライメント誤差に基づいて、ショット領域とパターン領域とのアライメントを制御するためのアライメント制御情報を生成する。制御部30は、例えば、初期アライメント誤差とそれに対応するアライメント制御情報との関係を示す情報を格納したデータベースを参照することによって、工程S1002で計測した初期アライメント誤差に対応するアライメント制御情報を生成することができる。工程S1004では、制御部30は、工程S1003で生成されたアライメント制御情報に基づいて、粘度調整部21を制御するパラメータ値の時間的な変化を示すプロファイル(露光プロファイル)を生成し粘度調整部21に送る。粘度調整部21は、制御部30から送られてくる露光プロファイルに従って露光光7をインプリント材に照射しうる。
【0044】
工程S1005では、制御部30は、工程S103で生成したアライメント制御情報に基づいて、基板駆動機構11および型駆動機構3の少なくとも一方を駆動し、アライメント誤差を低減する。工程S1006では、制御部30は、硬化部22がインプリント材に露光光7を照射しインプリント材が硬化するように硬化部22を制御する。
【0045】
なお、アライメント制御は、第1実施形態および第2実施形態で述べたようにアライメント誤差を計測しそれを元に駆動する動作を高速で繰り返してもよいし、上記したように初期アライメント誤差に基づいて作成した制御情報のみで駆動してもよい。
【0046】
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0047】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0048】
次に、インプリント装置によって基板にパターンを形成し、該パターンが形成された基板を処理し、該処理が行われた基板から物品を製造する物品製造方法について説明する。
図11(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
【0049】
図11(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。
図11(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
【0050】
図11(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0051】
図11(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。
図11(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【0052】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0053】
IMP:インプリント装置、1:基板、2:型、20:エネルギー照射部、21:粘度調整部、30:制御部