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特許7495826ゴム組成物及びゴム組成物から成形されるシール材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びゴム組成物から成形されるシール材
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20240529BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20240529BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240529BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
C08L23/16
C08L53/00
C08L83/04
C09K3/10 Z
C09K3/10 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020105559
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021195517
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】川島 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 青
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-204644(JP,A)
【文献】特開2017-071680(JP,A)
【文献】特開2015-189774(JP,A)
【文献】特開平11-310673(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C09K 3/10-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレンプロピレンジエンポリマーと、(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体と、(C)シリコーンオイルと、を含むゴム組成物。
【請求項2】
前記(C)シリコーンオイルの25℃における動粘度が、20mm/s以上4000mm/s以下である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記(C)シリコーンオイルが、ジメチルポリシロキサン構造を有する請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記(C)シリコーンオイルが、両末端未変性または片末端変性のジメチルポリシロキサン構造を有する請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを6.0質量部以上18質量部以下含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを9.0質量部以上16質量部以下含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体が、(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体が、
下記式(1)
[a1]-[b]-[a2] (1)
(式中、[a1]、[a2]は、それぞれ独立に、ポリオレフィン鎖、[b]は、シリコーン鎖を示す。)で表されるトリブロック共重合体である請求項7に記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体が、膜状ポリオレフィンに包まれて複合体を形成している請求項1乃至8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を0.70質量部以上7.0質量部以下含む請求項1乃至9のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項11】
前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を1.3質量部以上5.0質量部以下含む請求項1乃至9のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記ポリオレフィン鎖が、炭素数2以上20以下のオレフィンに由来する構造単位を含む請求項7または8に記載のゴム組成物。
【請求項13】
シール材用である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のゴム組成物から成形される成形材。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のゴム組成物から成形されるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンプロピレンジエンポリマーと、シリコーン鎖を有するブロック共重合体と、シリコーンオイルと、を含むゴム組成物に関し、特に、摩擦係数低減特性に優れた成形材を得ることができるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンプロピレンジエン(EPDM)ポリマーを主成分とする組成物は、耐水性、機械的特性に優れる等の点から、Oリングやパッキン等のシール材、例えば、耐水性が要求されるシール材の材料として使用される。Oリングやパッキン等のシール材の材料として使用するための、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ポリマーを主成分とする組成物としては、例えば、所定の溶解度パラメータを有する高分子分散剤、タルク及びEPDMを含むゴム組成物であって、タルクに対する前記高分子分散剤の質量割合が0.1~30重量%であるゴム組成物が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、タルクの分散性を向上させることで、ゴム組成物の成形材の機械的特性、特に、引っ張り強度を向上させるものである。
【0004】
一方で、Oリングやパッキンといったシール材等の成形材には、部材の摺動時におけるシール性、部材間の円滑な摺動性、滑り性、各種設備への取り付け容易性、シール材の交換作業性等の点から、相手材との貼り付きを防止することが要求されることがある。また、例えば、通常の流体取り出し時は開弁した状態で流体を流し、緊急時等に閉弁して流体の流出を遮断するゴム製の遮断弁などでは、製品保管時は閉弁状態であるため、製品保管の間に相手材と遮断弁が貼り付いてしまい、流体取り出し時に開弁できなくなる問題が生じる場合がある。従って、的確なシール性の点からも、シール材には相手材との貼り付きを防止することが要求されることがある。そこで、従来は、シール材に打ち粉(例えば、タルクなど)を施したり、または離型剤を塗布することで、相手材との貼り付きを防止していた。また、シール材を各種設備へ取り付けるにあたり、シール材の取り付け部位にグリース等の潤滑剤を塗布することで、シール材の取り付け部位にシール材が貼り付くことを防止していた。
【0005】
しかしながら、シール材の取り付け部位に打ち粉、離型剤、グリース等を施与する工程が必要となると、シール材の取り付け作業や交換作業が煩雑となるという問題、また、打ち粉、離型剤、グリース等によって、シール材の取り付け部位の周辺が汚染されてしまうという問題があった。上記から、エチレンプロピレンジエンポリマーを主成分とする組成物から成形された成形体には、摩擦係数を低減することで、相手材との貼り付きを防止することが要求されることがある。しかし、特許文献1等の従来のエチレンプロピレンジエンポリマーを主成分とする組成物から成形されたシール材では、摩擦係数の低減が十分ではない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-35283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、摩擦係数の低減された成形体を得ることができるエチレンプロピレンジエンポリマーを含むゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1](A)エチレンプロピレンジエンポリマーと、(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体と、(C)シリコーンオイルと、を含むゴム組成物。
[2]前記(C)シリコーンオイルの25℃における動粘度が、20mm/s以上4000mm/s以下である[1]に記載のゴム組成物。
[3]前記(C)シリコーンオイルが、ジメチルポリシロキサン構造を有する[1]または[2]に記載のゴム組成物。
[4]前記(C)シリコーンオイルが、両末端未変性または片末端変性のジメチルポリシロキサン構造を有する[3]に記載のゴム組成物。
[5]前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを6.0質量部以上18質量部以下含む[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[6]前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを9.0質量部以上16質量部以下含む[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[7]前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体が、(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体である[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[8]前記(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体が、
下記式(1)
[a1]-[b]-[a2] (1)
(式中、[a1]、[a2]は、それぞれ独立に、ポリオレフィン鎖、[b]は、シリコーン鎖を示す。)で表されるトリブロック共重合体である[7]に記載のゴム組成物。
[9]前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体が、ポリオレフィンを含むポリオレフィン部と複合体を形成している[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[10]前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を0.70質量部以上7.0質量部以下含む[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[11]前記(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を1.3質量部以上5.0質量部以下含む[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[12]前記ポリオレフィン鎖が、炭素数2以上20以下のオレフィンに由来する構造単位を含む[7]または[8]に記載のゴム組成物。
[13]シール材用である[1]乃至[12]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[14][1]乃至[13]のいずれか1つに記載のゴム組成物から成形される成形材。
[15][1]乃至[13]のいずれか1つに記載のゴム組成物から成形されるシール材。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(A)エチレンプロピレンジエンポリマーと、(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体と、(C)シリコーンオイルと、を含むことにより、摩擦係数の低減された成形体を得ることができる。従って、本発明のゴム組成物から成形した成形体をシール材として各種設備へ取り付けるにあたり、シール材の取り付け部位に、打ち粉、離型剤、グリース等を施与する必要がなく、部材の摺動時におけるシール性が向上し、部材間に円滑な摺動性、滑り性、各種設備への取り付け容易性、シール材の交換作業性を付与することができる。
【0010】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(C)シリコーンオイルの25℃における動粘度が20mm/s以上4000mm/s以下であることにより、摩擦係数が確実に低減された成形体を得ることができ、また、成形体への加工性が向上する。
【0011】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(C)シリコーンオイルが、両末端未変性または片末端変性のジメチルポリシロキサン構造を有することにより、摩擦係数がさらに確実に低減する。
【0012】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを6.0質量部以上18質量部以下含むことにより、摩擦係数がさらに確実に低減する。
【0013】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(C)シリコーンオイルを9.0質量部以上16質量部以下含むことにより、さらに優れた摩擦係数低減効果を発揮でき、また、成形体への加工性が確実に向上する。
【0014】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体が、下記式(1)
[a1]-[b]-[a2] (1)
(式中、[a1]、[a2]は、それぞれ独立に、ポリオレフィン鎖、[b]は、シリコーン鎖を示す。)で表されるトリブロック共重合体であることにより、成形体の摩擦係数の低減に確実に寄与できることで成形体の摺動性、滑り性が確実に向上する。
【0015】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を0.70質量部以上7.0質量部以下含むことにより、摩擦係数が確実に低減されつつ、成形体への加工性が確実に向上する。
【0016】
本発明のゴム組成物の態様によれば、(A)エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、前記(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体を1.3質量部以上5.0質量部以下含むことにより、さらに優れた摩擦係数低減効果と成形体への加工性を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のゴム組成物についての詳細を説明する。本発明のゴム組成物は、(A)エチレンプロピレンジエンポリマーと、(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体と、(C)シリコーンオイルと、を含む。本発明のゴム組成物では、エチレンプロピレンジエンポリマーがベースポリマーとして配合されている。
【0018】
(A)エチレンプロピレンジエンポリマー
エチレンプロピレンジエンポリマーは、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーとの三元共重合体である。ジエンモノマーは架橋用モノマーである。エチレンプロピレンジエンポリマーに用いられるジエンモノマーとしては、特に限定されず、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロピリデン-5-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン類;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,7-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン類等が挙げられる。エチレンプロピレンジエンポリマーとしては、エチレンプロピレンジエンゴムを挙げることができる。上記したジエンモノマーは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
エチレンプロピレンジエンポリマーのムーニー粘度(ML1+4 100℃)は、特に限定されないが、その下限値は、成形体に柔軟性を付与する点から、30が好ましく、35が特に好ましい。一方で、エチレンプロピレンジエンポリマーのムーニー粘度(ML1+4 100℃)の上限値は、成形体が硬くなるのを防止する点から、100が好ましく、70が特に好ましい。ムーニー粘度とは、エチレンプロピレンジエンポリマーのムーニー粘度計による粘度の尺度である。
【0020】
エチレンプロピレンジエンポリマー中のジエンモノマーの含有量は、特に限定されないが、その下限値は、成形体に柔軟性を付与する点から、2.0質量%が好ましく、5.0質量%が特に好ましい。一方で、エチレンプロピレンジエンポリマー中のジエンモノマーの含有量の上限値は、成形体の耐久性の点から、20質量%が好ましく、15質量%が特に好ましい。
【0021】
(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体
シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体(以下、単に、「ブロック共重合体(B)」ということがある。)は、シリコーン鎖のブロックとシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体である。(A)エチレンプロピレンジエンポリマーに、ブロック共重合体(B)が配合されることにより、後述する(C)シリコーンオイルとあいまって、摩擦係数の低減された成形体を得ることができる。従って、本発明のゴム組成物から成形した成形体をシール材として各種設備へ取り付けるにあたり、シール材の取り付け部位に、打ち粉、離型剤、グリース等を施与する必要がなく、部材間の摺動時におけるシール性が向上し、部材間に円滑な摺動性、滑り性、各種設備への取り付け容易性、シール材の交換作業性を付与することができる。
【0022】
シリコーン鎖以外の重合体ブロックとしては、ポリオレフィン鎖(オレフィンの重合体ブロック)、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーを構成単位とする重合体ブロック等を挙げることができる。このうち、摩擦係数を確実に低減する点から、(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体が好ましく、(B1)シリコーン鎖とポリオレフィン鎖を有するブロック共重合体としては、成形体の摩擦係数の低減に確実に寄与できることで成形体の摺動性、滑り性が確実に向上する点から、下記式(1)
[a1]-[b]-[a2] (1)
(式中、[a1]、[a2]は、それぞれ独立に、ポリオレフィン鎖、[b]は、シリコーン鎖を示す。)で表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
【0023】
[a1]及び[a2]のポリオレフィン鎖を構成するオレフィンとしては、例えば、炭素数2~50のオレフィンが上げられる。炭素数2~50のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、炭素数4~50のα-オレフィンが挙げられる。炭素数4~50のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-エチル-4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘプテン、1-ノネン、3,4-ジメチル-1-ヘプテン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これらのうち、摩擦係数を確実に低減する点から、炭素数2~20のオレフィンが好ましく、炭素数2~12のオレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレン、炭素数4~8のα-オレフィンがさらに好ましく、エチレンが特に好ましい。ポリオレフィン鎖を構成するオレフィンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
ポリオレフィン鎖の数平均分子量は、特に限定されないが、100以上500000以下が好ましく、200以上100000以下がより好ましく、500以上50000以下がさらに好ましく、700以上10000以下が特に好ましい。上記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ測定法により、O-ジクロロベンゼンを溶媒として使用して測定し、ポリエチレン換算値として得られる分子量である。
【0025】
[a1]のポリオレフィン鎖と[a2]のポリオレフィン鎖は、ポリオレフィン鎖を構成するオレフィン種及び/または平均分子量は、同じでもよく、また、異なっていてもよい。
【0026】
式(1)で表されるトリブロック共重合体は、[b]のシリコーン鎖に、ポリオレフィン鎖(オレフィンの重合体ブロック)がグラフト重合されているグラフト共重合体でもよい。[b]のシリコーン鎖にグラフト重合しているポリオレフィン鎖としては、上記したオレフィンから構成されるポリオレフィン鎖を挙げることができる。また、[b]のシリコーン鎖にグラフト重合しているポリオレフィン鎖の、ゲル浸透クロマトグラフ測定法により分析した数平均分子量は、特に限定されないが、100以上500000以下が好ましく、200以上100000以下がより好ましく、500以上50000以下がさらに好ましく、700以上10000以下が特に好ましい。[b]のシリコーン鎖にグラフト重合されているポリオレフィン鎖は、[a1]のポリオレフィン鎖を構成するオレフィン種及び/または[a1]のポリオレフィン鎖の平均分子量と、同じでもよく、異なっていてもよい。また、[b]のシリコーン鎖にグラフト重合されているポリオレフィン鎖は、[a2]のポリオレフィン鎖を構成するオレフィン種及び/または[a2]のポリオレフィン鎖の平均分子量と、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0027】
式(1)で表されるトリブロック共重合体のシリコーン鎖の質量:ポリオレフィン鎖の質量の比率は、特に限定されないが、成形材にタック性を付与しつつ、摩擦係数を低減する点から、5:95~95:5が好ましく、10:90~90:10が特に好ましい。
【0028】
また、ブロック共重合体(B)は、ポリオレフィンを含むポリオレフィン部と複合体を形成してブロック共重合体複合体となっていてもよい。ブロック共重合体複合体であることにより、エチレンプロピレンジエンポリマーへの分散性が向上し、成形体の摩擦係数がより確実に低減される。ブロック共重合体複合体の態様としては、例えば、ブロック共重合体(B)が膜状のポリオレフィン部に包まれている態様、ブロック共重合体(B)がポリオレフィン部に分散している態様等が挙げられる。ポリオレフィン部のポリオレフィンは、化学構造にシリコーン鎖を含まないポリオレフィン鎖である点で、ブロック共重合体(B)のポリオレフィン鎖とは相違する。ブロック共重合体複合体は、本発明のゴム組成物中で、ブロック共重合体複合体の構造が維持されていてもよく、ブロック共重合体(B)とポリオレフィン部が分離している等、ブロック共重合体複合体の構造が維持されていなくてもよい。
【0029】
ポリオレフィン部を形成するポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、炭素数4~20のα-オレフィンが挙げられる。炭素数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-エチル-4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘプテン、1-ノネン、3,4-ジメチル-1-ヘプテン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン等が挙げられる。このうち、成形材にタック性を付与しつつ、摩擦係数を確実に低減する点から、エチレン、プロピレン、炭素数4~8のα-オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。ポリオレフィン部を構成するオレフィンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
ブロック共重合体複合体の、ブロック共重合体(B)の質量:ポリオレフィン部の質量の比率は、特に限定されないが、成形材にタック性を付与しつつ、成形体の摩擦係数がさらに低減する点から、10:90~50:50が好ましく、20:80~40:60が特に好ましい。
【0031】
ブロック共重合体(B)の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、成形体の摩擦係数が確実に低減する点から、0.70質量部が好ましく、さらに優れた摩擦係数低減効果を発揮できる点から、1.3質量部がより好ましく、1.5質量部が特に好ましい。一方で、ブロック共重合体(B)の配合量の上限値は、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、成形体への加工性が確実に向上する点から、7.0質量部が好ましく、成形体への加工性がさらに向上する点から、5.0質量部がより好ましく、4.5質量部が特に好ましい。
【0032】
(C)シリコーンオイル
(A)エチレンプロピレンジエンポリマーに、(C)シリコーンオイルが配合されることにより、上記したブロック共重合体(B)とあいまって、摩擦係数の低減された成形体を得ることができる。従って、ブロック共重合体(B)と(C)シリコーンオイルが配合された本発明のゴム組成物から成形した成形体を、シール材として各種設備へ取り付けるにあたり、シール材の取り付け部位に、打ち粉、離型剤、グリース等を施与する必要がなく、部材間の摺動時におけるシール性が向上し、部材間に円滑な摺動性、滑り性、各種設備への取り付け容易性、シール材の交換作業性を付与することができる。(C)シリコーンオイルは、化学構造にシリコーン鎖以外の重合体ブロックを含まないシリコーン鎖である点で、ブロック共重合体(B)のシリコーン鎖とは相違する。
【0033】
シリコーンオイルの25℃における動粘度は、特に限定されないが、その下限値は、成形体への加工性が確実に向上する点から、20mm/sが好ましく、摩擦係数を確実に低減する点から、30mm/sがより好ましく、40mm/sが特に好ましい。一方で、シリコーンオイルの25℃における動粘度の上限値は、摩擦係数を確実に低減する点から、4000mm/sが好ましく、700mm/sがより好ましく、300mm/sがさらに好ましく、200mm/sが特に好ましい。なお、シリコーンオイルの25℃における動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、25℃の試験温度で測定することにより得ることができる。
【0034】
シリコーンオイルの数平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、成形体への加工性が確実に向上する点から、2000が好ましく、摩擦係数を確実に低減する点から、2500がより好ましく、3000がさらに好ましく、3500が特に好ましい。一方で、シリコーンオイルの25℃における数平均分子量の上限値は、摩擦係数を確実に低減する点から、45000が好ましく、40000がより好ましく、25000がさらに好ましく、20000がよりさらに好ましく、15000が特に好ましく、10000がさらに特に好ましい。なお、上記したシリコーンオイルの数平均分子量は、Warrikの式やBarryの式にて計算したものである。
【0035】
シリコーンオイルの化学構造としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有するポリジアルキルシロキサン構造、炭素数1~10のアルキル基とフェニル基を有するポリシロキサン構造等が挙げられる。このうち、摩擦係数を確実に低減する点から、炭素数1~10のアルキル基を有するポリジアルキルシロキサン構造が好ましく、炭素数1~5のアルキル基を有するポリジアルキルシロキサン構造を有することがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基を有するポリジアルキルシロキサン構造を有することがさらに好ましく、ジメチルポリシロキサン構造を有することが特に好ましい。
【0036】
また、シリコーンオイルの化学構造としては、シリコーン鎖の両末端が未変性のシリコーンオイル、シリコーン鎖の片末端のみ変性されたシリコーンオイル、シリコーン鎖の両末端ともに変性されたシリコーンオイル、ポリシロキサン構造の水素を他の元素(例えば、フッ素等のハロゲン元素)で置換した置換型シリコーンオイル等が挙げられる。このうち、摩擦係数を確実に低減する点から、シリコーン鎖の両末端が未変性のシリコーンオイル、シリコーン鎖の片末端のみ変性されたシリコーンオイルが好ましい。シリコーン鎖の両末端が未変性のシリコーンオイルとしては、両末端未変性のジメチルポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルが好ましく、シリコーン鎖の片末端のみ変性のシリコーンオイルとしては、片末端変性のジメチルポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルが好ましい。
【0037】
シリコーンオイルの配合量は、特に限定されないが、その下限値は、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、摩擦係数を確実に低減する点から、6.0質量部が好ましく、9.0質量部がより好ましく、12質量部が特に好ましい。一方で、シリコーンオイルの配合量の上限値は、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対して、摩擦係数がさらに確実に低減しつつ、成形体への加工性を確実に得る点から、18質量部が好ましく、17質量部がより好ましく、さらに優れた摩擦係数低減効果を発揮できる点から、16質量部が特に好ましい。
【0038】
シリコーンオイルの質量とブロック共重合体(B)の質量との比率は、特に限定されないが、摩擦係数がさらに確実に低減する点から、ブロック共重合体(B)100質量部に対して、70質量部以上2500質量部以下が好ましく、120質量部以上2000質量部以下がより好ましく、さらに優れた摩擦係数低減効果を発揮できる点から、200質量部以上1200質量部以下が特に好ましい。
【0039】
上記したシリコーンオイルは、1種のものを単独で使用してもよく、動粘度、平均分子量、化学構造について、異なる特性のものを併用してもよい。
【0040】
任意成分
本発明のゴム組成物では、(A)成分であるエチレンプロピレンジエンポリマーと、(B)成分であるシリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体と、(C)成分であるシリコーンオイル以外に、必要に応じて、他の成分、例えば、各種添加剤、離型剤、体質剤、着色剤等を、適宜、添加することができる。
【0041】
各種添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋促進助剤、老化防止剤、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、消臭剤、難燃剤、耐候性付与剤、帯電防止剤、スリップ剤、イオン交換剤等を挙げることができる。
【0042】
ゴム組成物の調製方法
本発明のゴム組成物の調製方法としては、例えば、上記(A)成分~(C)成分を含めた各成分を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ロールミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー、ブラベンダー等を用いて溶融混練することで調製する方法が挙げられる。また、必要に応じて、溶融混練前に、上記各成分を、予備混練してもよい。
【0043】
ゴム組成物の成形材
本発明のゴム組成物の成形材の形状は、特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状、リング状、リボン状、ブロック状等が挙げられる。本発明のゴム組成物を材料とした成形材の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記のように調製したゴム組成物を、押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、溶融流涎法、インフレーション成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、注型成形法等、公知の成形方法を用いることで、所定の形状に成形して成形材を製造することができる。
【0044】
ゴム組成物の用途
本発明のゴム組成物の用途としては、特に限定されず、Oリングやパッキン等のシール材の材料等を挙げることができる。上記から、本発明のゴム組成物から、成形材として、Oリングやパッキン等のシール材等を製造することができる。
【実施例
【0045】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1~21、比較例1、2
下記表1~3に示す各成分を下記表1~3に示す配合割合にて配合し、ニーダーを用いて60分の条件にて溶融混練させて、実施例1~21、比較例1、2にて使用するゴム組成物を調製した。そして、調製したゴム組成物をプレス成形法にて、シートの形状、寸法200mm×200mmに成形後、170℃にて10分間の一次加硫、150℃にて2時間の二次加硫を行って試験サンプルを作製した。なお、下記表1~3中の数字は質量部を示す。また、下記表2の配合量の空欄部は、配合なしを意味する。
【0047】
(A)エチレンプロピレンジエンポリマー
・NORDEL 6530XFC:エチレン量55質量%、ジエン量8.5質量%の高ジエンEPDM、DOW社。
【0048】
(B)シリコーン鎖とシリコーン鎖以外の重合体ブロックを有するブロック共重合体
・イクスフォーラ PE3027:ポリエチレン鎖-シリコーン鎖-ポリエチレン鎖で表されるトリブロック共重合体(ブロック共重合体(B)に相当)が、ポリエチレン膜(ポリオレフィン部に相当)に包まれているブロック共重合体複合体、ポリエチレン鎖-シリコーン鎖-ポリエチレン鎖で表されるトリブロック共重合体の質量:ポリエチレン膜の質量=30:70、三井化学ファイン株式会社。
【0049】
(C)シリコーンオイル
・KF-96 50CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度50mm/s、数平均分子量約3500、信越化学工業株式会社
・KF-96 10CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度10mm/s、数平均分子量約1000、信越化学工業株式会社
・KF-96 100CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度100mm/s、数平均分子量約5500、信越化学工業株式会社
・KF-96 500CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度500mm/s、数平均分子量約17500、信越化学工業株式会社
・KF-96 1000CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度1000mm/s、数平均分子量約25000、信越化学工業株式会社
・KF-96 3000CS:両末端が変性されていないジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度3000mm/s、数平均分子量約40000、信越化学工業株式会社
・X-22-164B:両末端がメタクリル基で変性されているジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度55mm/s、数平均分子量約3000、信越化学工業株式会社
・X-22-170DX:片末端のみが水酸基で変性されているジメチルポリシロキサン、25℃における動粘度65mm/s、数平均分子量約3000、信越化学工業株式会社
・FS-1265:フロロシリコーン(置換型シリコーンオイル)、25℃における動粘度10000mm/s、数平均分子量約14000、ダウ・東レ株式会社
【0050】
また、実施例1~21、比較例1、2の試験サンプル作製に使用した共通成分と、その配合量は以下の通りである。
体質剤
・二酸化ケイ素:配合量は25質量部。
【0051】
以下の成分は、各種添加剤である。
・老化防止剤:配合量は3.0質量部。
・架橋促進助剤:配合量は7.3質量部。
【0052】
・可塑剤:配合量は6.0質量部。
・カップリング剤:配合量は2.0質量部。
・架橋剤:配合量は6.0質量部。
【0053】
試験サンプルの評価項目は以下の通りである。
(1)摩擦係数
鈴木-松原式摩擦試験機にて、摩擦係数を測定し、以下の基準にて評価し、△2以上を合格とした。
◎:摩擦係数1.30以下
○:摩擦係数1.30超1.50以下
△1:摩擦係数1.50超2.50以下
△2:摩擦係数2.50超3.30以下
×:摩擦係数3.30超
【0054】
(2)加工性
ニーダーにて、加工性を評価し、以下の基準で評価した。
○:加工上問題なし
△:加工可能だが、通常より練り時間を要する
×:ニーダー内でゴムがまとまりにくくなり、成形できない
【0055】
評価結果を下記表1~3に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
上記表1に示すように、エチレンプロピレンジエンポリマーにポリエチレン鎖-シリコーン鎖-ポリエチレン鎖のトリブロック共重合体とシリコーンオイルを配合した実施例1~21では、摩擦係数の低減した成形体を得ることができ、試験サンプルの摺動性、滑り性が向上することが判明した。特に、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対してシリコーンオイルの配合量が10質量部~17質量部、上記トリブロック共重合体の配合量が0.90質量部~6.0質量部である実施例1~3、5~9、12、13にて、良好な加工性を有しつつ、確実に動摩擦係数が低減した。また、エチレンプロピレンジエンポリマー100質量部に対してシリコーンオイルの配合量が10質量部~15質量部、上記トリブロック共重合体の配合量が1.5質量部~4.5質量部である実施例2、3、5、6、8、9では、加工性がさらに向上しつつ、さらに確実に動摩擦係数が低減した。
【0060】
また、上記表1の実施例9、上記表2から、25℃における動粘度が10mm/s~100mm/sでは、さらに確実に動摩擦係数が低減し、25℃における動粘度が50mm/s~100mm/sでは、加工性もさらに向上した。また、上記表2の実施例14~18、20と実施例19、21の比較から、シリコーンオイルとして、両末端が変性されていないジメチルポリシロキサンまたは片末端のみ変性されたジメチルポリシロキサンを使用すると、両末端が変性されたジメチルポリシロキサンまたはフッ素で置換されたポリシロキサンを使用する場合と比較して、確実に動摩擦係数が低減した。
【0061】
一方で、上記トリブロック共重合体も、シリコーンオイルも配合しなかった比較例1、上記トリブロック共重合体は配合したが、シリコーンオイルを配合しなかった比較例2では、いずれも、摩擦係数を低減させることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のゴム組成物は、摩擦係数の低減した成形体を得ることができるので、広汎な分野で利用可能であり、特に、Oリングやパッキン等のシール材の材料の分野で利用価値が高い。