(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】キャッピング装置及びそれを備える3次元造形物製造装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240529BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20240529BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240529BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240529BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B29C64/112
B29C64/209
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2020122736
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良崇
(72)【発明者】
【氏名】富永 亮二郎
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-269513(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159307(WO,A1)
【文献】特開2008-260134(JP,A)
【文献】特開2012-206360(JP,A)
【文献】特開2011-245682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B29C 64/112
B29C 64/209
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルプレートに設けられ
所定方向に並べられた複数のノズル孔からインクが吐出するインクジェットヘッドに対してキャッピングを行うキャッピング装置であって、
前記キャッピングの際に、前記インクジェットヘッドからの押圧力が作用することによって、表面の一部領域が変形して前記ノズルプレートに密接する密接表面域が形成される弾性体
と、
前記所定方向に延在する溝が上面に設けられた基台と、
を備え、
前記弾性体の前記密接表面域は、前記ノズルプレートにおいて、前記弾性体が点接触又は線接触する位置から前記ノズル孔の周縁部に到達するまで連続的に増大することによって、前記
複数のノズル孔
の各々を密封
し、
前記弾性体は、円柱状であり、その中心軸が前記所定方向と平行になるようにして前記溝に取り付けられている、キャッピング装置。
【請求項2】
前記溝の断面は矩形状をなし、
前記弾性体の円形断面の直径は、前記溝の前記所定方向と直交する方向における幅と略等しく、
前記弾性体の円形断面の半径は、前記溝の深さと略等しく、
前記弾性体が前記溝に取り付けられた状態で、前記弾性体の中心軸よりも上側の部分が、前記溝から上方へ突出する、請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項3】
前記弾性体における前記押圧力の作用方向と前記弾性体の前記密接表面域の増大方向とに平行な面であって、前記ノズルプレートに点接触又は線接触する前記弾性体の先端を通る仮想平面で前記弾性体を切断した場合の断面において、前記密接表面域に相当する前記断面の輪郭線の一部分と、前記輪郭線の前記一部分の両端を結ぶ直線とに囲まれる変形領域は、前記弾性体の前記先端から離れるに連れて次第に幅広となる断面形状を有する請求項1
または請求項2に記載のキャッピング装置。
【請求項4】
前記弾性体において、前記変形領域の前記断面形状はアーチ形状である
請求項3に記載のキャッピング装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の前記キャッピング装置と、
前記キャッピング装置によって前記キャッピングが行われる前記インクジェットヘッドを有し、前記ノズル孔から吐出するインクによって、3次元積層造形で造形可能な厚さの層毎に3次元造形物を形成する印刷装置と、を備える3次元造形物製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットヘッドに対してキャッピングを行うキャッピング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記キャッピング装置に関し、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の技術は、流体を噴射するノズルが複数設けられた流体噴射ヘッドと、該流体噴射ヘッド側となる下流側に向けて前記流体を供給する流体供給流路とを有する流体噴射装置のメンテナンス装置であって、前記流体噴射ヘッドよりも上流側の圧力付与位置で、該流体供給流路内の前記流体に対して加圧を行うことで前記ノズルから前記流体を膨出させるとともに、該加圧に伴い前記ノズルから前記流体が膨出した状態において減圧を行う圧力付与機構と、該圧力付与機構が前記加圧及び前記減圧を行う場合に、前記圧力付与位置から前記各ノズルに至る流路毎の圧力損失の大きさに応じて、該圧力損失が相対的に小さい流路を通じて前記流体が供給される前記ノズルのノズル開口を閉塞するように前記流体噴射ヘッドに当接する当接部材と、を備える。
【0004】
下記特許文献1の記載によれば、このメンテナンス装置では、圧力付与機構が加圧及び減圧を行う場合に、当接部材が、圧力付与位置から各ノズルに至る流路毎の圧力損失の大きさに応じて、圧力損失が相対的に小さい流路を通じて流体が供給されるノズルのノズル開口を閉塞するように流体噴射ヘッドに当接する。そのため、流路の圧力損失が小さく、圧力が付与され易いノズルのノズル開口を閉塞した後に加圧及び減圧をすることで、ノズル開口が閉塞されていないノズル内に集中的に圧力を付与することができる。これにより、圧力損失が大きく、圧力が付与され難いノズルからも、効率よく気泡を排出させることができる。したがって、複数のノズル内から効率よく気泡を排出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このメンテナンス装置をキャッピング装置として使用する場合には、当接部材が流体噴射ヘッドに当接する際に、当接部材と流体噴射ヘッドとの間に気泡が入ってしまうと、その気泡でノズル内のインクがノズル開口付近で乾燥し、ノズル詰まりを起こす虞があった。
【0007】
本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、キャッピングを行う際にインクジェットヘッドのノズル孔及びその周縁部において気泡の形成を阻止することが容易なキャッピング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、ノズルプレートに設けられ所定方向に並べられた複数のノズル孔からインクが吐出するインクジェットヘッドに対してキャッピングを行うキャッピング装置であって、キャッピングの際に、インクジェットヘッドからの押圧力が作用することによって、表面の一部領域が変形してノズルプレートに密接する密接表面域が形成される弾性体と、所定方向に延在する溝が上面に設けられた基台と、を備え、弾性体の密接表面域は、ノズルプレートにおいて、弾性体が点接触又は線接触する位置からノズル孔の周縁部に到達するまで連続的に増大することによって、複数のノズル孔の各々を密封し、弾性体は、円柱状であり、その中心軸が所定方向と平行になるようにして溝に取り付けられている、キャッピング装置を、開示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、キャッピング装置は、キャッピングを行う際にインクジェットヘッドのノズル孔及びその周縁部において気泡の形成を阻止することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】3次元積層電子デバイス製造装置を示す図である。
【
図3】基板上に造形された3次元積層造形物を示す斜視図である。
【
図4】第2印刷部で使用されるインクジェットヘッドのノズル孔を示す図である。
【
図5】基板上に造形された3次元積層造形物を示す斜視図である。
【
図6】基板上に造形された3次元積層造形物を示す斜視図である。
【
図7】基板上に造形された3次元積層造形物を示す斜視図である。
【
図8】基板上に造形された3次元積層造形物を示す斜視図である。
【
図9】基板と3次元積層電子デバイスを示す斜視図である。
【
図10】第1造形ユニット及び第2造形ユニットを示す図である。
【
図13】第1キャッピング装置が第1印刷部のインクジェットヘッドに対するキャピングを行う際において、第1印刷部のインクジェットヘッドと、第1キャッピング装置の基台及び弾性体とが、
図12の線I-Iで切断された場合の各断面を示す図(以下、第1キャッピング装置等の断面図と表記する)である。
【
図16】第1キャッピング装置の弾性体の断面図である。
【
図17】第1変更例の第1キャッピング装置等の断面図である。
【
図18】第1変更例の第1キャッピング装置等の断面図である。
【
図19】第1変更例の第1キャッピング装置の弾性体の断面図である。
【
図20】第2変更例の第1キャッピング装置等の断面図である。
【
図21】第3変更例の第1キャッピング装置の弾性体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1に、3次元積層電子デバイス製造装置10を示す。3次元積層電子デバイス製造装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、装着ユニット26と、制御装置(
図2参照)27を備えている。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と装着ユニット26とは、3次元積層電子デバイス製造装置10のベース28の上に配置されている。ベース28は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース28の長手方向をX軸方向、ベース28の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0013】
なお、Z軸方向は、上下方向である。従って、以下では、Z軸方向を上下方向と称して説明することがある。また、図面では、構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0014】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している
。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(
図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのため、Y軸スライドレール50は、X軸方向に移動可能とされている。そして、そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(
図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース28上の任意の位置に移動する。
【0015】
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基板が載せられる。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基板のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基板が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60をZ軸方向で昇降させる。
【0016】
第1造形ユニット22は、ステージ52の基台60に載置された基板(
図3参照)70の上に回路配線層を造形するユニットであり、第1印刷部72と、焼成部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(
図2参照)76を有しており、基台60に載置された基板70の上に、金属インクを線状に吐出する。金属インクは、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズル孔から金属インクを吐出する。
【0017】
焼成部74は、レーザ照射装置(
図2参照)78を有している。レーザ照射装置78は、基板70の上に吐出された金属インクにレーザを照射する装置であり、レーザが照射された金属インクは焼成し、回路配線層が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子保護膜の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の回路配線層が形成される。
【0018】
また、第2造形ユニット24は、ステージ52の基台60に載せられた基板70の上に絶縁層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(
図2参照)88を有しており、基台60に載せらされた基板70の上に紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂である。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子の変形によって樹脂を複数のノズル孔から吐出するピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズル孔から吐出するサーマル方式でもよい。
【0019】
硬化部86は、平坦化装置(
図2参照)90と照射装置(
図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、絶縁層が形成される。
【0020】
また、装着ユニット26は、ステージ52の基台60に載せられた基板70の上に電子部品(
図7参照)94を装着するユニットであり、供給部100と、装着部102とを有している。供給部100は、テーピング化された電子部品94を1つずつ送り出すテープフィーダ(
図2参照)110を複数有しており、供給位置において、電子部品94を供給する。なお、供給部100は、テープフィーダ110に限らず、トレイから電子部品94をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。また、供給部100は、テープ型とトレイ型との両方、あるいはそれ以外の供給装置を備えた構成でもよい。
【0021】
装着部102は、装着ヘッド(
図2参照)112と、移動装置(
図2参照)114とを有している。装着ヘッド112は、電子部品94を吸着保持するための吸着ノズル(
図7参照)116を有している。吸着ノズル116は、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品94を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品94を離脱する。また、移動装置114は、テープフィーダ110による電子部品94の供給位置と、基台60に載せられた基板70との間で、装着ヘッド112を移動させる。これにより、装着部102では、テープフィーダ110から供給された電子部品94が、吸着ノズル116により保持され、その吸着ノズル116によって保持された電子部品94が、基板70の上に装着される。
【0022】
また、制御装置27は、
図2に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122とを備えている。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、レーザ照射装置78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92、テープフィーダ110、装着ヘッド112、移動装置114に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、装着ユニット26の作動が、コントローラ120によって制御される。
【0023】
次に、3次元積層電子デバイスの製造方法について説明する。
【0024】
まず、
図3に示すように、基板70の上に、3次元積層造形物202の1層目の絶縁層206が形成される。そのためには、ステージ52が第2造形ユニット24の下方に移動される。これにより、ステージ52の基台60に対してセットされている基板70は、第2造形ユニット24の下方に移動される。さらに、第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、基板70の上面に対して紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、硬化部86において、平坦化装置90が、その吐出された紫外線硬化樹脂を、その膜厚が均一となるように平坦化する。その後、照射装置92が、その平坦化された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化する。以後、上述した第2造形ユニット24における工程(つまり、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程)が繰り返されることによって、基板70の上では、3次元積層造形物202の1層目の絶縁層206が形成される。
【0025】
第2印刷部84で使用されるインクジェットヘッド88には、
図4に示すように、ノズルプレート128が設けられている。ノズルプレート128には、第1ノズル列130と第2ノズル列132が設けられている。第1ノズル列130と第2ノズル列132は、インクジェットヘッド88の長手方向に沿って設けられている。第1ノズル列130と第2ノズル列132では、複数のノズル孔134が所定ピッチを空けて並んでいる。さらに、第1ノズル列130の各ノズル孔134は、第2ノズル列132の各ノズル孔134に対して、インクジェットヘッド88の長手方向において、所定ピッチの半分ずれた位置に設けられている。つまり、インクジェットヘッド88では、各ノズル孔134が千鳥状に配置されている。
【0026】
第1ノズル列130と第2ノズル列132では、各ノズル孔134から紫外線硬化樹脂が吐出される。コントローラ120は、3次元積層造形物202の製造状況に応じて、紫外線硬化樹脂を吐出するノズル孔134を選択することが可能である。
【0027】
なお、これらの点は、第1印刷部72で金属インクを吐出するインクジェットヘッド76においても、同様である。インクジェットヘッド88,76は、2つのノズル列130,132が設けられたものに限らず、1つ又は3つ以上のノズル列が設けられたものであってもよい。また、インクジェットヘッド88,76は、各ノズル孔134が千鳥状に配置されたものに限らず、各ノズル孔134が格子状に配置されたものであってもよい。さらに、インクジェットヘッド88,76は、各ノズル孔134が所定ピッチで並んだものに限らず、例えば、各ノズル孔134のピッチが徐々に変化したり、或いは、各ノズル孔134が不規則に並んだものであってもよい。
【0028】
次に、基板70の上に、3次元積層造形物202の1層目の回路配線層208が形成され、硬化される。そのためには、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。さらに、
図5に示すように、第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、3次元積層造形物202の絶縁層206の上面に対して、金属インクを配線回路パターンに応じて線状に吐出する。これにより、3次元積層造形物202の絶縁層206の上面では、1層目の回路配線層208が複数形成される。その後、焼成部74において、レーザ照射装置78が、その線状に吐出された金属インクにレーザを照射する。これにより、金属インクが硬化する。このようにして、3次元積層造形物202の絶縁層206の上面では、各回路配線層208が硬化される。
【0029】
その後、第2造形ユニット24における工程及び第1造形ユニット22における工程が繰り返される。これにより、
図6に示すように、3次元積層造形物202では、2層目の絶縁層210が形成され、2層目の回路配線層212が複数形成され、硬化される。
【0030】
但し、第2造形ユニット24における工程では、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程が繰り返される際において、インクジェットヘッド88が、1層目の各回路配線層208の上面に対して、所定の部分が概して円形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。これにより、2層目の絶縁層210では、複数のビアホール214が形成される。各ビアホール214は、2層目の絶縁層210の上面から1層目の回路配線層208の上面に向かうに連れて先細りした形状である。さらに、インクジェットヘッド88が、1層目の絶縁層206の上面に対して、所定の部分が概して矩形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。これにより、2層目の絶縁層210では、キャビティ216が形成される。
【0031】
また、第1造形ユニット22における工程では、第1印刷部72の工程において、金属インクが、2層目の絶縁層210の上面から、各ビアホール214の傾斜面を経由して、1層目の各回路配線層208の上面に至るまで吐出される。従って、焼成部74の工程が実行されると、2層目の回路配線層212が、各ビアホール214の傾斜面を経由して、1層目の各回路配線層208と電気的に接続される。
【0032】
その後、第2造形ユニット24における工程及び第1造形ユニット22における工程が繰り返される。これにより、
図7に示すように、3次元積層造形物202では、3層目の絶縁層218が形成され、3層目の回路配線層220が複数形成され、硬化される。その際、2層目の絶縁層210にある各ビアホール214は、硬化した紫外線硬化樹脂で埋められる。さらに、3層目の絶縁層218では、2層目の絶縁層210に形成された各ビアホール214やキャビティ216と同様にして、複数のビアホール222やキャビティ2
24が形成される。これにより、3層目の回路配線層220が、各ビアホール222の傾斜面を経由して、2層目の各回路配線層212と電気的に接続される。また、3層目の絶縁層218に形成されたキャビティ224は、2層目の絶縁層210にあるキャビティ216と上下方向で連なった状態で設けられる。
【0033】
なお、以下の説明において、キャビティ216,224を区別せずに総称する場合は、キャビティ224と表記する。また、
図7では、1層目の絶縁層206の上面にある各回路配線層208と、2層目の絶縁層210に形成された各ビアホール214やキャビティ216は、省略している。
【0034】
続いて、ステージ52が装着ユニット26の下方に移動される。装着ユニット26では、テープフィーダ110により供給された電子部品94が、
図7に示すように、装着ヘッド112の吸着ノズル116に保持される。その保持された電子部品94は、装着ヘッド112が移動装置114で移動するに伴って、キャビティ224に装着される。その際、電子部品94の各電極96は、上方を向く。さらに、電子部品94の各電極96の上面と、3層目の絶縁層218の上面は、同一平面上に位置する。
【0035】
その後、第2造形ユニット24における工程(つまり、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程)が繰り返される。これにより、
図7に示すように、3層目の絶縁層218にある各ビアホール222は、硬化した紫外線硬化樹脂で埋められる。また、キャビティ224を区画する内壁面と電子部品94との間隙も、硬化した紫外線硬化樹脂で埋められる。さらに、第1造形ユニット22における工程が行われる。これにより、4層目の回路配線層226が、3層目の回路配線層220の一部と電子部品94の各電極96とを繋ぐように形成され、硬化される。これにより、電子部品94は、各回路配線層208,212,220,226と電気的に接続される。
【0036】
その後、第2造形ユニット24における工程(つまり、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程)が繰り返される。これにより、
図8に示すように、4層目の絶縁層227が形成される。
【0037】
なお、
図8では、2層目の絶縁層210の上面にある各回路配線層212と、3層目の絶縁層218に形成された各ビアホール222やキャビティ224は、省略している。これらの点は、
図9でも同様である。
【0038】
続いて、
図9に示すように、3次元積層造形物202は、溶剤などによって、基板70から分離され、3次元積層電子デバイス204となる。
【0039】
次に、インクジェットヘッド76,88に対して行われるキャッピングについて説明する。
【0040】
図10に示すように、第1造形ユニット22は、上記第1印刷部72及び焼成部74に加えて、第1キャッピング装置140及び第1ガイドレール142を備えている。第1ガイドレール142は、第1キャッピング装置140から第1印刷部72に亘り、X軸に沿って設けられている。第1ガイドレール142では、第1印刷部72のインクジェットヘッド76が、その長手方向をX軸方向に平行にさせた状態で、X軸方向へ移動可能にされている。第1キャッピング装置140は、金属インクを吐出するインクジェットヘッド76に対してキャッピングを行うものであって、基台144及び弾性体146等を備えている。弾性体146は、基台144の上面に固定されており(
図13参照)、第1ガイドレール142に沿った位置に配されている。
【0041】
第2造形ユニット24は、上記第2印刷部84及び硬化部86に加えて、第2キャッピング装置150及び第2ガイドレール152を備えている。第2ガイドレール152は、第2キャッピング装置150から第2印刷部84に亘り、X軸に沿って設けられている。第2ガイドレール152では、第2印刷部84のインクジェットヘッド88が、その長手方向をX軸方向に平行にさせた状態で、X軸方向へ移動可能にされている。第2キャッピング装置150は、紫外線硬化樹脂を吐出するインクジェットヘッド88に対してキャッピングを行うものであって、基台154及び弾性体156等を備えている。弾性体156は、基台154の上面に固定されており、第2ガイドレール152に沿った位置に配されている。
【0042】
図11に示すように、第1キャッピング装置140及び第2キャッピング装置150は、上記制御装置27に接続されている。制御装置27では、上記コントローラ120が、複数の駆動回路122を介して、2台の電磁モータ147,157及び2台の昇降装置148,158に接続されている。電磁モータ147及び昇降装置148は、第1キャッピング装置140に備えられている。電磁モータ157及び昇降装置158は、第2キャッピング装置150に備えられている。これらにより、第1キャッピング装置140及び第2キャッピング装置150の各作動が、コントローラ120によって制御される。
【0043】
第1キャッピング装置140において、電磁モータ147が駆動すると、第1ガイドレール142では、インクジェットヘッド76がX軸方向の任意の位置に移動する。また、第1キャッピング装置140において、昇降装置148が駆動すると、基台144(及び弾性体146)がZ軸方向(上下方向)の任意の位置に移動する。同様にして、第2キャッピング装置150において、電磁モータ157が駆動すると、第2ガイドレール152では、インクジェットヘッド88がX軸方向の任意の位置に移動する。また、第2キャッピング装置150において、昇降装置158が駆動すると、基台154(及び弾性体156)がZ軸方向(上下方向)の任意の位置に移動する。
【0044】
第1キャッピング装置140において、インクジェットヘッド76に対するキャッピングが行われる際は、
図12に示すように、まず、インクジェットヘッド76が、第1ガイドレール142に案内されることによって、第1印刷部72から第1キャッピング装置140の基台144(及び弾性体146)の上方にまで移動する。これにより、
図13の断面図に示すように、インクジェットヘッド76のノズルプレート128は、Z軸方向(上下方向)において、第1キャッピング装置140の基台144及び弾性体146と対向する。なお、ノズルプレート128の平面は、X軸方向及びY軸方向に平行な面である。
【0045】
図13には、インクジェットヘッド76と、第1キャッピング装置140の基台144及び弾性体146とが、
図12の線I-Iで切断された場合の、各断面が示されている。さらに詳しく言うと、
図13には、インクジェットヘッド76と、第1キャッピング装置140の基台144及び弾性体146とが、Y軸方向及びZ軸方向に平行な面であって、インクジェットヘッド76が備える複数のノズル孔134のうち1個のノズル孔134を通過する仮想平面で切断された場合の、各断面が示されている。
【0046】
従って、インクジェットヘッド76の各ノズル孔134は、X軸方向(
図13の紙面の垂直方向)に沿って並んでいる。また、第1キャッピング装置140の基台144及び弾性体146は、X軸方向(
図13の紙面の垂直方向)に沿って延在している。
【0047】
基台144は、略直方体状をなし、その長手方向がX軸方向(
図13の紙面の垂直方向)と平行にあり、その短手方向がY軸方向と平行にある状態で、第1キャッピング装置140内に配されている。基台144の下面には、上記昇降装置148(
図11参照)が連結されている。これに対して、基台144の上面には、溝145が設けられている。溝1
45は、その断面が矩形状をなし、X軸方向(
図13の紙面の垂直方向)に沿って延在している。
【0048】
弾性体146は、円柱状をなし、その円形断面の直径が、溝145の幅(Y軸方向の寸法)と略等しく設けられている。円柱状の弾性体146は、その中心軸149がX軸方向(
図13の紙面の垂直方向)と平行になるようにして、溝145に取り付けられている。なお、溝145に取り付けられた状態の弾性体146では、その中心軸149が、Y軸方向において、インクジェットヘッド76の各ノズル孔134から僅かにずれた位置に配されている。
【0049】
また、溝145の深さ(Z軸方向の寸法)は、弾性体146の円形断面の半径と略等しく設けられている。そのため、弾性体146が溝145に取り付けられた状態では、弾性体146の中心軸149よりも上側の約半分が、溝145から上方へ突出している。つまり、弾性体146の中心軸149よりも上側の約半分は、X軸方向(
図13の紙面の垂直方向)に沿って延在する溝145の全域において、インクジェットヘッド76のノズルプレート128へ向かって突出している。以下では、弾性体146の中心軸149よりも上側の約半分であって、溝145から突出している弾性体146の部分を、弾性体146の突出部分と称して説明する。
【0050】
このようにして、第1キャッピング装置140の弾性体146の突出部分の上方には、インクジェットヘッド76のノズルプレート128に設けられた各ノズル孔134が位置している。なお、インクジェットヘッド76では、各ノズル孔134及び各ノズル孔134に連通するインク室136において、金属インク138が満たされた状態にある。
【0051】
次に、第1キャッピング装置140では、弾性体146の突出部分をインクジェットヘッド76のノズルプレート128に押し付けるため、基台144が、Z軸方向(上下方向)のうち、上向きのZ1方向へ、上記昇降装置148によって移動させられる。
【0052】
その際、
図14に示すように、ノズルプレート128では、まず、ノズル孔134の周縁部135付近の位置162において、弾性体146が、X軸方向(
図14の紙面の垂直方向)に沿って線接触する状態になる。これにより、弾性体146の突出部分には、ノズルプレート128と線接触した箇所において、インクジェットヘッド76からの押圧力Fが、Z軸方向(上下方向)のうち、下向きのZ2方向へ、つまり、弾性体146の内方へ向かって作用する。そのため、弾性体146の突出部分では、その表面160のうち、ノズルプレート128と線接触した箇所が、変形しながらノズルプレート128に隙間なく接して、密接表面域164を形成する。つまり、密接表面域164とは、弾性体146の表面160の一部領域であって、変形しながらノズルプレート128に隙間なく接している領域をいう。
【0053】
なお、弾性体146は、押圧力Fが作用しなくなると、ほぼ元の形状に戻る性質をもつものである。
【0054】
引き続き、基台144がZ1方向(上向き)へ移動させられると、基台144がノズルプレート128に近づくに連れて、弾性体146の密接表面域164が、押圧力Fと共に大きくなる。そのため、
図15に示すように、弾性体146の密接表面域164は、ノズルプレート128において、弾性体146が線接触した位置162からY軸方向の両側へ向かって連続的に広がっていく。
【0055】
さらに、基台144は、弾性体146の密接表面域164が各ノズル孔134の周縁部135を含むまで、Z1方向(上向き)へ移動させられる。これにより、各ノズル孔13
4の周縁部135は、弾性体146の表面160と密接した状態になる。そのため、各ノズル孔134は、弾性体146によって塞がれる。このようにして、第1キャッピング装置140では、インクジェットヘッド76の各ノズル孔134が弾性体146の密接表面域164で密封されることによって、インクジェットヘッド76に対するキャッピングが行われる。
【0056】
上述した点は、第2キャッピング装置150で行われるインクジェットヘッド88に対するキャッピングについても、同様である。
【0057】
以上詳細に説明したように、本実施形態の第1,第2キャッピング装置140,150では、弾性体146,156の表面160のうち、変形しながらノズルプレート128に隙間なく接している密接表面域164が、ノズルプレート128において、弾性体146,156が線接触した位置162から、各ノズル孔134の周縁部135を含むまで連続的に広がる。これによって、インクジェットヘッド76,88に対するキャッピングが行われる。
【0058】
そのため、本実施形態の第1,第2キャッピング装置140,150では、キャッピングを行う際にインクジェットヘッド76,88のノズル孔134及びその周縁部135において気泡の形成を阻止することが容易である。
【0059】
以下では、第1キャッピング装置140に設けられている弾性体146の断面について、その形状の特徴を説明する。
図16には、弾性体146を、Z軸方向及びY軸方向に平行な面であって、弾性体146の先端166と交差する仮想平面で切断した場合の断面が示されている。弾性体146の先端166は、弾性体146がノズルプレート128に線接触する箇所である。Z軸方向は、上下方向であって、弾性体146における押圧力Fの作用方向(下向きのZ2方向)を含んでいる。Y軸方向は、ノズルプレート128において弾性体146の密接表面域164が連続的に広がっていく方向である。なお、上記
図13に示された弾性体146の断面は、
図16に示された弾性体146の断面と同一形状である。
【0060】
図16では、弾性体146の断面を示す円形の輪郭線のうち、弾性体146の密接表面域164に相当する部分を、輪郭線の一部分168として実線で示している。ここでは、弾性体146の断面のうち、密接表面域164に相当する輪郭線の一部分168と、その輪郭線の一部分168の両端170,170を結ぶ直線172とに囲まれる領域を、変形領域174と定義する。そのような変形領域174は、弾性体146の先端166から中心軸149へ向かうに連れて、Y軸方向の寸法が徐々に大きくなる断面形状を有している。つまり、変形領域174の断面形状は、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となるアーチ形状である。
【0061】
なお、弾性体146の密接表面域164は、X軸方向とY軸方向に平行なノズルプレート128において、弾性体146がX軸方向に沿って線接触した位置162から、X軸方向を除く全方位(つまり、X軸方向とY軸方向に平行な平面上の全方位のうち、X軸方向を除くあらゆる方向)へ連続的に広がっていくとも言える。従って、弾性体146を切断する仮想平面が、X軸方向とY軸方向に平行な平面上の全方向のうち、X軸方向を除くいずれか一つの方向と、Z軸方向とに平行であって、弾性体146の先端166を交差する面であれば、変形領域174の断面形状は、同様にして、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となるアーチ形状となる。
【0062】
これらの特徴は、第2キャッピング装置150に設けられている弾性体156の断面形状についても、同様である。
【0063】
ちなみに、本実施形態において、第1印刷部72又は第2印刷部84は、印刷装置の一例である。第1キャッピング装置140又は第2キャッピング装置150は、キャッピング装置の一例である。金属インク138又は紫外線硬化樹脂は、インクの一例である。3次元積層造形物202又は3次元積層電子デバイス204は、3次元造形物の一例である。Y軸方向は、密接表面域の増大方向の一例である。Z2方向は、押圧力の作用方向の一例である。
【0064】
3次元積層電子デバイス製造装置10は、3次元造形物製造装置の一例である。なお、3次元積層電子デバイス製造装置10から装着ユニット26が排除された場合でも、このような装置は、電子部品94が装着されない3次元積層造形物202を製造することが可能であることから、3次元造形物製造装置の一例である。
【0065】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0066】
例えば、弾性体146,156は、上記実施形態での円柱状とは異なり、三角柱状であってもよい。このような場合を、弾性体146を例にして、
図17乃至
図20に示す。以下の説明では、上記実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0067】
図17乃至
図19に示す場合では、弾性体146の断面形状が、二等辺三角形であって、その頂角である先端166がノズルプレート128に向いた状態にある。基台144の溝145は、その幅(Y軸方向の寸法)が、弾性体146の断面形状である二等辺三角形の底辺長さと略等しく設けられている。さらに、基台144の溝145は、その深さ(Z軸方向の寸法)が、弾性体146の断面形状である二等辺三角形の高さよりも浅く設けられている。このような場合の変形領域174の断面形状は、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となる二等辺三角形の形状である。
【0068】
また、
図20に示すように、弾性体146の断面形状が直角三角形であってもよい。このような場合、基台144の溝145は、その幅(Y軸方向の寸法)が、弾性体146の断面形状である直角三角形の直角を挟む2辺のうち、一方の辺長と略等しく設けられている。さらに、基台144の溝145は、その深さ(Z軸方向の寸法)が、弾性体146の断面形状である直角三角形の直角を挟む2辺のうち、他方の辺長よりも浅く設けられている。このような場合の変形領域の断面形状(図示省略)は、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となる直角三角形の形状である。
【0069】
また、例えば、弾性体146,156は、その断面形状において、ノズルプレート128に線接触する箇所である先端166が、2箇所あってもよい。このような場合を、弾性体146を例にして、
図21に示す。
図21に示す例の場合は、2箇所の先端166毎に変形領域174が定義されるが、各変形領域174の断面形状も、同様にして、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となる。なお、
図21に示された各変形領域174の断面形状は、三角形であるが、上方へ突出する円の一部(
図16参照)であってもよい。これらの点は、先端166が3箇所以上あっても、同様である。
【0070】
また、第1,第2キャッピング装置140,150は、第1,第2印刷部72,84の内部に設けられてもよいし、第1,第2造形ユニット22,24の外部に設けられてもよい。
【0071】
また、第1,第2キャッピング装置140,150では、基台144,154を不動と
し、インクジェットヘッド76,88がZ2方向(下向き)へ移動させられることによって、インクジェットヘッド76,88のノズルプレート128が、弾性体146,156の突出部分に押し付けられてもよい。
【0072】
また、第1,第2キャッピング装置140,150では、インクジェットヘッド76,88に対するキャッピングが行われる際において、基台144,154又はインクジェットヘッド76,88が、Z軸方向(上下方向)とは交差する方向へ移動させられてもよい。
【0073】
また、第1,第2キャッピング装置140,150は、ノズル孔134が1個のみ設けられているインクジェットヘッド76,88に対しても、キャッピングを行うことが可能である。
【0074】
また、第1,第2キャッピング装置140,150では、インクジェットヘッド76,88に対するキャッピングが行われる際において、弾性体146,156が、ノズルプレート128に対して、第1ノズル列130又は第2ノズル列132が設けられた位置に線接触してもよい。つまり、弾性体146,156は、各ノズル孔134に線接触してもよい。
【0075】
また、弾性体146は、その外形が、円錐、角錐、球体、又は楕円体等であってもよい。このような場合、弾性体146の先端166は、弾性体146がノズルプレート128に点接触する箇所になる。従って、弾性体146の外形が円錐又は角錐の場合には、円錐又は角錐の頂点が、弾性体146の先端166となる。さらに、弾性体146の密接表面域164は、X軸方向とY軸方向に平行なノズルプレート128において、弾性体146が点接触した位置から、全方位(つまり、X軸方向とY軸方向に平行な平面上のあらゆる方向)へ連続的に広がっていく。従って、弾性体146を切断する仮想平面が、X軸方向とY軸方向に平行な平面上の全方向のうち、いずれか一つの方向と、Z軸方向とに平行であって、弾性体146の先端166を通過する面であれば、変形領域174の断面形状は、弾性体146の先端166から離れるに連れて、次第に幅広となる。これらの点は、弾性体156においても、同様である。
【0076】
また、上記実施形態において、弾性体146は、
図15又は
図18に示すように、圧縮力(押圧力F)による外形変形と共に体積変化が起きる性質を有するものであるが、例えば、ゴム材のように、圧縮力(押圧力F)で外形変形しても、体積変化が殆ど起きない非圧縮性の性質を有するものであってもよい。このような場合、インクジェットヘッド76と基台144との間や、弾性体146が取り付けられた際の溝145内の空間は、弾性体146の逃げ代として機能する。これらの点は、弾性体156においても、同様である。
【符号の説明】
【0077】
10:3次元積層電子デバイス製造装置、72:第1印刷部、76:インクジェットヘッド、84:第2印刷部、88:インクジェットヘッド、128:ノズルプレート、134:ノズル孔、135:ノズル孔の周縁部、138:金属インク、140:第1キャッピング装置、146:弾性体、150:第2キャッピング装置、156:弾性体、160:弾性体の表面、162:ノズルプレートで弾性体が線接触する位置、164:弾性体の密着表面域、166:弾性体の先端、168:輪郭線の一部分、170:輪郭線の一部分の両端、172:直線、174:変形領域、202:3次元積層造形物、204:3次元積層電子デバイス、F:押圧力