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▶ 株式会社ニトリホールディングスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】取付器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/12 20060101AFI20240529BHJP
   F21S 6/00 20060101ALI20240529BHJP
   F21V 21/26 20060101ALI20240529BHJP
   F21V 21/088 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16B2/12 B
F21S6/00 100
F21V21/26 110
F21V21/088 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020129726
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022027663
(43)【公開日】2022-02-14
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敬介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋行
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-069807(JP,A)
【文献】実開昭55-027827(JP,U)
【文献】特開昭57-184675(JP,A)
【文献】実開昭63-008406(JP,U)
【文献】特開平06-264906(JP,A)
【文献】実開昭63-176215(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00-2/26
F21S 6/00
F21V 21/26
F21V 21/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を部材に取り付けるための取付器具において、
第1の取付部と、
前記第1の取付部に対してスライド可能に取り付けられた可動部と、
前記可動部と螺合するねじを有し、前記ねじの回転に応じて前記可動部を前記第1の取付部に対してスライドさせることで、前記可動部と前記第1の取付部との間の距離を調整可能な調整部と、
前記取付器具の一部として使用または不使用が選択可能とされた第2の取付部と、
を備え、
前記第2の取付部が使用される場合、および前記第2の取付部が使用されない場合の両者において、前記第1の取付部は、前記調整部により距離が調整される前記可動部と前記第1の取付部との間に前記部材が挟み込まれた状態で前記部材に対して固定され、
前記第2の取付部が使用される場合、前記第2の取付部は、前記第1の取付部と前記調整部との間に挟み込まれた状態で固定され、
前記第1の取付部には、前記対象物が第1の方向に挿入される第1の取付孔が形成され、
前記第2の取付部には、前記対象物が前記第1の方向とは異なる第2の方向に挿入される第2の取付孔が形成され、
前記第2の取付部が使用される場合、前記第2の取付部が前記第1の取付部に対して固定されたときに、前記第1の取付孔の開口が前記第2の取付部により覆われる、取付器具。
【請求項2】
前記第1の方向は、前記第1の取付部に対する前記可動部のスライド方向であり、
前記第2の方向は、前記スライド方向と直交する方向である、請求項1に記載の取付器具。
【請求項3】
前記調整部は、前記ねじを回転させるための操作部を有し、
前記第2の取付部が使用される場合、前記第2の取付部は、前記操作部と前記第1の取付部との間に挟み込まれた状態で、前記第1の取付部に対して固定される、請求項1または2に記載の取付器具。
【請求項4】
前記第2の取付部が使用されない場合、前記第1の取付部は、前記操作部と前記部材との間に挟み込まれた状態で、前記部材に対して固定される、請求項3に記載の取付器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を部材に取り付けるための取付器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明スタンドを机の外縁部などに取り付ける取付器具が知られている。取付器具には、照明スタンドの支柱を挿入可能な取付孔が設けられ、支柱の基端部を取付孔に差し込むことにより、照明スタンドが固定される。特許文献1には、受座を取り付ける位置を変更することにより、垂直板と水平板のいずれにも照明スタンドを取り付けることができる取付器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-069807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明スタンドなどの対象物を、机だけではなく、例えば、ベッドボードなど、異なる部材に対して共通の取付器具を用いて固定できれば、機能上、便利である。また、このような機能を満たしつつ、意匠の面でも優れた取付器具の提案が望まれている。
【0005】
本発明は、様々な部材に対して対象物を取り付けることができ、かつ意匠の面で優れる取付器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、
対象物を部材に取り付けるための取付器具において、
第1の取付部と、
前記第1の取付部に対してスライド可能に取り付けられた可動部と、
前記可動部と螺合するねじを有し、前記ねじの回転に応じて前記可動部を前記第1の取付部に対してスライドさせることで、前記可動部と前記第1の取付部との間の距離を調整可能な調整部と、
前記取付器具の一部として使用または不使用が選択可能とされた第2の取付部と、
を備え、
前記第2の取付部が使用される場合、および前記第2の取付部が使用されない場合の両者において、前記第1の取付部は、前記調整部により距離が調整される前記可動部と前記第1の取付部との間に前記部材が挟み込まれた状態で前記部材に対して固定され、
前記第2の取付部が使用される場合、前記第2の取付部は、前記第1の取付部と前記調整部との間に挟み込まれた状態で固定され、
前記第1の取付部には、前記対象物が第1の方向に挿入される第1の取付孔が形成され、
前記第2の取付部には、前記対象物が前記第1の方向とは異なる第2の方向に挿入される第2の取付孔が形成された、取付器具
が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な部材に対して対象物を取り付けることができ、かつ意匠の面で優れる取付器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本実施例の取付器具を示す斜視図である。
図1B】本実施例の取付器具を示す斜視図である。
図1C】本実施例の取付器具を示す斜視図である。
図1D】本実施例の取付器具を示す斜視図である。
図1E】本実施例の取付器具を示す分解斜視図である。
図2A】本実施例の取付器具を示す斜視図である。
図2B】本実施例の取付器具を示す分解斜視図である。
図3】第2の取付部を使用した状態の取付部材を用いて、照明スタンドを固定する例を示す図である。
図3A図3の一部拡大図である。
図4】第2の取付部を使用しない状態の取付部材を用いて、照明スタンドを固定する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1A図1Dおよび図2Aは、本実施例の取付器具を示す斜視図、図1Eおよび図2Bは、本実施例の取付器具を示す分解斜視図である。図1A図1Dは、第2の取付部を使用した状態を示し、図2Aおよび図2Bは、第2の取付部を使用しない状態を示している。
【0011】
本実施例の取付器具10は、第1の取付部1と、取付器具の一部として使用または不使用が選択可能とされた第2の取付部2と、第1の取付部1に対して、矢印101に沿った方向(双方向)にスライド可能に取り付けられた可動部3と、可動部3と螺合するねじ41(図1E図2B)を有し、ねじ41の回転に応じて可動部3を第1の取付部1に対して矢印101に沿った方向(双方向)にスライドさせる調整部4と、を備える。
【0012】
第1の取付部1には、対象物、例えば、照明スタンドの支柱が第1の方向(矢印101の方向)に挿入される取付孔11(第1の取付孔の一例)が形成されている。第2の取付部2には、対象物が第1の方向とは異なる第2の方向(矢印102の方向)に挿入される取付孔21(第2の取付孔の一例)が形成されている。矢印101の方向と、矢印102の方向は、互いに直交している。
【0013】
図1Eに示すように、調整部4は、ねじ41に接続された操作部42を有し、操作部42を操作することによりねじ41を回転させることができる。調整部4のねじ41は、第2の取付部2に形成された孔22および第1の取付部1に形成された開口15を介して、第1の取付部1の内部に挿入可能とされている。可動部3には不図示の雌ねじが形成され、雄ねじとして形成されたねじ41が第1の取付部1の内部において可動部3の雌ねじと螺合する。これにより、操作部42への操作によりねじ41を回転させることで、可動部3を矢印101に沿った方向(双方向)に移動させることができる。
【0014】
可動部3には、対象物が取り付けられる部材に当接する当接面31が形成されている。第1の取付部1には、当接面と対向する位置に配置され、部材に当接する当接面12(図1D)が形成されている。調整部4のねじ41を可動部3の雌ねじと螺合させた状態で、操作部42を回転させると、可動部3が矢印101に沿った方向(双方向)に移動し、当接面31と、当接面12との間の距離を調整することができる。部材を当接面31と、当接面12との間に差し込んだ状態で、操作部42を矢印101の方向から視て時計回り方向に回転させると、当接面31と、当接面12との間の距離が縮小する。さらに、操作部42を同方向に締め付けることで、部材が当接面31と当接面12との間に挟み込まれる。このとき、当接面31と操作部42との間で、部材、第1の取付部1および第2の取付部2が共締めされる。すなわち、第1の取付部1は、操作部42と、第2の取付部2との間に挟み込まれて固定され、第2の取付部2は、操作部42と第1の取付部1の間に挟み込まれて固定される。これにより、部材に対して、第1の取付部1および第2の取付部2の両者が固定された状態となる。
【0015】
なお、当接面31および当接面12を弾性を有する面として形成することで、滑りを抑えて安定した部材への固定状態を確保することができる。また、第2の取付部2に操作部42と係合する凹部23(図1E)を形成し、第1の取付部1に第2の取付部2の凸部(不図示)と係合する凹部13(図1E)を形成することで、第2の取付部2を安定して固定することができる。さらに、第2の取付部2に、第1の取付部1の取付孔11と係合する凸部(不図示)を形成することもできる。
【0016】
部材に対して、第1の取付部1および第2の取付部2の両者が固定された状態(図1A図1D)においては、第1の取付部1の取付孔11の開口(図1Eにおける上方に向いた開口)は、第2の取付部2により覆われた状態となる。
【0017】
図3は、第2の取付部を使用した状態の取付部材を用いて、照明スタンドを固定する例を示す図、図3Aは、図3の一部拡大図である。
【0018】
図3および図3Aに示すように、第2の取付部2を使用した状態の取付器具10は、当接面31および当接面12の間に垂直板51(部材の一例、例えば、ベッドボード)を挟み込む状態で、垂直板51に対して固定される。また、照明スタンド6(対象物の一例)の基端部61が第2の取付部2の取付孔21に挿入されて、照明スタンド6が取り付けられる。この場合、第1の取付部1の取付孔11の開口(図1Eにおける上方に向いた開口)は、第2の取付部2により覆われた状態となるので、余計な取付孔(取付孔11)が視認されることなく、取付器具10に対し、視覚的にすっきりとした印象が与えられる。なお、照明スタンド6の基端部61を、取付孔21に対して回動自在に取り付け可能とすることで、照明スタンド6の取付方向を調整することができる。
【0019】
図2Aおよび図2Bに示すように、第2の取付部2を使用しない場合、調整部4のねじ41は、第1の取付部1に形成された開口15(図2B)を介して、第1の取付部1の内部に挿入可能とされている。雄ねじとして形成されたねじ41が第1の取付部1の内部において可動部3の雌ねじ(不図示)と螺合する。これにより、操作部42への操作によりねじ41を回転させることで、可動部3を矢印101に沿った方向(双方向)に移動させることができる。
【0020】
調整部4のねじ41を可動部3の雌ねじと螺合させた状態で、操作部42を回転させると、可動部3が矢印101に沿った方向(双方向)に移動し、当接面31と、当接面12との間の距離を調整することができる。部材を当接面31と、当接面12との間に差し込んだ状態で、操作部42を矢印101の方向から視て時計回り方向に回転させると、当接面31と、当接面12との間の距離が縮小する。さらに、操作部42を同方向に締め付けることで、部材が当接面31と当接面12との間に挟み込まれる。このとき、当接面31と操作部42との間で、部材および第1の取付部1が共締めされる。すなわち、第1の取付部1は、操作部42と、部材との間に挟み込まれて固定される。これにより、部材に対して、第1の取付部1が固定された状態となる。
【0021】
このとき、第1の取付部1に形成された凹部13(図2B)を操作部42と係合させることにより、第1の取付部1を安定して固定することができる。
【0022】
図4は、第2の取付部を使用しない状態の取付部材を用いて、照明スタンドを固定する例を示す図である。
【0023】
図4に示すように、第2の取付部2を使用しない状態の取付器具10は、当接面31および当接面12の間に水平板52(部材の一例、例えば、机)を挟み込む状態で、水平板52に対して固定される。また、照明スタンド6の基端部61が第1の取付部1の取付孔11に挿入されて、照明スタンド6が取り付けられる。なお、照明スタンド6の基端部61を、取付孔11に対して回動自在に取り付け可能とすることで、照明スタンド6の取付方向を調整することができる。
【0024】
このように、本実施例の取付器具10によれば、第2の取付部2をアダプタとして用意している。このため、第2の取付部2を使用する状態では取付孔21を介し、第2の取付部2を使用しない状態では取付孔11を介し、それぞれ対象物を取り付けることができる。したがって、部材の種類に応じた状態を選択することにより、対象物を所望の向きに取り付けることが可能となる。また、第2の取付部2をアダプタとすることにより、アダプタの使用、不使用に依らず、どちらの状態においても優れた意匠を確保することができる。例えば、第2の取付部2を使用したときには、機能的に不要な取付孔11が視認されない状態とすることができる。
【0025】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 第1の取付部
2 第2の取付部
3 可動部
4 調整部
10 取付器具
11 取付孔
21 取付孔
41 ねじ
51 垂直板
52 水平板
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図3A
図4