(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、および情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240529BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20240529BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
G06Q30/015
(21)【出願番号】P 2020132745
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2022-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水口 夕輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 眞也
(72)【発明者】
【氏名】富岡 茉里
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215667(JP,A)
【文献】特開2018-010603(JP,A)
【文献】特開2018-132811(JP,A)
【文献】特開2008-67777(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170411(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に関する情報を取得する手段と、
少なくとも前記顧客に関する情報を参照して、前記顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように少なくとも非外観上の特性を含む特性を個別に付与された対象商品
であって、ぬいぐるみである対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された前記非外観上の特性を含む特性に関する情報を提示する手段と
を具備する、情報提供装置。
【請求項2】
前記顧客に関する情報は、前記顧客の購入履歴に関する情報を含む、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記提示する手段は、前記対象商品の個体のいずれかを前記顧客が購入したことがある場合に、当該個体に付与された特性に関する情報を提示する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記提示する手段は、前記対象商品の個体のいずれかを前記顧客が購入したことがあるか否かを示す情報を提示し、前記対象商品の個体のいずれかを前記顧客が購入したことがある場合に当該個体に付与された特性と前記対象個体に付与された特性との間の一致または不一致の少なくとも1つを示す情報をさらに提示する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記提示する手段は、前記対象商品の個体のいずれかを前記顧客が購入したことがあるか否かを示す情報を提示し、前記対象商品の個体のいずれかを前記顧客が購入したことがある場合に当該個体に付与された特性を示す情報と、前記対象個体に付与された特性を示す情報とをさらに提示する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記顧客の指定に応じて、前記対象個体を特定する手段
をさらに具備する、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記顧客に関する情報は、商品に関連するゲーム、アプリケーション、サービス、およびプラットフォームの少なくとも1つに関する前記顧客の利用履歴、ならびに前記顧客の嗜好、および性格の少なくとも1つに関する情報、の少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記提示する手段は、商品の在庫に関する情報をさらに参照して、前記顧客に、前記対象個体に付与された特性に関する情報を提示する、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項9】
在庫のある商品のいずれかを前記対象商品として特定する手段と、
特定された前記対象商品の個体のいずれかを前記対象個体として特定する手段と
をさらに具備する、請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記対象個体に付与する特性を決定する手段をさらに具備する、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記決定する手段によって決定された特性を前記対象個体に付与する手段をさらに具備する、
請求項10に記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記顧客が新規顧客であるか否かを判定する手段と、
前記顧客が新規顧客であると判定された場合に、新規顧客の来店を報知する手段と
をさらに具備する、
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項13】
コンピュータが、
顧客に関する情報を取得することと、
少なくとも前記顧客に関する情報を参照して、前記顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように少なくとも非外観上の特性を含む特性を個別に付与された対象商品
であって、ぬいぐるみである対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された前記非外観上の特性を含む特性に関する情報を提示することと
を具備する、情報提供方法。
【請求項14】
コンピュータを、
顧客に関する情報を取得する手段、
少なくとも前記顧客に関する情報を参照して、前記顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように少なくとも非外観上の特性を含む特性を個別に付与された対象商品
であって、ぬいぐるみである対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された前記非外観上の特性を含む特性に関する情報を提示する手段
として機能させる、情報提供プログラム。
【請求項15】
顧客に関する情報を取得する手段と、
少なくとも前記顧客に関する情報を参照して、前記顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように少なくとも非外観上の特性を含む特性を個別に付与された対象商品
であって、ぬいぐるみである対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された前記非外観上の特性を含む特性に関する情報を提示する手段と
を具備する、情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、および情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個々の顧客に適した情報を提示することで、顧客に便益をもたらすことができる。
【0003】
特許文献1には、各顧客の購入履歴を管理しておき、顧客が購入商品の精算を行う時に、当該購入商品が当該顧客の購買履歴中にある場合、または買い忘れている商品がある場合に警告を発したり、顧客の嗜好分野に属する新規商品をあっせんしたりするシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムは、各顧客に購買履歴に応じた情報を提供する。しかしながら、このシステムは、消耗品(例えば調味料)のような永続的使用の不可能な(つまり、買い替えが必須の)商品、または書籍のような同一商品を重複購入することが通常考えにくい商品を取り扱うことを前提としている。例えば、ぬいぐるみなどのキャラクタグッズは、顧客によっては同一商品を重複購入したくなる商品であり、このシステムをかかる商品に関してそのまま適用したとしても、顧客に適切な情報を提示できるとは限らない。
【0006】
本開示の目的は、商品の購入に関わる新規な顧客体験を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報提供装置は、顧客に関する情報を取得する手段と、少なくとも顧客に関する情報を参照して、顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように特性を個別に付与された対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された特性に関する情報を提示する手段とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、商品の購入に関わる新規な顧客体験を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の商品のある個体を指定した場合に顧客に提示される画面の一例を示す図である。
【
図5】
図3の商品の別の個体を指定した場合に顧客に提示される画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の顧客データベースのデータ構造を示す図である。
【
図7】本実施形態の購入履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【
図8】本実施形態の情報提供処理のフローを示す図である。
【
図9】変形例1のゲームプレイ履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【
図10】変形例1の在庫データベースのデータ構造を示す図である。
【
図11】変形例2の情報提供処理のフローを示す図である。
【
図12】変形例3の情報提供処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)情報提供システムの構成
情報提供システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、情報提供システム1は、ユーザ端末10(「情報提供装置」の一例)と、店舗端末20と、顧客情報管理装置30と、商品情報管理装置40とを備える。
ユーザ端末10、店舗端末20、顧客情報管理装置3、および商品情報管理装置40は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0013】
ユーザ端末10は、顧客が所持する情報処理装置(つまりコンピュータ)である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイスである。ユーザ端末10は、顧客の操作に応答して当該顧客にふさわしい情報を提供する。
【0014】
店舗端末20は、店舗に配置される情報処理装置である。店舗端末20は、例えば、決済端末、接客ロボット、商品検索用端末、チェックイン端末、またはそれらの組み合わせである。店舗端末20は、顧客、または店員の操作に応答して、顧客の購買行動を支援する。
【0015】
顧客情報管理装置30は、顧客に関する情報を管理する情報処理装置である。顧客情報管理装置30は、例えば、ウェブサーバ、データベースサーバ、またはそれらの組み合わせである。
【0016】
商品情報管理装置40は、商品に関する情報を管理する情報処理装置である。商品情報管理装置40は、例えば、ウェブサーバ、データベースサーバ、またはそれらの組み合わせである。
【0017】
(1-1)ユーザ端末の構成
ユーザ端末10の構成について説明する。
図2は、本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、ユーザ端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。ユーザ端末10は、入力デバイス15、および出力デバイス16の少なくとも1つと接続可能である。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、ユーザ端末10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。
【0023】
入出力インタフェース13は、入力デバイス15から信号(例えば、ユーザの指示、センシング信号、またはそれらの組み合わせ)を取得し、かつ、出力デバイス16に信号(例えば、画像信号、音声信号、またはそれらの組み合わせ)を出力するように構成される。
入力デバイス15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサ、又は、それらの組合せである。
出力デバイス16は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、またはそれらの組み合わせである。
【0024】
通信インタフェース14は、ユーザ端末10と外部装置(例えば、店舗端末20、顧客情報管理装置30、および商品情報管理装置40の少なくとも1つ)との間の通信を制御するように構成される。
【0025】
(1-2)店舗端末、顧客情報管理装置、および商品情報管理装置の構成
店舗端末20、顧客情報管理装置30、および商品情報管理装置40は、いずれも情報処理装置であって、ユーザ端末10と同種のハードウェアを備えることができる。
【0026】
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
図3は、商品の陳列の一例を示す図である。
図4は、
図3の商品のある個体を指定した場合に顧客に提示される画面の一例を示す図である。
図5は、
図3の商品の別の個体を指定した場合に顧客に提示される画面の一例を示す図である。
【0027】
本実施形態のユーザ端末10は、店舗における顧客の購買行動に資する情報を提供する。店舗には、
図3に示すように、1以上の商品について、それぞれ1以上の商品個体(以降、「個体」とする)PR11,PR12,・・・が陳列される。
【0028】
情報提供の対象となる商品(以降、「対象商品」とする)は、一例として、キャラクタグッズ、ファングッズ、またはその他コンテンツ関連グッズであって、かつ品質が均一となるように設計された工業製品であるが、この例に限られない。対象商品の各個体は、同一品目の他の個体との間に個体差が生じるように特性が個別に付与される。
特性は、外観上の(つまり顧客が肉眼で区別可能な)特性であってもよいし、非外観上の特性であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。非外観上の特性は、例えば、個体に付属する情報担体(例えば、無線タグ、1次元コード、2次元コード)に情報として格納されてもよい。特性は、例えば、商品の元となる実在、または空想上のエンティティ(例えばゲームキャラクタ)に備わる特性であってもよい。このように、商品に意図的に個体差を付けることで、顧客は、自らの購入した個体、または購入しようとする個体に対して魅力を感じやすくなる。
【0029】
ユーザ端末10は、対象商品の個体のいずれか(以降、「対象個体」とする)に付与された特性に関する情報を顧客に提示する。これにより、顧客は、個体差のある商品の中からどの個体を購入するかの判断がしやすくなる。対象個体は、例えば顧客の指定に応じて特定される。
【0030】
顧客が
図3の個体PR11を指定した場合に、ユーザ端末10は例えば
図4の画面P11をディスプレイに表示することで顧客に情報を提示する。画面P11は、表示領域R111と、表示領域R121と、表示領域R131とを含む。
【0031】
表示領域R111には、対象個体(個体PR11)のアイコンが表示される。
対象個体のアイコンは、同一品目の個体間で共通であってもよいし、個体の特性(例えば、年齢、性別、またはそれらの組み合わせ)に依存して決定されてもよいし、それ自体が個体の特性の1要素であってもよい。
【0032】
表示領域R121には、対象商品の一般情報(つまり、個体間で共通する情報)が表示される。対象商品の一般情報は、例えば、対象商品の元となるエンティティの種類、商品番号、またはそれらの組み合わせを示す。
【0033】
表示領域R131には、対象個体に付与された特性に関する情報(以下、「個性情報」とする)が表示される。
個性情報は、例えば、性格、特技、趣味、嗜好、性別、出会った日、誕生日、出会った場所、出身地、年齢、その他のパラメータ、またはそれらの組み合わせを示す。
【0034】
さらに表示領域R131に表示される個性情報の項目のうち「性格:おとなしい」には、例えば「New」マークMK11が付加表示されている。「New」マークMK11は、顧客が対象商品について購入済みのいずれの個体も「性格:おとなしい」の特性を備えていないことを意味する。
【0035】
顧客が個体PR11とは異なる個体PR12を指定した場合に、ユーザ端末10は例えば
図5の画面をディスプレイに表示することで顧客に情報を提示する。画面P12は、表示領域R112と、表示領域R122と、表示領域R132とを含む。
【0036】
表示領域R112には、対象個体(個体PR12)のアイコンが表示される。
【0037】
表示領域R122には、対象商品の一般情報が表示される。個体PR12は、個体PR11と同じであるから、表示領域R122には表示領域R121と同一の情報が表示され得る。
【0038】
表示領域R132には、対象個体の個性情報が表示される。
【0039】
さらに表示領域R132に表示される個性情報の項目のうち「性格:やんちゃ」には、例えば「New」マークMK12が付加表示されている。「New」マークMK12は、顧客が対象商品について購入済みのいずれの個体も「性格:やんちゃ」の特性を備えていないことを意味する。
【0040】
このように、ユーザ端末10は、対象個体の特定に応答して、対象商品に関する情報だけでなく対象個体に関する情報(例えば、表示領域R131およびR132に表示される情報)を提示する。故に、顧客は、対象商品の個体差を意識して購入判断をすることができる。
【0041】
加えて、ユーザ端末10は、顧客に関する情報を参照して、対象個体の個性のうち顧客が購入済みの個体のいずれも備えていない項目には「New」マーク(例えば、「New」マークMK11およびMK12)を付加表示する。故に、顧客は、「New」マークの有無を対象個体の購入判断の手掛かりの1つとすることができる。例えば、顧客は、「New」マークの数を手掛かりに、購入済み個体と個性が似通った対象個体の購入を見送ったり、または購入済み個体と異質な個性を備えた対象個体の購入を決断したりする。
【0042】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、顧客情報管理装置30の内部の記憶装置、または顧客情報管理装置30とネットワークを介して接続された記憶装置に記憶される。
【0043】
(3-1)顧客データベース
本実施形態の顧客データベースについて説明する。
図6は、本実施形態の顧客データベースのデータ構造を示す図である。
【0044】
図6に示すように、顧客データベースは、「顧客ID」フィールドと、「顧客名」フィールドと、「属性」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
顧客データベースには、顧客情報が格納される。顧客情報は、顧客の基本情報である。
顧客データベースは、一例として、店舗、または店舗グループの会員データベースに相当するがこれに限られない。顧客データベースは、商品に関連するゲーム、アプリケーション、サービス、またはプラットフォームのユーザデータベースに相当してもよい。
【0045】
「顧客ID」フィールドには、顧客IDが格納される。顧客IDは、顧客を識別する情報である。
【0046】
「顧客名」フィールドには、顧客名称情報が格納される。顧客名称情報は、顧客の名称(例えば、本名、またはニックネーム)に関する情報である。
【0047】
「属性」フィールドには、属性情報が格納される。属性情報は、顧客の属性に関する情報である。
図6の例では、顧客の属性として、性別、および年齢層が示されているが、これらは例示に過ぎない。
【0048】
(3-2)購入履歴データベース
本実施形態の購入履歴データベースについて説明する。
図7は、本実施形態の購入履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【0049】
図7に示すように、購入履歴データベースは、「取引ID」フィールドと、「日付」フィールドと、「商品ID」フィールドと、「個体ID」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
購入履歴データベースには、購入履歴情報が格納される。購入履歴情報は、顧客が、いつどの商品のどの個体を購入したかに関する情報である。
購入履歴データベースは、顧客データベース(
図6)に関連付けられている。
購入履歴データベースは、
図7のように、顧客ID毎に対応する購入履歴情報が格納されたテーブルを抽出可能である。
【0050】
「取引ID」フィールドには、取引IDが格納される。取引IDは、購入履歴を構成する取引を識別する情報である。
【0051】
「日付」フィールドには、購入日付情報が格納される。購入日付情報は、取引IDによって識別される取引が行われた日付に関する情報である。
【0052】
「商品ID」フィールドには、購入商品IDが格納される。購入商品IDは、取引IDによって識別される取引において購入された商品を識別する情報である。
【0053】
「個体ID」フィールドには、購入個体IDが格納される。購入個体IDは、取引IDによって識別される取引において購入された個体を識別する情報である。
【0054】
(4)情報提供処理
本実施形態の情報提供処理について説明する。
図8は、本実施形態の情報提供処理のフローを示す図である。
【0055】
図8に示すように、ユーザ端末10は、顧客に関する情報の取得(S101)を実行する。
本実施形態では、プロセッサ12は、顧客の購入履歴情報を取得する。
具体的には、プロセッサ12は、顧客IDを顧客情報管理装置30へ送信する。顧客情報管理装置30は、受信した顧客IDに関連付けられる購入履歴情報を購入履歴データベースから抽出し、ユーザ端末10へ送信する。プロセッサ12は、通信インタフェース14によって受信された購入履歴情報を取得する。
【0056】
プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つのタイミングでステップS101を実行し得る。
・顧客が店舗に来店した時
・ユーザ端末10が対象商品(またはそのいずれかの個体)に付属する情報担体に対して読取を行った時
・顧客がユーザ端末10で実行される所定のアプリケーションに対して所定の操作(例えば、アプリケーション上での商品選択)を行った時
・顧客が店舗端末20に対して所定の操作(例えば、ユーザ端末10をかざす)を行った時
【0057】
さらに
図8に示すように、ユーザ端末10は、対象商品の特定(S102)を実行する。
本実施形態では、プロセッサ12は、顧客による指定に応答して、店舗内のいずれかの商品を対象商品として特定する。顧客は、例えば以下の少なくとも1つの手段により対象商品を指定できる。
・対象商品(またはそのいずれかの個体)に付属する情報担体に対して読取を行う
・ユーザ端末10で実行される所定のアプリケーションに対して所定の操作(例えば、アプリケーション上での対象商品の選択)を行う
・対象商品(またはそのいずれかの個体)を撮影する
・対象商品の商品名称、または商品IDをテキスト、音声、または選択入力する
・店舗端末20に対して所定の操作(例えば、対象商品の個体のいずれかをかざす)を行う
【0058】
プロセッサ12は、ステップS102を、ステップS101よりも前、またはステップS101よりも後に行ってもよいし、ステップS101と同時に行ってもよい。
【0059】
さらに
図8に示すように、ユーザ端末10は、対象個体の特定(S103)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、顧客による指定に応答して、ステップS102において特定される対象商品の個体のいずれかを対象個体として特定する。顧客は、例えば以下の少なくとも1つの手段により対象個体を指定できる。
・対象個体に付属する情報担体に対して読取を行う
・ユーザ端末10で実行される所定のアプリケーションに対して所定の操作(例えば、アプリケーション上での対象個体の選択)を行う
・対象個体を撮影する
・対象個体の個体名称、または個体IDをテキスト、音声、または選択入力する
・店舗端末20に対して所定の操作(例えば、対象個体をかざす)を行う
【0060】
プロセッサ12は、ステップS103を、ステップS102よりも後に行ってもよいし、ステップS102と同時に行ってもよい。
【0061】
ステップS103の後に、ユーザ端末10は、対象個体の個性情報の取得(S104)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS103において特定された対象個体の個性情報を取得する。例えば、プロセッサ12は、以下の少なくとも1つの手段により対象個体の個性情報を取得できる。
・対象個体に付属する情報担体に格納された情報から当該対象個体の個性情報を抽出する
・対象個体の個体IDに関連付けられる個性情報を店舗端末20、または商品情報管理装置40から取得する
【0062】
ステップS101およびステップS104の後に、ユーザ端末10は、顧客に提示する情報の決定(S105)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS101において取得した顧客に関する情報と、ステップS104において取得した対象個体の個性情報とを参照して、顧客に提示する情報を決定する。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つを顧客に提示する情報として決定する。
・対象個体に付与された特性に関する情報(つまり、ステップS104において取得された情報)
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがあるか否かを示す情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、当該個体(以下、「購入済み個体」とする)に付与された特性に関する情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、購入済み個体に付与された特性の少なくとも一部を示す情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、対象個体に付与された特性と購入済み個体に付与されている特性との比較結果(一致/不一致)に関する情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがない場合に、初めて購入する商品であることを示す情報
【0063】
ステップS105の後に、ユーザ端末10は、情報の提示(S106)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS105において決定した情報を出力デバイス16に出力させることにより顧客に提示する。これにより、顧客は、対象個体を購入する前に、対象個体を購入するか否かの判断材料を得られる。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つの手段により情報を顧客に情報を提示する。
・ディスプレイに画像を表示する
・スピーカから音声を出力する
【0064】
以上説明したように、実施形態に係るユーザ端末は、顧客に関する情報(具体的には購入履歴情報)を参照して、対象個体に付与された特性に関する情報を当該顧客に対して提示する。故に、このユーザ端末によれば、個体差を意図的に付与された商品から顧客が特定の個体を購入するにあたって顧客の購入履歴を鑑みてふさわしい情報を提供することができる。つまり、新規な顧客体験を提供することができる。例えば、顧客に対して、購入済み個体に備わっていない個性を備えた個体を探し回る楽しみを提供できる。また、顧客は、同一商品の個体を繰り返し購入したい場合に、購入済み個体と対象個体との個体差を容易に把握し、購入判断に用いることができる。
【0065】
(5)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0066】
(5-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、顧客に対して対象商品、または対象個体の推薦を行う例である。
【0067】
変形例1では、顧客に関する情報として、以下の少なくとも1つを利用可能である。
・購入履歴情報
・商品に関連するゲーム、アプリケーション、サービス、またはプラットフォームに関する顧客の利用履歴に関する情報(以下、「利用履歴情報」と称する)
・顧客の嗜好、または性格に関する情報
【0068】
(5-1-1)データベース
変形例1のデータベースについて説明する。
【0069】
(5-1-1-1)ゲームプレイ履歴データベース
変形例1のゲームプレイ履歴データベースについて説明する。
図9は、変形例1のゲームプレイ履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【0070】
ゲームプレイ履歴データベースは、顧客情報管理装置30の内部の記憶装置、または顧客情報管理装置30とネットワークを介して接続された記憶装置に記憶される。
ゲームプレイ履歴データベースには、ゲームプレイ履歴情報(「利用履歴情報」の一例)が格納される。ゲームプレイ履歴情報は、各顧客のゲームのプレイ履歴に関する情報である。
図9に示すように、ゲームプレイ履歴データベースは、「顧客ID」フィールドと、「プレイ時間」フィールドと、「レベル」フィールドと、「お気に入りキャラ」フィールドと、「購入情報」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
ゲームプレイ履歴データベースは、顧客データベース(
図6)に関連付けられている。
【0071】
「顧客ID」フィールドには、顧客IDが格納される。顧客IDは、顧客データベース(
図6)の顧客IDと同一であってよい。
【0072】
「プレイ時間」フィールドには、プレイ時間情報が格納される。プレイ時間情報は、顧客のゲームのプレイ時間に関する情報である。
【0073】
「レベル」フィールドには、レベル情報が格納される。レベル情報は、顧客のゲームにおけるレベルに関する情報である。
【0074】
「お気に入りキャラ」フィールドには、お気に入りキャラ情報が格納される。お気に入りキャラ情報は、顧客のゲームにおけるお気に入りのキャラクタに関する情報である。
【0075】
「購入情報」フィールドには、購入情報が格納される。購入情報は、顧客のゲームにおけるゲーム内アイテムの購入に関する情報である。
(5-1-1-2)在庫データベース
変形例1の在庫データベースについて説明する。
図10は、変形例1の在庫データベースのデータ構造を示す図である。
【0076】
在庫データベースは、商品情報管理装置40の内部の記憶装置、または商品情報管理装置40とネットワークを介して接続された記憶装置に記憶される。
在庫データベースには、在庫情報が格納される。在庫情報は、店舗、または店舗グループにおける各商品個体の在庫に関する情報である。
図10に示すように在庫データベースは、「商品ID」フィールドと、「個体ID」フィールドと、「数量」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0077】
「商品ID」フィールドには、商品IDが格納される。商品IDは、商品を識別する情報である。
【0078】
「個体ID」フィールドには、個体IDが格納される。個体IDは、対応する商品IDによって識別される商品の個体を識別する情報である。
【0079】
「数量」フィールドには、数量情報が格納される。数量情報は、対応する個体IDによって識別される個体の在庫数量に関する情報である。
【0080】
(5-1-2)情報提供処理
変形例1の情報提供処理について説明する。
【0081】
図8に示すように、ユーザ端末10は、顧客に関する情報の取得(S101)を実行する。
変形例1では、プロセッサ12は、以下の少なくとも1つを顧客に関する情報として取得する。
・購入履歴情報
・利用履歴情報
・顧客の嗜好、または性格に関する情報
【0082】
顧客に関する情報の取得(S101)の第1の例では、プロセッサ12は、顧客IDを顧客情報管理装置30へ送信する。顧客情報管理装置30は、受信した顧客IDに関連付けられる購入履歴情報を購入履歴データベースから抽出し、ユーザ端末10へ送信する。プロセッサ12は、通信インタフェース14によって受信された購入履歴情報を取得する。
【0083】
顧客に関する情報の取得(S101)の第2の例では、プロセッサ12は、顧客IDを顧客情報管理装置30へ送信する。顧客情報管理装置30は、受信した顧客IDに関連付けられる利用履歴情報を利用履歴データベースから抽出し、ユーザ端末10へ送信する。プロセッサ12は、通信インタフェース14によって受信された利用履歴情報を取得する。
【0084】
顧客に関する情報の取得(S101)の第3の例では、プロセッサ12は、顧客IDを顧客情報管理装置30へ送信する。顧客情報管理装置30は、受信した顧客IDに関連付けられる顧客の嗜好または性格に関する情報を顧客データベースから抽出し、ユーザ端末10へ送信する。プロセッサ12は、通信インタフェース14によって受信された顧客の嗜好または性格に関する情報を取得する。
【0085】
顧客に関する情報の取得(S101)の第4の例では、プロセッサ12は、顧客に対して嗜好に関するアンケート、または性格診断を実行する。プロセッサ12は、顧客の回答結果を参照して、顧客の嗜好または性格に関する情報を取得する。嗜好に関するアンケート、または性格診断は、店舗端末20によって行われてもよい。嗜好に関するアンケートは、例えば、顧客に商品に関する複数のキャラクタからどのキャラクタが好ましいかを選択させる設問を含むことができる。
【0086】
ステップS101の後に、ユーザ端末10は、対象商品の特定(S102)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、商品情報管理装置40に在庫情報を要求し、その応答として商品情報管理装置40から在庫情報を取得する。プロセッサ12は、在庫情報と、ステップS101において取得した顧客に関する情報とを参照して、在庫のある商品のいずれかを対象商品として特定する。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つの商品を対象商品として特定できる。
・顧客が購入したことのない商品
・顧客がこれまで購入した商品と関連する商品
・顧客と購入履歴、利用履歴、嗜好、または性格において類似する他の顧客の購入率が高い商品
・商品に関連するゲームにおけるキャラクタやアイテムの種類についての顧客の購入数、所持数、または消費数に関連する商品
・顧客の嗜好、または性格に適合する商品
・抽選で決定した商品
【0087】
ステップS102の後に、ユーザ端末10は、対象個体の特定(S103)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、在庫情報と、ステップS101において取得した顧客に関する情報とを参照して、ステップS102において特定された対象商品の個体のいずれかを対象個体として特定する。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つの商品を対象個体として特定できる。
・対象商品の購入済み個体のいずれも備えていない特性を備える個体
・顧客と購入履歴、利用履歴、嗜好、または性格において類似する他の顧客の購入率が高い特性を備える個体
・顧客が対象商品に関連するゲームにおいて使用するキャラクタに応じた特性(例えば同一、または類似の個性)を備える個体
・顧客が対象商品に関連するゲームにおいて所定の条件(例えば、所定のキャラクタを有しているか、所定のゲームアイテムを購入したことがあるか、所定のゲームアイテムを所定数購入したか等)を満たしているかを判定し、所定の条件を満たしている場合にのみ与えられる特性を備える個体
・顧客の嗜好、または性格に適合する特性を備える個体
・抽選で決定した個体
【0088】
ステップS103の後に、ユーザ端末10は、
図8と同様に、対象個体の個性情報の取得(S104)、顧客に提示する情報の決定(S105)、および情報の提示(S106)を実行する。
【0089】
以上説明したように、実施形態に係るユーザ端末は、顧客に関する情報を参照して、対象商品および対象個体を特定する。故に、このユーザ端末によれば、顧客が自ら指定せずとも購入候補となる商品とその特定の個体とを選定し、情報提供を行うことができる。つまり、新規な顧客体験を提供することができる。例えば、顧客が店舗内を探し回ったり陳列された商品の個体の個性を1つ1つ確認したりせずとも、当該顧客の潜在的な要求に応える特性を備えている可能性のある対象個体を推薦することができる。
【0090】
(5-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、対象個体の特定後に当該対象個体の個性を決定する例である。
図11は、変形例2の情報提供処理のフローを示す図である。
【0091】
図11に示すように、ユーザ端末10は、
図8と同様に、顧客に関する情報の取得(S101)
、対象商品の特定(S102)、および対象個体の特定(S103)を実行する。
【0092】
ステップS103の後に、ユーザ端末10は、対象個体の個性の決定(S111)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、対象個体に付与する特性を決定する。ステップS111において、プロセッサ12は、ステップS101において取得した顧客に関する情報を参照してもよいし、しなくてもよい。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つの手段により対象個体の個性を決定する。
・顧客の購入済み個体と少なくとも一部が異なる特性を選択する
・顧客が対象商品に関連するゲームにおいて使用するキャラクタに応じた特性を選択する(例えばキャラクタと同一の個性)
・顧客の嗜好、または性格に適合する特性を選択する
・抽選で決定する
【0093】
ステップS111の後に、ユーザ端末10は、個性の付与(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS111において決定した個性を対象個体に付与する。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つの手段により対象個体に個性を付与する。
・商品情報管理装置40に、対象個体の個性情報(例えば、データベースにおいて対象個体の個体IDに関連付けられている個性情報)の書き換えを要求する
・対象個体に付属する情報担体(例えば無線タグ)に格納された情報を書き換える
【0094】
なお、情報担体に保存された情報の書き換えには、リーダライタ(例えばRFIDリーダライタ)が利用可能である。リーダライタは、ユーザ端末10または店舗端末20に入出力デバイスとして接続され得る。
【0095】
ステップS112の後に、ユーザ端末10は、顧客に提示する情報の決定(S105a)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS101において取得した顧客に関する情報と、ステップS111において決定した対象個体の個性とを参照して、顧客に提示する情報を決定する。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つを顧客に提示する情報として決定する。
・対象個体に付与された特性に関する情報(つまり、ステップS111において決定された個性に関する情報)
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがあるか否かを示す情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、購入済み個体に付与された特性に関する情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、購入済み個体に付与された特性の少なくとも一部を示す情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、対象個体に付与された特性と購入済み個体に付与されている特性との比較結果(一致/不一致)に関する情報
・対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがない場合に、初めて購入する商品であることを示す情報
【0096】
ステップS105aの後に、ユーザ端末10は、情報の提示(S106)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS105aにおいて決定した情報を出力デバイス16に出力させることにより顧客に提示する。
【0097】
以上説明したように、変形例2のユーザ端末は、対象商品の個体差を販売の現場で付与する。故に、変形例2のユーザ端末によれば、店頭において対象商品のうち特定の個性を備えた/備えていない個体が極端に品薄となったり、逆に特定の個性を備えた/備えていない個体が大量に売れ残ったりするなど需給のミスマッチを防止できる。例えば、店舗は、在庫数を過度に増やさなくても個体差に富んだ対象商品を販売することができる。
【0098】
(5-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、顧客が新規顧客に該当する場合に新規顧客向けの購買支援が行われる例である。新規顧客は、例えば店舗、または店舗グループの会員でない顧客を意味する。
図12は、変形例3の情報提供処理のフローを示す図である。
【0099】
図12に示すように、ユーザ端末10は、
図8と同様に、顧客に関する情報の取得(S101)を実行する。
【0100】
ステップS101の後に、ユーザ端末10は、顧客カテゴリ判定(S121)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS101において取得した顧客に関する情報を参照して、当該顧客のカテゴリを判定する。一例として、プロセッサ12は、顧客の購入履歴情報が購入履歴データベースに登録されていない場合に当該顧客を新規顧客と判定する。
【0101】
ステップS121において顧客が新規顧客でないと判定した場合に、ユーザ端末10は、
図8と同様に、対象商品の特定(S102)、対象個体の特定(S103)、対象個体の個性情報の取得(S104)、顧客に提示する情報の決定(S105)、および情報の提示(S106)を実行する。或いは、ユーザ端末10は、
図11と同様に、対象商品の特定(S102)、対象個体の特定(S103)、対象個体の個性の決定(S111)、個性の付与(S112)、顧客に提示する情報の決定(S105a)、および情報の提示(S106)を実行してもよい。
【0102】
ステップS121において顧客が新規顧客であると判定した場合に、ユーザ端末10は、新規顧客来店の報知(S122)を実行する。一例として、ユーザ端末10は、店舗端末20(例えば、接客ロボット、または店員が所持する端末)に通知を送信する。通知後に、顧客に対して例えば以下の少なくとも1つの購買支援が行われる。
・店舗案内の提示
・商品案内の提示
・対象個体の個性の確認方法の案内の提示
・会員登録の案内の提示
・接客ロボット、または店員による接客
・嗜好アンケート、または性格診断の実施
【0103】
以上説明したように、変形例3のユーザ端末は、顧客カテゴリを判定し、新規顧客の来店を報知することで、顧客に対して新規顧客向けの購買支援が行われるようにする。故に、変形例3のユーザ端末によれば、店舗、商品、および購入システムのコンセプトに関して顧客の事前理解を醸成することができる。
【0104】
(5-4)変形例4
変形例4について説明する。変形例4は、対象個体の購入前の代わりに、対象個体の購入時、または対象個体の購入後に、当該対象個体に付与された特性に関する情報を提示する例である。
【0105】
変形例4では、
図4の「New」マークMK11は、顧客が対象個体よりも前に購入した対象商品のいずれの個体も「性格:おとなしい」の特性を備えていなかったことを意味する。同様に、変形例4によれば、
図5の「New」マークMK12は、顧客が対象個体よりも前に購入した対象商品のいずれの個体も「性格:やんちゃ」の特性を備えていなかったことを意味する。
【0106】
以上説明したように、変形例4のユーザ端末は、対象個体の購入前の代わりに、対象個体の購入時、または対象個体の購入後に、当該対象個体に付与された特性に関する情報を提示する。故に、変形例4のユーザ端末によれば、ユーザは、対象個体に付与された特性に期待を込めて対象個体の購入を決断し、購入時または購入後に実際の特性を確かめて楽しむことができる。
【0107】
なお、変形例4において、対象個体に特性が付与されるタイミングは任意である。すなわち、製造時に特性を付与することもできるし、変形例2のように販売の現場で特性を付与することもできる。
【0108】
(6)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、ユーザ端末10と接続されてもよい。
【0109】
本実施形態では、対象個体の特性のうち顧客が対象商品について購入済みの個体が備えていない特性に対し「New」マークを付加表示する例を説明した。しかしながら、「New」マークに限らず、顧客が、対象個体の特性のうち顧客が対象商品について購入済みの個体が備えていない特性とそうでない特性とを区別できる限りは任意の表示態様により代替可能である。例えば、対象個体の特性のうち顧客が対象商品について購入済みの個体が備えていない特性を強調表示してもよい。
【0110】
ユーザ端末10は、対象個体の個性情報に加えて、購入済み個体の個性情報を顧客に提示してもよい。これにより、顧客は、対象個体の個性情報と購入済み個体の個性情報とを見比べて、購入判断を行うことができる。
【0111】
本実施形態および変形例では、ユーザ端末10が顧客情報管理装置30、および商品情報管理装置40へ直接アクセスする例を示した。しかしながら、ユーザ端末10と、顧客情報管理装置30、または商品情報管理装置40との間には、店舗端末20、または図示されない仲介装置(例えば、ウェブサーバ)が介在し得る。
【0112】
本実施形態および変形例では、顧客が実店舗を訪れる例を説明したが、店舗は仮想空間に設けられてもよい。店舗が仮想空間に設けれられる場合に、店舗内の物体(例えば、店舗端末20、商品個体、および店舗を構成する構造物)は仮想オブジェクトに、店員はアバターにそれぞれ置き換えられる。
【0113】
本実施形態および変形例では、ユーザ端末10が情報提供装置として機能する例を説明した。しかしながら、店舗端末20が情報提供装置として機能することも、ユーザ端末10および店舗端末20が協同して情報提供装置として機能することもできる。つまり、上記の情報提供処理の各ステップは、ユーザ端末10及び店舗端末20の何れでも実行可能である。
【0114】
変形例1では、在庫情報と顧客に関する情報とを参照して対象商品、および対象個体を特定する例を説明した。しかしながら、顧客の指定により対象商品を特定し、さらに在庫情報と顧客に関する情報とを参照して対象個体を特定するようにしてもよい。
【0115】
変形例2では、対象個体に関する情報の提示に際して当該対象個体の個性を決定、および付与する例を説明した。しかしながら、対象個体に個性を実質的に付与する(つまり、データベース、または対象個体に付属する情報担体に保存される情報を書き換える)タイミングは、
図11の例に限られない。例えば、顧客が対象個体を購入する時に店舗端末20(決済端末)が当該対象個体に個性を付与してもよい。
【0116】
変形例3では、顧客が新規顧客に該当する場合に新規顧客向けの購買支援が行われる例を説明した。しかしながら、顧客が他の特定のカテゴリに該当する場合に当該特定のカテゴリ向けの購買支援が行われてもよい。例えば、顧客の購入履歴情報を参照することで、前回の購入からの経過時間の長い顧客、購入金額の多い顧客、頻繁に購入している顧客、などを判別可能である。
【0117】
変形例4において、対象個体に付与された特性に関する情報の一部について対象個体の購入前に表示するようにしてもよい。これにより、顧客は、対象個体に付与された特性を部分的に把握した状態で、隠されている特性に期待を込めて対象個体の購入を決断し、隠されていた特性が実際は何であったかを購入時または購入後に確かめて楽しむことができる。一例として、以下の少なくとも1つの情報を対象個体の購入前に表示してもよい。
・個性情報のうち予め定められた一部の項目に関する情報
・個性情報のうちランダムに決定された一部の項目に関する情報
・個性情報のうち購入済個体と同じ特性に関する情報
・購入済個体に付与された特性と対象個体に付与された特性との間の一致または不一致の少なくとも1つを示す情報(例えば、「New」マーク)
【0118】
顧客に提示した対象商品および対象個体の少なくとも1つに関する情報と、その後に顧客がいずれの商品のいずれの個体を購入し、または購入しなかったかの情報とを収集し、顧客の好む/好まない商品または個性を分析してもよい。かかる分析結果は、商品開発の材料として有用である。
【0119】
対象個体に付与された個性に応じて、対象商品に関連するゲーム、アプリケーション、サービス、またはプラットフォームに関する顧客のデータが更新されてもよい。例えば、顧客が購入した対象個体と同じ個性を持つキャラクタデータを当該顧客のゲームデータに追加してもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0121】
(7)付記
実施形態および変形例で説明した事項を、以下に付記する。
【0122】
(付記1)
顧客に関する情報を取得する手段(S101)と、
少なくとも顧客に関する情報を参照して、顧客に、同一品目の個体間に個体差が生じるように特性を個別に付与された対象商品の個体のいずれかである対象個体に付与された特性に関する情報を提示する手段(S105)と
を具備する、情報提供装置。
【0123】
(付記2)
顧客に関する情報は、顧客の購入履歴に関する情報を含む、
付記1に記載の情報提供装置。
【0124】
(付記3)
提示する手段は、対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に、当該個体に付与された特性に関する情報を提示する、
付記2に記載の情報提供装置。
【0125】
(付記4)
提示する手段は、対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがあるか否かを示す情報を提示し、対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に当該個体に付与された特性と対象個体に付与された特性との間の一致または不一致の少なくとも1つを示す情報(MK11,MK12)をさらに提示する、
付記2に記載の情報提供装置。
【0126】
(付記5)
提示する手段は、対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがあるか否かを示す情報を提示し、対象商品の個体のいずれかを顧客が購入したことがある場合に当該個体に付与された特性を示す情報と、対象個体に付与された特性を示す情報とをさらに提示する、
付記2に記載の情報提供装置。
【0127】
(付記6)
顧客の指定に応じて、対象個体を特定する手段(S103)
をさらに具備する、付記2乃至付記5のいずれかに記載の情報提供装置。
【0128】
(付記7)
顧客に関する情報は、商品に関連するゲーム、アプリケーション、サービス、およびプラットフォームの少なくとも1つに関する顧客の利用履歴、ならびに顧客の嗜好、および性格の少なくとも1つに関する情報、の少なくとも1つを含む、
付記1乃至付記6のいずれかに記載の情報提供装置。
【0129】
(付記8)
提示する手段は、商品の在庫に関する情報をさらに参照して、顧客に、対象個体に付与された特性に関する情報を提示する、
付記1乃至付記7のいずれかに記載の情報提供装置。
【0130】
(付記9)
在庫のある商品のいずれかを対象商品として特定する手段(S102)と、
特定された対象商品の個体のいずれかを対象個体として特定する手段(S103)と
をさらに具備する、付記8に記載の情報提供装置。
【0131】
(付記10)
対象個体に付与する特性を決定する手段(S111)をさらに具備する、
付記1乃至付記9のいずれかに記載の情報提供装置。
【0132】
(付記11)
決定する手段によって決定された特性を対象個体に付与する手段(S112)をさらに具備する、
付記10に記載の情報提供装置。
【0133】
(付記12)
顧客が新規顧客であるか否かを判定する手段(S121)と、
顧客が新規顧客であると判定された場合に、新規顧客の来店を報知する手段(S122)と
をさらに具備する、
付記1乃至付記11のいずれかに記載の情報提供装置。
【符号の説明】
【0134】
1 :情報提供システム
3 :顧客情報管理装置
10 :ユーザ端末
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
15 :入力デバイス
16 :出力デバイス
20 :店舗端末
30 :顧客情報管理装置
40 :商品情報管理装置