(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】2重モノコック構造ドローン
(51)【国際特許分類】
B64C 1/12 20060101AFI20240529BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240529BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240529BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20240529BHJP
B64U 20/73 20230101ALI20240529BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240529BHJP
【FI】
B64C1/12
B64C27/08
B64C39/02
B64U10/14
B64U20/73
B64U20/87
(21)【出願番号】P 2020135533
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000220893
【氏名又は名称】東光鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】虻川 東雄
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 孝人
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209305831(CN,U)
【文献】中国実用新案第208085992(CN,U)
【文献】特開2018-002095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0122017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/12
B64C 39/02
B64C 27/08
B64U 10/14
B64U 20/73
B64U 20/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のフレームプレート本体と、該フレームプレート本体から四方に延伸された回転翼取付部材と、該回転翼取付部材の先端に固定された回転翼部材と、前記フレームプレート本体の左右下方に延伸された脚部取付部材と、該脚部取付部材の下端に固定された脚部と、前記フレームプレート本体を上からカバーする内部モノコック上部と前記フレームプレート本体を下からカバーする内部モノコック下部と、前記内部モノコック上部を上から2重にカバーする外部モノコック上部と前記内部モノコック下部を下から2重にカバーする外部モノコック下部と、から構成されることを特徴とする2重モノコック構造ドローン。
【請求項2】
前記内部モノコック上部は、下方開口の蓋部材の四隅に前記フレームプレート本体の嵌合凸部に嵌合する円弧フランジを一体形成したモノコック構造で、前記フレームプレート本体の上面に制御部を載せた状態で、前記フレームプレート本体へ上方からカバーし、一方、前記内部モノコック下部は、上方開口の容器部材の四隅に前記フレームプレート本体の嵌合凸部に嵌合する円弧フランジを一体形成したモノコック構造で、前記容器部材の内部に電源部を収納した状態で、前記フレームプレート本体へ下方からカバーすることを特徴とする請求項1記載の2重モノコック構造ドローン。
【請求項3】
前記外部モノコック上部は、下方開口の蓋部材の四隅に前記回転翼取付部材に嵌合する小径円弧フランジを一体形成したモノコック構造で、前記外部モノコック上部の前方
に半球形カバーに嵌合する大径円弧フランジを形成し、一方、前記外部モノコック下部は、上方開口の容器部材の四隅に前記
回転翼取付部材に嵌合する小径円弧フランジを一体形成したモノコック構造で、前記外部モノコック下部の前方に前記半球形カバーに嵌合する大径円弧フランジを形成することを特徴とする請求項1記載の2重モノコック構造ドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコプターなどの無人飛行体の機体にモノコック構造を用いて強度及び防水効果を高め、かつ外装デザインを簡易に変更することができる2重モノコック構造ドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチコプターなどの無人飛行体に用いられるフレームには、無人飛行体の離着陸、移動等の動作時に羽部や脚部等から応力が伝達され、また、フレームが支持する動力源などの構成部品に重量によって局所的な荷重が加えられる。
そのため、少ない部品点数で、マルチコプターなどの無人飛行体の動作時に発生する応力や荷重に対応できる、無人飛行体用フレームが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
この公知技術は、動力源を有する無人飛行体に用いられるフレームであって、1つの面に開口を有しかつ動力源の少なくとも一部を収容可能な第1凹部を有するフレーム本体と該フレーム本体の開口一体にフランジ部が形成され、フレームの単一の部材として構成することによって、フレームの剛性を大きくできる。
【0004】
したがって、フレーム本体に動力源等の構成部品を収容しかつ羽部や脚部を取り付けて無人飛行体を構成した場合、フレームに、無人飛行体の離着陸、移動、ホバリング等の動作時に羽部や脚部を介して応力が伝達され、また、構成部品の重量によって荷重が加えられても、フレームが損傷せずかつ他の構成部品が悪影響を受けないように対応できる。
【0005】
しかしながら、前記公知技術は、単にフレーム本体のフランジ部の内周面に蓋部を取り付けるものであり、モノコック構造を利用しているが、強度的に弱いものであり、かつ防水効果等は期待することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マルチコプターなどの無人飛行体の機体にモノコック構造を用いて強度及び防水効果を高め、かつ外装デザインを簡易に変更することができる2重モノコック構造ドローンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の2重モノコック構造ドローンは、矩形状のフレームプレート本体と、該フレームプレート本体から四方に延伸された回転翼取付部材と、該回転翼取付部材の先端に固定された回転翼部材と、前記フレームプレート本体の左右下方に延伸された脚部取付部材と、該脚部取付部材の下端に固定された脚部と、前記フレームプレート本体を上からカバーする内部モノコック上部と前記フレームプレート本体を下からカバーする内部モノコック下部と、前記内部モノコック上部を上から2重にカバーする外部モノコック上部と前記内部モノコック下部を下から2重にカバーする外部モノコック下部と、から構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の2重モノコック構造ドローンは、矩形状のフレームプレート本体と、該フレームプレート本体から四方に延伸された回転翼取付部材と、該回転翼取付部材の先端に固定された回転翼部材と、前記フレームプレート本体の左右下方に延伸された脚部取付部材と、該脚部取付部材の下端に固定された脚部と、前記フレームプレート本体を上からカバーする内部モノコック上部と前記フレームプレート本体を下からカバーする内部モノコック下部と、前記内部モノコック上部を上から2重にカバーする外部モノコック上部と前記内部モノコック下部を下から2重にカバーする外部モノコック下部と、から構成されるため、機体にモノコック構造を用いて強度及び防水効果を高め、かつ外装デザインを簡易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の2重モノコック構造ドローンの分解斜視図である。
【
図2】本発明の2重モノコック構造ドローンの内部モノコック組付け斜視図である。
【
図3】本発明の2重モノコック構造ドローンの外部モノコック組付け斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の2重モノコック構造ドローンの一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の分解斜視図に示すように、本発明の2重モノコック構造ドローンは、矩形状のフレームプレート本体1と、該フレームプレート本体1から四方に延伸された回転翼取付部材2と、該回転翼取付部材2の先端に固定された回転翼部材3と、前記フレームプレート本体1の左右下方に延伸された脚部取付部材4と、該脚部取付部材4の下端に固定された脚部5と、前記フレームプレート本体1を上からカバーする内部モノコック上部6と前記フレームプレート本体1を下からカバーする内部モノコック下部7と、前記内部モノコック上部6を上から2重にカバーする外部モノコック上部8と前記内部モノコック下部7を下から2重にカバーする外部モノコック下部9と、から構成される。
【0012】
前記フレームプレート本体1は、剛性を有する矩形のプレートからなり、四隅に嵌合凸部10を形成し、該嵌合凸部10に回転翼取付部材2を嵌合固定させる。同様に、前記フレームプレート本体1の左右側に嵌合凸部10を形成し、該嵌合凸部10に脚部取付部材4を嵌合固定する。
前記回転翼取付部材2は、一端に前記フレームプレート本体1の四隅の嵌合凸部10に嵌合する嵌合凹部11を備え、他端に回転翼部材3を固定した棒状部材からなる。
前記回転翼部材3は、前記回転翼取付部材2の先端に固定され、モーターにより回転する2枚のブレード12を備え、前記フレームプレート本体1に設けた制御部(図示省略)によりコントロールされる。
【0013】
前記脚部取付部材4は、一端に前記フレームプレート本体1の左右側の嵌合凸部10に嵌合する嵌合凹部11を備え、他端に脚部5を固定した棒状部材からなる。
前記脚部5は、前記脚部取付部材4の下端に固定され、前記脚部取付部材4に直交し、前後方向に延びる短棒部材からなる。
【0014】
前記内部モノコック上部6は、下方開口の蓋部材の四隅に前記フレームプレート本体1の嵌合凸部10に嵌合する円弧フランジ13を一体形成したモノコック構造で、前記フレームプレート本体1の上面に制御部(図示省略)を載せた状態で、前記フレームプレート本体1へ上方からカバーする。
前記内部モノコック下部7は、上方開口の容器部材の四隅に前記フレームプレート本体1の嵌合凸部10に嵌合する円弧フランジ13を一体形成したモノコック構造で、前記容器部材の内部に電源部(図示省略)を収納した状態で、前記フレームプレート本体1へ下方からカバーする。
また、前記内部モノコック下部7の前面側にはカメラ機器を収納した半球形カバー14を固定する。
前記内部モノコック上部6と前記内部モノコック下部7は、それぞれを突き合わせ、それぞれの円弧フランジ13の突き合わせを締結具(図示省略)により固定する。
【0015】
前記外部モノコック上部8は、下方開口の蓋部材の四隅に前記回転翼取付部材2に嵌合する小径円弧フランジ15を一体形成したモノコック構造で、前記外部モノコック上部8の前方に前記半球形カバー14に嵌合する大径円弧フランジ16を形成する。
前記外部モノコック上部8は、前記内部モノコック上部6を2重に保護補強すると共に、意匠的効果も備えている。
前記外部モノコック下部9は、上方開口の容器部材の四隅に前記回転翼取付部材2に嵌合する小径円弧フランジ15を一体形成したモノコック構造で、前記外部モノコック下部9の前方に前記半球形カバー14に嵌合する大径円弧フランジ16を形成する。
前記外部モノコック下部9は、前記内部モノコック下部7を2重に保護補強すると共に、意匠的効果も備えている。
前記外部モノコック上部8と前記外部モノコック下部9は、それぞれを突き合わせ、それぞれの小径円弧フランジ15の突き合わせを締結具(図示省略)により固定する。
【0016】
次に、本発明の2重モノコック構造ドローンの操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、フレームプレート本体1の四隅の嵌合凸部10に回転翼取付部材2を嵌合固定させ、同様に、前記フレームプレート本体1の左右側の嵌合凸部10に脚部取付部材4を嵌合固定されている、2重モノコック構造ドローンが分解されている状態から、
図2の内部モノコック組付け斜視図に示すように、前記フレームプレート本体1の上面に制御部(図示省略)を載せ、内部モノコック上部6を被せる。
内部モノコック下部7に電源部(図示省略)を収納し、前記フレームプレート本体1の下面に被せ、前記内部モノコック上部6と前記内部モノコック下部7を突き合わせ、それぞれの円弧フランジ13の突き合わせを締結具(図示省略)により固定する。
【0017】
次に、
図3の外部モノコック組付け斜視図に示すように、外部モノコック上部8を内部モノコック上部6に被せ、かつ外部モノコック下部9を内部モノコック下部7に被せ、前記外部モノコック上部8と前記外部モノコック下部9を突き合わせ、それぞれの小径円弧フランジ15の突き合わせを締結具(図示省略)により固定する。
一方、カメラ機器を収納した半球形カバー14は、内部モノコック下部7の前面側に固定されており、前記外部モノコック上部8の前方に前記半球形カバー14に嵌合する大径円弧フランジ16と前記外部モノコック下部9の前方に前記半球形カバー14に嵌合する大径円弧フランジ16とにより、前記半球形カバー14を支持固定する。
【0018】
したがって、本発明の2重モノコック構造ドローンは、土台となるフレームプレート本体1にモノコック構造の内部モノコック上部6及び内部モノコック下部7と、外部モノコック上部8及び外部モノコック下部9によりドローン機体を構成しているため、2重構造により機体強度及び防水効果を高め、かつ外装デザインを簡易に変更することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 フレームプレート本体
2 回転翼取付部材
3 回転翼部材
4 脚部取付部材
5 脚部
6 内部モノコック上部
7 内部モノコック下部
8 外部モノコック上部
9 外部モノコック下部
10 嵌合凸部
11 嵌合凹部
12 ブレード
13 円弧フランジ
14 半球形カバー
15 小径円弧フランジ
16 大径円弧フランジ